JPH06220613A - 複合Al−Si合金めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

複合Al−Si合金めっき鋼板及びその製造方法

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JPH06220613A
JPH06220613A JP3287093A JP3287093A JPH06220613A JP H06220613 A JPH06220613 A JP H06220613A JP 3287093 A JP3287093 A JP 3287093A JP 3287093 A JP3287093 A JP 3287093A JP H06220613 A JPH06220613 A JP H06220613A
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steel sheet
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alloy
vacuum
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JP3287093A
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Yasushi Fukui
康 福居
Tadaaki Miono
忠昭 三尾野
Minoru Saito
実 斎藤
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐食性に優れた3層構造のめっき層を形成す
ることにより、耐食性が格段に優れた複合Al合金めっ
き鋼板を得る。 【構成】 下地鋼Sの上に、Ti系の第1層L1 ,Ti
−Si−Al系の第2層L2 及びAl−Si−Ti系の
第3層L3 が順次形成されている。第1層L1 は、たと
えば真空蒸着によって形成される。Ti蒸着後、溶融A
l−Si合金めっき浴にめっき原板を導入することによ
り、第2層L2 及び第3層L3 が形成される。 【効果】 第2層L2 及び第3層L3 がTiを含有して
おり、第1層L1 がTi層であるので、従来の溶融Al
−Si合金めっき鋼板に比較して格段に優れた耐食性を
示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性に優れた安価な
多層Al−Si系合金めっき鋼板及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】Al−Si系の合金めっき鋼板は、Al
及びSiを含有する溶融めっき浴に鋼板を浸漬する溶融
めっき法によって製造されている。Al−Si−Fe系
の中間層を介して鋼板表面に形成されたAl−Si合金
めっき層は、耐食性,耐熱性等に優れ、しかも美麗な表
面外観を呈することから、自動車の排気系材料、建築用
材料等として広範な分野で使用されている。Al−Si
合金めっき鋼板の耐食性,耐熱性等を更に高め、過酷な
雰囲気においても十分な耐久性を呈する構造材料を得る
ため、0.01〜2重量%のCrを含有するAl−Si
合金めっき鋼板が特開平2−88754号公報で紹介さ
れている。Al−Si合金めっきが施されるめっき原板
としては、普通鋼だけでなく、それ自体で耐食性の優れ
たCr含有低合金鋼,ステンレス鋼等も使用されるよう
になってきている。
【0003】溶融Al−Si合金めっき鋼板は、前処理
帯において還元性雰囲気の下でめっき原板を焼鈍するこ
とにより、鋼板表面にある酸化皮膜を還元除去し且つ鋼
板表面を活性化した後、溶融めっきを行うライン内還元
焼鈍方式の連続溶融めっき設備を使用して通常製造され
ている。しかし、低合金鋼,ステンレス鋼等のようにC
r,Si,Al等の易酸化性元素を含有する鋼板をめっ
き原板とするとき、還元性ガスによって鋼板表面にある
酸化皮膜を除去することが困難である。そこで、下地鋼
に対するAl−Si合金めっき層の密着性を改善するた
め、鋼板に予めFe又はFe系合金を電気めっきした
後、通常のライン内還元焼鈍方式の連続溶融めっき設備
に通板することにより、溶融Al−Si合金めっき層を
形成している。また、特開昭63−176482号公報
では、Co,Ni,Mn,Mo,Cu,Cr,W等をめ
っきし、更にFeめっき層を形成することにより、下地
鋼とAlめっき層との密着性を改良することが提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】低合金鋼やステンレス
鋼をめっき原板として使用するとき、Al−Si合金め
っき鋼板の耐食性が向上する。しかし、めっき原板の原
材料費や製造コストが高くなるため、Al−Si合金め
っき鋼板全体としての製品コストが高騰する。たとえ
ば、16重量%以上のCrを含有するステンレス鋼をめ
っき原板として使用したものにあっては、Alキルド鋼
等の普通鋼,低炭素鋼板をめっき原板として使用した場
合に比較して、製品価格が2倍以上になる。そこで、前
掲した特公平2−88754号公報にみられるように、
Crを添加した溶融Al−Siめっき浴を使用すること
により、めっき層にCrが添加されたAl−Si合金め
っき鋼板を製造することが考えられる。しかし、めっき
浴にCrを添加するとき、めっき浴を形成するAl−S
i系合金の融点が上昇する。その結果、めっき浴を高温
に保持することが必要となり、めっき浴ポットが溶融A
l−Si合金で激しく侵食され、ポットの寿命が著しく
低下する。
【0005】この点で、添加可能なCrの量に制約が加
わる。たとえば、通常の生産で使用されている浴温68
0℃以下のAl−Siめっき浴(Si濃度<18重量
%)では、Cr添加量の上限は0.5重量%である。そ
の結果、Crを含有するAl−Siめっき浴を使用する
方法では、得られたAl−Si合金めっき鋼板の耐食性
を大きく向上させることができない。他方、酸化され易
く且つ容易に酸化膜を表面に形成するTiで被覆された
鋼板は、普通鋼を溶融めっきする通常のライン内還元焼
鈍方式で溶融めっきすることができない。すなわち、表
面に形成されているTiの酸化皮膜が強固であり、表面
を還元性ガス中で加熱し活性化する通常の条件下では酸
化皮膜の還元除去反応が進行しない。
【0006】この点、前掲した特開昭63−17648
2号公報で紹介されているようなFe,Fe系合金等の
プレめっきは、酸化皮膜の除去が困難なため、良好な密
着性でTi表面上に形成することができない。本発明
は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、Al−Si合金めっき層をTiを含有する特定され
た積層構造にすることにより、耐食性に優れた安価な多
層合金めっき鋼板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の複合Al合金め
っき鋼板は、その目的を達成するため、Ti系の第1
層、Ti−Si−Al系の第2層及びAl−Si−Ti
系の第3層が下地鋼の表面に順次積層されていることを
特徴とする。この複合Al合金めっき鋼板は、Ti被覆
層を形成しためっき原板である鋼板に真空中でプラズマ
又はイオンビームによるスパッタエッチングを施し、或
いはスパッタエッチングによって表面活性化した鋼板に
Ti被覆を施した後、鋼板を溶融Al−Si合金めっき
浴に浸漬することにより製造される。
【0008】Ti被覆層は、たとえば真空蒸着で形成さ
れ、0.05μm以上の厚さを持つことが好ましい。真
空蒸着でTi被覆層を形成するとき、同一真空雰囲気下
で鋼板を溶融Al−Si合金めっき浴に浸漬する方式を
採用することもできる。溶融Al−Si合金めっき浴と
しては、1〜13重量%のSiを含有するものが使用さ
れる。また、Ti蒸着装置50としては、たとえば溶接
学会誌第15巻(1985)第352頁に紹介されてい
る固体陰極放電方式のアーク蒸着法によるものが採用さ
れる。本発明に従った複合Al−Si系合金めっき鋼板
は、図1に示すように、Ti系の第1層L1 ,Ti−S
i−Al系の第2層L2 及びAl−Si−Ti系の第3
層L3 からなる複層構造のめっき層Lが下地鋼Sの表面
に形成されている。
【0009】下地鋼Sとなるめっき原板としては、その
材質に特段の制約を受けるものではないが、めっき鋼板
の製品価格を低く抑える上から普通鋼が使用される。し
かし、下地鋼自体に耐食性を持たせるため、低合金鋼,
ステンレス鋼等の使用も可能である。第2層L2 及び第
3層L3 の元素濃度は、特に限定されるものではない。
しかし、各層の組合せにより耐食性を効果的に向上させ
るため、第2層L2 をTi:20〜70重量%,Si:
20〜70重量%及び残部Alの組成とし、第3層L3
をSi:6〜11重量%,Ti:0.01〜1.0重量
%及び残部Alの組成とすることが好ましい。第2層L
2 は、第1層L1 と共に耐食性を高くするため、Tiを
20〜70重量%含有し、Fe含有量を10重量%以下
にすることが好ましい。しかし、第2層L2 が厚く成長
することは曲げ加工時に割れが大きくなる欠点を招くの
で、第2層L2 の成長を抑制するためSi:20〜70
重量%を含有させることが好ましい。
【0010】第3層L3 は、耐食性に優れていると共
に、延性に富む。そして、硬く脆い第1層L1 及び第2
層L2 が曲げ加工時に割れたとき、第3層L3 が延びて
割れを塞ぎ、下地鋼の露出が防止される。第3層L3
Tiを0.01〜1.0重量%含有させると、延性を損
なわずに耐食性を高くすることができる。また、めっき
後の表面の凹凸を少なくし、表面外観を良好にするた
め、6〜11重量%のSiを第3層L3 に含有させるこ
とが有効である。めっき浴には、鋼板成分やめっき浴ポ
ット材成分であるFe,Cr等が不可避的に混入する。
そのため、めっき層の第2層L2 ,第3層L3 にも不純
物が混入するが、層L2 及びL3 に含有されているTi
のため、不純物混入に起因した耐食性の劣化は生じな
い。
【0011】この複合Al合金めっき鋼板は、めっき原
板にTi被覆を形成した後、溶融Al−Si合金めっき
浴にめっき原板を浸漬することによって製造される。溶
融Al−Si合金めっき浴の組成及び温度は、特に制約
されるものでない。しかし、めっき浴ポットの寿命延長
を図り、且つ良好な表面外観を持つめっき鋼板を製造す
る上から、Si濃度を1〜13重量%の範囲、めっき浴
温度を680℃以下に維持することが好ましい。溶融A
l−Siめっき浴には、めっき浴ポットの耐熱鋼から溶
け出した成分元素が不純物として存在する。不純物の中
では、Feが最も多量に含まれる元素であるが、Fe濃
度は通常3重量%以下に規制される。
【0012】Ti被覆には、たとえば真空蒸着が採用さ
れ、高純度のTi被覆層が安価に高い生産性で形成され
る。Ti被覆層は、第2層L2 及び第3層L3 に対する
Ti供給源として働き、厚みが0.05μm以上であれ
ば複層構造のめっき層Lの腐食抑制作用を大幅に向上さ
せる。めっき原板である鋼板の表面にTi被覆層を形成
した後、プラズマエッチングやイオンビームエッチング
で鋼板表面を活性化し、溶融Al−Siめっき浴に鋼板
を浸漬することによって第2層L2 及び第3層L3 を形
成する。或いは、プラズマエッチングやイオンビームエ
ッチングで鋼板表面を活性化した後、Ti被覆層を形成
し、溶融Al−Siめっき浴に鋼板を導入することによ
り、第2層L2及び第3層L3 を形成する。
【0013】プラズマエッチングやイオンビームエッチ
ングで表面を活性化した鋼板を連続的に溶融めっきする
装置は、たとえば特開平3−86170号公報で紹介さ
れている。プラズマエッチング活性化溶融めっき装置や
イオンビームエッチング活性化溶融めっき装置等は、内
部が真空雰囲気に保たれている。そこで、その真空を利
用し、プラズマエッチング活性化処理又はイオンビーム
エッチング活性化処理しためっき原板にTiを蒸着する
とき、より密着性の良好なTi被覆層が得られる。ま
た、同一の真空系でTi蒸着及び溶融めっきを連続して
行うことができるため、安価にめっき鋼板を製造するこ
とができる。なお、真空雰囲気下の処理においては、酸
洗等によって表面を清浄にしためっき原板を真空中で6
00℃以上に加熱するとき、蒸着Tiの密着性がよくな
る。そのため、プラズマエッチング,イオンビームエッ
チング等を省略することも可能である。
【0014】
【作 用】第2層L2 は、比較的多量のTiを含有して
いることから、耐食性に優れている。しかも、第1層L
1 は、下地鋼SからFeがめっき層に拡散することを抑
えている。これにより、優れた耐食性を示すめっき鋼板
となる。これに比較して、通常の溶融Al−Si合金め
っき鋼板では、第2層L2 及びTiを含有する第3層L
3 がないため、下地鋼に対する防食を表層部のAl−S
i層のみに依存し、耐食性が不十分である。第1層L1
〜第3層L3 の複合作用によって、普通鋼等をめっき原
板として使用した場合にあっても、非常に安価で耐食性
に優れためっき鋼板を得ることができる。また、低合金
鋼,ステンレス鋼等をめっき原板として使用するとき、
めっき層Lの防食作用及び下地鋼Sの防食作用が相互に
補完しあって、高Cr高Niステンレス鋼を凌駕する耐
食性を示す材料となる。
【0015】プラズマエッチング又はイオンビームエッ
チングされた鋼板表面にTiを真空蒸着させるとき、T
i被覆層の密着性が向上する。他方、真空蒸着でTi被
覆層が形成された鋼板表面をプラズマエッチング又はイ
オンビームエッチングするとき、溶融Al−Si合金め
っき浴に対する濡れ性が向上し、不めっき等の欠陥がな
いめっき層が得られる。また、真空中にO2 等の酸化性
の残留ガスが少ない場合、Tiが蒸着された鋼板表面は
活性状態を維持することから、プラズマエッチング,イ
オンビームエッチング等の活性化処理を省略しても良
い。
【0016】
【実施例】めっき原板として、C:0.02重量%,S
i:0.04重量%,Mn:0.19重量%,P:0.
011重量%,S:0.011重量%,Al:0.04
5重量%,残部:Fe及び不純物の組成を持ち、板厚
0.5mm,板幅100mmのAlキルド鋼板を使用し
た。めっき原板を脱脂及び酸洗した後、真空蒸着でTi
被覆層を形成し、図2に示したプラズマエッチング装置
を備えた溶融めっき装置又は図3に示したイオンビーム
エッチング装置を備えた溶融めっき装置を使用して溶融
Al−Siめっきを行った。図2図は、プラズマエッチ
ング装置を組み込んだ溶融めっき設備であり、めっき原
板10は、ペイオフリール11から繰り出され、デフレ
クターロール12,13で案内されて真空槽20に送り
込まれる。真空槽20の入側には真空シール装置21が
設けられており、めっき原板の走行方向に沿って高周波
加熱装置30,プラズマエッチング装置40及びCr蒸
着装置50が配列されている。
【0017】真空槽20の出側は、溶融めっき装置60
の溶融めっき浴61に浸漬されることによって、真空シ
ールされている。このとき、真空槽20内の真空度に応
じてめっき浴ポット62から溶融めっき浴61が吸い上
げられてスナウト部63を形成するため、溶融めっき浴
61による真空シールは完全なものとなる。真空槽20
は、真空ポンプ22,23で真空排気される。真空槽2
0内に導入されためっき原板10は、高周波加熱装置3
0により所定温度に加熱された後、プラズマエッチング
装置40で表面が活性化され、Ti蒸着装置50によっ
てTi被覆される。
【0018】次いで、めっき原板10は、スナウト部6
3を経由してめっき浴61に浸漬される。めっき原板1
0は、めっき浴61内でシンクロール64,65を経て
搬送され、めっき浴61から引き上げられ、ガスワイピ
ング装置66によりめっき付着量が調整される。めっき
された鋼板は、デフレクターロール14〜16を経て巻
取りリール17に巻き取られる。図3は、イオンビーム
エッチング装置を組み込んだ溶融めっき設備であり、図
2図のプラズマエッチング装置40に替えて、真空槽2
0内を走行するめっき原板10の両面に対向して一対の
イオンビームエッチング装置70,70を配置してい
る。イオンビームエッチング装置70,70から出射さ
れたイオンビーム71,71は、めっき原板10の表面
に衝突し、表面にある酸化皮膜や表面変質層等をエッチ
ング除去する。表面活性化されためっき原板10に対し
て、Cr蒸着装置50によりTi被覆層が形成される。
【0019】なお、図2及び図3にそれぞれ示したプラ
ズマエッチング装置40及びイオンビームエッチング装
置70は、Ti蒸着装置50の下流側に配置しても良
い。この場合、Ti蒸着装置50で形成されたCr被覆
層の表面がプラズマエッチング又はイオンビームエッチ
ングによって活性化され、めっき浴61の溶融Al−S
i合金に対する濡れ性が向上する。真空槽20は、真空
ポンプ22,23により1×10-3Paまで排気した。
真空槽20の内部が所定真空度に達した後、高周波加熱
装置30及びプラズマエッチング装置40又はイオンビ
ームエッチング装置70を稼動させて、めっき原板10
の表面を活性化した。このときのエッチングの原料ガス
であるArにより、真空槽20の真空度が0.05〜5
Paまで低下した。
【0020】Ti蒸着装置50によってめっき原板10
にTi被覆を施すとき、蒸着に先立って高周波加熱装置
30でめっき原板10を加熱し、且つプラズマエッチン
グ装置40又はイオンビームエッチング装置70により
表面活性化しているので、めっき原板10の表面に均一
な厚みを持ち密着性に優れたTi蒸着層が形成された。
また、プラズマエッチングは表1に示す条件で、イオン
ビームエッチングは表2に示す条件で行った。
【表1】
【表2】
【0021】Ti被覆が形成されためっき原板に対し、
表3に示す条件で溶融Al−Si合金めっきを施した。
なお、表3におけるFeは、不可避的不純物の中で最も
多く混入する元素である。
【表3】
【0022】Ti被覆層の厚み及びめっき浴の温度を種
々変更し、図1に示した複層構造のめっき層Lが得られ
たか否かを調査した。調査結果を、表4に示す。なお、
複層構造をもっためっき層の形成は、他の装置でTi被
覆層が真空蒸着で形成され、図2又は図3の装置でエッ
チングのみを行った後に溶融めっきしたものにおいても
同様な傾向を示した。また、本実施例で採用しためっき
浴でAl−Si合金めっきするとき、厚み1.0μm及
び1.5μmのTi被覆層が形成されたものにあって
は、浴温の高低に拘らず何れも複層構造のめっき層が形
成された。
【表4】
【0023】表4から明らかなように、膜厚0.05μ
m未満のTi被覆層を形成しためっき原板を使用する
と、図1に示した複層構造のめっき層が得られなかっ
た。これは、めっき原板を溶融Al−Si合金めっき浴
に導入したとき、Ti被覆層が溶出又は拡散し、残存す
るTi層がないことに由来するものと推察される。Ti
被覆層の膜厚と耐食性の関係を調査した結果を、図4に
示す。なお、Ti蒸着及び溶融Al−Si合金めっき
は、表5に示す〜の5種類の工程で行った。また、
図2又は図3に示した溶融めっき装置装置の外部でTi
を被覆する場合は、蒸着専用装置を使用した電子ビーム
蒸着法によってTiを蒸着した。耐食性は、JISに規
定されている塩水噴霧試験を行い、面積率で5%の赤錆
が試験片表面に発生するまでの時間で評価した。
【0024】図4から明らかなように、Ti被覆層の厚
みを0.05μm以上にするとき、めっき工程の如何に
拘らず耐食性が大きく向上していることが判る。これに
対し、Tiを蒸着することなく溶融Al−Si合金めっ
きを行った比較例では、5%赤錆発生時間が500時間
未満であり、十分な耐食性が得られなかった。また、T
iを蒸着しただけの参考例では、Ti被覆層の厚みを1
0μmと大きくした場合にあっても、5%赤錆発生時間
が50時間以下と短く、耐食性に劣っていた。
【表5】 注:[ ]は、同一装置内で行うことを示す。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、めっきされる鋼板の表面に予めTi被覆層を形成
し、このTi被覆層をめっき層に対するTi供給源とし
ても利用している。形成されためっき層は、下地鋼側か
らTi系の第1層,Ti−Si−Al系の第2層及びA
l−Si−Ti系の第3層の複層構造をもつ。そのた
め、第1層から第3層まで全て耐食性が高い層となり、
得られためっき鋼板は、従来の溶融Al−Si合金めっ
き鋼板に比較して耐食性が格段に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従っためっき鋼板の複層構造
【図2】 プラズマエッチング,真空Ti蒸着,溶融め
っきを一連の工程で行う溶融めっき装置
【図3】 イオンビームエッチング,真空Ti蒸着,溶
融めっきを一連の工程で行う溶融めっき装置
【図4】 Ti被覆層の厚さと耐食性との関係を示すグ
ラフ
【符号の説明】
L :多層構造をもつめっき層 L1 :Ti系の第1層 L2 :Ti−Si−Al系の第2層 L3 :Al−Si−Ti系の第3層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti系の第1層、Ti−Si−Al系の
    第2層及びAl−Si−Ti系の第3層が下地鋼の表面
    に順次積層されていることを特徴とする複合Al合金め
    っき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板にTi被覆層を形成した後、真空中
    でプラズマ又はイオンビームによるスパッタエッチング
    を施し、次いで前記鋼板を溶融Al−Si合金めっき浴
    に浸漬することを特徴とする複合Al合金めっき鋼板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 真空中でプラズマ又はイオンビームによ
    るスパッタエッチングを鋼板に施した後、真空蒸着によ
    ってTi被覆層を形成し、次いで前記鋼板を溶融Al−
    Si合金めっき浴に浸漬することを特徴とする複合Al
    合金めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載のTi被覆層は真空
    蒸着によって形成され、且つ同一真空雰囲気下で鋼板が
    溶融Al−Si合金めっき浴に浸漬されることを特徴と
    する複合Al合金めっき鋼板の製造方法。
JP3287093A 1993-01-28 1993-01-28 複合Al−Si合金めっき鋼板及びその製造方法 Withdrawn JPH06220613A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111020474A (zh) * 2019-12-18 2020-04-17 武汉纺织大学 一种对45钢表面等离子复合渗层无损化耐磨处理的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111020474A (zh) * 2019-12-18 2020-04-17 武汉纺织大学 一种对45钢表面等离子复合渗层无损化耐磨处理的方法

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