JPH06205633A - 燻蒸薬剤の加熱容器 - Google Patents

燻蒸薬剤の加熱容器

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JPH06205633A
JPH06205633A JP4356472A JP35647292A JPH06205633A JP H06205633 A JPH06205633 A JP H06205633A JP 4356472 A JP4356472 A JP 4356472A JP 35647292 A JP35647292 A JP 35647292A JP H06205633 A JPH06205633 A JP H06205633A
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JP
Japan
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container
fumigant
heating
exothermic agent
heat
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Withdrawn
Application number
JP4356472A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Kodama
順一 児玉
Takanobu Kashiwabara
孝信 柏原
Katsuhiro Sugawara
勝広 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Seiki Co Ltd
Nippon Steel Corp
Earth Corp
Original Assignee
Earth Chemical Co Ltd
Nitto Seiki Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有効成分を含む燻蒸薬剤を高エネルギーを有
する自己燃焼性発熱剤を使用し、安全かつ有効に蒸散す
る容器を提供する。 【構成】 少なくとも有機発泡剤と有効成分を含む燻蒸
薬剤を間接加熱する容器において、燻蒸薬剤を収納した
薬剤収納容器を上下端が開口している容器の上端内部に
設置し、下端内部に発熱剤収納容器を設置し、該発熱剤
収納容器内に自己燃焼性発熱剤層が未反応物質層と断熱
材の間に形成された三層が収納された燻蒸薬剤の加熱容
器。 【効果】 本発明の加熱容器により燻蒸薬剤の加熱温度
の制御が可能となり、従来の容器に比べ約45%の軽量
化ができ、品質の劣化が少なく、安全かつ簡便に操作が
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燻蒸用薬剤を短時間に集
中的に燻蒸させ、部屋等その他の限定空間内を薬剤処理
を行う為の燻蒸薬剤の加熱容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、加熱により熱分解し、主として窒
素ガスを発生する有機発泡剤と有効成分の混合した燻蒸
薬剤を間接加熱して限定空間を薬剤処理する場合の燻蒸
薬剤加熱用熱源としては特公昭58―42841号公
報、特公昭61―33002号公報および特開昭55―
114251号公報に記載されているように塩化マグネ
シウム、塩化アルミニウム等のように水を加えると発熱
反応する物質、ニクロム線等の電熱線、半導体ヒーター
による通電加熱する電気的方法、鉄粉と塩素酸アンモニ
ウム等の酸化剤の混合物、鉄と硫酸カリウム、硫化鉄、
金属塩化物、硫酸鉄等の1種を水および酸素と接触させ
る酸化反応により発熱する金属もしくは金属化合物と助
剤等との組合せ、硫化ソーダと炭化鉄との混合物を酸素
と接触させる金属硫化物の酸化反応を利用する方法が提
案されている。
【0003】更に水酸化カルシウムの水和反応を利用し
加熱する商品が発売されている(商品名:アースレッド
W アース製薬社製)。
【0004】一方、水和反応や酸化反応に比べ多くの熱
量を発生できる熱源として実開昭62―146427号
公報に、酸化鉄、酸化銅の酸化物と珪素、珪素合金およ
び銅粉末の金属粉の混合物からなる発熱体が、特開平1
―288218公報に酸化鉄、酸化銅の粉末と珪素と鉄
の合金粉末を発熱部とし、アルミニウム、ほう素の粉末
に酸化銅、過酸化バリウム、過酸化ストロンチウムの1
種類以上を混合した着火部を発熱部に接して設けた発熱
体が提案されている。
【0005】これらの発熱剤を利用した加熱容器は特開
昭63―152572号公報、特開平2―49612号
公報に示されているように被加熱物収納容器の底に、内
部に突出した発熱剤収納室を有し、該収納室に自己燃焼
性発熱剤を設けた主な加熱対象物を液体とした発熱機能
付き容器がある。
【0006】そして自己燃焼性発熱剤の加熱温度の調整
方法としては自己燃焼性発熱剤に不活性物質を配合し、
燃焼温度を低下する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の酸化お
よび水酸化反応による加熱源の発熱素材は単位重量当り
の発熱量が小さく、薬剤の有効成分を蒸散させるために
必要な熱量を得るには発熱剤の重量が大きくなり、既に
商品化されている酸化カルシウムの場合は燻蒸薬剤20
gを加熱するのに65gも収納しており大型の収納容器
が必要であった。
【0008】さらに水酸化および酸化反応で発熱する発
熱剤は空気中の水分、あるいは酸素と直接反応して発熱
するために製造後の流通過程での事前の反応を防止する
ために発熱剤が外気と接触するのを遮断する必要があ
り、アルミニウムコーティングされたバリヤ性の高いフ
ィルム等により厳重にシールを行い、品質の劣化を防止
している。
【0009】このために包装や流通の管理等に多大の労
力やコストをかけなければならなかった。
【0010】そして、使用に際して、水酸化反応により
反応を開始し発熱させるために水を必要とする水和反応
を利用する場合は、薬剤収納容器に水を保持するための
構造を持たすか、あるいは別に付属容器と水を準備する
必要があると同時に、操作が煩雑になり、発熱の為の操
作性あるいは容器コストの面から考慮しても必ずしも十
分な方法であるとはいえなかった。
【0011】一方、自己燃焼性発熱剤を熱源とする加熱
容器は、自己燃焼性発熱剤燃焼時に高エネルギーが得ら
れ、従来の発熱剤に比べ発熱剤の収納体積を小さくで
き、加熱容器を小型にできるが、発熱剤燃焼時の温度が
1000℃以上に達するために、従来より提案されてい
る容器構造では自己燃焼性発熱剤を燻蒸薬剤の加熱源と
して用いえない。
【0012】つまり自己燃焼性発熱剤を燻蒸薬剤の加熱
源とした場合は発熱剤により直接加熱され、薬剤収納容
器と接触している部分は高温になるが、発熱剤下層の断
熱部分は温度上昇せずに不均一な加熱となり、高温部分
により加熱された燻蒸薬剤は有効成分が分解し、低温部
分では有機発泡剤が十分に加熱されずに該燻蒸薬剤の有
効成分が容器内に残存するという問題点があり、燻蒸薬
剤の加熱容器としては使用できないものであった。
【0013】更に自己燃焼性発熱剤の燃焼特性から10
00℃以下の温度になると反応の伝播が中断し、自己燃
焼性発熱剤が未反応となるため発熱原料に添加する不活
性物質の配合比の限界があり、本発明者らの実験によれ
ば酸化鉄粉と金属シリコンの発熱剤の場合、不活性物質
の混合の限界は20〜30%で、あまり大きな温度制御
性は得られなかった。
【0014】従って不活性物質を自己燃焼性発熱剤に混
合添加しても燻蒸薬剤の加熱を効率よく行う温度範囲ま
での温度制御性は得られず、発熱剤そのものの温度制御
性が小さいために燻蒸薬剤の有効成分の目的温度範囲に
制御する手段としては適用できないものであった。
【0015】そこで、本発明者らは上記問題点に鑑み、
高発熱量を有する自己燃焼性発熱剤を加熱源として使用
し、より少ない重量で効率よく、小型の容器で、燻蒸薬
剤を均一に加熱できその折に有効成分の分解および残存
を防止し、ワンタッチ操作で、かつ薬剤成分を蒸散させ
ることができ、そして品質変化が少ない燻蒸薬剤の加熱
容器を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は燻蒸薬剤の加
熱容器について種々実験を重ねた結果本発明を完成させ
たものであり、その要旨とするところは少なくとも有機
発泡剤と有効成分を含む燻蒸薬剤を間接加熱する容器に
おいて、燻蒸薬剤を収納した薬剤収納容器を上下端が開
口している容器の上端内部に設置し、下端内部に発熱剤
収納容器を設置し、該発熱剤収納容器内に自己燃焼性発
熱剤層が未反応物質層と断熱材の間に形成された三層が
収納されたことを特徴とした燻蒸薬剤の加熱容器であ
る。
【0017】本発明の燻蒸薬剤の有効成分としては従来
より害虫駆除剤(殺虫剤)、殺ダニ剤、殺菌剤、忌避
剤、芳香剤、香料(香水、ハーブ)、医薬品(メントー
ル、ユーカリオイル等)等の目的で使用されている各種
の薬剤を使用できる。代表的な有効成分としては次のも
のが挙げられる。
【0018】(I)殺虫剤 (1)ピレスロイド系殺虫剤として dl―3―アリル―2メチルシクロペンタ―2エン―4
オン―1―イル dlシス/トランス―クリサンテマー
ト(一般名アレスリン:商品名ピナミン:住友化学工業
株式会社製)
【0019】dl―3―アリル―2メチルシクロペンタ
―2エン―4オン―1―イル d―シス/トランス―ク
リサンテマート(商品名ピナミンフォルテ:住友化学工
業株式会社製)
【0020】d―3―アリル―2メチルシクロペンタ―
2エン―4オン―1―イル d―シス/トランス―クリ
サンテマート(商品名エキスリン:住友化学工業株式会
社製)
【0021】dl―3―アリル―2メチルシクロペンタ
―2エン―4オン―1―イル d―トランス―クリサン
テマート(一般名バイオアレスリン)
【0022】d―3―アリル―2メチルシクロペンタ―
2エン―4オン―1―イル d―トランス―クリサンテ
マート(一般名エスビオール)
【0023】N―(3・4・5・6―テトラヒドロフタ
リミド)―メチル dlシス/トランス―クリサンテマ
ート(一般名フタルスリン:商品名、ネオピナミン:住
友化学工業株式会社製)
【0024】5―ベンジル―3―フリルメチル d―シ
ス/トランスークリサンテマート(一般名レスメトリ
ン:商品名クリスロンフォルテ住友化学工業株式会社
製)
【0025】5―(2―プロパギル)―3―フリルメチ
ル d―シス/トランス―クリサンテマート(一般名フ
ラメトリン)
【0026】3―フェノキシベンジル 2・2―ジメチ
ル―3―(2’・2’―ジクロロ)ビニルシクロプロパ
ンカルボキシレート(一般名ペルメトリン:商品名エク
スミン住友化学工業株式会社製)
【0027】3―フェノキシベンジル d―シス/トラ
ンス―クリサンテマート(一般名フェノトリン:商品名
スミスリン、住友化学工業株式会社製)
【0028】α―シアノフェノキシベンジル イソプロ
ピル―4―クロロフェニルアセテート(一般名フェンバ
レレート:商品名スミサイジン、住友化学工業株式会社
製)
【0029】α―シアノ―3―フェノキシベンジル 2
・2 3・3テトラメチルシクロプロパンカルボキシレ
ート(一般名フェンプロパトリン)
【0030】α―シアノ―3―フェノキシベンジル d
―シス/トランス―クリサンテマート(サイフェノトリ
ン)
【0031】(+)1R―トランス―2.2―ジメチル
―3―(2.2―ジクロロビニル)―シクロプロパンカ
ルボン酸2.3,5,6―テトラフルオロベンジル
【0032】2―(パラ―エトキシフェニル)―2―メ
チルプロピル 3―フェノキシベンジルエーテル(一般
名エトフェンプロックス)
【0033】(2)有機リン系殺虫剤 O・O―ジメチル O―(2・2―ジクロロ) ビニル
ホスフェート(DDVP)
【0034】O・O―ジメチル O―(3―メチル―4
―ニトロフェニル) チオノフォスフェート(スミチオ
ン)
【0035】O・O―ジエチル O―2―イソプロピル
―4―メチル―ピリミジル―(6)―チオフォスフェー
ト(ダイアジオン)
【0036】O・O―ジメチル S―(1・2―ジカル
ボエトキシエチル)―ジオチオフォスフェート(マラソ
ン)
【0037】(3)カーバメート系殺虫剤 O―イソプロポキシフェニル メチルカーバメート(一
般名バイゴン)
【0038】クロルピクリン
【0039】5―メトキシ―3―(O―メトキシフェニ
ル)―1.3.4―オキサジアゾール―2(3H)オン
(一般名メトキサジアゾン)がある。
【0040】さらに殺菌剤としては例えば硫黄、N―
(ジクロルフルオルメチルチオ)―N,,N,―ジメチ
ル―N―フェニルスルファミド(一般名ジクロフルアニ
ド)
【0041】テトラクロルイソフタロニトリル,
【0042】3―(3.5―ジクロルフェニル)―N―
イソプロピル―2,4―ジオキソイミダゾリジン―1―
カルボキサミド(一般名イプロジオン)
【0043】3―(3.5―ジクロルフェニル)―5メ
チル―5―ビニル―2,4―オキサゾリジンジオン(一
般名ビンクロゾリン)
【0044】N―(3.5―ジクロルフェニル)―1,
2―ジメチルシクロプロパン―1,2―ジカルボキシミ
ド(一般名プロシミド)
【0045】1―(4―クロロフェノキシ)―3,3―
ジメチル―1―(1,2,4―トリアゾール―1―イ
ル)―2―ブタノン(一般名トリアジメホン)
【0046】2,4―ジクロル―6―(オルソクロルア
ニリ1)―1,3,5―トリアジン(一般名アニラジ
ン)等がある。
【0047】さらに燻蒸薬剤には上記殺虫成分に通常用
いられている効力増強剤、蒸散率向上剤、消臭剤、香料
等の各種添加剤を任意に添加することができる。
【0048】例えば、効力増強剤としてはピペロニルブ
トキサイド、N―プロピルイゾーム、MGK―264、
サイネピリン222、サイネピリン500、リーセン3
84、IBTA、S―421等が、蒸散率向上剤として
はフェネチルイソシアネート、ハイミックス酸ジメチル
等が、消臭剤としてはラウリル酸メタクリレート(LM
A)等が香料としてはシトラール、シトロネラール等が
使用可能である。
【0049】本発明における有機発泡剤としては加熱さ
れることにより熱分解し、主として窒素からなるガスを
発生する通常の各種有機発泡剤がいずれも使用できる。
【0050】好ましくは300℃以下の発泡温度を有す
るものがよく、代表的な有機発泡剤を第1表に示す。
【0051】第1表に示した有機発泡剤はこれらに通常
添加される発泡温度低下のための添加剤を添加したもの
が使用可能で例えば「Dyphos」(ナショナル リ
ード社製)「Tribase」(ナショナル リード社
製)「OF―14」(アデカアーガス社製)「OF―1
5」(アデカアーガス社製)「KV―68A―1」(共
同薬品社製)「Mark―553」(アデカケミ社製)
「Sicostab60」および「Sicostab
61」(シーグレ社製)等やCdステアレート、Ca―
ステアレート、Zn―ステアレート、Zn―オクテー
ト、ZnO、Sn―マレート、ZnCO3、尿素、クロ
ムエロー、カーボンブラック等がある。
【0052】有機発泡剤と有効成分の混合割合は得られ
る有効成分の所望の有効蒸散量等により適宜選択でき
る。
【0053】例えば有効成分が殺虫剤の場合、殺虫剤に
対し有機発泡剤を0.5重量%〜30重量%、好ましく
は1重量%〜20重量%としたものを使用できる。
【0054】更に、有効成分および有機発泡剤の混合形
態は特に制限されず、顆粒状、塊状、ペレット状、ペー
スト状等としたり熱溶融性の樹脂袋に混合封入する等の
形態のものが使用できる。そしてこれら各混合形態に応
じて各種バインダー、溶剤等も添加できる。
【0055】本発明における自己燃焼性発熱剤(以下発
熱剤という)の原料成分や配合比率は特に限定されない
が400cal/g以上の発熱量を有するものが好まし
い。
【0056】例えば酸化鉄、酸化銅等の酸化物の粉末と
珪素および珪素と鉄の合金等の金属粉末を混合したもの
等が使用できる。
【0057】発熱剤は配合原料素材の酸化、還元反応に
より発熱するもので、反応時間は10〜20秒と非常に
短く、発熱時の最高温度は1000℃〜1500℃にま
で達するものである。
【0058】一方発熱剤の重量を変えることによって燻
蒸薬剤の加熱温度を調整することができるが、該発熱剤
の使用量が少ない場合は加熱温度は一定に制御できても
急速に温度が低下し、有効成分の蒸散率が低下する。
【0059】これに対して発熱剤重量が多い場合は効率
よく有効成分が蒸散する。従って燻蒸薬剤の加熱容器を
小さくするには発熱剤の使用量を薬剤の蒸散が効率よく
有効に行われる範囲の下限重量に設定することが好まし
い。
【0060】本発明における燻蒸薬剤は発熱剤の発熱に
よる燻蒸される。これは発熱剤の燃焼による発熱により
燻蒸薬剤が加熱され、燻蒸薬剤中の有機発泡剤が分解し
主に窒素等からなるガスを発生し、該ガスが薬剤収納容
器の外部に排出されることによる。
【0061】この時、燻蒸薬剤中の有効成分も該ガスと
共に薬剤収納容器の外部に排出し、有効成分にて処理で
きる。
【0062】しかし、燻蒸薬剤の加熱温度が低い場合は
有機発泡剤が十分に分解せず、有効成分が容器内に残存
する。
【0063】従って薬剤の有効成分を有効に効率よく蒸
散させるためには少なくとも有機発泡剤の分解温度より
も50℃以上高い温度に加熱することが必要で、好まし
くは100℃以上高い温度に加熱することにより有効成
分の容器内への残存率を大幅に低下することができる。
【0064】一方、高温で加熱するほど有機発泡剤の分
解速度は速くなり、有効成分の蒸散効率は向上するが、
加熱温度が高すぎると有効成分が熱分解して有効成分の
効果が低下する。
【0065】従って加熱温度は有効成分の熱分解温度よ
り低く設定する必要があり、少なくとも50℃以下に低
くすることにより有効成分の分解を防止して効率よく蒸
散させることができるようになる。
【0066】前記の特性を有する燻蒸薬剤を従来提案さ
れている構造の容器で、発熱剤を用いて加熱した場合
は、最高温度が800℃以上、最低温度が200℃程度
であり、高温部分では有効成分は分解し、低温部分では
残存する。
【0067】これに対して本発明は薬剤収納容器と発熱
剤の間に未反応物質層を設けて燻蒸薬剤の加熱温度を制
御することにより最も効率よく燻蒸薬剤の有効成分の蒸
散を行わせることができるようにしたものである。
【0068】そして、薬剤収納容器に収納された燻蒸薬
剤を均一に加熱すためには薬剤収納容器及び発熱剤収納
容器の材質を熱伝導性の優れた材質、例えばぶりきやテ
インフリーの鋼材が使用でき、より好ましくはアルミニ
ウム、銅等の材料で製造することにより発熱剤による熱
を効率良く蒸散に用いうる。
【0069】本発明における発熱剤収納容器内の発熱剤
と薬剤収納容器の間に設けられる未反応物質としては発
熱剤が発生する高温でも燃焼、ガス化あるいは化学反応
等により構造変化を起こさない、例えば酸化珪素、酸化
アルミニウム等の無機系粉末、およびこれらの原料を発
熱剤収納容器内に収納可能なように成形した素材あるい
は個体を機械加工等により製造した材料が用いうる。
【0070】未反応物質層は発熱剤が反応し、短時間で
高温を発生する熱を一時吸収、蓄熱した後に薬剤収納容
器内の燻蒸薬剤に伝える機能を有し、見かけ上伝熱速度
を低減させることができるものである。この結果、容易
に燻蒸薬剤の加熱温度の制御を可能にする。
【0071】そして未反応物質断熱層の厚さ、重量を変
えることにより熱吸収、蓄熱量および伝熱速度を制御
し、目的の温度範囲に加熱温度を調整可能なようにした
ものである。
【0072】更に未反応物質層の熱伝導度や重量を変え
ることにより燻蒸薬剤の加熱速度の調整も可能となり、
発熱剤の着火後、燻蒸薬剤が蒸散を開始するまでの時間
の調整も可能となる。
【0073】例えば熱伝導度の小さい材料を未反応物質
層として使用した場合あるいは吸熱材の重量を増すか、
厚さを増した場合には燻蒸薬剤の加熱温度を一定に制御
したとしても最高温度に達するまでの時間は長くなり発
熱剤の発熱が開始してから燻蒸薬剤が蒸散を開始するま
での時間は長くなる。
【0074】本発明における断熱材は、主に発熱剤の下
層に設置され、発熱剤が発生する高温でも燃焼、ガス化
あるいは化学反応等により構造変化を起こさず、かつ熱
伝導性が低い、例えば多孔質なゼオライト、パーライト
等の鉱物の粉末やこれらの素材を容易に収納可能なよう
に成形加工した材料やセラミックファイバー、ロックウ
ール、ガラスウール等の繊維状材料が用いうる。
【0075】断熱材は発熱剤が反応し、短時間に高温に
発生する熱を発熱剤収納容器下部への伝熱量を減少させ
る作用を有するものであり、この結果、容器の下部は温
度が低くすることができ、本発明の燻蒸薬剤の加熱容器
の処理場所への設置を容易にする。
【0076】また、さらに発熱剤による発生した熱が効
率よく有効成分の蒸散に使用されるためには発熱剤の熱
が外部に伝わることなく未反応物質層を通じて燻蒸薬剤
の加熱源として使用され、かつ燻蒸薬剤を均一に加熱す
る加熱形態が好ましい。
【0077】このために大気中への熱のロスを小さくす
るためには発熱剤収納容器の外壁と該容器を内部に収納
している外容器の間に断熱層、例えば空気層や、セラミ
ックファイバー、ロックウール、ガラスウール等の繊維
層を形成したり、外容器の表面に断熱材を張り付けるあ
るいは外容器の材質に熱伝導度の小さい例えば紙のコン
ポジットやセラミクス、耐熱樹脂材料等を使用すること
によっても可能となる。
【0078】そして、外容器の表面に断熱材の張り付け
あるいは外容器の材質に熱伝導度の小さい材料を使用す
ることは、外部に熱が伝わりにくいことから、燻蒸薬剤
の加熱容器の温度をも低下することができ、処理場所へ
の設置を容易にするとともに安全に操作することができ
る。
【0079】
【作用】本発明は自己燃焼性発熱剤と薬剤収納容器の間
に未反応物質層を設けることにより燻蒸薬剤の加熱温度
の調整を可能とし、従来の加熱容器構造では成し得なか
った高温に達する自己燃焼性発熱剤を、燻蒸薬剤の加熱
源に使用し、該薬剤の有効成分を最も効率よく蒸散し、
かつ安全に使用できる加熱容器である。
【0080】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。
【0081】
【実施例1】自己燃焼性発熱剤に三酸化二鉄を99.2
(w/w)%含有し平均粒径0.82μmの酸化鉄粉
と、珪素を96.6(w/w)%含有し平均粒径10μ
mの金属シリコンを、酸化鉄粉対金属シリコンを2対1
の重量割合で混合した物を、未反応物質は二酸化珪素を
主成分とするけい砂を、そして該自己燃焼性発熱剤の燃
焼反応を起こすための着火剤としてほう素対酸化鉄粉を
15対85の重量割合で混合した物を使用した。
【0082】そして、これらを図1に示す様に発熱剤収
納容器に未反応物質及び自己燃焼性発熱剤収納し、さら
に自己燃焼性発熱剤の表面に前記着火剤を1.0g付着
して1トンの荷重でプレスした。
【0083】この下部に発火石とヤスリからなる外部か
ら操作して火花を発生する着火機構を有する着火治具、
さらに断熱材としてパーライトを10g充填して密閉し
た。
【0084】燻蒸薬剤は有効成分としてペルメトリンを
10重量%、メトキサジアゾンを8重量%、そして有機
発泡剤はアゾジンカルボアミドを0.1重量%配合した
後に結合剤としてデンプンを2重量%混合し、直径2〜
3mm、長さ4〜5mmのペレット状に成形したものを
用いた。
【0085】燻蒸薬剤重量20gを直径50mm、深さ
40mm、厚さ0.25mmのテインフリー製の薬剤収
納容器に入れ、該容器の上部にポリエチレンアルミニウ
ムからなる加熱により溶融し開孔するシールを貼った。
【0086】そして末反応物質重量を0、10、20、
30、40gと、あるいは自己燃焼性発熱剤重量を3
0、40gと変えて自己燃焼性発熱剤を燃焼させ燻蒸薬
剤を加熱した。
【0087】比較例として未反応物質を使用せず、自己
燃焼性発熱剤を薬剤収納容器に直接接触させた場合と、
図2に示す構造の従来法の酸化カルシウムの水酸化加熱
による加熱も行った。
【0088】そして加熱後の燻蒸薬剤の容器内残存率、
有効蒸散率はガスクロマトグラムにより測定し、同時に
薬剤収納容器の加熱時の最高と最低温度も測定し第2表
に示した。
【0089】表中の容器内残存率、有効蒸散率は加熱前
の燻蒸薬剤中の各々ペルメトリン、メトキサジアゾンの
有効成分重量に対する百分率であらわした。
【0090】この結果、本発明の加熱容器で加熱温度を
300〜500℃の範囲に調整した場合は、従来商品と
同等の蒸散率を示し、自己燃焼性発熱剤を薬剤収納容器
に直接接触した場合には最高温度が800℃にまで達し
有効成分が分解したと考えられる。
【0091】さらに本発明の加熱容器は着火するこで簡
便に蒸散処理でき、かつ容器が小型化できる利点を有し
ている。
【0092】さらに酸化カルシウムの水和反応による発
熱は加熱速度の調整ができず、結果として有効成分の蒸
散開始時間を調整することはできないが、本発明の加熱
容器においては自己燃焼性発熱剤重量と未反応物質重量
を宜選択することにより30秒から90秒程度まで蒸散
開始時間の調整が可能であり、目的や使用場所、状況に
応じた機能を付加することができる。
【0093】
【実施例2】図1に示す本発明の加熱容器の薬剤収納容
器を厚さ0.24mmのぶりきで形成し、実施例1記載
の同様に自己燃焼性発熱剤を重量35g、及び未反応物
質を25g、着火剤を1.0g、着火治具そして断熱材
にパーライトを10g収納し、発熱剤収納容器外表面と
外容器内面の空間距離を2〜12mmまで変えて、自己
燃焼性発熱剤を燃焼反応させ、薬剤収納容器および外容
器表面の温度分布をK熱電対を接触させて測定しその結
果を図3に示した。図において縦軸は測定温度、横軸は
空間距離を示した。
【0094】その結果、空間距離を大きくすることで外
容器表面温度が低下し、表面温度が220℃程度では外
容器表面に不織布を巻き付けることで加熱、蒸散時でも
素手で容器を数十秒持つことができ安全に操作ができ
た。
【0095】また、空間距離を大きくし空気層を十分設
けることで同一加熱条件でも薬剤収納容器の最高温度が
上昇し、発熱剤の燃焼熱が有効に薬剤収納容器に伝えら
れ、熱効率が向上することも確認した。
【0096】
【実施例3】本発明の加熱容器の包装程度の差による蒸
散率の変化を確認した。
【0097】本発明の加熱容器で有効成分の蒸散率が従
来商品レベルの容器を外装のシールを行わない包装形態
1と従来の酸化カルシウムを用いた加熱容器をアルミシ
ールで包装した包装形態2と、該アルミシールで包装し
た後にピンホールを空けた包装形態3のものを、40
℃、75%の環境条件で30日間保存した後に加熱した
場合の有効成分の残存率、薬剤収納容器の底部温度を測
定した。
【0098】その結果、本発明の包装形態1とアルミシ
ールで包装した包装形態2は保存前の条件と変わらない
底部温度および有効成分の蒸散率を示したが、ピンホー
ルを空けた包装形態3は水を注水しても発熱剤である酸
化カルシウムの反応熱は少なく、保存前のような400
℃までは達しないで薬剤成分の蒸散はほとんど確認でき
なかった。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【発明の効果】本発明の加熱容器を使用することにより
高発熱量の自己燃焼性発熱剤を燻蒸薬剤の間接加熱用熱
源として使用でき、例えば燻蒸薬剤(有効成分に殺虫
剤)20gを蒸散させ、現状の酸化カルシウムのものと
同様の性能を得るために必要となる発熱原料の重量を6
5gから35gに低減でき、重量で47%の軽量化が可
能となった。
【0103】そして自己燃焼性発熱剤は吸湿による性能
の劣化は少なく、製造から使用までの流通における商品
管理が簡便になると同時にバリヤシール等は必要なく製
造時の性能が維持できるものである。
【0104】また燻蒸のための発熱剤の発熱を起こすた
めの操作も水や、空気によらず使用者が任意に着火で
き、操作が容易で、簡便に行えるものである。
【0105】さらに、発熱剤収納容器と該発熱剤収納容
器を固定した外容器の間に断熱層を設けることにより外
容器の表面温度を低下することができ、操作時の火傷を
防ぎ安全に操作できるとともに熱を効率よく燻蒸薬剤に
伝えることができるものである。
【0106】このように本発明は十分に工業的に利用価
値が大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明容器の断面図。
【図2】生石灰容器の断面図。
【図3】発熱収納容器と筒状容器表面温度、殺虫剤収納
容器温度の関係図。
【符号の説明】
1 被加熱物 2 被加熱物収納容器 3 自己燃焼性発熱剤収納容器 4 筒状外容器 5 未反応物質 6 自己燃焼性発熱剤 7 着火剤 8 点火治具 9 断熱材 10 底蓋 11 断熱層 12 注水容器 13 水 14 薬剤 15 生石灰 16 薬剤収納容器 17 発熱剤収納容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏原 孝信 東京都千代田区神田司町2―9 アース製 薬株式会社内 (72)発明者 菅原 勝広 群馬県邑楽郡明和村矢島1111番地 日東製 器株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも有機発泡剤と有効成分を含む
    燻蒸薬剤を間接加熱する容器において、燻蒸薬剤を収納
    した薬剤収納容器を上下端が開口している容器の上端内
    部に設置し、下端内部に発熱剤収納容器を設置し、該発
    熱剤収納容器内に自己燃焼性発熱剤層が未反応物質層と
    断熱材の間に形成された三層が収納されたことを特徴と
    する燻蒸薬剤の加熱容器。
JP4356472A 1992-12-22 1992-12-22 燻蒸薬剤の加熱容器 Withdrawn JPH06205633A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100432066B1 (ko) * 2001-12-24 2004-05-22 주식회사 한두아이펨 유황 훈증 방제기

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100432066B1 (ko) * 2001-12-24 2004-05-22 주식회사 한두아이펨 유황 훈증 방제기

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