JPH06200289A - 天然粗ワックスの精製方法 - Google Patents

天然粗ワックスの精製方法

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JPH06200289A
JPH06200289A JP36020792A JP36020792A JPH06200289A JP H06200289 A JPH06200289 A JP H06200289A JP 36020792 A JP36020792 A JP 36020792A JP 36020792 A JP36020792 A JP 36020792A JP H06200289 A JPH06200289 A JP H06200289A
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wax
solvent
solid
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natural crude
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JP36020792A
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Yutaka Arai
裕 新井
Koji Fujimura
耕治 藤村
Toshiharu Fusano
俊治 房野
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Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 新規な天然粗ワックスの精製方法を提供す
る。 【構成】 不溶性高密度物質を含む天然粗ワックスに3
〜30重量倍の溶剤を加え、ワックスの融点の上下20
℃の温度範囲に加温することによりワックス分を溶解
し、次いで冷却することによりワックス固形分を析出さ
せ、回収したワックス固形分中の溶剤含有量が50〜9
0%になるように個・液分離操作により該固形分を分離
・回収する工程を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然粗ワックスの精製方
法に関する。更に詳しくは天然粗ワックスを溶剤を用い
て精製し、各種ワックスの用途分野において適したワッ
クス材料とするための天然粗ワックスの精製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、天然粗ワックスの精製方法として
は、溶剤を用いて溶解し、更にこれを濾過することによ
り天然粗ワックスが含有する樹脂分を除去したり(特開
平2−279794号公報)、粗ワックスを一旦有機溶
剤に溶解してから冷却してワックス分を析出させ、これ
を単に濾過した後、濾取したワックス分を蒸留して溶剤
を回収する方法(特開平2−150496号公報)など
があり、主として天然ワックスの中でも特徴のあるカル
ナウバワックスやキャンデリラワックスなどに応用され
てきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来法のように単純な濾過工程による方法では、各種天然
粗ワックスが含有する不純物を十分に除去することは困
難であるため、少なくとも2回以上、同じ精製工程を繰
り返さざるを得なかった。ところが、天然粗ワックスの
性質はその組成によって著しく変化するため、単純に溶
剤に溶解して析出操作や濾過操作を行うのみでは、残留
する不要成分の含有量を一定値以下に減少させることは
困難である。従って、上記のような方法では均質なワッ
クスが得られず、回収率や製品の品質に問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる事情に鑑み、本発
明者らは天然粗ワックスの精製処理過程において精製ワ
ックスの性質を不安定にする有害な成分の特定およびそ
れらの有効な除去方法について鋭意検討を重ねた結果、
不要な成分は天然粗ワックス中に含有される樹脂状成
分、グリセライド類、遊離の不飽和脂肪酸分、遊離のス
テロール分、およびこれら脂肪酸とステロールの結合し
たステロールエステル分であることを見出し、 かつ下
記工程(I)を行った後に工程(II)を行うことにより
効果的に上記不要成分を除去し得ることを見出して、均
質な天然ワックスを工業的に製造する方法を確立し、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明の第1は、
下記工程(I)からなることを特徴とする天然粗ワック
スの精製方法に関する。 工程(I):不溶性高密度物質を含む天然粗ワックスに3
〜30重量倍の溶剤を加え、同ワックスの融点の上下2
0℃の温度範囲に加温することによりワックス分を溶解
し、次いで冷却することによりワックス固形分を析出さ
せ、回収したワックス固形分中の溶剤含有量が50〜9
0%になるように固・液分離操作により該固形分を分離
・回収する工程。また、本発明の第2は下記工程
(I)、工程(II)および工程(III)からなることを特
徴とする天然粗ワックスの精製方法に関する。 工程(I): 不溶性高密度物質を含む天然粗ワックスに
3〜30重量倍の溶剤を加え、同ワックスの融点の上下
20℃の温度範囲で加温することによりワックス分を溶
解し、次いで冷却することによりワックス固形分を析出
させ、回収したワックス固形分中の溶剤含有量が50〜
90%になるように固・液分離操作により該固形分を分
離・回収する工程、 工程(II): 工程(I)で得たワックス固形分に3〜2
0重量倍の溶剤を加え、ワックスの融点の上下20℃の
温度範囲に加温することによりワックス分を溶解し、同
温度範囲に保持しながら固・液分離操作により溶液から
不溶性高密度物質を含む溶剤不溶解分を分離・除去する
工程、および 工程(III):工程(II)で得たワックス溶液から溶剤を
除去することにより精製ワックスを分離・回収する工
程。
【0005】以下本発明を更に説明する。初めに天然粗
ワックス中の不要成分について説明する。これらは上記
のように樹脂状成分、グリセライド類、遊離の不飽和脂
肪酸分、遊離のステロール分、およびこれら脂肪酸とス
テロールの結合したステロールエステル分からなり、ワ
ックスの結晶化を妨げて硬さを損なう。また、上記物質
のうち低融点を有するものはワックス全体の融点を低下
させる原因となる。不飽和結合を含有するものなど構造
自体が熱や酸化性雰囲気等に対して不安定な成分は、ワ
ックスの不安定性の原因となるものである。本発明の天
然粗ワックスの精製方法は、植物系、動物系を問わず天
然粗ワックスであればいずれにも適用できるものであ
る。例えば砂糖黍ワックス、ビーズワックス、ライスワ
ックス、カルナウバワックスおよびキャンデリラワック
スなどの植物系ワックス;鯨ロウ、または羊毛ロウなど
の動物系ワックスなど天然に産出して精製が必要な粗ワ
ックスが例示される。なかでも本発明の方法が好適に採
用されるワックスは植物系ワックスであり、更に好適に
は砂糖黍からの粗ワックスである。
【0006】ここで、砂糖黍粗ワックスの代表的な製法
を示す。粗糖製造工程において砂糖黍を圧搾して絞り取
った砂糖ジュースを静置すると、ジュース上部に主とし
て繊維分と油脂分とからなる浮遊物が浮上してくる。こ
れを濾過分離して得られるフィルターケーキを乾燥し、
乾燥ケーキを得る。この乾燥ケーキに対して抽出溶媒と
して軽質有機溶剤、例えば炭化水素を用い抽出を行う。
抽出が終了した後、直ちに濾過を行ない、濾過残渣を分
離除去する。濾液を静置して下層の水層を分離し、溶剤
層を蒸留して、溶剤を除去すれば砂糖黍粗ワックスが得
られる。更に、砂糖黍の茎表面を掻き取り、温熱水浴あ
るいは有機溶剤で抽出して得られる砂糖黍粗ワックスを
精製の対象とすることもできる。その他、精製を必要と
する天然粗ワックスであればいずれのものに対しても本
発明の精製法を適用することができる。
【0007】<工程(I)>本発明の天然粗ワックスの
精製方法の工程(I)においては、 天然粗ワックス中に
含有される不要成分であるグリセライド類や遊離の不飽
和脂肪酸分、遊離のステロール分、およびこれら脂肪酸
とステロールの結合したステロールエステル分等がワッ
クスの再結晶の際に結晶化し難いという性質を利用し
て、これら不要成分を溶剤中に溶解したままの状態で十
分に固・液分離することにより、ワックス中の不要成分
を効果的に除去することができ、その結果非常に優れた
ワックスを得ることができる。
【0008】更に、本発明の特徴の1つとして、 工程
(I)を工程(II)に先立って行うことが挙げられる。
上記のように、天然粗ワックス中には樹脂状成分がある
程度含まれており、同成分はワックスを溶剤に溶解して
静置すると自然に沈降することからわかるように、比重
がワックス溶液よりも大きいものである。そこで天然粗
ワックスに溶剤を加えてワックス分を均一に溶解し、樹
脂状成分が溶解せずに懸濁している状態にしてから、そ
のままこれを緩速撹拌しながら冷却してワックス分を析
出させることにより、樹脂状成分とワックス分の混合し
たワックス固形分の沈澱が形成される。このワックス固
形分は樹脂状成分を含むために密度が大きく、溶液との
密度差が樹脂状成分を含まない場合よりも大きくなる。
また、樹脂状成分がワックス晶出の際の核となり、粒子
の大きい結晶が得られる。このように溶液とワックス固
形分とからなるスラリー液を固・液分離することによ
り、効果的に溶液とワックス固形分とに分離することが
できる。分離の方法としては、密度差を利用した沈降分
離、特に遠心沈降分離が効果的であり、また、樹脂状成
分を含むことにより結晶粒子が強固であるため、濾過分
離、特に真空濾過や遠心濾過分離などを適用することが
できる。このようにしてワックス固形分と分離された溶
液中には、ワックスの硬さを損なう不要成分が選択的に
含まれており、分離回収したワックス固形分はハードワ
ックスとしての性能が向上する。
【0009】しかしながら、上記樹脂状成分の含有量が
少なすぎたり、あるいは精製分離を更に高度に行うこと
が必要である場合には、単に工程(I)を工程(II)に先
立って行うのみでは不十分である。そのため、本発明の
工程(I)においては、 溶剤に不溶性の高密度物質を添
加する。この不溶性の高密度物質は、上記樹脂状成分と
同様な効果を発揮するものである。すなわち、同高密度
物質はワックス晶出の際の核となり、粒子の大きい結晶
を形成する。また溶液とワックス固形分とからなるスラ
リー液を固・液分離することにより、効果的に溶液とワ
ックス固形分とに分離することができる。従って、たと
え粗ワックス中の樹脂状成分の含有量が少ない場合であ
っても、本発明の方法により溶剤に不溶性の高密度物質
を添加すれば、効果的な精製が可能となる。
【0010】ここで添加する不溶性高密度物質は、ワッ
クス固形分の密度を増加させるものであることが要求さ
れ、少なくともワックスと同等以上の密度を有すること
が必要である。このような不溶性高密度物質は、用いる
溶剤に実質的に溶解せず、かつワックスも密度と同等以
上の密度を有するものであればいずれのものも使用する
ことができ、特に限定されない。またこの物質は、単な
る凝結剤あるいは凝集剤の役割のみならず媒晶剤として
の働きも有するものである。
【0011】通常、不溶性高密度物質として無機物質を
使用することができ、例えばアルミニウム、珪素、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウ
ム等の金属の酸化物、塩化物、硫化物等、更に炭酸塩、
硫酸塩等の塩類が例示される。いずれも粒径0.1μm
〜10mmのものが使用され、その添加量は0.1〜5
0重量%の範囲である。上記不溶性高密度物質はワック
ス中の着色成分を吸着する機能を有するものでもよい。
このような物質の例としては多孔質の金属酸化物などが
あり、具体的には結晶性アルミノシリケートであるゼオ
ライトなど、およびアルミナ、チタニア、ジルコニア、
マグネシアなど吸着剤として従来公知の金属酸化物など
が挙げられる。 また、必要に応じて有機系の吸着剤や
活性炭などを使用することもできるが、これらの物質が
ワックス溶液よりも大きい密度を持つように、更に添加
物を加えるなどの処理が必要となる。更に、消石灰等の
アルカリ性固形物などのように、ワックス中の酸性物質
を中和する機能を併有するものであってもよい。以上の
不溶性高密度物質は、 少なくとも工程(I)においては
安定にワックス固形物を形成し、工程(II)においては
溶剤不溶解分としてワックスから分離され得るものであ
る。
【0012】本発明の天然粗ワックスの精製方法の工程
(I)においては、 原料ワックスに3〜30重量倍の溶
剤を加え、加温してワックス分を溶解した後、これを冷
却し、析出させたワックス固形分をワックス固形分中の
溶剤含有量が50〜90%になるように固・液分離する
ことが必要である。ワックスを溶解する溶剤の量は、原
料ワックスの重量に対して3〜30倍量、より好ましく
は5〜20倍量を用いる。溶剤の量がワックスに対して
3重量倍より少ない場合には、冷却により析出したワッ
クスと溶剤との固・液分離が事実上困難となり、不要成
分を分離することができない。また、溶剤は多く用いる
ほど不要成分の除去率は向上するが、同時にワックス成
分の溶出量も多くなりワックス分の損失が増大するた
め、溶剤回収コストも考慮して実用的にはワックスに対
して30重量倍が限界である。なお、供給するワックス
が溶剤を含む場合には、含有される溶剤量も考慮して添
加する溶剤量を決定する。従って、溶剤量が不足すると
きは別途に添加し、過剰の場合には適宜の方法、例えば
蒸留などにより適量の溶剤量に調整して使用する。
【0013】工程(I)において、冷却によりワックス固
形分を析出させる際の温度は常温付近が用いられるが、
低ければ低いほどワックスの析出には有利である。しか
し、ワックスに対する溶剤の溶解性にもよるが、温度が
余り低すぎると不要成分が析出し、選択性が低下するた
め、通常は−10℃以上、好ましくは0℃以上の温度が
用いられる。また、冷却の際の温度が高すぎるとワック
ス固形分の析出が十分でなく、かつ析出したワックス固
形分中に溶剤が包含されやすくなるため、冷却温度は4
0℃以下でなければならない。
【0014】上記工程(I)においては、原料ワックス
を溶剤に溶解した後、 冷却して析出させたワックス固
形分を同固形分中の溶剤含有量が50〜90%になるよ
うに固・液分離を行う。固・液分離後のワックス固形分
中の溶剤含有量が90%より多い場合には、ワックスの
性質を不安定にする不要成分が十分に除去されておら
ず、製品ワックスの品質が低下する。また、ワックス中
の溶剤残留量は少なければ少ないほど好ましいが、装置
等の実用条件を考慮すると50%が限界である。それ以
上に溶媒を除去しようとすれば、精製のための時間およ
びコストが増大し、また均一な品質を得る目的からも好
ましいものではない。実用上はワックス固形分中の溶剤
含有量が60〜80%の範囲になるように固・液分離操
作を行なうとより好ましい結果が得られる。従って、本
発明の天然粗ワックスの製造方法の工程(I)において
は、 原料ワックスに3〜30重量倍、より好ましくは
5〜20重量倍の溶剤中で加温してワックス分を溶解し
た後、これを冷却して析出させたワックス固形分を、同
固形分中の溶剤含有量が50〜90%、好ましくは60
〜80%の範囲になるように固・液分離操作を行なう。
【0015】本発明の工程(I)において、 原料ワック
スを溶剤に溶解した後、冷却して析出させたワックス固
形分を同固形分中の溶剤含有量が50〜90%になるよ
うに固・液分離を行う方法としては、例えば通常の濾過
操作で使用する吸引濾過等を用いることもできるが、上
記の溶剤含有量に到達するにはかなりの時間を要するこ
とから、より強制的に固・液分離を行う方法が好まし
い。具体的には、遠心濾過装置や遠心分離機など遠心力
を用いて強制的に固形分と液体とを分離する装置、また
はフィルタープレスやベルトプレス、スクリュープレス
など圧力を加えて濾過する装置などを適用することが望
ましい。
【0016】ところで、 工程(I)から得られるワック
スそのままではワックス固形分中に一部の樹脂状成分や
別途に添加した溶剤に不溶の高密度物質が存在するた
め、更にこれらを除去する必要があり、このために次の
工程(II)を行なう。しかしながら、精製ワックスの用
途によっては、一部残留する樹脂状成分あるいは上記の
別途に添加した溶剤に不溶な高密度物質などが存在して
も特に障害にならない場合がある。このようなときには
工程(II)を用いなくてもよい。ただし、 工程(I)か
ら得られるワックスはワックス中の溶剤含有量が50〜
90%であるため、例えば蒸留などの常法により溶剤を
除去することにより精製ワックスとして使用することが
できる。
【0017】<工程(II)>本発明の天然粗ワックスの
精製方法の工程(II)は、ワックスの融点付近において
ワックスは溶剤に均一に溶解し、これに対してワックス
中に含有されている溶剤不溶解分、 すなわち工程(I)
で添加した不溶性高密度物質や粗ワックス中に含まれる
樹脂状成分などは溶剤に溶解し難いという性質を利用す
るものであり、これによりワックス中の溶剤不溶解分を
効果的に除去することができる。すなわち、本発明の工
程(II)においては、原料ワックスに3〜20重量倍の
溶剤を加え、ワックスの融点の上下20℃の範囲内の温
度に加温することによりワックス分を溶解し、同温度に
保持しながら固・液分離操作により溶剤不溶解分を除去
する。ワックス中の溶剤不溶解分を効果的に除去するた
めには、溶剤の量を原料ワックスの重量に対して3〜2
0倍の量にすることが肝要である。溶剤が3重量倍未満
では効果的に不溶解分を分離することができず、また2
0重量倍を超えて加えても著しい効果は発揮されず、経
済的に不利となる。実用上は、原料ワックスに5〜10
重量倍の溶剤を用いて不溶解分を除去することにより好
ましい結果が得られる。供給するワックスがすでに溶剤
を含む場合には、含有される溶剤も考慮して添加する溶
剤量を決定する。すなわち、溶剤量が不足するときは別
途に添加し、過剰の場合にはあらかじめ適宜の方法、例
えば蒸留などにより適量の溶剤量に調整して使用する。
【0018】上記工程(II)においては、粗ワックスを
溶剤に溶解する際、温度をワックスの融点の上下20℃
の範囲に保持する。上記温度範囲で溶解を行う限り、ワ
ックス分は溶剤に均一に溶解し、溶剤に不溶解性の固形
分は安定な状態で溶液から分離することができる。溶解
する温度がワックスの融点より20℃を超えて低い場合
には、ワックス分も析出するため、溶剤不溶解分との分
離が困難になる。また、融点より20℃を超えて高い温
度で溶解を行うと、上記溶剤不溶解分中から不要成分が
溶出する恐れがある上に、溶解しているワックスに過度
な熱履歴を加える結果となり、好ましくない。
【0019】上記工程(II)において、原料ワックスを
ワックスの融点の上下20℃の範囲に保持しながら、溶
剤不溶解分を除去する方法としては、従来公知の固・液
分離方法を用いることができる。具体的には、通常の濾
過操作や沈降分離などを用いることもできるが、操作を
迅速かつ十分に行うためには、強制的に固・液分離を行
う方法、例えば真空濾過、遠心分離、遠心濾過法等がよ
り好ましい。
【0020】本発明の天然粗ワックスの精製方法の工程
(I)および(II)において使用する溶剤は、一般にワッ
クス類の溶剤精製に使用される溶剤であればいずれも好
ましく使用できる。特に低級アルコールが選択性などの
面で優れており、中でも炭素数が1から4のアルコール
が好ましい。これらのアルコール類の例としては、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびtert−
ブタノール等が挙げられる。 上記工程(I)および(I
I)において、それぞれ異なる溶剤を用いてもよく、ま
た両工程で同一の溶剤を用いてもよい。
【0021】本発明の天然粗ワックスの精製方法におい
ては、 上記工程(I)を行った後に工程(II)を行な
う。 更に、工程(I)と(II)の中間や前後に、原料ワ
ックスの性質や精製品に要求される品質などに応じ、他
の精製方法、例えば水素化精製や吸着操作などを組み合
わせて適宜使用することができる。工程(I)を行なっ
た後に工程(II)を行なうことにより、 次のような効
果が得られる。 すなわち、工程(I)において天然粗ワ
ックス中に存在する樹脂状成分をワックス固形分中に意
図的に取り込み、または不溶性高密度物質を添加してワ
ックス固形分中に取り込むことにより、溶液とワックス
固形分との密度差が増大し、固・液分離が容易になるた
め、使用する溶剤の量を少なくすることができる。 一
方、工程(I)を工程(II)の後に行なう場合には、上
記の効果が得られないので、 工程(I)において溶液の
密度を下げ、ワックス固形分との密度差を広げて分離能
力を上げるためには溶剤を大量に使用しなければなら
ず、経済的に不利となる。
【0022】<工程(III)>前記工程(II)から溶剤
に溶解したワックス溶液が得られるため、工程(III)に
おいては、例えば蒸留あるいは冷却による析出などの常
法により溶剤を分離・除去する。本工程を経ることによ
り精製ワックスが製造される。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらにより限定されるものではない。 <参考製造例> 砂糖黍粗ワックスの抽出 粗糖製造工程で砂糖黍を圧搾して絞り取った砂糖ジュー
スを静置し、ジュース上部に浮上してくる主として繊維
分と油脂分からなる浮遊物を濾過分離して得られるフィ
ルターケーキを真空恒温槽で乾燥し、乾燥ケーキを得
た。この乾燥ケーキを、撹拌機、還流冷却器および加熱
ヒーターを備えた容器に入れ、抽出溶媒としてn−ヘプ
タンを加え、撹拌しながら加熱して溶媒の還流温度で抽
出した。抽出が終了した後、直ちに濾過を行ない、フィ
ルターケーキを分離除去した。濾過液を静置して下層の
水層を分離した後、ヘプタン層を蒸留し、溶媒を除去し
て深緑色の砂糖黍粗ワックスを得た。上記の砂糖黍粗ワ
ックスのDSC(示差走査熱量分析)の結果では、 6
7.0℃に主なピークが見られたほか、49℃と76℃
にもピークが認められ、全体としてはブロードで融解温
度範囲が広いことが判った。また、ガスクロマトグラフ
分析の結果、ワックスとして不要な成分が約40%含ま
れていることが判った。
【0024】<実施例1> 工程(I):還流冷却器、撹拌機および加熱ヒーターを
備えた容器に上記参考製造例で得た砂糖黍粗ワックスを
入れ、これに粗ワックスの酸価当量分の水酸化カルシウ
ムを秤り取って添加した。容器を加温してワックスを溶
解し、水酸化カルシウムと反応させた後、溶剤としてエ
タノールをワックス重量に対して5倍量加え、加温を続
けて溶剤を還流させながら1時間撹拌し、更にワックス
を溶解した。ワックスが溶剤中に溶解したことを確認し
た後、緩速撹拌しながら冷却して温度を5℃まで下げ、
更に室温で緩速撹拌しながら24時間放置した。ワック
スが析出したスラリー状液を遠心濾過機を用いて、15
00Gの条件で10分間、固・液分離を行なった。この
ときワックス固形分中の溶剤残留量は72%であった。
得られたワックス固形分から蒸留で溶剤を除去し、精製
砂糖黍ワックス(S)を得た。 工程(II):還流冷却器、撹拌機および加熱ヒーターを
備えた容器に上記工程(I)で得た精製砂糖黍ワックス
(S)を入れ、溶剤として2−プロパノールをワックス
の5重量倍加え、加温して溶剤を還流させながら1時間
撹拌し、ワックスを溶解した。このとき溶液中の温度は
ワックスの融点より4℃程度高い温度であった。ワック
スが溶剤中に溶解したことを確認した後、温度を65〜
70℃に保ちながらこれを遠心分離機により2000G
の条件で、10分間分離を行った。沈降した水酸化カル
シウム反応物を含む固形分とワックス溶液とをデカンテ
ーションにより分取し、溶剤を蒸留で除去して精製砂糖
黍ワックス(T)を得た。精製砂糖黍ワックス(T)の
DSCの結果では、 78.7℃に単一の鋭いピークが見
られ、非常に融解性のシャープなワックスであることが
判った。また、ガスクロマトグラフ分析の結果、ワック
スとして不要な成分は5%以下であることが判った。更
にワックスの酸価は7.0(mg-KOH/g-ワックス)であ
り、低酸価の天然ワックス精製品として優れた性状であ
った。
【0025】<実施例2> 工程(I):還流冷却器、撹拌機および加熱ヒーターを
備えた容器に前記参考製造例で得た砂糖黍粗ワックスを
入れ、これに粗ワックスの10重量%の酸化アルミニウ
ムを秤り取って添加した。 容器を加温してワックスを
溶解し、 真空ポンプで約20mmHgに吸引しながら
酸化アルミニウムと混合した後、溶剤として2−プロパ
ノールをワックス重量に対して5倍量加え、加温を続け
て溶剤を還流させながら1時間撹拌し、更にワックスを
溶解した。ワックスが溶剤中に溶解したことを確認した
後、緩速撹拌しながら冷却して温度を5℃まで下げ、更
に室温中で緩速撹拌しながら24時間放置した。ワック
スが析出したスラリー状液を遠心分離機を用いて、20
00Gの条件で10分間、固・液分離を行なった。この
ときワックス固形分中の溶剤残留量は71%であった。
得られたワックス固形分から蒸留で溶剤を除去し、精製
砂糖黍ワックス(U)を得た。 工程(II):還流冷却器、撹拌機および加熱ヒーターを
備えた容器に上記工程(I)で得た精製砂糖黍ワックス
(U)入れ、溶剤として2−プロパノールをワックスの
5重量倍加え、加温して溶剤を還流させながら1時間撹
拌し、ワックスを溶解した。このとき溶液中の温度はワ
ックスの融点より5℃程度高い温度であった。ワックス
が溶剤中に溶解したことを確認した後、温度を65〜7
0℃に保ちながらこれを遠心分離機により2000Gの
条件で、10分間分離を行った。沈降した酸化アルミニ
ウムを含む固形分とワックス溶液とをデカンテーション
により分取し、溶剤を蒸留で除去して精製砂糖黍ワック
ス(V)を得た。精製砂糖黍ワックス(V)のDSCの
結果では、 79.3℃に単一の鋭いピークが見られ、非
常に融解性のシャープなワックスであることが判った。
また、ガスクロマトグラフ分析の結果、ワックスとして
不要な成分は5%以下であることが判った。更にワック
スの色相は黄色であり、天然ワックスとして優れた色相
であった。
【0026】
【発明の効果】本発明の工程(I)を行い、 次いで工程
(II)を行う精製操作を用いることにより、天然粗ワッ
クス中の不要成分を効果的に除去することができ、非常
に優れたワックスを得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程(I)からなることを特徴とする
    天然粗ワックスの精製方法。 工程(I): 不溶性高密度物質を含む天然粗ワックスに
    3〜30重量倍の溶剤を加え、該ワックスの融点の上下
    20℃の温度範囲に加温することによりワックス分を溶
    解し、次いで冷却することによりワックス固形分を析出
    させ、回収したワックス固形分中の溶剤含有量が50〜
    90%になるように固・液分離操作により該固形分を分
    離・回収する工程。
  2. 【請求項2】 下記工程(I)、工程(II)および工程
    (III)からなることを特徴とする天然粗ワックスの精
    製方法。 工程(I): 不溶性高密度物質を含む天然粗ワックスに
    3〜30重量倍の溶剤を加え、該ワックスの融点の上下
    20℃の温度範囲に加温することによりワックス分を溶
    解し、次いで冷却することによりワックス固形分を析出
    させ、回収したワックス固形分中の溶剤含有量が50〜
    90%になるように固・液分離操作により該固形分を分
    離・回収する工程、 工程(II): 工程(I)で得たワックス固形分に3〜20
    重量倍の溶剤を加え、ワックスの融点の上下20℃の温
    度範囲に加温することによりワックス分を溶解し、該温
    度範囲に保持しながら固・液分離操作により溶液から不
    溶性高密度物質を含む溶剤不溶解分を分離・除去する工
    程、および 工程(III):工程(II)で得たワックス溶液から溶剤を
    除去することにより精製ワックスを分離・回収する工
    程。
  3. 【請求項3】 前記天然粗ワックスが砂糖黍から抽出さ
    れたワックスである請求項1または2に記載の天然粗ワ
    ックスの精製方法。
  4. 【請求項4】 前記不溶性高密度物質が、 粒径0.1μ
    m〜10mmの粒状物質からなり、ワックス中の着色成
    分を吸着する機能を有するもの、またはワックス中の酸
    性物質を中和する機能を有するものであることを特徴と
    する請求項1または2に記載の天然粗ワックスの精製方
    法。
  5. 【請求項5】 前記溶剤が炭素数1から4のアルコール
    であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記
    載の天然粗ワックスの精製方法。
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