JPH06226866A - 液晶樹脂複合体の成形方法およびその成形用素材 - Google Patents

液晶樹脂複合体の成形方法およびその成形用素材

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JPH06226866A
JPH06226866A JP5013448A JP1344893A JPH06226866A JP H06226866 A JPH06226866 A JP H06226866A JP 5013448 A JP5013448 A JP 5013448A JP 1344893 A JP1344893 A JP 1344893A JP H06226866 A JPH06226866 A JP H06226866A
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JP
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liquid crystal
resin
molding material
molding
thermoplastic
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JP5013448A
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English (en)
Inventor
Sukeyuki Matsuda
祐之 松田
Takashi Tomita
敬 富田
Masakatsu Osugi
政克 大杉
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 相溶性の問題の発生およびリサイクル性の低
下を抑制しつつ、可塑化溶融工程における剪断力の作用
による液晶繊維の破断を有効に防止することができる液
晶樹脂複合体の成形方法およびその成形用素材を提供す
る。 【構成】 熱可塑性液晶樹脂が該液晶樹脂の液晶転移温
度よりも低い最低成形可能温度を有する熱可塑性マトリ
ックス樹脂中において繊維状態で存在してなる第1の成
形用素材10と、上記マトリックス樹脂と同一の樹脂で
なり、上記第1の成形用素材よりも少なくとも径方向寸
法が大きい第2の成形用素材12とを、混合状態にて、
回転スクリューを備えた可塑化溶融装置でドライブレン
ドすることにより、サイズが大きい第2の成形用素材を
先に溶融させ、この溶融樹脂で包まれた状態で第1の成
形用素材のマトリックス樹脂のみを溶融させて成形する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶樹脂複合体の成
形方法およびその成形用素材、特に、回転スクリューを
備えた可塑化溶融装置で、成形用素材のマトリックス樹
脂のみをを可塑化溶融させて成形を行うようにした液晶
樹脂複合体の成形方法およびその成形用素材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶樹脂複合体の成形方法とし
て、熱可塑性液晶樹脂と該液晶樹脂の液晶転移温度より
も低い最低成形可能温度を有する熱可塑性マトリックス
樹脂とを含有し、該マトリックス樹脂中において、所定
長さに長さを揃えて切断された上記液晶樹脂が繊維状態
で存在してなる成形用素材(ペレット)を、回転スクリュ
ーを備えた可塑化溶融装置で混錬し、上記マトリックス
樹脂のみを溶融させ、例えば射出成形機等によって成形
する方法は公知である(例えば、特開平1−30174
9号公報参照)。かかる成形方法では、上記ペレットが
スクリューの回転に伴う剪断力の作用によって内部発熱
し、主としてこの熱により、ペレットの温度がマトリッ
クス樹脂の最低成形可能以上でかつ上記液晶樹脂の液晶
転移温度未満の温度範囲にまで昇温し、マトリックス樹
脂のみが溶融状態となり、液晶樹脂の繊維化状態を維持
したままで成形を行うことができる。
【0003】ところが、上記従来の成形方法では、スク
リューの回転に伴う剪断力の作用により、ペレット内部
の液晶樹脂が切断され、その長さが混錬前に揃えた所定
長さに保たれなくなるので、成形された樹脂成形品の力
学的特性(つまり強度や剛性)に悪影響を及ぼすという難
点があった。
【0004】この問題に関して、繊維強化材として熱可
塑性液晶樹脂を用いることを特に意識したものではない
が、例えば特開平1−286824号公報では、繊維を
含有してなる第1の熱可塑性樹脂のペレットと、該樹脂
より流動開始温度あるいは溶融温度の低い第2の熱可塑
性樹脂のペレットとを、混合状態にて、回転スクリュー
を備えた可塑化溶融装置でドライブレンドすることによ
り、上記第1の熱可塑性樹脂が可塑化溶融する前に上記
第2の熱可塑性樹脂が可塑化溶融されるようにした繊維
強化熱可塑性樹脂の製造方法が開示されている。
【0005】この方法によれば、繊維を含有した第1の
熱可塑性樹脂は、該樹脂が可塑化溶融する前に、既に可
塑化溶融している上記第2の熱可塑性樹脂に包含された
状態となり、第1の熱可塑性樹脂に含有された繊維に対
して剪断力が直接的に作用することが防止される。すな
わち、可塑化溶融工程における繊維の破断を極力防止
し、力学的特性を向上させることができる。尚、この場
合には、上記第1の熱可塑性樹脂のペレットは、主とし
て、先に溶融した第2の熱可塑性樹脂のから伝えられる
熱によって可塑化溶融される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法は、あくまで異なる材質の樹脂どうしを混錬す
るものであるので、両者の組み合わせによっては、相溶
性の問題が生じ良好なアロイ化状態を得ることが難しい
場合がある。また、例えば成形品のリサイクル性を高め
ることなどを目的として、繊維強化材に熱可塑性液晶樹
脂を適用することを考えた場合、上記従来の方法で製造
された樹脂材料では、十分なリサイクル性を得ることは
困難である。すなわち、リサイクル毎に、上記第1の樹
脂よりも流動開始温度あるいは溶融温度が低い(つまり
該第1の樹脂とは材質が異なる)第2の樹脂を加えるこ
とになるので、リサイクル毎に樹脂材料の粘度や溶融温
度等の物性が変化し、成形時に良好な繊維の配向性を得
るための押出条件の設定範囲がずれるなど、リサイクル
毎に安定した調製条件を得ることが難しいという問題が
あった。
【0007】ところで、最低成形可能温度が等しい樹脂
どうし、例えば同一の樹脂をマトリックス樹脂とし、少
なくとも径方向寸法が異なる大小2種類のサイズのペレ
ットを、混合状態にて、回転スクリューを備えた可塑化
溶融装置でドライブレンドし、例えば射出成形機により
射出する場合において、スクリューの回転数が低くかつ
スクリュー背圧が低い、あるいは射出速度が低いなど、
樹脂材料の溶融条件が良くない場合には、サイズの大き
いペレットは可塑化溶融されても、サイズの小さいペレ
ットは十分に可塑化溶融されず、原形に近い状態で射出
されて来ることが、従来、経験されている。これは、上
記のような可塑化溶融条件では、サイズの大きいペレッ
トの方が、小さいペレットに比べて、スクリューの回転
に伴う剪断力の作用を受け易く、従って、剪断による内
部発熱が生じ易いことによるものであると考えられる。
【0008】この発明は、上記従来の問題に鑑みてなさ
れたもので、相溶性の問題の発生およびリサイクル性の
低下を抑制しつつ、可塑化溶融工程における剪断力の作
用による液晶繊維の破断を有効に防止することができる
液晶樹脂複合体の成形方法およびその成形用素材を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、本願の第1の
発明に係る液晶樹脂複合体の成形方法は、熱可塑性液晶
樹脂が該液晶樹脂の液晶転移温度よりも低い最低成形可
能温度を有する熱可塑性マトリックス樹脂中において繊
維状態で存在してなる第1の成形用素材と、マトリック
ス樹脂として上記熱可塑性マトリックス樹脂と同一の樹
脂を含有し、上記第1の成形用素材よりも少なくとも径
方向寸法が大きい第2の成形用素材とを、混合状態に
て、回転スクリューを備えた可塑化溶融装置でドライブ
レンドし、上記両成形用素材のマトリックス樹脂のみを
溶融させて成形することを特徴としたものである。
【0010】また、本願の第2の発明に係る液晶樹脂複
合体の成形方法は、熱可塑性液晶樹脂と該液晶樹脂の液
晶転移温度よりも低い最低成形可能温度を有する熱可塑
性マトリックス樹脂とを含有し、上記熱可塑性液晶樹脂
が断面の略中央部分に繊維状態で偏在してなる成形用素
材を調製し、この成形用素材を、回転スクリューを備え
た可塑化溶融装置で混錬し、上記成形用素材のマトリッ
クス樹脂のみを溶融させて成形することを特徴としたも
のである。
【0011】更に、本願の第3の発明に係る液晶樹脂複
合体の成形用素材は、熱可塑性液晶樹脂と該液晶樹脂の
液晶転移温度よりも低い最低成形可能温度を有する熱可
塑性マトリックス樹脂とを含有するとともに、回転スク
リューを備えた可塑化溶融装置で混錬し上記マトリック
ス樹脂のみを溶融させて成形する成形方法に用いる液晶
樹脂複合体の成形用素材であって、上記熱可塑性液晶樹
脂が、上記成形用素材の断面の略中央部分に繊維状態で
偏在してなることを特徴としたものである。
【0012】
【発明の効果】本願の第1の発明によれば、上記第1の
成形用素材と第2の成形用素材とを上記可塑化溶融装置
でドライブレンドするようにしたので、スクリューの回
転に伴って両成形用素材のマトリックス樹脂が可塑化溶
融する際には、繊維状態の熱可塑性液晶樹脂(液晶繊維)
が配合された第1の成形用素材が溶融する前に、該成形
用素材よりも少なくとも径方向寸法が大きい第2の成形
用素材が可塑化溶融される。そして、上記第1の成形用
素材はこの溶融樹脂で周囲が包まれ、主として、この先
に溶融した樹脂から伝えられえる熱によって可塑化溶融
されるようになる。すなわち、第1の成形用素材の液晶
繊維に過大な剪断力が直接に作用することがなくなり、
可塑化溶融工程における液晶繊維の破断を有効に防止で
きる。この場合において、上記第2の成形用素材のマト
リックス樹脂は第1の成形用素材のマトリックス樹脂と
同一の樹脂を含有したものであるので、一般的に材質が
異なる樹脂どうしを混錬する場合に比べて、両者の相溶
性の問題が生じるおそれは少なくなる。また、樹脂材料
の粘度や溶融温度等の物性の変化も少なくなり、リサイ
クル性の低下が抑制される。特に、上記第2の成形用素
材のマトリックス樹脂を、第1の成形用素材のマトリッ
クス樹脂と同一の樹脂のみを含有するものとした場合に
は、上記両成形用素材をドライブレンドしても相溶性の
問題を招くことはなく、また、リサイクル性が低下する
こともなくなる。
【0013】また、本願の第2の発明によれば、繊維状
態の熱可塑性液晶樹脂(液晶繊維)が断面の略中央部分に
偏在した成形用素材を上記可塑化溶融装置で混錬するよ
うにしたので、スクリューの回転に伴って上記成形用素
材のマトリックス樹脂が可塑化溶融する際には、液晶繊
維が偏在した中央部分が溶融する前に、該中央部分を取
り巻く外周部分が可塑化溶融し、中央部分の液晶繊維に
過大な剪断力が直接に作用することがなくなり、可塑化
溶融工程における液晶繊維の破断を有効に防止できる。
この場合において、上記成形用素材の上記中央部分を囲
む外周部分のマトリックス樹脂を、上記中央部分のマト
リックス樹脂と同一の樹脂を含有したものとすることに
より、一般的に材質が異なる樹脂どうしを混錬する場合
に比べて、両者の相溶性の問題が生じるおそれは少なく
なる。また、樹脂材料の粘度や溶融温度等の物性の変化
も少なくなり、リサイクル性の低下が抑制される。特
に、上記成形用素材の上記外周部分のマトリックス樹脂
を、上記中央部分のマトリックス樹脂と同一の樹脂のみ
を含有するものとした場合には、上記両成形用素材をド
ライブレンドしても相溶性の問題を招くことはなく、ま
た、リサイクル性が低下することもなくなる。
【0014】更に、本願の第3の発明によれば、上記成
形用素材を、その断面の略中央部分に液晶繊維が偏在し
た構造としたので、この成形用素材を上記可塑化溶融装
置で混錬した場合、スクリューの回転に伴って上記成形
用素材のマトリックス樹脂が可塑化溶融する際には、液
晶繊維が偏在した中央部分が溶融する前に、該中央部分
を取り巻く外周部分が可塑化溶融し、中央部分の液晶繊
維に過大な剪断力が直接に作用することがなくなり、可
塑化溶融工程における液晶繊維の破断を有効に防止でき
る。この場合において、上記成形用素材の上記中央部分
を囲む外周部分のマトリックス樹脂を、上記中央部分の
マトリックス樹脂と同一の樹脂を含有したものとするこ
とにより、一般的に材質が異なる樹脂どうしを混錬する
場合に比べて、両者の相溶性の問題が生じるおそれは少
なくなる。また、樹脂材料の粘度や溶融温度等の物性の
変化も少なくなり、リサイクル性の低下が抑制される。
特に、上記成形用素材の上記外周部分のマトリックス樹
脂を、上記中央部分のマトリックス樹脂と同一の樹脂の
みを含有するものとした場合には、上記両成形用素材を
ドライブレンドしても相溶性の問題を招くことはなく、
また、リサイクル性が低下することもなくなる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例について添付図面を
参照しながら説明する。まず、本発明の第1実施例につ
いて説明する。本実施例では、本願の請求項1に係る第
1の成形用素材を調製するに際して、熱可塑性マトリッ
クス樹脂および熱可塑性液晶樹脂として、それぞれ以下
のものを用いた。 熱可塑性マトリックス樹脂 ・材質名 : ポリスチレン樹脂 ・商品名 : ダイヤレックス HF−77 (三菱化成ポリ
テックス(株)製) ・最低成形可能温度 : 170℃ 熱可塑性液晶樹脂 ・材質名 : 芳香族ポリエステル樹脂 ・商品名 : ベクトラA950 (ポリプラスチックス社
製) ・液晶転移温度 : 280℃
【0016】上記マトリックス樹脂と液晶樹脂とを表1
の"実施例"の欄に示す配合比(重量部で50:50)で混
合し、これを2軸押出機で押し出し、更に延伸機で延伸
して直径が比較的小さい小径ペレットを調製した。尚、
上記表1において、アルファベット文字Mはマトリック
ス樹脂を、またLCPは液晶樹脂をそれぞれ表してい
る。上記小径ペレットの調製に用いた装置および調製条
件等を以下に示す。 小径ペレットの調製用装置および調製条件 ・2軸押出機 : 型式 ST−30−S2−36L プラスチック工学研究所社製, スクリュー径30mm ・延伸機 : 自社製 ・押出条件 : 樹脂温度=290℃, スクリュー回転数
=75rpm,剪断速度=1700/sec. 上記の条件で直径が0.5mmのストランド形態の液晶樹
脂複合体を成形し、これを長さ3mm毎に切断して小径ペ
レットを得た。
【0017】
【表1】
【0018】また、本願の請求項1に係る第2の成形用
素材として、上記小径ペレットのマトリックス樹脂と同
一の熱可塑性樹脂を用い、より好ましくはこの樹脂のみ
を含有し、上記小径ペレットよりもサイズ(少なくとも
径方向寸法)の大きい大径ペレットを調製した。この大
径ペレットは、その断面形状を長軸が2.8mmで短軸が
1.9mmの楕円形とし、長さを3.9mmとした。
【0019】更に、比較例の一つとして、上記マトリッ
クス樹脂と液晶樹脂とを表1の"比較例1"の欄に示す配
合比(重量部で70:30)で混合し、これを上記本発明
実施例に係る小径ペレット(本発明実施例用の小径ペレ
ット)の場合と同様の調製用装置および調製条件(上記
の装置および条件参照)で調製して、本発明実施例用の
ものと同一サイズに設定した比較例用の小径ペレットを
用意した。
【0020】以上のような大小各ペレットを成形用素材
とし、後で詳しく説明するように、本発明の実施例と比
較例(比較例1および比較例2)とについて、それぞれ所
定の混合割合であるいは単独で、回転スクリューを備え
た可塑化溶融装置に投入してドライブレンドすることに
より、各ペレットのマトリックス樹脂のみを溶融させて
所定のテストピースを成形した。
【0021】上記可塑化溶融装置の全体構成の概略を図
1に示す。この図に示すように、本実施例に係る可塑化
溶融装置1は、円筒状の本体部2と、該本体部2の先端
に固定されたノズルヘッド3と、上記本体部2内に収納
された回転スクリュー5と、該スクリュー5を駆動する
シリンダ装置4(射出シリンダ)とを主要部として構成さ
れ、上記本体部2の側面には、本体部2内に成形用素材
を投入するためのホッパ6が取り付けられている。
【0022】熱可塑性液晶樹脂が該液晶樹脂の液晶転移
温度よりも低い最低成形可能温度を有する熱可塑性マト
リックス樹脂中において繊維状態で存在してなる成形用
素材を上記ホッパ6から本体部2の内部に投入すると、
この投入された成形用素材は、スクリュー5の回転に伴
う剪断力の作用によって内部発熱し、主としてこの熱に
より、成形用素材の温度がマトリックス樹脂の最低成形
可能以上でかつ上記液晶樹脂の液晶転移温度未満の温度
範囲にまで昇温し、マトリックス樹脂のみが溶融状態と
なり、液晶樹脂の繊維化状態を維持したままで成形を行
うことができる。尚、具体的には図示しなかったが、上
記本体部2の外周側には、主として本体部2内で流動化
した樹脂材料を保温するために外部ヒータが配設されて
いる。尚、この外部ヒータを本体部2の側壁内に埋設す
るようにしても良い。
【0023】上記ノズルヘッド3の先端側にはテストピ
ース成形用の金型装置9が装着されており、ノズル孔3
aから射出された溶融樹脂は、金型装置9のランナ部9a
を通って成形空間(不図示)内に充填され、所定のテスト
ピースが成形されるようになっている。本実施例では、
この射出成形工程における射出条件として、樹脂温度を
200℃、射出圧を1000 kg/cm2に設定した。
【0024】尚、図1に示されたように、成形用素材と
して液晶繊維を含有した小径ペレット10とマトリック
ス樹脂のみでなる大径ペレット12とを用い、両者を混
合状態にて、上記可塑化溶融装置1でドライブレンドし
た場合には、液晶繊維が配合された小径ペレット10が
溶融する前に、これよりもサイズが大きい大径ペレット
12が可塑化溶融することが従来の経験から知られてお
り、上記小径ペレット10は、既に溶融している大径ペ
レット12を構成するマトリックス樹脂によって周囲が
包まれ、主として、この先に溶融したマトリックス樹脂
から伝えられる熱によって可塑化溶融される。
【0025】次に、上記本発明実施例用の小径ペレット
と大径ペレットとを所定の割合で混合してドライブレン
ドした本発明実施例と、比較例用の小径ペレットのみを
混錬した比較例1および上記実施例用の小径ペレットの
みを混錬した比較例2について、成形品(テストピース)
の機械的強度を評価し、また、それぞれの成形品に含有
された液晶樹脂の平均繊維長を測定・比較するテストを
行った。表1に示すように、本発明実施例では、実施例
用の小径ペレット100重量部に対して大径ペレットを
66.7重量部の割合で混ぜ合わせ、全体として液晶樹
脂の配合比が30重量%となるようにした。また、比較
例1では、上記比較例用の小径ペレットのみを混錬した
ので液晶樹脂の配合比は30重量%となり、比較例2で
は、実施例用の小径ペレットのみを混錬したので液晶樹
脂の配合比は50重量%となる。
【0026】また、成形品の機械的強度は、引張強さ,
曲げ強さおよびノッチ付きアイゾット衝撃値について、
それぞれ試験を行って評価した。これらの試験は、それ
ぞれ以下の規格に準拠した試験方法によって実施した。 ・引張強さ : ASTM D 638 ・曲げ強さ : ASTM D 790 ・アイゾット衝撃値 : JIS K 7110
【0027】更に、各成形品に含有された液晶繊維の平
均繊維長は、以下のようにして求めた。成形品のマトリ
ックス樹脂(ポリスチレン樹脂)をトルエンで溶解し、成
形品中の繊維状液晶樹脂を抽出してスライドガラス上に
広げる。これを光学顕微鏡で観察し、その画像を画像処
理装置((株)東芝製, 商品名:TOSPIX)を用いて画
像処理し、各液晶繊維の繊維長Lを測定した。n 本の繊
維長データから、次式によって、所謂、体積平均繊維長
Lmを計算した。 Lm=ΣL2/ΣL
【0028】テスト結果は、上記表1に示す通りであ
り、大小のペレットを混ぜ合わせてドライブレンドした
本発明実施例では、液晶樹脂の配合比が同一である比較
例1および液晶樹脂の配合比が高い比較例2に比べて、
平均繊維長がかなり長く、可塑化溶融工程における液晶
繊維の破断が生じにくいことが分かる。そして、これに
対応して、本発明実施例では、引張強さおよび曲げ強さ
について両比較例よりもかなり高い値が得られた。ま
た、アイゾット衝撃値につても比較例2とほぼ同等の値
が得られた。
【0029】以上、説明したように、本実施例によれ
ば、上記小径ペレット10,…,10と大径ペレット1
2,…,12とを上記可塑化溶融装置1でドライブレンド
するようにしたので、スクリュー5の回転に伴って両ペ
レット10,12のマトリックス樹脂が可塑化溶融する
際には、繊維状態の熱可塑性液晶樹脂(液晶繊維)が配合
された小径ペレット10が溶融する前に、該小径ペレッ
ト10よりもサイズ(少なくとも径方向寸法)が大きい大
径ペレット12が可塑化溶融される。そして、上記小径
ペレット10はこの溶融樹脂で周囲が包まれ、主とし
て、この先に溶融した樹脂から伝えられえる熱によって
可塑化溶融されるようになる。すなわち、小径ペレット
10の液晶繊維に過大な剪断力が直接に作用することが
なくなり、可塑化溶融工程における液晶繊維の破断を有
効に防止できる。この場合において、上記大径ペレット
12のマトリックス樹脂は小径ペレット10のマトリッ
クス樹脂と同一の樹脂のみを含有したものであるので、
両ペレット1012をドライブレンドしても相溶性の問
題を招くことはなく、また、リサイクル性が低下するこ
ともない。
【0030】尚、上記大径ペレット12のマトリックス
樹脂は小径ペレット10のマトリックス樹脂とが全く同
一のものでなくとも、同一のマトリックス樹脂を含有し
たものである場合には、一般的に材質が異なる樹脂どう
しを混錬する場合に比べて、両者の相溶性の問題が生じ
るおそれは少なくなる。また、樹脂材料の粘度や溶融温
度等の物性の変化も少なくなり、リサイクル性の低下が
抑制されるという効果を奏することができる。
【0031】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。図2は、本願の請求項2または請求項3に係る成形
用素材を調製するための押出装置の全体構成の概略を模
式的に表す縦断面説明図であるが、この図に示すよう
に、本実施例に係る押出装置20は、略平行に配設され
た第1および第2の押出機21および31を組み合わせ
て構成されている。これら各押出機21,31は、それ
ぞれ、中空円筒状の本体部22,32の内部に回転スク
リュー23,33を収納してなり、第2押出機31の押
出ノズル34(第2押出ノズル)は、第1押出機21の押
出ノズル24(第1押出ノズル)よりもノズル径が小さく
設定され、本体部32の先端側から略L字状に曲折して
延長された上で、第1押出機31の押出ノズル24と長
手方向の中心軸が略一致するように配設されている。
【0032】上記第2押出機31のホッパ36から、所
定長さに揃えられた繊維状の熱可塑性液晶樹脂42と、
該液晶樹脂42の液晶転移温度よりも低い最低成形可能
温度を有する熱可塑性マトリックス樹脂のみを含有する
ペレット41とを投入することにより、第2押出ノズル
34から、液晶繊維が配向したストランド状の液晶樹脂
複合体が押し出される。一方、上記第1押出機21のホ
ッパ26から、第2押出機31に投入したものとと同じ
ペレット41を投入することにより、第2押出機31で
押し出された上記ストランド状の液晶樹脂複合体の外周
には、熱可塑性マトリックス樹脂のみでなる被覆層が同
軸状に形成される。その結果、図3からよく分かるよう
に、熱可塑性液晶樹脂42'が断面の略中央部分に繊維
状態で偏在し、その外周側がマトリックス樹脂51で覆
われてなるストランド状の液晶樹脂複合体50が押し出
されるようになっている。
【0033】この液晶樹脂複合体50を所定長さ毎に切
断して得られたペレットを、回転スクリューを備えた可
塑化溶融装置で混錬した場合、繊維状の熱可塑性液晶樹
脂42'(液晶繊維)が偏在した中央部分が溶融する前
に、該中央部分を取り巻く外周部分のマトリックス樹脂
51が可塑化溶融し、中央部分の液晶繊維42'に過大
な剪断力が直接に作用することがなくなり、可塑化溶融
工程における液晶繊維42'の破断を有効に防止でき
る。この場合において、上記ペレットの外周部分および
中央部分について、そのマトリックス樹脂は同一の樹脂
のみで構成されているので、相溶性の問題を招くことは
なく、また、リサイクル性が低下することもない。
【0034】尚、第1押出機21と第2押出機31にそ
れぞれ投入される樹脂ペレットが全く同一樹脂でなるも
のでなくとも、同一のマトリックス樹脂を含有したもの
である場合には、一般的に材質が異なる樹脂どうしを混
錬する場合に比べて、両者の相溶性の問題が生じるおそ
れは少なくなる。また、樹脂材料の粘度や溶融温度等の
物性の変化も少なくなり、リサイクル性の低下が抑制さ
れるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る可塑化溶融装置の
全体構成を概略的に示す縦断面説明図である。
【図2】 本発明の第2実施例に係る押出装置の全体構
成の概略を模式的に示す縦断面説明図である。
【図3】 図2のA−A方向に沿った成形用素材の断面
説明図である。
【符号の説明】
1…可塑化溶融装置 5…回転スクリュー 10…小径ペレット(第1の成形用素材) 12…大径ペレット(第2の成形用素材) 42,42'…熱可塑性液晶樹脂 50…液晶樹脂複合体(成形用素材) 51…熱可塑性マトリックス樹脂

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性液晶樹脂が該液晶樹脂の液晶転
    移温度よりも低い最低成形可能温度を有する熱可塑性マ
    トリックス樹脂中において繊維状態で存在してなる第1
    の成形用素材と、マトリックス樹脂として上記熱可塑性
    マトリックス樹脂と同一の樹脂を含有し、上記第1の成
    形用素材よりも少なくとも径方向寸法が大きい第2の成
    形用素材とを、混合状態にて、回転スクリューを備えた
    可塑化溶融装置でドライブレンドし、上記両成形用素材
    のマトリックス樹脂のみを溶融させて成形することを特
    徴とする液晶樹脂複合体の成形方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性液晶樹脂と該液晶樹脂の液晶転
    移温度よりも低い最低成形可能温度を有する熱可塑性マ
    トリックス樹脂とを含有し、上記熱可塑性液晶樹脂が断
    面の略中央部分に繊維状態で偏在してなる成形用素材を
    調製し、この成形用素材を、回転スクリューを備えた可
    塑化溶融装置で混錬し、上記成形用素材のマトリックス
    樹脂のみを溶融させて成形することを特徴とする液晶樹
    脂複合体の成形方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性液晶樹脂と該液晶樹脂の液晶転
    移温度よりも低い最低成形可能温度を有する熱可塑性マ
    トリックス樹脂とを含有するとともに、回転スクリュー
    を備えた可塑化溶融装置で混錬し上記マトリックス樹脂
    のみを溶融させて成形する成形方法に用いる液晶樹脂複
    合体の成形用素材であって、 上記熱可塑性液晶樹脂が、上記成形用素材の断面の略中
    央部分に繊維状態で偏在してなることを特徴とする液晶
    樹脂複合体の成形用素材。
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Cited By (3)

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JP2000158549A (ja) * 1998-11-27 2000-06-13 Toyama Prefecture 単一の素材で構成されるfrpとその製造方法
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