JP2604436B2 - 湿潤紙力があり且水中分散性を有する紙およびその製造方法 - Google Patents

湿潤紙力があり且水中分散性を有する紙およびその製造方法

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、容易に水に分散する紙であつてかつ湿潤し
た紙及びその製造方法に関する。更に詳しくは、ベビー
ワイパー、ウエツトテイツシユ、排便用ウエツトテイツ
シユ等の湿潤状態で用いる各種ワイパー、生理用品、或
いは医療用手袋等の使い捨て製品として用いられ、水洗
便所等に廃棄された際に容易に水に分散して下水管内に
閉塞を生じない紙及びその製造方法に関する。
<従来技術> 現在水で濡れた状態で使う紙及び不織布には湿潤時の
紙力を保持するために耐水性を向上させる工夫がなされ
ている。例えば紙などの場合には耐水性のあるエマルジ
ヨンバインダーを用いたり、湿潤紙力増強剤やエマルジ
ヨン加工を施している。また不織布の場合には水中絡合
法、ニードルパンチ法、更に熱溶融バインダー繊維を用
いたり、耐水性エマルジヨンバインダーを用いたりした
化合繊維不織布から出来ている。これらは、当然耐水性
を有するため水中分散性は得られず水洗トイレへ流すこ
とはできないものである。例えば特開昭62−184193号公
報に述べられているが、水分散性はブロツク状分散であ
り不充分なものである。また特開昭54−104963号公報に
は、PVA含浸シートに硼酸等のゲル化剤を含有した湿潤
シートとし水中に流して処分する方法を提供している。
これとても毒性の強い硼酸を用いることから皮膚洗浄材
としては好ましくない。
一方、水分散性の紙を得る方法としては、例えば特開
昭59−144426号公報の実施例に開示されているように、
熱水可溶性のポリビニルアルコールを他の紙料と共に混
合し、湿式抄紙する方法がある。この方法によつて得ら
れた紙は、混合したポリビニルアルコールが抄紙後の乾
燥工程において溶解し、他の紙料を接着固定してバイン
ダー効果を発揮しているが、水中に廃棄されるとポリビ
ニルアルコールが溶解し、紙が分散することとなる。し
かし用いるポリビニルアルコールが熱水には溶解する
が、冷水には溶解し難いものである場合、当然紙の水分
散性が悪くなり、水洗便所の下水管を閉塞させることと
なる。水分散性を向上させるべく、冷水に溶解するポリ
ビニルアルコールを用いた場合、ポリビニルアルコール
の抄紙時の溶解ロスが大きくなり、抄紙時の排水処理及
び原材料費用等の経済的な損失が大きく、実用上不可能
である。
また特公昭55−36759号公報に示されているように、
熱水可解性のポリビニルアルコールバインダーを用いる
場合、その混合量を0.3〜1.5%と低下させて紙の水分散
性を確保する方法が考えられるが、この場合、バインダ
ー効果が充分発揮されないため、得られる紙の紙力が低
下すると共に、使用時紙粉の発生が著しく、使用に耐え
ないという欠点がある。さらに、これら従来の紙を湿潤
紙とするべく水に湿潤させると、紙力が一層低下するこ
ととなる。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は、かかる従来技術の欠点を解消するものであ
つて、湿潤液としてアルコール系化合物で代表される湿
潤紙力保持剤含有液を用いた場合に湿潤紙力があり、か
つ水中分散性を有する紙であつて、乾燥状態において
も、優れた水分散性を有すると共に、使用に耐え得る充
分な紙力と柔軟でソフトな感触を有する水分散紙および
経済性、工程管理上優れた水分散紙の製造法を提供する
ものである。
<課題を解決するための手段> 本発明は、けん化度が90〜97.5mol%であり、かつ熱
処理によって一時的に耐水性が付与された水中溶解温度
50〜90℃のポリビニルアルコール(PVA)系バインダー
を1〜20重量%、化合繊維を10重量%以上含有する紙料
を抄紙してなる紙であって、該ポリビニルアルコール系
バインダーが繊維状で紙組織内に存在して該化合繊維を
結合、接着しており、且つ抄紙乾燥工程における水分と
加熱によって、紡糸乾燥後の熱処理により一時的に与え
られたバインダーの耐水性が消滅して10〜40℃の潜在的
溶解温度を呈していることを特徴とする紙およびこの紙
に含浸されているアルコール系化合物からなる湿潤紙力
保持剤から構成された湿潤強力があり、かつ水中分散性
を有する紙であり、更には、けん化度90〜97.5mol%の
ポリビニルアルコール系ポリマーを紡糸した後105〜140
℃で乾燥し、さらに160〜250℃で熱処理して得られる溶
解温度50〜90℃のポリビニルアルコール系繊維状バイン
ダーを1〜20重量%、化合繊維を10重量%以上含有する
紙料を抄紙乾燥後、110〜130℃で加熱乾燥して得られた
紙にアルコール系化合物からなる湿潤紙力保持剤の含有
液を含浸する紙の製造方法であって、この乾燥工程にお
ける水分と加熱によって、該バインダーが溶解すると同
時に紡糸乾燥後の熱処理により一時的に付与したバイン
ダーの耐水性が消滅して10〜40℃の潜在的溶解温度を呈
することを特徴とする湿潤紙力があり、かつ水中分散性
を有する紙の製造方法である。本発明ではアルコール系
化合物からなる湿潤紙力保持剤を用いるが、アルコール
系化合物としては、たとえば1価、2価、3価あるいは
それ以上の多価アルコールならびに、ポリエチレングリ
コールやポリプロピレングリコールで代表されるポリオ
キシアルキレングリコールであり、水溶性である化合物
が好ましい。
これら湿潤紙力保持剤を含有した、水中分散性があ
り、使用に耐える紙力と柔軟でかつソフトな感触を有す
る水分散紙及びその製造方法について説明する。
ここで、PVA系繊維状バインダーの潜在的溶解温度と
は、該PVA系繊維状バインダーを製造する際乾燥のみ行
ない、熱処理を施さない状態に於ける該バインダーの溶
解温度であり、後述の如く該バインダーを用いて得られ
た水中分散紙に於けるPVA系バインダーの溶解温度と一
致する。
本発明に用いられるPVA系繊維状バインダーは、ケン
化度90〜97.5モル%のPVAの水溶液を芒硝等の塩類浴を
凝固浴として常法により湿式紡糸した後通常105〜140℃
で乾燥し、更に溶解温度が前述の50〜90℃になる如く通
常160〜250℃で熱処理した後適当な繊維長に切断して得
られるが、紡糸后の乾燥のみでは繊維状を保持している
もののその溶解温度は10〜40℃であり極めて水溶解性に
富むものである。紙の抄造工程では、前述の熱処理後の
PVA系繊維状バインダーは一旦湿式抄造され、通常110〜
130℃で加熱乾燥される。この乾燥工程で抄造時に保持
した水分と乾燥時の加熱により該バインダーは溶解し、
バインダー効果を発揮するが、溶解後は、前記紡糸后の
乾燥と同程度の温度で乾燥されるため、上記紡糸后の乾
燥後の溶解温度に対応する低い溶解温度(すなわち潜在
的溶解温度)を示すに至る。これは紡糸乾燥後の熱処理
によつて一時的に与えられる該PVA系繊維状バインダー
の耐水性が消滅することによる。以上述べた如く、本来
極めて水溶性に富んだケン化度90〜97.5モル%のPVAを
用い、繊維形成後の熱処理によつて一時的に耐水性を与
えて湿式抄造の際の溶解ロスを抑制して経済的に優れ且
つ、工程管理を容易ならしめるPVA系繊維状バインダー
を用い、抄造后の乾燥工程で再び水溶性に富んだPVA系
バインダーとして紙中に存在せしめるという巧妙な技術
が本発明の根幹であり、従つて、本発明の水中分散紙及
びその製造方法は従来の技術には見られない全く新規な
技術である。
本発明の第2の特長は、湿潤紙力保持剤を好ましくは
10%以上(重量に基づく値であつて、以下%は重量%で
ある)含む溶液に前述の水溶解性紙を浸漬して濡れた状
態で使える紙でかつ水洗トイレに流すことができる水分
散性紙としたことである。湿潤紙力保持剤としては、PV
Aの溶剤又は可塑剤として水に次ぐ良溶剤である三価ア
ルコール、たとえばグリセリン、ペトリオール、また二
価アルコールのブタンジオールなどの水溶液、又はポリ
オキシアルキレングリコールであるポリエチレングリコ
ールやポリプロピレングリコールの溶液、またはこれに
水を加えた混合溶液が好適な代表例として用いられ、こ
れに前述の水中分散紙を含浸しても、驚くべきことに、
湿潤紙力保持液中では使用に耐え得る充分な紙力を有し
ていることを見出した。これら湿潤紙力保持剤がPVAの
水溶性を阻害する理由は不明であるが、不思議なことに
大量の水が存在する場合には水に容易に溶解する性質を
有する。すなわち本発明は、前述したような新規なPVA
バインダーと、PVAの溶剤となり得るアルコール系化合
物等の混合水溶液の利用の二つの相乗効果を見出して初
めて得られたものである。
本発明のPVA系繊維状バインダーのケン化度は90〜97.
5モル%であり、90モル%未満では水溶性は優れている
ものの前述の紡糸后の乾燥工程で繊維が膠着し製造不能
であり、また97.5モル%を越えると紡糸乾燥のみで耐水
性が附与され抄造乾燥后も充分な水溶性が得られず、従
つて得られた紙の水中分散性が悪くなる。
また本発明の水中分散紙中に含有されるPVA系バイン
ダーは1〜20重量%である。1重量%(以下特に記さな
い限り%は重量%である)未満では充分な紙力が得られ
ないばかりでなく、他の紙料を充分結合接着出来ないた
め、使用時に紙粉が多発する。また20重量%を越える場
合には水中分散性が悪くなると共に得られる紙が疎剛に
なり、触感が損われる。好ましくは3〜7%である。一
般に紙中のPVA系バインダーの含有量を増加させると、
紙力の向上と共に疎剛感が増して来るためPVA粉末で混
抄したり、又紙にPVA系等の樹脂を塗布する従来の方法
では紙力を犠牲にして柔軟性を保持しなければならなか
つたが、本発明の如くPVA系繊維状バインダーを用い紙
中のバインダーを繊維状で点在させるとバインダーが他
の紙料全面を被覆しないため、バインダー量が増加して
も疎剛感が現れ難く柔軟でソフトな感触の紙が得られ
る。
尚本発明のPVA系繊維状バインダーの繊度、繊維長は
特に限定されるものではないが、好ましくはそれぞれ1.
0〜2.0デニール、2〜10mmである。
本発明の水中分散紙を構成する化合繊維は特に限定さ
れず、PVA系、ポリエステル系、セルローズ系、ポリオ
レフイン系、ポリアミド系、アクリル系等各種の化合繊
維を用いることが出来る。またその繊度及び繊維長も特
に限定されるものでなく、用途に応じて適宜使い分けれ
ばよいが、得られる水中分散紙の触感の点で好ましくは
0.2〜3デニール、2〜10mmである。
化合繊維の含有量も又触感を左右し、柔軟でソフトな
触感を得るためには少くとも10%以上の化合繊維を含有
する必要がある。化合繊維以外に用いられる紙料として
は経済性、抄造性の点で主として各種天然パルプが好ま
しいが、他の紙料を混合する場合も含めて化合繊維10%
未満では紙の柔軟さが損われ、所謂ペーパーライクで疎
剛な感触を与える。
湿潤紙力保持剤としてのアルコール系化合物として
は、まず1価のアルコール、具体的には、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピロアル
コール、イソプロピロアルコール等の水溶性を示す直鎖
状または分岐状アルコール類、また2価のアルコール、
具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、
3−メチルブタン、1,3−ジオール、ヘキシレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等
の水溶性を示すアルコール類、そして3価のアルコー
ル、具体的には、グリセリン、ペトリオール(すなわち
3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール)等の水溶性
を示すアルコール類、そしてジエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の
水溶性ポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。
これら湿潤紙力保持剤の水への混入割合は多い方が紙
力保持効果は高いが、混入なしの場合水となり、紙は水
分散してしまう。そのため種々混合率を検討した結果、
湿潤紙力保持剤は液中に少くとも10%混合されているこ
とが望ましく、10%未満では水の影響が大きく湿潤紙力
保持の点から好ましくない。より好ましくは40%以上混
合されている場合である。
本発明の湿潤紙を人体清掃に用いるためには、使用す
る部位によつても異るが、化粧品原料基準、又は日本薬
局方規格に適合する安全上問題のない湿潤紙力保持剤、
具体的にはグリセリン、3−メチルブタン−1,3−ジオ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、
ポリエチレングリコール等が用いられる。その他スクワ
ランやゲラニオールなども湿潤紙力保持剤として、ある
いはその他の添加剤として用いることができる。
また医療用剤を含浸することも可能で、たとえばクロ
タミトン(クロトニル−N−エチル−O−トルイジン)
100mg、ヒドロコルチゾン2.5mg、酢酸トコフエロール
(ビタミンEアセテート)5mgを1g中に含む、湿疹等の
皮膚疾患に好適な市販薬(商品名:オイラツクス)を水
で溶かしたもの、グルコン酸クロルヘキシジン液(20
%)1%と軟膏基剤99%からなる皮フ疾患・外傷治療剤
に好適な市販薬(商品名:オロナインH軟膏)を水で溶
かしたものなどを用いることもできる。
この他にも種々の外用薬が適用し得る。例えば殺菌
薬、鎮痛鎮痒薬、皮膚刺激薬等が用いられる。例えば殺
菌薬としては具体的には、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール類、硫酸オキシキノリン
酸等のオキシキノリン誘導体、ホウ酸、ホウ酸ナトリウ
ム等のホウ酸ないしその誘導体、アクリノール、過酸化
水素水、オキシシアン化水銀等の過酸化水素ないしその
誘導体、フエノール、クレゾール、レゾルシン等のフエ
ノールないしその誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウ
ム、安息香酸ベンジル等の安息香酸ないしその誘導体、
塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオ
ン性界面活性剤、塩化第一水銀、塩化第二水銀、黄色酸
化水銀、酢酸フエニル水銀、チメロサール等の水銀含有
有機化合物、その他硝酸銀、ヨウ素ないしヨウ素化合
物、チアントール(ジメチルチアントレンおよびジトル
エンジスルフイド)塩化メチルロザニリン、クロラミン
T、ヘキサクロロフエン、ニトロフラゾンなどの種々の
ものがある。またキシロイルスルフアミン、スルフアア
ジン、スルフアミン、スルフアチアゾール、スルフアメ
ラジン、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン、フ
タリルスルフアチアゾール等のサルフア剤、エリスロマ
イシン、クロムフエニコール、カナマイシン、硫酸カナ
マイシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸ジヒドロデオ
キシストレプトマイシン、硫酸ヒドロキシストレプトマ
イシン等の抗生物質分散液等も使用可能である。これら
の化合物のうち用途に応じて適宜の好ましい薬剤を選択
すれば良い。また鎮痛鎮痒剤および皮膚刺激薬としても
各種の薬剤が使用されるものであるが、例えば、鎮痛鎮
痒剤としては、チヨウジ油、ベンジルアルコールあるい
はアヘンアルカロイド等が、また皮膚刺激薬としては、
カンフル、サリチル酸およびサリチル酸エステル、l−
メントールおよびl−メントールエステル、アンモニ
ア、イソチオシアン酸エステル等がある。また種々の芳
香剤を添加することも可能である。
以上列記した多くの化合物のうち、アルコール類に属
する化合物は、湿潤紙力保持剤としての働きをも有す
る。またアルコール類以外の化合物であつても、それが
湿潤時の紙力の大幅な低下を防ぐことができる化合物で
あるならば、それも本発明で言う湿潤紙力保持剤に含ま
れる。
次に本発明を実施例によつて更に具体的に説明する。
尚、本発明は以下述べる実施例に限定されるものでは
ない。
実施例1 ケン化度96.0モル%、平均重合度1700のPVA粉末を16
%水溶液とし、これを孔径0.08mm、孔数6000の口金から
40℃の飽和芒硝浴中に紡糸し、得られた糸条を90℃の飽
和芒硝浴中で2.0倍のドラフトをかけた後120℃で乾燥し
更に180℃で熱処理して単繊維繊度が1.0デニールの篠を
得た。これを繊維長3mmに切断し、PVA系繊維状バインダ
ーを得た。
尚、得られたPVA系繊維状バインダーの溶解温度は60
℃であり、また潜在的溶解温度、即ち上記紡糸、乾燥后
の溶解温度は15℃であつた。
この様にして得られたPVA系繊維状バインダー3%、
繊度2.0デニール、繊維長5mmのポリエステル繊維(クラ
レ社製EP203X5)47%及びカナダ標準水度710mlの針葉
樹パルプ(NBKP)50%を混合して紙料とし、短網絡ワイ
ヤーを備えた湿式抄造材を用いて常法により抄紙した
後、110℃のヤンキー型ドライヤーで乾燥し、坪量30.5g
/m2水中分散紙を得た。
次に浸潤紙力保持剤として重合度400のポリプロピレ
ングリコールを用い、水を加え、混合水溶液濃度を、10
%、20%、40%、60%、100%とし、上記試作した紙を
浴比1:1000になるように20℃、24時間浸漬した。浸漬后
浴中から手で取り出し、水滴が落下しなくなつた時の紙
の強力を測定し、湿潤時使用の可否の判定をした。更に
この紙の水中分散性を判定するために水100ccを入れた2
00cc容エレマイヤーフラスコに直径7mm、長さ30mmの円
筒形の回転子を入れてマグネチツクスターラー上に載
せ、回転子が500RPM±20RPMになる様調整する。一辺7cm
の正方形に裁断した水中分散性紙をエレマイヤーフラス
コ中に投入し、紙の原形をとどめなくなる迄の時間を計
測し、次の如く表す。この結果を第1表に示す。
◎:10秒以内 ○:30秒以内 △:1分以内 ×:1分以上 なお本発明で言う物性または物性の測定方法は次の通
りである。
1)溶解ロス率 抄造に供したバインダーの混合比率(A)及び得られ
た水中分散性紙の煮沸減量から求めたバインダー混合比
率(B)から次式によつて求めた。
2)PVA系繊維状バインダーの溶解温度 切断后の繊維状バインダー2gを5℃の水100g中に分散
させ毎分1℃で水温を上昇させ完全に繊維状物が溶解し
たときの温度で表わす。
3)紙裂断長 JIS P−8113に準じて判定し、タテ、ヨコの平均値
で示した。
4)湿潤時の使用の可否の判定 湿潤処理するため水溶性シートを浸漬し、湿紙強力が
弱く手で取りあつかえないものを×印とし、取り出し、
紙を折りたたんで手等を清拭した時毛羽の発生、紙の切
れ等の起らず強くふけるものを◎印とした。その中間
で、清拭時普通に取り扱えるものを○印とした。
比較例1 ケン化度98.5モル%、平均重合度1700のPVA粉末を用
い、実施例1とまつたく同じ方法で繊維状バインダーを
得た。
尚得られた繊維状バインダーの溶解温度は60℃であ
り、潜在的溶解温度は45℃であつた。該繊維状バインダ
ーを用い実施例1とまつたく同じ方法により坪量31.0g/
m2の紙を得た。その後の処理、評価も実施例1と同様に
実施した。これを第1表に示した。
このように本発明の実施例1は湿潤強力もありほぼ清
拭用として使用ができ、かつ水分散性のあるものであ
る。それに対し、比較例1の場合は湿潤紙力は満足する
が、耐水性に優れているため水分散性は得られない。
実施例2 実施例1で示したポリエステル繊維に代えて繊度1.5
デニール、繊維長5mmのレーヨン繊維(大和紡製レーヨ
ン SD1.5×5)を用い、実施例1と同様にして坪量31.
2g/m2の水中分散紙を得た。
また湿潤紙力保持剤として水とグリセリンの混合溶液
とし、グリセリン濃度を10%、20%、40%、60%、100
%とし、他は実施例1とまつたく同じ方法で処理し、湿
潤紙力及び水分散性を評価した。
その結果を第2表に示す。
上記結果より明らかなように、湿潤紙力保持剤(グリ
セリン)により湿潤時使用可能なシートが得られてお
り、なお水分散性があるものであつた。
フロントページの続き (72)発明者 溝辺 昭雄 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 合議体 審判長 宮本 晴視 審判官 久保田 健 審判官 平田 和男 (56)参考文献 特開 昭63−40555(JP,A) 特開 昭59−144426(JP,A) 特開 昭63−264998(JP,A) 特公 昭48−9361(JP,B1) 翻訳、監修 大江礼三郎「紙およびパ ルプ製紙の化学と技術」(第3巻)第 165〜180頁、昭和58年4月25日有限会社 中外産業調査会発行

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】けん化度が90〜97.5mol%であり、かつ熱
    処理によって一時的に耐水性が付与された水中溶解温度
    50〜90℃のポリビニルアルコール系バインダーを1〜20
    重量%、化合繊維を10重量%以上含有する紙料を抄紙し
    てなる紙であって、該ポリビニルアルコール系バインダ
    ーが繊維状で紙組織内に存在して該化合繊維を結合、接
    着しており、且つ抄紙乾燥工程における水分と加熱によ
    って、紡糸乾燥後の熱処理により一時的に与えられたバ
    インダーの耐水性が消滅して10〜40℃の潜在的溶解温度
    を呈していることを特徴とする紙およびこの紙に含浸さ
    れているアルコール系化合物からなる湿潤紙力保持剤か
    ら構成された湿潤強力があり、かつ水中分散性を有する
    紙。
  2. 【請求項2】けん化度90〜97.5mol%のポリビニルアル
    コール系ポリマーを紡糸した後105〜140℃で乾燥し、さ
    らに160〜250℃で熱処理して得られる溶解温度50〜90℃
    のポリビニルアルコール系繊維状バインダーを1〜20重
    量%、化合繊維を10重量%以上含有する紙料を抄紙乾燥
    後、110〜130℃で加熱乾燥して得られた紙にアルコール
    系化合物からなる湿潤紙力保持剤の含有液を含浸する紙
    の製造方法であって、この乾燥工程における水分と加熱
    によって、該バインダーが溶解すると同時に紡糸乾燥後
    の熱処理により一時的に付与したバインダーの耐水性が
    消滅して10〜40℃の潜在的溶解温度を呈することを特徴
    とする湿潤紙力があり、かつ水中分散性を有する紙の製
    造方法。
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