JPH06228240A - 液晶表示用高分子化合物、それを用いた液晶表示素子およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示用高分子化合物、それを用いた液晶表示素子およびその製造方法

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JPH06228240A
JPH06228240A JP1901193A JP1901193A JPH06228240A JP H06228240 A JPH06228240 A JP H06228240A JP 1901193 A JP1901193 A JP 1901193A JP 1901193 A JP1901193 A JP 1901193A JP H06228240 A JPH06228240 A JP H06228240A
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crystal display
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polymer compound
solvent
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JP1901193A
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English (en)
Inventor
Koji Hara
浩二 原
Toru Kashiwagi
亨 柏木
Kensaku Takada
憲作 高田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄膜で高いコントラストを達成でき、低電圧
駆動可能で、しかも耐熱性にすぐれた複合膜を形成し得
る液晶表示用高分子化合物と、上記複合膜を備えた液晶
表示素子と、その製造方法とを提供する。 【構成】 高分子化合物は、一般式(1) で表される繰り
返し単位を有し、かつ下記の条件を満足する。 【化1】 〔R1 は明細書に記載のとおり。〕 【数1】 【数2】 液晶表示素子は、上記高分子化合物の架橋物からなる高
分子マトリクスの孔内に、液晶材料が充填された構造の
複合膜を、一対の導電基材で挟着した。製造方法は、上
記高分子化合物と液晶材料と架橋剤とを含む溶液を導電
基材上に塗布し、相分離させて複合膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、TV画面や一般OA機
器用、あるいは自動車等の表示パネル用の表示装置等に
使用される、液晶材料と高分子マトリクスとからなる複
合膜型の液晶表示素子用の高分子化合物と、それを用い
た液晶表示素子と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示素子は、数μmの間隔に
固定した一対の導電基材間に液晶材料を注入することに
よって形成されていた。しかしながら上記構成では、大
面積のデイスプレイの作成が困難であり、また液晶を封
入した一対のガラス基板には、それぞれ、偏光軸が互い
に直交した偏光板を取付ける必要があるため、画面の明
るさ、視野角等が不充分であった。
【0003】そこで近時、高分子と液晶材料とを溶媒中
に溶解した溶液を導電基材上に流延塗布し、溶媒を蒸発
させて高分子と液晶材料とを相分離させることで、3次
元網目状構造の高分子マトリクスの連続した孔内に、液
晶材料が充填された構造の複合膜を形成した後、この複
合膜上に導電基材を重ね合わせた液晶表示素子が、九州
大学の梶山千里教授らのグループにより開発された[た
とえば、Polymer Preprints,Japan Vol.37,No.8,P245
0 (1988)、CHEMISTRY LETTERS,P813-816,1989、CHEMIST
RY LETTERS,P679-682,1979 、Journal of Applied Poly
mer Science,Vol.29,3955-3964(1984) 等参照]。
【0004】上記液晶表示素子においては、無電圧時に
は、孔内の液晶分子がランダムな状態にあるため、入射
光が散乱されて、複合膜は不透明な状態になっている。
そして、複合膜を挾んだ一対の導電基材間に電圧が印加
されると、Δε>0[但し、Δεは誘電率異方性であっ
て、式:
【0005】
【数3】
【0006】で表される(なお、
【0007】
【外4】
【0008】は分子軸方向の誘電率、
【0009】
【外5】
【0010】は分子軸に対して直交方向の誘電率を示
す)]のとき、液晶分子が電場方向に配向して、入射光
が散乱されずに複合膜を通過できるようになり、複合膜
が透明な状態に転換する電気光学効果を示す。また屈折
率は、高分子の屈折率ηP と液晶の常光線屈折率ηO
ほぼ一致していれば、入射光が散乱されずに複合膜を通
過できるようになり、複合膜が透明な状態に転換する電
気光学効果を示す。
【0011】上記構成からなる液晶表示素子において
は、高分子と液晶材料とを含有する溶液を塗布、乾燥さ
せるだけで、上述した電気光学効果を有する複合膜を形
成できるため、液晶表示素子の大面積化が容易である。
しかも、高分子化合物の選択により、複合膜に可撓性を
付与できる上、表面に導電膜を形成する等して導電性を
付与した可撓性のフィルム等を導電基材として使用でき
るため、液晶表示素子への可撓性の付与が可能になると
いう利点がある。
【0012】上記複合膜の製造における特徴は、高分子
と液晶材料とを溶媒中に溶解した均一混合溶液を導電基
材上に流延塗布し、溶媒が蒸発するにしたがって高分子
と液晶材料が非相溶状態となるため相分離して3次元網
目状の構造を形成することである。要は、相分離が溶媒
蒸発により引き起こされるものである。このような複合
膜の形成方法は前述した文献によって公知である。
【0013】高分子と液晶を複合化した膜において透明
⇔白濁の電気光学効果を示すものは、他に幾つかの製造
方法が知られている。たとえばH.G.Craighead et al.,
Appl.Phys.Lett. ,40(1)22(1982) および米国特許明細
書第4,411,495号には、すでに形成された多孔
質高分子フィルムの孔中に液晶材料を充填させる方法が
記されている。この方法では、高分子と液晶材料は最初
から分離しており、相分離の過程は存在しない。
【0014】J.L.Fergasonは、特表昭58−50163
1号公報において、液晶材料をポリビニルアルコール水
溶液中にマイクロカプセル化して懸濁液とし、塗布する
方法を示している。この方法では、液晶材料とポリビニ
ルアルコールは、液晶材料がマイクロカプセル化した段
階で相分離している。溶剤である水は、単に塗布のため
の媒体に過ぎず、水の蒸発は相分離に関与していない。
【0015】また、これによって得られた膜中では、液
晶材料はカプセルで覆われた粒状である。J.W.Doane ら
は、特表昭61−502128号公報において、エポキ
シ樹脂と液晶材料の混合物を、共存する硬化剤によって
熱硬化する方法を示している。この方法では、溶剤は存
在せず、相分離はエポキシ樹脂の硬化による高分子量化
によって発生している。これによって得られた膜中で、
液晶材料は、小滴状に分散している。
【0016】郡島らは、特開昭64−62615号公報
において、光硬化性化合物と液晶材料の混合物を、光露
光により光硬化する方法を示している。この方法でも溶
剤は存在せず、相分離は光硬化性化合物の硬化による高
分子量化によって発生している。また、同著者による報
告〔Polym.Preprints ,Japan ,38(7)2154(1989) 〕に
よれば、膜中で液晶材料は粒子状に分散している。
【0017】本発明の基礎となる複合膜の製造におけ
る、前述した「溶剤蒸発による相分離」は、以上に示し
た他の方法と全く異なる独自の方法であり、梶山らが前
記した文献においてはじめて公としたものである。ま
た、膜中において3次元網目状となった高分子マトリク
スの連続した孔中に、液晶材料は、粒子状ではなく、連
続相として存在している。これも梶山らの複合膜の大き
な特徴である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】このような複合膜用の
高分子としては、透明性、液晶との屈折率一致、経済性
等を考慮して、アクリル系またはメタクリル系樹脂が使
用されていた。ところがこれらの樹脂は誘電率が低いた
め、飽和透過率を与える動作電圧が高くなってしまうと
いう問題があった。
【0019】また液晶と高分子の相分離は、その分子量
差によって誘起されるため、高分子の分子量は高い方が
望ましいが、通常のアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂
はラジカル重合で合成されるため、分子量分布が広く、
相分離に悪影響を与える低分子量成分が相当量存在する
ことが避けられないという問題もあった。さらに、上記
アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂を使用した複合膜は
耐熱性が不十分で、高温に長時間さらされると相分離構
造が損なわれるという問題もあった。
【0020】他の材料、たとえばフッ素樹脂、シリコー
ン樹脂等の使用も検討されたが、これらの材料は液晶と
の親和性が低く良好な相分離構造を得にくいため、コン
トラスト(白濁状態)が悪くなるという問題があった。
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであって、薄
膜で高いコントラストを達成でき、低電圧駆動可能で、
しかも耐熱性にすぐれた複合膜を形成し得る液晶表示用
高分子化合物と、上記複合膜を備えた液晶表示素子と、
その製造方法とを提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するため、本発明者らは液晶表示用高分子化合物の分
子構造、分子量分布等について鋭意検討を行った。そし
て、下記一般式(1) :
【0022】
【化2】
【0023】〔式中R1 は炭素数4〜10のアルキル基
または炭素数4〜10のアルケニル基を示し、a,bは
ともに0でない数を示す。〕で表される繰り返し単位を
有し、かつ下記の条件を満足する高分子化合物をマトリ
クス用高分子として使用し、溶媒蒸発による相分離によ
り複合膜を形成する際に、上記高分子化合物の−OH基
を架橋剤で架橋させるようにすればよいことを見出し
た。
【0024】
【数4】
【0025】
【数5】
【0026】〔但し
【0027】
【外6】
【0028】は重量平均分子量、
【0029】
【外7】
【0030】は数平均分子量、
【0031】
【外8】
【0032】は分子量の分散を示す。〕したがって本発
明の液晶表示用高分子化合物は、上記一般式(1) で表さ
れる繰り返し単位を有し、かつ上記の条件を満足するこ
とを特徴とする。また本発明の液晶表示素子は、請求項
1記載の液晶表示用高分子化合物を、式(1) 中の−OH
基と結合する2ないし多官能の官能基を有する架橋剤に
よって架橋した架橋物からなる、3次元網目状構造を有
する高分子マトリクスの連続した孔内に、液晶材料が充
填された構造の複合膜を、一対の導電基材で挟着したこ
とを特徴とする。
【0033】さらに本発明の液晶表示素子の製造方法
は、液晶材料と、請求項1記載の液晶表示用高分子化合
物と、式(1) 中の−OH基と結合する2ないし多官能の
官能基を有する架橋剤とを溶媒中に溶解または分散させ
た塗布液を、一対の導電基材のうち一方の表面に塗布
し、溶媒を蒸発させて高分子化合物と液晶材料とを相分
離させることで、3次元網目状構造を有する高分子マト
リクスの連続した孔内に液晶材料が充填された構造の複
合膜を形成するとともに、高分子化合物を架橋剤で架橋
して架橋物を生成することを特徴とする。
【0034】上記構成からなる本発明の液晶表示用高分
子化合物は、重合度が高くかつ分子量の分散が狭いため
相分離の妨げとなる低分子量の成分を多量に含まず、し
かも相分離時に架橋してさらに高分子量化するので、液
晶との相分離がより明確化して良好な相分離構造を形成
できる。このため、薄膜で高いコントラストを達成でき
るとともに、液晶と高分子の相互作用が低下してより低
電圧での駆動が可能となる。また形成される複合膜は、
上記液晶表示用高分子化合物の架橋物により構成される
ため、高い耐熱性を有しており、高温に長時間さらされ
ても相分離構造が損なわれるおそれがない。
【0035】以下に本発明を説明する。前記一般式(1)
で表される本発明の液晶表示用高分子化合物において、
式中のR1 に相当するアルキル基またはアルケニル基の
炭素数が4〜10に限定されるのは、炭素数が4未満の
場合、液晶との親和性が不十分になって十分な相分離構
造が得られず、コントラストが低下するからである。ま
た炭素数が10を超えると、複合膜が柔らかくなり過ぎ
て自己保形性が失われ、実用上、使用に耐えないものと
なってしまう。
【0036】炭素数4〜10のアルキル基としては、た
とえばn−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−
エチルヘキシル基、n−デシル基などがあげられる。ま
た炭素数4〜10のアルケニル基としては、たとえば1
−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−
メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペ
ンテニル基、2−メチル−1−ブテニル基などがあげら
れる。
【0037】本発明の液晶表示用高分子化合物は、一般
式(2) :
【0038】
【化3】
【0039】で表されるアクリル系単量体と、式(3) :
【0040】
【化4】
【0041】で表される2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートとを共重合させることにより製造される。一般式
(2) で表されるアクリル系単量体は2種以上を併用する
こともできる。つまり、上記式(2) 中のR1 が異なる2
種以上のアクリル系単量体を併用することができる。
【0042】一般式(2) で表されるアクリル系単量体の
具体的化合物としては、たとえば下記式(21)で表される
ブチルアクリレートや、式(22)で表される2−エチルヘ
キシルアクリレート等があげられる。
【0043】
【化5】
【0044】前記一般式(1) 中のaとbの割合、すなわ
ち一般式(2) で表されるアクリル系単量体と式(3) で表
される2−ヒドロキシエチルメタクリレートの配合比率
は、本発明では特に限定されず、a,bがともに0にな
らないように両者を配合すればよい。但し、全単量体中
に占める2−ヒドロキシエチルメタクリレートの割合が
5重量%未満では、十分な相分離構造が得られず、コン
トラストが不十分になるとともに、複合膜の耐熱性が低
下するおそれがあり、逆に2−ヒドロキシエチルメタク
リレートの割合が20重量%を超えると、複合膜が硬く
なりすぎて、実用上で望ましくない。したがって上記
a,bの比率は、全単量体中に占める2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートの割合が5〜20重量%となるよう
に設定するのが望ましい。
【0045】一般式(1) で表される本発明の液晶表示用
高分子化合物は、前記のように、重量平均分子量が30
0,000を超える高分子量のもので、かつ重量平均分
子量と数平均分子量との比で表される分子量の分散が5
未満である必要がある。重量平均分子量が300,00
0以下であったり、あるいは分子量の分散が5以上であ
ったりした場合には、液晶材料との相分離が不明確にな
って、コントラストが悪化してしまう。
【0046】なお、上記重量平均分子量は、100万を
超える範囲であるのがより好ましい。また分子量の分散
は、2未満であるのが好ましく、1.5未満であるのが
より好ましい。重量平均分子量の上限についてはとくに
限定されないが、溶媒への溶解性等を考慮すると、50
0万以下程度が好ましい。
【0047】かかる高分子の合成方法としては、ラジカ
ル重合法、溶液重合法、パール重合法等の、従来公知の
種々の重合法が採用でき、その重合条件を適宜調整する
ことにより、上記の分子量分布を有する高分子が合成さ
れる。重合には、従来公知の種々の重合開始剤、重合触
媒等を使用することができる。また重合法に応じて溶
媒、分散媒、分散安定剤、乳化剤等の種々の添加剤を使
用することもできる。
【0048】本発明の液晶表示素子は、図1に示すよう
に、複合膜Lを、一対の導電基材D,Dで挾着すること
で構成される。導電基材D,Dとしては、ガラス、プラ
スチックフィルム[たとえばポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリエーテルサルホン(PES)]等の
基材の表面に、ITO(インジウム・チン・オキサイ
ド)やSnO2 等の導電膜を蒸着法、スパッタリング法あ
るいは塗布法等で形成したものがあげられる他、通常の
液晶パネルに用いられる透明導電ガラスやフィルムも使
用できる。また、素子を反射型とする場合には、一方の
導電基材の裏面に、金属薄膜等からなる反射膜を形成す
るか、対向電極を金属薄膜で形成して反射膜を兼ねさせ
ればよい。
【0049】複合膜の膜厚は、光散乱方式の液晶表示素
子とするために、可視光の波長以上である必要がある。
ただし、あまりに厚さが大なるときは、素子の駆動電圧
が高くなりすぎるという問題があるため、実際上は10
〜30μm程度が適当である。なお、複合膜には、液晶
表示素子をカラー表示タイプにするため、従来公知の各
種二色性色素を配合することもできる。
【0050】液晶材料としては、通常の液晶表示素子に
用いられるネマティック液晶、スメクティック液晶、コ
レステリック液晶等が好適に使用される。ネマティック
液晶としては、特に限定されないが、誘電率異方性Δε
が大きいものを使用するのが、良好な特性を得る上で好
ましい。また、液晶材料はカイラル成分を含んでいても
よい。
【0051】高分子マトリクスは、前記一般式(1) で表
される本発明の液晶表示用高分子化合物を、式中の−O
H基と結合する2ないし多官能の架橋剤によって架橋し
た架橋物により構成される。架橋剤としては、液晶表示
用高分子化合物の−OH基と、室温ないし100℃前後
で反応する種々の架橋剤を使用することができ、たとえ
ば2ないし多官能のイソシアネート化合物や、同じく2
ないし多官能のエポキシ化合物が好適に使用される。
【0052】なお本発明においては、イソシアネート化
合物、エポキシ化合物以外の架橋剤を使用してもよい
が、反応によってガス等の遊離物を生成する架橋剤は、
遊離物が複合膜の膜質に影響を与えるおそれがあるので
好ましくない。但し、真空吸引等によって上記遊離物を
除去しつつ架橋できるのであれば、遊離物を生成する組
み合わせを採用しても差し支えない。また、液晶材料に
含まれる官能基(たとえばシアノ基、エステル結合、エ
ーテル結合等)によって阻害される反応を伴う架橋剤
は、架橋物の架橋構造が不完全になり、耐熱性等が低下
するおそれがあるので、やはり避けるべきである。
【0053】本発明の液晶表示用高分子化合物は、それ
自体、従来の熱可塑性樹脂と同じものであるため溶媒に
可溶である。したがって、この液晶表示用高分子化合物
を用いて液晶表示素子を製造する本発明方法によれば、
従来の熱可塑性樹脂製の高分子マトリクスを含む複合膜
を備えた液晶表示素子の作製とほぼ同じ工程により、架
橋物からなる3次元網目状の高分子マトリクスを含む、
本発明の液晶表示素子を製造できるという利点がある。
【0054】本発明方法によれば、まず、液晶材料と一
般式(1) で表される液晶表示用高分子化合物と架橋剤と
を溶媒に溶解または分散させた塗布液を、一方の導電基
材の表面に塗布する。そして溶媒を蒸発させると、液晶
表示用高分子化合物と液晶材料とが相分離して、3次元
網目状の高分子マトリクスの孔内に液晶材料が充填され
た、複合膜が得られる。また液晶表示用高分子化合物
は、相分離による複合膜の形成過程と並行して架橋剤と
架橋反応する。このため3次元網目状の高分子マトリク
スは、最終的に架橋物により構成されることになる。
【0055】なお、液晶表示用高分子化合物の架橋反応
は、塗布液中に液晶表示用高分子化合物と架橋剤とを混
合した時点で開始される。したがって、架橋反応が早期
に進行し過ぎて塗布液がゲル化し、均一な塗布が不可能
になるのを防止すべく、上記両者は、塗布液を導電基材
の表面に塗布する直前に混合されることが好ましい。た
とえば、液晶材料と液晶表示用高分子化合物とを溶媒に
溶解または分散させた塗布液と、架橋剤とを別々に用意
して、塗布直前に、両者を混合して使用することが推奨
される。
【0056】相分離後の液晶材料中に残留した架橋剤
は、高分子の架橋に寄与しないだけでなく、素子の特性
に影響を与えるので、その残留量ができるだけ少なくな
るように、塗布液の調製から複合膜形成までの各工程の
温度や時間を制御することが望ましい。上記のようにし
て形成された複合膜の上に、もう一枚の導電基材をラミ
ネートすれば、図1に示す本発明の液晶表示素子が完成
する。
【0057】上記製造方法に使用される溶媒としては、
液晶表示用高分子化合物、架橋剤および液晶材料の種類
に応じて、従来公知の各種溶媒の中から、適当な溶媒を
選択して使用することができる。なお、上記溶媒として
はできるだけ沸点が低く気化しやすいもの(蒸気圧の高
いもの)が好ましく用いられる。気化しにくい溶媒で
は、導電基材上に塗布液が塗布されてから乾燥、固化す
るまでに長時間を要するため相分離がうまく行われず、
複合膜を形成できないおそれがあるからである。
【0058】塗布液中における上記各成分の配合割合は
特に限定されず、塗布液を導電基材上に塗布する方法
や、形成される複合膜の膜厚等に応じて、適宜の割合を
選択することができるが、特に液晶表示用高分子化合物
Aと液晶材料Bとは、形成される複合膜の特性を考慮す
ると、重量比で、A/B=3/97〜80/20の割合
で塗布液中に配合されるのが好ましい。
【0059】両者の配合割合A/Bが3/97より小さ
い場合にはしっかりした高分子マトリクスを形成でき
ず、複合膜の機械的強度が不十分になるおそれがある
他、不透明な状態における白濁度が低下してコントラス
トが不十分になるおそれもある。一方、両者の配合割合
A/Bが80/20より大きい場合には、液晶材料が少
なすぎ、不透明な状態における白濁度が低下してコント
ラストが不十分になるおそれがある。なお、上記配合割
合A/Bは、5/95〜50/50の範囲内であるのが
より好ましく、20/80〜40/60の範囲内である
のがさらに好ましい。
【0060】塗布液を導電基材上に塗布する方法として
は、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート
法、ローラコート法、フローコート法等の、従来公知の
種々の方法を適用することができる。
【0061】
【実施例】以下に本発明を、実施例並びに比較例に基づ
いて説明する。液晶表示用高分子化合物の合成 表1に示す単量体合計100重量部を、1重量部のアゾ
ビスイソブチロニトリル(重合開始剤)、10重量部の
BaSO4 (分散安定剤)とともに窒素置換したベンゼン
中に入れ、攪拌しつつ60℃に加熱して8時間、粒状重
合させて平均粒径1mmの粒状の高分子化合物I〜IVを得
た。
【0062】得られた高分子化合物I〜IVにおける、ポ
リスチレン換算の重量平均分子量および分子量の分散
を、ゲルパーミェーションクロマトグラフ(GPC)法
により測定した。結果を表1に示す。なお表中単量体欄
の(21)(22)(3) はそれぞれ、前記例示の具体的化合物の
式番号を示す。また(4) は下記式で表されるエチルアク
リレートを示す。
【0063】
【化6】
【0064】
【表1】
【0065】液晶表示素子の製造 上記各高分子化合物I〜IVと、液晶材料(メルクジャパ
ン社製の品番E31LV)とを、全体の溶質濃度が15
重量%、高分子化合物と液晶材料との配合割合(重量比
A/B)が3/7となるようにジクロロメタン中に溶解
して塗布液を作製した。
【0066】つぎに、イソシアネート系架橋剤(武田薬
品工業社製の型番A−3)を、その−NCO基当量が高
分子化合物の−OH基当量と一致する量、5ccのジク
ロロメタンに溶解した溶液を上記塗布液に添加し、1時
間攪拌混合した後、透明導電フィルム(ITO−ポリエ
ーテルサルホン膜、厚さ100μm)上にバーコート法
で塗布し、100℃で30分間乾燥して厚み10μmの
複合膜を得た。
【0067】最後に、この複合膜上に、前記と同じ透明
導電フィルムを貼り合わせて実施例1(高分子化合物I
を使用)、実施例2(高分子化合物IIを使用)、比較例
1(高分子化合物III を使用)および比較例3(高分子
化合物IVを使用)の液晶表示素子を製造した。また、塗
布液にイソシアネート系架橋剤を添加しなかったこと以
外は、実施例1と同様にして、比較例2の液晶表示素子
を製造した。
【0068】そして、上記各液晶表示素子について、以
下の各試験を行って、その特性を評価した。電気光学応答性試験I 液晶表示素子を分光光度計(島津製作所製の型番UV−
160)にセットした状態で、両透明導電フィルム間に
60Hzの正弦波交流電圧を印加して、600nmの波
長の光の透過率と印加電圧との関係を測定した。
【0069】そして、無印加電圧時の透過率T
0 (%)、透過率80%の時の印加電圧V80(V)およ
びコントラストC(90を上記T0 で割った値)を求め
た。電気光学応答性試験II 上記電気光学応答性試験Iに使用した各液晶表示素子
を、100℃の温度で250時間エージングした後、同
様にして無印加電圧時の透過率T0 (%)、透過率80
%の時の印加電圧V80(V)およびコントラスト(90
を上記T0 で割った値)を求めた。
【0070】以上の結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】上記表2の結果より、液晶表示用高分子化
合物として、前記一般式(1) を満足せず、かつ分子量の
分散が5を超える高分子化合物III を使用した比較例1
の液晶表示素子はV80が高く、このことから、液晶と高
分子化合物との親和性が不十分で、十分な相分離構造が
得られていないことがわかった。また、液晶表示用高分
子化合物として、重量平均分子量が300,000以下
である高分子化合物IVを使用した比較例3の液晶表示素
子はT0 、V80ともに高くかつコントラストが不十分で
あり、このことから、液晶材料との相分離が不明確であ
ることがわかった。
【0073】さらに、高分子化合物Iを架橋させなかっ
た比較例2の液晶表示素子はT0 、V80ともに高くかつ
コントラストが不十分であり、このことから、液晶材料
との相分離が不明確であることがわかった。また上記比
較例2の液晶表示素子は、エージングにより、T0 、V
80がさらに高くなるとともにコントラストがさらに低下
し、このことから、複合膜の耐熱性が悪いことがわかっ
た。
【0074】これに対し実施例1,2の液晶表示素子は
いずれも、T0 、V80が低く、かつ十分なコントラスト
を有するとともに、エージング後もこれらの特性が殆ど
変化しなかった。このことから、実施例1,2の液晶表
示素子はいずれも、薄膜で高いコントラストを達成で
き、低電圧駆動可能で、しかも耐熱性にすぐれた複合膜
を有することが確認された。
【0075】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の液晶表示
用高分子化合物は、薄膜で高いコントラストを達成で
き、低電圧駆動可能で、しかも耐熱性にすぐれた複合膜
を形成し得るものである。本発明の液晶表示素子は、3
次元網目状の高分子マトリクスの連続した孔内に、液晶
材料が充填された構造の複合膜を有するため、孔内に充
填された液晶材料が、印加電圧に対して1つの相として
速やかに反応することができる。また複合膜を構成する
高分子マトリクスは、上記本発明の液晶表示用高分子化
合物からなるため、本発明の液晶表示素子の複合膜は、
薄膜で高いコントラストを達成でき、かつ低電圧駆動可
能である。しかも上記高分子マトリクスは、上記液晶表
示用高分子化合物の架橋物からなるため耐熱性に優れて
おり、連続して高温にさらされる場所で使用してもコン
トラストが低下するおそれがない。したがって本発明の
液晶表示素子は、高いコントラストを達成し、低電圧駆
動可能で、しかも耐熱性にすぐれたものとなるため、本
発明の液晶表示素子は、とくに自動車等の表示パネル用
の表示装置等に好適に使用することができる。
【0076】本発明の液晶表示素子の製造方法は、従来
の熱可塑性樹脂と同様に相分離が可能な本発明の液晶表
示用高分子化合物を原料として使用するので、従来とほ
ぼ同じ工程で、本発明の液晶表示素子を製造することが
できる。しかも、本発明により製造される液晶表示素子
は、高分子マトリクスと液晶とがより明確に相分離する
ので、上記本発明の液晶表示用高分子化合物の効果と相
俟って、さらに低電圧駆動化、高コントラスト化が可能
となり、表示素子として実用上のメリットが極めて大き
いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の層構成を示す概略断面
図である。
【符号の説明】
D 導電基材 L 複合膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) : 【化1】 〔式中R1 は炭素数4〜10のアルキル基または炭素数
    4〜10のアルケニル基を示し、a,bはともに0でな
    い数を示す。〕で表される繰り返し単位を有し、かつ下
    記の条件を満足することを特徴とする液晶表示用高分子
    化合物。 【数1】 【数2】 〔但し 【外1】 は重量平均分子量、 【外2】 は数平均分子量、 【外3】 は分子量の分散を示す。〕
  2. 【請求項2】請求項1記載の液晶表示用高分子化合物
    を、式(1) 中の−OH基と結合する2ないし多官能の官
    能基を有する架橋剤によって架橋した架橋物からなる、
    3次元網目状構造を有する高分子マトリクスの連続した
    孔内に、液晶材料が充填された構造の複合膜を、一対の
    導電基材で挟着したことを特徴とする液晶表示素子。
  3. 【請求項3】液晶材料と、請求項1記載の液晶表示用高
    分子化合物と、式(1) 中の−OH基と結合する2ないし
    多官能の官能基を有する架橋剤とを溶媒中に溶解または
    分散させた塗布液を、一対の導電基材のうち一方の表面
    に塗布し、溶媒を蒸発させて高分子化合物と液晶材料と
    を相分離させることで、3次元網目状構造を有する高分
    子マトリクスの連続した孔内に液晶材料が充填された構
    造の複合膜を形成するとともに、高分子化合物を架橋剤
    で架橋して架橋物を生成することを特徴とする液晶表示
    素子の製造方法。
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