JPH06204138A - 薄膜形成方法および薄膜形成装置および半導体素子 - Google Patents

薄膜形成方法および薄膜形成装置および半導体素子

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JPH06204138A
JPH06204138A JP4347537A JP34753792A JPH06204138A JP H06204138 A JPH06204138 A JP H06204138A JP 4347537 A JP4347537 A JP 4347537A JP 34753792 A JP34753792 A JP 34753792A JP H06204138 A JPH06204138 A JP H06204138A
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substrate
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plasma
vacuum container
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JP4347537A
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Toshimitsu Kariya
俊光 狩谷
Keishi Saito
恵志 斉藤
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基体上に薄膜を形成されてなる薄膜素子の素
子特性を従来のものより向上させ、且つ薄膜素子のスル
ープットを向上させ、薄膜素子のコストダウンを目的と
する。 【構造】 内部を減圧にすることができる第1の真空容
器A101に一種以上の第1の原料ガス群を導入し、基
板103上に薄膜を形成するMWプラズマ領域114
と、可視光または紫外光のエネルギーによって第1の原
料ガス群を分解して生成された活性種が存在する活性領
域115とが互いに分離されて形成され、かつ、MWプ
ラズマと活性種とを共有する共有領域116も形成され
た状態で、活性種領域、共有領域、MWプラズマ領域に
順次沿って基体を移動させて薄膜の形成を行うことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体薄膜、磁性体薄
膜、絶縁体薄膜、導電性薄膜、超伝導性薄膜などの薄膜
を応用した素子を製造する技術に関し、pin接合、p
n接合などの半導体接合を有する半導体素子、例えば太
陽電池、薄膜トランジスタ(TFT)、フォトセンサ
ー、X線センサー、湿度センサーなどの大量生産技術に
関する。
【0002】また、本発明はマイクロ波プラズマCVD
法、光CVD法を用いて帯状基体上に連続的に薄膜を形
成する技術に関する。
【0003】
【従来の技術】薄膜を形成する技術としては、真空蒸着
法、MBE法、スパッタリング法、イオンプレーティン
グ法、クライスターイオンビーム蒸着法、熱CVD法、
MOCVD法、プラズマCVD法、光CVD法、ディピ
ング法、塗布法などが挙げられる。しかし半導体薄膜、
磁性体薄膜、絶縁体薄膜、超伝導性薄膜などの薄膜を応
用した素子を大量生産するには、堆積速度が速く、しか
も素子特性が優れていることが必要である。こうした方
法のひとつとしてマイクロ波プラズマCVD法(MWP
CVD法)挙げられる。MWPCVD法は真空容器内部
に原料ガスを導入し、該原料ガス群にマイクロ波を照射
することによってプラズマを生起し、プラズマ内部で発
生したしたラジカルを基板上に堆積させて、薄膜を形成
する方法である。
【0004】該MWPCVD法においてはプラズマ内部
の圧力を0.1〜30mTorrにするため、粒子の平
均自由工程は5〜30cmと長いものであり、気相反応
を極力抑えることができる。従って良質な薄膜を形成す
るためのラジカルを直接成長表面上まで飛翔させること
ができる。さらに原料ガス群をほぼ100%分解するこ
とができるため、堆積速度は極めて高いものである。
【0005】また、素子特性を向上させるため、基板上
に形成された薄膜の界面準位を減少させる方法として
は、まず、基板上に光CVD法を用いて比較的堆積速度
の小さい状態で超薄膜を形成し、次いでMWPCVD法
を用いて比較的堆積速度の大きい状態で同じ薄膜を形成
する方法が挙げられる。また、近年、薄膜素子に対する
素子特性の向上とコストダウンを同時に達成することが
要望されている。コストダウンを行うためには生産能力
(スループット)、すなわち薄膜の堆積速度を上げるこ
とが必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記M
WPCVD法を用いてスループットを上げた場合、その
大きな堆積速度の故に基体との界面に発生する内部応
力、欠陥準位などがしばしば問題となる。すなわち基体
の格子定数と薄膜の格子定数が異なる故、界面近傍では
所望の良質な薄膜が得られないという問題である。
【0007】例えば導電性を有する基体とその上に形成
された導電性を有する薄膜は電気的に結合される訳であ
るが、該界面準位の存在によって所望の電気結合が形成
できない場合がある。また絶縁性を有する基板上に導電
性を有する薄膜を形成する場合においても、該界面準位
の存在によって薄膜を平面方向に伝導する電気の損失を
招く場合がある。また絶縁性基板上に磁性体薄膜を形成
する場合、磁性体薄膜が所望の保持力を得られないとい
う問題がある。
【0008】また界面近傍の内部応力によって薄膜の剥
離が発生するという問題がある。また逆に界面準位を減
少させるための手段としてはMWPCVD法において堆
積速度を落とす方法があるが、薄膜素子のスループット
は減少してしまうことになる。そこでスループットを落
とさずに界面準位を減少させるための手段として、RF
(高周波)PCVD法を用いて堆積速度の小さい状態で
基板上に超薄膜を形成し、その上にMWPCVD法を用
いて薄膜を形成することが行われてきた。
【0009】従来では、このような方法でも素子特性と
スループットは満足しうるものであったが、さらに素子
特性とスループットを向上させねばならない状況におい
ては、光CVD法で形成された超薄膜とMWPCVD法
で形成された薄膜との界面準位、内部応力が問題となっ
ており、また工程がバッチ式であるために飛躍的なスル
ープットの向上は望めるものではない。
【0010】また、スループットを飛躍的に向上させる
方法として、帯状基板を用いて連続的に薄膜を形成する
ロール・ツー・ロール法がある。該方法は磁気テープな
どの作製する際に用いられ、基板となる樹脂フィルムを
ドラムにロール状に巻き、一方の端を別のドラムで巻き
取りながら、成長表面上に真空蒸着法で磁性体薄膜を形
成するものである。
【0011】しかしこのようなロール・ツー・ロール法
においてさらにスループットを上げるために、真空蒸着
法の代わりにMWPCVD法を用いて薄膜を形成した場
合、同様に界面準位、内部応力が問題となっている。ま
たさらにロール・ツー・ロール法においてRFPCVD
法を用いて超薄膜を形成する真空装置とMWPCVDを
用いて薄膜を形成する真空装置を設けた場合にも、上記
のような超薄膜と薄膜との界面準位、内部応力が問題と
なり、真空装置全体が大型化し、設備投資が多大なもの
となってしまい、コストダウンは望めるものではない。
【0012】基板が薄膜と同じ化合物から構成されてい
る場合には、基板上にMWPCVD法を用いて薄膜を形
成しても上記のような界面準位、内部応力は少ないもの
であるが、該薄膜の上に別の薄膜を形成する場合、同様
にこれらの薄膜界面準位、内部応力は問題となってい
る。そこで、本発明の第1の技術的課題は、基体上に薄
膜を形成されてなる薄膜素子の素子特性を従来のものよ
り向上させ、且つ薄膜素子のスループットを向上させる
ことである。
【0013】また、本発明の第2の技術的課題は、薄膜
素子のコストダウンを目的とするものである。また、本
発明の第3の技術的課題は、詳細には、スループットを
向上しつつ、基体との界面準位、内部応力を減少させる
ことを目的とする。さらに、薄膜を堆積する場合には、
スループットを向上しつつ、その界面準位、内部応力を
減少させることである。
【0014】また、本発明の第4の技術的課題は、薄膜
形成方法を用いた薄膜形成装置を提供することにある。
また、本発明の第5の技術的課題は、また薄膜素子を製
造するための装置のコストダウンを図るものである。ま
た、本発明の第6の技術的課題は、薄膜形成方法を用い
て形成された薄膜素子を提供することであり、特にpi
n接合、pn接合などの半導体接合を有する薄膜素子を
提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による薄膜形成装
置は、一種以上の第1の原料ガス群を導入するための手
段を備えた、内部を減圧にすることができる第1の真空
容器と、マイクロ波(以下『MW』と略記する)プラズ
マを発生させるための手段と、可視光または紫外光のエ
ネルギーによって第1の原料ガス群を分解して活性種を
発生させるための手段とを有し、該第1の真空容器内に
は、MWプラズマの存在する体MWプラズマ領域用の空
間と、可視光または紫外光のエネルギーによって第1の
原料ガス群を分解して生成された活性種が存在する活性
領域用の空間とが互いに分離されて形成されているとと
もに、前記両空間の一部を連通するMWプラズマと活性
種とを共有する共有領域用の空間が形成されており、さ
らに、前記活性領域用の空間、共有領域用空間およびM
Wプラズマ領域用の空間に順次沿って基体を移動させる
ための手段を有していることを特徴とする。
【0016】本発明による薄膜形成方法は、内部を減圧
状態にすることができる第1の真空容器の内部に一種以
上の第1の原料ガス群を導入し、該第1の真空容器内部
に、MWプラズマの存在するMWプラズマ領域と、可視
光または紫外光のエネルギーによって第1の原料ガス群
を分解して生成された活性種が存在する活性領域とを互
いに分離して形成するとともに、MWプラズマと活性種
とを共有する共有領域を形成し、前記活性領域、共有領
域およびMWプラズマ領域に沿って基体を順次移動させ
ながら該基体上に薄膜を形成することを特徴とする。
【0017】また、本発明の望ましい形態は、前記活性
領域内部の圧力を前記活性領域内部の圧力よりも小さく
し、前記第1の原料ガス群の少なくとも一部は前記第1
の真空容器内を前記活性領域から前記MWプラズマ領域
に向かって流れるようにして薄膜を形成することであ
る。さらに本発明の望ましい形態は、前記基体が帯状、
且つ可とう性を有し、薄膜形成中、基体の長手方向に連
続的に移動することである。
【0018】さらに本発明の望ましい形態は、第1の真
空容器Aの外部に、帯状基体が内部を移動することがで
きる分離通路を介して、第2の真空容器Bを接続し、該
分離通路の断面は基体断面とほぼ相似で、分離通路の内
壁と基体との最短距離dは1〜10mm、帯状基体の移
動方向に対する長さLはL>50×dなる関係を満た
し、且つ第2の真空容器Bでは第1の原料ガス群Aには
含まれない原料ガスを有する一種または複数種の第2の
原料ガス群Bを用いて前記薄膜とは性質の異なる別の薄
膜を同一の帯状基体上に積層することである。
【0019】さらに本発明の望ましい形態は、前記分離
通路に掃気ガスを導入し、該掃気ガスは分離通路から第
1の真空容器Aまたは/および第2の真空容器Bに向か
って流れることである。さらに本発明の望ましい形態
は、前記掃気ガスは不活性ガス、第1の原料ガス群Aを
構成するガス、第2の原料ガス群Bを構成するガスの中
から選ばれたガスであることである。
【0020】さらに本発明の望ましい形態は、前記分離
通路に排気口を設け、該排気口より第1の原料ガス群A
または/および第2の原料ガス群Bの一部を排気するこ
とである。さらに本発明の望ましい形態は、前記MWプ
ラズマに導入するマイクロ波の強電界方向が基体と実質
的に平行となっていることである。
【0021】また本発明の半導体素子は本発明の薄膜形
成方法及びその装置を用いて作製されたpin接合また
は/およびpn接合を有する半導体素子が得られる。
【0022】
【作用】本発明の薄膜形成方法においては、基体上にイ
オン衝撃のない光CVD法を用いて堆積速度の小さい状
態で最初の成膜を行い、その後、光CVD法とMWPC
VD法がともに行われている共有領域における成膜によ
り遷移層を形成し、その後、MWPCVD法を用いて堆
積速度が大きい状態で薄膜を形成するものである。従っ
て、基体との界面での格子不整合を緩和することがで
き、界面準位を減少させることができる。また該界面で
の内部応力を緩和することができるため、該界面での層
剥離を抑制することができる。また共有領域では除々に
堆積速度が大きくなっていくため、遷移層及びその両界
面では準位が極めて少ないものであり、また内部応力も
緩和されているものである。また基体表面はプラズマに
曝さらされずに薄膜の形成が行われるため、基体へのダ
メージは極めて少ないものであり、また基体の変質も極
めて少ないものである。
【0023】また、本発明においてはMWPCV法を用
いているため、良質な薄膜を堆積速度が大きい状態で形
成することができる。すなわち、MWPCVD法ではプ
ラズマを生起する際の圧力が0.5〜30mmTorr
と低いため、気体粒子の平均自由行程は5〜30cmと
長くすることができるため、気相中での不必要な重合反
応を抑えることができ、基体上に良質膜を形成すること
ができる。またラジカルを長距離に渡って輸送すること
ができるため、大面積の基体に対して均一な薄膜を形成
することができる。またMWPCV法ではその堆積速度
が極めて高く(100A/sec以上)することができ
るため、真空容器内壁に付着している不純物がスパッタ
リングされたり、熱放出したりして形成された薄膜中に
混入される割合が極めて低いものである。また真空容器
内部に浮遊している残留ガスが分解され、不純物として
薄膜中に混入される割合も極めて低いものである。
【0024】また本発明においては光CVD法を用いて
最初の成膜を行うため、その界面は極めて良質なもので
ある。これはプラズマCVD法に見られるようなイオン
の衝撃がまったくなく、堆積速度が小さく、さらには光
で成長表面をアニーリングすることができるためと考え
られる。このように良好な界面を形成することにより、
薄膜素子の特性を著しく向上させることができる。例え
ばアモルファスシリコン(a−Si)太陽電池において
は、光劣化を抑制することができ、アモルファスシリコ
ンTFTを用いたフラットパネルディスプレイにおいて
は、その残像特性を向上させることができる。
【0025】また本発明においてはMWPCVD法を用
いて原料ガス分解するため、その分解効率は極めて高
く、100%にも及ぶものである。従って真空容器内部
に導入した原料ガスが薄膜となって実際に利用される割
合も極めて高いものであり、プラズマ全体を基体で覆う
ような工夫をすることによって原料ガス利用効率を90
%程度まで向上させることができる。そして原料ガス利
用効率を向上させることによって、薄膜、薄膜素子の製
造コストを低減することができるものである。またMW
PCVD法ではその堆積速度が極めて高いため、薄膜形
成の工程時間を大幅に短縮することができ、従って、ス
ループットを高めることができ、薄膜、薄膜素子の製造
コストを低減することができるものである。
【0026】また本発明においてはMWプラズマ領域と
活性領域が共有する領域があるために、従来には見られ
ない、優れた遷移層を形成することができる。その形成
に対する詳細なメカニズムは不明であるが、該領域では
光CVDが行われている活性領域での堆積速度とMWP
CVDが行われている領域での堆積速度の中間的な堆積
速度となることが確かめられた。すなわち原料ガスの分
解効率がMWプラズマ内部の値と活性領域内部の値の中
間的なものとなっている。また、共有領域ではプラズマ
領域でありながら、可視光または紫外光によって生成さ
れた活性種がごく僅かながら存在している。通常のMW
PCVD法ではこのようなプラズマを生起することはで
きず、本発明の方法によって初めて実現し、従来にはな
い遷移層が得られるものと考えられる。
【0027】このような状態のプラズマ中で形成された
遷移層はその遷移層としての機能をこれまでのもの以上
に果たすものである。すなわち上述したように、遷移層
内部と両界面での準位は極めて少ないものであり、また
遷移層内部と両界面での内部応力も十分緩和されたもの
である。さらに遷移層はMWプラズマ内部で形成された
薄膜を構成する元素が光CVDが行われている活性領域
内部で形成された薄膜中に熱拡散すること、および活性
領域で形成された薄膜を構成する元素がMWプラズマ内
部で形成された薄膜中に熱拡散することを防止するもの
である。これは共有領域においてMWプラズマ領域で発
生したラジカルと光CVDの活性種が気相中または成長
表面上において反応し、通常では見られない反応過程を
経て遷移層が形成され、極めて密度の高いものになって
いるためと考えられる。従ってMWプラズマ内部で形成
された薄膜の構成元素と活性領域内部で形成された薄膜
の構成元素の相互拡散を防止することができる。熱拡散
係数の大きい元素を構成元素とする場合、特に効果があ
る。
【0028】また、本発明においてはそれぞれの領域に
おいてそれぞれの薄膜を形成しながら、同時に基体を移
動させるため、上記の効果がなお一層顕著になるもので
ある。すなわち、本発明では時間的な変化を空間的な変
化に単純に置き換えるばかりでなく、通常では起こりに
くい空間的薄膜形成メカニズム(例えば薄膜形成過程に
おける異方性)が関与し、遷移層はより優れたものとな
ると考えられる。また基体が常時移動しているために、
スループットは飛躍的に向上し、薄膜、薄膜素子のコス
トダウンが図れると考えられる。
【0029】また本発明においては複数の異なる性質の
薄膜を同一真空容器内部で形成するため、複数の真空容
器、排気装置、原料ガス導入装置を使用する必要がな
く、製造装置コストを削減することができる。特に良質
な薄膜を製造するために用いる真空容器およびそれに付
随する上記の装置、ユーティリティに要するコストは多
大なものであり、該装置コストを削減することによって
薄膜、薄膜素子の大幅なコストダウンを図ることができ
る。
【0030】また本発明は同一真空容器内部で異なる性
質を有する薄膜または異なる構成元素からなる薄膜を積
層する場合、特に効果がある。例えばアモルファスシリ
コン(a−Si)からなる層とアモルファスシリコンゲ
ルマニウム(a−SiGe)からなる層を積層して光起
電力素子を作成する場合、本発明の形成方法によって形
成された遷移層は上述のごとく優れたものであるため、
作製された光起電力素子は素子特性が優れ、層剥離のな
いものである。また例えばバンドギャップの異なるa−
Si層を蓄積して光起電力素子を形成する場合において
も同様に効果がある。
【0031】また本発明は比較的膜厚の厚い薄膜を形成
する場合、特に効果がある。本発明に用いる薄膜の好ま
しい膜厚の範囲は0.1〜100μmである。 活性種領域で形成される膜の膜厚は、0.1〜100n
m 共有領域で形成される膜の膜厚は、0.1〜100nm MW領域で形成される膜の膜厚は、10〜100μm が最適である。また本発明においては真空容器内部に2
つ以上の光CVDを行う活性領域を生成してもよく、例
えば基体を第1の活性領域、MWプラズマ領域、第2の
活性領域といった順序に移動させることによって、基体
との界面準位、該薄膜層と上部に形成する層との界面準
位を減少させることができ、多層構造よりなる薄膜素子
を製造する場合には特に効果がある。
【0032】また本発明においては光CVDを実施する
活性領域の圧力をMWプラズマよりも大きくし、前記第
1の原料ガス群Aの一部または全部を第1の真空容器A
内をRFプラズマの領域からMWプラズマの領域に向か
って流すことによって、原料ガスを有効に利用し、製造
された薄膜、薄膜素子のコストダウンを図ることができ
る。すなわち光(CVD)を行う活性領域で分解されず
に排気されてしまう原料ガスをMWプラズマ中で再利用
するものである。さらにMWプラズマ領域ではほぼ10
0%原料ガスを分解することができるため、MWプラズ
マを基体で覆う工夫をすれば原料ガスをほぼ100%利
用することができる。
【0033】本発明では上記のごとく、活性領域からM
Wプラズマ領域に向かって原料ガスを流すことによって
活性領域で分解されなかった原料ガスのほとんどをプラ
ズマ領域で分解する事ができる。また活性領域、MWプ
ラズマ領域を基体で覆うことによってさらに有効に原料
ガスを利用することができる。また活性領域内部の圧力
をMWプラズマ内部の圧力よりも大きくすることによっ
て、原料ガスのMWプラズマ領域から活性領域への拡散
を防止することができる。従って第1の原料ガス群Aの
一種の原料ガス(A1)を活性化しながらMWプラズマ
領域へ流し、原料ガス群の別の種類の原料ガス(A2)
をMWプラズマ領域のみに流すことによって、活性領域
では原料ガス(A1)の構成元素CA1を含有する薄膜
を形成し、MWプラズマ領域ではCA1と原料ガス(A
2)の構成元素CA2を含有する薄膜を形成することが
可能である。従ってヘテロ接合、pn接合、pi接合、
ni接合、pin接合を有する薄膜素子を一つの真空容
器内部で製造することも可能である。また薄膜の積層を
数回繰り返すことによって超格子構造を形成することも
できる。また例えば両方の領域においてa−Si:H薄
膜を形成する場合、活性領域からMWプラズマ領域に向
かってSiH4 ガス、H2 ガスを流すことによってそれ
ぞれの領域においてSiH4 ガス流量/H2 ガス流量を
変化させ、それぞれの領域で形成されたa−Si:H薄
膜内部の水素含有量を変えることができる。a−Si:
H薄膜の水素含有量が多いとバンドギャップが大きくな
るため、一つの真空容器内部でヘテロ接合を有する薄膜
素子を形成することができる。また活性領域では圧力を
大きくすることによって、堆積速度をある程度大きくす
ることができる(ただしMWプラズマ領域での堆積速度
よりは小さい)。またMWプラズマでは圧力が小さいた
め、均一性の良いMWプラズマを生起することができ、
大面積の薄膜素子を製造することが可能である。
【0034】また本発明においては基体は帯状、且つ可
とう性を有し、薄膜形成中、基体の長手方向に連続的に
移動させるため、飛躍的なスループットの向上をもたら
すことができる。すなわち基体が帯状、且つ可とう性を
有しているため、基体の長手方向に連続的に移動させな
がら、基体上に薄膜を形成することが可能になり、バッ
チ式では得られないほど大きな処理速度を達成すること
ができる。さらに基体が可とう性であるため、活性領
域、MWプラズマ領域を基体で覆うことができ、原料ガ
ス利用効率を一層向上させることができる。また基体が
帯状、可とう性であることから、基体をロール状に巻い
た状態で保管することで、保管スペースを削減でき、ま
た輸送、取扱いが容易となる。樹脂からなる帯状、可と
う性基体に磁性体薄膜を形成して、磁気テープを製造す
る場合、特に効果がある。さらに金属からなる帯状、可
とう性基体に半導体薄膜を形成して、太陽電池を製造す
る場合、特に効果がある。
【0035】また本発明おいては第1の真空容器Aの外
部に、帯状基体が内部を移動することをできる分離通路
を介して、別の第2の真空容器Bを接続し、該分離通路
の断面は基体断面とほぼ相似で、分離通路の内壁と基体
との最短距離dは1〜10mm、帯状基体の移動方向に
対する長さL>50×dなる関係を満たし、且つ第2の
真空容器Bでは前記第1の原料ガス群Aには含まれない
原料ガスを有する、一種または複数種の第2の原料ガス
群Bを用いて前記薄膜とは性質の異なる別の薄膜を同一
の帯状基体上に積層することによって、積層された薄膜
から構成される薄膜素子を容易に製造することができ
る。また第2の真空容器Bでは同時に別の薄膜を形成す
ることができるため、薄膜素子の製造速度は極めて高い
ものである。第2の真空容器Bで薄膜を形成する際の形
成方法としてはRFPCVD法、MWPCVD法、光C
VD法、熱CVD法などが挙げられる。また該形成方法
によって半導体薄膜素子におけるpn接合、pi接合、
ni接合、pin接合などを形成することができるため
は、半導体薄膜素子として太陽電池、各種センサー、フ
ラットパネルディスプレイなどをスループットが高い状
態で製造することができる。帯状基体との最短距離が1
mmより小さいと、微小な振動で基体と分離通路が接触
し、基体ばかりか形成された薄膜表面にも損傷をもたら
すものである。また最短距離が10mmより大きいと第
1の原料ガス群Aと第2の原料ガス群Bとの分離が困難
となり、所望の薄膜を形成することができない。
【0036】さらにL>50×dなる関係を満足させる
ことにより、第1又は第2の真空容器A,B群に導入さ
れる電磁波の相互作用を防止することができる。また本
発明においては分離通路に掃除気ガスを導入し、該掃気
ガスは分離通路から第1の真空容器Aまたは/および第
2の真空容器Bに向かって流れることによって、第1の
真空容器Aに導入される第1の原料ガス群Aと第2の真
空容器Bに導入される第2の原料ガス群Bの相互拡散を
防止することができるため、良好なヘテロ接合、pn接
合、pin接合を形成することができる。また良好な界
面を形成することができる。すなわち分離通路と帯状基
体との最短距離は1〜10mmと小さいため、分離通路
から導入された掃気ガスは分離通路内部では粘性流とす
ることができ、掃気ガスの一部は第1の真空容器Aに流
れ込み、他は第2の真空容器Bに流れ込むことによっ
て、第1の原料ガスAが分離通路を介して第2の真空容
器Bに拡散したり、第2の原料ガス群Bが分離通路を介
して第1の真空容器Aに拡散することを防止することが
できる。また、別の形態としては掃気ガスのほとんどす
べてが第1の真空容器Aに流れ込む状態で、本発明の薄
膜形成方法を実施してもよい。この場合には第2の原料
ガス群Bも第1の真空容器Aに流れ込むため、本形態に
おいては第2の原料ガス群Bは原料ガス群Aに包含され
るような種類のガスで構成されていることが望ましい。
同様に掃気ガスのほとんどすべてが第2の真空容器Bに
流れ込む状態で本発明の薄膜形成方法を実施してもよ
い。この場合には第1の原料ガス群Aも第2の真空容器
Bに流れ込むため、本形態においては第1の原料ガス群
Aは第2の原料ガス群Bに包含されるような種類のガス
で構成されていることが望ましい。
【0037】また本発明においては掃気ガスは不活性ガ
ス、第1の原料ガス群Aを構成するガス、第2の原料ガ
ス群Bを構成するガスの中から選ばれたガスであるた
め、第1及び第2の真空容器A、Bで形成される薄膜は
不必要な不純物が極めて少なく良好なものであり、製造
される薄膜素子は素子特性が優れたものである。また本
発明においては分離通路に排気口を設け、該排気口より
第1の原料ガス群Aまたは/および第2の原料ガス群B
の一部を排気するため、上記と同様に第1の真空容器A
内部に第2の原料ガスBの一部が拡散したり、第2の真
空容器B内部に第1の原料ガスAの一部が拡散したりす
ることを防止することができる。すなわち分離通路内部
では粘性流の状態となっているため、上記のような相互
拡散は起こらないと考えられる。従って、良好な接合を
形成したり、良好な界面を形成することができるため、
薄膜素子の素子特性は極めて高いものである。
【0038】また本発明においてはMWプラズマに導入
するマイクロ波の強電界方向が基体とほぼ平行となって
いるため、基体または薄膜が形成された基体をマイクロ
波で直接加熱することがなく、薄膜形成中に基体温度が
急激に上昇することがないため、良好な薄膜を安定して
供給することができる。磁性体薄膜を低温で形成する場
合、特に効果がある。また基体がマイクロ波を吸収する
材料から構成される場合、マイクロ波によって基体の変
形、変質などを引き起こすことがない。従って基体の選
択範囲が広くなり、樹脂フィルム、金属フィルムなどの
安価な材料を用いることができる。
【0039】また本発明の半導体薄膜素子は上記の薄膜
形成方法およびその装置を用いて作成されたpin接合
または/およびpn接合を有する半導体素子は、薄膜内
部に含有される不必要な不純物が極めて少ないものであ
り、また界面準位の少ない良好な界面を有するものであ
る。また本発明の半導体薄膜素子はスループットが高い
状態で製造されたものであり、コストダウンされたもの
である。
【0040】本発明において形成される薄膜は半導体薄
膜、磁性体薄膜、絶縁体薄膜、導電性薄膜、超伝導性薄
膜などで、本発明で製造される薄膜素子はこれらの薄膜
を基体上に形成し、あるいは複数の薄膜を積層して製造
されたものである。とりわけpin接合、pn接合など
の半導体接合を有する半導体素子、例えば太陽電池、薄
膜トランジスタTFT、フォトセンサー、X線センサ
ー、湿度センサーなどを大量に生産する場合、本発明は
有効である。また磁気テープなどを大量に生産する場
合、有効である。またさらに、プラズマCVD法を用い
て帯状基体上に連続的に薄膜を形成する場合、特に効果
がある。
【0041】
【実施態様例】次に、本発明の実施態様例に係わる薄膜
形成方法およびその装置を図面を参照して説明する。図
1は本発明の薄膜形成方法を実施しうる薄膜形成装置の
概略図で、基本的な構成要素からなるものである。
【0042】まず、図1の101は内部を減圧状態にす
ることのできる第1の真空容器Aで排気口102より内
部の気体を排気することができる。103は基体で、図
の矢印aの方向に移動させることができる。104、1
05は基体の送り出し収納を行うカセットで、一度の薄
膜形成行程において、多くの基体上に薄膜を形成するた
めのものである。106は紫外光まで透過することので
きる石英窓、107は紫外光を出射することのできる光
源(可視光または紫外光のエネルギーによって第1の原
料ガスを分解して活性種を発生させるための手段)であ
る。108は原料ガス群Aのガス導入管で、109は第
1の真空容器Aの内部の圧力を調整するためのコンダク
ダンスバルブで、排気口102に取り付けされている。
【0043】110はマイクロ波導入窓で、真空容器内
部にマイクロ波(マイクロ波を発生させるための手段)
を導入し、且つ大気圧と真空を分離することができる。
112はアプリケーターで導波管113から伝搬された
マイクロ波を拡大し、MWプラズマの領域114を広げ
るためのものである。光CVDが行われる活性領域11
5が窓106近傍まで広がり、窓の表面上に薄膜を形成
しないようにするために、窓近傍に窓掃気ガスを流すた
めの窓掃気ガス導入管を設けてある。このため窓近傍に
は活性種が存在しない不活性領域117が形成され、窓
表面には紫外光を吸収または反射してしまう薄膜が形成
されず、長時間にわたり活性領域を維持することができ
る。活性領域とMWプラズマ領域の共有領域116は活
性領域、MWプラズマの領域に比較して小さな領域であ
る。117は隔壁で原料ガス群の流れを調整するもので
ある。118は基体を加熱するためのヒーター(ハロゲ
ンヒーター)である。
【0044】以下に、この薄膜形成装置の使用方法の概
略を説明する。まず、大気リークしている装置の内部に
基体が格納されたカセット104と基体を収納するため
のカセット105をセットする。次に不図示の真空排気
ポンプを用いて内部を真空排気し、十分排気されたとこ
ろでヒーターを点灯させ、108より原料ガス群を真空
容器Aの内部に導入し、コンダクタンスバルブ109を
調整して領域114、領域115の圧力が所望の圧力に
なるようにする。予め隔壁の高さを調整して、コンダク
タンスバルブを調整することで両領域の圧力が同時に所
定圧力になるようにしておくとよい。つぎに光源の電源
を入れ活性領域を生成する。つぎに不図示のマイクロ波
電源を入れ導波管、アプリケーター、マイクロ波導入窓
を通して領域114にマイクロ波を導入し、MWプラズ
マを生起する。状態が安定したところで、基体を矢印a
の方向に移動させ、基体上に活性領域115、共有領域
116、MWプラズマ領域114においてそれぞれの薄
膜を形成した後、収納カセット105に基体を次々に収
納する。すべての基体に薄膜を形成し終えたところで、
光源、MW電源を切って活性領域、MWプラズマ領域を
消滅させ、第1の原料ガス群Aの導入を止める。第1の
真空容器A内部を十分排気したところで第1の真空容器
Aを大気リークし、基体収納カセットを取り出し。薄膜
形成工程を終える。
【0045】以下に各構成要素および薄膜形成条件の好
適な範囲を説明する。各形成条件は形成する薄膜および
基体の種類に依存するものであるが、おおよその範囲を
示すことにする。基体の移動速度は1〜100cm/分
が好適な範囲である。光CVD法を行う活性領域115
では基体温度は0〜600℃、原料ガス流量は500〜
10000sccm、圧力は0.05から5Torr、
導入する光源の電力はコヒーレント光ではないランプの
場合0.1〜100mW/cm2 、コヒーレント光であ
るレーザー光の場合1〜107 W/cm2 が好適な範囲
である。光源の種類としては紫外光を出射することので
きるもの、例えば低圧水銀ランプ、重水素ランプ、水銀
キセノンアークランプ、エキシマレーザー(XeCl、
KrF、ArFなど)、F2 レーザー、さらにはArレ
ーザー、CO2 レーザーの第2高周波を用いることもで
きる。レーザーの場合照射面積が小さいため、反射鏡の
傾きを時間変化させるなどしてレーザーの投射方向を時
間的に変化させることによって活性領域を広げることが
できる。窓106は紫外光を透過することのできる材質
から構成されることが望ましい。例えばLiF、MgF
2 、CaF 2 、石英、サファイアなどが好適に用いられ
る。また窓に薄膜が形成されるのを防止するために窓に
窓掃気ガスを吹き付けることが望ましい。窓掃気ガスと
しては紫外光によって励起されないもの、あるいは励起
されても窓表面上に薄膜を形成しないものが用いられ
る。例えば不活性ガス、H2 、N2 、O2 、Cl2 、B
2 などが挙げられる。不活性領域117では薄膜を形
成するような活性種はほとんど存在しない。また窓掃気
ガスはそのまま排気してもよいが、活性領域内部または
共有領域またはMWプラズマ領域に輸送され、薄膜を形
成するための活性種とともに薄膜中に構成要素として混
入してもよい。また窓に薄膜が形されることを防止する
別の方法としては蒸気圧の小さいオイル(例えばフォン
ブリンオイルなど)などを窓に塗布しておけばよい。
【0046】また光CVD法において水銀増感法に代表
される2分子反応を用いて薄膜を形成してもよい。水銀
増感法の場合、水銀原子が紫外光の吸収によって励起さ
れ、この励起された水銀原子が原子ガスと衝突して、原
料ガスを活性化させるものである。これにより、低圧水
銀ランプなどの弱い光源を用いても比較的高い堆積速度
が得られる。水銀原子を真空容器内部に導入するために
は水銀を溜めた液体ボンベを原料ガス群Aでバブリング
すればよく、導入濃度を制御するには温度を制御すれば
よい。また薄膜の堆積速度を制御する重要な形成パラメ
ーターとしては圧力が挙げられ、一般的に圧力が高いと
き堆積速度は大きくなる。
【0047】MWプラズマ領域では基体温度は0〜60
0℃、原料ガス流量は50〜10000sccm、圧力
は0.1〜30Torr、導入するMW電力は50〜1
000Wが好適な範囲である。マイクロ波導入窓は石
英、アルミナセラミクス、窒化ホウ素などの誘電体で構
成される。またマイクロ波導入窓の真空側近傍にルーバ
ーを設け、薄膜がマイクロ波導入窓表面に形成されるこ
とを防止してもよい。こうすることによって安定したM
Wプラズマを長時間に渡って維持することができる。ま
た場合によってはMWプラズマ領域内に金属製のバイア
ス棒を設置し、DC電力を印加して、プラズマ電位を調
整してもよい。この場合、スパーク放電が発生し始める
電圧まで電圧を上げることができるが、通常−300〜
300V程度が好ましい範囲である。a−Si:Hなど
の非晶質シリコン系薄膜を形成する場合には30〜25
0V程度が好ましい。さらに該バイアス棒にRF電力を
印加して、プラズマ電位を調整してもよい。この場合、
スパーク放電が発生し始める電力まで電力を上げること
ができるが、通常0〜2000W程度が好ましい範囲で
ある。a−Si:Hなどの非晶質シリコン系薄膜を形成
する場合には100〜1000W程度が好ましい。さら
にまた、DC電力とRF電力を同時に印加してもよい。
【0048】本発明の薄膜形成方法においては、第1の
真空容器A内部に2つ以上の活性領域をさらにひとつ生
起させ、図1と同様にMWプラズマと共有する領域を有
するものであってもよい。従って基体との界面準位、M
Wプラズマ領域猪飼に共有領域がない状態で光CVDを
行う活性領域またはプラズマ領域を、第1の真空容器A
内部に生起し、別の薄膜を形成してもよい。また真空容
器A内部に真空蒸着法、スパッタリング法、イオン注入
法、MOCVD法、熱拡散法、RFプラズマCVD法、
クラスタイオンビーム法などの薄膜形成方法を実施する
ことができるようにして、別の薄膜を形成してもよい。
本発明において形成される半導体薄膜としては、結晶、
多結晶、微結晶、非晶質状態のGe、Si、Se、Si
Ge、AlSi、SiSn、SiPb、GaAs、Ga
AlAs、ZnSe、ZnTe、ZnS、CdS、Cd
Se、CdTe、AlP、AlAs、AlSb、Ga
N、GaP、GaSb、InN、InP、InAs、I
nSb、GeC、GeSn、SnC、CuInSe2
が挙げられ、またドーピング剤を含有させて伝導型を制
御されたものでもよい。またH、ハロゲン(X)を結合
させてもよく、C、O、Nなどの元素を含有させてもよ
い。
【0049】また本発明において形成される絶縁性薄膜
としては、結晶、多結晶、微結晶、非晶質状態のFeN
i、FeNiCo、PdNi、MnBi、MnCuB
i、TbFeO3 、GdCo、GdFe、GdTbF
e、NdFe、TbFe、CoPd、SmFeO3 、G
dFeO3 等が挙げられる。またC、O、Nなどの元素
を含有させてもよい。
【0050】また本発明において形成される絶縁性薄膜
としては、炭素化合物、酸素化合物、窒素化合物、フッ
素化合物が挙げられ、結晶、多結晶、微結晶、非晶質状
態のものが使用される。炭素化合物としては、C、B4
C、HfC、MoC3 、NbC、SiC、TaC、Ti
C、VC、WC、ZrC等が挙げられる。酸素化合物と
しては、Li2 O、LiNbO3 、LiTaO3 、Be
O、MgO、Al2 3 、SiO2 、KNbO3 、Ca
O、TiO、TiO2 、Ti2 3 、BaTiO3 、S
rTiO3 、CaTiO3 、Bi2 TiO5 、PbTi
3 、V2 5、Cr2 3 、MnO2 、FeO、Fe
2 3 、Fe3 4 、CoO、NiO、CuO、Zn
O、Ga2 3 、SrZrO3 、GeO2 、Y2 3
YAlO3、ZrO、ZrO2 、Nb2 5 、Mo
3 、CdO、Cd2 SnO4 、In23 、Sn
2 、Sb2 3 、La2 3 、HfO2 、Ta
2 5 、CeO2 、Nd2 3 、NdGaO3 、Dy2
3 、Ho2 3 、Eu2 3 、Gd2 3、Er2
3 、WO3 、IrO、PbO、PbZrO3 等が挙げら
れる。窒素化合物としてはBN、AlN、HfN、Nb
N、SiN、Si3 4 、TaN、TiN、VN、Zr
N等が挙げられる。フッ素化合物としては、AlF3
BaF 2 、BiF3 、CaF2 、CeF3 、DyF3
ErF3 、EuF3 、HoF3、LaF3 、LiF、M
gF2 、NaF、NdF3 、PbF2 、PrF3 、Sr
2 、TbF3 、YF3 等が挙げられる。
【0051】また本発明において形成される導電性薄膜
としては、酸素化合物、金属とその合金が挙げられ、結
晶、多結晶、微結晶、非晶質状態のものが使用される。
酸素化合物としてはSnO2 、In2 3 、ITO、Z
nO、Tio2 、CdO、Cd2 SnO4 、Bi
2 3 、MoO3 、Na2 WO3 が挙げられる。金属と
してはAb、Al、Au、Bi、Cd、Ce、Co、C
r、Cu、Dy、Er、Eu、Fe、Ga、Gd、H
f、Ho、In、Ir、La、Lu、Mg、Mn、M
o、Nb、Nd、Ni、Pb、Pd、Pr、Pt、S
b、Sc、Sm、Sn、Ta、Tb、Te、Ti、T
m、V、W、Y、Yb、Zn、Zr等が挙げられ、これ
らの合金でもよい。
【0052】また本発明において形成される超伝導性薄
膜としては、結晶、多結晶、微結晶、非晶質状態のYB
aCuO、BiPbSrCaCuO、BiSrCaCu
O、LaSrCaCuO、BiSrVO、TLSrCa
CuO等が挙げられる。本発明において形成される薄膜
は上記の元素または化合物からなるが、これらの混合物
からなるが、混晶であってもよく、さらに構成元素の成
分比が膜厚方向、平面方向に変化するものであってもよ
い。さらに本発明においてこれらの薄膜を多数積層して
薄膜素子を製造することもできる。
【0053】本発明で使用する基体は単体で構成された
ものでもよく、またあるいは支持体上に挙げた薄膜等を
単数または複数形成したものでもよい。導電性がある単
体基体材料としては、NiCr、ステンレス、Al、C
r、Mo、Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、
Sn、Fe等の金属または、これらの合金が挙げられ
る。これらの材料を支持体として使用するにはシート
状、あるいは帯状のシートを円筒体に巻き付けたロール
状であることが望ましい。絶縁性がある単体基体材料と
しては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネー
ト、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビリニレン、ポリスチレン、ポリアミ
ド等の合成樹脂、またはガラス、セラミックス、紙など
が挙げられる。これらの材料を支持体として使用するに
はシート状、あるいは帯状のシートを円筒体に巻き付け
たロール状であることが望ましい。
【0054】支持体上に薄膜を形成して基体とする場
合、薄膜形成方法としては真空蒸着法、スパッタリング
法、スクリーン印刷法、ディッピング法、あるいは本発
明の堆積膜形成方法等で形成する。支持体の表面形状は
平滑あるいは必要によって山の高さが最大0.1〜1.
0μmの凹凸があってもよい。基体の厚さは柔軟性が要
求される場合には、支持体としての機能が十分発揮され
る範囲で可能な限り薄くすることができる。しかしなが
ら、支持体の製造上および取り扱い上、機械的強度の点
から、通常は10μm以上とされる。
【0055】本発明において用いられる原料ガスは所望
の薄膜の構成元素を含有する常温、常圧でガス状のもの
が望ましいが、常温で蒸気圧の大きい液体または固体で
あってもよく、さらには液体状の場合には他のガスによ
ってバブリングすることで、所望の原料ガスをボンベか
ら真空容器に輸送してもよい。また原料ガスとして薄膜
の構成元素を含有するガスと一緒に希釈ガスとして
2 、N2 、He、Ar、Ne、Xeなどを真空容器に
導入してもよい。
【0056】以下、非晶質シリコン(a−Si:H)、
ZnO、非晶質窒化シリコン(a−SiN)などの薄
膜、太陽電池、TFT等の薄膜素子の作製、製造によっ
て本発明の薄膜形成方法を詳細に説明するが、本発明は
これらに限定されるものではない。
【0057】
【実施例】
《実施例1》図1の薄膜形成装置を用いて半導体薄膜で
あるa−Si:H薄膜を形成した。光源としては低圧水
銀ランプを用い、窓掃気ガスとしてH2ガスを用い、窓
として石英を用いた。まず30×30cm2 、厚さ1m
mのガラス基板を20枚、アセトンとIPAで超音波洗
浄し、送り出し用のカセット104に格納し、第1の真
空容器Aにセットし、さらに基板収納用の空のカセット
105を同じくセットした。コンダクタンスバルブを全
開にして、不図示の真空排気ポンプで真空容器A内部を
圧力が1×10-5Torrになるまで真空排気し、次に
基板温度が300℃になるようにヒーターを設定した。
基板温度が安定したところで不図示の水銀ボンベを通し
たSi2 5 ガスを50sccm、SiH4ガスをガス
導入100sccm導入し、窓掃気ガス導入管よりH2
ガスを300sccm導入し、光源107の電源を入
れ、紫外光を窓106から第1の真空容器A内部へ導入
した。この際の波長185nmの光強度は10mW/c
2であった。さらに不図示のMW電源からマイクロ波
導入窓を通してMW電力(500W)の供給を行い、M
Wプラズマを生起した。このときコンダクタンスバルブ
を調整して、活性領域内部の圧力が0.5Torr、M
Wプラズマ内部の圧力が5mTorrになるようにし
た。
【0058】そして、次にMW電力の反射電力が最も少
なくなるように不図示のチューナーを調整した。プラズ
マが安定したところで、カセット104から基板を30
cm/分の移動速度で活性領域とMWプラズマ領域に沿
って移動させ、2つの領域でa−Si:H薄膜を形成し
つつ、基板収納用のカセット105に次々に収納してい
った。すべての基板上にa−Si:H薄膜を形成し終わ
ったところで、MW電源、光源の電源、ヒーターを切
り、原料ガス群Aの供給も止めた。不図示の真空排気ポ
ンプで第1の真空容器Aの圧力が1×10-5Torrに
なるまで真空排気し、基板温度が室温まで下がったとこ
ろで第1の真空容器Aをリークした。カセット105に
収納された基板を取り出したところ、a−Si:Hの薄
膜が形成されたいることが分かった。
【0059】〈比較例〉共有領域116が存在しないで
状態でa−Si:H薄膜を形成した。光源を図の左方向
に移動させ、活性領域とMWプラズマ領域を完全分離
し、共有領域を消滅させた以外は実施例1と同様にガラ
ス基板上にa−Si:H薄膜を形成した。 〈評価1〉形成されたa−Si:H薄膜を光学顕微鏡で
観察したところ、比較例1の薄膜では端部から層剥離が
僅かに発生していることが分かった。接触針式膜厚計を
用いて膜厚分布を測定したところ、どちらも基板中央の
膜厚に対して端部の膜厚は91%程度であることが分か
った。また層剥離のない薄膜に対してバンドギャップを
分光光度計で測定したところ、実施例1、比較例1の薄
膜の平均バンドギャップはともに1.75(eV)であ
った。次にa−Si:H薄膜上に膜厚0.2μmのCr
からなる1対の櫛型電極を真空蒸着法で形成し、導電率
を測定した。まずダークボックスの中で電極に1.0V
に印加し、暗導電率(σd)を測定した。同様に、Xe
ランプを光源とする類似太陽光(ソーラーシュミレータ
ー、100mW/cm2、スペクトルAM1.5)を用
いて光導電率(σd)を測定した。測定の結果、暗導電
率では実施例1のほうが小さく(σdj<σdh)、光導電
率では実施例1のほうが大きく(σpj>σph)、その比
(R:σp/σd)ははるかに実施例1のほうが大きかっ
た。(Rj》Rh)。
【0060】また一定光電流法(CPM)を用いてa−
Si:Hの価電子帯からの準位密度を測定したところ、
実施例1のほうがはるかに少ないことが分かった。以上
の評価により本発明の薄膜形成方法が従来の薄膜形成方
法よりも優れていることが分かった。また膜厚1.0
(基板中央)μmの薄膜を基板上に形成するために要し
た時間は実質25分で、従来にはない高い工程処理速度
で薄膜形成工程を終えた。
【0061】《実施例2》図1の薄膜形成装置を用いて
導電性薄膜であるZnO薄膜を形成した。該ZnO薄膜
は透明電極として用いられる。実施例1で用いたのと同
じガラス基板を10枚、そして両面を鏡面研磨したステ
ンレス基板を10枚、アセトンとIPAで超音波洗浄
し、実施例1と同様な手順でZnOからなる薄膜を1.
0μm形成した。その際の形成条件は基板温度が150
℃、加熱された液体ボンベから(CH 3 2Znを10
0sccm、NO2ガスを50sccm導入し、さらに
窓掃気ガスとしてHeを200sccm導入した。光源
としてArFのエキシマレーザーを用い、光強度を1M
W/cm2(192nm)に設定し、反射鏡を用いてレ
ーザー光を第1の真空容器A内部に導入し、この時反射
鏡の角度を時間変化させることによって基板全体に活性
領域が広がるようにした。その他の条件はMW電力を6
00W、活性領域内部の圧力を1.0Torr、MWプ
ラズマ内部の圧力を10mTorr、基板の移動速度を
30cm/分とした。カセット105に収納された基板
を取り出したところ、ZnOの薄膜が形成されているこ
とが分かった。
【0062】〈比較例2〉比較例1と同様に共有領域が
ない状態でZnO薄膜形成した。光源を図の左方向に移
動させ、活性領域とMWプラズマ領域を分離し、共有領
域を消滅させた以外は実施例2と同様にガラスおよびス
テンレス基板上にZnO薄膜を形成した。 〈評価2〉形成されたZnO薄膜を光学顕微鏡で観察し
たところ、比較例1の薄膜では端部から層剥離が僅かに
発生していることが分かった。接触針式膜厚計を用いて
ガラス基板上に形成されたZnO薄膜の膜厚分布を測定
したところ、どちらも基板中央の膜厚に体して端部の膜
厚は93%程度であることが分かった。また層剥離のな
いガラス基板上のZnO薄膜に対してバンドギャップを
分光光度計を用いて測定したところ、実施例2、比較例
2のZnO薄膜の平均バンドギャップはともに3.2
(eV)であった。次にステンレス基板に形成されたZ
nO薄膜上に膜厚0.2μm、2mmφのCrからなる
対向電極を真空蒸着法で形成し、ステンレス基板とこの
対向電極間に0.01Vを印加し、暗導電率(σd)を
測定した。測定の結果、暗伝導率は実施例2のほうが大
きい(σdj<σdh)ことが分かった。以上の結果から実
施例2の薄膜のほうが導電性薄膜、透明電極として優れ
ていることが分かった。
【0063】以上の評価により本発明の薄膜形成方法が
従来の薄膜形成方法よりも優れていることが分かった。
また膜厚約1.0(基板中央)μmの薄膜を基板上に形
成するために要した時間は実質25分で、従来にはない
高い工程処理速度で薄膜形成工程を終えた。 《実施例3》図1の薄膜形成装置を用いて絶縁性薄膜で
あるa−SiN:H薄膜を形成した。まず実施例2と同
じガラス基板を20枚、アセトンとIPAで超音波洗浄
し、実施例1と同様にして基板上にa−SiN:H薄膜
を形成した。形成条件としては基板温度を200℃、ガ
ス導入管よりSi2 6 ガスを50sccm、NH3
スを100sccm導入し、窓掃気ガスとしてArを1
00sccm導入した。光源をArFエキシマレーザー
に交換し、出力を2W/cm2 (波長193nm)に設
定し、実施例2と同様に反射鏡の角度を時間変化させる
ことによって基板全体に活性領域が広がるようにした。
MW電力を500W、活性領域内部の圧力を0.7To
rr、MWプラズマ内部の圧力が7mTorrになるよ
うにし、基板の移動速度を50cm/分とした。カセッ
ト105に収納された基板を取り出したところ、a−S
iN:Hの薄膜が形成されていることが分かった。
【0064】〈比較例3〉共有領域116が存在しない
状態でa−SiN:H薄膜を形成した。光源を図の左方
向に移動させ、活性領域とMWプラズマ領域を分離し、
共有領域を消滅させた以外は実施例3と同様にガラス基
板上にa−Si:H薄膜を形成した。 〈評価3〉形成されたa−Si:H薄膜を光学顕微鏡で
観察したところ、比較例1の薄膜端部から層剥離が僅か
に発生していることが分かった。接触針式膜厚計を用い
て膜厚分布を測定したところ、どちらも基板中央の膜厚
に対して端部の膜あたは90%程度であることが分かっ
た。次に実施例1と同様な櫛型電極を真空蒸着法で形成
し、暗導電率(σd)を測定した。ダークボックスの中
で電極間にAC5V(100kHz)を印加して、暗導
電率(σd)を求めたところ、実施例3のほうが小さく
(σdj<σdh)ことが分かり、絶縁性薄膜として優れて
いることが分かった。
【0065】以上の評価により本発明の薄膜形成方法が
従来の薄膜形成方法よりも優れていることが分かった。
また膜厚1.0(基板中央)μmの薄膜を基板上に形成
するために要した時間は実質15分で、従来にはない高
い形成速度で薄膜形成を終えた。 《実施例4》図2に示す薄膜素子製造装置を用いて太陽
電池を製造した。該装置は帯状且つ可とう性の基板20
7をロール状に巻き、送り出しロール208から巻き取
りロール209に向かって移動しつつ、第1の真空容器
A201、第2の真空容器B202、第3の真空容器C
203の内部でそれぞれ異なる性質の薄膜を同時に形成
するものである。真空容器A内部には2つの活性領域と
ひとつのMWプラズマ領域生起され、ひとつのMWプラ
ズマ領域204にふたつの活性領域205が共有領域2
06を僅かに残すようにして分離されている。さらにM
Wプラズマの中心には紙面と垂直にバイアス棒220が
設けられ、DC電力を印加できるようにした。また第2
の及び第3の真空容器B、CではRFプラズマCVD法
を実施することができるようになっている。また真空容
器D210、真空容器E211はそれぞれ送り出しロー
ル、巻き取りロールを収納するためのものである。これ
らの真空容器は図のように配置され、各真空容器は分離
通路212によって接続されている。該分離通路と帯状
基板との最短距離dは5mm、基板の移動方向に対する
長さLは300mmとし、L>50×dを満足するよう
にした。各分離通路には掃気ガスを導入するための導入
管213が接続され、掃気ガスは各真空容器に向かって
流れ、原料ガス群とともに各排気口から排気される。
【0066】図3は該装置を用いて製造される太陽電池
301で、帯状の支持体302上にAgからなる反射層
303、その上にZnOからなる透明導電層304、そ
の上にa−Si:H:Pからなるn層306、その上に
a−Siからなるi層307、その上にa−Si:H:
Bからなるp層308、その上にITO(In23、S
nO2)からなる透明電極309、その上にAgからな
る櫛型の集電電極310を積層して構成される。図2の
装置においては、太陽電池の素子特性を左右する最も重
要な層である図のn層、i層、p層を形成し、基板30
5としては支持体302上にAg反射層とZnO透明導
電層が形成されたものを用いた。
【0067】図2の装置を用いて図3の太陽電池を製造
する手順を以下に詳細に説明する。まず基板を作製し
た。両面を鏡面研磨した30cm×300m、厚さ0.
1mmの帯状ステンレス基板をアセトンとIPAで超音
波洗浄し、直径30cmのドラムに巻き付けた。次に、
一方の面にスパッタリング法で層厚0.3μmのAg反
射層と層厚2.0μmのZnO透明導電層を形成し、基
板の作製を終えた。
【0068】基板を巻き付けた送り出しロールを第4の
真空容器D210内部にセットし、各分離通路、各真空
容器内部を通して巻き取りロールを基板端部を巻き取ら
せた。基板のセットが終わったら、各コンダクタンスバ
ルブ214を全開にして、各真空容器に接続されている
真空排気ポンプで真空容器および分離通路内部を圧力が
1×10-4Torrになるまで真空排気した。次に各ヒ
ーター215を基板温度が所定の温度になるように設定
し、基板温度が安定したら、基板を矢印の方向に1m/
分の速度で移動させ、第1〜第3の真空容器A、B、C
に接続された原料ガス導入管216から所定の原料ガス
群を導入した。この時、第1の真空容器Aに導入する原
料ガス群は水銀の液体ボンベを通したものである。
【0069】第1の真空容器Aでは原料ガスの流れが活
性領域からMWプラズマ領域になるように工夫した。ま
た各掃気ガス導入管から掃気ガスとしてH2ガスを10
0sccm導入し、窓掃気ガスとしてH2ガスを100
sccm導入した。光源、窓は実施例1と同様なものを
用いた。次に実施例1と同様にして各真空容器内部に活
性領域およびMWプラズマ領域を生起し、さらにRF電
極224に不図示のRF電源からRF電力を印加し、R
Fプラズマを生起した。各コンダクタンスバルブを調整
して各領域内部の圧力が所定の圧力になるようにに、第
2の真空容器Bではn層を、第1の真空容器Aではi層
を、真空容器Cはでp層を形成していった。基板を巻き
終えたところで、活性領域、MWプラズマを消滅させ、
原料ガス群の導入を止め、ヒーターを切った。基板が室
温まで下がったところで掃気ガスおよび窓掃気ガスの導
入を止めて、装置全体にリークし、巻き取りロールを取
り出した。n層、i層、p層の形成条件は表1にまとめ
て記す。
【0070】
【表1】
【0071】次にp層上に真空蒸着法でITOからなる
透明電極を形成し、さらに15×15cm2の大きさに
切断し、透明電極上に真空蒸着法でAgからなる櫛型集
電電極を形成し、太陽電池の製造を終えた。 〈比較例4〉共有領域205、206が存在しない状態
でi層を形成して、太陽電池を製造した。光源をアプリ
ケーターから離す方向に移動させ、2つの活性領域とM
Wプラズマ領域を分離し、共有領域を消滅させた以外は
実施例4と同様に太陽電池を製造した。
【0072】〈評価4〉製造された太陽電池をランダム
に20個抽出して評価を行った。光学顕微鏡で観察した
ところ、比較例4の薄膜では端部から層剥離が僅かに発
生していることが分かった。次に実施例1と同じソーラ
ーシュミレーター(100mW/cm2、スペクトルA
M1.5)を用いて光電変換効率(η)を測定した。測
定は集電電極と基板との間に電圧を印加して、V−I曲
線をトレースすることによって得られる。その結果、光
電変換効率は実施例4のほうが大きかった(ηaj
ηah)。これは比較例4の太陽電池では端部で層剥離し
ているため、素子が僅かに短絡していることがひとつの
要因である。また短絡していない太陽電池を抽出してそ
の平均光電変換効率(ηa)を求めたところ、やはり実
施例4のほうが大きかった(ηaj>ηah)。これはpi
界面およびni界面における界面準位が減少したためだ
と考えられる。また実施例1と同様に一定光電流法(C
PM)を用いて短絡していない太陽電池のi層の準位密
度を測定したところ、実施例4のほうがはるかに少ない
ことが分かった。
【0073】以上の評価により本発明の薄膜形成方法が
従来の薄膜形成方法よりも優れていることが分かった。
また1分間あたりに製造された薄膜素子の量を発生する
電力で換算すると23W/分で、従来にはない高い製造
速度で薄膜素子を製造できた。 《実施例5》図2の装置の各分離通路に接続されている
掃気ガス導入管を取り出し、代わりに排気口を接続し
た。実施例4において掃気ガスを導入する代わりに排気
口より原料ガス群の一部を排気し、各原料ガス群が相互
拡散しないようにした以外は実施例4と同様にして太陽
電池を製造した。
【0074】〈評価5〉評価4と同様にして製造された
太陽電池をランダムに20個抽出して評価を行った。光
学顕微鏡で観察したところ、層剥離は発生していなかっ
た。次に実施例4と同様にして光電変換効率(η)を測
定したところ、光電変換効率はほぼ同じであった。また
短絡している太陽電池はなかった。
【0075】以上の評価により本発明の薄膜形成方法が
従来の薄膜形成方法よりも優れていることが分かった。
また1分間あたりに製造された薄膜素子の量を発生する
電力で換算すると21W/分で、従来にはない高い製造
速度で薄膜素子を製造できた。 《実施例6》MWプラズマに導入するマイクロ波の強電
界方向が平行となるようにして、太陽電池を製造した。
図2の装置においてマイクロ波の進行方向を紙面表側か
ら裏側に向かう方向に変え、強電界方向が基板と平行に
なるように導波管の取付角度を調整した以外は実施例4
と同様に太陽電池を製造した。
【0076】〈評価6〉評価4と同様にして製造された
太陽電池をランダムに20個抽出して評価を行った。光
学顕微鏡で観察したところ、層剥離は発生していなかっ
た。次に実施例4と同様にして光電変換効率(η)を測
定したところ、光電変換効率は実施例6のほうが良かっ
た。実施例4と同様にしてCPMの測定を行い、準位密
度を求めたところ、実施例4よりも僅かに少ない結果が
得られた。また短絡している太陽電池はなかった。
【0077】《実施例7》分離通路に第1の原料ガスA
を構成するガスを導入して太陽電池を製造した。導入す
る掃気ガスとして各導入管からSiH4 ガスを50sc
cm導入する以外は実施例4と同様な方法で太陽電池を
製造した。 〈評価7〉評価4と同様にして製造された太陽電池をラ
ンダムに20個抽出して評価を行った。光学顕微鏡で観
察したところ、層剥離は発生していなかった。次に実施
例4と同様にして光電変換効率(η)を測定したとこ
ろ、光電変換効率はほぼ同じであった。また短絡してい
る太陽電池はなかった。
【0078】《実施例8》図4に示す薄膜素子製造装置
を用いて図5に示すフラットパネルディスプレイ用の液
晶駆動パネルを製造した。図5のパネルは30×20c
2の基板に600×400個の画素を有するものであ
る。図4の装置は図2の装置の第1の真空容器Aを3つ
接続したもので、本発明の薄膜形成方法を図4の第1〜
第3の真空容器A、B、Cで実施することができる。ま
た第4及び第5の真空容器D、Eでは基板を送り出した
り、収納することができ、分離通路と第4及び第5の真
空容器D、Eも間にはゲートバルブ420があり、ロー
ドロック式となっている。これらの真空容器は図2と同
様な分離通路を介して接続されており、基板407は図
示すように、これらの真空容器および分離通路の内部を
移動することができる。基本的な使用方法は図1および
図2の装置と同様であるが、第4及び第5の真空容器
D、Eがロードロック式となっているため、第1〜第3
の真空容器A、B、Cを減圧にした状態で、第4及び第
5の真空容器D、Eをリークし、基板のセッティングと
取り出しが可能となっている。光源417には低圧水銀
ランプ、窓424にはLiFを用いた。
【0079】図6は図5のTFTを形成する際の工程を
順に説明するもので、TFT部の断面形状を示した。工
程の概略は次のようなフローとなる。 (a)基板上にゲート電極を形成し、フォトリソ工程に
よって台形にする。 (b)本発明の薄膜形成方法を用いて、ゲート絶縁層、
i層、n層を形成する。 (c)フォトリソ工程によってTFT部以外のi層、n
層を除去 (d)ゲート絶縁層上に透明電極を形成する。 (e)ソース・ドレイン電極を形成する。 (f)フォトリソ工程によってソース・ドレイン電極を
分離し、n層も分離する。 (g)保護層を形成する。
【0080】まず、30×20cm2、厚さ1.0mm
のガラス基板をアセトン、IPAで超音波洗浄器、スパ
ッタリング法でMo−Ta合金からなる巻く厚50nm
のゲート電極を形成し、フォリソ工程、ドライエッチン
グ(DE)工程を用いて図のように台形にパターニング
した。この際、エッチングガスとしてはCF4 /O2
スを用い、流出比を時間変化させることで台形形状を形
成することができる。これで基板の作製を終えた。
【0081】次に図4の装置を用いて(b)の工程を実
施した。以下に詳細に説明する。予め、ゲートバルブ4
20、421を閉じてあり、第1〜第3の真空容器A、
B、Cは減圧にした状態となっている。まず、ゲート電
極が形成された基板を100枚、ゲート電極が形成され
ている面を下にして第4の真空容器Dにセットした。次
に第4及び第5の真空容器D、Eを不図示の真空排気ポ
ンプで真空排気し、圧力が1×10-5Torrとなった
ら、ゲートバルブ420、421を開け、ヒーターを設
定した。基板温度が所定の温度で安定したら、掃気ガス
としてHeガスを各分離通路に流し、窓掃気ガスとして
Heガスを各窓掃気ガス導入管に流し、さらに各真空容
器に原料ガス群を導入した。
【0082】次に実施例4と同様に各真空容器内部にそ
れぞれ活性領域およびMWプラズマを生起し、基板を移
動速度70cm/分で移動させた。原料ガスは水銀の液
体ボンベを通したものである。第1の真空容器Aではa
−SiNからなる層厚400nmのゲート絶縁層を、第
2の意真空容器Bではa−Si:Hからなる層厚100
nmのi層(活性層)を、第3の真空容器Cではa−S
i:H:Pからなる層厚40nmのn層(コンタクト
層)を形成した。形成条件は表2にまとめて示した。
【0083】
【表2】
【0084】次にi層とn層をフォトリソ工程とウェッ
トエッチング工程を用いて、図6−(c)のようにパタ
ーニングした。ウェットエッチング工程にはHF+HN
3 +CH3COOHからなるエッチングを用いた。次
に真空蒸着法を用いてAlからなる膜厚4000Aのソ
ース・ドレイン電極を形成し、フォトリソ工程、ウェッ
トエッチング工程を用いて図6−(f)のようにパター
ニングし、ソース電極とドレイン電極を分離し、さらに
n層(コンタクト層)も分離した。ソース電極とドレイ
ン電極のエッチャントとしてはH3PO4+HNO3を使
用し、n層のエッチャントとしてはHF+HNO3+C
HCOOHを使用した。
【0085】次に図6−(g)に示す用にa−Si:H
からなる層厚400Aの保護層を実施例3と同様にして
図1の装置で形成した。フォトリソ工程、ドライエッチ
ング工程を用いてゲートバスライン、ソースバスライン
に通ずるコンタクトホールを空けた。エッチングガスと
してはBC13+C12ガスを用いた。以上で液晶駆動パ
ネルの製造を終えた。
【0086】〈比較例8〉比較例1と同様にすべての活
性領域をMWプラズマから隔離し、共有領域406がな
い状態でゲート絶縁層、i層、n層を形成シた。活性領
域とMWプラズマを隔離する以外は実施例8と同様にし
て液晶駆動パネルを製造した。 〈評価8〉以上、製造した液晶駆動パネルのうちから任
意に10枚づつ抽出し、TFT素子特性を測定した。ド
レイン電圧を5.0Vにして、ゲート電圧として0Vと
20Vを印加したときのドレイン電流を測定したとこ
ろ、オン・オフ比(Ivg=20/Ivg−0)は実施例8
のTFTでは平均8×106で、比較例8のTFTでは
平均2×106であった。
【0087】以上の評価により本発明の薄膜形成方法が
従来の薄膜形成方法よりも優れていることが分かった。
また1時間あたりに製造された薄膜素子の量は120枚
で、従来にはない製造速度で薄膜膜素子を形成できた。
【0088】
【発明の効果】本発明の薄膜形成方法によれば、基体上
に薄膜を形成されてなる薄膜素子の素子性を従来のもの
より向上させ、且つ薄膜素子のスループットを向上させ
ることができるものである。さらにこのことにより、薄
膜素子のコストダウンを達成することができるものであ
る。詳細には、スループットを向上しつつ、基体との界
面準位、内部応力を減少させることができる。
【0089】さらに、本発明の薄膜形成装置によれば、
素子特性を従来のものより向上させ、且つスループット
を向上させた薄膜を製造することができるものである。
さらにこのことにより、薄膜素子のコストダウンを達成
することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜形成装置の概略図
【図2】薄膜紙素子製造装置の概略図
【図3】太陽電池の概略図
【図4】薄膜素子製造装置の概略図
【図5】液晶駆動パネルの概略図
【図6】液晶駆動パネル製造工程
【符号の説明】
101 第1の真空容器A 102 排気口 103 基板 104、105 カセット 106 石英窓 107 光源 108 原料ガス群Aのガス導入管 109 コンダクダンスバルブ 110 マイクロ波導入窓 112 アプリケーター 113 導波管 114 MWプラズマの領域 115 活性領域 106 窓 109 コンダクタンスバルブ 114,115 領域 115 活性領域 116 共有領域 117 不活性領域 118 ハロゲンヒーター 202 第2の真空容器 203 第3の真空容器 207 基板 208 送り出しロール 209 巻き取りロール 204 MWプラズマ領域 205 活性領域 206 共有領域 201 第4の真空容器 211 第5の真空容器 212 分離通路 213 導入管 220 バイアス棒 301 太陽電池

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一種以上の第1の原料ガス群を導入する
    ための手段を備えた、内部を減圧にすることができる第
    1の真空容器と、マイクロ波(以下『MW』当略記す
    る)プラズマを発生させるための手段と、可視光または
    紫外光のエネルギーによって第1の原料ガス群を分解し
    て活性種を発生させるための手段とを有し、 該第1の真空容器内には、MWプラズマの存在するMW
    プラズマ領域用の空間と、可視光または紫外光のエネル
    ギーによって第1の原料ガス群を分解して生成された活
    性種が存在する活性領域用の空間とが互いに分離されて
    形成されているとともに、前記両空間の一部を連通する
    MWプラズマと活性種とを共有する共有領域用の空間が
    形成されており、 さらに、前記活性領域用の空間、共有領域用空間および
    MWプラズマ領域用の空間に順次沿って基体を移動させ
    るための手段を有していることを特徴とする薄膜形成装
    置。
  2. 【請求項2】 内部を減圧状態にすることができる第1
    の真空容器の内部に一種以上の第1の原料ガス群を導入
    し、該第1の真空容器内部に、MWプラズマの存在する
    MWプラズマ領域と、可視光または紫外光のエネルギー
    によって第1の原料ガス群を分解して生成された活性種
    が存在する活性領域とを互いに分離して形成するととも
    に、MWプラズマと活性種とを共有する共有領域を形成
    し、前記活性領域、共有領域およびMWプラズマ領域に
    沿って基体を順次移動させながら該基体上に薄膜を形成
    することを特徴とする薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記MWプラズマ領域内部の圧力を前記
    活性領域内部の圧力よりも小さくし、前記第1の原料ガ
    ス群の少なくとも一部は前記第1の真空容器内を前記活
    性領域から前記MWプラズマ領域に向かって流れるよう
    にして薄膜を形成することを特徴とする請求項2記載の
    薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記基体は帯状、且つ可とう性を有し、
    薄膜形成中、前記基体の長手方向に連続的に移動させる
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の真空容器の外部に、帯状基体
    が内部を移動することができる分離通路を介して第2の
    真空容器を接続し、該分離通路の断面は基体断面と実質
    的に相似であり、前記分離通路の内壁と前記基体との最
    短距離dは1〜10mm、帯状基体の移動方向に対する
    長さLはL>50×dなる関係を満たし、且つ第2の真
    空容器では第1の原料ガス群には含まれない原料ガスを
    有する一種または複数種の第2の原料ガス群を用いて前
    記薄膜とは性質の異なる別の薄膜を同一の帯状基体上に
    積層することを特徴とする請求項4記載の薄膜形成方
    法。
  6. 【請求項6】 前記分離通路に掃気ガスを導入し、該掃
    気ガスは前記分離通路から第1の真空容器または/およ
    び第2の真空容器に向かって流れるようにしたことを特
    徴とする請求項5記載の薄膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記掃気ガスは不活性ガス、第1の原料
    ガス群を構成するガス、第2の原料ガス群を構成するガ
    スの中から選ばれたガスであることを特徴とする請求項
    6記載の薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】 前記分離通路に排気口を設け、該排気口
    より第1の原料ガス群または/およびだ2の原料ガス群
    の一部を排気することを特徴とする請求項5記載の薄膜
    形成方法。
  9. 【請求項9】 前記MWプラズマに導入するマイクロ波
    の強電界方向が前記基体と実質的に平行となっているこ
    とを特徴とする請求項2〜8記載のいづれかの薄膜形成
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項2〜9記載のいずれかの薄膜形
    成方法を用いて作製されたpin接合または/およびp
    n接合を有することを特徴とする半導体素子。
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