JPH062110B2 - 便座用ティッシュペ−パ− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、洋式トイレの便座の表面を使用前に清拭す
るための便座用ティッシュペーパーに関するものであ
る。

〔従来の技術〕

近年、水、アルコール等を不織布や紙に含浸させた、一
般に「ぬれティッシュ」と呼ばれているティッシュペー
パーが、おしぼり等として多く使用されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、洋式トイレの便座表面を上記ぬれティッ
シュを用いて清拭しても、表面的な汚れは落とすことが
できるが、殺菌や除菌作用はほとんどなく、細菌の多い
便座表面を完全な衛生状態にまで消毒することはできな
かった。

又、上記ぬれティッシュには、水で希釈した含浸剤を含
浸させていたため、水に溶解しにくい不織布や紙を使用
しなければならなかった。そのため、使用後のぬれティ
ッシュを便器内にすてると、ぬれティッシュが、便器や
下水パイプに詰まって水が流れなくなったり、浄化槽に
詰まって浄化不能となる原因となった。

そこで、使用後便器内に捨てられるように水解紙を使用
したぬれティッシュが特開昭59-144426号のように発明
された。しかし、特開昭59-144426号の発明は、水解紙
に化粧品用油性原料及び界面活性剤を含浸させ、皮膚の
汚れを清拭するものであり、細菌や除菌作用がないだけ
でなく、速乾性もないものであった。

従って、このぬれティッシュは、手などの洗浄には使用
できても、細菌の多い便座の殺菌または除菌には使用で
きないものであった。また、便座を拭いた直後は、便座
が湿ったままであり乾燥していないので、直ぐに座るこ
とができず、乾燥するまで待たないといけないという問
題があった。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、この発明は上記従来例の問題点を解決するため
になされたものであり、その構成を、特許請求の範囲第
１項の発明では、速乾性と殺菌性を有する有機溶剤を水
解紙に含浸させて便座拭き用に構成したことを特徴とす
る、拭きとり後便器内に投入して水解させるようにした
便座用ティッシュペーパーとし、特許請求の範囲第４項
の発明では、殺菌剤を溶解させた速乾性と殺菌性を有す
る有機溶剤を水解紙に含浸させて便座拭き用に構成した
ことを特徴とする、拭きとり後便器内に投入して水解さ
せるようにした便座用ティッシュペーパーとしている。

速乾性と殺菌性を有する有機溶剤としては、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル類が使用されるが、特にアルコール類に限定されるも
のではない。

尚、通常市販されている有機溶剤には、数パーセントの
水分が含まれているが、この程度の水分であれば水解紙
にほとんど影響を与えず、このような有機溶剤であって
も本発明において使用することができるのは言うまでも
ない。

殺菌剤としては、有機溶剤に溶解するものであれば特に
限定されることはなく、カチオン界面活性剤やアニオン
界面活性剤等が使用される。カチオン界面活性剤として
は、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジ
メチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアン
モニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイソキノ
リニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩等の四級アン
モニウム塩が挙げられ、アニオン界面活性剤としては、
アミノ酸、コラーゲン加水分解物と高級脂肪酸縮合物で
あるＮ−アシルサルコシン塩等が挙げられる。

水解紙としては、パルプ、レーヨン、ポリビニルアルコ
ール（以下ＰＶＡと称する）から選択される少なくとも
一種からなるものを使用したが、特に限定されることは
なく、任意のものが使用される。

尚、ここでいう水解紙とは、紙を構成する繊維間の接着
力が、ドライの状態ではその成形加工及び拭く等の機能
に必要なだけの強度を最低限有するが、水に浸されたウ
エットの状態では、その接着力が極端に低下し、何らか
の外力を与えると容易に分解ないし分散する性状を有す
る紙を意味する。したがって、この発明に使用しうる水
解紙は、前述のものに限定されるものではなく、上述し
たような性状、すなわち水解性を有する紙であればすべ
て含まれる。

〔作用〕

上記手段を施した結果、この発明品は、殺菌性を有する
有機溶剤を主成分としているので、殺菌や除菌作用の優
れた便座用ティッシュペーパーとなった。さらに、この
ティッシュペーパーは水に浸すと水解するので、使用後
便器内にすてて水洗できる。

水解紙に含浸させた前記有機溶剤は速乾性であるので、
便座の表面は清拭した直後に乾燥する。

〔実施例〕

以下、この発明の構成を実施例として示した図面に従っ
て説明する。

（１）は水解紙であり、次の（Ａ）（Ｂ）に記したよう
な原料割合で配合したものを使用している。

（Ａ）レーヨン：ＰＶＡ＝95：５ （Ｂ）レーヨン：パルプ：ＰＶＡ＝67：28：５ この水解紙（１）に、速乾性と殺菌性を有する有機溶剤
として８−アセチル化ショ糖変性エタノールを、さら
に、前記有機溶剤に表−１に記したような各種の殺菌剤
を溶解させたものを含浸させている。

上記水解紙（１）は、携帯用として使用する場合には第
２図に示したように、ポリエチレンやアルミ箔の袋
（２）に小さく折り畳んで密封包装される。

尚、必要に応じ有機溶剤には香料、消臭剤等、適宜の助
剤を添加することもできる。

次に、この発明に係る便座用ティッシュペーパーを使用
した場合の殺菌、除菌作用について述べる。

先ず、生菌数用標準寒天のスタンプ培地を用いて、各種
公共施設等の洋式トイレの便座表面の一般細菌の菌数を
調べた。次いで、この発明の便座用ティッシュペーパー
を用いて前記の便座表面を清拭後、同じく上記スタンプ
培地を用いて菌数を調べた。その結果を表−II（特許請
求の範囲第１項の発明品）及び表−III（特許請求の範
囲第４項の発明品）に示す。

〔発明の効果〕 この発明に係る便座用ティッシュペーパーは、以上に述
べたように構成されているので、殺菌や除菌作用に非常
に優れており、細菌の多い便座を完璧な衛生状態にまで
消毒することができ、しかも使用後は便器内にすてて水
洗することができるという優れた効果を有する。

また、水解紙に含浸させた有機溶剤は速乾性であり、便
座の表面は清拭した直後に乾燥するので、直ぐに便座に
座ることができ、清拭したのち乾燥するまで待つ必要が
ないという効果も有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係る便座用ティッシュペーパーの斜
視図、第２図は同便座用ティッシュペーパーを小さく折
り畳んで袋に密封した状態を示す部分切欠斜視図であ
る。 （１）…水解紙

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】速乾性と殺菌性を有する有機溶剤を水解紙
   に含浸させて便座拭き用に構成したことを特徴とする、
   拭きとり後便器内に投入して水解させるようにした便座
   用ティッシュペーパー。
2. 【請求項２】速乾性と殺菌性を有する有機溶剤が、アル
   コール類に属するものである特許請求の範囲第１項に記
   載の便座用ティッシュペーパー。
3. 【請求項３】水解紙が、パルプ、レーヨン、ポリビニル
   アルコールから選択される少なくとも一種からなるもの
   である特許請求の範囲第１項に記載の便座用ティッシュ
   ペーパー。
4. 【請求項４】殺菌剤を溶解させた速乾性と殺菌性を有す
   る有機溶剤を、水解紙に含浸させて便座拭き用に構成し
   たことを特徴とする、拭きとり後便器内に投入して水解
   させるようにした便座用ティッシュペーパー。
5. 【請求項５】速乾性と殺菌性を有する有機溶剤が、アル
   コール類に属するものである特許請求の範囲第４項に記
   載の便座用ティッシュペーパー。
6. 【請求項６】水解紙が、パルプ、レーヨン、ポリビニル
   アルコールから選択される少なくとも一種からなるもの
   である特許請求の範囲第４項に記載の便座用ティッシュ
   ペーパー。
7. 【請求項７】殺菌剤が、カチオン界面活性剤である特許
   請求の範囲第４項に記載の便座用ティッシュペーパー。
8. 【請求項８】殺菌剤が、アニオン界面活性剤である特許
   請求の範囲第４項に記載の便座用ティッシュペーパー。