JPH06218415A - ばね鋼線材の製造方法 - Google Patents
ばね鋼線材の製造方法Info
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- JPH06218415A JPH06218415A JP5012148A JP1214893A JPH06218415A JP H06218415 A JPH06218415 A JP H06218415A JP 5012148 A JP5012148 A JP 5012148A JP 1214893 A JP1214893 A JP 1214893A JP H06218415 A JPH06218415 A JP H06218415A
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- Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】耐疲労性の優れたばね鋼線材の製造方法を提示
する。 【構成】弁ばね、懸架ばね鋼線材の製造方法において、
鋳片を製造する連続鋳造工程のモールド内溶鋼をサンプ
リングし、鋼中酸化物系介在物の組成を分析することに
より、鋳片を加熱圧延し線材を製造する際の温度を決定
する。ここにサンプリング鋼は真空下での電子ビーム照
射により溶融させ、内部の酸化物系介在物を該溶融鋼表
面に浮上せしめ、その組成を分析する。該分析値中、M
gOが7重量%以上の場合は、鋳片から線材を製造する
際の加熱圧延温度を1200℃未満に規定する。 【効果】硬質酸化物2MgO・SiO2を全く含有しない
ばね鋼線材が得られ、その耐疲労性は大幅に向上する。
する。 【構成】弁ばね、懸架ばね鋼線材の製造方法において、
鋳片を製造する連続鋳造工程のモールド内溶鋼をサンプ
リングし、鋼中酸化物系介在物の組成を分析することに
より、鋳片を加熱圧延し線材を製造する際の温度を決定
する。ここにサンプリング鋼は真空下での電子ビーム照
射により溶融させ、内部の酸化物系介在物を該溶融鋼表
面に浮上せしめ、その組成を分析する。該分析値中、M
gOが7重量%以上の場合は、鋳片から線材を製造する
際の加熱圧延温度を1200℃未満に規定する。 【効果】硬質酸化物2MgO・SiO2を全く含有しない
ばね鋼線材が得られ、その耐疲労性は大幅に向上する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の懸架装置、
エンジンの弁ばね等に使用されるばね用鋼に関するもの
である。
エンジンの弁ばね等に使用されるばね用鋼に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】この種のばね用鋼は、懸架装置、エンジ
ン弁ばねに多量に使用されているが、一般機械において
も緩衝あるいはエネルギー蓄積のためのばね素材として
広く使用されている。これらのばね用鋼に要求される性
能の中で最も重要なもののひとつは、繰返し使用後の信
頼性即ち耐疲労性である。特に、最近では輸送機械にお
いて走行エネルギー低減のため、各部品の軽量化が進め
られており、ばねにおいてもその設計応力を高め、軽量
化を達成する傾向が顕著になってきており、耐疲労性を
より向上させる必要が生じてきている。
ン弁ばねに多量に使用されているが、一般機械において
も緩衝あるいはエネルギー蓄積のためのばね素材として
広く使用されている。これらのばね用鋼に要求される性
能の中で最も重要なもののひとつは、繰返し使用後の信
頼性即ち耐疲労性である。特に、最近では輸送機械にお
いて走行エネルギー低減のため、各部品の軽量化が進め
られており、ばねにおいてもその設計応力を高め、軽量
化を達成する傾向が顕著になってきており、耐疲労性を
より向上させる必要が生じてきている。
【0003】このような要請に応じるため、ばね鋼、及
び製造技術に関して種々の技術革新がなされている。例
えば、特公平1−35049号公報においては、高Si
ばね鋼材の表面欠陥防止法として、熱間圧延の鋳片温度
制御法が開示されており、これにより表面キズ等の欠陥
の発生が抑制され、表面欠陥起因の疲労破壊を軽減で
き、耐疲労性が向上したとされている。
び製造技術に関して種々の技術革新がなされている。例
えば、特公平1−35049号公報においては、高Si
ばね鋼材の表面欠陥防止法として、熱間圧延の鋳片温度
制御法が開示されており、これにより表面キズ等の欠陥
の発生が抑制され、表面欠陥起因の疲労破壊を軽減で
き、耐疲労性が向上したとされている。
【0004】一方、特公平3−62769号公報におい
ては、高Siばね用清浄鋼を製造する方法に関し、溶鋼
処理のスラグ組成を適性範囲に制御することにより、酸
化物系介在物の延性を高め、圧延工程にて酸化物系介在
物を微細化し、これによりばね鋼の耐疲労性を向上させ
た旨の記載が示されている。
ては、高Siばね用清浄鋼を製造する方法に関し、溶鋼
処理のスラグ組成を適性範囲に制御することにより、酸
化物系介在物の延性を高め、圧延工程にて酸化物系介在
物を微細化し、これによりばね鋼の耐疲労性を向上させ
た旨の記載が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ばね用
鋼の耐疲労性向上に関して精力的な研究を継続した結
果、連続鋳造で得られる鋳片の酸化物組成を適性な範囲
にコントロールしなければ加熱圧延工程で硬質酸化物が
析出する場合があり、この硬質酸化物が耐疲労性を悪化
させることが明らかとなった。この問題を解決するため
の方法を総合的に検討し、酸化物系介在物組成と加熱圧
延温度に着目した本発明を提案するに至った。
鋼の耐疲労性向上に関して精力的な研究を継続した結
果、連続鋳造で得られる鋳片の酸化物組成を適性な範囲
にコントロールしなければ加熱圧延工程で硬質酸化物が
析出する場合があり、この硬質酸化物が耐疲労性を悪化
させることが明らかとなった。この問題を解決するため
の方法を総合的に検討し、酸化物系介在物組成と加熱圧
延温度に着目した本発明を提案するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは以下の通りである。重量%で、C:0.5〜0.8
%,Si:1.0〜2.5%,Mn:0.4〜1.5%を必須
的に含有するばね溶鋼から鋳片を製造する連続鋳造工程
において、モールド内溶鋼をサンプリングし、該サンプ
ルの酸化物系介在物の組成を分析することにより、鋳片
を加熱圧延し線材を製造する際の加熱温度を規定するば
ね鋼線材の製造方法である。
ろは以下の通りである。重量%で、C:0.5〜0.8
%,Si:1.0〜2.5%,Mn:0.4〜1.5%を必須
的に含有するばね溶鋼から鋳片を製造する連続鋳造工程
において、モールド内溶鋼をサンプリングし、該サンプ
ルの酸化物系介在物の組成を分析することにより、鋳片
を加熱圧延し線材を製造する際の加熱温度を規定するば
ね鋼線材の製造方法である。
【0007】ここにモールドにてサンプリングした溶鋼
は凝固させた後、真空下での電子ビーム照射により溶融
させ、内部に含有されていた酸化物系介在物を該溶融鋼
表面に浮上、凝集せしめる。さらに電子ビーム照射によ
り得られた酸化物の組成を分析し、該分析値中、MgO
が7重量%以上の場合は、鋳片から線材を製造する際の
加熱圧延温度を1200℃未満に規定する。
は凝固させた後、真空下での電子ビーム照射により溶融
させ、内部に含有されていた酸化物系介在物を該溶融鋼
表面に浮上、凝集せしめる。さらに電子ビーム照射によ
り得られた酸化物の組成を分析し、該分析値中、MgO
が7重量%以上の場合は、鋳片から線材を製造する際の
加熱圧延温度を1200℃未満に規定する。
【0008】
【作用】まず、本発明における耐疲労性向上の基本的考
え方を述べる。本発明における耐疲労性向上の基本的考
え方は、ばね鋼鋳片の加熱圧延工程における酸化物系介
在物からの硬質介在物の析出を防止し、ばね鋼線材の硬
質介在物起因の疲労破壊を完全に解消し、耐疲労性を飛
躍的に向上させることにある。
え方を述べる。本発明における耐疲労性向上の基本的考
え方は、ばね鋼鋳片の加熱圧延工程における酸化物系介
在物からの硬質介在物の析出を防止し、ばね鋼線材の硬
質介在物起因の疲労破壊を完全に解消し、耐疲労性を飛
躍的に向上させることにある。
【0009】即ち、ばね鋼鋳片内の酸化物系介在物を適
性組成範囲にコントロールしなければ、該酸化物から硬
質の2MgO・SiO2が析出するケースがある。2MgO
・SiO2疲労破壊の起点になることから、2MgO・Si
O2の析出を完全に防止できれば鋼材の疲労強度を大幅
に向上できる。ここに析出する2MgO・SiO2は、組
成的にMgO:55〜60重量%,SiO2:40〜45
重量%であり、そのサイズは5〜50μであるが、硬質
であるため圧延時の分断・微細化は全く期待できない。
さらに15μ以下の小型のものでも硬質なため疲労破壊
の起点になりうる。
性組成範囲にコントロールしなければ、該酸化物から硬
質の2MgO・SiO2が析出するケースがある。2MgO
・SiO2疲労破壊の起点になることから、2MgO・Si
O2の析出を完全に防止できれば鋼材の疲労強度を大幅
に向上できる。ここに析出する2MgO・SiO2は、組
成的にMgO:55〜60重量%,SiO2:40〜45
重量%であり、そのサイズは5〜50μであるが、硬質
であるため圧延時の分断・微細化は全く期待できない。
さらに15μ以下の小型のものでも硬質なため疲労破壊
の起点になりうる。
【0010】2MgO・SiO2は鋳片では全く検出され
ず、加熱圧延後に出現していることから、その析出は加
熱圧延工程であると考えられる。本発明者らは、析出を
支配する要因が鋳片内酸化物の組成と加熱圧延温度であ
ると想定し、防止対策のひとつとして、加熱圧延工程前
に酸化物組成を事前に分析し、その分析値に基づき加熱
圧延温度を適性にコントロールする方法を着想した。
ず、加熱圧延後に出現していることから、その析出は加
熱圧延工程であると考えられる。本発明者らは、析出を
支配する要因が鋳片内酸化物の組成と加熱圧延温度であ
ると想定し、防止対策のひとつとして、加熱圧延工程前
に酸化物組成を事前に分析し、その分析値に基づき加熱
圧延温度を適性にコントロールする方法を着想した。
【0011】まず、2MgO・SiO2の析出に関する実
験を行った。実験は、事前に溶解合成したばね鋼酸化物
相当組成の混合酸化物を電気炉内で一定温度、一定時間
で高温保持し、2MgO・SiO2析出の有無を調査する
方法によった。事前に溶解合成した混合酸化物はSi
O2:55重量%,CaO:25重量%,Al2O3:20
重量%の混合物に対してMgOを複合した組成である。
験を行った。実験は、事前に溶解合成したばね鋼酸化物
相当組成の混合酸化物を電気炉内で一定温度、一定時間
で高温保持し、2MgO・SiO2析出の有無を調査する
方法によった。事前に溶解合成した混合酸化物はSi
O2:55重量%,CaO:25重量%,Al2O3:20
重量%の混合物に対してMgOを複合した組成である。
【0012】MgO濃度(MgO/SiO2+CaO+Al2
O3+MgO)は0,2,4,6,7,8,10,15重
量%とした。また電気炉での保持温度は800,90
0,1000,1050,1100,1150,120
0,1250,1300,1350℃とし、保持時間は
10,30,60,120,240,300,600,
1200秒とした。またルツボは酸化物混入の恐れがな
い白金ルツボを用いた。
O3+MgO)は0,2,4,6,7,8,10,15重
量%とした。また電気炉での保持温度は800,90
0,1000,1050,1100,1150,120
0,1250,1300,1350℃とし、保持時間は
10,30,60,120,240,300,600,
1200秒とした。またルツボは酸化物混入の恐れがな
い白金ルツボを用いた。
【0013】この実験の結果、MgO濃度が7%以下で
はいかなる保持温度・時間でも、2MgO・SiO2の析
出は全く見られなかった。しかし、MgO濃度が7%を
超えると、1200℃以上の高温度域ではすべての保持
時間において2MgO・SiO2が析出した。
はいかなる保持温度・時間でも、2MgO・SiO2の析
出は全く見られなかった。しかし、MgO濃度が7%を
超えると、1200℃以上の高温度域ではすべての保持
時間において2MgO・SiO2が析出した。
【0014】以上より、本発明を構成する主要な要件が
導出された。即ち、酸化物中MgO濃度が7%以下では
2MgO・SiO2析出の心配はないが、MgO濃度が7%
を超える場合には加熱圧延の際の温度を1200未満に
する必要がある。
導出された。即ち、酸化物中MgO濃度が7%以下では
2MgO・SiO2析出の心配はないが、MgO濃度が7%
を超える場合には加熱圧延の際の温度を1200未満に
する必要がある。
【0015】鋳片から線材を製造する際の加熱圧延温度
は一般に1000〜1300℃であり、加熱炉の操業条
件等により異なる。上記のように、酸化物中MgO濃度
が7%を超えると判定された場合には加熱炉の最高温度
を1200℃として操業する必要がある。酸化物中Mg
O濃度が7%以下の場合には通常の加熱圧延温度である
1000〜1300℃とすればよい。
は一般に1000〜1300℃であり、加熱炉の操業条
件等により異なる。上記のように、酸化物中MgO濃度
が7%を超えると判定された場合には加熱炉の最高温度
を1200℃として操業する必要がある。酸化物中Mg
O濃度が7%以下の場合には通常の加熱圧延温度である
1000〜1300℃とすればよい。
【0016】次に、鋳片内酸化物組成の分析法について
述べる。分析法としては、鋳片内全酸化物の組成を迅速
に分析できることが望まれる。このような観点から、本
発明では、本発明者らがすでに提案した特願平4−26
3821号の電子ビーム照射法を採用した。その理由は
以下の通り2つである。
述べる。分析法としては、鋳片内全酸化物の組成を迅速
に分析できることが望まれる。このような観点から、本
発明では、本発明者らがすでに提案した特願平4−26
3821号の電子ビーム照射法を採用した。その理由は
以下の通り2つである。
【0017】第1に、鋼の溶融状態を一定時間保持する
ことにより、鋼中の酸化物系介在物のほぼ全量を溶融鋼
表面上に浮上させることができるからである。ここに浮
上した酸化物系介在物の形態ごとの代表的なものを分析
すれば、鋼中の全酸化物の組成を知ることができる。こ
の中で、MgOが7重量%以上の酸化物があるか否によ
り加熱圧延温度を決定すればよい。
ことにより、鋼中の酸化物系介在物のほぼ全量を溶融鋼
表面上に浮上させることができるからである。ここに浮
上した酸化物系介在物の形態ごとの代表的なものを分析
すれば、鋼中の全酸化物の組成を知ることができる。こ
の中で、MgOが7重量%以上の酸化物があるか否によ
り加熱圧延温度を決定すればよい。
【0018】第2には極めて短時間にかつ低コストで酸
化物の組成を分析できることである。即ち、サンプリン
グから組成分析までの所要時間は15分程度であり、連
続鋳造〜加熱圧延の連続工程に支障をきたすことは全く
ない。またコスト的にも、通常の顕微鏡試料作成(鋼サ
ンプルの樹脂への埋込み→研摩)〜組成分析法に比べサ
ンプル調整簡略化、分析時間短縮が達成でき有利であ
る。
化物の組成を分析できることである。即ち、サンプリン
グから組成分析までの所要時間は15分程度であり、連
続鋳造〜加熱圧延の連続工程に支障をきたすことは全く
ない。またコスト的にも、通常の顕微鏡試料作成(鋼サ
ンプルの樹脂への埋込み→研摩)〜組成分析法に比べサ
ンプル調整簡略化、分析時間短縮が達成でき有利であ
る。
【0019】なお、本発明におけるモールドでの溶鋼サ
ンプリングのタイミング、頻度は特に限定するものでは
ない。即ち、個々のプロセスの特性に応じ、代表的とみ
なされる、あるいは2MgO・SiO2析出の可能性の高
い鋳片部位に対応した溶鋼のサンプリングを適宜おこな
えばよい。
ンプリングのタイミング、頻度は特に限定するものでは
ない。即ち、個々のプロセスの特性に応じ、代表的とみ
なされる、あるいは2MgO・SiO2析出の可能性の高
い鋳片部位に対応した溶鋼のサンプリングを適宜おこな
えばよい。
【0020】また電子ビームの照射条件についても限定
するものではない。一般的には、真空度1×10~3トー
ル以上の高真空とした方が鋼サンプルの酸化が少なく、
照射エネルギーは2000〜5000ジュールが適正で
あり、この範囲では浮上酸化物の合体がなく鋼サンプル
中の個々の酸化物を浮上できる。また鋼サンプルのサイ
ズは5×5×5mmから20×20×20mm角の大きさが
適当である。
するものではない。一般的には、真空度1×10~3トー
ル以上の高真空とした方が鋼サンプルの酸化が少なく、
照射エネルギーは2000〜5000ジュールが適正で
あり、この範囲では浮上酸化物の合体がなく鋼サンプル
中の個々の酸化物を浮上できる。また鋼サンプルのサイ
ズは5×5×5mmから20×20×20mm角の大きさが
適当である。
【0021】次に、本発明の対象鋼について述べる。本
発明対象鋼の成分組成はJISで規定される弁ばね、及
び懸架ばねであり、加熱圧延工程で2MgO・SiO2析
出の可能性のある鋼である。具体的には弁ばね、及び懸
架ばね鋼鋼材の成分組成に注目し、これらの各鋼材の成
分組成を総合的に判断し、引張り強さ、伸び等の機械的
性質が良好なでなければならないという条件を考慮し以
下のように設定した。
発明対象鋼の成分組成はJISで規定される弁ばね、及
び懸架ばねであり、加熱圧延工程で2MgO・SiO2析
出の可能性のある鋼である。具体的には弁ばね、及び懸
架ばね鋼鋼材の成分組成に注目し、これらの各鋼材の成
分組成を総合的に判断し、引張り強さ、伸び等の機械的
性質が良好なでなければならないという条件を考慮し以
下のように設定した。
【0022】C:0.50〜0.80% Si:1.00〜2.50% Mn:0.40〜1.50% なお、上記以外の合金成分としてはCr,Mo,V,N
b,Cu,Ni,Bをそれぞれ最大2.0%まで含有でき
る。また、P,S,Sn,As 等の微量不純物を許容で
きる。
b,Cu,Ni,Bをそれぞれ最大2.0%まで含有でき
る。また、P,S,Sn,As 等の微量不純物を許容で
きる。
【0023】また弁ばね、懸架ばね以外にも、Alを含
有しないSiキルド鋼については、加熱圧延工程での2
MgO・SiO2析出の可能性があり、これら鋼への本発
明の適用も可能である。具体的成分は、C:0.20〜
1.00%,Si:0.3〜2.50%,Mn:0.40〜
1.50%であり、合金成分としてCr,Mo,V,Nb,
Cu,Ni,Bをそれぞれ最大2.0%まで含有できる。
また、P,S,Sn,As等の微量不純物を許容できる。
以下に本発明の実施例並びに比較例を述べ本発明の効果
を記載する。
有しないSiキルド鋼については、加熱圧延工程での2
MgO・SiO2析出の可能性があり、これら鋼への本発
明の適用も可能である。具体的成分は、C:0.20〜
1.00%,Si:0.3〜2.50%,Mn:0.40〜
1.50%であり、合金成分としてCr,Mo,V,Nb,
Cu,Ni,Bをそれぞれ最大2.0%まで含有できる。
また、P,S,Sn,As等の微量不純物を許容できる。
以下に本発明の実施例並びに比較例を述べ本発明の効果
を記載する。
【0024】
【実施例】高炉から排出された溶銑に脱P脱S処理を施
し、当該溶銑を転炉に装入し酸素吹錬を実施し、所定の
C,P,S含有量の母溶鋼121トンを得た。この母溶
鋼を取鍋に排出した後、Si,Mn,Cr 等の鉄合金を添
加し、これらの成分を調整した。また取鍋内溶鋼上には
CaO−SiO2−Al2O3−MgO系スラグを形成させ、
溶鋼中の酸化物組成を調整した。
し、当該溶銑を転炉に装入し酸素吹錬を実施し、所定の
C,P,S含有量の母溶鋼121トンを得た。この母溶
鋼を取鍋に排出した後、Si,Mn,Cr 等の鉄合金を添
加し、これらの成分を調整した。また取鍋内溶鋼上には
CaO−SiO2−Al2O3−MgO系スラグを形成させ、
溶鋼中の酸化物組成を調整した。
【0025】この後、タンディッシュでの断気を施しな
がら、連続鋳造により厚み247mm×幅300mmのブル
ーム鋳片を90分間かけて製造した。この間、鋳造開始
から5分間隔でモールド内溶鋼をサンプリングした。サ
ンプリング溶鋼は水冷により冷却した後、気送管にて電
子ビーム照射室まで移送し、サンプルを切断調整後、電
子ビーム照射をおこない、続いてX線マイクロアナライ
ザーにより酸化物の組成を分析した。
がら、連続鋳造により厚み247mm×幅300mmのブル
ーム鋳片を90分間かけて製造した。この間、鋳造開始
から5分間隔でモールド内溶鋼をサンプリングした。サ
ンプリング溶鋼は水冷により冷却した後、気送管にて電
子ビーム照射室まで移送し、サンプルを切断調整後、電
子ビーム照射をおこない、続いてX線マイクロアナライ
ザーにより酸化物の組成を分析した。
【0026】それによると鋳造開始から15分までのサ
ンプルの酸化物がMgO>7%であった。その後5m単
位に切断したブルーム鋳片を加熱炉に装入し、所定の温
度とした後線材圧延し、表1に示すばね鋼線材(直径
4.5mmφ)を製造した。この際、加熱炉から取り出し
た鋳片温度は、酸化物のMgO濃度が7%を超えた部位
の鋳片は1180℃、それ以外の部位の鋳片は1250
℃とした。
ンプルの酸化物がMgO>7%であった。その後5m単
位に切断したブルーム鋳片を加熱炉に装入し、所定の温
度とした後線材圧延し、表1に示すばね鋼線材(直径
4.5mmφ)を製造した。この際、加熱炉から取り出し
た鋳片温度は、酸化物のMgO濃度が7%を超えた部位
の鋳片は1180℃、それ以外の部位の鋳片は1250
℃とした。
【0027】このばね鋼線材に含まれる酸化物を調査し
た結果、硬質酸化物である2MgO・SiO2は全く検出
されなかった。さらに任意の鋳片部位に対応する線材の
中村式回転曲げ疲労試験(試験応力:80kgf/mm2)を
おこなった結果、介在物起点割れ発生時の繰返し回数は
5.0〜6.5×108となり好ましい成績であった。
た結果、硬質酸化物である2MgO・SiO2は全く検出
されなかった。さらに任意の鋳片部位に対応する線材の
中村式回転曲げ疲労試験(試験応力:80kgf/mm2)を
おこなった結果、介在物起点割れ発生時の繰返し回数は
5.0〜6.5×108となり好ましい成績であった。
【0028】
【比較例】実施例と同様の方法で表1に示すばね鋼線材
を製造した。但し、この場合にはモールドでの溶鋼サン
プリング及び酸化物組成分析はおこなわず、また加熱炉
からの排出鋳片温度を1000〜1300℃として線材
圧延し、線材を製造した。この結果、ばね鋼線材中には
2MgO・SiO2が検出され、中村式回転曲げ疲労試験
の介在物起点割れ発生時の繰返し回数も3.0×106〜
5.2×108となり実施例よりも極度に悪い成績のもの
も多数出現した。
を製造した。但し、この場合にはモールドでの溶鋼サン
プリング及び酸化物組成分析はおこなわず、また加熱炉
からの排出鋳片温度を1000〜1300℃として線材
圧延し、線材を製造した。この結果、ばね鋼線材中には
2MgO・SiO2が検出され、中村式回転曲げ疲労試験
の介在物起点割れ発生時の繰返し回数も3.0×106〜
5.2×108となり実施例よりも極度に悪い成績のもの
も多数出現した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】以上、詳細に述べたように、本発明によ
り耐疲労性を大幅に向上した優れたばね鋼製品を提供で
きる体制が確立された。これにより、輸送機械の徹底し
た軽量化がはかられ、排気ガスに起因する地球規模の環
境問題が緩和される等、産業界にとって極めて有益であ
る。
り耐疲労性を大幅に向上した優れたばね鋼製品を提供で
きる体制が確立された。これにより、輸送機械の徹底し
た軽量化がはかられ、排気ガスに起因する地球規模の環
境問題が緩和される等、産業界にとって極めて有益であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で、C:0.5〜0.8%,Si:1.
0〜2.5%,Mn:0.4〜1.5%を必須的に含有する
ばね溶鋼から鋳片を製造する連続鋳造工程において、モ
ールド内溶鋼をサンプリングし、該サンプルの酸化物系
介在物の組成を分析することにより、鋳片を加熱圧延し
線材を製造する際の温度を決定することを特徴とするば
ね鋼線材の製造方法。 - 【請求項2】モールドにてサンプリングした溶鋼は凝固
させた後、真空下での電子ビーム照射により溶融させ、
内部に含有されていた酸化物系介在物を該溶融鋼表面に
浮上、凝集せしめ、その組成を分析する請求項1に記載
のばね鋼線材の製造方法。 - 【請求項3】電子ビーム照射により得られた酸化物の組
成を分析し、該分析値中、MgOが7重量%以上の場合
は、鋳片から線材を製造する際の加熱圧延温度を120
0℃未満に規定する請求項2に記載のばね鋼線材の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5012148A JPH06218415A (ja) | 1993-01-28 | 1993-01-28 | ばね鋼線材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5012148A JPH06218415A (ja) | 1993-01-28 | 1993-01-28 | ばね鋼線材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06218415A true JPH06218415A (ja) | 1994-08-09 |
Family
ID=11797410
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP5012148A Withdrawn JPH06218415A (ja) | 1993-01-28 | 1993-01-28 | ばね鋼線材の製造方法 |
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JP (1) | JPH06218415A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1038985A1 (en) * | 1998-07-17 | 2000-09-27 | Sumitomo Metal Industries Limited | Clean steel |
CN114082904A (zh) * | 2021-11-30 | 2022-02-25 | 江苏联峰实业有限公司 | 一种高表面质量60Si2MnA弹簧钢的生产控制工艺 |
-
1993
- 1993-01-28 JP JP5012148A patent/JPH06218415A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1038985A1 (en) * | 1998-07-17 | 2000-09-27 | Sumitomo Metal Industries Limited | Clean steel |
EP1038985A4 (en) * | 1998-07-17 | 2003-04-02 | Sumitomo Metal Ind | PURIFIED STEEL |
CN114082904A (zh) * | 2021-11-30 | 2022-02-25 | 江苏联峰实业有限公司 | 一种高表面质量60Si2MnA弹簧钢的生产控制工艺 |
CN114082904B (zh) * | 2021-11-30 | 2023-03-28 | 江苏联峰实业有限公司 | 一种高表面质量60Si2MnA弹簧钢的生产控制工艺 |
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