JPH0621950Y2 - アースアンカー支圧板固定用治具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、山止め工事現場で用いるアースアンカー固定
用の治具に関し、特に一定範囲の打込み角度に対応で
き、再利用可能な使い勝手のよい固定用治具に係わる。

［従来技術］ 周知のように山止め工事においては、根切りの規模にも
よるが、周囲の地盤の崩壊を防ぐため矢板を打込み、こ
の矢板に腹起しをあてがい、切梁、火打を用いて支持す
るようにしている。

ところで、傾斜地等の現場において、根切りをして矢板
を打込んだ場合、切梁等を用いて矢板を支持しえない場
合がある。

この場合には、アースアンカーを用いて矢板を支持しな
ければならない。このアースアンカーは、傾斜角度をも
って先端部を定着地層内に打込み、頭部を矢板に当てが
った腹起しに取付けた台座を用いて固定される。この台
座は、鉄製でアースアンカーの軸線に対し垂直な固定面
を有し、この固定面上面において、アースアンカーを支
圧板、ナットを用いて引張り固定する。

ところで、アースアンカーは、定着地層、引抜力、敷地
条件及び障害物の有無により、各現場ごとに打設角度が
異なるのが通常である。

すなわち、定着地層が深い場合には打込み角度を大きく
とり、浅い場合には小さくし、かつアンカー先端を敷地
内におさめ、力学的に最適打設角度とされる３０〜５０
度の範囲内で各現場ごとに異なった最適角度とするのが
普通である。

そして、前記打設角度が異なれば当然固定装置も、打設
角度に適応した構成としなければならない。すなわち、
従来形の固定装置はアンカーの軸線に対し垂直な固定面
を有し、この固定面上で支圧板及びナットを用いてアン
カー頭部を引張り固定する構造となっており、アンカー
の打設角度が変れば、前記固定面はアンカー軸線と垂直
を保ちえず、適切なる引張り固定を行うことが出来なか
った。

そのため、固定用台座は打設角度及びアンカーの引張力
に応じて各現場ごとに製作使用するのが一般的であり、
ある現場で使用したものを他の現場で再使用することは
ほとんど不可能であった。

そこで、前記各現場での使い切り型の固定装置にかえ
て、アンカーの打設角度が力学的に最適とされている３
０〜５０度の範囲内であれば、いかなる角度にも対応し
うるアースアンカーの固定装置が提案されている。この
アースアンカー固定装置は、第８図に示すようにアース
アンカー３０を固定する弧状の固定面３１とアースアン
カーを挿通する空間３２とを有する台座３３ならびに前
記台座の固定面に配置されアースアンカーの軸線方向の
少なくとも上下方向に回動可能で、かつ中央部に透孔が
設けられた支圧板３４から構成され、支圧板３４を移動
させることにより、アースアンカーの打設角度が一定範
囲内であれば、打設角度が変わってもそれに対応出来る
ようにしたものである。

［考案が解決しようとする課題］ ところで前記角度汎用型の固定装置は、各現場ごとの使
い切り形に比較して、経済的なメリットが高いが、使い
勝手の面において難点を有している。

すなわちアースアンカーは、台座内を引き通した上で、
台座の前面に設けた固定面に支圧板を取付け、この上面
でボルト等により引張り固定するが、この固定面と支圧
板の当接部が円弧状になっているため、アンカーを引き
通した支圧板を固定面に載置したとき、支圧板が固定面
の表面を滑り落ちたりして、所定の設置角度を維持しえ
なくなる場合があり、アンカーの固定が完了するまで支
圧板を手で押さえたり、あるいは台座の固定面に溶接で
仮止めしておかねばならず、使い勝手が悪かった。

本考案は、前記従来形の難点を解決するためと、それに
加えて単に支圧板を任意の位置に固定することができる
と云うだけでなしに、当該支圧板にアンカーの緊張用ジ
ャッキをセットした場合にあってもその自重で支圧板の
位置が狂ってしまうことがないようにしたことを解決課
題としたものである。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本考案の治具は、取付け角
度に対応する角度調整用の複数の孔と、支圧板保持用の
切欠きを有する左右一対の側板と、前記側板の任意の孔
に挿通し、該側板を片持式に保持するシャフトとから構
成し、各側板に設けた角度調整用の任意の孔にシャフト
に挿通した上で、このシャフトをアースアンカー固定用
台座の固定面上端部に設けた吊り下げ部材に架け止め、
次いで各側板に設けた切欠きに、支圧板の両側から突出
させた支持棒を挿入して保持させる。これにより支圧板
は台座の固定面上に所定の取付け角度に対応して保持さ
れるので、常法によりこの中にアースアンカーを引通し
た上でナット等の固定手段により支圧板上面にアンカー
を固定する。そして固定作業が完了したならば、支圧板
を保持している側板をハンマー等により、係合方向と逆
方向に叩いて回動させ、治具と支圧板の係合を解除し、
治具を台座から取外すものである。

［実施例］ 以下図示の実施例に基づき本考案を具体的に説明する。

第１図は本考案治具の一実施例を示す斜視図で、図中符
号１がアースアンカー支圧板固定用の治具である。この
治具１は、左右平行に配置された一対の側板２、２と、
この側板２、２を片持ち式に支持するシャフト３を主要
部材とする。前記各側板２、２は、鋼製のプレート状で
第２図に示すように側面の一端側には複数の角度調整孔
４が穿設されると共に、反対端側には後述する支圧板を
保持する切欠き５が下向きに設けられている。前記孔４
はシャフト３を挿通して各側板を片持ち式に支持するも
ので、本実施例においては千鳥状に９個の孔4a乃至4iが
設けられており、第２図左側(4a)からアンカー取付け角
度30、32、34、36、38、40、42、44、46度に対応するよ
うにして穿設されている。また前記側板２、２の上端面
には、第３図に示すように銘板６が取付けられており、
この銘板６には各孔4a乃至4iに対応する取付け角度が表
示されている。

次に前記構成を有する本実施例の治具の使用方法につい
て、アースアンカーを３０度の角度で打ち込み固定する
場合について説明する。

第４図に示すように、根切りされた側壁面に打込まれた
矢板２０に穿設したアンカー打設孔２１から、常法に従
って複数本のアースアンカー角度３０度で打設し、アン
カー３０の先端部を定着地層に固定させる。そして腹起
し２１を矢板２０に取付けたのち、アースアンカー３０
を固定装置の台座２２の空間内部を引き通し、この台座
を前記腹起こしに配設する。すなわち第４図に示すよう
に台座２２の腹起し取付面２２ａを腹起し２１に添設
し、該面２２ａに突出形成した段部２２ｂを腹起し２１
上面に載置する。次に支圧板２４に設けた穴２４ｂにア
ースアンカー３０を挿通し、台座２２のアンカー固定面
２３には本実施例による治具１により支圧板２４が仮止
め固定される。すなわち治具１を構成する一対の側板
２、２に設けた最上部の孔4a、4aにシャフト３を挿通
し、シャフトの両端近くに設けた透孔3aにピン２５を差
し込んで抜け止めを施した後（第５図）、第６図乃至第
７図に示すようにシャフト３を台座の固定面上端部に取
付けた吊り下げ用の横杆２６の上部に引っ掛けて側板
２、２が台座に挟むようにして支持させる。次いで支圧
板２４を台座２２の固定面に載置し、支圧板の上端部に
固定したチェーン２８のフック２９を台座の横杆２６に
掛けとめる。そして支圧板の両端部から突出させた支持
棒２４ａ、２４ａを側板２、２の端部に設けた切欠き５
に挿入して支圧板２４を台座の固定面に仮止め状態で固
定する。そしてジャッキ（図示省略）によりアンカー３
０を引張り、アンカーヘッドＢ、クサビ（図示省略）等
の固定手段を用いて台座２２の固定面２３上に固定する
ものである（第４図）。

台座２２にアンカー３０が固定されたならば、治具１の
側板２、２の末端部２ａをハンマーで上方に叩いて側板
２、２を回動させ支圧板２４と側板の係合を解除させた
後、治具１を台座２２から取り外す。

前記においてはアンカー３０の打ち込み角度が３０度の
場合について説明したが、本実施例の治具は、前述の通
り３０度から２度刻みで４６度まで対応可能であって、
その運用にあたってはシャフト３の取付け位置を変更す
るだけでよく、台座への取付け片、および支圧板の支持
方法は３０度の場合について述べたのと全く同一の方法
によって行うことが出来る。

［考案の効果］ 本考案は上記の構成としたので、アースアンカー固定用
の台座に、アンカーの打ち込み角度に対応して支圧板を
仮止めすることが可能となり、作業性の向上に寄与す
る。また構造が簡単であって使い勝手がよく、大量生産
にかない極めて実用的である。特に本考案によれば、支
圧板の上にアースアンカー緊張用のジャッキをセットし
た場合でも、当該支圧板に位置ズレを起こすことがない
ので、その作業を安全確実に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図、第２図は同上の
側面図、第３図は同上正面図、第４図は使用状態を示す
側面図、第５図はシャフトの取り付け状態を示す図、第
６図乃至第７図は治具の取り付け状態を示す図、第８図
は従来形を示す図である。 １：固定用治具、２：側板 ３：シャフト、３ａ：透孔 ４：角度調整孔、５：切欠き ６：銘板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アースアンカー固定用台座の円弧状固定面
   に支圧板を仮止めする治具であって、取付け角度に対応
   する角度調整用の複数の孔と支圧板保持用の切欠きを有
   する左右一対の側板と、前記側板の任意の孔に挿通し、
   該側板を片持ち式に保持するシャフトとからなり、前記
   切欠きに対して支圧板の両側から突出させた支持棒を挿
   入、保持させるようにしたことを特徴とするアースアン
   カー支圧板固定用治具。