JPH06208149A - 非線形光学材料及びその製造方法 - Google Patents

非線形光学材料及びその製造方法

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JPH06208149A
JPH06208149A JP24085893A JP24085893A JPH06208149A JP H06208149 A JPH06208149 A JP H06208149A JP 24085893 A JP24085893 A JP 24085893A JP 24085893 A JP24085893 A JP 24085893A JP H06208149 A JPH06208149 A JP H06208149A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラス、セラミックスまたは高分子重合体マ
トリックスに吸収波長の異なる金属微粒子及び/または
半導体微粒子を分散させることにより、複数の異なる波
長の光に応答できる多重信号処理の可能な3次の大きな
非線形光学感受率を有する非線形光学材料を得る。 【構成】 75SiO2、10Na2O、15B23、1
AuCl3、1AgCl、1Cu2O、2SnO(モル
比)の原料を1300 ℃で溶融、急冷することによ
り、ホウケイ酸ガラスマトリックス1にAu微粒子2、
Ag微粒子3、Cu微粒子4が均一に分散する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は3次の非線形光学効果を
利用した光デバイスの基礎をなす非線形光学材料及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、非線形光学材料は高速光スイッ
チ、高調波発生素子などの光デバイスとしての用途が考
えられている。特にその中核をなす金属微粒子、半導体
微粒子または非線形光学特性を有する有機化合物を用い
た非線形光学材料については、より高性能な材料の開発
またはより改良された材料およびその製造方法が注目さ
れている。
【0003】この分野における従来の技術としては、ア
プライド フィジックスA第47巻347ページ(Appl. Phy
s. A, Vol.47, 347 1988) に記載されている溶融法に
よる金微粒子分散ガラスの作製法がある。この方法は、
従来のフィルターガラスの作製法と同様の溶融冷却法に
よるものであり、ガラスマトリックス中に溶解した金を
さらに熱処理することにより金微粒子として析出させる
ものである。
【0004】また、ジャーナル オブ オプティカル
ソサエテー オブ アメリカ B第7 巻790 ページ(J.
Opt. Soc.Am.B, Vol.7, 790, 1990) に記載されている
ような金コロイドの作製法がある。この方法は塩化金酸
の0.01% 水溶液に還元剤を加えてコロイド状の金を作製
するものである。
【0005】また、特開平1−239535号公報に開
示されている金属微粒子添加マトリックスの製造方法が
ある。この方法は、光照射及び/または加熱によって生
成した金属微粒子をマトリックス中にドープするもの
と、光照射及び/または加熱によって金属微粒子を生成
し得る化合物をマトリックス中にドープするものであ
る。また、ジャーナル オブ オプティカル ソサエテ
ィ オブ アメリカ第73巻647ページ(J. Opt. Soc. A
m., Vol. 73, 1983) に記載されているように、CdSx
Se1-xをホウケイ酸ガラスに分散したカットオフフィ
ルターガラスを非線形光学材料に用いるものがある。こ
のカットオフフィルターガラスは、ホウケイ酸ガラス原
料とCdSxSe1-xとを白金ルツボに入れ、1000
℃程度の温度で溶融し作製している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記方法の金属微粒子
分散または半導体微粒子分散非線形光学材料の製造方法
では、次のような課題がある。 (1)金属微粒子分散ガラスの場合:溶融冷却法では溶
融できる金属の種類が限られている。また、ガラスへの
金属の溶解度が小さいために10-6〜10-5容量%程度にし
か金属の分散量を上げることができない。さらにガラス
中に分散された金属を微粒子として析出させるためには
1000 ℃以上の高温で熱処理しなければならない。
さらに、一種類の金属を分散した場合、その金属のプラ
ズモン吸収領域帯の光を用いた場合にのみ光信号処理が
可能であり、多重信号処理をすることはできない。 (2)金コロイド溶液の場合:金コロイドの濃度を高め
ることが困難であり、10 -6容量%以上の濃度にすると凝
集がおこる。また、たとえ低濃度のコロイド溶液を作製
したとしても長期安定性に欠け、時間の経過とともに次
第に溶液組成が変化したりコロイドの粒径が大きくな
る。さらに、一種類の金属を分散した場合、その金属の
プラズモン吸収領域帯の光を用いた場合にのみ光信号処
理が可能であり、多重信号処理をすることはできない。 (3)半導体微粒子分散ガラスの場合:溶融冷却法では
溶融時に半導体の構成成分の一部が蒸発してしまい、半
導体の組成が変化するという問題がある。さらに、一種
類の半導体を分散した場合、その半導体の吸収領域帯の
光を用いた場合にのみ3次の非線形光学特性が発現し光
信号処理が可能であるが、多重信号処理を行うことはで
きない。 (4)光照射及び/または加熱による金属微粒子の製造
方法の場合:光照射のみでは還元力が弱く、また還元さ
れて金属微粒子を生成し得る化合物の種類も限られてい
る。さらに光照射と加熱とを組み合わせると光照射で生
成した微粒子が加熱により成長し粒径が増大するととも
に粒径分布も大きなものとなる。
【0007】本発明は、ガラス、セラミックスまたは高
分子重合体マトリックスに吸収波長の異なる金属微粒子
及び/または半導体微粒子を分散させることにより、複
数の異なる波長の光に応答できる多重信号処理の可能な
3次の大きな非線形光学感受率を有する非線形光学材料
を提供することを目的とする。
【0008】また、本発明は、ゲル状マトリックスに均
一な粒径を有する金属微粒子を高い濃度で分散すること
により、大きな3次の非線形光学感受率を有する非線形
光学材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の非線形光学材料は、異なる波長の光を吸収
して3次非線形光学効果を示す金属微粒子及び半導体微
粒子から選ばれた少なくとも2種類以上の微粒子が、前
記選ばれた少なくとも2種類の微粒子の光吸収波長域に
光吸収を持たない光学的に透明なマトリックスに分散さ
れてなるという構成を備えたものである。
【0010】前記構成においては、金属微粒子が、金、
白金、銀、銅、ロジウム、パラジウムまたはイリジウム
であることが好ましい。また、前記構成においては、半
導体微粒子が、ZnS、CdS、ZnSe、CdSe、
PbSまたはCuClであることが好ましい。
【0011】また、前記構成においては、光学的に透明
なマトリックスが無機のガラスまたはセラミックスであ
ることが好ましい。また、前記構成においては、光学的
に透明なマトリックスがポリスチレン、ポリエチレン、
アクリロニトリル/スチレン共重合体から選ばれる少な
くとも一種類の高分子重合体であることが好ましい。
【0012】次に本発明の第1の非線形光学材料の製造
方法は、a)金属化合物と還元剤、及びb)半導体のう
ち少なくとも2種類をホウケイ酸ガラス原料と混合し、
溶融・急冷後さらに熱処理するという構成を備えたもの
である。
【0013】次に本発明の第2の非線形光学材料の製造
方法は、金属アルコキシド溶液に少なくとも2種類の金
属イオンを混合しゲル化させ、次に還元して金属微粒子
を生成させる処理及びH2S若しくはH2Seと反応させ
て半導体微粒子を生成させる処理から選ばれる少なくと
も1つの処理を行うという構成を備えたものである。
【0014】前記構成においては、金属アルコキシド溶
液と少なくとも2種類の金属イオンの混合溶液を熱処理
によって還元し金属微粒子を生成させることが好まし
い。また、前記構成においては、金属アルコキシド溶液
と少なくとも2種類の金属イオンの混合溶液を熱処理に
よって還元し金属微粒子を生成させ、次にH2S若しく
はH2Seと反応させて半導体微粒子を生成させること
が好ましい。
【0015】また、前記構成においては、金属アルコキ
シド溶液と少なくとも2種類の金属イオンの混合溶液を
光照射とアルコールにより光還元し金属微粒子を生成さ
せることが好ましい。
【0016】また、前記構成においては、金属アルコキ
シド溶液と少なくとも2種類の金属イオンの混合溶液を
光照射とアルコール及びCe3+により光還元し金属微粒
子を生成させることが好ましい。
【0017】また、前記構成においては、金属アルコキ
シド溶液と少なくとも2種類の金属イオンの混合溶液を
光照射とアルコールにより光還元し金属微粒子を生成さ
せ、次にH2S若しくはH2Seと反応させて半導体微粒
子を生成させることが好ましい。
【0018】また、前記構成においては、照射する光が
波長400nm以下の光であることが好ましい。次に本
発明の第3の非線形光学材料の製造方法は、高分子重合
体に少なくとも2種類の金属イオンを混合しゲル化さ
せ、次に還元して半導体微粒子を生成させる処理及びH
2S若しくはH2Seと反応させて半導体微粒子を生成さ
せる処理から選ばれる少なくとも1つの処理を行うとい
う構成を備えたものである。
【0019】前記構成においては、高分子重合体と少な
くとも2種類の金属イオンとの混合物を熱処理によって
還元し金属微粒子を生成させることが好ましい。また、
前記構成においては、高分子重合体と少なくとも2種類
の金属イオンとの混合物を熱処理によって還元し金属微
粒子を生成させ、次にH2S若しくはH2Seと反応させ
て半導体微粒子を生成させることが好ましい。
【0020】
【作用】前記本発明の非線形光学材料の構成によれば、
異なる波長の光を吸収して3次非線形光学効果を示す金
属微粒子及び半導体微粒子から選ばれた少なくとも2種
類以上の微粒子が、前記選ばれた少なくとも2種類の微
粒子の光吸収波長域に光吸収を持たない光学的に透明な
マトリックスに分散されてなることにより、複数の異な
る波長の光に応答できる多重信号処理の可能な大きな3
次の非線形光学感受率を有する非線形光学材料を達成で
きる。
【0021】また、金属微粒子が、金、白金、銀、銅、
ロジウム、パラジウムまたはイリジウムである本発明の
好ましい構成によれば、これらの金属は、他の金属に比
べて酸素その他の不純物による影響を受けにくく、比較
的純粋な金属微粒子を析出させることができるので、よ
り大きな3次の非線形光学特性を有する非線形光学材料
を達成できる。
【0022】また、半導体微粒子が、ZnS、CdS、
ZnSe、CdSe、PbSまたはCuClである本発
明の好ましい構成によれば、これらの半導体は、他の半
導体に比べてマトリックス中で微粒子を形成しやすく、
より大きな3次の非線形光学特性を有する非線形光学材
料を達成できる。
【0023】また、光学的に透明なマトリックスが無機
のガラスまたはセラミックスである本発明の好ましい構
成によれば、光学的に広い領域で透明であり、大きな3
次の非線形光学特性を有する非線形光学材料を達成でき
る。
【0024】また、光学的に透明なマトリックスがポリ
スチレン、ポリエチレン、アクリロニトリル/スチレン
共重合体から選ばれる少なくとも一種類の高分子重合体
である本発明の好ましい構成によれば、これらの高分子
重合体は容易に薄膜状に成形が可能であり、非線形光学
材料として有用な形態のフィルム状とすることができる
ので、大きな3次の非線形光学特性を有する非線形光学
材料を達成できる。
【0025】次に本発明の第1の製造方法によれば、
a)金属化合物と還元剤、及びb)半導体のうち少なく
とも2種類をホウケイ酸ガラス原料と混合し、溶融・急
冷後さらに熱処理するので、原料調整段階で多種類の金
属化合物や半導体を均一にマトリックス中に分散させる
ことができ、複数の異なる波長の光に応答できる多重信
号処理の可能な大きな3次の非線形光学特性を有する非
線形光学材料を容易に提供することができる。
【0026】次に本発明の第2の製造方法によれば、金
属アルコキシド溶液に少なくとも2種類の金属イオンを
混合しゲル化させ、次に還元して金属微粒子を生成させ
る処理及びH2S若しくはH2Seと反応させて半導体微
粒子を生成させる処理から選ばれる少なくとも1つの処
理を行うので、多種類の微粒子を均一にマトリックス中
に分散させることができ、複数の異なる波長の光に応答
できる多重信号処理の可能な大きな3次の非線形光学特
性を有する非線形光学材料を容易に提供することができ
る。
【0027】また、金属アルコキシド溶液と少なくとも
2種類の金属イオンの混合溶液を熱処理によって還元し
金属微粒子を生成させる本発明の好ましい構成によれ
ば、多種類の金属微粒子を均一にマトリックス中に分散
させることができ、複数の異なる波長の光に応答できる
多重信号処理の可能な大きな3次の非線形光学特性を有
する非線形光学材料を容易に提供することができる。
【0028】また、金属アルコキシド溶液と少なくとも
2種類の金属イオンの混合溶液を熱処理によって還元し
金属微粒子を生成させ、次にH2S若しくはH2Seと反
応させて半導体微粒子を生成させる本発明の好ましい構
成によれば、金属微粒子及び半導体微粒子を均一にガラ
スマトリックスまたはセラミックスマトリックス中に分
散させることができ、大きな3次の非線形光学特性を有
する非線形光学材料を容易に提供することができる。
【0029】また、金属アルコキシド溶液と少なくとも
2種類の金属イオンの混合溶液を光照射とアルコールに
より光還元し金属微粒子を生成させる本発明の好ましい
構成によれば、金属イオンを容易に還元して生成させる
ことが可能で、大きな3次の非線形光学特性を有する非
線形光学材料を容易に提供することができる。
【0030】また、金属アルコキシド溶液と少なくとも
2種類の金属イオンの混合溶液を光照射とアルコール及
びCe3+により光還元し金属微粒子を生成させる本発明
の好ましい構成によれば、Ce3+イオンは光照射により
Ce4+イオンになる時に放出する電子により、前記金属
イオンの還元反応が促進されるので、より短時間で効率
的に金属微粒子を析出させることができる。
【0031】また、照射する光が波長400nm以下の
光である本発明の好ましい構成によれば、金属塩を容易
に還元して金属微粒子を析出させることができる。次に
本発明の第3の製造方法によれば、高分子重合体に少な
くとも2種類の金属イオンを混合しゲル化させ、次に還
元して半導体微粒子を生成させる処理及びH2S若しく
はH2Seと反応させて半導体微粒子を生成させる処理
から選ばれる少なくとも1つの処理を行うので、多種類
の微粒子を均一にマトリックス中に分散させることがで
き、複数の異なる波長の光に応答できる多重信号処理の
可能な大きな3次の非線形光学特性を有する非線形光学
材料を容易に提供することができる。
【0032】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。本発明において、溶融法により作製するマト
リックス材料は、比較的低温で合成可能であり、化学的
に安定で、かつ光学的に広い波長範囲で透明なホウケイ
酸ガラスが好ましい。
【0033】また、ゾル−ゲル法により作製するマトリ
ックスは、化学的に安定でありかつ光学的に広い波長範
囲で透明なSiO2、Al23が好ましい。前記ゾル−
ゲル法とは、ゾル状の金属の低級アルコキシドを加水分
解し、ゲル化させ、加熱することによりガラスまたはセ
ラミックス状にする方法である。代表的な金属アルコキ
シドの具体例をあげると、シリコンのメトキシド若しく
はエトキシド等のシリコンの低級アルコキシド類や、ア
ルミニウムのメトキシド若しくはエトキシド等のアルミ
ニウムの低級アルコキシド類があげられる。また、ゾル
の分散媒としては水、メタノール、エタノール、プロパ
ノールまたは二価アルコールのエチレングリコールを用
い、通常触媒として塩酸やアンモニアを加えて加水分解
する。
【0034】また、ゲル体の乾燥時に生ずる亀裂の発生
や発泡を防止する乾燥抑制剤としてフォルムアミドやジ
メチルフォルムアミドを用いることが好ましい。本発明
において、金属微粒子となる金属の塩を含有したゾルを
ゲル化させる場合、通常室温〜100 ℃の範囲で行な
われる。
【0035】また、前記ゾルをゲル化した後、加熱する
熱処理工程は、通常、300〜800 ℃であり、好ま
しくは、マトリックス中の残留有機物を除去するため3
00〜500 ℃の加熱後、金属微粒子や半導体微粒子
の粒子成長を行なわせるため再度300〜900 ℃で
加熱するのが良い。
【0036】また、マトリックスとなる高分子重合体
(合成樹脂)としては、特にフィルム状に成形容易なポ
リスチレン、ポリエチレン、アクリロニトリル/スチレ
ン共重合体が好ましく、その他に、例えばポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアミド、ポリメチルメタクリレ
ート等の透明性を有し、フィルム成形可能な高分子重合
体を用いることができる。高分子重合体マトリックスに
金属微粒子を分散させるには溶媒を用いても良いし、重
合体が溶融する温度で金属を分散させる熱溶融法を用い
ても良い。
【0037】本発明において分散する金属微粒子は、表
面プラズマ吸収や量子サイズ効果に基づく非線形光学特
性を示す金属、例えば、金、白金、銀、ロジウム、パラ
ジウム等が好ましい。
【0038】また、本発明において分散する半導体微粒
子は、量子サイズ効果に基づく大きな非線形光学特性を
示す半導体、例えば、ZnS、CdS、ZnSe、Cd
Se、PbS、またはCuCl等が好ましい。
【0039】ゾル中に分散して金属イオンとなるZn、
Cd、Pbの化合物としては、例えばZnCl2、Zn
CO3、Zn(NO3)2、Zn(CH3COO)2、Zn(HC
OO) 2、CdCl2、CdCO3、Cd(NO3)2、Cd
(CH3COO)2、Cd(HCOO)2、PbCl2、PbC
3、Pb(NO3)2、Pb(CH3COO)2等が挙げられ
る。このような金属イオンとH2SまたはH2Seガスと
反応させてZnS、CdS、ZnSe、CdSe、Pb
Sを合成する温度は50〜300℃が良い。
【0040】また、ゾル中に分散して還元することによ
り、金属微粒子になる金属化合物としては、AuHCl
4、PtCl2、AgCl、Cu2O、RhCl3、PdC
2、またはIrCl3が好ましく、還元はCeO2、S
nO2、NaBH4等の還元剤を用いて加熱によって行う
のが好ましい。
【0041】また、ゾル中に分散して光還元することに
より、金属微粒子になる金属の塩としては、AuHCl
4、AuNaCl4、H2PtCl6、AgClO4、Rh
Cl3、PdCl2が好ましく、還元剤としては、金属ア
ルコキシドの溶媒と兼ねたメタノール、エタノール、プ
ロパノール、二価アルコールのエチレングリコール、ま
たはCe(NO3)3(Ce3+)が好ましい。
【0042】なお、光の照射はゾルの状態のうちに行な
ってもよいが、通常はゲル化した後、光照射を行なうこ
とが好ましく、ゲル化によりゲル中に含まれるアルコー
ルは蒸発等でかなり少なくなるが、アルコールの存在下
で光照射することが必要である。余りにアルコールが少
なくなりすぎると金属イオンを還元するのに要する時間
が長くなるので、通常は、光照射時に金属イオンの量に
対して当モル以上アルコールが存在するか、高沸点であ
るエチレングリコールを用いるのが好ましい。
【0043】また、Ce3+イオンの場合には、あまり多
量に存在するとこのイオンが光を吸収し、着色するの
で、通常金属イオンに対して当モル以下程度使用するこ
とが好ましい。
【0044】また、上述のように還元することにより金
属微粒子になる金属化合物、または、H2S若しくはH2
Seガスと反応して前述のような半導体化合物を生成す
る金属イオンについて、または還元剤等については、こ
れらの化合物は、ホウケイ酸ガラスや高分子重合体に適
用する場合にも同様に使用できる。
【0045】また、前記金属微粒子及び半導体微粒子と
から選ばれた少なくとも2種類の微粒子とは、金属微粒
子のみの中から2種類以上を用いてもよいし、半導体微
粒子のみの中から2種類以上を用いてもよい。さらに
は、金属微粒子と半導体微粒子とを併用する形で2種類
以上の微粒子を用いてもよい。これらの2種類以上の微
粒子の相互の使用割合は、目的に応じて自由に選定でき
るが、あまり特定の成分を少なくしすぎると、その使用
効果が十分発揮できず、例えば光双安定素子等のデバイ
ス等に適用した場合に、各吸収波長で当該デバイスが作
動できる程度の割合で用いることが好ましく、通常は各
成分をほぼ同量程度用いるのが好ましい。
【0046】これらの微粒子のマトリックスへの分散量
は、特に限定するものではないが、あまり少ないと非線
形光学特性が十分発揮しない。逆に、あまり多すぎると
光の吸収が大きくなりすぎたり、微粒子の凝集等が生じ
易くなるので、合計で、0.01〜50 wt%程度、好
ましくは0.1〜10 wt%程度がよい。
【0047】以下本発明の具体的実施例について説明す
る。 (実施例1)図1に本実施例の非線形光学材料の作製工
程図を示す。75SiO2、10Na2O、15B23
1AuCl3、1AgCl、1Cu2O、2SnO(モル
比)の原料を白金ルツボにいれ、大気雰囲気中で130
0 ℃で1時間溶融した。この溶融物をステンレス鋼板
上に流し出し急冷、ガラス化した後、450 ℃で5時
間熱処理した後徐冷することにより、金属微粒子を析出
させるとともにガラス中の歪を取り除いた。作製したガ
ラスの構造概念図を図2に示す。均一なホウケイ酸ガラ
スマトリックス1にAu微粒子2、Ag微粒子3、Cu
微粒子4が均一に分散されていると考えられる。このA
u微粒子、Ag微粒子、Cu微粒子分散ホウケイ酸ガラ
スの吸収スペクトルには、Au微粒子、Ag微粒子、C
u微粒子のそれぞれの表面プラズモン吸収に基づくピー
クが525 nm、400 nm、575 nmに見られ
た。さらに、前方入射型縮退4光波混合法による3次の
非線形光学感受率はそれぞれの表面プラズモン吸収波長
において1〜8×10-7esuであった。
【0048】上記工程において金、白金、銀、銅、ロジ
ウム、パラジウム、またはイリジウムの可能な組合せの
微粒子を分散したホウケイ酸ガラスを作製することがで
き、それぞれの金属微粒子の表面プラズモン吸収を確認
し、3次の非線形光学感受率は10-8〜10-7 esuの範
囲にあった。 (実施例2)75SiO2、10Na2O、15B23
1AuCl3、1AgCl、1CdSe、1CdTe、
1CuCl、2SnO(モル比)の原料を白金ルツボに
入れ、大気雰囲気中1300℃で1時間溶融した。この
溶融物をステンレス鋼板上に流し出し冷却、ガラス化し
た後、430 ℃で5時間加熱した後徐冷することによ
り、金属微粒子と半導体微粒子を析出させるとともにガ
ラス中の歪を取り除いた。このようにして作製したAu
微粒子、Ag微粒子、CdSe微粒子、CdTe微粒
子、CuCl微粒子分散ホウケイ酸ガラス吸収スペクト
ルには、Au微粒子、Ag微粒子それぞれの表面プラズ
モン吸収に基づくピークが525 nm、400 nmに
見られた。さらに、前方入射型縮退4光波混合法による
3次の非線形光学感受率はそれぞれの表面プラズモン吸
収波長において1〜8×10-7 esuであった。また、C
dSe微粒子、CdTe微粒子、CuCl微粒子による
サブバンドからの光吸収ピークがそれぞれ650 n
m、760 nm、420 nmに見られ、前方入射型縮
退4光波混合法による3次の非線形光学感受率はそれぞ
れの吸収波長ピークにおいて6〜15×10-7 esuであ
った。
【0049】上記工程において金、白金、銀、銅、ロジ
ウム、パラジウム、またはイリジウム等の金属とZn
S、CdS、ZnSe、CdSe、PbS、またはCu
Cl等の半導体の可能な組合せの微粒子(最大で6種
類)を分散したホウケイ酸ガラスを作製することがで
き、それぞれの金属微粒子の表面プラズモン吸収および
半導体微粒子のサブバンドピークを確認し、3次の非線
形光学感受率は10-8〜10 -6 esuの範囲にあった。 (実施例3)表1に示した組成のゾルにZn(NO3)2
Cd(NO3)2、Pb(NO3)2の水溶液をSiO2に対し
てZnS、CdS、PbSがそれぞれ1 wt%になる
ように添加後、室温で1時間撹拌し、60 ℃で50時
間乾燥、ゲル化した。さらに大気雰囲気下450 ℃で
1時間熱処理した。
【0050】このようにして作製したZn、Cd、Pb
を含有した多孔質SiO2ガラスをH2Sガス雰囲気中3
00 ℃で10分間熱処理し、ZnS、CdS、PbS
微粒子を分散した多孔質SiO2ガラスを得た。このガ
ラスの吸収スペクトルにはZnS、CdS、PbS微粒
子によるサブバンドからの光吸収ピークがそれぞれ38
0 nm、490 nm、550 nmに見られ、前方入
射型縮退4光波混合法による3次の非線形光学感受率は
それぞれの吸収波長ピークにおいて1〜5×10-7 esu
であった。
【0051】また、Si(OC25)4の替わりにAl(O
25)3を用いてマトリックスのみをAl23にした材
料においても上記SiO2ガラスマトリックスのものと
ほぼ同等な特性を示した。
【0052】
【表1】
【0053】(実施例4)表1に示した組成のゾルにZ
n(NO3)2、Cd(NO3)2の水溶液をSiO2に対して
ZnSe、CdSeがそれぞれ1 wt%になるように
添加後、室温で1時間撹拌し、60 ℃で50時間乾
燥、ゲル化した。さらに大気雰囲気下450℃で1時間
熱処理した。このようにして作製したZn、Cdを含有
した多孔質SiO2ガラスをH2Seガス雰囲気中300
℃で10分間熱処理し、ZnSe、CdSe微粒子を
分散した多孔質SiO2ガラスを得た。このガラスの吸
収スペクトルにはZnSe、CdSe微粒子によるサブ
バンドからの光吸収ピークがそれぞれ450 nm、6
90 nmに見られ、前方入射型縮退4光波混合法によ
る3次の非線形光学感受率はそれぞれの吸収波長ピーク
において3〜5×10-7 esuであった。
【0054】また、Si(OC25)4の替わりにAl(O
25)3を用いてマトリックスのみをAl23にした材
料においても上記SiO2ガラスマトリックスのものと
ほぼ同等な特性を示した。 (実施例5)実施例3の表1に示した組成のゾルにZn
(NO3)2、Cd(NO3)2、AuHCl4、AgClをS
iO2に対してZnS、CdS、Au、Agがそれぞれ
1wt%になるように添加後、室温で1時間撹拌し、6
0 ℃で24時間乾燥、ゲル化した。さらに400 ℃大
気雰囲気下で1時間熱処理した。
【0055】このようにして作製したZn、Cdと熱処
理により生成したAuとAg微粒子を含有した多孔質S
iO2ガラスをH2Sガス雰囲気中300 ℃で10分間
熱処理し、ZnS、CdS、Au、Agの各微粒子を分
散した多孔質SiO2ガラスを得た。
【0056】このガラスの吸収スペクトルにはZnS、
CdS微粒子によるサブバンドからの光吸収ピークがそ
れぞれ380 nm、490 nmに見られ、Au微粒
子、Ag微粒子それぞれの表面プラズモン吸収に基づく
ピークが525 nm、400nmに見られた。さら
に、前方入射型縮退4光波混合法による3次の非線形光
学感受率はそれぞれの表面プラズモン吸収波長において
1〜7×10-7 esuであった。 (実施例6)図3に本実施例の非線形光学材料の作製工
程図を示す。表2に示した組成のゾルにZn(NO3)2
AuHCl4をSiO2に対してそれぞれZnS、Auが
それぞれ1 wt%になるように添加後、室温で1時間
撹拌し、室温で7日間乾燥後、60 ℃の温度で24時
間乾燥して厚さ300 μmのゲル化した薄板を得た。
このゲルは透明な薄い黄色を呈していた。
【0057】このようにして作製したシリカゲルに50
0 Wキセノンランプを用いて室温で10分間光照射を
行なったところ照射時間とともに赤紫色に着色しAu微
粒子の生成が確認された。このようなAuHCl4の光
還元反応は、エタノールまたはエチレングリコールが存
在しない場合にはまったく起こらなかった。
【0058】光還元により生成したAu微粒子の平均粒
径は3 nmであり粒径分布も小さいことがわかった。
この試料の吸収スペクトルにはAu微粒子の表面プラズ
モン吸収に基づく525 nmにピークが見られた。こ
のようにして作製したAuとZnを含有した多孔質Si
2ガラスをH2Sガス雰囲気中100 ℃で10分間熱
処理し、ZnS微粒子を分散した多孔質SiO2ガラス
を得た。さらに、前方入射型縮退4光波混合法による3
次の非線形光学感受率はAuの表面プラズモン吸収波長
において1×10-7 esuであり、ZnSの吸収サブバン
ド付近において6×10-7esuであった。
【0059】このゲルに500 Wキセノンランプを用
いて室温で10分間光照射を行なったところ照射時間と
ともに赤紫色に着色しAu微粒子の生成が確認された。
このようにして作製したAu微粒子とZnを含有した多
孔質SiO2ガラスをH2Sガス雰囲気中100 ℃で1
0分間熱処理し、ZnS微粒子を分散した多孔質SiO
2ガラスを得た。
【0060】前方入射型縮退4光波混合法による3次の
非線形光学感受率はAuの表面プラズモン吸収波長にお
いて1×10-7 esuであり、ZnSの吸収サブバンド付
近において5.8×10-7 esuであった。
【0061】
【表2】
【0062】上記工程においてAuHCl4の替わりに
AuNaCl4を用いてもAu微粒子の生成が確認させ
た。同様な方法により、Zn(NO3)2の代わりにCd
(NO3)2、Pb(NO3)2を用いるとCdS、PbS微粒
子を分散させることができた。また、表2のゾル溶液の
中でSi(OC25)4をAl(OC25)3にした場合に
も、Zn、Auイオンを含有したアルミナゲルが得られ
た。 (実施例7)表3に示した組成のゾルにZn(NO3)2
AuHCl4をSiO2に対してZnS、Auがそれぞれ
1 wt%になるように添加後、室温で1時間撹拌し、
室温で7日間乾燥後、60 ℃で24時間乾燥して厚さ
300 μmのゲル化した薄板を得た。本実施例では、
ゲル体の乾燥時に生ずる亀裂の発生や発泡を防止する乾
燥抑制剤としてフォルムアミドを添加したため比較的厚
い試料の作製も容易であった。このゲルは透明な薄い黄
色を呈していた。
【0063】このようにして作製したシリカゲルに50
0 Wキセノンランプを用いて室温で10分間光照射を
行なったところ照射時間とともに赤紫色に着色しAu微
粒子の生成が確認された。このようなAuHCl4の光
還元反応は、エタノールまたはエチレングリコールが存
在しない場合にはまったく起こらなかった。
【0064】光還元により生成したAu微粒子の平均粒
径は4 nmであり粒径分布も小さいことがわかった。
この試料の吸収スペクトルにはAu微粒子の表面プラズ
モン吸収に基づく525 nmにピークが見られた。こ
のようにして作製したAuとZnを含有した多孔質Si
2ガラスをH2Sガス雰囲気中100 ℃で熱処理し、
ZnS微粒子を分散した多孔質SiO2ガラスを得た。
さらに、前方入射型縮退4光波混合法による3次の非線
形光学感受率はAuの表面プラズモン吸収波長において
1.2×10-7 esuであり、ZnSの吸収サブバンド付
近において6.7×10-7 esuであった。
【0065】上記工程においてAuHCl4の替わりに
AuNaCl4を用いてもAu微粒子の生成が確認され
た。同様な方法により、Zn(NO3)2の代わりにCd
(NO3)2、Pb(NO3)2を用いるとCdS、PbS微粒
子を分散させることができた。
【0066】
【表3】
【0067】(実施例8)表4に示した組成のゾルにA
uHCl4とAgClO4をそれぞれSiO2に対してA
u、Agが1 wt%になるように添加後、室温で撹拌
し、室温で5日間乾燥後、60 ℃で24時間乾燥して
厚さ300 μmのゲル化した薄板を得た。このゲルは
透明な薄い黄色を呈していた。
【0068】本実施例では、Ce(NO3)3のCe3+が光
照射によりCe4+となる時放出する電子によりAuHC
4の還元が促進されると考えられる。このようにして
作製したシリカゲル板に500 Wキセノンランプを用
いて室温で3分間光照射を行なったところ照射時間とと
もに赤紫色に着色しAu微粒子の生成が確認され、Ce
(NO3)3未添加のゾルを用いたものと比較して短時間に
容易にAuHCl4が光還元されることがわかった。ま
た、このようなAuHCl4の光還元反応は、エタノー
ルが存在しない場合にはまったく起こらなかった。
【0069】この試料の吸収スペクトルにはAu、Ag
微粒子の表面プラズモン吸収に基づく527 nmと4
02 nmにそれぞれピークが見られた。さらに、前方
入射型縮退4光波混合法による3次の非線形光学感受率
はそれぞれの表面プラズモン吸収波長において1.1×
10-7 esu、1.0×10-7 esuであった。
【0070】
【表4】
【0071】(実施例9)実施例7の表3に示した組成
のゾルに石英基板を1時間浸漬、引き上げた後、60
℃で1時間乾燥後ゲル化し、膜厚0.3 μmのSiO2
薄膜を作製した。更に引き続いて、表2に示した組成の
ゾルにZn(NO3)2とAuHCl4をSiO2に対してそ
れぞれZnS、Auがそれぞれ1 wt%になるように
添加した組成のゾルに前記SiO2薄膜を形成した石英
基板を1時間浸漬、引き上げ後、同様にしてゲル下し、
膜厚0.3 μmの薄膜を形成した。前記の各工程をそれ
ぞれ交互に合計10回繰り返すことにより膜厚約3 μ
mの膜とし、金微粒子層とガラス層とが交互に積層され
た構造を有する金属微粒子分散材料を形成した。
【0072】このようにして作製したシリカゲルに50
0 Wキセノンランプを用いて室温で10分間光照射を
行なったところ照射時間とともに薄膜は赤紫色に着色し
Au微粒子の生成が確認された。このようなAuHCl
4の光還元反応は、エタノールまたはエチレングリコー
ルが存在しない場合にはまったく起こらなかった。
【0073】光還元により生成したAu微粒子の平均粒
径は3 nmであり粒径分布も小さいことがわかった。
この試料の吸収スペクトルにはAu微粒子の表面プラズ
モン吸収に基づく520 nmにピークが見られた。こ
のようにして作製したAuとZnを含有した多孔質Si
2ガラスをH2Sガス雰囲気中100 ℃で10分間熱
処理し、ZnS微粒子を分散した多孔質SiO2ガラス
を得た。この薄膜の前方入射型縮退4光波混合法による
3次の非線形光学感受率はAuの表面プラズモン吸収波
長において1.2×10-7 esuであり、ZnSの吸収サ
ブバンド付近において6.7×10-7 esuであった。
【0074】上記工程においてAuHCl4の替わりに
AuNaCl4を用いてもAu微粒子の生成が確認され
た。同様な方法により、Zn(NO3)2の代わりにCd
(NO3)2、Pb(NO3)2を用いるとCdS、PbS微粒
子を分散することができた。
【0075】上記工程においてAuの替わりにPt、A
g、Rh、Pdを用いてもそれぞれの金属微粒子分散材
料を作製することができた。また、それぞれの薄膜の3
次非線形光学感受率は10-8〜10-7 esuの範囲にあった。 (実施例10)表4に示した組成のゾルにAuHCl4
とAgClO4をそれぞれSiO2に対してAu、Agが
1 wt%になるように添加後、室温で1時間撹拌し、
室温で5日間乾燥後、60 ℃で24時間乾燥して厚さ
300 μmのゲル化した薄板を得た。
【0076】このようにして作製したシリカゲル板に5
00 Wキセノンランプを用いて室温で3分間光照射を
行なったところ濃い紫色に着色した。このような変化
は、エタノールが存在しない場合にはまったく見られな
かった。
【0077】この試料の吸収スペクトルにはAu、Ag
微粒子の表面プラズモン吸収に基づく527 nmと4
02 nmにそれぞれピークが見られた。さらに、前方
入射型縮退4光波混合法による3次の非線形光学感受率
はそれぞれの表面プラズモン吸収波長において1.1×
10-7 esu、1.0×10-7 esuであった。 (実施例11)厚さ0.2 mmのAS樹脂に以下に示す
方法によりZnS、CdS、PbS、Au、Ag微粒子
を分散させた。
【0078】AS樹脂50gにZn(NO3)2、Cd(N
3)2、AuHCl4、AgCl及び還元剤としてのNa
BH4を樹脂に対してZnS、CdS、PbS、Au、
Agがそれぞれ1 wt%になるように添加後、室温で
1時間撹拌し、80 ℃で乾燥し、さらにH2Sガス雰囲
気中50 ℃で10分間熱処理し、各微粒子を分散させ
たAS樹脂を作製した。
【0079】この樹脂の吸収スペクトルにはZnS、C
dS、PbS微粒子によるサブバンドからの光吸収ピー
クがそれぞれ380 nm、490 nm、550 nm
に見られ、Au微粒子、Ag微粒子それぞれの表面プラ
ズモン吸収に基づくピークが525 nm、410 nm
に見られた。前方入射型縮退4光波混合法による3次の
非線形光学感受率はそれぞれの吸収波長ピークにおいて
1〜7×10-7 esuであった。
【0080】また、マトリックスとなる高分子重合体に
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリメチルメタクリレートを用い
てもAB樹脂と同等な特性を有する金微粒子分散フィル
ムを作製することができた。 (実施例12)実施例1に示した材料を用いて光双安定
素子を作製した。この素子に波長525 nm、400
nm、575 nmのレーザ光をスポット径5 μmで入
射し、入射光の強度と出射光の強度の関係を室温(25
℃)にて測定したところそれぞれの波長において双安
定特性を示した。 (実施例13)実施例10に示した材料を用いて光双安
定素子を作製した。この素子に波長525 nm、40
0 nmのレーザ光をスポット径5 μmで入射し、入射
光の強度と出射光の強度の関係を室温(25 ℃)にて
測定したところそれぞれの波長において双安定特性を示
した。
【0081】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の非線形光学
材料によれば、複数の異なる波長の光に応答できる多重
信号処理の可能な大きな3次の非線形光学感受率を有す
る非線形光学材料を達成できる。
【0082】また、本発明の非線形光学材料の製造方法
によれば、多種類の金属微粒子や半導体微粒子を均一に
マトリックス中に分散させることができ、複数の異なる
波長の光に応答できる多重信号処理の可能な大きな3次
の非線形光学特性を有する非線形光学材料を容易に提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の非線形光学材料の作製工程
図である。
【図2】本発明の一実施例において作製したガラスの構
造概念図である。
【図3】本発明の一実施例の非線形光学材料の作製工程
図である。
【符号の説明】
1 ホウケイ酸ガラス 2 Au 3 Ag 4 Cu

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる波長の光を吸収して3次非線形光
    学効果を示す金属微粒子及び半導体微粒子から選ばれた
    少なくとも2種類の微粒子が、前記選ばれた少なくとも
    2種類の微粒子の光吸収波長域に光吸収を持たない光学
    的に透明なマトリックスに分散されてなる非線形光学材
    料。
  2. 【請求項2】 金属微粒子が、金、白金、銀、銅、ロジ
    ウム、パラジウムまたはイリジウムである請求項1に記
    載の非線形光学材料。
  3. 【請求項3】 半導体微粒子が、ZnS、CdS、Zn
    Se、CdSe、PbSまたはCuClである請求項1
    に記載の非線形光学材料。
  4. 【請求項4】 光学的に透明なマトリックスが無機のガ
    ラスまたはセラミックスである請求項1に記載の非線形
    光学材料。
  5. 【請求項5】 光学的に透明なマトリックスがポリスチ
    レン、ポリエチレン、アクリロニトリル/スチレン共重
    合体から選ばれる少なくとも一種類の高分子重合体であ
    る請求項1に記載の非線形光学材料。
  6. 【請求項6】 a)金属化合物と還元剤、及びb)半導
    体のうち少なくとも2種類をホウケイ酸ガラス原料と混
    合し、溶融・急冷後さらに熱処理する非線形光学材料の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 金属アルコキシド溶液に少なくとも2種
    類の金属イオンを混合しゲル化させ、次に還元して金属
    微粒子を生成させる処理及びH2S若しくはH2Seと反
    応させて半導体微粒子を生成させる処理から選ばれる少
    なくとも1つの処理を行う非線形光学材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属アルコキシド溶液と少なくとも2種
    類の金属イオンの混合溶液を熱処理によって還元し金属
    微粒子を生成させる請求項7に記載の非線形光学材料の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 金属アルコキシド溶液と少なくとも2種
    類の金属イオンの混合溶液を熱処理によって還元し金属
    微粒子を生成させ、次にH2S若しくはH2Seと反応さ
    せて半導体微粒子を生成させる請求項7に記載の非線形
    光学材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属アルコキシド溶液と少なくとも2
    種類の金属イオンの混合溶液を光照射とアルコールによ
    り光還元し金属微粒子を生成させる請求項7に記載の非
    線形光学材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 金属アルコキシド溶液と少なくとも2
    種類の金属イオンの混合溶液を光照射とアルコール及び
    Ce3+により光還元し金属微粒子を生成させる請求項7
    に記載の非線形光学材料の製造方法。
  12. 【請求項12】 金属アルコキシド溶液と少なくとも2
    種類の金属イオンの混合溶液を光照射とアルコールによ
    り光還元し金属微粒子を生成させ、次にH2S若しくは
    2Seと反応させて半導体微粒子を生成させる請求項
    7に記載の非線形光学材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 照射する光が波長400nm以下の光
    である請求項7に記載の非線形光学材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 高分子重合体に少なくとも2種類の金
    属イオンを混合しゲル化させ、次に還元して半導体微粒
    子を生成させる処理及びH2S若しくはH2Seと反応さ
    せて半導体微粒子を生成させる処理から選ばれる少なく
    とも1つの処理を行う非線形光学材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 高分子重合体と少なくとも2種類の金
    属イオンとの混合物を熱処理によって還元し金属微粒子
    を生成させる請求項14に記載の非線形光学材料の製造
    方法。
  16. 【請求項16】 高分子重合体と少なくとも2種類の金
    属イオンとの混合物を熱処理によって還元し金属微粒子
    を生成させ、次にH2S若しくはH2Seと反応させて半
    導体微粒子を生成させる請求項14に記載の非線形光学
    材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100615154B1 (ko) * 1999-08-19 2006-08-25 삼성에스디아이 주식회사 콘트라스트가 향상된 음극선관
JP2008083550A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Dainippon Printing Co Ltd 非線形光学材料およびその製造方法

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JP2008083550A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Dainippon Printing Co Ltd 非線形光学材料およびその製造方法

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