JP3332258B2 - 液晶樹脂複合体の成形用素材および成形方法 - Google Patents

液晶樹脂複合体の成形用素材および成形方法

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JP3332258B2 JP05561493A JP5561493A JP3332258B2 JP 3332258 B2 JP3332258 B2 JP 3332258B2 JP 05561493 A JP05561493 A JP 05561493A JP 5561493 A JP5561493 A JP 5561493A JP 3332258 B2 JP3332258 B2 JP 3332258B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶樹脂複合体の成
形用素材および成形方法、特に、熱可塑性液晶樹脂がマ
トリックス樹脂中において繊維状態で分散されてなる液
晶樹脂複合体の成形用素材および成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶樹脂複合体の成形用素材とし
て、熱可塑性液晶樹脂と該液晶樹脂の液晶転移温度より
も低い最低成形可能温度を有する熱可塑性マトリックス
樹脂とを含有し、該マトリックス樹脂中において、例え
ば所定長さに長さを揃えられた上記液晶樹脂が繊維状態
で存在してなるものは一般に良く知られている。また、
かかる成形用素材(ペレット)を用いた成形方法として、
例えば、特開平1−301749号公報に示されるよう
に、上記ペレットを例えば回転スクリュー式等の可塑化
溶融装置で混錬し、上記マトリックス樹脂のみを溶融さ
せ、例えば射出成形機等によって成形する方法は公知で
ある。この成形方法では、上記ペレットがスクリューの
回転に伴う剪断力の作用によって内部発熱し、主として
この熱により、ペレットの温度がマトリックス樹脂の最
低成形可能以上でかつ上記液晶樹脂の液晶転移温度未満
の温度範囲にまで昇温し、マトリックス樹脂のみが溶融
状態となり、液晶樹脂の繊維化状態を維持したままで成
形を行うことができる。
【0003】ところが、熱可塑性液晶樹脂は、一定以上
の力学的特性を得るためには、所定以上の延伸比で延伸
する必要がある関係上、ガラス繊維やカーボン繊維など
他の繊維強化材に比べて、所定の物性を備えた繊維化状
態とした場合に線径の大きいものを得ることが難しく、
従って、成形過程において繊維の破断が生じ易いという
問題がある。このため、例えば上記成形方法を採用した
場合、スクリューの回転に伴う剪断力の作用により、ペ
レット内部の液晶樹脂が切断され、その長さが混錬前に
揃えた所定長さに保たれなくなるので、成形された樹脂
成形品の力学的特性(つまり強度や剛性)に悪影響を及ぼ
すという難点があった。また、プレス成形法など他の成
形方法を採用した場合でも、同様に、成形過程における
繊維の破断の問題がある。
【0004】この問題に関して、繊維強化材として熱可
塑性液晶樹脂を用いることを特に意識したものではない
が、可塑化溶融工程における繊維の破断を抑制するもの
として、例えば特開平1−286824号公報では、繊
維を含有してなる第1の熱可塑性樹脂のペレットと、該
樹脂より流動開始温度あるいは溶融温度の低い第2の熱
可塑性樹脂のペレットとを、混合状態にて、回転スクリ
ューを備えた可塑化溶融装置でドライブレンドすること
により、上記第1の熱可塑性樹脂が可塑化溶融する前に
上記第2の熱可塑性樹脂が可塑化溶融されるようにした
繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法が開示されている。こ
の方法によれば、繊維を含有した第1の熱可塑性樹脂
は、該樹脂が可塑化溶融する前に、既に可塑化溶融して
いる上記第2の熱可塑性樹脂に包含された状態となり、
第1の熱可塑性樹脂に含有された繊維に対して剪断力が
直接的に作用することが防止され、可塑化溶融工程にお
ける繊維の破断がある程度抑制される。尚、この場合に
は、上記第1の熱可塑性樹脂のペレットは、主として、
先に溶融した第2の熱可塑性樹脂のから伝えられる熱に
よって可塑化溶融される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、熱可
塑性液晶樹脂は強化繊維材とした場合に線径の大きいも
のを得ることが難しいので、つまり、繊維が細くなって
しまうので、成形過程において繊維の破断が生じ易くな
る。従って、この液晶繊維自体を太くできなくとも、こ
の液晶繊維をある程度束ねて集合させ、この集合体を一
つの単位として外力(例えば、成形工程における剪断力)
を担うようにすることができれば、液晶繊維の破断を防
止する上で大きな効果をもたらすことが考えられる。
【0006】ところで、本願出願人は、最低成形可能温
度(結晶性のものにあっては融点)が異なる2種類の熱可
塑性マトリックス樹脂と熱可塑性液晶樹脂とを、3成分
ともに溶融状態となる温度にて押出成形した場合、各成
分の配合比等によっては、最低成形可能温度が高い方の
マトリックス樹脂中に液晶樹脂が繊維状態で分散して一
種の複合体(つまり、全体としての複合体の中に形成さ
れたより小さい単位のサブ複合体)を構成し、このサブ
複合体が、最低成形可能温度が低い方のマトリックス樹
脂中に分散したミクロ構造のものが得られることを見出
だした。このようなミクロ構造を有する3成分系の液晶
樹脂複合体の断面構造をイメージ化して模式的に表した
説明図を図1に示す。最低成形可能温度が高い方の第2
のマトリックス樹脂M2中に液晶樹脂Lが繊維状態で分
散してなるサブ複合体Sが、最低成形可能温度が低い方
の第1のマトリックス樹脂M1中に分散して、成形用素
材としての液晶樹脂複合体Pが構成されている。
【0007】この発明は、上記のような3成分系におい
て液晶繊維が一方のマトリックス樹脂とサブ複合体を形
成するとともに、このサブ複合体が他のマトリックス樹
脂中に分散したミクロ構造が得られることに着目してな
されたもので、成形温度で溶融しないマトリックス樹脂
と液晶繊維とで上記サブ複合体を形成することにより、
成形工程における液晶繊維の破断を有効に防止すること
ができる液晶樹脂複合体の成形用素材および成形方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、本願の第1の
発明に係る液晶樹脂複合体の成形用素材は、熱可塑性液
晶樹脂と、該液晶樹脂の液晶転移温度よりも低い最低成
形可能温度を有する第1の熱可塑性マトリックス樹脂
と、該第1のマトリックス樹脂よりも最低成形可能温度
が高い第2の熱可塑性マトリックス樹脂とを含有し、上
記液晶樹脂が上記第2のマトリックス樹脂中において繊
維状態で分散され、かつ、この液晶樹脂と第2のマトリ
ックス樹脂とで成るサブ複合体が、上記第1のマトリッ
クス樹脂中に分散して成ることを特徴としたものであ
る。
【0009】また、本願の第2の発明は、上記第1の発
明に係る液晶樹脂複合体の成形用素材において、上記第
2の熱可塑性マトリックス樹脂はポリアミド樹脂である
ことを特徴としたものである。このポリアミド(PA)樹
脂としては、例えば、ナイロン6樹脂(PA6),ナイロ
ン66樹脂(PA66),ナイロン46樹脂(PA46),芳
香族PAなどを適用することができる。この場合、第1
の熱可塑性マトリックス樹脂としては、ポリアミド樹脂
以外の熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂,ポリ
エチレン樹脂,ポリスチレン樹脂,変性ポリフェニレンエ
ーテル樹脂,ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共
重合体)樹脂などを適用することができる。
【0010】更に、本願の第3の発明は、上記第2の発
明に係る液晶樹脂複合体の成形用素材において、上記熱
可塑性液晶樹脂の上記サブ複合体中における重量割合が
50%を越え、かつ、該サブ複合体の上記成形用素材全
体中における重量割合が3%以上で50%以下であるこ
とを特徴としたものである。液晶樹脂のサブ複合体中に
おける重量割合が50%を越えるようにしたのは、第2
の熱可塑性マトリックス樹脂をポリアミド樹脂とした場
合、50%以下では液晶樹脂の繊維化状態が安定して維
持できないからである。また、サブ複合体の成形用素材
全体中における重量割合を3%以上で50%以下とした
のは、3%未満では、2成分系での経験からしても、液
晶繊維による補強効果が得られず、一方、50%を越え
ると、成形用素材を3成分系としたことによる補強効果
の向上が安定して得られないからである。
【0011】また、更に、本願の第4の発明は、上記第
1の発明に係る液晶樹脂複合体の成形用素材において、
上記第2の熱可塑性マトリックス樹脂はポリエステル樹
脂であることを特徴としたものである。このポリエステ
ル樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタート樹
脂,ポリエチレンテレフタート樹脂,ポリアリレート樹
脂,ポリカーボネート樹脂などを適用することができ
る。この場合、第1の熱可塑性マトリックス樹脂として
は、ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂として、ポリ
プロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリスチレン樹脂,
変性ポリフェニレンエーテル樹脂,ABS(アクリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体)樹脂などを適用すること
ができる。
【0012】また、更に、本願の第5の発明は、上記第
4の発明に係る液晶樹脂複合体の成形用素材において、
上記熱可塑性液晶樹脂の上記サブ複合体中における重量
割合が2%以上であり、かつ、該サブ複合体の上記成形
用素材全体中における重量割合が3%以上で60%未満
であることを特徴としたものである。熱可塑性液晶樹脂
の上記サブ複合体中における重量割合を2%以上とした
のは、第2の熱可塑性マトリックス樹脂をポリエステル
樹脂とした場合、2%未満では液晶樹脂の繊維化状態が
安定して維持できないからである。また、サブ複合体の
上記成形用素材全体中における重量割合を3%以上で6
0%未満としたのは、3%未満では、2成分系での経験
からしても、液晶繊維による補強効果が得られず、一
方、60%以上となると、成形用素材を3成分系とした
ことによる補強効果の向上が安定して得られないからで
ある。
【0013】また、本願の第6の発明に係る液晶樹脂複
合体の成形方法は、熱可塑性液晶樹脂と、該液晶樹脂の
液晶転移温度よりも低い最低成形可能温度を有する第1
の熱可塑性マトリックス樹脂と、該第1のマトリックス
樹脂よりも最低成形可能温度が高い第2の熱可塑性マト
リックス樹脂とを、上記液晶転移温度および第2のマト
リックス樹脂の最低成形可能温度よりも高い温度におい
て押出成形して材料調製を行い、この調製された材料
を、上記液晶転移温度未満で、かつ上記第2のマトリッ
クス樹脂の最低成形可能温度未満、かつ上記第1のマト
リックス樹脂の最低成形可能温度以上の温度で成形する
ことを特徴としたものである。
【0014】
【発明の効果】本願発明に係る液晶樹脂複合体の成形用
素材によれば、上記液晶樹脂が上記第2のマトリックス
樹脂中において繊維状態で分散されてサブ複合体が形成
されているので、このサブ複合体中の液晶繊維は上記第
2のマトリックス樹脂でつなぎ合わされて補強され、こ
れが一つの単位の集合体として、換言すれば、見掛け上
の太さが太くなった状態で強化材の役割を果たすことに
なる。そして、このようなサブ複合体が上記第1のマト
リックス樹脂中に分散して構成されているので、液晶樹
脂の液晶転移温度および第2のマトリックス樹脂の最低
成形可能温度のいずれか低い方よりも低い温度で、かつ
第1のマトリックス樹脂の最低成形可能温度以上の温度
範囲で成形を行うことにより、成形工程における液晶繊
維の破断を有効に防止することができる。
【0015】この場合において、上記第2の熱可塑性マ
トリックス樹脂としては、ポリアミド樹脂あるいはポリ
エステル樹脂を用いることができ、また、各樹脂につい
て請求項3(ポリアミド樹脂)あるいは請求項5(ポリエ
ステル樹脂)に記載したように、液晶樹脂のサブ複合体
中における重量割合およびサブ複合体の成形用素材全体
中における重量割合を設定することにより、液晶樹脂の
繊維化状態を安定して維持し、かつ、成形用素材を3成
分系としてサブ複合体をその内部に形成したことによる
補強効果の向上を達成することができる。
【0016】また、本願発明に係る液晶樹脂複合体の成
形方法によれば、上記液晶樹脂と第1のマトリックス樹
脂と第2のマトリックス樹脂とを、3成分ともに溶融状
態となるなる温度で押出成形して成形用素材を調製する
ことにより、上記液晶樹脂が上記第2のマトリックス樹
脂中において繊維状態で分散されて形成されたサブ複合
体が上記第1のマトリックス樹脂中に分散して成る成形
用素材を得ることができる。そして、この成形用素材を
液晶樹脂の液晶転移温度および第2のマトリックス樹脂
の最低成形可能温度のいずれか低い方よりも低い温度
で、かつ第1のマトリックス樹脂の最低成形可能温度以
上の温度で成形するようにしたので、サブ複合体中の液
晶繊維は上記第2のマトリックス樹脂でつなぎ合わされ
て補強され、これが一つの単位の集合体として、換言す
れば、見掛け上の太さが太くなった状態で強化材の役割
を果たすことになり、成形工程における液晶繊維の破断
を有効に防止することができる。
【0017】
【実施例】以下、この発明の実施例について添付図面を
参照しながら説明する。まず、本発明の第1実施例につ
いて説明する。第1実施例は、第2の熱可塑性マトリッ
クス樹脂としてポリアミド樹脂を用いたものである。本
実施例に係る液晶樹脂複合体の成形用素材を調製するに
際して、第1および第2の熱可塑性マトリックス樹脂並
びに熱可塑性液晶樹脂として用いた樹脂材料を以下に示
す。 第1の熱可塑性マトリックス樹脂 ・材質名 : ポリスチレン樹脂(PS樹脂) ・商品名 : ダイヤレックス HF−77 (三菱化成ポリ
テックス株式会社製) ・最低成形可能温度 : 170℃ 第2の熱可塑性マトリックス樹脂 ・材質名 : ナイロン46樹脂(PA46樹脂) ・商品名 : グレード TS300 (日本合成ゴム株式会
社製) ・最低成形可能温度 : 290℃ 熱可塑性液晶樹脂 ・材質名 : 芳香族ポリエステル樹脂 ・商品名 : ベクトラA950 (ポリプラスチックス株
式会社製) ・液晶転移温度 : 280℃
【0018】上記各マトリックス樹脂と液晶樹脂とを表
1に示す配合比でドライブレンドし、これを2軸押出機
で押し出し、更に、これを延伸機で延伸してストランド
状の液晶樹脂複合体を調製した。そして、このストラン
ド状の複合体を長さ3mm毎に切断してペレット状の成形
用素材を得た。本実施例では、液晶樹脂の成形用素材全
体中における重量割合が30%となるように各材料樹脂
の配合比を設定した。この点については、後述する他の
実施例においても同様である。尚、上記表1において、
符号M1は第1の熱可塑性マトリックス樹脂を、符号M
2は第2の熱可塑性マトリックスを、また、符号Lは熱
可塑性液晶樹脂をそれぞれ表している。
【0019】
【表1】
【0020】上記ペレット状の成形用素材の調製に用い
た装置および調製条件等を以下に示す。 ペレットの調製用装置および調製条件 ・2軸押出機 : 型式 ST−30−S2−36L プラスチック工学研究所社製, スクリュー径=30mm ・延伸機 : 自社製 ・押出条件 : 樹脂温度=300℃, スクリュー回転数
=75rpm,剪断速度=1700/sec.
【0021】次に、上記ペレットを用いて一種の押出成
形機としての溶融粘度測定装置により押出成形を行い、
棒状の成形品を得た。この押出成形に用いた装置および
成形条件等を以下に示す。 押出成形に用いた装置および成形条件 ・装置 : 溶融粘度測定装置 (商品名:キャピログラフ1
C) 株式会社東洋精機製作所製, バレル径=9.55mm ・成形条件 : 樹脂温度=190℃, ダイ径=0.5mm,
押出速度=2mm/分
【0022】ここに、上記押出成形における樹脂温度
は、液晶樹脂の液晶転移温度(280℃)および第2のマ
トリックス樹脂の最低成形可能温度(290℃)のいずれ
よりも低い温度で、かつ第1のマトリックス樹脂の最低
成形可能温度(170℃)以上の温度として設定されたも
のである。尚、上記溶融粘度測定装置の要部の概略を図
2に示す。この図に示すように、ヒータ4が埋設された
シリンダ2内にペレット1を入れ、このペレット1が上
記樹脂温度(190℃)に達するまでヒータ4で加熱した
後、ピストン6を下降させて材料樹脂を押出孔から押し
出すことにより、棒状の成形品10を成形することがで
きる。
【0023】以上のようにして得られた成形品につい
て、その引張強さを測定する試験を行った。試験結果
は、表1に示す通りであった。また、この引張強さの試
験データを図3のグラフにおいて破線の折れ線で示す。
試験結果から明らかなように、第2の熱可塑性マトリッ
クス樹脂として、ポリアミド樹脂(PA46樹脂)を用い
た場合、L/(L+M2)が50%を越え、かつ、(L+
M2)/(L+M2+M1)が3%以上で50%以下の範
囲において、2成分系の場合(M2の含有量が0重量%
の場合)に比べて引張強さが向上している。
【0024】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。第2実施例は、第2の熱可塑性マトリックス樹脂と
してポリエステル樹脂を用いたものである。本実施例に
係る液晶樹脂複合体の成形用素材を調製するに際して、
第1および第2の熱可塑性マトリックス樹脂並びに熱可
塑性液晶樹脂として用いた樹脂材料を以下に示す。 第1の熱可塑性マトリックス樹脂 ・材質名 : ポリスチレン樹脂(PS樹脂) ・商品名 : ダイヤレックス HF−77 (三菱化成ポリ
テックス株式会社製) ・最低成形可能温度 : 170℃ 第2の熱可塑性マトリックス樹脂 ・材質名 : ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹
脂) ・商品名 : ユニペットRT560CN (日本ユニペッ
ト社製) ・最低成形可能温度 : 255℃ 熱可塑性液晶樹脂 ・材質名 : 芳香族ポリエステル樹脂 ・商品名 : ベクトラA950 (ポリプラスチックス株
式会社製) ・液晶転移温度 : 280℃
【0025】上記各マトリックス樹脂および液晶樹脂の
配合比は表2に示す通りである。各配合比の樹脂材料を
用いて、第1実施例の場合と同様にしてペレット状の成
形用素材を調製し、これを用いて押出成形を行い、得ら
れた成形品について引張強さを測定する試験を行った。
この場合において、ペレットの調製用装置および調製
条件、並びに押出成形に用いた装置および成形条件に
ついては、第1実施例の場合と同様である。試験結果
は、表2に示す通りであった。また、この引張強さの試
験データを図3のグラフにおいて実線の折れ線で示す。
試験結果から明らかなように、第2の熱可塑性マトリッ
クス樹脂として、ポリエステル樹脂(PET樹脂)を用い
た場合、L/(L+M2)が2%以上で、かつ、(L+M
2)/(L+M2+M1)が3%以上で60%未満の範囲
において、2成分系の場合(M2の含有量が0重量%の
場合)に比べて引張強さが向上している。
【0026】
【表2】
【0027】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。第3実施例は、第2実施例に対して、第1の熱可塑
性マトリックス樹脂材料を変更したものである。本実施
例に係る液晶樹脂複合体の成形用素材を調製するに際し
て、第1および第2の熱可塑性マトリックス樹脂並びに
熱可塑性液晶樹脂として用いた樹脂材料を以下に示す。 第1の熱可塑性マトリックス樹脂 ・材質名 : ポリプロピレン樹脂 ・商品名 : ノーブレンD501 (住友化学工業株式会
社製) ・最低成形可能温度 : 155℃ 第2の熱可塑性マトリックス樹脂 ・材質名 : ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹
脂) ・商品名 : ユニペットRT560CN (日本ユニペッ
ト社製) ・最低成形可能温度 : 255℃ 熱可塑性液晶樹脂 ・材質名 : 芳香族ポリエステル樹脂 ・商品名 : ベクトラA950 (ポリプラスチックス株
式会社製) ・液晶転移温度 : 280℃
【0028】上記各マトリックス樹脂および液晶樹脂の
配合比は表3に示す通りである。各配合比の樹脂材料を
用いて、第1および第2実施例の場合と同様にしてペレ
ット状の成形用素材を調製し、これを用いて押出成形を
行い、得られた成形品について引張強さを測定する試験
を行った。この場合において、ペレットの調製用装置
および調製条件、並びに押出成形に用いた装置および
成形条件については、第1および第2実施例の場合と同
様である。試験結果は、表3に示す通りであった。ま
た、この引張強さの試験データを図4のグラフにおいて
実線の折れ線で示す。試験結果から明らかなように、第
2の熱可塑性マトリックス樹脂として、ポリエステル樹
脂(PET樹脂)を用いた場合、第1の熱可塑性マトリッ
クス樹脂の樹脂材料を変更しても、L/(L+M2)が2
%以上で、かつ、(L+M2)/(L+M2+M1)が3%
以上で60%未満の範囲において、2成分系の場合(M
2の含有量が0重量%の場合)に比べて引張強さが向上
している。尚、(L+M2)/(L+M2+M1)が70%
を越える範囲では、押出成形時に成形用装置のピストン
6(図2参照)に作用させる力を最大限度まで高めても、
棒状形成品を押出成形することができなかった。
【0029】
【表3】
【0030】尚、図5乃至図8に、本実施例に係る液晶
樹脂複合体の各ストランドのミクロ構造の顕微鏡写真を
簡略化して模式的に表した説明図を示す。上記顕微鏡写
真は、ストランドを薄くスライスして得た各サンプルに
ついて、溶剤によってその第1のマトリックス樹脂を溶
解した上で、そのミクロ構造を撮影したものである。第
2の熱可塑性マトリックス樹脂の配合されていない場合
の一例を図5に、配合比が比較的低い場合(5重量%)の
一例を図6に、配合比が比較的高い場合(20重量%)の
一例を図7に、また、(L+M2)/(L+M2+M1)、
つまりサブ複合体のストランド全体中における重量割合
が高すぎる(70%を越える)場合の一例を図8に示す。
これら各図と上記表3の試験データを比較してよく分か
るように、第2のマトリックス樹脂M2中に液晶繊維が
分散して形成されたサブ複合体が、第1のマトリックス
樹脂中に分散したミクロ構造を有する場合(M2の配合
量が20重量%の場合)が最も引張強さが高くなってい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サブ複合体が形成された3成分系の液晶樹脂
複合体の断面構造をイメージ化して模式的に示した説明
図である。
【図2】 本発明の実施例に係る押出装置の要部を示す
断面説明図である。
【図3】 本発明の第1実施例および第2実施例に係る
液晶樹脂複合体の成形品の引張強さの測定データを示す
グラフである。
【図4】 本発明の第3実施例に係る液晶樹脂複合体の
成形品の引張強さの測定データを示すグラフである。
【図5】 上記第3実施例に係る液晶樹脂複合体の断面
のミクロ構造の一例を模式的に示した説明図である。
【図6】 上記第3実施例に係る液晶樹脂複合体の断面
のミクロ構造の一例を模式的に示した説明図である。
【図7】 上記第3実施例に係る液晶樹脂複合体の断面
のミクロ構造の一例を模式的に示した説明図である。
【図8】 上記第3実施例に係る液晶樹脂複合体の断面
のミクロ構造の一例を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
L…熱可塑性液晶樹脂 M1…第1の熱可塑性マトリックス樹脂 M2…第2の熱可塑性マトリックス樹脂 P…液晶樹脂複合体(成形用素材) S…サブ複合体
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 70/00 - 70/88 C08J 5/00 - 5/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性液晶樹脂と、該液晶樹脂の液晶
    転移温度よりも低い最低成形可能温度を有する第1の熱
    可塑性マトリックス樹脂と、該第1のマトリックス樹脂
    よりも最低成形可能温度が高い第2の熱可塑性マトリッ
    クス樹脂とを含有し、上記液晶樹脂が上記第2のマトリ
    ックス樹脂中において繊維状態で分散され、かつ、この
    液晶樹脂と第2のマトリックス樹脂とで成るサブ複合体
    が、上記第1のマトリックス樹脂中に分散して成ること
    を特徴とする液晶樹脂複合体の成形用素材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された液晶樹脂複合体の
    成形用素材において、上記第2の熱可塑性マトリックス
    樹脂は、ポリアミド樹脂であることを特徴とする液晶樹
    脂複合体の成形用素材。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された液晶樹脂複合体の
    成形用素材において、上記熱可塑性液晶樹脂の上記サブ
    複合体中における重量割合が50%を越え、かつ、該サ
    ブ複合体の上記成形用素材全体中における重量割合が3
    %以上で50%以下であることを特徴とする液晶樹脂複
    合体の成形用素材。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載された液晶樹脂複合体の
    成形用素材において、上記第2の熱可塑性マトリックス
    樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする液晶
    樹脂複合体の成形用素材。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された液晶樹脂複合体の
    成形用素材において、上記熱可塑性液晶樹脂の上記サブ
    複合体中における重量割合が2%以上であり、かつ、該
    サブ複合体の上記成形用素材全体中における重量割合が
    3%以上で60%未満であることを特徴とする液晶樹脂
    複合体の成形用素材。
  6. 【請求項6】 熱可塑性液晶樹脂と、該液晶樹脂の液晶
    転移温度よりも低い最低成形可能温度を有する第1の熱
    可塑性マトリックス樹脂と、該第1のマトリックス樹脂
    よりも最低成形可能温度が高い第2の熱可塑性マトリッ
    クス樹脂とを、上記液晶転移温度および第2のマトリッ
    クス樹脂の最低成形可能温度よりも高い温度において押
    出成形して材料調製を行い、この調製された材料を、上
    記液晶転移温度未満で、かつ上記第2のマトリックス樹
    脂の最低成形可能温度未満、かつ上記第1のマトリック
    ス樹脂の最低成形可能温度以上の温度で成形することを
    特徴とする液晶樹脂複合体の成形方法。
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