JPH06201752A - 事故点標定機能付ガス圧力監視装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス圧力計の動作状態を常時相互に監視し
て、実際に不具合となる前に必要な処置がとれることで
信頼性が向上し、事故時に発生する圧力変化を大きな幅
として検出することにより検出上の誤りを防止し、事故
点を標定することが可能であり、これらのデータを記録
することができる事故点標定機能付ガス圧力監視装置を
提供する。 【構成】 ガス絶縁開閉装置ＧＩＳの各ガス区画に、そ
れぞれ２種類のガス圧力計３ａ，３ｂ，３ｃと４ａ，４
ｂ，４ｂ，４ｄを設ける。ガス圧力計３ａ，３ｂ，３ｃ
は、真空〜最大使用圧力をカバーして計測できる計測範
囲の広いもので、その他のガス圧力計４ａ，４ｂ，４
ｂ，４ｄは、いずれもガス区画内の定格圧力に近い±１
ｋｇｆ／ｃｍ² 程度の圧力を計測範囲とする事故検出感
度の良いものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電力系統制御に用いら
れるガス絶縁装置のガス圧力監視及び事故点標定におい
て利用される事故点標定機能付ガス圧力監視装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】最近の送変電機器としては、密閉された
金属容器内にＳＦ6 ガスなどの絶縁性に優れたガスを封
入し、この金属容器内に高電圧導体や開閉用の接点など
の充電部を、絶縁状態で支持したガス絶縁機器が広く使
用されている。このガス絶縁機器には、ガス絶縁母線、
変圧器、遮断器や断路器などの開閉機器などがあり、ま
た各種の開閉機器を組み合わせて構成されたガス絶縁開
閉装置もその一つである。 この様なガス絶縁装置にお
いては、封入した絶縁ガスを一定の圧力下に保つため
や、機器内で生じた絶縁破壊などによる事故を早期に発
見しその位置を特定するために、各種の監視装置が設け
られるのが常である。図４及び図５は、ガス絶縁機器と
してガス絶縁開閉装置に適用した場合の監視装置の一従
来例を示すものである。

【０００３】図４に示すように、ガス絶縁開閉装置ＧＩ
Ｓは、遮断器３０、母線断路器３１、線路側断路器３
２、接地開閉器３３、変流器３４などにより構成され、
これらの各機器は絶縁スペーサＳによっていくつかのガ
ス区画に分けられ、それぞれのガス区画には定格圧力の
ＳＦ6 ガスが封入されている。それぞれのガス区画に
は、バルブ３５を介して、ガス圧力計３６及び密度スイ
ッチ３７が取り付けられ、これらのガス圧力計のための
バルブ３８も接続されている。また、密度スイッチ３７
は、図５に示すように、周囲温度を検出する感温部３
９、ガス圧力計測部４０及び換算接点出力部４１により
構成されている。

【０００４】このガス絶縁開閉装置において、各ガス区
画のガス圧力の低下すると、それに伴いガス圧力計３６
の表示値が低下する。同時に、密度スイッチ３７は、感
温部３９で検出した周囲温度と、ガス圧力計測部４０で
検出したガス区画内圧力とを換算接点出力部４１で換算
し、定格圧力を下回っている場合には、換算接点出力部
４１の接点が閉じることで、上位装置４２がガス圧力低
下警報を出力する。

【０００５】一方、ガス絶縁開閉装置ＧＩＳ内部での事
故点標定方法としては、遮断器３０に隣接した変流器３
４の出力の差分を分析することにより行う方法と、各ガ
ス区画毎に設けられた圧力継電器４３が事故時に発生す
る圧力波を検知することにより行う方法とが一般的であ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な従来技術においては、次のような問題があった。 （１）ガス圧力計は各ガス区画に１個であり、ガス圧力
計が正常かどうか判定できない。 （２）巡視などによりガス絶縁開閉装置のガス漏れを長
期的に見て判定する時は、莫大な記録を必要とした。

【０００７】（３）事故点を標定する方法として変流器
の出力の差分を分析する方法では、変流器出力を演算す
るために遅れが発生すると共に、変流器自体に不具合が
あった場合に異常判定することがあった。

【０００８】（４）圧力継電器による事故点の評定で
は、事故時に圧力継電器が動作することは当然である
が、遮断器のようにガス圧力変化の著しいガス区画には
圧力継電器を事故点標定として使用できず、圧力継電器
が正常に動くかどうか判定できない。 （５）圧力継電器は特殊品であり、高価かつ取扱いに難
がある。

【０００９】本発明は上記のような従来技術の問題点を
解決するために提案されたもので、その目的は、圧力計
及び事故標定器相互の状態確認が可能で、ガス圧力変化
を定常的に計測でき、しかも、事故点を機器の状態に左
右されず検出できる、簡単な構造で取扱が容易な事故点
評定機能付ガス圧力計測装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の事故点評定機能付ガス圧力計測装置は、
ガス絶縁装置の同一ガス区画に計測範囲の異なる複数個
のガス圧力計を設け、そのうち少なくとも１個が広い計
測範囲を有するものであって、その他の圧力計はガス絶
縁開閉装置の定格圧力付近を計測範囲とするものであ
り、前記各ガス圧力計を、その出力を常時比較してガス
圧力計自体並びにガス区画内におけるガス圧力の異常を
検出する異常判定装置と、ガス区画内で事故が生じた場
合に複数のガス圧力計の圧力変化の時間差から事故点を
評定する事故点評定装置に接続したことを特徴とする。

【００１１】

【作用】上記のような構成を有する本発明においては、
複数のガス圧力計の出力を比較することでガス圧力計の
異常を判定できる。また、ガス圧力計の少なくとも一つ
は、定格圧力近傍よりも幅の広い計測範囲を有するか
ら、長期間の使用やシール不全によるガス圧力の低下を
検出することができる。一方、定格圧力に近い計測範囲
を有するガス圧力計によれば、事故時にガス絶縁開閉装
置内部に発生するわずかなガス圧力変化を拡大して検出
することで、事故の誤検出を防止することができる。さ
らに、複数のガス圧力計の位置の差により、事故時に生
じるガス圧力変化に時間差が生じることから、ガス圧力
計と事故点までの距離を検出することが可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１ないし図３に
従って具体的に説明する。なお、図４に示した従来技術
と同一の部分に付いては同一の符号を付し、説明は省略
する。

【００１３】本実施例において、ガス絶縁開閉装置ＧＩ
Ｓの各ガス区画には、それぞれ２種類のガス圧力計３
ａ，３ｂ，３ｃと４ａ，４ｂ，４ｂ，４ｄが設けられい
る。このうち、ガス圧力計３ａ，３ｂ，３ｃは、真空〜
最大使用圧力をカバーして計測できるものであり、その
他のガス圧力計４ａ，４ｂ，４ｂ，４ｄは、いずれもガ
ス区画内の定格圧力に近い±１ｋｇｆ／ｃｍ² 程度の圧
力を計測範囲とするものである。これらの２種類のガス
圧力計は、各ガス区画ごとに少なくとも１種類づつ設け
る必要があるが、特に故障点の評定を行う母線１０部分
のガス区画においては、１個の計測範囲の広いガス圧力
計３ｃと、定格圧力近傍の計測範囲を有する２個のガス
圧力計４ｃ，４ｄを設ける。そして、２個のガス圧力計
４ｃ，４ｄは一定の距離を保って設ける。

【００１４】すべてのガス圧力計３ａ，３ｂ，３ｃ，４
ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄは、いずれもその計測値がケーブ
ルなどを介して上位計測装置６へ出力され、計測装置６
ではガス圧力計４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄからの信号と３
ａ，３ｂ，３ｃからの信号とが同一計測レベルとなるよ
う換算し、換算された信号は判定装置７により信号が妥
当かどうか判定し、ガス圧力計の動作が異常と判定され
た場合には警報出力装置８に出力する。同時に、ガス圧
力の記録が記録装置９になされる。即ち、一つのガス区
画に複数のガス圧力計が必ず設けられているので、ガス
圧力の低下などの異常があった場合には、両方のガス圧
力計がそれを検出するはずである。それにもかかわら
ず、一方のガス圧力計のみが異常を検出した場合には、
ガス圧力計の異常を考慮する必要が生じる。

【００１５】一方、ガス絶縁開閉装置のうち母線１０区
画の特定点１１に事故が発生した場合、ガス圧力波１１
が発生し、ガス圧力計３ｃ，４ｃ，４ｄに圧力変化が発
生する。この圧力変化は図３−Ａに示すようなものであ
り、ノイズ除去処理を施すことにより図３−Ｂに示すよ
うな変化となる。一方、定格圧力に近い測定範囲の小さ
なガス圧力計４ｃ，４ｄの出力の変化は、ガス圧力計３
ｃの変化と比べて十分大きく、一般的に地絡時に発生す
るガス圧力の変化と言われる０．１５ｋｇｆ／ｃｍ2 程
度の変化を、計測スケールの１０％程度の変化として検
出できる。そこで、ガス圧力計４ｃ，４ｄの間の圧力波
形の変化発生時差△ｔ1 ，△ｔ2 を判定装置７にて読み
取り、ガス圧力計４ｃ，４ｄの間の距離と圧力波形の変
化発生の時間差を演算器１２にて演算することにより、
事故点表示装置１３に事故点を示すことができる。

【００１６】上記のような本実施例の構成および作用に
より、ガス圧力計の故障なのかガス圧力の異常変化なの
かが特定でき、またガス圧力のデータを長期的保管する
ことができる。さらに、事故発生時においては、圧力の
変化を検出することで事故区画を特定できるため標定性
能が向上し、なおかつ、ガス圧力計の異常を常時監視し
ているので検出装置自体の妥当性も判定できる。

【００１７】本発明は上記の実施例に限定されるもので
はなく、たとえば図中４ａ，４ｂのような計測範囲の狭
いガス圧力計はガス区画の大きさに応じて数の増減を行
って良い。また、図示の実施例では、遮断器３０のある
ガス区画や、断路器３２や接地開閉器３３があるガス区
画については、計測範囲の狭い圧力計は４ａ，４ｂのみ
しか設けられていないが、母線部分のように複数個の計
測範囲の狭いガス圧力計を設けることもできる。

【００１８】

【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、ガス圧力
計の動作状態を常時相互に監視できるため、実際に不具
合となる前に必要な処置がとれるなど計測作業時におけ
る保守性や信頼性が向上するだけでなく、事故時に発生
する圧力変化を大きな幅として検出できるため検出上の
誤りを防止し、事故点を標定することが可能であり、こ
れらのデータを記録することができる事故点標定機能付
ガス圧力監視装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のガス圧力監視装置の一実施例を示す配
置図。

【図２】図１の装置の構成を示すブロック図。

【図３】図１の装置における事故発生時のガス圧力によ
る事故点検出の機能を説明する図。

【図４】従来のガス圧力監視装置の一例を示す配置図。

【図５】図４の装置に使用されている密度スイッチ内部
の構成を説明するブロック図。

【符号の説明】

３ａ，３ｂ，３ｃ…ガス圧力計 ４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ…ガス圧力計 ６…計測装置 ７…判定装置 ８…警報出力装置 ９…記録装置 １０…母線、 １１…事故発生点 １２…演算器 １３…事故点表示装置 ３０…遮断器 ３１…母線断路器 ３２…線路側断路器 ３３…接地開閉器 ３４…変流器 ３５ａ，３５ｂ，３５ｃ…バルブ ３６ａ，３６ｂ，３６ｃ…圧力計 ３７ａ，３７ｂ，３７ｃ…密度スイッチ ３８ａ，３８ｂ，３８ｃ…バルブ ３９…感温部 ４０…ガス圧力計測部 ４１…換算接点出力部 ４２…上位装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス絶縁装置の同一ガス区画に計測範囲の
   異なる複数個のガス圧力計を設け、そのうち少なくとも
   １個が広い計測範囲を有するものであって、その他の圧
   力計はガス絶縁装置の定格圧力付近を計測範囲とするも
   のであり、 前記各ガス圧力計を、その出力を常時比較してガス圧力
   計自体並びにガス区画内のガス圧力の異常を検出する異
   常判定装置と、ガス区画内での事故時に複数のガス圧力
   計の圧力変化の時間差から事故点を評定する事故点評定
   装置に接続したことを特徴とする事故点標定機能付ガス
   圧力監視装置。