JPH0621056B2 - 二層型の振盪ロ−シヨン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は界面活性剤および油分を含有しない二層型の振
盪ローションに関する。更に詳しくは、静置時には透明
な水層（上層）と粉体層（下層）の二層に明瞭に分離し
た美しい外観を呈しており、振盪使用する時は前記二層
が一体的に混和して均一に分散して、均一な懸濁液を形
成、保持し、肌にフィーリングの良い感触（さっぱり
感，しっとり感，清涼感等）、収れん感および日焼けし
た肌の炎症を鎮め肌を保護する効果を与え、円滑迅速に
塗布し得ると共に、使用後、静置すると、粉体が沈降し
て水層と粉体層の二層に明瞭に分離し得る、界面活性剤
および油分を含有しない二層型の振盪ローションに関す
る。

（従来技術） 従来の二層型の振盪ローションは、顔料が静置時に固く
凝集（ケーキング）したり、使用時均一に再分散できな
くなるのを防ぐために、軟凝集剤として塩化ナトリウ
ム，塩化カルシウム，塩化マグネシウム，硫酸マグネシ
ウム等の水溶性塩類を配合していた。

しかしながら、この方法においても長期の保存による顔
料のケーキングが避けられず、更に静置時の粉体層の外
観が美しくなく、また顔料のかさ高性は望めない。特に
日焼けした肌を保護するために配合される酸化亜鉛を、
前記の顔料として使用する場合は、そのケーキングが著
しい。このような場合は、ケーキングした顔料（酸化亜
鉛）のために、塗布時ざらざらとした感触を与えるとい
う致命的な欠点があった。

（発明の開示） 本発明者等は、従来技術の欠点を解消するために鋭意研
究した結果、後記本発明の構成によって各成分を配合す
る場合は、水溶性アルミニウム塩とアルカリ金属塩が反
応して、系中に水不溶性のヒドロゾルが粉体の粒子表面
に吸着（析出）して、粉体粒子間の距離を広げ、粉体粒
子の凝集を未然に防止すると同時に、ヒドロゾルが有す
る束縛沈降性（鎖状凝集によって粒子が相互に束縛し合
って共に沈降する性質）によって、静置時には水層と粉
体層が二層に分離した美しい外観を呈し、振盪使用時に
は前記二層が一体的に混和して粉体粒子を均一に分散し
た懸濁液を形成し得る優れた界面活性剤および油分を含
有しない二層型の振盪ローションが、工業的容易に製造
し得ることを見出し本発明を完成した。

（発明の目的） 本発明は、上述の如き従来技術の欠点を悉く改良したも
のであって、その目的とするところは、静置時には、水
層と粉体層の二層に分離した美しい外観を呈しており、
振盪使用時には一体的に混和して何時も粉体粒子が均一
に分散した均質な懸濁液状を形成保持し、肌にフィーリ
ングの良い感触（さっぱり感，しっとり感，清涼感）や
収れん感および日焼けした肌の炎症を鎮め、肌を保護す
る等の効果を与え、円滑迅速に塗布し得る界面活性剤お
よび油分を含有しない二層型の振盪ローションを提供す
ることにある。

（発明の構成） すなわち、本発明は主要成分として水溶性アルミニウム
塩0.1〜３重量％，アルカリ金属塩0.1〜３重量％，顔料
0.1〜１５重量％および水を配合してなる界面活性剤お
よび油分を含有しない二層型の振盪ローションである。

（構成の具体的な説明） 本発明に使用する水溶性アルミニウム塩は、例えば、硫
酸アルミニウム，硫酸アルミニウムカリウム，硝酸アル
ミニウム，塩基性塩化アルミニウム，アラントイクロル
ヒドロキシアルミニウム，フェノールスルホン酸アルミ
ニウム，クエン酸アルミニウム等であってその使用量
は、組成物の重量に対して0.1〜３重量％、好ましくは
0.1〜１重量％である。

０．１重量％よりも少なくなると振盪，静置した時に透
明な水層及び粉体層の二層に明瞭に分離せず、更に顔料
がケーキングし易い。３重量％よりも多くなると分離沈
降した粉体層の外観が著しく悪くなる。

本発明に使用するアルカリ金属塩とは、水に易溶でかつ
組成物中に配合した場合、水溶性アルミニウム塩と反応
してヒドロゾルを生じせしめ得るアルカリ金属の塩類で
あって、例えば、第一リン酸のナトリウム塩またはカリ
ウム塩、第二リン酸のナトリウム塩またはカリウム塩，
第三リン酸のナトリウム塩またはカリウム塩，ピロリン
酸のナトリウム塩またはカリウム塩，ポリリン酸のナト
リウム塩またはカリウム塩，メタクリ酸のナトリウム塩
またはカリウム塩，炭酸のナトリウム塩またはカリウム
塩，炭酸水素ナトリウム，炭酸水素カリウム，クエン酸
のナトリウム塩またカリウム塩，コハク酸のナトリウム
塩またはカリウム塩，酒石酸のナトリウム塩またはカリ
ウム塩，乳酸のナトリウム塩またはカリウム塩が好まし
い。これらは一種または二種以上組合わせて使用され
る。アルカリ金属塩の使用量は、組成物重量に対して
０．１〜３重量％、好ましくは０．１〜１重量％であ
る。０．１重量％よりも少なくなると振盪，静置した時
に、透明な水層及び粉体層の二層に明瞭に分離せず、更
に顔料がケーキングを起し易い。３重量％よりも多くな
ると分離沈降した粉体層の外観が著しくわるくなる。

本発明に使用する水の使用量は、組成物重量に対して５
０〜９９重量％、好ましくは７０〜９８重量％である。

本発明の界面活性剤および油分を含有しない二層型振盪
ローションに配合（使用される）必須成分は、上述の水
溶性アルミニウム置，アルカリ金属磯，顔料及び水であ
るが、必要に応じて香料，防腐剤，保湿剤，色素等の周
知慣用成分を配合することができる。また慣用成分とし
て、清涼感を付与し得る脂肪族低級一価アルコール（エ
チルアルコール，イソプロピルアルコール等）や保湿剤
としての液状の多価アルコール（例えば、プロピレング
リコール，1,3−ブチレングリコール，グリセリン，ポ
リグリセン，ポリエチレングリコール等）等や後記の特
定の顔料も配合することができる。

前述の特定の顔料としては、酸化亜鉛，タルク，カオリ
ン，マイカ，セリサイト，二酸化チタン，無水ケイ酸マ
グネシウム，無水ケイ酸アルミニウム，炭酸カルシウ
ム，炭酸マグネシウム，赤酸化鉄（ベンガラ），黄酸化
鉄，黒酸化鉄，含水酸化ケイ素，絹雲母，雲母チタン，
硫黄，群青，油溶性色素からなる群から選択された少な
くとも一つが好ましい。これらの特定の顔料の配合量は
高々１５重量％、好ましくは１〜５重量％である。

この特定の顔料を適量配合する場合は、二層型の振盪ロ
ーションにおける粉体層の外観が更に美しくなり、かつ
水層と粉体層の界面がより明瞭になるので好ましい。

本発明の界面活性剤および油分を含有しない二層型の振
盪ローションは、粉体粒子が沈積した下層の上に、透明
な水層（上層）が明瞭な界面を画した二層構造の美しい
外観を呈しており、これを振盪、使用する時は、容易に
二層が混和して粉体粒子が均一に分散し、この状態を適
当な時間保持し、肌にフィーリングの良い感触（さっぱ
り感，しっとり感，清涼感，収れん感等）を付与し得
る。

本発明の界面活性剤および油分を含有しない二層型の振
盪ローションは、前述の如き特異かつ顕著な作用効果を
発現し得る二層型の振盪ローションであって、例えば、
二層型カラミンローション，二層型消炎ローション，二
層型コンディショニングローション等として有用であ
る。

以下、実施例について説明する。

実施例に示す部とは重量部を意味する。

実施例に示した界面活性剤および油分を含有しない二層
型の振盪ローション（組成物）の特性（振盪時の均一混
和性，静置後の外観，反復再現性，使用時の感触）は専
門検査員３人によってしらべた。その試験方法は下記の
通りである。

(1)振盪時の均一混和性 試料組成物を透明ガラス瓶（直径４cm，高さ１３cm）の
１０cmの高さまで容れ常温にて静置後、手動で上下に強
く振盪して二層の成分が均一に混和するまでに要した振
盪回数をしらべた。その所要振盪回数が１〜５回の場合
は極めて良好（極めて使用し易い。符号は◎）、６〜１
０回の場合は良好（使用し易い。符号は○）、11回〜２
０回の場合はやや不良（やや使用し難い。符号は△）２
１回以上の場合は不良（使用し難い。符号は×）した。

尚、所要振盪回数が多い程振盪の手間がかかり使用し難
い。

(2)静置時の外観 試料組成物を、前記の(1)と同様の透明ガラス瓶に容
れ、手動で上下に強く振盪して各層の成分を均一に混
和，分散せしめた後、１時間静置して、分離した各層
（例えば二層）およびそれらの界面の透明性、汚れの有
無等を肉眼観察によりしらべた。評価は、水層が実質的
に透明でかつ界面に汚れが無い場合は良好、水層が不透
明または界面に汚れがある場合は不良とした。

(3)反覆再現性 ５〜４５℃の範囲内で逐次往復変化する恆温室の中で、
前記(1)における試料組成物を６ケ月間保存し、前記特
性の振盪時の均一混和性、静置時の外観をしらべ、その
結果と、製造直後の結果から経日による再現性の有無を
判断した。尚、前記の特性のランクが実質的に低下して
いない場合は、再現性良好（有）とし、前記特性のラン
クが低下している場合には再現性不良（無）とした。

(4)使用時の感触 感触効果は、肌に塗布時の感触（さっぱり感，しっとり
感，べたつき感，清涼感）、伸展性（伸び）、塗装後の
仕上り等を前記(3)の６ケ月間室温で保存した試料組成
物についてしらべた。

実施例１（二層型消炎ローション） (1)処方 成分 酸化亜鉛 ２．０ 部 硫酸アルミニウム ０．５ 部 第二リン酸ナトリウム ０．２ 部 メチルパラベン（防腐剤） ０．１ 部 精製水 ９７．２ 部 (2)製造法 上記成分のの一部に成分のおよびを撹拌下に加
え、溶解，分散し、次いで成分のの残部に成分のお
よびを溶解したものを撹拌下に徐々に加え、本発明の
二層型の消炎ローションを調製した。この消炎ローショ
ンについて前記のごとくその特性を調べた。

まず、振盪時の均一混和性を調べた結果、分離していた
前記二層は所要振盪回数３回にして一体的に混和し、水
中に粉体（酸化亜鉛）が均一に分散した懸濁液を生成し
た。この結果から、この二層型の消炎ローションは、振
盪によって容易に均一懸濁状の消炎ローションが生成
し、かつ適当時間安定に保持し得て、極めて使用し易い
（◎）ことを認めた。さらに静置１時間後、無色透明の
水層部と白色の粉体層部の二層に明瞭に分離した美しい
外観を呈した。

また、この二層型の消炎ローションを前記の如く６ケ月
間保存した後、反覆再現性を調べた結果、６ケ月後にお
ける振盪時の均一混和性（所要振盪回数は５回）は、製
造直後と実質的に同じであり、また静置後、復元した二
層構造の水層／粉体層界面は明瞭で、水層は清澄，透明
で製造直後と同様の美麗な外観を呈した。この二層型の
消炎ローションは、使用時にべたつき感がなく、良好な
感触を有していると共に、塗布後の仕上りも良好であっ
た。

比較例 １ 硫酸アルミニウムを使用せず、かつ水を９７．７部使用
する他は、実施例１と同様に行なって、比較の消炎ロー
ションを調製した。その結果、得られた消炎ローション
は、明瞭に二層分離しておらず、振盪時の混和性は所要
振盪回数２５回以上でも一体的に混和せず、しかも酸化
亜鉛の一部はケーキングを起した。実用テストを行なっ
た結果、塗布時にざらつき、感触が不良で実用性に乏し
かった。

比較例 ２ 第二リン酸ナトリウムを使用せずかつ水を９７．４部使
用する他は、実施例１と同様に行なった。その結果、得
られた消炎ローションは明瞭に二層分離しているが、振
盪時の混和性は所要振盪回数１８回（やや不良）で、そ
して酸化亜鉛の一部はケーキングを起こしていた。実用
テストを行なった結果、塗布時に若干ざらつき、感触が
不良であった。

実施例 ２ 更にエチルアルコール５部とグリセリン３部を添加しか
つ水を８９．２部使用する他は、実施例１と同様に調製
して二層型消炎ローションを得た。このローションは、
静置すると無色透明な水層部と白色の顔料層部の二層に
明瞭に分離した美しい外観を呈した。二層に分離した
後、振盪すると振盪回数３回にして二層は一体的に混和
して均一に分散した。また、６ケ月保存後の反復再現性
を調べた結果、振盪時の均一混和性（所要振盪回数４
回）は極めて良好で、製造直後と同じであり、水層及び
水層／粉体層界面は清澄及び明瞭で美麗な外観を呈して
いる。この消炎ローションは、清涼感及びしっとり感を
併有して、フィーリングの良い感触を与えた。

これらの結果から、この消炎ローションは実施例１の良
好なそれと比較して、同様に極めて使い易く、より良好
な感触を与えることを認めた。

実施例３（二層型カラミンローション） 第１表にもとづく処方で二層型カラミンローションを調
製した。得られた二層型カラミンローションの特性を第
２表に示す。この結果からも明らかなように、塩基性塩
化アルミニウムの配合量は０．１〜３重量％（好ましく
は０．１〜１重量％）であり、アルカリ金属塩の配合量
は０．１〜３重量％（好ましくは０．１〜１重量％）で
ある。

実施例４（二層型コンディショニングローション）第３
表にもとづく処方で二層型コンディショニングローショ
ンを調製した。得られた二層型コンディショニングロー
ションの特性を第４表に示す。この結果から明らかなよ
うに、顔料の配合量は０．１〜１５重量％（好ましくは
１〜５重量％）である。

実施例５（二層型コンディショニングローション） (1)処方 成分 無水ケイ酸アルミニウム ３．０ 部 酸化チタン ０．１ 部 赤酸化鉄 ０．０１部 硝酸アルミニウム １．０ 部 クエン酸ナトリウム ０．６ 部 プロピレングリコール ５．０ 部 精製水 ９０．２９部 (2)製造法 上記成分のの一部に成分のおよびを混合溶解し、
この水溶液に予め擂潰混合した成分の〜の混合物を
添加して、撹拌下に均一分散させる。次に成分のの残
部に成分のを溶解したものを撹拌下にて徐々に加え、
本発明の二層型のコンディショニングローションを調製
した。この二層型コンディショニングローションについ
て、前記のごとくその特性を調べた。まず振盪時の均一
混和性を調べた結果、分離していた前記二層は所要振盪
回数７回にて一体的に混和し粉体が均一に分散した懸濁
液を生成した。この結果から、この界面活性剤および油
分を含有しない二層型コンディショニングローションは
振盪によって容易に均一懸濁上のコンディションニング
ローションが生成し、かつ適当時間安定に保持し得て、
極めて使用し易いことを認めた。さらに、静置１時間後
に無色透明の水層部と桃色粉体層部の二層に明瞭に分離
した美しい外観を呈した。また、この界面活性剤および
油分を含有しない二層型のコンディショニングローショ
ンを前記の如く６ケ月間保存して反覆再現性を調べた結
果、６ケ月後における振盪時の均一混和性（所要振盪回
数８回）は製造直後と実質的に同じであり、また静置後
復元した二層構造の水層／粉体層界面は明瞭で、水層は
清澄，透明であり、製造直後と同様の美麗な外観を呈し
た。かつこの界面活性剤および油分を含有しない二層型
のコンディショニングローションは、使用時、べたつき
感がなく、なめらかで肌なじみ良く、塗布後にさっぱり
と仕上り良好であった。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】主成分として水溶性アルミニウム塩０．１
   〜３重量％、アルカリ金属塩０．１〜３重量％、顔料
   ０．１〜15重量％および水を含有し、界面活性剤および
   油分を含有しない二層型の振盪ローション。
2. 【請求項２】水が、50〜99重量％含有される特許請求の
   範囲第(1)項記載の二層型の振盪ローション。