JPH0620750U - 石肌模様の壁構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 型枠の組み立て・取り外しの工程を省略可能
とすることにより、コスト低減及び施工時間の短縮がで
きるようにした石肌模様の壁構造を得る。 【構成】 石の表面の凹凸形状を反転して成る転写形状
１ａを有する下型１の上に、石粉末と透明又は半透明の
熱硬化性合成樹脂とを混練した溶融材２を注入し、この
溶融材２と一体となって、当該溶融材２の上部外周側に
突出するように不燃性の保持材を配置した後、上型４を
置いてプレス圧を加えて成形される石肌模様を有する内
装材及び外装材１０と、鉄骨等の構造材１８を挟んで上
記内装材と外装材の背面側同士を対向させるとともに、
これら内，外装材１０の保持材に固定され、かつ上記構
造材１８に取り付けられる間隔保持部材１５とを備え、
この間隔保持部材１５により上記内装材，外装材１０を
所定の間隔に保って上下、左右に並設し、並設した内装
材と外装材との間の空間にコンクリート２１を打設して
成る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、石の表面の凹凸形状を反転してなる転写形状を有する下型の上に 、溶融材を注入して固化させて成る石肌模様を有する内装材と外装材を使用した 石肌模様の壁構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ビル建築において壁を構築する場合、鉄筋，鉄骨などの骨組材を挟んで 型枠を組み立て、その型枠の中にコンクリートを打設し、コンクリートを固化さ せた後に型枠を取り外し、コンクリート壁体の内面と外面とにそれぞれ天然石を パネル状に切り出してなる内装材と外装材とを上下、左右に並べて固着している 。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記のように天然石をパネル状に切り出したものでは、切削，研磨加 工が難しく、また重量が大きく運搬・建築作業が難しく危険であるなどの問題が あった。

【０００４】 そこで、この問題を解消するため、樹脂により天然石と同様の高級な外観を呈 するパネル状の内装材及び外装材を用いて内壁又は外壁を構築することが本出願 人により試みられている。

【０００５】 その内装材及び外装材は、石の表面の凹凸形状を反転してなる転写形状を有す る下型の上に石粉末と透明又は半透明の熱硬化性合成樹脂とを混練した溶融材を 注入し、その上に繊維シートを置いて上型でプレス成形するものである。（特願 平３−３０９９９２号）。

【０００６】 一方、上記従来例によると、型枠の組み立て・取り外し作業のために、型枠施 工の専門作業員などが必要であり、作業手間とコストがかかる問題がある。

【０００７】 この考案の目的は、型枠の組み立て・取り外しの工程を省略可能とすることに より、コスト低減及び施工時間の短縮ができる石肌模様を有する内，外装材を用 いた石肌模様の壁構造を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を解決するために、この考案に係る石肌模様の壁構造は、石の表面の 凹凸形状を反転して成る転写形状を有する下型の上に、石粉末と透明又は半透明 の熱硬化性合成樹脂とを混練した溶融材を注入し、この溶融材のと一体となって 、当該溶融材の上部外周側に突出するように不燃性の保持材を配置した後、上型 を置いてプレス圧を加えて成形される石肌模様を有する内装材及び外装材と、鉄 骨等の構造材を挟んで上記内装材と外装材の背面側同士を対向させるとともに、 これら内，外装材の保持材に固定され、かつ上記構造材に取り付けられる間隔保 持部材とを備え、この間隔保持部材により上記内装材，外装材を所定の間隔に保 って上下、左右に並設し、並設した内装材と外装材との間の空間にコンクリート を打設して成る。

【０００９】

【作用】

間隔保持部材１５により内装材と外装材そのものが型枠の役目を果たし、内装 材と外装材との間の所定間隔空間にコンクリート２１を流し込めば、コンクリー トは内装材と外装材の背面に一体化して固化し、壁が形成される。

【００１０】

【実施例】

以下に、この考案の一実施例を図を参照して説明する。 図２に示すように、天然石の表面の凹凸形状を反転してなる転写形状１ａを有 する下型１の矩形状の成形空間内に、石粉末と透明又は半透明の熱硬化性合成樹 脂とを混練した溶融材２を注入する。また、成形空間のほぼ外周囲に沿って下型 １の上面１Ｔには成形する内，外装材の外周端部の繊維シート３に加工を施すた めのスライド形式の補助型５ａ，５ｂが設置される。次に、補助型５ａ，５ｂの 上面側から溶融材２の上にかけて不燃性の保持材としての繊維シート３を置いて から、上型４を置いて、プレス装置（図示略）によりプレス圧を加える。

【００１１】 その後、補助型５ａ，５ｂをスライドさせて抜き去ることにより、外周端部の 繊維シート３に、外周方向に水平に延長する一対の被差し込み溝６と差し込み片 ７が一体成形される。また同時に、被差し込み溝６の上側の対向片となり、外周 方向により突出する被支持片８が成形され、さらに補助型５ａ，５ｂと成形空間 壁により上記被差し込み溝６及び差し込み片７に対して垂直な外周面となる突き 当て面３Ａが成形される。

【００１２】 上述の下型１は、図３に示すように、枠型１１の中に石膏又はＦＲＰ（繊維強 化樹脂）などの溶材１２を注入し、この溶材１２の上に天然石１３を置いて、天 然石１３の表面の凹凸形状１３ａを溶材１２に転写する。溶材１２が固化して下 型１となる。

【００１３】 上述の溶融材２の熱硬化性合成樹脂として、透明又は半透明のポリエステル又 はエポキシ又はアクリルなどの樹脂が用いられる。また、溶融材２の石粉末とし て、岩石を粉砕したもの、あるいは石を廃棄物処理したものなどが用いられる。 体積割合で概略、樹脂２０％に対して石粉末８０％位配合されることが望ましい 。また、繊維シート３として、ガラスまたはカーボンの繊維、布などが用いられ 、上記のプレス圧により、繊維シート３が溶融材２の裏面に圧着し、溶融材２の 熱硬化性合成樹脂が含浸硬化して一体化され、図４に示すように、表面に石肌模 様を有する矩形状の内，外装材１０が成形される。図２の溶融材２は固化して人 工石パネル９となる。

【００１４】 上記被差し込み溝６及び差し込み片７は、図４に示すように内，外装材１０の 対角線を境とした外周端部の繊維シート３の各辺にそれぞれ形成され、一対とな っている。即ち、図４においては、繊維シート３の右辺及び上辺には、被差し込 み溝６及び被支持片８が形成されており、繊維シート３の左辺及び下辺には、上 記被差し込み溝６に差し込まれる差し込み片７が形成されている。また、被支持 片８の左端，下端には干渉をなくすために切り欠かれた切り欠き部８Ａが設けら れる。尚、内装材の表面は外装材の表面の凹凸よりも滑らかな石肌模様に成形さ れる。

【００１５】 次に、図１、図５を参照して、内，外装材１０を用いてビルの壁を構築する方 法について説明する。 上述のように製造された内，外装材１０は、上下、左右に並設される。この場 合、図１に示すように、内，外装材１０は鉄骨等の構造材１８を挟んで背面側同 士を対向させる。

【００１６】 構造材１８には、両端に雄ネジを刻設したボルト棒１５ａのほぼ中央部分が溶 接などにより固定されている。このボルト棒１５ａの両端が内，外装材１０の被 支持片８を貫通し、ナット１５ｂにより固定される。これによって、内，外装材 １０が構造材１８を挟んで所定の間隔にて上下、左右に並設される。この例では 、ボルト棒１５ａ及びナット１５ｂが、内，外装材１０間を所定の間隔に保つた めの間隔保持部材１５を構成しており、図５に示すように、被支持片８に複数箇 所設けられる。

【００１７】 外装材１０を上下左右に並設する際に、下又は左右一方側に位置する外装材１ ０の差し込み溝６に、上又は左右他方側に配置する外装材１０の差し込み片７が 差し込まれ、突き当て面３Ａ同士を当接させる。尚、地面側には土台１７に固定 される上部開口の被差し込み溝１９ａを有する保持部材１９を設け、地面側に配 置する内，外装材１０の差し込み片７を上記被差し込み溝１９ａに差し込む。外 装材１０の接合部、すなわち被差し込み溝１９ａ，６と差し込み片７との間には 、モール材２０が介装される。これは被差し込み溝６に侵入した水が凍って体積 膨張した場合等、被差し込み溝６を押し広げ、シーリングを悪化させて、水漏れ が発生しやすくなるが、この際、モール材２０が、被差し込み溝１９ａ，６の拡 大や復元に追従するためシーリングを常時良好な状態に維持することができる。

【００１８】 このように内，外装材１０の背面対向間をボルト棒１５ａ及びナット１５ｂか ら成る間隔保持部材１５により所定の間隔Ｔを保持して内，外装材１０を積み上 げた後、内，外装材１０間の空間にコンクリート２１を流し込むと、コンクリー ト２１が固化して、石肌模様を有する内，外装材１０と一体化した壁が得られる 。

【００１９】 この実施例では、積み上げた内，外装材１０の対向間の空間にコンクリート１ ９を打設するだけなので、コンクリート壁体を形成するための型枠の組み立て・ 取り外しの工程が不要であり、コスト低減、施工時間の短縮を達成できる。

【００２０】 この考案は上記説明した実施例に限定されないことは勿論であり、種々の変形 例が実施可能である。例えば、間隔保持部材１５はボルト棒１５ａとナット１５ ｂに限定されるものではなく、内，外装材１０間に介装されるある長さを持った 剛体材ならよい。また、内，外装材１０を所定の間隔に保つとは、一定の間隔に 限定されず、広狭があってもよい。また、上記実施例では不燃性の保持材として 繊維シート３を用いたが、金属性の保持材を用いてもよい。この場合溶融材と一 体化し、かつ外周が溶融材，すなわち人工石パネルの外周側より突出する金属枠 材を用いる。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案では、石の表面の凹凸形状を反転して成る転写 形状を有する下型の上に、石粉末と透明又は半透明の熱硬化性合成樹脂とを混練 した溶融材を注入し、この溶融材のと一体となって、当該溶融材の上部外周側に 突出するように不燃性の保持材を配置した後、上型を置いてプレス圧を加えて成 形される石肌模様を有する内装材及び外装材と、鉄骨等の構造材を挟んで上記内 装材と外装材の背面側同士を対向させるとともに、これら内，外装材の保持材に 固定され、かつ上記構造材に取り付けられる間隔保持部材とを備え、この間隔保 持部材により上記内装材，外装材を所定の間隔に保って上下、左右に並設し、並 設した内装材と外装材との間の空間にコンクリートを打設して成るため、型枠の 組み立て・取り外しの工程が不要であり、コスト低減及び施行時間短縮ができる 石肌模様の壁構造を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係る壁構造を示す縦断面
図である。

【図２】図１の内，外装材の製造方法を説明する型の断
面図である。

【図３】図２の製造に使用する下型の製造方法を示す型
の断面図である。

【図４】内，外装材の正面図である。

【図５】内，外装材と間隔保持部材及び構造材との関係
を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 下型 ２ 溶融材 ３ 繊維シート（保持材） ４ 上型 ５ａ，５ｂ 補助型 １０ 内，外装材 １５ 間隔保持部材 １５ａ ボルト棒 １５ｂ ナット １８ 構造材 ２１ コンクリート

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 石の表面の凹凸形状を反転して成る転写
   形状を有する下型の上に、石粉末と透明又は半透明の熱
   硬化性合成樹脂とを混練した溶融材を注入し、この溶融
   材と一体となって、当該溶融材の上部外周側に突出する
   ように不燃性の保持材を配置した後、上型を置いてプレ
   ス圧を加えて成形される石肌模様を有する内装材及び外
   装材と、鉄骨等の構造材を挟んで上記内装材と外装材の
   背面側同士を対向させるとともに、これら内，外装材の
   保持材に固定され、かつ上記構造材に取り付けられる間
   隔保持部材とを備え、この間隔保持部材により上記内装
   材，外装材を所定の間隔に保って上下、左右に並設し、
   並設した内装材と外装材との間の空間にコンクリートを
   打設して成ることを特徴とする石肌模様の壁構造。