JPH06199934A - ポリビニルアルコール系3成分共重合体、その製造方法及び該重合体よりなる発色・変色材料 - Google Patents

ポリビニルアルコール系3成分共重合体、その製造方法及び該重合体よりなる発色・変色材料

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JPH06199934A
JPH06199934A JP5263057A JP26305793A JPH06199934A JP H06199934 A JPH06199934 A JP H06199934A JP 5263057 A JP5263057 A JP 5263057A JP 26305793 A JP26305793 A JP 26305793A JP H06199934 A JPH06199934 A JP H06199934A
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JP
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copolymer
polymer
formula
oxidation
color
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JP5263057A
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Inventor
Ryuichi Yamamoto
隆一 山本
Masaki Wakabayashi
雅樹 若林
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YKK Corp
Original Assignee
YKK Corp
Yoshida Kogyo KK
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/12Hydrolysis

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶媒に可溶であってしかも極性を有し、さら
にエレクトロクロミズムを示す高分子物質、該物質の製
造方法並びに該物質を用いた発色・変色材料及びエレク
トロクロミック表示素子を安価に提供する。 【構成】 下記化1(式中、R1 は水素又は炭素数1〜
1000のアルキル基、R2 は導電性を有し酸化又は還
元により発色もしくは変色を示す重合体又は共重合体に
基づく基、L、M、Nはそれぞれ1以上の整数、全体の
重合度は10〜12,000の整数である。)で表され
るポリビニルアルコール系3成分共重合体は、エレクト
ロクロミズムを示し、その酸化又は還元により発色もし
くは変色する発色・変色材料として有用である。該共重
合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体のいず
れでもよい。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレクトロクロミズム
を示す新規な共重合体およびその製法に関する。本発明
はさらに、特にエレクトロクロミック表示素子における
使用に適するエレクトロクロミズムを用いた発色・変色
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロクロミズムとは、例えば電圧
印加により、電極面あるいは電極近傍で起こる酸化還元
反応によって、可逆的に色や光透過度の変化を呈する現
象をいい、このようなエレクトロクロミズム現象を示す
エレクトロクロミック材料としては種々の材料が報告さ
れている。従来のエレクトロクロミズムを用いた発色材
としては、特公昭52−46098号公報に記載されて
いるような酸化タングステン等の金属酸化物を用いるも
の、特開昭51−146253号公報に記載のように溶
液状のビオロゲン等の有機低分子化合物を用いるもの、
特開昭56−67881号公報に記載のように主鎖に共
役二重結合を有する電気伝導性高分子を用いるものが知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のエレクトロ
クロミズムを用いた発色材のうち、金属酸化物は、特開
昭54−41756号公報に記載のように、スパッタリ
ング等の真空プロセスによって製造されており、大面積
へのコーティングが困難であるという問題があった。一
方、有機低分子化合物の場合は、これを用いてエレクト
ロクロミック表示素子を作成するに当たって、特開昭5
1−146253号公報に記載のように、電極板と透明
電極板との間に半透膜の隔膜を介在せしめ、透明電極板
と隔膜との間にビオロゲン等の有機低分子化合物と支持
電解質を含有する溶液を存在せしめる必要があり、エレ
クトロクロミック表示素子の構造が複雑になるという難
点があった。
【0004】また、主鎖に共役二重結合を有する電気伝
導性高分子は、特開昭60−188931号公報記載の
ように電解重合等により電極表面に直接重合されるが、
安価に大面積へコーティングすることは困難である。ま
た、主鎖に共役二重結合を有する電気伝導性高分子のう
ち、溶媒に可溶なものは一般に非極性であり、極性表面
である電極との密着性に劣っている。そのため強固な接
着を得ることができず、剥離等の問題を残していた。特
に主鎖に共役二重結合を有する電気伝導性高分子と高分
子固体電解質を用いた固体型エレクトロクロミック表示
素子を考えるとき、高分子固体電解質との接着性が問題
となる。接着不良箇所ではイオンの伝導が起こらず、発
色、変色時に欠陥部となる。接着が不十分な場合には、
発色、消色の繰り返し、温度変化等により、使用中に剥
離を生じ、この剥離部分が発色、変色時に欠陥部とな
る。
【0005】一方、本発明において示されるようなコポ
リマー化の試みとして、特開平4−108784号公報
に示される側鎖にチオフェンオリゴマーを持つポリマー
が開発されている。このポリマーにより溶解性に関して
は大きく改善されるが、ポリマーの極性は非極性であ
り、接着において問題を残している。
【0006】従って、本発明の目的は、前記したような
従来技術の問題を解決し、溶媒に可溶であって、しかも
極性を有し、電極、高分子固体電解質への接着性に優
れ、大面積へのコーティングが可能なエレクトロクロミ
ズムを示す高分子物質を提供することにある。本発明の
他の目的は、上記エレクトロクロミック高分子物質を製
造する方法を提供することにある。本発明のさらに他の
目的は、上記のように優れた性質を有するエレクトロク
ロミック高分子物質を用いた発色・変色材料、並びに膜
の剥離やそれに伴う発色・変色不良といった欠陥が無い
エレクトロクロミック表示素子を安価に提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記目
的を達成するために、下記化8
【化8】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
り、L、M、Nはそれぞれ1以上の整数、全体の重合度
は10〜12,000の整数である。)の一般式(1)
で表されるポリビニルアルコール系3成分共重合体が提
供される。
【0008】上記ポリビニルアルコール系3成分共重合
体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重
合体であってもよい。ブロック共重合体は、下記化9
【化9】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
る。)の一般式(2)で表される化合物(以下、発色基
モノマーと略称する)を重合した後に酢酸ビニルモノマ
ーを添加して共重合し、更に部分的にケン化することに
より得られる。一方、ランダム共重合体は、上記一般式
(2)で表される発色基モノマーと酢酸ビニルモノマー
を混合した後、共重合し、更に部分的にケン化すること
により得られる。さらに本発明によれば、上記一般式
(1)で表されるポリビニルアルコール系3成分共重合
体を含有し、該ポリビニルアルコール系3成分共重合体
の酸化又は還元により発色、消色(変色)する発色・消
色(変色)材料及び該発色・変色材料を用いたエレクト
ロクロミック表示素子も提供される。
【0009】
【発明の作用及び態様】本発明により得られる発色表示
材料は、発色基モノマー、ビニルアルコール、及び酢酸
ビニルの3成分共重合体から成ることを特徴とする。ポ
リビニルアルコールは高分子固体電解質の基材として知
られ、過塩素酸塩、テトラフルオロ硼酸塩、トルエンス
ルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩等を
含有することができる。ポリビニルアルコール中でイオ
ン性の塩はアニオンとカチオンに解離し、電界をかける
ことにより解離イオンはそれぞれ陽極及び陰極の方向に
泳動する。この様に、ポリビニルアルコール中ではイオ
ンの移動が可能で、その性質は本発明の新規共重合体に
も引き継がれる。従って、本発明の新規共重合体はイオ
ン伝導性発色材となる。また、本発明に係るポリビニル
アルコール系3成分共重合体は、ポリビニルアルコール
の性質と、発色材である導電性を有し酸化または還元に
より発色を示す重合体の性質の両者の性質を有する。さ
らに、ケン化の程度を調整することにより溶解性、該共
重合体よりなる膜の柔軟性を調整できる。ポリビニルア
ルコール部は極性高分子としての性質を有するため、極
性表面である電極表面に対して良好な濡れ性を示す。ま
た、電解質の基材にポリビニルアルコールを、発色材と
して本発明のポリビニルアルコール系共重合体を用いた
場合、電解質と発色材の接着は非常に良好である。
【0010】上記一般式(2)で表される発色基モノマ
ーにおいて、導電性を有し酸化または還元により発色も
しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基R2
としては、芳香族共役系重合体(フェニレン重合体、ナ
フタレン重合体、アントラセン重合体、アズレン重合体
等)、複素環式共役系重合体(チオフェン重合体、アル
キルチオフェン重合体、セレノフェン重合体、ピロール
重合体、ピリジン重合体、フラン重合体等)、含ヘテロ
原子共役系重合体(アニリン重合体等)、側鎖にπ電子
共役系基(フェロセン、フタロシアニン等)を有するも
の、これらに側鎖としてアルキル基等を導入し変成した
もの(例えば、3−アルキルチオフェン重合体等)、こ
れらの端部(ビニル基結合位置と反対の位置)にアルキ
ル基を導入し変成したもの等が挙げられる。アルキル基
は上記重合体又は共重合体の骨格のビニル基との結合位
置以外の他の位置に導入できるが、このようにアルキル
基を導入することによって発色基モノマーの溶媒に対す
る溶解性が向上し、以後の処理が容易となる。これらの
化合物は電気化学的酸化還元によりそれぞれ固有の発
色、変色を示す。なお、上記重合体とはオリゴマーを含
む概念を意味する。
【0011】前記共重合体の重合は、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の溶媒中、開始剤として過酸化ベンゾイ
ル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ
化合物を用いることにより容易に行われる。まず、発色
基モノマーを重合し、次いで重合系内に酢酸ビニルモノ
マーを添加し、さらに重合を行うことによりブロック共
重合体を得ることができる。ランダム共重合体は、同様
に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒中、開始剤
として過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ化合物を用い、発色基モノマーと
酢酸ビニルモノマーをあらかじめ混合した後、重合を行
うことにより、両モノマーの反応性、選択性によるラン
ダム共重合体を得ることができる。ケン化は通常の方法
により、上記のようにして得られた共重合体をメタノー
ルに溶解し、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリを加
え、攪拌することにより容易に行われる。この時、反応
に供する水酸化ナトリウムの量、反応温度、反応時間等
を制御することにより、ケン化の程度を制御できる。
【0012】本発明の共重合体の重合度は特に限定され
るものでは無いが、反応の容易さ、溶媒への溶解性、製
膜後の膜強度を考慮して10〜12,000が好適であ
る。重合度が大きくなると、共重合体の溶媒への溶解性
が低下し、必然的に得られる溶液の粘度が上昇するた
め、重合体溶液の基材への塗布が困難になる。溶解性や
塗布性に優れた共重合体を得ると共に、エレクトロクロ
ミック材料としての充分な膜強度を確保するためには、
重合度は好ましくは20〜1500、特に好ましくは2
0〜250の範囲が望ましい。また、上記共重合体中に
含まれる発色基モノマーの割合は特に制限されるもので
は無いが、モル比0.1〜30%が望ましい。過剰の割
合で発色基モノマーを含む場合には接着性、膜強度を著
しく損なうので好ましくない。特に導電性を有し酸化ま
たは還元により発色もしくは変色を示す重合体または共
重合体に基づく基が大きい場合にはこの不利益が大きく
なる。しかしながら、導電性を確保するためには発色基
モノマーの比率ができるだけ高いものが望ましく、低い
場合には発色に要する時間が長くなる。従って、発色基
モノマーの比率は20〜30%が最も好ましい。
【0013】なお、発色基モノマーの置換基R1 は水素
以外の場合には重合の際に架橋を生じないように飽和の
アルキル基である必要があるが、その大きさはモノマー
が溶媒に溶解できる程度であればよく、炭素数1〜10
00のアルキル基とすることができる。しかしながら、
発色基モノマーの側鎖のアルキル基の分子量が大きい場
合、その反応性が低下し、また得られるエレクトロクロ
ミック材料の発・消色に要する時間が長くなる。そのた
め、発色基モノマーの側鎖のアルキル基R1 は、炭素数
1〜50のものが好ましい。溶媒への充分な溶解性や工
業的使用において要求されるような適切な発・消色時間
を確保するためには、側鎖のアルキル基は炭素数1〜2
5のものが特に好ましい。
【0014】ケン化の程度は、キャスト膜の製造に用い
る溶媒の種類と前記共重合物の重合度により決定され
る。ベンゼン等の非極性溶媒を用いてキャスト膜を製造
する場合にはケン化の程度を10%以内の低い割合に抑
え、酢酸ビニルの割合を多くする必要がある。この程度
の低いケン化率の共重合体は大部分の有機溶剤に可溶で
ある。一方、ジオキサン等の極性溶媒を用いる場合に
は、重合度300以下の場合にはほぼ100%に近いケ
ン化物であっても溶解することができる。また、ケン化
率60%程度の共重合体はアルコールに可溶である。低
いケン化率の共重合体はゴム様の膜となり、柔軟性に優
れる。一方、100%ケン化を行った共重合体は硬い膜
を与える。ケン化率は必要とする膜の物性によっても決
定される。
【0015】この様にして得られるケン化率の高い共重
合体は、通常のポリビニルアルコールの製膜と同様に適
当な溶媒に溶かして溶液、例えば0.1〜5%濃度のジ
メチルスルホキシド溶液を調製し、ガラス板上にキャス
トし、70℃前後の温度で10時間程度の減圧乾燥を行
うことにより製膜が可能である。一方、ケン化率の低い
共重合体はメタノール等を溶媒としてガラス板上にキャ
ストし、常圧室温で乾燥することができる。
【0016】周知のように、エレクトロクロミック表示
素子は、基本的には透明電極、対向電極、及びこれら両
電極間に介在されたエレクトロクロミック材料及び電解
液又は固体電解質から成る。エレクトロクロミック表示
素子を構成する際には、透明電極、対向電極としてIT
Oを用いることができる。対向電極が透明性を必要とし
ない場合には、金属、カーボン等通常の電気化学素子と
同様な電極を用いることができる。エレクトロクロミッ
ク材料の発色・変色を促進するための支持電解質として
は、イオン解離性の塩で、溶液ないしは固体電解質に良
好な溶解性を示し、発色基の発色を確保できる程度に電
子供与性を有するアニオンを含む塩であれば特に限定さ
れない。例えば、LiClO4 、KClO4 、NaCl
4 、LiBF4 、KBF4 、NaBF4 、LiAsF
6 、KAsF6 、NaAsF6 等が使用可能である。ま
た、固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド、高
分子のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコー
ル、プロピレンカーボネートのゲル化物等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0017】
【実施例】以下、実施例を示して本発明について具体的
に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるもので
ないことはもとよりである。 実施例1 特開平4−108784号に記載の方法に従って発色基
としてチオフェンの三量体を有するビニルモノマーを合
成した後、該ビニルモノマー0.15gと酢酸ビニルモ
ノマー4.5gをベンゼン5mlに溶解し、攪拌混合し
た後、アゾビスイソブチロニトリル0.01gを添加
し、60℃で48時間攪拌しながら重合を行った。得ら
れた共重合物を冷却後、減圧にてベンゼンを除去した。
ベンゼンを除去後メタノール250mlに溶解し、20
%水酸化ナトリウム溶液0.5mlを加え、室温で1時
間攪拌を行った。これに等量の塩酸を加え、氷水中に滴
下した。沈殿物を洗浄した後、メタノールに溶解し、I
TOガラス上にキャストして製膜した。得られた膜は薄
い黄色を示し、ITOガラスと良好な接着性を示した。
また、メタノール溶液は薄い黄色を示した。このメタノ
ール溶液に少量の濃硫酸を加えたところ、重合体は赤色
を示した。
【0018】実施例2 フラスコ中でマグネシウム0.405gと4−ブロモ−
4′−n−ペンチルビフェニル5.00gをテトラヒド
ロフラン20ml中でマグネシウムが消失するまで攪拌
した。得られた溶液を、4−クロロ−α−メチルスチレ
ン2.51g、ジクロロ−1,3−ビス(ジフェニルフ
ォスフィノプロパン) ニッケル(II)0.072gを
テトラヒドロフラン15mlに攪拌分散した溶液に、約
0℃でゆっくりと滴下した。35℃で2.5時間、室温
で13時間攪拌した後、1N塩酸400mlに滴下し、
更に1時間攪拌して反応を停止した。水洗後、ろ過し、
ジエチルエーテルで抽出し、目的物(発色基としてフェ
ニレン三量体を持つビニルモノマー)を分離し、ポリマ
ー合成用のモノマーとした。得られたモノマー0.5g
とアゾビスイソブチロニトリル0.058gを4mlの
トルエン中で90℃で20時間攪拌し、更に酢酸ビニル
モノマー2.5gを添加し、15時間重合を行った。重
合物をヘキサン中で再沈して精製し、ブロック共重合体
を得た。得られた共重合体をメタノール250mlに溶
解し、20%水酸化ナトリウム0.5mlを加え、室温
で1時間攪拌を行った。これに等量の塩酸を加え、氷水
中に滴下した。沈殿物を洗浄した後、メタノールに溶解
し、キャスト法によってガラス板上に製膜した。得られ
たフィルムは黄色みがかった白色を示し、ガラスと良好
な接着性を示した。このフィルムをガラス板ごと濃硫酸
中へ浸漬したところ、赤色へ変化した。変色は可逆的
で、アンモニア水中に浸漬したところ、元の状態に戻っ
た。濃硫酸中への浸漬前後の可視紫外スペクトルの変化
を図1に示す。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明のポリビニルアル
コール系3成分共重合体は、極性の高いビニルアルコー
ルと酢酸ビニルと発色基モノマーの3成分共重合体から
成るため、ポリビニルアルコールの性質と、導電性を有
し酸化または還元により発色を示す重合体の発色材とし
ての性質の両者の性質を有する。ポリビニルアルコール
部は極性高分子としての性質を有するため、極性表面で
ある電極表面に対して良好な濡れ性を示し、またイオン
伝導性高分子との親和性も高く、電極や高分子固体電解
質との密着性に優れ、強固な接着性を示す。従って、従
来の発色・変色材料のような膜の剥離やそれに伴なう発
色・変色不良といった欠陥を改善できる。また、ケン化
の程度を調整することにより、該共重合体の溶媒への溶
解性や得られる膜の柔軟性を調整できる。さらに、本発
明のポリビニルアルコール系3成分共重合体はイオン伝
導性を有し、かつ電気化学的酸化還元により固有の発色
・変色を示す発色基を有することから、イオン伝導性発
色材として機能し、優れた発色性を示す。このように、
本発明に係るポリビニルアルコール系3成分共重合体
は、発色・変色性や電極、高分子固体電解質との接着強
度等に優れると共に、溶媒に可溶であって、キャスト等
の方法により大面積への製膜が可能であり、エレクトロ
クロミック表示素子の材料として極めて実用的かつ有利
なものということができる。従って、本発明に係るポリ
ビニルアルコール系3成分共重合体を用いることによ
り、発色・変色不良といった欠陥の無いエレクトロクロ
ミック表示素子を生産性良くかつ安価に製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2で製造された発色・変色性共
重合体膜の濃硫酸中への浸漬前後の吸収スペクトルの変
化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/15 7408−2K

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1 【化1】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
    ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
    しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
    り、L、M、Nはそれぞれ1以上の整数、全体の重合度
    は10〜12,000の整数である。)で表されるポリ
    ビニルアルコール系3成分共重合体。
  2. 【請求項2】 下記化2 【化2】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
    ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
    しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
    る。)で表される化合物を重合した後に酢酸ビニルモノ
    マーを添加して共重合し、更に部分的にケン化すること
    により下記化3 【化3】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
    ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
    しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
    り、L、M、Nはそれぞれ1以上の整数、全体の重合度
    は10〜12,000の整数である。)で表されるポリ
    ビニルアルコール系ブロック3成分共重合体を得ること
    を特徴とするポリビニルアルコール系3成分共重合体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 下記化4 【化4】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
    ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
    しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
    る。)で表される化合物と酢酸ビニルモノマーを混合し
    た後、共重合し、更に部分的にケン化することにより下
    記化5 【化5】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
    ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
    しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
    り、L、M、Nはそれぞれ1以上の整数、全体の重合度
    は10〜12,000の整数である。)で表されるポリ
    ビニルアルコール系ランダム3成分共重合体を得ること
    を特徴とするポリビニルアルコール系3成分共重合体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 下記化6 【化6】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
    ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
    しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
    り、L、M、Nはそれぞれ1以上の整数、全体の重合度
    は10〜12,000の整数である。)で表されるポリ
    ビニルアルコール系3成分共重合体と支持電解質とを含
    有し、該ポリビニルアルコール系3成分共重合体の酸化
    または還元により発色もしくは変色することを特徴とす
    る発色・変色材料。
  5. 【請求項5】 透明電極と、対向電極と、該透明電極と
    対向電極との間に介在されたエレクトロクロミック物質
    と支持電解質とからなるエレクトロクロミック表示素子
    において、前記エレクトロクロミック物質が下記化7 【化7】 (式中、R1 は水素または炭素数1〜1000のアルキ
    ル基、R2 は導電性を有し酸化または還元により発色も
    しくは変色を示す重合体または共重合体に基づく基であ
    り、L、M、Nはそれぞれ1以上の整数、全体の重合度
    は10〜12,000の整数である。)で表されるポリ
    ビニルアルコール系3成分共重合体であることを特徴と
    するエレクトロクロミック表示素子。
JP5263057A 1992-10-01 1993-09-28 ポリビニルアルコール系3成分共重合体、その製造方法及び該重合体よりなる発色・変色材料 Pending JPH06199934A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5263057A JPH06199934A (ja) 1992-10-01 1993-09-28 ポリビニルアルコール系3成分共重合体、その製造方法及び該重合体よりなる発色・変色材料

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1193827A (ja) * 1997-09-18 1999-04-06 Toshiba Corp 機能素子およびアクチュエータ
JP2009541524A (ja) * 2006-06-23 2009-11-26 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 発色性側基を有する非晶質ポリマー
EP3533813A4 (en) * 2016-10-31 2019-10-30 LG Chem, Ltd. GEL POLYMER ELECTROLYTE, METHOD FOR PRODUCING POLYMER GEL ELECTROLYTE, AND ELECTROCHROMIC DEVICE CONTAINING SAME

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