JPH0622565U - 燃料噴射ノズル - Google Patents

燃料噴射ノズル

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JPH0622565U
JPH0622565U JP6445292U JP6445292U JPH0622565U JP H0622565 U JPH0622565 U JP H0622565U JP 6445292 U JP6445292 U JP 6445292U JP 6445292 U JP6445292 U JP 6445292U JP H0622565 U JPH0622565 U JP H0622565U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 針弁のリフト初期における噴射燃料の粒度分
布を改良することにより、着火直後の急激な燃焼を抑え
て騒音を抑制できるとともに、その後の拡散燃焼を活発
化させることができ、しかも必要なペネトレーションを
確保することができる燃料噴射ノズルを提供することに
ある。 【構成】 針弁50には第2噴射孔56が形成されてい
る。この第2噴射孔の一端は針弁の当接部54の外周面
に開口し、他端は針弁の下端面に開口している。第1噴
射孔35は、針弁50の当接部54がノズル本体30の
弁座34に着座することによってのみ閉じられる。針弁
50のリフト初期においては、第1噴射孔35の有効流
路断面積が、弁座34の先端縁と当接部54との間の隙
間Dによって決定される。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、燃料噴射ポンプから圧送されてきた燃料をエンジンの燃焼室に噴射 させる燃料噴射ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭59ー136564号公報にはスロットル型の燃料噴射ノズルが開示さ れている。詳述すると、この燃料噴射ノズルは、中空の細長いノズル本体と、ノ ズル本体に収容された針弁とを備えている。ノズル本体は、燃料溜まり室と、こ れより下方に形成された先細のテーパをなす弁座と、この弁座に連なる一つの噴 射孔を有している。この噴射孔は、ノズル本体の軸線方向に延び、ノズル本体の 下端面に開口している。針弁は、上記燃料溜まり室に臨む受圧部と、これより下 方に形成された先細コーン形状の当接部と、当接部の下端から針弁の軸線方向に 延びる第1ピン部と、この第1ピン部の下端からさらに延びる第2ピン部とを有 している。第1ピン部,第2ピン部は円柱形状をなし、第1ピン部の径は噴射孔 の内径より若干小さく、両者の間に絞りが形成されている。第2ピン部の径は第 1ピン部より小さい。
【0003】 上記燃料噴射ノズルにおいて、上記針弁はスプリングの力により付勢され、そ の当接部が弁座に着座している。この着座状態において、噴射孔は閉じられてい る。燃料噴射ポンプから燃料溜まり室へ送られて来た燃料の圧力が受圧部に作用 することにより、スプリングに抗して針弁がリフトし、当接部が弁座から離れる 。その結果、上記噴射孔が開いて燃料がエンジン燃焼室へ噴射される。この燃料 噴射の初期、すなわち、針弁のリフト量が小さい時には、上記第1ピン部の外周 面と噴射孔の内周面との間の絞り効果により燃料がわずかしか噴射せず、予備噴 射となる。そして、針弁がさらにリフトして第1ピン部が噴射孔から離れ、小径 の第2ピン部が噴射孔に位置するようになると、燃料の流通断面積が飛躍的に増 大して、燃料が多量に噴射され、主噴射となる。
【0004】 しかしながら、上記燃料噴射ノズルでは、噴射燃料の粒径とペネトレーション について次の問題があった。 まず、噴射燃料の粒径の問題について説明する。リフト初期において、絞り効 果により噴射燃料の流速が低いので、空気との摩擦による微細化が進まず、燃料 の粒径が大きい。このため、燃焼を活発化させることができない。 次に、ペネトレーションの問題について説明する。リフト初期には、絞り効果 で噴射燃料の流速が低いのでペネトレーションは小さい。針弁のリフト量が増大 して所定値に達すると、第2ピン部が噴射孔に配置された状態になるので、噴射 燃料の流速が高くなり、ペネトレーションが大となる。針弁のリフト速度はエン ジン回転数に関係なくほぼ一定であるため、エンジン回転数が大きい場合には、 燃料噴射ポンプのカムアングルが大きくなってもリフト量が所定値に達せず、ペ ネトレーションが小さいままである。このため、燃焼を効率良く行えなかった。
【0005】 特開昭62ー197666号公報には、上述した燃料噴射ノズルと形状が似て いるが2つの噴射孔を備えた燃料噴射ノズルが開示されている。この燃料噴射ノ ズルでは、ノズル本体の噴射孔は第1噴射孔として提供されている。針弁の当接 部の下方に形成されたピン部には、第2噴射孔が形成されている。この第2噴射 孔の一端はこのピン部の外周面に開口し、他端はピン部の下端面に開口している 。この燃料噴射ノズルでは、針弁のリフト量が小さい時には、ピン部の外周面と 第1噴射孔の内周面の隙間から燃料が噴射される。しかし、ピン部の外周面を流 れる燃料の流速が早いので、第2噴射孔からは噴射されない。ピン部の外周面針 弁のリフト量が大きくなると、第2噴射孔の一端が第1噴射孔の内周面から離れ るため、第1,第2の両方の噴射孔から燃料が噴射される。この燃料噴射ノズル において、ピン部の径と第1噴射孔の径の差が小さい場合には、絞り効果が生じ るため、前述した特開昭59ー136564号公報と同様の不都合が生じる。ピ ン部の径と第1噴射孔の径の差が大きい場合には、噴射初期において噴射される 燃料の流速が大きく、燃料の粒径が小さくなるため、噴射開始から少し遅れて着 火した瞬間に急激な燃焼が生じ、騒音発生の原因となる。
【0006】 特開昭58ー165566号公報の燃料噴射ノズルでは、上述した特開昭59 ー136564号公報に開示したものと同様に、2つの噴射孔を有している。針 弁は当接部の下に第1ピン部と第2ピン部を有している。しかし、第1ピン部の 径は、ノズル本体に形成された第1噴射孔の径と極めて僅かしか差がなく、第1 ピン部が第1噴射孔に位置している間は、第1噴射孔は閉塞されている。この燃 料噴射ノズルでは、針弁に第2噴射孔が形成されている。この第2噴射孔の一端 は当接部の外周面に開口し、他端は針弁の下端面に開口している。針弁が所定の リフト量に達するまでは、第1ピン部が第1噴射孔を塞いでいるので第2噴射孔 だけから燃料が噴射し、所定リフト量を越えると、第1,第2の両方の噴射孔か ら燃料が噴射する。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭58ー165566号公報の燃料噴射ノズルでは、 燃料噴射の初期に第2噴射孔から噴射する燃料の流速が大きいので、燃料の粒径 が小さく、上述した特開昭62ー197666号公報の場合と同様に、騒音発生 の原因となっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記課題を克服するためになされたものであり、その要旨は、一端が 針弁の当接部の外周面に開口するとともに他端が針弁の下端面に開口する第2噴 射孔を形成し、上記第1噴射孔は、当接部が弁座に着座することによってのみ閉 じられ、針弁のリフト初期においては、第1噴射孔の有効流路断面積が、弁座の 先端縁と当接部の隙間によって決定されることを特徴とする燃料噴射ノズルにあ る。
【0009】
【作用】
針弁のリフト初期においては、ノズル本体の弁座と針弁の当接部の隙間が狭い ので、オリフィス効果が働き、第2噴射孔の燃料圧力が高く、第1噴射孔の燃料 圧力が低い。その結果、第2噴射孔から噴射された燃料の流速が高く、この第2 噴射孔からの燃料を囲むようにして第1噴射孔から噴射された燃料の流速が低い 。このことは燃料噴射初期における燃料の特殊な粒径分布をもたらす。すなわち 、噴射された燃料のうち内部に位置する燃料は、主に第2噴射孔から高い流速で 噴射されたものであり、空気との摩擦により微細化される。他方、周部に位置す る燃料は主に第1噴射孔から低い流速で噴射されたものであり、空気との摩擦に よる微細化が促進されず、粒径は比較的大きいままである。このように、周部の 燃料の粒径が大きいので、着火直後の急激な燃焼を抑制でき、騒音発生を抑制で きる。また、その後の拡散燃焼においては、内部の燃料が微細化されているので 、活発な燃焼を行うことができる。
【0010】 また針弁のリフト初期においては、上述したオリフィス効果により、第2噴射 孔からの比較的高い流速の燃料の噴射量が、第1噴射孔からの比較的低い流速の 燃料の噴射量より多いので、燃料全体のペネトレーションを必要レベルに確保す ることができる。したがって、エンジン回転数が大の場合でも燃焼効率の悪化を 防止することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本考案を図面を参照して説明する。図3に示ように、燃料噴射ノズルN は上から下に向かって順に、細長いノズルホルダ10と、円盤形状のスペーサ2 0と、細長いノズル本体30とを有している。ノズル本体30は、筒形状のリテ ーナー40によってノズルホルダ10に支持されている。詳述すると、ノズルホ ルダ10の下端部外周には雄ねじ11が形成されている。リテーナー40の上端 部内周には雌ねじ41が形成されており、下端部内周にはテーパをなす段42が 形成されている。ノズル本体30の中間部にはテーパをなす段38が形成されて いる。そして、リテーナー40にノズル本体30を挿入した状態で、リテーナー 40の雌ねじ41をノズルホルダ10の雄ねじ11に螺合させることにより、ノ ズル本体30はノズルホルダ10と同軸をなしてノズルホルダ10に支持される 。この支持状態において、スペーサ20はノズルホルダ10の下面とノズル本体 30の上面に挟まれ、リテーナー40の段42がノズル本体30の段38に強く 当たっている。このように、ノズルホルダ10,スペーサ20,ノズル本体30 ,リテーナー40は、協働して一つのボデイを構成している。
【0012】 上記ノズル本体30は、細長い筒形状をなしており、下端部が閉塞されている 。ノズル本体30は、その上端から下端側へ向かって順に、ガイド孔31、燃料 溜まり室32、燃料通過孔33、先細の弁座34と、第1噴射孔35とを有して いる。燃料通過孔33はガイド孔31より小径であり、両者は同軸をなしている 。燃料溜まり室32は、ノズルホルダ10の上端面に形成された燃料入口18に 、ノズル10の長手方向に沿って形成された燃料通路19,スペーサ20に形成 された燃料通路29,ノズル本体30の長手方向に延びる燃料通路39を介して 、連なっている。上記燃料入口18は、パイプを介して燃料噴射ポンプ(図示し ない)に接続されている。上記第1噴射孔35の内周面は弁座34に連なり、ノ ズル本体30の軸線に沿って延び、下端がノズル本体30の下端面に開口してい る。
【0013】 ノズル本体30には針弁50が収容されている。この針弁50は、上端から下 端に向かって順に、スライド部51と、受圧部52と、延長部53と、先細コー ン形状の当接部54と,円柱形状のピン部55とを同軸に有している。延長部5 3はスライド部51より小径であり、受圧部52はテーパをなしている。スライ ド部51は、上記ノズル本体30のガイド孔31に軸方向スライド可能に収容さ れている。受圧部52は、ノズル本体30の燃料溜まり室32に臨み、燃料溜ま り室32の圧力を受ける。延長部53はノズル本体30の燃料通過孔33に配置 され、延長部53の外周面と燃料通過孔33の内周面との間の間隙が、燃料通路 として提供される。当接部54はノズル本体30の弁座34に対峙して配置され ており、ピン部55は第1噴射孔35に配置されている。
【0014】 第1図に良く示されているように、上記針弁50の当接部54のテーパ角度は 、弁座34のテーパ角度に比べて極めて僅か(例えば10分程度)だけ大きく、 実質的に等しい。したがって、当接部54は、後述するスプリング60の力によ り、僅かに弾性変形した状態で弁座34に面接触することができる。上記当接部 54の外周面のうち、延長部53との境の部分は弁座34の内周面に最も強く接 触するので、メイン当接部分54aとして提供され、これより下方の面部分がサ ブ当接部分54bとして提供される。また、弁座34のうち、メイン当接部分5 4aが当接する部分はメインシート部分34aとして提供され、サブ当接部分5 4bが面接触する部分はサブシート部分34bとして提供される。なお、サブ当 接部分55bとサブシート部分34bは、面接触せず微小の隙間だけ離れていて もよい。
【0015】 図3に示すように、上記針弁50はスプリング60の力により下方に付勢され 、当接部54が弁座34に当接されている。このスプリング60は、ノズルホル ダ10の下端部に形成された収容孔15に収容され、ばね受け61および針弁5 0の上端に形成された突起58を介して、針弁50に作用する。
【0016】 次に、本考案の特徴部について特に図1を参照して説明する。針弁50の下端 部には略T字形の第2噴射孔56が形成されている。この第2噴射孔56は、針 弁50の軸線に沿って延びる軸孔部56aと、針弁50の軸線と直交して延びる 横孔部56bとからなる。軸孔部56aはピン部55を貫通し、その下端がピン 部55の下端面に開口する。横孔部56bの両端は当接部54の外周面に開口し 、中央部が軸孔部56aの上端に連なる。また、ピン部55の径は第1噴射孔3 5の径に比べて小さい。ピン部55の外周面と第1噴射孔56の内周面との間の 隙間の断面積は、第2噴射孔56の軸孔部56aの断面積より大きい。針弁のリ フト時の第1噴射孔の有効流通断面積は、リフト量が所定量に達するまでは、弁 座34の下端縁と当接部54との隙間D(図2参照)の断面積によって決定され 、リフト量が所定量を越えた時には、ピン部55の外周面と第1噴射孔56の内 周面との間の隙間の断面積によって決定される。なお、この所定リフト量は、針 弁50の着座状態における弁座34の下端縁と当接部54の下端縁との距離Lに ほぼ相当する。
【0017】 上記構成の燃料噴射ノズルNは、図4に示すように、エンジンEのシリンダヘ ッドHに、シリンダSおよびピストンPの軸線に対して傾斜して装着されている 。ノズルNの先端は、ピストンPの上端面に形成された凹部R(燃焼室を形成す る)に臨んでいる。
【0018】 上記構成の燃料噴射ノズルNには、燃料噴射ポンプから燃料が間欠的に圧送さ れてくる。燃料圧送がない状態では、スプリング60の力で針弁50が下方に押 されるため、針弁50の当接部54は、弁座34に面接触状態で着座している。 この状態では、第1噴射孔35,第2噴射孔56はともに閉じられている。
【0019】 燃料噴射ポンプから燃料が圧送された時、燃料溜まり室32の圧力が上昇し、 この圧力が針弁50の受圧部52に作用するため、針弁50がリフトし、針弁5 0の当接部54が弁座34から離れる。この時、燃料溜まり室32から燃料通過 孔33を経た燃料が、噴射孔35,56からエンジンEの燃焼室Rに噴射される 。
【0020】 上記燃料噴射の特性を説明する前に、まず針弁50のリフトに伴う噴射孔35 ,56の有効流通断面積の変化について説明する。第1噴射孔35の有効流通断 面積は、針弁50のリフト初期では、弁座34の下端縁と当接部54との間の隙 間Dの断面積によって決定されるので、針弁50のリフト量に応じて増大する。 針弁50のリフト量が所定量Lを越えると、一定(ピン部55の外周面と第1噴 射孔56の内周面との間の隙間の断面積)となる。第2噴射孔56の有効流通断 面積は、針弁50のリフト初期では、弁座34と当接部54との間の距離と、2 つの横孔部56bの開口周縁の合計長さの積によって決定されるので、針弁50 のリフト量に応じて増大する。針弁50のリフト量が所定量(上記所定量Lとは 異なる)を越えると、一定(軸孔部56aの断面積)となる。
【0021】 次に、燃料噴射特性について詳述する。針弁50のリフト初期においては、ノ ズル本体30の弁座34と針弁50の当接部54の隙間が狭いので、特に第2噴 射孔56の横孔部56bより下方の隙間でのオリフィス効果により、第2噴射孔 56の燃料圧力が高く、第1噴射孔35の燃料圧力が低くなる。したがって、第 2噴射孔56から噴射された燃料の流速が高く、この第2噴射孔56からの燃料 を囲むようにして第1噴射孔35から円筒状に噴射された燃料の流速が低い。そ の結果、燃料噴射初期において、図5に示すような特殊な燃料粒径分布が得られ る。すなわち、噴射された燃料のうち内部Aに位置する燃料は、主に第2噴射孔 56から高い流速で噴射されたものであり、空気との摩擦により微細化される。 他方、周部Bに位置する燃料は主に第1噴射孔35から低い流速で噴射されたも のであり、空気との摩擦による微細化が促進されず、粒径は比較的大きいままで ある。このように、周部Bの燃料の粒径が大きいので、着火直後の急激な燃焼を 抑制でき、騒音発生を抑制できる。また、その後の拡散燃焼においては、内部A の燃料が微細化されているので、活発な燃焼を行うことができる。
【0022】 また、針弁50のリフト初期においては、図6に示すように、第2噴射孔56 からの比較的高い流速の燃料はペネトレーションが大きく、第1噴射孔35から の比較的低い流速の燃料はペネトレーションが小さい。しかし、図7に示すよう に、第1噴射孔35からの燃料噴射量が第2噴射孔56からの燃料噴射量より多 いので、燃料全体のペネトレーションを必要レベルに確保することができる。し たがって、エンジン回転数が大の場合でも燃焼効率の悪化を防止することができ る。
【0023】 針弁50のリフト量が増大すると、上述したようなオリフィス効果がなくなり 、燃料噴射は、第1,第2噴射孔35,56の有効断面積によって議論できるよ うになる。この場合、第2噴射孔56からの噴射燃料の流速が伸び悩むのに対し て、第1噴射孔35からの噴射燃料の流速が増大し、図6のようなペネトレーシ ョン特性を得る。また、第2噴射孔56からの燃料噴射量が減少していくのに対 して、第1噴射孔35からの燃料噴射量が増大する(図7参照)。このように、 第2噴射孔56の役割は相対的に低くなり、第1噴射孔35の役割が増大し、前 述した第1,第2ピン部を有するスロットル型燃料噴射ノズルにおいて針弁が所 定リフト量越えた時とほぼ同等の作用が得られる。
【0024】 なお、本考案は上記の実施例に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範 囲において適宜変更可能である。以下に示す実施例では、先行する実施例に対応 する構成について、図中同番号を付すことによりその詳細な説明を省略する。
【0025】 図8に示す実施例では、当接部54の外周に環状の溝58が形成されている。 針弁50のリフト初期において、この溝58に高圧燃料を滞留させ第2噴射孔5 6への燃料の流入をより円滑に行うことにより、針弁50のリフト領域において 、第2噴射孔56からの燃料噴射が流速,量ともに第1噴射孔35より勝る領域 を広げる。
【0026】 図9に示す実施例では、第2噴射孔56が略Y字形に形成されている。すなわ ち、横孔部56b′は中央部が低く、その両側部が斜め上方に延びており、その 両端は、当接部54のメイン当接部54aに近い位置に開口している。この実施 例では、横孔部56b′の開口端より下方での当接部54と弁座34との間のオ リフィス効果を高めることができ、図8の実施例と同様に、針弁50のリフト領 域において、第2噴射孔56からの燃料噴射が流速,量ともに第1噴射孔35よ り勝る領域を広げることができる。
【0027】 図10の実施例の針弁50は、当接部54の下方にピン部を有していない。図 11の実施例のノズル本体30は、弁座34の下端周縁によって形成された第1 噴射孔35′を有している。図12の実施例では、図10の針弁50と図11の ノズル本体30が組み合わされている。
【0028】 さらに、本考案では、第2噴射孔は、軸孔部と軸孔部の状態から径方向に延び る1つの横孔部により逆L字形に形成してもよい。また、軸孔部の上端から延び る横孔部を3つ以上形成してもよい。 本考案は、上述した実施例のようにエンジン燃焼室に直接燃料を噴射するタイ プの燃料噴射ノズルに限らず、副燃焼室へ燃料を噴射するタイプの燃料噴射ノズ ルにも適用できる。
【0029】
【考案の効果】
本考案は以上説明したように、特にリフト初期において、噴射燃料のうち内部 に位置する燃料の粒径が小さく、その周囲の燃料の粒径が大きくなるような特殊 な粒径分布を得ることができ、これにより、着火直後の急激な燃焼を押えて騒音 発生を抑制することができるとともに、その後の拡散燃焼を活発化させて燃焼効 率を向上させることができる。また、リフト初期における必要なペネトレーショ ンを確保することができ、エンジン回転数が大きい場合でも良好な燃焼効率を確 保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の特徴部をなす燃料噴射ノズルの先端部
の拡大断面図である。
【図2】針弁リフト時の燃料噴射ノズルの先端部を更に
拡大して示す断面図である。
【図3】燃料噴射ノズルの全体を示す断面図である。
【図4】エンジンに燃料噴射ノズルを装着した状態を示
す断面図である。
【図5】針弁のリフト初期の噴射ノズルの粒径分布を示
す図である。
【図6】燃料噴射開始からのカムアングルの増大に伴う
第1,第2噴射孔からの燃料のペネトレーションを示す
図である。
【図7】燃料噴射開始からのカムアングルの増大に伴う
第1,第2噴射孔の燃料噴射量を示すずである。
【図8】本考案の他の実施例を示す要部断面図である。
【図9】本考案のさらに他の実施例を示す要部断面図で
ある。
【図10】本考案のさらに他の実施例を示す要部断面図
である。
【図11】本考案のさらに他の実施例を示す要部断面図
である。
【図12】本考案のさらに他の実施例を示す要部断面図
である。
【符号の説明】
30 … ノズル本体 32 … 燃料溜まり室 34 … 弁座 35 … 第1噴射孔 50 … 針弁 52 … 受圧部 54 … 当接部 56 … 第2噴射孔 60 … スプリング

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)燃料溜まり室と、これより先方に形
    成された先細のテーパをなす弁座と、この弁座に連なり
    ノズル本体の軸線方向に延びるとともに先端面に開口す
    る第1噴射孔を有する細長いノズル本体と、 (b)上記ノズル本体に収容され、上記ノズル本体の燃
    料溜まり室に対向して形成された受圧部と、この受圧部
    より先方に形成され上記弁座に対峙して配置された先細
    コーン形状の当接部とを有し、スプリングの力により上
    記弁座に着座するとともに、燃料溜まり室の燃料圧力が
    受圧部に作用することに起因する力により弁座から離れ
    る針弁とを備えた燃料噴射ノズルにおいて、上記針弁
    に、一端が上記当接部の外周面に開口するとともに他端
    が針弁の下端面に開口する第2噴射孔を形成し、上記第
    1噴射孔は、当接部が弁座に着座することによってのみ
    閉じられ、針弁のリフト初期においては、第1噴射孔の
    有効流路断面積が、弁座の先端縁と当接部との隙間によ
    って決定されることを特徴とする燃料噴射ノズル。
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