JPH06222616A - 電子写真用トナ− - Google Patents

電子写真用トナ−

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JPH06222616A
JPH06222616A JP50A JP922193A JPH06222616A JP H06222616 A JPH06222616 A JP H06222616A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 922193 A JP922193 A JP 922193A JP H06222616 A JPH06222616 A JP H06222616A
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JP
Japan
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resin
acid
toner
dye
polyester
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Application number
JP50A
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English (en)
Inventor
Satoshi Maeda
郷司 前田
Yasunari Hotsuta
泰業 堀田
Minako Yuuchi
美奈子 有地
Yozo Yamada
陽三 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH06222616A publication Critical patent/JPH06222616A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 色相、各種堅牢度、環境安定性に優れる電子
写真用カラ−トナ−の提供。 【構成】 アニオン性基含有樹脂粒子を水系にてシアニ
ン系塩基性染料、例えば「C.I.Basic Yel
low 13」で染色することによりトナ−を得る。樹
脂に存在するアニオン性基と塩を形成する形態において
染料のカチオン部分が含有され、かつ、対イオンである
塩素イオンが含有されないため環境安定性に優れ、また
高彩度、高堅牢性を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式の複写
機、レ−ザ−プリンタ、等における現像剤に用いられる
電子写真用トナ−に関し、さらに詳しくは、カラ−画像
形成用プロセスカラ−トナ−に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式は、複写機、ファクシミ
リ、レ−ザ−プリンタ等に広く用いられてきている。さ
らに近年では電子写真方式のカラ−化が進められてきて
いる。電子写真方式においてカラ−画像を形成するため
に用いられるカラ−トナ−にはプロセスカラ−、すなわ
ちイエロ−、マゼンタ、シアン、なる減法混色の三原色
に着色されたトナ−が用いられる。トナ−は一般に、熱
可塑性樹脂に着色剤、荷電制御剤、流動性改質剤、粉砕
補助剤、等を加えて混練した後に粉砕、さらに分級す
る、いわゆる粉砕法によって作製されている。着色剤と
しては顔料あるいは染料が用いられる。着色剤として特
にイエロ−に着目した場合、顔料としてはジクロルベン
ジジン系顔料が多く使用される。しかしながら、顔料に
よる着色では、色材は単にトナ−の結着剤樹脂に分散し
ているのみであるため透明性に劣る。そのため複数の色
を重ねた場合の色再現性が不十分であり、中間色の再現
域が狭くなってしまう。また透明性の影響は、特にオ−
バ−ヘッドプロジェクタ用の透明シ−ト上に画像を形成
した場合に顕著に現れる。すなわちトナ−層の透明性が
劣るために投影された画像は薄暗く濁った色調となり、
中間色ばかりか、原色の再現さえも阻害されてしまう。
透明性の問題は、顔料粒子の粒径を光の波長以下、すな
わちサブミクロン程度に小さくすることにより、ある程
度は改善が可能である。しかしながら、顔料をサブミク
ロンサイズにまで粉砕することは困難であり、コストが
著しく上昇する。またサブミクロン程度にまで粉砕され
た顔料を樹脂に均一に分散することは困難であり、実際
問題としては樹脂中においてある程度凝集した集合体と
して存在し、粉砕した効果を十分に生かすことはできな
い。着色剤として染料を用いた場合には、透明性が高く
鮮明な色調が得られることが期待されるため、染料をカ
ラ−トナ−の着色剤として用いる提案が多くなされてい
る。特定の染料を用いることを特徴とする特許提案は多
数なされているが、その多くは油溶性染料、あるいは分
散染料に分類される染料である分散染料と油溶性染料は
ともに水不溶性の染料であり、使用方法により分類され
ているのみで、本質的な差異はほとんどない。これら水
不溶性染料は元来樹脂の着色用として用いられてきた染
料であり、樹脂に固溶した状態で着色が行われるため透
明な着色が可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】水不溶性染料としては
メチン系、キノフタロン系、アントラキノン系、アゾ系
等に分類される染料を着色剤として用いる提案がされて
いる。一例として特開昭59−57256公報にはロ−
ダミン系油溶性染料として知られるC.I.Solve
nt Red 49とアントラピリドン系油溶性染料
(一例としてC.I.Solvent Red 52)
とを着色剤として用いる電子写真用トナ−が提案されて
いる。これら油溶性染料は樹脂と固溶した状態にて存在
し、樹脂との間に特に強い相互作用を持たないため、ト
ナ−樹脂が塩ビシ−ト、消しゴム等に含まれる可塑剤に
より可塑化した場合に染料がブリ−ドしやすいという問
題点を有している。また一部の染料は定着用シリコ−ン
ゴムロ−ラ−に浸透しやすくロ−ラ−表面の離型性を減
少させ、オフセットを早期に発生させやすいという問題
点を有している。
【0004】定着用シリコ−ンゴムロ−ラ−への浸透に
起因する問題点を解決することを目的とし、油溶性染料
以外の染料をカラ−トナ−用着色剤として用いる試みが
なされている。特開昭62−15555公報には、ロ−
ダミン系染料(C.I.BasicRed 1)を含有
することを特徴とするカラ−電子写真用マゼンタトナ−
が提案されている。例示された染料は塩基性染料に分類
されるものである。同様に特開昭62−15556公報
には(C.I.Basic Violet 11)が、
特開昭62−15557公報には、(C.I.Basi
c Violet10)が例示されている。上記3件の
提案には共通して本文および実施例に、塩基性染料(染
料の主体であるカチオン部分と塩素イオンとの塩)その
ものを結着材樹脂に直接溶融混練し粉砕分級して得られ
たトナ−を用い、試験した結果、シリコ−ンロ−ルへの
該染料の浸透は皆無であったと記載されている。確かに
塩の形のままで含有されていれば結着材樹脂に単に分散
しているのみであり染料の樹脂中での拡散は生じないた
め染料のブリ−ドは抑えられる。しかしながら、元来か
かる塩基性染料塩は水溶性であるため吸湿性を示し、特
にトナ−の帯電特性の環境安定性に悪影響が出ることが
懸念される。また得られた画像に水分(汗等)が触れた
場合に染料が溶出し、画像のニジミ、手指の汚染等につ
ながることが容易に類推される。さらに、染料が樹脂に
単に分散しているのみであればその着色は顔料による場
合と同様であり透明な着色とはならず、染料本来の特性
を発揮させているとは云えない。
【0005】特公昭59−26017公報には、酸価5
−120の樹脂100重量部に対し、塩基性染料5−1
00重量部を混合熱処理した「着色剤」を実質的に酸価
を有しない結着材樹脂中に『分散』してなるカラ−トナ
−が提案されている。本文、実施例によれば、塩基性染
料のカチオン部分が樹脂中の酸価として測定されるカル
ボキシル基−COOHの H+ (プロトン)に置換した
形の樹脂酸塩を形成した形態にて存在するとされ、かか
るトナ−を用いた場合連続複写性、保存安定性が優れる
とある。本文、実施例中に例示されたトナ−製法によれ
ば、この場合にも塩基性染料塩と樹脂とは単に直接溶融
混練されたのみであり、現実に塩基性染料のカチオン部
分すべてが樹脂中のカルボキシル残基と塩を形成してい
るとは考えがたい。カルボキシル残基との塩の形成にか
かわらない染料塩は前述したと同様の問題点を有してい
る。また塩を形成しているとすれば、塩基性染料のアニ
オン部分(通常はハロゲンイオン、多くは塩素イオン)
と H+ プロトンとにより形成されるハロゲン酸(塩酸
等)が「着色剤」に残存し、生産設備類、作業環境、複
写機内部の汚染(キャリア、感光体、チャ−ジャ−、定
着ロ−ル、変質)、定着された紙の変質、使用環境の汚
染等の問題を生じることが容易に類推される。
【0006】油溶性染料以外の染料をトナ−の一成分と
して用いる例として、特開昭53−80234公報に、
ポリエステル樹脂とポリスチレン樹脂の混合物からなる
結着材樹脂に染料を「分散」してなる電子写真捺染用の
トナ−の提案がある。特にアクリル繊維用の捺染用トナ
−としてカチオン染料(塩基性染料の別称)が使用され
るとあり、本文中に市販塩基性染料の商品名がいくつか
あげられている。さて電子写真捺染とは、布上に電子写
真方式を用いてトナ−画像を形成し、蒸熱(スチ−ミン
グ)によりトナ−に含有される染料を布側に転写染着
し、トナ−樹脂分を除去することにより捺染を行うもの
である。この発明の主旨からして、トナ−に含有される
染料は結着材樹脂から容易に離脱することが必要であ
り、トナ−の結着材樹脂と染料は単に分散混合している
のみの状態が要求され、トナ−結着材樹脂と染料の間に
はイオン結合、共有結合などの強い相互作用が働いてい
てはならない訳である。実施例中にも染料のトナ−への
配合方法として単なる溶融混合が用いられているに過ぎ
ない。かかるトナ−を通常の紙上への画像形成に用いた
場合には、これまで述べてきたと同様の問題が存在する
わけである。これらの問題点ゆえに、カラ−トナ−用の
着色剤として、本来顔料より染料が好ましいにもかかわ
らず、着色剤としての染料の特徴を十分に発揮させたカ
ラ−トナ−は未だ得られていないのが現状である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる状況
に鑑み、着色剤として染料を用い、染料の特徴である透
明かつ高彩度の着色を実現すると同時に、電子写真用ト
ナ−としての適性をも満足するトナ−を実現すべく鋭意
研究を重ねた結果次なる発明に到達した。すなわち本発
明は、シアニン系塩基性染料に分類される染料にて染色
された樹脂を有効成分とすることを特徴とする電子写真
用トナ−である。本発明は特にプロセスカラ−用トナ−
の内のイエロ−トナ−に好ましく適用できる。この場合
特に好ましいシアニン系塩基性染料としては「C.I.
Basic Yellow13」に分類される染料を用
いることができる。また本発明はマゼンタトナ−にも適
用できる。この場合好ましいシアニン系塩基性染料は
「C.I.Basic Red 14」に分類される染
料である。また容易に類推されることであるが、これら
の染料を配合して得られるレッドトナ−、ブラックトナ
−等も本発明の範囲に含まれる。かかる染料は通常は染
料の主体であるカチオン部分とその対イオンであるアニ
オン(多くは塩素イオンを主とするハロゲンイオン)と
の水溶性の塩の構造を有し、さらに市販品には濃度調整
のために他の無機塩(塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム
等)が配合されている。
【0008】本発明においては、これら塩基性染料のカ
チオン部分のみが、高分子鎖の側鎖、およびまたは末端
に存在するアニオン性基と塩を形成する形態においての
みトナ−に含有され、対イオンであるアニオンが実質的
に含有されないことが好ましい。かかるアニオン、より
実質的にはハロゲンイオン(ハロゲン酸、あるいはアル
カリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンとの塩の形態
での)が「実質的に含有されない」とは、より定量的に
は5当量/1000kg以下、好ましくは2当量/10
00kg以下、さらに好ましくは0.5当量/1000
kg以下、なおさらに好ましくは0.05当量/100
0kg以下であることを意味するものとする。かかるア
ニオンはトナ−から水にて抽出され、イオンクロマトグ
ラフ等の方法により定量される。
【0009】本発明は結着材樹脂の種類をなんら限定す
るものではなく、スチレン−アクリル酸エステル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリアクリ
ル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のビニル系
樹脂、ポリエステル系、ポリアミド系等の縮合系樹脂、
あるいはエポキシ系樹脂等、トナ−として用いられてい
る公知のあらゆる樹脂を用いることができる。しかしな
がら本発明はポリエステル系樹脂と組合せることによ
り、より好ましい結果を得ることができる。ポリエステ
ル系樹脂としては飽和ポリエステル系樹脂、不飽和ポリ
エステル系樹脂いずれも用いることができる。本発明に
おけるポリエステル樹脂とは、主として、多価カルボン
酸樹脂とグリコ−ル成分とからなる。ポリエステル樹脂
に用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、テレ
フタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナ
フタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイ
ソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレ
ン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕
イソフタル酸、スルホテレフタル酸、およびまたはそれ
らの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジカルボン
酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)
安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカル
ボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマ−ル酸、マレイン
酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロ
フタル酸、等の不飽和脂肪族、および、脂環族ジカルボ
ン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリメリッ
ト酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多
価カルボン酸等を例示できる。
【0010】ポリエステル樹脂に用いられる多価アルコ
−ル類としては脂肪族多価アルコ−ル類、脂環族多価ア
ルコ−ル類、芳香族多価アルコ−ル類等を例示できる。
脂肪族多価アルコ−ル類としては、エチレングリコ−
ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−
ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−
ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ
−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−
ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタ
ン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエル
スリト−ル等のトリオ−ルおよびテトラオ−ル類等を例
示できる。脂環族多価アルコ−ル類としては1,4−シ
クロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、
水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物お
よびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジ
オ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ル等を例示でき
る。
【0011】芳香族多価アルコ−ル類としてはパラキシ
レングリコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシ
レングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,
4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加
物、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオ
キサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等を
例示できる。さらにポリエステルポリオ−ルとして、ε
−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られ
る、ラクトン系ポリエステルポリオ−ル類等を例示する
ことができる。ポリエステル高分子末端の極性基を封鎖
し、トナ−帯電特性の環境安定性を改善する目的におい
て単官能単量体がポリエステルに導入される場合があ
る。単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香
酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ
安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナト
リウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、
n-ドデシルアミノカルボニル安息香酸、タ−シャルブチ
ル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香
酸、3メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、
フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、
オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およ
びこれらの低級アルキルエステル、等のモノカルボン酸
類、あるいは脂肪族アルコ−ル、芳香族アルコ−ル、脂
環族アルコ−ル等のモノアルコ−ルを用いることができ
る。
【0012】本発明におけるポリエステル樹脂のより具
体的な例として、(1) 芳香族系単量体を80mol%以上含
有する多価カルボン酸類、と、エチレングリコ−ル0〜
90mol%、プロピレングリコ−ル100〜10mol%とか
ら得られるポリエステル樹脂、(2) 芳香族系単量体を8
0mol%以上含有する多価カルボン酸類、と、2,3−ブ
タンジオ−ル5〜80mol%、エチレングリコ−ル20〜
95mol%とから得られるポリエステル樹脂、(3) 芳香族
系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類、
と、C2 〜C4の脂肪族系グリコ−ル類70〜95mol
%、トリシクロデカン骨格を有するモノand/or多価アル
コ−ル類5〜30mol%とから得られるポリエステル樹
脂、(4) 芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カ
ルボン酸類、と、C2 〜C4の脂肪族系グリコ−ル類7
0〜95mol%、ヒドロキシメチルトリシクロデカン5〜
30mol%とから得られるポリエステル樹脂、(5) 芳香族
系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類、
と、C2 〜C4の脂肪族系グリコ−ル類70〜95mol
%、トリシクロデカンジメタノ−ル5〜30mol%とから
得られるポリエステル樹脂、(6) 芳香族系単量体を80
mol%以上含有する多価カルボン酸類、と、C2 〜C4の
脂肪族系グリコ−ル類70〜95mol%、シクロヘキサン
骨格を有するモノand/or多価アルコ−ル類5〜30mol%
とから得られるポリエステル樹脂、(7) 芳香族系単量体
を80mol%以上含有する多価カルボン酸類、と、C2 〜
C4の脂肪族系グリコ−ル類70〜95mol%、シクロヘ
キサンジオ−ル5〜30mol%とから得られるポリエステ
ル樹脂、(8) 芳香族系単量体を80mol%以上含有する多
価カルボン酸類、と、C2 〜C4の脂肪族系グリコ−ル
類70〜95mol%、水添ビフェノ−ル5〜30mol%とか
ら得られるポリエステル樹脂、(9) 芳香族系単量体を8
0mol%以上含有する多価カルボン酸類、と、C2 〜C4
の脂肪族系グリコ−ル類70〜95mol%、水添ビスフェ
ノ−ルA5〜30mol%とから得られるポリエステル樹
脂、(10)ナフタレン骨格を有するモノand/or二価以上の
カルボン酸1〜20mol%を含む芳香族系単量体を80mo
l%以上含有する多価カルボン酸類、と、C2 〜C4 の脂
肪族系グリコ−ル類70〜100mol%、脂環族系単量体
0〜30mol%を含有する多価アルコ−ル類、とから得ら
れるポリエステル樹脂、等を例示することができる。
【0013】ここに、「芳香族系単量体」はテレフタル
酸and/orイソフタル酸であることが好ましい。テレフタ
ル酸とイソフタル酸の比率は、テレフタル酸含有率/イ
ソフタル酸含有率=90〜40/10〜60[mol%]が
好ましく、さらに、テレフタル酸含有率/イソフタル酸
含有率=80〜50/20〜50[mol%]、またさらに
テレフタル酸含有率/イソフタル酸含有率=85〜60
/15〜40[mol%]が好ましい。本発明においては、
芳香族系単量体としてトリメリット酸and/orトリメシン
酸and/orピロメリット酸を2〜5mol%含有することがで
きる。本発明においてはかかる多価カルボン酸に加え、
さらに三価以上の多価アルコ−ルの併用を容認するもの
であるが、その目的はポリエステル樹脂の分子量分布を
広げるためであり、樹脂をゲル化させることが目的では
ない。樹脂のゲル化は特にポリエステル重合装置からの
樹脂の取り出しを困難とし、生産性の著しい低下を招
く。本発明においては実質的にゲル化が無く、より具体
的にはクロロホルム不溶分が0.5重量%以下、好まし
くは0.25重量%以下となることが必要である。
【0014】本発明におけるポリエステル樹脂は、芳香
族系単量体として、分岐アルキル基を置換基として有す
る安息香酸5〜20mol%を含有するすることが好まし
い。置換基として分岐アルキル基を有する安息香酸とし
てはタ−シャルブチル安息香酸の使用が好ましい。ポリ
エステル系樹脂の中でも特に好ましく用いられる樹脂
は、酸成分として芳香族多価カルボン酸を用い、アルコ
−ル成分として脂肪族、およびまたは脂環族の多価アル
コ−ルを用いたものである。本発明における樹脂の酸価
は5未満が好ましく、特にポリエステル樹脂の場合は、
酸価は3mgKOH/g以下であることが好ましく、1mg
KOH/gがさらに好ましく、なおさらに0.5mgKO
H/gを越えないように調整することが好ましい。
【0015】本発明に用いられる樹脂のガラス転移点は
40℃以上であることが好ましくさらには50℃以上、
またさらには60℃以上、なおさらには65℃以上であ
ることが好ましい。ガラス転移点がこれより低い場合に
は、取扱い中あるいは保存中に凝集する傾向がみられ、
保存安定性に問題を生ずる場合がある。また本発明に用
いられる樹脂の軟化点は80〜150℃の範囲であるこ
とが好ましい。樹脂の軟化温度をこれより低く抑えたト
ナ−においては、取扱い中あるいは保存中に凝集する傾
向がみられ、特に長期間の保存において、流動性が大き
く悪化する場合がある。軟化点がこれより高い場合には
定着性に支障をきたす。また定着ロ−ルを高温に加熱す
る必要が生じるために、定着ロ−ルの材質、ならびに複
写される基材の材質が制限される。
【0016】本発明においては、アニオン性基含有樹脂
を用いることが好ましい。アニオン性基としては、カル
ボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、もしく
はそれらの塩(水素塩、金属塩)等であり、好ましくは
カルボキシル基、スルホン酸アルカリ金属塩基である。
ビニル系ポリマ−の場合にはアクリル酸、メタクリル
酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性基含
有モノマ−を共重合することによりアニオン性基を導入
することができる。ポリエステル樹脂の場合にはアニオ
ン性基含有単量体を共重合することによりアニオン性基
の導入が可能である。ポリエステル樹脂に共重合可能な
スルホン酸金属塩基含有化合物としては、スルホテレフ
タル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル
酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5
〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩をあ
げることができる。また高分子末端に導入する場合には
スルホ安息香酸等を用いることができる。金属塩として
はLi、Na、K、Mg、Ca、Cu、Fe等の塩があ
げられ、特に好ましいものはNa塩である。樹脂がポリ
エステル系樹脂である場合には、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、あるいはスルホ安息香酸を用いることが
好ましい。またポリエステル重合の末期にトリメリット
酸を導入することによりポリエステル末端にカルボキシ
ル基を付加することができる。これらアニオン性基の含
有量は、特にこれを限定されるものではないが、概ね2
0〜5000当量/1000000g、好ましくは20
〜1000当量/1000000gがさらに好ましくは
50〜200当量/1000000gの範囲内が適当で
ある。
【0017】本発明の電子写真用トナ−を具体的に製造
する方法には特に限定はなく公知のトナ−製法から適当
なものを適宜選択して使用できる。しかしながら本発明
において好ましい形態である高分子鎖の側鎖およびまた
は末端に存在するアニオン性基と塩を形成する形態にお
いて塩基性染料のカチオン部分が含有され、かつ、塩基
性染料の対イオンであるアニオンが実質的に含有されな
い状態を実現するための具体的方法として、 (1) 塩基性染料を溶解した水系媒体中にてアニオン性基
含有樹脂をガラス転移温度以上に加熱した後に洗浄する
方法。 (2) 塩基性染料を溶解した水系媒体中にてアニオン性基
含有樹脂を溶剤にて膨潤およびまたは溶解し、その後洗
浄、脱溶剤をおこなう方法。 (3))塩基性染料をアニオン性基含有樹脂の水系ミクロ分
散体と混合し、アニオン性基含有樹脂を凝集させ、得ら
れた凝集体を洗浄する方法。 (4) アニオン性基含有樹脂粒子を分散型塩基性染料にて
染色する方法。 等を例示することができる。
【0018】これらの方法によれば、樹脂に含まれるア
ニオン性基は水系媒体中にて解離し、アニオン性基の対
イオンとして含まれていたカチオン(主に水素イオンま
たはアルカリ金属イオン)と塩基性染料のカチオン部分
とが置換し、アニオン性基含有樹脂と塩基性染料のカチ
オン部分との塩が形成される。と同時に、アニオン性基
含有樹脂に含まれていた対イオン(:水素イオンまたは
アルカリ金属イオン)と塩基性染料のアニオン部分(:
ハロゲンイオン)とはハロゲン酸、あるいは無機塩を形
成する。ハロゲン酸、あるいは無機塩は水溶性であるた
め樹脂内部には拡散せず、水洗等により容易に除去する
ことができる。かくして塩基性染料のカチオン部分は樹
脂に含まれるアニオン性基との塩の形態において樹脂に
含有され、かつ、塩基性染料の対イオンであるアニオン
が実質的に含有されない樹脂を得ることができる。本発
明において、樹脂粒子を染色する方法を採る場合の染色
温度としては、おおむね樹脂のガラス転移点から150
℃までの範囲である。水の沸点を高めるために加圧下に
て染色を行なうことは差し支えない。本発明においては
特に樹脂のガラス転移点よりさらに40℃程度高い温度
にて染色を行なうことが好ましい。染色の際の水系媒体
と分散される樹脂粒子との比率は、特に限定されない
が、染色効率を高めるために水系分散体全体に対する樹
脂粒子の含有率を20重量%以上、さらには25%以上
とすることが好ましい。本発明ではこのようにして得ら
れた着色樹脂を直接粉砕することにより、あるいは、他
の樹脂、着色剤、荷電制御剤、流動化剤、ワックス類、
その他添加剤等と混合した後に粉砕分級することによ
り、あるいは樹脂粒子として着色樹脂が得られる場合に
は得られた粒子を直接にトナ−として用いることができ
る。
【0019】ここに樹脂粒子とは、平均粒子径が1〜5
0μmの範囲に微細化された樹脂粒子を意味するもので
ある。微細化する方法は特に限定されず、通常のトナ−
の製法と同様の粉砕分級法、あるいはエマルジョン重合
法、懸濁重合法、分散重合法、シ−ド重合法などの方法
により得られる樹脂の粒子を用いることができる。本発
明においては好ましくは以下に示す方法により得られる
樹脂粒子を用いることができる。すなわち、アニオン性
基含有樹脂を水系媒体にミクロ分散せしめ、ミクロ分散
粒子の媒体中での安定状態を崩し、ミクロ分散粒子を合
体せしめることにより得られる粒子である。ミクロ分散
粒子の安定状態を崩す方法としては樹脂に含有されるア
ニオン性基の、 ・光分解、熱分解、あるいは加水分解等による切り放
し、 ・温度、pH等の走査による解離度の制御、 ・対イオンによるアニオン性基の封鎖、および、 ・電解質の添加による電気二重層の破壊、等の手段を用
いることができる。
【0020】本発明のアニオン性基含有樹脂は水分散性
を発現する。アニオン性基含有樹脂の水分散体は、公知
の任意の方法によって製造することができる。すなわ
ち、アニオン性基含有樹脂と水溶性有機化合物とを50
〜200℃であらかじめ混合し、これに水を加えるか、
あるいはアニオン性基含有樹脂と水溶性有機化合物との
混合物を水に加え、40〜120℃で撹拌することによ
り製造される。あるいは水と水溶性有機化合物との混合
溶液中にアニオン性基含有樹脂を添加し、40〜100
℃で撹拌して分散させる方法によっても製造される。水
溶性有機化合物としてはエタノ−ル、ブタノ−ル、イソ
プロパノ−ル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエ
チルケトン、等を使用することができる。前述した水系
ミクロ分散体としてはこれらを用いることができる。こ
れらの方法によって得られる樹脂粒子は平均粒子径をD
とした場合に0.5D〜2.0Dの粒子径範囲の粒子が
全体の70重量%以上を占めるというシャ−プな粒度粒
度分布を示すためトナ−としての特性に優れている。
【0021】先に述べたように、電子写真用トナ−にお
いては、トナ−の帯電特性の安定性が非常に重要であ
り、帯電安定性に大きく影響するトナ−自身の吸湿率を
できるだけ低くすることが望ましい。本発明においては
塩基性染料が樹脂に含有されるアニオン性基との塩とし
て存在し、染料の水溶性的性質は失われている。しかも
塩基性染料のアニオン部に起因するハロゲン酸、あるい
は無機塩が樹脂中に残存することもない。従って従来の
技術において塩基性染料を用いた場合に生じた問題点、
すなわち水溶性染料を着色剤として用いたことに起因す
る吸湿性は大幅に低下する。アニオン性基を導入された
樹脂は大きな吸湿性を示し、一般には電子写真用トナ−
としては不適である考えられている。確かに本発明に用
いられるアニオン性基含有樹脂の吸湿率は同基本組成の
アニオン性基を含有しない樹脂に比較してかなり高い。
にもかかわらず、驚くべきことに、本発明に示されるよ
うに塩基性染料のカチオン部との塩を形成したアニオン
性基含有樹脂の吸湿率はアニオン性基を含有しない樹脂
と同レベルであり、かかる着色形態を有するために吸湿
特性が大幅に改良されているのである。
【0022】本発明におけるトナ−は、個々のトナ−粒
子に含有される染料の含有量が均一であり、さらに、粒
子内における分布についても同一となる。これは顔料を
分散することにより着色されたトナ−と大きく異なる点
であり、本発明により得られるトナ−は非常に均一な帯
電特性を有するものになる。以上の作用により、本発明
のトナ−は、トナ−を構成する個々の粒子毎のばらつき
の無い均一で、しかも環境安定性の高い帯電特性を有す
るとともに塩基性染料の豊富な色相、彩度、透明な着色
性を有し、さらに染料の発色部と樹脂とがイオン的に強
固に結合しているために昇華堅牢度に優れ、シリコ−ン
ロ−ル、消しゴム、塩ビシ−ト等へのブリ−ド等も生じ
ない等の優れた特性を示すものとなる。
【0023】
【実施例】
(ポリエステル樹脂の合成)温度計、撹拌機を備えたオ
−トクレ−ブ中に、 ジメチルテレフタレ−ト 93重量部、 ジメチルイソフタレ−ト 93重量部、 無水トリメリット酸 8重量部、 エチレングリコ−ル 159重量部、 トリシクロデカンジメタノール 30重量部、 テトラブトキシチタネ−ト 0.1重量部、 を仕込み180〜230℃で120分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。ついで反応系を240℃まで昇温
し、系の圧力1〜10mmHgとして60分間反応を続
けた結果、共重合ポリエステル樹脂(A1)を得た。得
られた共重合ポリエステル樹脂(A1)の組成、ガラス
転移温度、比重、分子量、溶融粘度、流出開始温度、軟
化温度を表1.に示す。ポリエステルの組成はNMR分
析、ガラス転移温度はDSC、比重は浮沈法、分子量は
GPC、溶融粘度は島津フロ−テスタCFT−500に
より、温度120℃、荷重10kg/cm2、細管直径1mm、
細管長10mm、の条件下の定温法により測定された。ま
た流出開始温度、軟化温度は島津フロ−テスタCFT−
500により、昇温速度3℃/分、荷重50kg/cm2、細
管直径0.5mm、細管長1.0mm、の条件下にて測定さ
れた。吸湿率は、樹脂の粗粉砕粉を30℃95%RHの
環境下に72時間放置した後にカ−ルフィッシャ−式水
分率計にて測定された値である。
【0024】以下、原料を変えて同様に重合を行い、後
記の表1.に示すポリエステル樹脂(A2)〜(A5)
を得た。温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、
ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物70重量
部、無水マレイン酸19.6重量部、ハイドロキノン
0.2重量部を仕込み、反応系内に窒素ガスを導入し不
活性雰囲気に保ち、0.05重量部のジブチル錫オキサ
イドを加え200度にて昇温して撹拌反応させ、酸価が
15になった時点にて反応を停止し、表1.に示すポリ
エステル樹脂(A6)を得た。減圧重合法により作製さ
れたポリエステル樹脂(A1)〜(A5)において、ナ
トリウムスルホイソフタル酸に基づくスルホン酸ナトリ
ウム基を有するポリエステル樹脂(A2)〜(A5)の
吸湿率が(A1)に比較して高いことが示されている。
また常圧法により得られるポリエステル(A6)におい
ても酸価として示されるカルボキシル基の影響により高
い吸湿率を示していることがわかる。なお表1.には特
に示していないが、各樹脂に含まれるハロゲンイオンを
イオンクラマトグラフ法により定量した結果、いずれの
場合にも検出限界以下、あるいは、コンタミ程度であっ
た。
【0025】表1.中の略語を以下に示す。 TBBA:タ−シャルブチル安息香酸 NDC :1,5−ナフタレンジカルボン酸 TPA :テレフタル酸 IPA :イソフタル酸 SIP :ナトリウムスルホイソフタル酸 MA :マレイン酸 TMA :トリメリット酸 EG :エチレングリコ−ル PG :プロピレングリコ−ル CHD :シクロヘキサンジオ−ル TCDD:トリシクロデカンジメタノ−ル BPP :ビスフェノ−ルAプロピレングリコ−ル付加物
(平均分子量400 ) Tg:ガラス転移温度
【0026】(ポリエステル水分散体の製造)ポリエス
テル樹脂(A2)340重量部、メチルエチルケトン1
50重量部、テトラヒドロフラン140重量部を80℃
にて溶解した後80℃の水680部を添加し、粒子径約
0.1μmの共重合ポリエステル樹脂の水系ミクロ分散
体を得た。さらに得られた水系ミクロ分散体を蒸留用フ
ラスコに入れ、留分温度が100℃に達するまで蒸留
し、冷却後に水を加え固形分濃度を30%とした。これ
をポリエステル水分散体(E2)とした。以下同様にポ
リエステル樹脂(A3)〜(A5)からポリエステル水
分散体(E3)〜(E5)を得た。温度計、コンデンサ
−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブル
フラスコに、得られたポリエステル樹脂(A6)100
0重量部、ブチルセロソルブ500重量部を加え70℃
にて溶解した。次いで0.1規定のアンモニア水300
0重量部を加え、水分散化した後、蒸留用フラスコにて
留分温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却後に水を
加え固形分濃度を30%のポリエステル水分散体(E
6)を得た。
【0027】(ポリエステル球状粒子の製造)温度計、
コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の1リットルセ
パラブルフラスコに、ポリエステル水分散体(E2)3
00重量部を仕込み80℃に昇温した。次いで、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレ−ト20重量%水溶液40重
量部を60分間に渡って添加し、さらに300分間80
℃に保った状態で撹拌を続けた。系内の伝導度は約1m
S/cmから25mS/cmに上昇、pHは10.8か
ら6.7にまで加工した。これより、添加したジメチル
アミノエチルメタクリレ−トはほぼ後完全に加水分解
し、ジメチルアミノエタノ−ルとメタクリル酸の塩にな
っていることが推察された。ポリエステル水系ミクロ分
散体に存在したサブミクロンオ−ダ−の粒子径の共重合
体は時間とともに合体粒子成長し、平均粒径6.5μ
m、直径をDとした場合に0.5D〜2Dの範囲の粒径
を有する粒子の占有率(個数)95%のポリエステル球
状粒子(P2)を得た。得られたポリエステル粒子を濾
過、水洗後再度水分散して固形分濃度25wt%とした。
以下同様にポリエステル水分散体(E3)〜(E6)か
らポリエステル球状粒子(P3)〜(P6)を得た。
【0028】(実施例1)ステンレス製ビ−カ−にシア
ニン系塩基性染料アイゼン・カチロン・イエロ−5GH
(C.I.Basic Yellow 13、保土ヶ谷
化学製)4重量部を入れ、500重量部の脱イオン水と
混合溶解した。次いでポリエステル樹脂(A2)の角砂
糖大の粉砕塊100重量部を入れ、95℃に加熱し30
0分間保持した後、冷却し、上澄みと樹脂塊を取り出し
樹脂塊を十分に洗浄した。上澄みはほぼ透明でありかつ
樹脂塊は鮮明なイエロ−色に着色していた。得られた樹
脂塊をジェットミルPJM200[日本ニュ−マチック
工業製]にて粉砕分級しイエロ−トナ−(Y1)を得
た。以下同様にシアニン系塩基性染料アイゼン・カチロ
ン・ブリリアント・レッド4GH(C.I.Basic
Red 14)を用いレッドトナ−(R1)を得た。
ポリエステル樹脂(A1)でも同様の操作を行ったが上
澄みの濃度はほとんど変化せず、かつ樹脂塊の着色も汚
染程度であった。アニオン性基を特に導入していない樹
脂(A1)において着色がほとんどできず、アニオン性
基を導入した樹脂のみが着色したことから、この着色が
樹脂に含有されるアニオン性基と塩基性染料のカチオン
部分とのイオン的な結合、すなわち塩形成に基づくもの
と理解できる。
【0029】(実施例2)スチレン/メタクリル酸エス
テル共重合樹脂(スチレン/メタアクリル酸ブチル/メ
タクリル酸メチル/スチレンスルホン酸ナトリウム=4
0/25/30/5(mol比) )を用い、同様にイエロ−
トナ−(Y2)を得た。同様にアイゼン・カチロン・ブ
リリアント・レッド4GH(C.I.Basic Re
d 14)を用いレッドトナ−(R2)を得た。スチレ
ンのホモポリマ−樹脂、およびポリメチルメタクリレ−
ト樹脂でも同様の操作を行ったが上澄みの濃度はほとん
ど変化せず、かつ樹脂塊の着色も汚染程度であった。ポ
リエステル樹脂を用いた場合と同様、この着色が樹脂に
含有されるアニオン性基と塩基性染料のカチオン部分と
の塩形成に基づくものであることが示された。
【0030】(実施例3)ポリエステル水分散体(E
2)400重量部を撹拌機を有するセパラブルフラスコ
に入れ、激しく撹拌しながら80℃に昇温した。次い
で、アイゼン・カチロン・イエロ−5GH(C.I.B
asic Yellow 13、保土ヶ谷化学製)10
重量%水溶液50重量部を60分間にわたって滴下した
後に冷却した。ポリエステル水分散体は凝集し、平均粒
子径80μmの着色ビ−ズを得た。得られた着色ビ−ズ
100重量部を水洗後、よく乾燥し、ジェットミルPJ
M200[日本ニュ−マチック工業製]にて粉砕分級し
イエロトナ−(Y3)を得た。以下同様にアイゼン・カ
チロン・ブリリアント・レッド4GH(C.I.Bas
ic Red 14)を用いレッドトナ−(R3)を得
た。
【0031】(実施例4)ポリエステル水分散体(E
4)400重量部を撹拌機を有するセパラブルフラスコ
に入れ、激しく撹拌しながら80℃に昇温した。アイゼ
ン・カチロン・イエロ−5GH(C.I.Basic
Yellow 13、保土ヶ谷化学製)10重量%水溶
液250重量部を60分間にわたって滴下した後に冷却
した。ポリエステル水分散体は凝集し、平均粒子径77
μmの着色ビ−ズを得た。得られた着色ビ−ズ100重
量部を水洗後、よく乾燥し、ポリエステル樹脂(A1)
400重量部とロ−ルミルにて溶融混合し、ジェットミ
ルPJM200[日本ニュ−マチック工業製]にて粉砕
分級しイエロ−トナ−(Y4)を得た。以下同様にアイ
ゼン・カチロン・ブリリアント・レッド4GH(C.
I.Basic Red 14)を用いレッドトナ−
(R4)を得た。
【0032】(実施例5)ガラスビ−カ−にアニオン系
分散剤ミグノ−ル802(ナフタレンスルホン酸ナトリ
ウムのホルマリン縮合体[一方社油脂工業製])50重
量部を入れ、マグネティックスタ−ラ−にて激しく撹拌
ながら、アイゼン・カチロン・イエロ−5GH(C.
I.Basic Yellow 13、保土ヶ谷化学
製)20重量%水溶液50重量部を入れ、10分間撹拌
を継続し分散型塩基性染料を得た。染色試験器ミニカラ
−(テクサム技研製)のステンレスポットにポリエステ
ル球状粒子(P2)の25重量%水分散体400重量部
を仕込み、さらに得られた分散型塩基性染料50重量部
を混合し、80℃にて60分間染色を行い、冷却後、吸
引ロ−トにて洗浄、脱水し、再度水分散した後スプレ−
ドライヤにて乾燥しイエロ−トナ−(Y5)を得た。ポ
リエステル球状粒子(P3)〜(P6)を用い、同様に
イエロ−トナ−(Y6)〜(Y9)を得た。以下同様に
アイゼン・カチロン・ブリリアント・レッド4GH
(C.I.Basic Red 14)を用いレッドト
ナ−(R5)〜(R9)を得た。
【0033】(比較例1)ポリエステル樹脂(A6)1
00重量部と油溶性染料マクロレックスイエロ−3G
(C.I.Solvent Yellow 93、Ba
yer社製)3重量部をロ−ルミルにて溶融混合し、ジ
ェットミルPJM200[日本ニュ−マチック工業製]
にて粉砕分級しイエロ−(Y10)を得た。
【0034】(比較例2)ポリエステル樹脂(A6)9
5重量部と、イエロ−顔料ハンザイエロ−G(C.I.
PIGMENT YELLOW 1)5重量部とをボー
ルミルにて予備混合した後、ロ−ルミルにて溶融混合
し、ジェットミルPJM200[日本ニュ−マチック工
業製]にて粉砕分級しイエロ−(Y11)を得た。
【0035】(比較例3)ポリエステル樹脂(A1)1
00重量部とアイゼン・カチロン・イエロ−5GH
(C.I.Basic Yellow 13、保土ヶ谷
化学製)4重量部をロ−ルミルにて溶融混合し、ジェッ
トミルPJM200[日本ニュ−マチック工業製]にて
粉砕分級しイエロ−トナ−(Y12)を得た。以下同様
にポリエステル樹脂(A2)、(A6)を用い、マゼン
タトナ−(Y13)、(Y14)を得た。以下同様にア
イゼン・カチロン・ブリリアント・レッド4GH(C.
I.Basic Red 14)を用いレッドトナ−
(R12)〜(R14)を得た。
【0036】(比較例4)染色試験器ミニカラ−(テク
サム技研製)のステンレスポットにポリエステル球状粒
子(P2)の25重量%水分散体400重量部を仕込
み、さらに分散染料ミケトン・ファスト・イエロ−3G
(C.I.Disperse Yellow54、三井
東圧染料製)8重量部を分散し、90℃にて60分間染
色を行い、冷却後、吸引ロ−トにて洗浄、脱水し、再度
水分散した後スプレ−ドライヤにて乾燥しイエロ−トナ
−(Y15)を得た。
【0037】(評価)以上の実施例、比較例から得られ
たトナ−の評価結果を表2.に示す。なお評価は以下に
示す方法にて実施された。 (アニオンの定量)得られたトナ−に含まれる水溶性成
分を水に抽出し、イオンクロマトグラフ法にて分析し
た。実施例においては検出限界以下または痕跡程度であ
った。塩基性染料を直接混練りした比較例トナ−(Y1
2)〜(Y14)、(R12)〜(R14)において塩
素イオンが主に検出された。 (吸湿率)得られたトナ−を30℃95%RHの環境下
に72時間放置した後にカ−ルフィッシャ−式水分率計
にて吸湿率を測定した。
【0038】(手指汚染性)得られたトナ−50重量部
と、フェライト系キャリアF−100[パウダ−テック
社製]1000重量部とをボ−ルミルに仕込、約15分
間撹拌し現像剤とした。得られた現像剤にて、アモルフ
ァスシリコン感光ドラムを有するアナログ方式の複写機
を用いて平均膜厚が7μmになるように紙に定着した。
得られた試験片を素手にて50回擦り指の汚染の有無を
調べた。塩基性染料を直接混練りした比較例トナ−(Y
12)〜(Y14)、(R12)〜(R14)において
手指が染料により汚染された。またこれらのトナ−を用
いた試験片を水に浸漬した結果、染料の溶出により水が
着色した。他のトナ−においても同様に水への浸漬を行
ったが染料の溶出は認められなかった。 (画像透明性)同様に複写機を用いて階調画像を透明フ
ィルム上に複写しオ−バ−ヘッドプロジェクタにて観察
し評価した。顔料を用いた比較例トナ−(Y11)の透
明性は不良であった。また塩基性染料を直接混練りした
比較例トナ−(Y12)〜(Y14)、(R12)〜
(R14)においても同様に透明性が不良であった。
【0039】(連続複写性)さらに同じ複写機を用いて
複写を一万枚連続して行い、画像品質の変化、定着ロ−
ルの汚染について観察した。実施例により得られたトナ
−(Y1)〜(Y9)、(R1)〜(R9)においては
いずれの場合も初期画像と一万枚複写後の複写画像に明
確な差異はなく、鮮明で高精細な画像複写が行えた。ま
た複写機内のトナ−飛散も軽微であり、定着ロ−ル等に
もなんら汚染を生じなかった。比較例のトナ−(Y1
1)〜(Y14)、(R12)〜、(R14)において
は複写枚数の増加にともないカブリ、カスレが生じた。
比較例のトナ−(Y10)、(Y15)を用いた場合に
は定着ロ−ルがイエロ−色に汚染した。 (耐光堅牢度)連続複写性評価により得られた画像のベ
タ部分の色度座標を色彩色度計CR−210[ミノルタ
製]にて測定した。さらに紫外線フェ−ドメ−タ(63
℃)にて20時間紫外線暴露試験を行い、初期の色度座
標との色差ΔΕを求めた。色差はいずれの試料の場合も
4以下であった。
【0040】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によるト
ナ−は、染料着色の特徴である透明性を十分に発揮し、
しかも手指、定着ロ−ルの汚染等を生じず、安定かつ均
一な帯電特性を有するため連続複写時にも画像形成が安
定している等々の優れた特性を有するものである。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 陽三 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアニン系塩基性染料に分類される染料
    にて染色された樹脂を有効成分とすることを特徴とする
    電子写真用トナ−。
JP50A 1993-01-22 1993-01-22 電子写真用トナ− Pending JPH06222616A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007322662A (ja) * 2006-05-31 2007-12-13 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真用二成分現像剤及び画像形成装置
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