JPH06207001A - 芳香族ポリエーテル系共重合体の製造方法及びポリシアノアリールエーテル系全芳香族ブロック共重合体 - Google Patents

芳香族ポリエーテル系共重合体の製造方法及びポリシアノアリールエーテル系全芳香族ブロック共重合体

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JPH06207001A
JPH06207001A JP25890493A JP25890493A JPH06207001A JP H06207001 A JPH06207001 A JP H06207001A JP 25890493 A JP25890493 A JP 25890493A JP 25890493 A JP25890493 A JP 25890493A JP H06207001 A JPH06207001 A JP H06207001A
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wholly aromatic
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Toru Bando
徹 板東
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 各種の芳香族ポリエーテル系ブロック共重合
体を極めて簡便に効率よく製造する方法を提供するとと
もに、これら芳香族ポリエーテル系共重合体の中でも物
性等に特に優れた新規なブロック共重合体であるポリシ
アノアリールエーテル系全芳香族ブロック共重合体を提
供する。 【構成】 縮重合反応によって全芳香族ポリエーテルに
転化可能な原料モノマーを重縮合させる際に、この原料
モノマーを縮重合反応させて得られる全芳香族ポリエー
テル(A)とは異なる種類の全芳香族ポリエーテル
(B)を加えて重縮合反応を行い、エーテル交換反応に
より、前記原料モノマーに基づく繰り返し単位と前記全
芳香族ポリエーテル(B)に由来する繰り返し単位から
なる共重合体を合成する芳香族ポリエーテル系共重合体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリエーテル系
共重合体の製造方法及びポリシアノアリールエーテル系
全芳香族ブロック共重合体に関し、更に詳しく言うと、
機械的強度、耐熱性、耐薬品性等に優れた芳香族ポリエ
ーテル系共重合体、中でも特にポリシアノアリールエー
テル系全芳香族ブロック共重合体をはじめとする各種の
芳香族ポリエーテル系ブロック共重合体を極めて簡便に
効率よく製造する方法と、これら芳香族ポリエーテル系
共重合体の中でも上記の物性等に特に優れた新規なブロ
ック共重合体であるポリシアノアリールエーテル系全芳
香族ブロック共重合体に関する。
【0002】なお、本発明のポリシアノアリールエーテ
ル系全芳香族ブロック共重合体及びこれを含め本発明の
方法によって得られた芳香族ポリエーテル系共重合体
は、高特性のエンジニアリング樹脂等として各種の高分
子材料利用分野、例えば、電子・電気機器分野、機械分
野、自動車分野、航空分野等における素材として好適に
利用することができる。
【0003】
【従来の技術】近年、機械的強度、耐熱性等に優れた様
々なエンジニアリング樹脂が開発されており、一部のも
のは実用に供されている。しかし、それらいずれの樹脂
についても、その性能はすべての面で十分に満足される
に至ってはいない。また、エンジニアリング樹脂に期待
される利用分野も、自動車分野、航空分野、電気・電子
分野、精密機械分野、OA機器分野、光通信機器分野な
どと極めて広範囲・多岐にわたっており、更に、用途の
拡充、機能の高度化に伴い、その要求性能もますます厳
しくなってきている。したがって、従来のエンジニアリ
ング樹脂でこれらの要求に対応するのは不十分であり、
こうした要求性能を満たす新しい樹脂の開発が望まれて
いる。
【0004】また、これらエンジニアリング樹脂の製造
方法についても様々な検討がなされているが、なお、改
善すべき点が種々残されている。
【0005】ところで、エンジニアリング樹脂の代表的
なものとして、芳香族ポリエーテル系樹脂が知られてい
る。中でも、ポリシアノアリールエーテル、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等の全芳香族
ポリエーテル系樹脂は、特に耐熱性、機械的強度等に優
れており、高性能のエンジニアリングプラスチックとし
て注目されている。
【0006】しかしながら、ポリシアノアリールエーテ
ルやポリエーテルエーテルケトンなどの結晶性ポリマー
ではガラス転移温度が低く、高温での機械的特性に劣る
という欠点がある。一方、ポリエーテルスルホンなどの
非晶性ポリマーでは、非晶性であるために、耐薬品性に
劣るという欠点が指摘されている。そこで、両者をブロ
ック共重合体とし、双方の長所を併せ持たせようとする
試みが、従来より行われてきた。
【0007】こうした全芳香族ポリエーテルのブロック
共重合体の合成法としては、従来、例えば特開平3−1
81519号公報及び特開平3−134022号公報に
見られるように、モノマーを予備重合して一方のブロッ
ク成分であるオリゴマーを生成せしめ、そこにもう一方
のブロック成分としてのモノマーを添加して重合反応を
行いブロック共重合体を得るという方法が知られてい
る。しかしながら、この方法では、一般に、重合を完結
するまでにかなりの長時間を要するし、同一の反応条件
(例えば溶媒種など)で重合可能なモノマー種の組み合
わせによるブロック共重合体の製造にしかうまく適用で
きないなどの欠点がある。また、この方法は、オリゴマ
ーの両末端基からの重縮合反応を利用するものであるた
め、オリゴマーの末端構造には、重縮合反応可能な活性
基、即ち、水酸基若しくは活性ハロゲン基(電子吸引性
基に結合した芳香環の該電子吸引性基に対してオルト位
又はパラ位に結合したハロゲン基)を有する必要がある
という制約があり、従ってモノマーの使用割合、ひいて
はブロック共重合体のブロック組成が制限されるという
難点がある。
【0008】また、この方法では予備重合したポリエー
テルのオリゴマーとの共重合に限定されるため汎用性に
欠けると共に、予備重合のユニット長さをブロック共重
合体中のユニット長さにすることは困難であると共にブ
ロックのユニット長さを任意に制御することが極めて困
難である。
【0009】また、共重合体を構成する原料モノマーを
用意したり、これを貯蔵するための設備を必要とするな
ど、工業的に見て任意な組合せの共重合体を得ることは
実質的に不可能であった。
【0010】また、特開平2−163119号公報や特
開昭63−30527号公報などには、2種のポリマー
を溶媒中でフッ化セシウム等の触媒の存在下で加熱反応
させることによって、両者のブロックポリマーが合成可
能であることが報告されている。しかしながら、このポ
リマー同士の反応による方法では、これらのポリマーを
それぞれの重合工程で製造した後に、更にもう一度反応
させることになるので経済的に不利であり、また、反応
温度が300℃前後と高く、反応中のポリマーの熱劣化
が避けられないなどの問題点がある。また、製造条件に
よっては、触媒として用いた有害なフッ化セシウムが製
品中に残留するなどの問題も生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械
的強度、耐熱性、耐薬品性等に優れた芳香族ポリエーテ
ル系共重合体、中でも特にポリシアノアリールエーテル
系全芳香族ブロック共重合体をはじめとする各種の芳香
族ポリエーテル系ブロック共重合体を極めて簡便に効率
よく、しかも共重合体組成とブロック長さを任意にでき
る製造方法を提供するとともに、これら芳香族ポリエー
テル系共重合体の中でも上記の物性等に特に優れた新規
なブロック共重合体(ポリシアノアリールエーテル骨格
をブロック成分として有する芳香族ポリエーテル系共重
合体)であるポリシアノアリールエーテル系全芳香族ブ
ロック共重合体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記従来の
問題点を解決すべく、各種の芳香族ポリエーテル系共重
合体、特にブロック共重合体の簡便な製造方法について
鋭意研究を行った。その結果、目的とする共重合体の一
方の繰り返し単位あるいはブロック構造単位の成分とな
るモノマーを原料としてポリエーテルへの重合反応を行
う際に、その重合反応系に、もう一方の繰り返し単位若
しくはブロック構造単位の成分となる別の種類の全芳香
族ポリエーテルを加えて反応を行うとエーテル交換反応
が併発し、該添加全芳香族ポリエーテルがその重合反応
系と反応して所望のブロック共重合体等の共重合体が容
易に得られることを見いだした。
【0013】また、この方法で製造した芳香族ポリエー
テル系共重合体(特にブロック共重合体)は、機械的強
度、耐熱性、耐薬品性等に優れており、中でもポリシア
ノアリールエーテル系全芳香族ブロック共重合体は、こ
れらの物性に特に優れていて、極めて高性能のエンジニ
アリング樹脂となることを確認した。
【0014】本発明者は主としてこれらの知見に基づい
て本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、縮
重合反応によって全芳香族ポリエーテルに転化可能な原
料モノマーを重縮合させる際に、この原料モノマーを縮
重合反応させて得られる全芳香族ポリエーテル(A)と
は異なる種類の全芳香族ポリエーテル(B)を加えて重
縮合反応を行い、エーテル交換反応により、前記原料モ
ノマーに基づく繰り返し単位と前記全芳香族ポリエーテ
ル(B)に由来する繰り返し単位からなる共重合体を合
成することを特徴とする芳香族ポリエーテル系共重合体
の製造方法を提供するものである。
【0015】また、本発明は、この本発明の方法によっ
て容易に製造することができる多種多様なブロック共重
合体の中でも、機械的強度、耐熱性、耐薬品性等に特に
優れ、高性能のエンジニアリング樹脂として特に有用性
の高い新規なブロック共重合体として、次の一般式
[I]
【0016】
【化5】 [ただし、式[I]中のAr1
【0017】
【化6】 (ただし、式中のQは、炭素数1〜13のアルキレン
基、炭素数6〜13のアリーレン基、−O−、−S−又
は−SO2−を表す。)を表す。]で表される繰り返し
単位(U−I)と次の一般式[II]
【0018】
【化7】 (ただし、式[II]中のAr2は前記Ar1と同じ意味
を表し、Ar3
【0019】
【化8】 を表し、Rは、炭素数1〜13のアルキル基又は炭素数
6〜13のアリール基を表し、但し、Ar1とAr2とは
同種であっても異種であってもよく、Ar2とAr3とは
同種であることはない。)で表され、繰り返し単位(U
−I)とは異なる繰り返し単位(U−II)からなり、
かつ、これら繰り返し単位(U−I)と繰り返し単位
(U−II)の合計含有量に対する該繰り返し単位(U
−I)の割合がモル比{(U−I)/[(U−I)+
(U−II)]}で0.10〜0.90の範囲にあり、
しかも、少なくとも、繰り返し単位(U−I)が2単位
以上連結したブロック構造単位[(U−I)a ](た
だし、aは2以上の整数を示す。)と繰り返し単位(U
−II)が2単位以上連結したブロック構造単位[(U
−II)b ](ただし、bは2以上の整数を示す。)
とが結合したブロック構造[−(U−I)a− −(U
−II)b− ]を有するブロック共重合体であって、
更に、ポリマー融点よりも30℃高い温度において試験
荷重5kgの条件で測定したメルトフローレート[MF
R]が0.01〜500g/10分の範囲にあることを
特徴とするポリシアノアリールエーテル系全芳香族ブロ
ック共重合体を提供するものである。
【0020】本発明の芳香族ポリエーテル系共重合体の
製造方法においては、適当な原料モノマーを用いて、こ
れを重合するとポリマー若しくはオリゴマー状の全芳香
族ポリエーテル[全芳香族ポリエーテル(A)]が得ら
れるという条件で重合反応を行うが、この重合反応時に
該全芳香族ポリエーテル(A)とは異なる種類のポリマ
ーである全芳香族ポリエーテル[全芳香族ポリエーテル
(B)]を加えて該重合反応を行うことが重要である。
ここで、原料モノマーをそのまま前記異種のポリマーを
添加せずに重合した時に得られる(あるいは得られるは
ずの)全芳香族ポリエーテルと、この重合反応系に加え
るポリマーである全芳香族ポリエーテルとを区別するた
めに、前者を全芳香族ポリエーテル(A)、後者を全芳
香族ポリエーテル(B)と呼んでいる。また、全芳香族
ポリエーテル(B)が全芳香族ポリエーテル(A)と異
種のポリマーであるという意味は、前者(B)が、少な
くとも後者(A)にはない繰り返し単位を含有している
ポリマーであるか、あるいは、後者(A)が、少なくと
も前者(B)にはない繰り返し単位を有しているポリマ
ーであると理解してよい。中でも、(A)と(B)が互
いに共通の繰り返し単位を持たない場合の組み合わせ、
すなわち、加える全芳香族ポリエーテル(B)を構成す
る繰り返し単位とは異なる繰り返し単位を与えるような
原料モノマーを重合させる方法が、共重合体の組成の設
計や制御等の点で好ましく、特に、ブロック共重合体の
合成に好ましい。
【0021】本発明の方法では、前記原料モノマーの重
合反応の際に前記全芳香族ポリエーテル(B)を加えて
いるので、実際には原料モノマーから前記全芳香族ポリ
エーテル(A)への単純な重合反応とはならず、その全
芳香族ポリエーテル(B)が少なくともエーテル交換反
応によって該重合反応系と反応するというポリマー形成
構造単位(繰り返し単位やそのブロック単位)の交換を
起こしつつ重合反応が進行し、結果として原料モノマー
に基づく繰り返し単位[全芳香族ポリエーテル(A)の
繰り返し単位となるもの]と該全芳香族ポリエーテル
(B)由来の繰り返し単位を有する所望の共重合体が容
易に得られるのである。
【0022】ここで、本発明の方法によって得られる前
記共重合体におけるそれぞれの繰り返し単位の配列構造
は、原料の種類や反応条件等の条件の選定によって制御
可能であり、例えば、原料モノマーに基づく繰り返し単
位(R−A)と全芳香族ポリエーテル(B)由来の繰り
返し単位(R−B)とがランダムに配列したランダム型
の共重合体とすることもできるが、通常は、繰り返し単
位(R−A)が複数単位連結したブロック構造単位(b
−A)と繰り返し単位(R−B)が複数単位連結したブ
ロック構造単位(b−B)からなるブロック共重合体を
容易に得ることができる。
【0023】また、このブロック共重合体についても、
例えば、(b−A)−(b−B)型のもの、(b−A)
−(b−B)−(b−A)型のもの、(b−B)−(b
−A)−(b−B)型のものなど、各種のブロック単位
配列のものとすることができる。なお、これらのブロッ
ク構造単位のシーケンス長(繰り返し単位の連結数)
は、(b−A)及び(b−B)のそれぞれについて、反
応原料や反応条件等の選定によって適宜制御することも
でき、一般に、エーテル交換反応が起こり易い原料系ほ
ど、また、反応条件が厳しいほど、これらのブロック構
造単位は短くなる傾向があり、ランダム状になり易い。
もちろん、こうした傾向を逆に利用して、ほぼ完全なブ
ロック共重合体とすることもできる。
【0024】更に、これら生成する共重合体は、必要に
応じて、原料モノマーの選定によって、(R−A)とし
て2種以上のものを有する共重合体、また、加える全芳
香族ポリエーテル(B)としてそれ自体が2種以上の繰
り返し単位を有する共重合体を用いたり、2種以上の全
芳香族ポリエーテル(B)を添加することによって、
(R−B)として2種以上のものを有する共重合体、更
には、(R−A)及び(R−B)として、それぞれ、2
種以上を有する共重合体などのより多様で複雑な構造の
共重合体とすることもできる。
【0025】本発明の方法によって得られる共重合体
は、上記のように原料モノマーに基づく繰り返し単位
(R−A)と重合反応系に加えるポリマーに由来する繰
り返し単位(R−B)からなるので、該原料モノマーを
そのまま重合して得られるポリマー[全芳香族ポリエー
テル(A)]及び加えられたポリマー[全芳香族ポリエ
ーテル(B)]それぞれが有する欠点が互いに補われ、
それぞれにはない優れた特性を発揮することが多い。特
に、ブロック共重合体の場合には、これらの改善効果は
より顕著に現れることが多く、この方法によって、高い
結晶性を有していながらガラス転移温度も十分に高く、
機械的強度、耐熱性、耐薬品性等に特に優れ、高温でも
高い機械的強度を示す優れた各種のブロック共重合体を
容易に得ることができる。
【0026】いずれにしても、本発明の方法によると、
上記のような極めて多種多様なブロック共重合体等の芳
香族ポリエーテル系共重合体を、極めて簡便にかつ効率
よく得ることができ、この方法は、中でも特に、ブロッ
ク共重合体の製造方法として著しく優れている。
【0027】本発明の方法では、上記のようにして、重
合反応系に加えられた全芳香族ポリエーテル(B)のポ
リマー分子の任意の長さの構造単位(繰り返し単位、ブ
ロック構造単位、ポリマー分子全体)が結果として生成
ポリマー中に取り込まれて共重合体を形成するように所
定の原料モノマーからの前記重合反応を行うものであれ
ば、どのような原料及び条件によって行ってもよい。
【0028】前記原料モノマーとしては、通常の縮重合
反応によってポリエーテル(全芳香族ポリエーテル)を
与えることが可能なものであれば、特に制限はなく、従
来公知の全芳香族ポリエーテルの原料モノマーとして使
用可能とされているあらゆる種類及び組み合わせのもの
が適用可能である。この原料モノマー及びその重合反応
形式の好適な例については後述する。
【0029】前記重合反応系に加えるポリマーである前
記全芳香族ポリエーテル(B)としては、該重合反応条
件下でエーテル交換反応が進行可能であれば、公知のも
のなど各種のものを使用することができる。そのような
全芳香族ポリエーテル(B)の代表的なものとしては、
例えば、隣接する繰り返し単位を連結するジアリールエ
ーテル構造の少なくとも一方のアリーレン基に、該エー
テル結合に対してオルト位又はパラ位に電子吸引性基
(例えば、シアノ基、カルボニル基、スルホン基など)
が結合又は置換している構造を有するものが挙げられ
る。このような全芳香族ポリエーテル(B)としては、
例えば、
【0030】
【化9】 (式中、R1は上記と同じ意味を有する。)で表わされ
る二価の基を繰り返し単位中に有するものなどを挙げる
ことができる。もちろん、上記フェニレン基は、例えば
アルキル基等の他の置換基を有しているものでもよい。
【0031】なお、こうした全芳香族ポリエーテル
(B)は、単独重合体、共重合体のいずれでもよく、ま
た、これらは、1種単独で使用してもよいし、必要に応
じて、2種以上を併用することもできる。本発明の方法
は、前記原料モノマーの重縮合によって形成されるポリ
エーテル構造と、全芳香族ポリエーテル(B)との主鎖
のエーテル交換反応を利用して共重合体を合成すること
を特徴とすることから、末端構造には制約はない。ま
た、オリゴマーではなくそれ自体が成形材料として使用
可能な高分子量の全芳香族ポリエーテル(B)が用いら
れ、通常、目的とする共重合体の物性に応じて、各種の
市販品から選択して用いることができる。従って、本発
明においては、目的とする共重合体の繰り返し単位を構
成するモノマー原料のうち、全芳香族ポリエーテル
(B)の繰り返し単位を構成するモノマー原料を用意す
る必要がなく、合成設備の簡略化が可能となる。本発明
においては、全芳香族ポリエーテル(B)として、通
常、全芳香族ポリエーテル(B)が非晶質の場合は、そ
のガラス転位温度よりも120℃高い温度、全芳香族ポ
リエーテル(B)が結晶質の場合は、その融点よりも3
0℃高い温度における、試験荷重5kgでのMI(メル
トフローインデックス)が0.01〜1000g/10
分、好ましくは0.02〜300g/10分であるよう
なものが用いられる。全芳香族ポリエーテル(B)の好
適な例についても後述する。
【0032】前記重合反応系へのポリマー[全芳香族ポ
リエーテル(B)]を加える時期としては、特に制限は
ない。しかし、本発明の製造方法は、重合装置内でオリ
ゴマーを製造した後他のモノマーを加えて重縮合する従
来法とはまったく異なり、重合装置で重縮合させる系に
他の方法で製造された高分子量のポリエーテルを加える
というまったく新規な思想に基づくものである。例え
ば、前記モノマー原料に全芳香族ポリエーテル(B)を
添加した状態で重縮合反応を開始してもよいし、あるい
は、前記モノマー原料の重縮合反応がある程度進行して
から、即ち、前記モノマー原料の重縮合反応条件下に全
芳香族ポリエーテル(B)を添加してもよい。得られる
ブロック共重合体のブロック構造単位[前記(b−A)
及び(b−B)]のシーケンス長は、該ポリマーを加え
る時期に依存する(一般に、重合経過時間が長い時期に
添加したほどシーケンスが長くなる傾向がある。)の
で、所望のシーケンス長に見合った時期に加えればよ
い。
【0033】反応条件としては、前記エーテル交換反応
と原料モノマーの重合反応が共にバランスよく起こる条
件を採用すればよい。なお、前記したように、反応温度
や反応時間の選定によっても、得られるブロック共重合
体のブロック構造単位のシーケンス長を制御することが
できる。なお、好適な反応条件の具体例については後述
する。
【0034】本発明の方法のうち、特に好適に採用され
る方法として、以下に示す方法を挙げることができる。
以下、主として、この好適に採用される方法について詳
細に説明する。
【0035】すなわち、前記原料モノマーとして、少な
くとも、次の一般式[III]
【0036】
【化10】 (ただし、式[III]中のXは各々独立にハロゲン原
子を示し、Z1は無置換又は置換基を有する二価の芳香
族残基を表す。)で表されるジハロゲノ芳香族化合物と
次の一般式[IV]
【0037】
【化11】 (ただし、式[IV]中のZ2は無置換又は置換基を有
する二価の芳香族残基であって、Z1とは異なる基を表
す。)で表される二価フェノール類とを用いる。これら
をアルカリ金属化合物の存在下、適当な溶媒中で縮重合
反応させて、そのまま重合させると次の一般式[V]
【0038】
【化12】 (ただし、式[V]中のZ1及びZ2はそれぞれ前記同様
の意味を表す。)で表される前記原料モノマーに基づく
繰り返し単位(U−A)からなるポリマー若しくはオリ
ゴマーである全芳香族ポリエーテル[全芳香族ポリエー
テル(A)]が生成する。本発明においては、このとき
に、全芳香族ポリエーテル(A)とは異なる全芳香族ポ
リエーテル(B)を重縮合系に加えるため、前記のよう
にエーテル交換反応が併発し所望のブロック共重合体等
の共重合体が得られる。なお、この場合、該重合反応時
に加える前記全芳香族ポリエーテル(B)としては、次
の一般式[VI]
【0039】
【化13】 (ただし、式[IV]中のZ3及びZ4は互いに異なる基
であり、各々独立に、無置換又は置換基を有する二価の
芳香族残基を表す。)で表される繰り返し単位(U−
B)を有するポリマーが好適に使用され、その結果とし
て前記原料モノマーに基づく繰り返し単位(U−A)と
前記全芳香族ポリエーテル(B)に由来する繰り返し単
位(U−B)からなる芳香族ポリエーテル系共重合体で
ある目標とするブロック共重合体等の共重合体が得られ
る。
【0040】なお、前記重合反応系に加える前記全芳香
族ポリエーテル(B)が、前記原料モノマーの縮重合反
応によって得られる(あるいは得られるはずの)前記全
芳香族ポリエーテル(A)と異なる種類のポリマーであ
るという意味は、前記一般の場合について説明した通り
であるが、この場合について更に具体的に言うと、前記
原料モノマーに基づく繰り返し単位(U−A)と前記全
芳香族ポリエーテル(B)を構成する繰り返し単位(U
−B)のうちの少なくとも1種の繰り返し単位は、該繰
り返し単位(U−A)と繰り返し単位(U−B)の双方
に同時に属することはないという意味である。すなわ
ち、繰り返し単位(U−A)と繰り返し単位(U−B)
とがそれぞれ1種のみの繰り返し単位である場合には、
これらは互いに異なる種類の繰り返し単位であり、繰り
返し単位(U−A)が2種以上及び/又は繰り返し単位
(U−B)が2種以上である場合には、これらの繰り返
し単位がすべて異なる場合に限らず、繰り返し単位(U
−A)と繰り返し単位(U−B)に共通する繰り返し単
位があってもよい。
【0041】また、この場合もブロック共重合体として
は、前記したように各種のブロック単位配列のものを得
ることができる。但し、この場合には、前記ブロック構
造単位(b−A)及び(b−B)は、それぞれ、(U−
A)が複数単位連結したものと(U−B)が複数単位連
結したものとなっている。
【0042】前記一般式[III]で表されるジハロゲ
ノ芳香族化合物[III]において、Xはハロゲン原子
を表すが、該ハロゲン原子Xとしては、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子及びヨウ素原子のいずれでもよく、化
合物[III]中の2つのXは同じハロゲン原子でもよ
いし、異なるハロゲン原子でもよい。このジハロゲノ芳
香族化合物[III]は、反応性等の点で、通常、ハロ
ゲン原子Xがフッ素原子又は塩素原子であるものが好適
に使用され、特に、塩素原子であるジクロロ芳香族化合
物が好適に使用される。また、一般式[III]中のZ
1は、無置換又は置換基を有する二価の芳香族残基を表
し、これらには多種多様なものがあるが、これらのうち
特に好ましいものの具体例として、例えば、
【0043】
【化14】 を例示することができる。
【0044】したがって、前記ジハロゲノ芳香族化合物
[III]には多種多様なものがあり、従来の芳香族ポ
リエーテル類のモノマーとして使用されうるものなど各
種のものが使用可能であるが、これらのうち特に好まし
いものの具体例として、例えば、下記に示す各種の化合
【0045】
【化15】 (ここで、ジハロゲノベンゾニトリル及びジハロゲノピ
リジンは、ハロゲン原子が2,4−位又は2,6−位に
結合しているものが好ましい。)を例示することができ
る。
【0046】なお、これらのジハロゲノ芳香族化合物
[III]は、1種単独で使用してもよく、2種以上を
併用することもできる。
【0047】前記一般式[IV]において、Z2は無置
換又は置換基を有する二価の芳香族残基であってZ1
は異なる基を表し、これらには多種多様なものがある
が、これらのうち特に好ましいものの具体例として、例
えば、
【0048】
【化16】 (ただし、式中のQは、炭素数1〜13のアルキレン
基、炭素数6〜13のアリーレン基、−O−、−S−又
は−SO2−を表す。)を例示することができる。
【0049】したがって、前記二価フェノール類[I
V]には多種多様なものがあり、従来の芳香族ポリエー
テル類や芳香族ポリカーボネート類等の製造用モノマー
として使用されるうるものなど各種のものが使用可能で
あるが、これらのうち特に好ましいものの具体例とし
て、例えば、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ハイドロ
キノン)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシ
ン)、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどを例示する
ことができる。
【0050】なお、これらの二価フェノール類[IV]
は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用するこ
ともできる。
【0051】前記一般式[VI]で表される全芳香族ポ
リエーテル(B)の繰り返し単位において、Z3及びZ4
は互いに異なる基であり、各々独立に無置換又は置換基
を有する二価の芳香族残基を表す。このZ3及びZ4を含
む繰り返し単位[VI]は、前記原料モノマーの重合反
応条件下でエーテル交換反応が可能な構造を有するもの
であり、従って、Z3及びZ4の少なくとも一方が、隣接
する−O−のオルト位又はパラ位に電子吸引性基(例え
ば、シアノ基、カルボニル基、スルホン基など)が結合
又は置換しているフェニレン基を有するものであること
が好ましい。このような繰り返し単位としては、例え
ば、Z3が先にZ1の好ましい具体例として挙げたもので
あり、Z4が先にZ2の好ましい具体例として挙げたもの
であり、Z3及びZ4の少なくとも一方がZ1及びZ2と異
なるものである繰り返し単位が挙げられる。
【0052】前記一般式[VI]で表される繰り返し単
位を有する全芳香族ポリエーテル(B)としては、通
常、全芳香族ポリエーテル(B)が非晶質の場合は、そ
のガラス転位温度よりも120℃高い温度、全芳香族ポ
リエーテル(B)が結晶質の場合は、その融点よりも3
0℃高い温度における、試験荷重5kgでのMI(メル
トフローインデックス)が0.01〜1000g/10
分、好ましくは0.02〜300g/10分であるよう
なものが好適に用いられる。
【0053】前記重合反応に用いる前記アルカリ金属化
合物としては、前記二価フェノール類[IV]をアルカ
リ金属塩に変換することができるものであれば、どのよ
うなものも使用可能であるが、通常は、アルカリ金属の
炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物等が好適に使用され、中
でも特に、炭酸塩が好ましい。該アルカリ金属として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及び
セシウムを挙げることができるが、中でも特に、カリウ
ムが好ましい。
【0054】なお、これらのアルカリ金属化合物は、1
種単独で使用してもよく、2種以上を併用することもで
きる。
【0055】前記反応(重合反応)の際使用する前記溶
媒としては、少なくとも前記重合反応が円滑に進むもの
であれば特に制限はなく、公知のこの種のポリマーの合
成の際の重合反応において使用又は提案されている多種
多様な溶媒若しくは溶媒系を使用することができる。通
常は、中性極性溶媒あるいはこれを主成分とする混合溶
媒(たとえば、トルエン等の芳香族溶媒等との混合溶媒
など)が好適に使用される。
【0056】前記中性極性溶媒としては、例えば、N−
メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノ
ン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO),
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチル
ホルムアミド(DMF)、ジフェニルスルホン(DP
S)、スルホラン、ベンゾフェノンなどを挙げることが
できるが、これらに限定されるものではない。
【0057】前記重合反応に供する前記二価フェノール
類[IV]の好ましい使用割合は、前記ジハロゲノ芳香
族化合物[III]と該二価フェノール類[IV]との
合計使用量に対してモル比{[IV]/([III]+
[IV])}で、通常、0.47〜0.52の範囲に選
定するのが好ましく、特に、0.495〜0.505の
範囲に選定するのが好ましい。
【0058】前記アルカリ金属化合物の好ましい使用割
合としては、前記二価フェノール類[IV]の使用量に
対する該アルカリ金属化合物の割合が当量比で、通常、
1.0〜2.0、特に、1.05〜1.20の範囲に選
定するのが適当である。ここで、二価フェノール類につ
いては1モルを2当量として計算し、一方、アルカリ金
属化合物については通常通りの計算を行い、例えばアル
カリ金属炭酸塩の場合は1モルを2当量、アルカリ金属
炭酸水素塩及び水酸化物の場合は1モルを1当量として
計算するものとする。
【0059】前記溶媒の好ましい使用割合は、使用する
溶媒の種類や加えられるポリマー[全芳香族ポリエーテ
ル(B)]の種類や量等の他の条件によって異なるので
一律に定めることができないが、中性極性溶媒を使用す
る場合には、使用する重合反応原料の合計モル量{[I
II]+[IV]+ アルカリ金属化合物}の使用する
中性極性溶媒1000ml当たりの割合が、通常、0.
1モル/1000ml〜10モル/1000mlの範囲
になる割合に選定するのが好適である。
【0060】前記重合反応系に加えられるポリマー[全
芳香族ポリエーテル(B)]の割合は、得ようとするポ
リマーの種類や物性(共重合体の共重合組成等)に応じ
て他の反応条件等を考慮して適宜定めればよいのである
が、通常は、得られる共重合体中の原料モノマーに基づ
く繰り返し単位と該全芳香族ポリエーテル(B)に由来
する繰り返し単位との割合が、モル比で、(1/9)〜
(9/1)、特に、(0.15/0.85)〜(0.8
/0.2)の範囲になるように設定するのが好ましい。
【0061】前記反応を行うにあたって、該反応系を構
成するための各成分の混合順序及び混合方式は従来行わ
れるように適宜随意に行うことができ、たとえば、前記
溶媒に反応原料等の各成分を同時に添加してもよいし、
逐次的に添加してもよい。しかし、該重合反応系への前
記全芳香族ポリエーテル(B)を加える時期は、前記し
たように、得ようとする共重合体のブロック構造単位の
シーケンス長が所望の長さになるよう適宜調整すればよ
いのであるが、所定の重合反応原料系を構成し、重合す
る条件になった以後の任意の時間に所定のポリマー[全
芳香族ポリエーテル(B)]を加えて、反応を行うこと
が好ましい。全芳香族ポリエーテル(B)が最初から存
在すると、熱や触媒により分解が生じ、ブロック長を長
くできなくなることがある。
【0062】前記反応は、通常、100〜380℃、好
ましくは、150〜340℃の範囲の温度で好適に行う
ことができる。ここで、100℃未満の温度では、重合
反応及びエーテル交換反応の進行に長時間を要し、一
方、反応温度を380℃より高くすると、生成する重合
物の熱劣化が起こり易くなるなどの問題を生じる。
【0063】なお、前記反応は、終始同一の温度で行っ
てもよいが、反応温度を連続的にあるいは段階的に変化
させるなど反応温度を反応の進行に合わせて適当なモー
ドで変化させる方式も好適に採用される。
【0064】反応時間は、反応温度、温度モード、溶媒
の種類、更には全芳香族ポリエーテル(B)の添加時期
等の他の条件によって異なるので一律に定めることがで
きないが、通常は、1時間〜5時間程度とするのが好ま
しく、又、経済的でもある。なお、前記反応系には、必
要に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、前記各種
の成分以外の他の成分、例えば分岐剤や反応促進剤、あ
るいは他のモノマー成分などを適宜添加若しくは共存さ
せてもよい。
【0065】以上のようにして、原料モノマーに基づく
繰り返し単位と加えられたポリマーである全芳香族ポリ
エーテル(B)に由来する繰り返し単位を有する少なく
とも2種以上の繰り返し単位からなる所望の各種の芳香
族ポリエーテル系共重合体(中でも、特にブロック共重
合体)を温和な条件で、短時間の反応で効率よく合成す
ることができる。
【0066】こうして得られたポリマーは、常法に従っ
て反応生成混合物から分離・回収・精製して所望の精製
度のポリマーとして取得することができる。例えば、ポ
リマーを溶媒等を除去することによって分離回収し、例
えば、メタノールや熱水等による適当な洗浄液による洗
浄を行ったり、また、この洗浄段階で必要に応じて、た
とえばシュウ酸等のアルカリ成分除去剤等による脱塩処
理等を施すなど必要に応じた後処理を施して、更には、
適宜乾燥する方法等が好適に採用される。その際、適
宜、ポリマーを粉砕するなどして洗浄効果を高める方式
も好適に採用することができる。
【0067】このようにして、前記したような各種の共
重合組成を有し、また所望のブロック構造を有する芳香
族ポリエーテル系共重合体を得ることができる。どのよ
うな共重合組成及びブロック構造のポリマーとするのが
よいかという点は、ポリマーの使用目的に応じて異なる
ので一律に定めることができないが、通常、前記したよ
うに、得られる共重合体中の原料モノマーに基づく繰り
返し単位と該全芳香族ポリエーテル(B)に由来する繰
り返し単位との割合が、モル比で、(0.1/0.9)
〜(0.9/0.1)、特に、(0.15/0.85)
〜(0.8/0.2)の範囲にあるポリマーとするのが
効果的である。また、ポリマーの物性やこの方法の利点
の活用という点などから、一般に、ブロックポリマーと
するのがより効果的であり、特に、前記したように、
(b−A)−(b−B)型、(b−A)−(b−B)−
(b−A)型、(b−B)−(b−A)−(b−B)型
等の比較的シーケンス長の長いブロック構造単位を有
し、結晶性を維持するブロックポリマーとすれば更に効
果的である。
【0068】また、製造するポリマーの重合度や分子量
特性、結晶性等の物性についても、使用目的や成形性等
を考慮して適宜選定すればよい。例えば、エンジニアリ
ング樹脂等として利用する場合には高い機械的強度、耐
熱性、耐溶剤性等の厳しい特性が要求されるので、多く
の場合結晶性のものが好適となり、特に上記のような結
晶性のブロックポリマーが好適となるが、この結晶性ポ
リマーについては、ポリマーの融点よりも30℃高い温
度において試験荷重5kgの条件で測定したメルトフロ
ーレート(MFR)が、通常、0.01〜500g/1
0分の範囲にあるものが好ましい。
【0069】本発明の方法によると、このような結晶性
のブロックポリマー等の共重合体を容易に得ることがで
き、それらのうちの多くのものは、前記したように、機
械的強度、耐熱性、耐溶剤性等に著しく優れており、結
晶性でありながら十分に高いガラス転移温度を有し、特
に、高温でも高い機械的強度を保持するといった極めて
優れた特性を有している。本発明の方法によると、この
ように特に優れたブロックポリマーとして、各種のもの
を製造することができるが、そのようなブロックポリマ
ーの例として、例えば、前記の一般式[I]で表される
繰り返し単位(U−I)と一般式[II]で表される繰
り返し単位(U−II)からなり、かつ、(U−I)と
(U−II)がそれぞれブロック構造単位を構成してブ
ロック共重合体である前記ポリシアノアリールエーテル
系全芳香族ブロック共重合体(すなわち、本発明のポリ
マー)を挙げることができる。
【0070】以上詳細に説明してきたように、本発明の
方法によると、このように優れた特性を有する各種の芳
香族ポリエーテル系共重合体、特に、そのブロック共重
合体を、既成の市販のポリマーと所定のモノマーからの
重合反応を行うという極めて簡単な操作で効率よく製造
することができる。なお、こうして得られたポリマー中
には、反応条件等によっては、原料モノマーの縮重合反
応生成物である全芳香族ポリエーテル(A)や未反応分
の全芳香族ポリエーテル(B)が一部含有する場合もあ
るが、このようなポリマーも本発明の方法による製品と
して有効に利用することができる。
【0071】次に、本発明のポリマーとして提案する前
記ポリシアノアリールエーテル系全芳香族ブロック共重
合体について詳細に説明する。このブロック共重合体
は、少なくとも前記一般式[I]で表される繰り返し単
位(U−I)と前記一般式[II]で表される繰り返し
単位(U−II)とからなり、これらの繰り返し単位の
含有割合が、モル比(U−I)/(U−II)で表すと
(0.1/0.9)〜(0.9/0.1)、好ましく
は、(0.15/0.85)〜(0.8/0.2)の範
囲にあり、しかも、少なくとも、繰り返し単位(U−
I)が2単位以上連結したブロック構造単位[(U−
I)a ](ただし、aは2以上の整数を示す。)と繰り
返し単位(U−II)が2単位以上連結したブロック構
造単位[(U−II)b ](ただし、bは2以上の整数
を示す。)とが結合したブロック構造[−(U−I)a
− −(U−II)b −]を有するブロック共重合体で
あることが重要である。更に、ポリマー融点よりも30
℃高い温度において試験荷重5kgの条件で測定したメ
ルトフローレート[MFR]が0.01〜500g/1
0分の範囲にあることも重要である。このような、組成
及びMFR値を有するものが、前記の説明同様に、特
に、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性等に優れ、しかも、
結晶性の場合でも十分に高いガラス転移温度を有するな
どの優れた特性を示し、高性能のエンジニアリング樹脂
として特に好適であるからである。また、ブロック構造
としても、前記した各種のものとすることができ[ただ
し、この場合は、前記の説明において、(U−A)及び
(U−B)を、それぞれ、(U−I)及び(U−II)
に置き換えたのもの、あるいは、逆に、(U−II)と
(U−I)に置き換えたものとなる。以下同様。]、中
でも特に、前記同様に、ブロック構造が、(b−A)−
(b−B)型、(b−A)−(b−B)−(b−A)
型、(b−B)−(b−A)−(b−B)型等の比較的
シーケンス長が長いブロック構造単位からなるものであ
って、更には結晶性を有するものが好ましい。
【0072】この本発明のポリマーである前記ポリシア
ノアリールエーテル系全芳香族ブロック共重合体は、前
記したように本発明の方法によって特に好適に製造する
ことができるが、その製造方法としては、該本発明の方
法に限定されるものではなく、他の一般の方法(例え
ば、従来のポリマー同士の反応やモノマー同士の反応、
異なるモノマー種の逐次的ブロック重合法など)によっ
て製造したものもこの本発明のポリマーとみなされる。
【0073】なお、このポリシアノアリールエーテル系
全芳香族ブロック共重合体を前記本発明の方法によって
製造する場合、その繰り返し単位(U−I)及びそのブ
ロック構造単位[(U−I)a ]を原料モノマーから形
成させてもよいし、あるいは添加ポリマーである全芳香
族ポリエーテル(B)から誘導してもよい。
【0074】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその参考例を示
し、これらによって本発明をより具体的に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】実施例1 攪拌装置、アルゴンガス吹込管及びトルエンを満たした
ディーンスタルクトラップを備えた1.5リットルのセ
パラブルフラスコに、2,6−ジクロルベンゾニトリル
115.25g、レゾルシン73.04g、炭酸カリウ
ム100.84g、N−メチルピロリドン1リットルを
投入する。アルゴンガス気流下、180℃に昇温後ここ
にポリサルフォン(AMOCO社製、商品名:Udel
60℃、p−クロルフェノールを溶媒とする濃度0.
2g/dl溶液の還元粘度(ηsp/c)が0.6dl/
gのもの)93gを加え、次いで200℃に昇温後3時
間、反応を行った。この後、内容物を大量の水に投入
し、重合物を析出させ回収した。回収物をブレンダーに
より粉砕した後、水、メタノールで洗浄し減圧乾燥して
重合物を得た。収量223g(収率96%)であった。
【0076】得られたポリマーはp−クロルフェノール
を溶媒とする濃度0.2g/dlの溶液の60℃におけ
る還元粘度(ηsp/c)が1.20dl/gのものであ
った。またこのものの熱分析を行ったところガラス転移
温度(Tg)が、150℃、175℃と二つ検出され、
また融点(Tm)は331℃であった。また、赤外分
析、元素分析の結果より得られたポリマーは、下記の繰
り返し単位及び組成からなることを確認した。
【0077】
【化17】 また、このもののメルトフローレート(融点+30℃、
試験荷重5kg)を測定したところ、11g/10分で
あった。メルトフローレート[MFR]はJIS K7
210に準じて測定した。
【0078】実施例2 攪拌装置、アルゴンガス吹込管及びトルエンを満たした
ディーンスタルクトラップを備えた1.5リットルのセ
パラブルフラスコに、2,6−ジクロルベンゾニトリル
115.25g、レゾルシン73.04g、炭酸カリウ
ム100.84g、N−メチルピロリドン1リットルを
投入し、200℃で1時間反応を行った。この後、実施
例1で用いたものと同じポリサルフォン93gを加え
て、更に反応を2時間続けた。反応終了後、内容物を大
量の水に投入し、重合物を析出させ、回収した。回収物
をブレンダーにて粉砕した後、水、メタノールで洗浄
し、減圧乾燥して重合物を得た。収量219g(収率9
0%)であった。
【0079】得られたポリマーはp−クロルフェノール
を溶媒とする濃度0.2g/dlの溶液の60℃におけ
る還元粘度(ηsp/c)が1.05dl/gのものであ
った。またこのものの熱分析を行ったところ、ガラス転
移温度(Tg)が、147℃、180℃と二つ検出さ
れ、また融点(Tm)は333℃であった。また、赤外
分析、元素分析の結果より得られたポリマーは、下記の
繰り返し単位及び組成からなることを確認した。
【0080】
【化18】 また、このもののメルトフローレートを実施例1と同様
に測定したところ、13g/10分であった。
【0081】実施例3 攪拌装置、アルゴンガス吹込管及びトルエンを満たした
ディーンスタルクトラップを備えた1.5lのセパラブ
ルフラスコに、2,6−ジクロルベンゾニトリル11
5.25g、レゾルシン73.04g、炭酸カリウム1
00.84g、N−メチルピロリドン1.2リットルを
投入する。アルゴンガス気流下、180℃に昇温後、ポ
リサルフォン(AMOCO社製、商品名:Udel 6
0℃、p−クロルフェノールを溶媒とする濃度0.2g
/dl溶液の還元粘度(ηsp/c)が0.6dl/gの
もの)327gを加えた。次いで200℃に昇温後、3
時間、反応を行った。この後、内容物を大量の水に投入
し、重合物を析出させ回収した。回収物をブレンダーに
て粉砕した後、水、メタノールで洗浄し、減圧乾燥して
重合物を得た。収量430g(収率92%)であった。
【0082】得られたポリマーはp−クロルフェノール
を溶媒とする濃度0.2g/dlの溶液の60℃におけ
る還元粘度(ηsp/c)が1.02dl/gのものであ
った。またこのものの熱分析を行ったところ、ガラス転
移温度(Tg)が、149℃、174℃と二つ検出さ
れ、また融点(Tm)は326℃であった。また、赤外
分析、元素分析の結果より得られたポリマーは、下記の
繰り返し単位及び組成からなることを確認した。
【0083】
【化19】 また、このもののメルトフローレートを実施例1と同様
に測定したところ、11g/10分であった。
【0084】参考例1 実施例1〜3で得られたポリマーがコポリマーであり単
なるブレンドではないことを示すために、以下の実験を
行った。
【0085】2,6−ジクロルベンゾニトリルとレゾル
シンからなるポリシアノアリルエーテル60g(p−ク
ロルフェノール溶液中、60℃、濃度0.2g/dlの
溶液での還元粘度(ηsp/c)が1.22dl/gのも
の)と実施例で用いたポリサルフォン40gを、実施例
で用いたものと同様の反応装置に投入した。ここにN−
メチルピロリドン500mlを加え、アルゴン気流下、
200℃で5時間攪拌した。この後、内容物を大量の水
に投入し、重合物を析出させ、回収した。回収物をブレ
ンダーにて粉砕した後、水、メタノールで洗浄し、減圧
乾燥した。収量95g(収率95%)であった。このも
のの熱分析を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)が
147℃、189℃と二つ検出され、また融点(Tm)
は335℃であり、これらのガラス転移温度及び融点は
それぞれポリシアノアリールエーテル、ポリサルフォン
単体の値と一致した。またこのものを350℃にてプレ
ス成形機によりフィルムを作製し、透過電子顕微鏡観察
を行ったところ、1μm前後のポリサルフォン粒子がポ
リシアノアリールエーテル中に分散した、いわゆる海−
島構造が観測された。この透過電子顕微鏡観察と先の熱
分析結果より、参考例1では、ポリシアノアリールエー
テルとポリサルフォンとの単純ブレンド品が得られたと
結論した。
【0086】一方、実施例1〜3で得られた重合物を上
記と同様の手順により透過電子顕微鏡観測を行ったとこ
ろ、すべてのサンプルにおいて明確な構造が観察され
ず、明らかに単純ブレンドとは異なる様相を呈してい
た。しかも、これらのものは全て二つのガラス転移温度
を持つことから、実施例1〜3で得られた重合体はブロ
ック共重合体であると結論した。
【0087】
【発明の効果】本発明の方法によると、従来法では製造
が困難であったり、あるいは製造できたとしても製造工
程や合成時間が長かったり、高温反応を要しポリマーの
劣化等の種々の製造上の問題点があった各種の芳香族ポ
リエーテル系共重合体、特にブロック共重合体を、目的
とする共重合体の一方の繰り返し単位あるいはブロック
構造単位の成分となるモノマーを原料としてポリエーテ
ルへの重合反応を行う際に、その重合反応系に、もう一
方の繰り返し単位若しくはブロック構造単位の成分とな
る別の種類の全芳香族ポリエーテルを加えて反応を行う
という極めて簡便な操作によって効率よく(すなわち、
温和な条件で短時間に収率よく)得ることができる。す
なわち、ポリエーテルの製造時に、市販のポリエーテル
を加えることによって、市販のポリエーテルと任意の組
成で共重合体を得ることができ、ポリエーテルの改質が
目的に応じて容易に実施できるという大きな効果があ
る。また、ポリマーの物性面から見ると、本発明の方法
によると、機械的強度、耐熱性、耐薬品性等に優れた各
種の共重合体を得ることができ、中でもこれらの特性に
より一層優れるともに、ガラス転移温度が十分に高く、
高温でも高い機械的強度を保持するなどエンジニアリン
グ樹脂としての特性に著しく優れた結晶性を有するブロ
ック共重合体(例えば、ポリシアノアリールエーテル系
全芳香族ブロック共重合体)を容易に得ることができ
る。
【0088】すなわち、本発明によると、上記の優れた
特性有する各種の芳香族ポリエーテル系共重合体、中で
も特にブロック共重合体を極めて簡便に効率よくしかも
共重合組成、ブロック長さを制御して製造することがで
きる実用上著しく有利な芳香族ポリエーテル系共重合体
の製造方法を提供することができる。
【0089】また、本発明によると、上記の優れた特性
を有するブロック共重合体の中でも特に性能が優れた新
規なポリマー(エンジニアリング樹脂)であるポリシア
ノアリールエーテル系全芳香族ブロック共重合体を提供
することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮重合反応によって全芳香族ポリエーテ
    ルに転化可能な原料モノマーを重縮合させる際に、この
    原料モノマーを縮重合反応させて得られる全芳香族ポリ
    エーテル(A)とは異なる種類の全芳香族ポリエーテル
    (B)を加えて重縮合反応を行い、エーテル交換反応に
    より、前記原料モノマーに基づく繰り返し単位と前記全
    芳香族ポリエーテル(B)に由来する繰り返し単位から
    なる共重合体を合成することを特徴とする芳香族ポリエ
    ーテル系共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 全芳香族ポリエーテル(B)が、隣接す
    る繰り返し単位を連結するジアリールエーテル構造の少
    なくとも一方のアリーレン基に、該エーテル結合に対し
    てオルト位又はパラ位に電子吸引性基が結合又は置換し
    ている構造を有するものである請求項1記載の芳香族ポ
    リエーテル系共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 全芳香族ポリエーテル(B)の添加を、
    前記原料モノマーの重縮合反応が進行している条件下で
    行う請求項1又は2記載の芳香族ポリエーテル系共重合
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 次の一般式[I] 【化1】 [ただし、式[I]中のAr1は 【化2】 (ただし、式中のQは、炭素数1〜13のアルキレン
    基、炭素数6〜13のアリーレン基、−O−、−S−又
    は−SO2−を表す。)を表す。]で表される繰り返し
    単位(U−I)と次の一般式[II] 【化3】 (ただし、式[II]中のAr2は前記Ar1と同じ意味
    を表し、Ar3は 【化4】 を表し、Rは、炭素数1〜13のアルキル基又は炭素数
    6〜13のアリール基を表し、但し、Ar1とAr2とは
    同種であっても異種であってもよく、Ar2とAr3とは
    同種であることはない。)で表され、繰り返し単位(U
    −I)とは異なる繰り返し単位(U−II)からなり、
    かつ、これら繰り返し単位(U−I)と繰り返し単位
    (U−II)の合計含有量に対する該繰り返し単位(U
    −I)の割合がモル比{(U−I)/[(U−I)+
    (U−II)]}で0.10〜0.90の範囲にあり、
    しかも、少なくとも、繰り返し単位(U−I)が2単位
    以上連結したブロック構造単位[(U−I)a ](但
    し、aは2以上の整数を示す。)と繰り返し単位(U−
    II)が2単位以上連結したブロック構造単位[(U−
    II)b ](ただし、bは2以上の整数を示す。)とが
    結合したブロック構造[−(U−I)a − −(U−I
    I)b-]を有するブロック共重合体であって、更に、ポ
    リマー融点よりも30℃高い温度において試験荷重5k
    gの条件で測定したメルトフローレート[MFR]が
    0.01〜500g/10分の範囲にあることを特徴と
    するポリシアノアリールエーテル系全芳香族ブロック共
    重合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004244437A (ja) * 2003-02-10 2004-09-02 Toyobo Co Ltd スルホン化芳香族ポリエーテル系化合物、その複合体、およびそれらの製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244437A (ja) * 2003-02-10 2004-09-02 Toyobo Co Ltd スルホン化芳香族ポリエーテル系化合物、その複合体、およびそれらの製造方法。
JP4590824B2 (ja) * 2003-02-10 2010-12-01 東洋紡績株式会社 スルホン化芳香族ポリエーテル系化合物、その複合体、およびそれらの製造方法。

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