JPH06223615A - 鱗片状Ag−Pt合金導電性フィラーとその用途 - Google Patents

鱗片状Ag−Pt合金導電性フィラーとその用途

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JPH06223615A
JPH06223615A JP30306893A JP30306893A JPH06223615A JP H06223615 A JPH06223615 A JP H06223615A JP 30306893 A JP30306893 A JP 30306893A JP 30306893 A JP30306893 A JP 30306893A JP H06223615 A JPH06223615 A JP H06223615A
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conductive
conductive filler
filler
powder
polymer
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JP30306893A
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Inventor
Takanori Endo
貴則 遠藤
Masami Miyake
政美 三宅
Hiroyuki Imai
浩之 今井
Yoshihiko Tokida
芳彦 土木田
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ag系導電性フィラーのAgのマイグレーション
を防止する。 【構成】 導電性フィラーが、Pt 1〜20重量%、残部Ag
および不可避不純物のAg−Pt合金からなり、平均粒径
0.1〜100 μm、短軸/長軸比が1〜0.1 、厚さ10μm
以下の鱗片状形状を有する粉末からなる。この導電性フ
ィラーをポリマーの分散させて導電性ポリマーとし、或
いはバインダー樹脂とともにペースト、塗料、またはイ
ンキ化すると、導電性の成形体、薄膜、塗膜が得られ
る。 【効果】 少量のPtとの合金化により、安価で優れた導
電特性を安定して示す導電性フィラーを得ることができ
る。このフィラーを使用した導電性成形体、薄膜、塗膜
において、フィラーを一方向に配向させると導電性がさ
らに向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂やゴムなどのポリ
マーや、ペースト、塗料もしくはインキに導電性を付与
するための金属質の導電性フィラー、ならびにこの導電
性フィラーの製造方法とこれを使用して得た導電性を有
する製品に関する。本発明の導電性フィラーをポリマー
またはバインダー中に含有させて導電性を付与した製品
は、電卓用の電極や液晶ディスプレイの外部コネクター
などの用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】微細な金属粉末からなる導電性フィラー
は、樹脂やゴムなどのポリマー類、或いはペースト、塗
料またはインキに導電性を付与する目的で使用されてい
る。この種のフィラーの材料として、電気伝導率の高い
銀や銅が従来より用いられている。具体的には、Ag粉
末、鱗片状Ag粉末、Cu粉末等が挙げられる。中でも、鱗
片状の導電性フィラーは相互に接触し易いので、球形粒
子に比べて、少量の配合で材料に導電性を付与できると
いう利点がある。従って、ポリマーまたはバインダー中
に導電粉を分散させた導電体(薄膜、成形体など)用の
導電粉として有利に使用できる。
【0003】鱗片状金属粉末は、例えば特開昭61−1554
71号公報、特開平2−52049 号公報に提案されているよ
うに、アトマイズ法などの適当な方法で製造したほぼ球
形の金属粒子を、粉砕助剤の存在下で機械的方法により
粉砕して、微粉砕と偏平化を同時に達成することにより
一般に製造される。粉砕は、スタンプミル、乾式ボール
ミル、湿式ボールミル、アトライター、振動ボールミル
などの装置を利用して、乾式または湿式で実施すること
ができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】樹脂やゴムなどのポリ
マーへの導電性の付与は、金属質の導電性フィラーを溶
融または軟化状態のポリマー中に混合して均一に分散さ
せ、次いで適当な成形法により所望形状に成形して、必
要であれば加熱等によりポリマーを硬化させ、導電性フ
ィラーが均一に分布した成形体を得ることにより行われ
る。この場合、導電性フィラーがAg粉末や鱗片状Ag粉末
では、ポリマー内でのAg粉末のマイグレーション(移行
減少、Agが周囲に滲み出てくる)が生じやすく、導電特
性が経時変化するという欠点があった。Cu粉末を用いた
場合には、マイグレーションは生じにくいが、ポリマー
内部でCu粉末の酸化を生じ、導電特性が劣化するという
問題があった。
【0005】導電性フィラーを配合した導電性ペース
ト、塗料またはインキの場合には、これを適当な基板
(例、セラミック基板)上に塗布し、加熱してバインダ
ーを乾燥・硬化させ、場合によってはさらに焼成するこ
とによって、所望の部品(例、回路、コネクター、電極
など)が形成される。この場合も、フィラーがAg粉末や
鱗片状Ag粉末では、マイグレーションにより導電特性が
経時変化し、Cu粉末では酸化により導電特性が劣化する
という問題があった。
【0006】導電性ペースト、塗料またはインキをセラ
ミック基板に適用して回路形成する場合には、導電性フ
ィラーとしてAg粉末を少量のPd粉末またはPt粉末と混合
して使用し、焼成温度を800 ℃以上と高くすることによ
って、焼成時に基板上で金属を溶解させてAg−Pd合金ま
たはAg−Pt合金を基板上に形成することが知られてい
る。それにより、Agのマイグレーションの問題を防止な
いし軽減することができる。混合粉末として、例えば、
Pdでは Ag 85%と Pd 15%との混合粉末、PtではAg 95
%とPt 5%との混合粉末 (いずれも重量%) を使用する
ことができる。しかし、ペースト、塗料またはインキ中
に2種類の粉末を所望の割合で混合しても、両者を材料
内に均一に分散させることが難しい。そのため、焼成後
に基板上に形成された回路を微視的にみると、合金の形
成にムラがあり、完全にAgのマイグレーションを防止す
ることが困難である。
【0007】しかも、この方法は焼成により合金化しな
ければならないため、加熱 (焼成)を800 ℃以上の高温
で行う必要があり、このような温度ではバインダーはほ
ぼ完全に除去される。従って、加熱温度を低くしてバイ
ンダーが残留したフレキシブルな導電性部品(例、電
極、コネクター等)を製造する場合には、この方法を適
用することはできない。
【0008】本発明は、少量の合金元素の配合でAgのマ
イグレーションが効果的に防止され、かつフレキシブル
な導電性部品の製造に利用することができる、安価で特
性の優れたAg系導電性フィラーを提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Agのマイ
グレーションの防止手段について検討した結果、Agを予
めPdと合金化した、偏平な鱗片状Ag−Pd合金粉末が導電
性フィラーとして有効であることを知り、特願平4−10
208 号において、鱗片状Ag−Pd合金粉末を用いた導電性
フィラーを提案した。
【0010】その後の研究により、Pdの代わりにPtを用
いた鱗片状のAg−Pt合金粉末も、導電性フィラーとして
同様に有効であることを知見し、本発明に到達した。Pt
はPdより高価であるが、Agマイグレーション防止効果を
得るのに必要な合金元素の含有量がPdより少量ですむた
め、かえって経済的である。
【0011】ここに、本発明の要旨は、平均粒径 0.1〜
100 μm、鱗片平面での短軸/長軸比が1〜0.1 、厚さ
10μm以下の鱗片状形状を有する、Pt 1〜20重量%、残
部Ag及び不可避不純物のAg−Pt合金粉末からなる導電性
フィラーにある。
【0012】ここで、鱗片状形状とは平均粒径/平均厚
み比が5以上、通常は500 以下程度であることを意味す
る。本発明の鱗片状粉末の寸法については、走査式電子
顕微鏡(SEM)により数百個の鱗片粒子の厚みおよび
鱗片平面の短軸と長軸の寸法を測定し、各粒子の短軸と
長軸の中間値を全粒子について平均したものを平均粒
径、厚みの平均値を平均厚みとする。上記の短軸/長軸
比も、平均で1〜0.1 の範囲内にあればよい。鱗片状粉
末の三次元寸法のうち、最小値を厚み、中間の値を短
軸、最大値を長軸とする。
【0013】この導電性フィラーは、Pt 1〜20重量%、
残部Ag及び不可避不純物からなる原料Ag−Pt合金粒子
を、機械的粉砕により偏平化して鱗片状粉末とするか、
或いは上記組成の溶融Ag−Pt合金を直接鱗片状に加工す
ることにより製造できる。
【0014】本発明によればまた、ポリマー中に上記導
電性フィラーを含む導電性ポリマー;バインダーと上記
導電性フィラーとを含む導電性ペースト、塗料またはイ
ンキ;ならびにポリマー中に一方向に配向した上記導電
性フィラーを含む成形体、薄膜又は塗膜も提供される。
【0015】
【作用】本発明の構成をその作用とともに説明する。本
発明の導電性フィラーは、Pt 1〜20重量%、残部Ag及び
不可避不純物のAg−Pt合金粉末からなる。配合前に合金
化しておくことで、フィラー全体の合金化度が均一とな
り、PtによるAgのマイグレーション防止効果が有効に発
揮できる。しかし、Pt含有量が1重量%未満では、Ptと
の合金化によるAgマイグレーションの防止効果が不十分
である。一方、Pt含有量が20重量%を超えると、Agマイ
グレーションの防止効果が飽和し、いたずらに高価にな
る。好ましいPt含有量は2〜10重量%の範囲内であり、
合金元素がPdである場合に比べてPtの含有量はより少量
でよい。
【0016】本発明の鱗片状形状を有する導電性フィラ
ーは、原料となるほぼ球形のAg−Pt合金粒子を、ボール
ミルなどの粉砕機で機械的に粉砕することにより、微粉
砕と偏平化と同時に達成することにより製造することが
できる。
【0017】原料Ag−Pt合金粒子の製造方法は特に制限
されないが、所定組成となるようにAg金属とPt金属とを
混合して電気炉などで溶融し、この溶融Ag−Pt合金をア
トマイズ法で粉末化することにより製造することが簡便
である。アトマイズ法としては、水アトマイズ法とガス
アトマイズ法のいずれも採用できる。一般には原料粒子
の平均粒径は5〜150 μmの範囲内が好ましい。
【0018】機械的粉砕及び鱗片状に加工するのに用い
る粉砕機としては、乾式ボールミル、湿式ボールミル、
スタンプミル、アトライター、振動ボールミルなど、従
来より鱗片状金属粉末の製造に使用されてきたものをい
ずれも使用できる。粉砕は、必要に応じて、粒子の凝集
を避けるために粉砕助剤の存在下で行うことができる。
粉砕助剤としては、公知の任意のものを使用できるが、
特開平2−52049 号に記載のように、炭素数5以上のカ
ルボン酸またはその金属塩が粉砕助剤として特に好適で
ある。また、湿式粉砕の場合の粉砕媒質としては、アル
コール類、炭化水素類などの有機溶剤が使用できる。
【0019】この機械的粉砕及び鱗片状化における粉砕
および偏平化の度合いは、ボールの粒径 (ボールミルの
場合) 、粉砕時間、及び使用する粉砕媒質の種類に依存
するので、所定の鱗片形状 (平均粒径、短軸/長軸比、
厚み)が得られるようにこれらの条件を設定する。
【0020】本発明の鱗片状の導電性フィラーの別の製
造方法として、所定組成の溶融Ag−Pt合金を冷却された
回転ロールに噴射して直接鱗片状の粒子を得ること可能
である。この場合には、上記の機械的粉砕方法に比べて
一般に厚みの大きい鱗片状粉末が生成する傾向があるの
で、必要であればさらに粉砕してもよい。
【0021】このようにして製造することができる、本
発明の鱗片状Ag−Pt合金粉末は、平均粒径が 0.1〜100
μm (好ましくは 0.5〜30μm) 、短軸/長軸比 (鱗片
状平面での短軸と長軸の比) が1〜0.1 (好ましくは1
〜0.3)、厚さが10μm以下 (好ましくは1μm以下) で
ある。このような鱗片状Ag−Pt合金粉末はこれまでに報
告されたことがない。上記の製造方法によれば、粉砕後
に分級を行わなくても上記寸法を持った鱗片状粉末を直
接得ることができるが、必要であれば粒度調整のために
分級を行ってもよい。
【0022】鱗片状粉末の平均粒径が0.1 μm未満で
は、粒子相互の凝集を防ぐことができず、均一な分散が
困難となる。平均粒径が100 μmを超えるか、厚みが10
μmを超えると、粒子が粗大すぎて、やはりポリマーや
バインダー中に均一に分散しにくくなる。また、鱗片状
平面の短軸/長軸比が上記範囲外であると、導電性に問
題が出てくる。
【0023】本発明の鱗片状Ag−Pt合金粉末からなる導
電性フィラーは、従来の導電性フィラーと同様の方法
で、導電性ポリマーや導電性ペースト、塗料およびイン
キの製造に使用することができる。
【0024】鱗片状Ag−Pt合金粉末を含有する導電性ポ
リマーを得るには、この鱗片状合金粉末を導電性フィラ
ーとして、溶融ポリマー中に混合するか、或いは軟化し
たポリマー中にロールミル等により練り込むことによ
り、ポリマー中に均一に分散させればよい。ポリマーの
種類は特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
シリコーン樹脂、天然および合成ゴムなどから、用途に
応じて選択すればよい。導電性ポリマーには、ポリマー
とAg−Pt合金粉末以外に、他の成分 (例、強化材、他の
フィラー、顔料、酸化防止剤、カップリング剤等) を配
合してもよい。
【0025】導電性ポリマーにおける鱗片状Ag−Pt合金
粉末の配合量は、最終用途に要求される導電性の程度や
樹脂種に応じて変動するが、一般にはポリマー(樹脂
分)と合金粉末との合計量に対して50〜80重量%、特に
75〜80重量%の範囲内が好ましい。この導電性ポリマー
を、樹脂種や成形形状に応じて適当な方法で成形し、必
要により加熱 (または紫外線や電子線の照射) によりポ
リマーを硬化させることにより、例えば、電卓の電極、
液晶ディスプレイの外部コネクター等として有用な導電
性ポリマー成形体が製造される。成形体の形状は、フィ
ルム(薄膜)、繊維、棒、板、管、立体成形品などのい
ずれも可能である。
【0026】導電性ペーストは、鱗片状Ag−Pt合金粉末
を、適当なバインダー樹脂(例、ウレタン樹脂等)およ
び必要により所定粘度に調整するための少量の溶剤
(例、炭化水素類)と予備混合し、次いでロールミル、
サンドミル等を使用して、合金粉末を均一にバインダー
中に分散させることにより製造できる。
【0027】導電性塗料やインキも、導電性フィラーと
して本発明の鱗片状Ag−Pt合金粉末を使用すること以外
は、従来の導電性塗料またはインキと同様に製造でき
る。使用するバインダー樹脂、着色剤その他の添加剤も
従来の塗料またはインキで使用されてきた任意のもので
よい。
【0028】導電性ペースト、塗料またはインキにおけ
る鱗片状Ag−Pt合金粉末の配合量も、バインダーの樹脂
分と合金粉末との合計量に対して50〜80重量%、特に75
〜80重量%の範囲内が好ましい。これらの導電性ペース
ト、塗料およびインキを適当な基板 (または基体) 上に
塗布または印刷し、次いで通常は加熱して溶剤を除去
し、バインダー樹脂が熱硬化性の場合には樹脂を硬化さ
せる。それにより、鱗片状導電性フィラーがバインダー
中に均一に分布した導電層 (薄膜、塗膜など) が形成さ
れる。この導電層もやはり、電極、コネクターなどとし
て有用である。加熱温度は、溶剤やバインダー樹脂の種
類により適当に選択すればよい。
【0029】本発明の好適態様にあっては、鱗片状Ag−
Pt合金粉末を含む導電性ポリマーの成形時または硬化
時、或いはこの粉末を含む導電性ペースト、塗料または
インキの塗布時または硬化時に、磁場および/または圧
力を適用することによって、ポリマーまたはバインダー
中に鱗片状Ag−Pt合金粉末を層状に一方向に配向させ
る。こうすると、粉末間の接触面積が増大し、その接触
抵抗が減少して、より低抵抗 (高導電性) の成形体また
は導電層を得ることができる。
【0030】
【実施例】本発明の構成・効果を実施例により具体的に
説明するが、これにより本発明が限定されるものではな
い。なお、実施例中、%は特に指定のない限り重量%で
あり、鱗片状のAg−Pt合金粉末の平均粒径はレーザー散
乱法により、その短軸/長軸および鱗片厚さはSEM写
真により測定した。
【0031】実施例1 (a) 鱗片状Ag−Pt合金粉末の製造 銀9.5 kg、白金0.5 kgをArガス雰囲気下で黒鉛るつぼ
を使用して溶融し、この溶融物を高圧水アトマイズ法に
より粉末化し、平均粒径20μmのほぼ球形のAg−Pt合金
粒子 (Pt5%、残部Agおよび不可避不純物) を得た。こ
の球形のAg−Pt合金粒子200 gを、湿式ボールミル粉砕
機 (粒径5mmのアルミナ製ボール) により、粉砕媒質と
してメチルアルコール800 g、分散助剤としてステアリ
ン酸2gを使用して約144 時間粉砕処理することによ
り、粒子の微粉砕および偏平化を行なった。
【0032】得られたPt5%の鱗片状のAg−Pt合金粉末
の平均粒径は1.5 μmであった。また、図1に示すSE
M写真より測定して、鱗片平面での短軸/長軸の比は0.
55、鱗片の厚さは0.4 μmであった。
【0033】(b) 導電性ポリマーの製造 この鱗片状Ag−Pt合金粉末を導電性フィラーとして用
い、シリコーン系ゴムにゴムとフィラーの合計量に対し
て50%の割合で添加し、ロールミルを用いてゴムに均一
に練り込み、ガラス基体の上にバーコーターによりフィ
ルム状に成形し、120 ℃×1時間の加熱により硬化さ
せ、厚さ60μmの薄膜を製作した。この薄膜の体積抵抗
値は 9.8×10-4Ω・cmであった。
【0034】また、加熱硬化時にフィルムに磁場 (強度
10 kOe) を印加して、鱗片状Ag−Pt合金粉末を層状に一
方向配向させた以外は、上記と同様に薄膜を製作した。
この薄膜の体積抵抗値は 7.5×10-4Ω・cmであった。
【0035】(c) 導電性ペーストの製造 上で得た鱗片状Ag−Pt合金粉末を導電性フィラーとして
用い、バインダーのポリウレタン系樹脂にフィラーとバ
インダーとの合計量に対して68%の割合で混合し、適量
の溶剤(シクロヘキサンとトルエンの混合溶剤)を加え
てサンドミルで分散させ、室温で粘度520 cps の導電性
ペーストを作成した。このペーストをセラミック基板に
塗布し、電気炉中で80℃×2時間の乾燥を行って溶剤を
蒸発させた後、180 ℃×4時間30分の加熱により焼付
(樹脂硬化) を行って、Ag−Pt合金粉末がバインダーで
結合された導電性塗膜 (膜厚10μm) を作成した。この
塗膜の表面抵抗値は 1.0×10-3Ω/□であった。また、
乾燥前に上記(b) と同様に磁場を印加して鱗片状Ag−Pt
合金粉末を層状に一方向配向させた導電性塗膜の表面抵
抗値は 7.2×10-4Ω/□であった。
【0036】(d) 上記(b) および(c) で得た導電性薄膜
および塗膜は、それぞれ導電性フィラーとしてほぼ同様
の鱗片状形状のAg粉末を使用した場合に比べて、Agマイ
グレーションを起こすまでの時間(以下、マイグレーシ
ョン時間という)が約5倍に延長された。マイグレーシ
ョン時間は、試料となる導電膜に一定の電圧を印加し、
マイグレーションによる導通によって、それまでは不導
通によりほぼ0であった電流の立ち上がりが認められる
までの時間として測定した。この時間が長いほど、耐マ
イグレーション性に優れている。
【0037】実施例2 (a) 銀9.5 kg、白金0.5 kgをArガス雰囲気下で黒鉛る
つぼを使用して溶融し、得られた溶融物を高圧水アトマ
イズ法により粉末化し、平均粒径48μmのほぼ球形のAg
−Pt合金粒子 (Pt5%、残部Agおよび不可避不純物) を
得た。この球形のAg−Pt合金粒子200 gを実施例1で用
いた湿式ボールミル粉砕機により、粉砕媒質としてメチ
ルアルコール1010g、分散助剤としてステアリン酸8g
を使用して約84時間粉砕処理することにより、粒子の微
粉砕および偏平化を行なった。得られたPt5%の鱗片状
のAg−Pt合金粉末の平均粒径は15μm、鱗片平面での短
軸/長軸の比は0.8 、鱗片の厚さは1.2 μmであった。
【0038】(b) この鱗片状Ag−Pt合金粉末を導電性フ
ィラーとして使用して、実施例1(c)に記載したのと同
様の方法でペースト化し、導電性塗膜を作製したとこ
ろ、得られた塗膜の表面抵抗値は、未配向で 5.4×10-3
Ω/□、一方向に配向したものは4.1×10-3Ω/□であ
った。
【0039】こうして得た導電性塗膜は、導電性フィラ
ーとしてほぼ同様の鱗片状形状のAg粉末を使用した場合
に比べて、マイグレーション時間がやはり約5倍に延長
された。
【0040】(c) 上記(a) で得た鱗片状Ag−Pt合金粉末
を導電性フィラーとして使用し、上記(b) と同様に、但
しフィラー充填率を68%から変化させて導電性塗膜を作
製し、得られた塗膜 (未配向) の表面抵抗を測定した結
果を図2にAとして示す。比較のために、導電性フィラ
ーとして、平均粒径は約15μmと同じであるが、ほぼ球
形のAg−Pt合金粉末(実施例1の粉砕扁平化前の粉末)
を使用し、同じ方法で得た導電性塗膜 (未配向) の表面
抵抗の測定結果を図2にBとして示す。
【0041】図2からわかるように、同じ充填量で比べ
て、導電性フィラーの形状が鱗片状であると、球形の従
来のAg−Pt合金フィラーに比べて著しく表面抵抗が低下
(導電性が増大) することがわかる。
【0042】実施例3 (a) 銀9.5 kg、白金0.5 kgをArガス雰囲気下で黒鉛る
つぼを使用して溶融し、得られた溶融物を高圧ガスアト
マイズ法により粉末化し、平均粒径150 μmのほぼ球形
のAg−Pt合金粒子 (Pt5%、残部Agおよび不可避不純
物) を得た。この球形のAg−Pt合金粒子200 gを実施例
1で用いた湿式ボールミル粉砕機により、粉砕媒質とし
てメチルアルコール400 gを使用して約46時間粉砕処理
することにより、粒子の微粉砕および偏平化を行なっ
た。得られたPt5%の鱗片状のAg−Pt合金粉末の平均粒
径は100 μm、鱗片平面での短軸/長軸の比は0.8 、鱗
片の厚さは6.2 μmであった。
【0043】(b) この鱗片状Ag−Pt合金粉末を導電性フ
ィラーとして使用して、実施例1(b)と同様の方法でシ
リコーンゴムに練り込んでフィルム化し (但し、フィラ
ー充填量は49%) 、さらに180 ℃×4時間30分の加熱に
より硬化させて、厚さ200 μmの導電性薄膜を作製し
た。この薄膜の体積抵抗値は未配向で 8.2×10-3Ω・c
m、実施例1と同様に配向処理した場合には 7.5×10-3
Ω・cmであった。
【0044】こうして得た導電性薄膜は、導電性フィラ
ーとしてほぼ同様の鱗片状形状のAg粉末を使用した場合
に比べて、マイグレーション時間が約5倍に延長され
た。
【0045】実施例4 (a) 湿式ボールミルでの粉砕処理時間を75時間に短縮し
た以外は、実施例1と同様にして、Pt5%の鱗片状のAg
−Pt合金粉末を作成した。この鱗片状粉末の平均粒径は
5.0 μm、短軸/長軸比は約0.6 、鱗片の厚さは約1μ
mであった。
【0046】(b) この鱗片状Ag−Pt合金粉末を、実施例
3(b) と同様にシリコーンゴムに練り込み、フィルム化
し、加熱硬化させて、厚さ200 μmの導電性薄膜を製作
した。この薄膜の体積抵抗値は未配向で 3.6×10-3Ω・
cm、実施例1と同様に一方向配向処理した場合には 1.9
×10-3Ω・cmであった。
【0047】こうして得た導電性薄膜は、導電性フィラ
ーとしてほぼ同様の鱗片状形状のAg粉末を使用した場合
に比べて、マイグレーション時間が約5倍に延長され
た。
【0048】
【発明の効果】本発明の鱗片状Ag−Pt合金粉末からなる
導電性フィラーは、少量のPtと合金化したことにより、
使用中のAgのマイグレーションが抑制され、これを用い
て導電性が安定した導電性ポリマーならびに導電性ペー
スト、塗料およびインキを安価に製造することができ
る。しかも、本発明の導電性フィラーは、AgがPtと予め
合金化されていることから、Ag粉末とPt粉末との混合粉
末を使用する場合に見られた合金形成のムラがなく、同
じPt含有量で比べてAgマイグレーション防止効果が高く
なる上、バインダーを残留させたフレキシブルな導電体
の製造や導電性ポリマーによる成形体の製造にも使用で
きる。従って、本発明の導電性フィラーは多様な用途に
利用できるが、特にフレキシブルな電極、コネクターな
どの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た本発明の導電性フィラーの粒子
構造を示すSEM(走査式電子顕微鏡)写真である。
【図2】本発明の鱗片状Ag−Pt合金粉末からなる導電性
フィラーを各種の充填量で含む導電性塗膜の表面抵抗値
(A) を、従来のほぼ球形のAg−Pt合金粉末からなる導
電性フィラーを使用した場合 (B) と比較して示すグラ
フである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 鱗片状Ag−Pt合金導電性フィラー
とその用途
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B02C 17/00 D 9042−4D (72)発明者 土木田 芳彦 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社商品企業化センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径 0.1〜100 μm、鱗片平面での
    短軸/長軸の比が1〜0.1 、厚さ10μm以下の鱗片状形
    状を有する、Pt 1〜20重量%、残部Ag及び不可避不純物
    のAg−Pt合金粉末からなる導電性フィラー。
  2. 【請求項2】 ポリマー中に請求項1記載の導電性フィ
    ラーを含むことを特徴とする導電性ポリマー。
  3. 【請求項3】 バインダーと請求項1記載の導電性フィ
    ラーとを含むことを特徴とする導電性ペースト、塗料ま
    たはインキ。
  4. 【請求項4】 ポリマーまたはバインダー中に一方向に
    配向した請求項1記載の導電性フィラーを含む成形体、
    薄膜または塗膜。
JP30306893A 1992-12-02 1993-12-02 鱗片状Ag−Pt合金導電性フィラーとその用途 Withdrawn JPH06223615A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111739675A (zh) * 2020-06-19 2020-10-02 潮州三环(集团)股份有限公司 一种厚膜电阻浆料
WO2021244060A1 (zh) * 2020-06-01 2021-12-09 潮州三环(集团)股份有限公司 一种厚膜电阻浆料

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WO2021244060A1 (zh) * 2020-06-01 2021-12-09 潮州三环(集团)股份有限公司 一种厚膜电阻浆料
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