JPH06198884A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH06198884A
JPH06198884A JP1509193A JP1509193A JPH06198884A JP H06198884 A JPH06198884 A JP H06198884A JP 1509193 A JP1509193 A JP 1509193A JP 1509193 A JP1509193 A JP 1509193A JP H06198884 A JPH06198884 A JP H06198884A
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JP
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ink
pressure generating
pressure
generating means
discharge
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Application number
JP1509193A
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English (en)
Inventor
Kentaro Yano
健太郎 矢野
Naoji Otsuka
尚次 大塚
Atsushi Arai
篤 新井
Kiichiro Takahashi
喜一郎 高橋
Osamu Iwasaki
督 岩崎
Daigoro Kanematsu
大五郎 兼松
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 共通液室内の圧力発生手段を制御することに
よってノズル後方インピーダンスの向上や、インクの振
動を防止・減衰する記録装置に於いて、前記従来の課題
を解決し、圧力持続時間を延命し、該圧力発生部と圧力
作用部との間の距離による圧力損失の問題を低減するこ
と。 【構成】 共通液室内に複数の圧力発生部を設けるマル
チ圧力発生手段と、該圧力発生手段を適するタイミング
で適する位置を選択的に駆動する圧力発生制御手段とを
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録濃度において、安
定した吐出を維持しながら高速・高応答が可能なインク
ジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコンやワープロ等のOA機器
が広く普及しており、これら機器で入力した情報をプリ
ントアウトする方式としては、例えばワイヤードット方
式、熱転写方式、インクジェット方式等種々の記録方式
が開発されている。これらの記録方式は、夫々の方式よ
りなる記録ヘッドにより、搬送される記録シートに所定
記録を行うものであり、それぞれの記録ヘッドには顕著
な差異がある。
【0003】投入エネルギーを効率的に吐出エネルギー
に変換する手段としては、ノズル後方のインピーダンス
を上げて吐出方向へインクを移動させるエネルギーへの
変換効率を上昇させることで実現している。代表的な3
つの従来例を以下で具邸的に説明する。
【0004】第1の手段を図2(a)を用いて説明する
と、前方インピーダンスを決定するOHを後方インピー
ダンスを決定するHCに比べて十分に小さくすること
で、図中Y方向にインクを押しやるエネルギーとしての
消費を抑え、投入エネルギーの多くを図中X方向にイン
クを押しやるエネルギーとして消費させ、相対的な後方
インピーダンスを上げてエネルギー変換効率の向上を実
現する手段である。
【0005】第2の手段を図2(b)を用いて説明する
と、ノズル内のインピーダンス(主に流路抵抗)を調整
する流抵抗体8iをノズル後方に配することでノズル後
方インピーダンスの向上を実現するものである。流抵抗
体8iはその構造からノズル内のインクが図中Y方向に
移動している時の流体抵抗が図中X方向(リフィル方
向)に移動している時の流体抵抗に比べて大きくなるこ
とから、HCが短くてもノズル内へのインクのリフィル
を大幅に妨げることなく後方インピーダンスの上昇を達
成し、発泡エネルギーを効果的に吐出エネルギーに変換
する効果を実現せんとするものである。
【0006】第3の手段としては、共通液室内に配され
た圧力発生手段を吐出ヒータの駆動直前に駆動制御する
ことで、吐出ヒータが駆動される直前のみ後方インピー
ダンスを向上させる手段である。
【0007】更にインクジェット記録装置にあっては、
吐出、非吐出を交互に繰り返すことによって生ずるイン
クの振動を防止・減衰し、高速且つ高画像品位を追求す
る目的で振動とは逆位相の圧力波を前記共通液室内に配
された圧力発生手段を駆動して制御する手段が開発され
てきている。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】しかし、従来のイ
ンクジェット記録装置に於ける、投入エネルギーの変換
効率の向上手段にあっては、第1の手段では、前記後方
インピーダンスを大きくするためにノズル長が長めに構
成されており、高速応答性には不向きな構成となってい
た。ノズルへのインクのリフィルは、大きくはインク自
身の表面張力(毛管力)によって生じるインクの供給力
と、インクリフィル時のノズルのインピーダンスのバラ
ンスによって決まる。よってヒータ後方のノズル長を延
ばして相対的に前記前方インピーダンスを低下させるこ
とは、リフィル時のノズル全体のインピーダンスの上昇
を招き、インクのリフィル(供給)を遅らせてしまうの
で、昨今の記録装置の高速化の技術とは相反する技術と
なっている。
【0009】第2の手段にあっては、上記流抵抗体8i
はノズル流路を凹凸の激しい複雑に形状にさせ、インク
中に紛れている微細な不純物をトラップしてしまいノズ
ルの詰まりを招いたり、凹凸部に気泡をトラップしてイ
ンク吐出時に不正発泡・不正消泡を招き吐出信頼性を低
下させる危険を秘めている。更には、製造上必ずしも製
造し易い形状にはならない場合が多い。
【0010】第3の手段にあっては、高速応答性、及び
構造上の不具合は無く総合的に最も効果の高い手段では
あるが、記録ヘッドによっては圧力の持続時間が不十分
で後方インピーダンスを所望の時間引き上げておくこと
が困難である場合があった。また昨今の記録装置の高速
化の要求からノズル数は増加していく傾向にあるが、複
数ノズルを有する記録ヘッドに於いては、前記共通液室
内の圧力発生手段から圧力作用部までの距離がノズル毎
に異なるために、該距離の長いノズルに関しては圧力損
失が生じて所望の後方インピーダンスが得られない場合
があった。
【0011】更に、吐出、非吐出を交互に繰り返すこと
によって生ずるインクの振動を、前記共通液室内に配さ
れた圧力発生手段によって逆位相の圧力波が発生するよ
う制御することによりインクの振動を防止・減衰する手
段に於いても、記録ヘッドによっては逆位相の圧力波の
持続時間不足の為十分な効果が得られない場合があっ
た。該振動の防止・減衰には、圧力波の発生源である共
通液室内のヒータの電力量を大きくすることにより圧力
波の振幅を大きくし、前記圧力波の持続時間不足を補う
制御手段もあるが、該手段にあっては瞬間的な電流量の
増大を招き電源コストの上昇から製品化には実用的では
ない場合が多い。
【0012】尚上記のように、ヒートによる気泡生成で
圧力を発生させる手段に於いては、該気泡はインク中の
溶存ガスの分離により生じた気体ではなく インク液滴
の状態変化により生成した気体であることが好ましい。
該溶存ガスの分離により生じた気体では、ヒート後消滅
せず共通液室内に残存し吐出特性に弊害を及ぼす可能性
があるが、状態変化により生じた気体であればヒート後
直ちに液体に相転移し弊害となることが少ない為であ
る。だがこれにより気体として存在できる時間が制限さ
れてしまう為、上記のような圧力波の持続時間の不足の
問題を招く原因となってしまっている。
【0013】本発明は、共通液室内の圧力発生手段を制
御することによってノズル後方インピーダンスの向上
や、インクの振動を防止・減衰する記録装置に於いて、
前記従来の課題を解決し、圧力持続時間を延命し、該圧
力発生部と圧力作用部との間の距離による圧力損失の問
題を低減することが可能なインクジェット記録装置を提
供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決する為の手段】前記課題を解決する、以下
述べる実施例の手段は、共通液室内に複数の圧力発生部
を設けるマルチ圧力発生手段と、該圧力発生手段を適す
るタイミングで適する位置を選択的に駆動する圧力発生
制御手段とを設けたことを特徴としてなす。
【0015】
【作用】前記手段によれば、高速応答を妨げる長ノズル
構造や、吐出信頼性を達成することが必ずしも容易では
ない流抵抗体構造を配する必要の無い共通液室内圧力制
御手段を用い、該手段の従来の欠点とされていた圧力持
続時間の向上や発生圧力の増大を実現でき、後方インピ
ーダンスの向上やインク振動の防止・減衰を達成するこ
とが可能なインクジェット記録装置を提供できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明のインクジェット記録装置に係
る実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】図11乃至図16は、本発明が実施もしく
は適用される好適なインクジエツトユニツトIJU,イ
ンクジエツトヘツドIJH,インクタンクIT,インク
ジエツトカートリツジIJC,インクジエツト記録装置
本体IJRA,キヤリツジHCの夫々及び夫々の関係を
説明するための説明図である。以下これらの図面を用い
て各部構成の説明を行う。
【0018】(i) 装置本体の概略説明 図11は、本発明に適用されるインクジエツト記録装置
IJRAの概観図の一例である。図において、駆動モー
タ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア501
1,5009を介して回転するリードスクリユー500
5の螺旋溝5004に対して係合するキヤリツジHCは
ピン(不図示)を有し、矢印a,b方向に往復移動され
る。このキヤリツジHCには、インクジエツトカートリ
ツジIJCが搭載されている。5002は紙押え板であ
り、キヤリツジ移動方向にわたって紙をプラテン500
0に対して押圧する。5007,5008はフオトカプ
ラで、キヤリツジのレバー5006のこの域での存在を
確認して、モータ5013の回転方向切換等を行うため
のホームポジシヨン検知手段である。5016は記録ヘ
ツドの前面をキヤツプするキヤツプ部材5022を支持
する部材で、5015はこのキヤツプ内を吸引する吸引
手段でキヤツプ内開口5023を介して記録ヘツドの吸
引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、5
019はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材
であり、本体支持板5018にこれらは支持されてい
る。ブレードは、この形態でなく周知のクリーニングブ
レードが本例に適用できることはいうまでもない。
【0019】さらに、図9はこの5017のクリーニン
グブレードを清掃するためのクリーナーの一構成を示す
ものである。作用としては5017のクリーニングブレ
ードに付着した大きなインク滴を吸収または掻きとるこ
とによりインクジェットヘッドIJHへの再付着を防止
しようとするものである。具体的には図10に示すよう
にキャリッジ5014上に設けたインク吸収体5100
によりクリーニングブレード5017上に付着したイン
ク滴を吸収してしまおうとするものである。この吸収体
はこの図ではキャリッジ上に設けたがインクジェットカ
ートリッジIJC上に固定して専用化しIJCとともに
使い捨てにしても良い。
【0020】又、5012は、吸引回復の吸引を開始す
るためのレバーで、キヤリツジと係合するカム5020
の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラ
ツチ切換等の公知の伝達手段で移動制御される。
【0021】これらのキヤツピング、クリーニング、吸
引回復は、キヤリツジがホームポジシヨン側領域にきた
ときにリードスクリユー5005の作用によってそれら
の対応位置で所望の処理が行えるように構成されている
が、周知のタイミングで所望の作動を行うようにすれ
ば、本例には何れも適用できる。
【0022】本例でのインクジエツトカートリツジIJ
Cは、図12の斜視図でわかるように、インクの収納割
合が大きくなっているもので、インクタンクITの前方
面よりもわずかにインクジエツトユニツトIJUの先端
部が突出した形状である。このインクジエツトカートリ
ツジIJCは、インクジエツト記録装置本体IJRAに
載置されているキヤリツジHC(図11)の後述する位
置決め手段、及び電気的接点とによって固定支持される
と共に、該キヤリツジHCに対して着脱可能なタイプで
ある。
【0023】(ii)インクジエツトユニツトIJU構成説
明 インクジエツトユニツトIJUは、電気信号に応じて膜
沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギー
を生成する電気熱変換体を用いて記録を行う方式のユニ
ツトである。
【0024】図12において、100はSi基板上に複
数の列状に配された電気熱変換体(吐出ヒータ)と、こ
れに電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術によ
り形成されて成るヒータボードである。200はヒータ
ボード100に対する配線基板であり、ヒータボード1
00の配線に対応する配線(例えばワイヤボンデイング
により接続される)と、この配線の端部に位置し本体装
置からの電気信号を受けるパツド201とを有してい
る。
【0025】1300は複数のインク流路を夫々区分す
るための隔壁や共通液室等を設けた溝付天板で、インク
タンクから供給されるインクを受けて共通液室へ導入す
るインク受け口1500と、吐出口を複数有するオリフ
イスプレート400を一体成型したものである。これら
の一体成型材料としてはポリサルフオンが好ましいが、
他の成型用樹脂材料でも良い。
【0026】300は配線基板200の裏面を平面で支
持する例えば金属製の支持体で、インクジエツトユニツ
トの底板となる。500は押えばねであり、M字形状で
そのM字の中央で共通液室を押圧すると共に前だれ部5
01で液路の一部を線圧で押圧する。ヒータボード10
0および天板1300を押えばねの足部が支持体300
の穴3121を通って支持体300の裏面側に係合する
ことで、これらを挟み込んだ状態で両者を係合させるこ
とにより、押えばね500とその前だれ部501の付勢
力によってヒータボード100と天板1300とを圧着
固定する。又、支持体300は、インクタンクITの2
つの位置決め凸起1012及び位置決め且つ熱融着保持
用凸起1800,1801に係合する位置決め用穴31
2,1900,2000を有する他、装置本体IJRA
のキヤリツジHCに対する位置決め用の突起2500,
2600を裏面側に有している。加えて支持体300は
インクタンクからのインク供給を可能とするインク供給
管2200(後述)を貫通可能にする穴320をも有し
ている。支持体300に対する配線基板200の取付
は、接着剤等で貼着して行われる。尚、支持体300の
凹部2400,2400は、それぞれ位置決め用突起2
500,2600の近傍に設けられており、組立てられ
たインクジエツトカートリツジIJC(図12)におい
て、その周囲の3辺を平行溝3000,3001の複数
で形成されたヘツド先端域の延長点にあって、ゴミやイ
ンク等の不要物が突起2500,2600に至ることが
ないように位置している。この平行溝3000が形成さ
れている。蓋部材800は、図4でわかるように、イン
クジエツトカートリツジIJCの外壁を形成すると共
に、インクジエツトユニツトIJUを収納する空間部を
形成している。又、この平行溝3001が形成されてい
るインク供給部材600は、前述したインク供給管22
00に連続するインク導管1600を供給管2200側
が固定の片持ちばりとして形成し、インク導管の固定側
とインク供給管2200との毛管現象を確保するための
封止ピン602が挿入されている。尚、601はインク
タンクITと供給管2200との結合シールを行うパツ
キン、700は供給管のタンク側端部に設けられたフイ
ルターである。
【0027】このインク供給部材600は、モールド成
型されているので、安価で位置精度が高く形成製造上の
精度低下を無くしているだけでなく、片持ちばりの導管
1600によって大量生産時においても導管1600の
上述インク受け口1500に対する圧接状態が安定化で
きる。本例では、この圧接状態下で封止用接着剤をイン
ク供給部材側から流し込むだけで、完全な連通状態を確
実に得ることができている。尚、インク供給部材600
の支持体300に対する固定は、支持体300の穴19
01,1902に対するインク供給部材600の裏面側
ピン(不図示)を支持体300の穴1901,1902
を介して貫通突出せしめ、支持体300の裏面側に突出
した部分を熱融着することで簡単に行われる。尚、この
熱融着された裏面部のわずかな突出領域は、インクタン
クITのインクジエツトユニツトIJU取付面側壁面の
くぼみ(不図示)内に収められるのでユニツトIJUの
位置決め面は正確に得られる。
【0028】(iii) インクタンクIT構成説明 インクタンクは、カートリツジ本体1000と、インク
吸収体900とインク吸収体900をカートリツジ本体
1000の上記ユニツトIJU取付面とは反対側の側面
から挿入した後、これを封止する蓋部材1100とで構
成されている。900はインクを含浸させるための吸収
体であり、カートリツジ本体1000内に配置される。
1200は上記各部100〜600からなるユニツトI
JUに対してインクを供給するための供給口であると共
に、当該ユニツトをカートリツジ本体1000の部分1
010に配置する前の工程で供給口1200よりインク
を注入することにより吸収体900のインク含浸を行う
ための注入口でもある。
【0029】この本例では、インクを供給可能な部分
は、大気連通口とこの供給口とになるが、インク吸収体
からのインク供給性を良好に行うための本体1000内
リブ2300と蓋部材1100の部分リブ2500,2
400とによって形成されたタンク内空気存在領域を、
大気連通口1401側から連続させてインク供給口12
00から最も遠い角部域にわたって形成している構成を
とっているので、相対的に良好かつ均一な吸収体へのイ
ンク供給は、この供給口1200側から行われることが
重要である。この方法は実用上極めて有効である。この
リブ1000は、インクタンクの本体1000の後方面
において、キヤリツジ移動方向に平行なリブを4本有
し、吸収体が後方面に密着することを防止している。
又、部分リブ2400,2500は、同様にリブ100
0に対して対応する延長上にある蓋部材1100の内面
に設けられているが、リブ1000とは異なり分割され
た状態となっていて空気の存在空間を前者より増加させ
ている。尚、部分リブ2500,2400は蓋部材10
00の全面積の半分以下の面に分散された形となってい
る。これらのリブによってインク吸収体のタンク供給口
1200から最も遠い角部の領域のインクをより安定さ
せつつも確実に供給口1200側へ毛管力で導びくこと
ができた。1401はカートリツジ内部を大気に連通す
るために蓋部材に設けた大気連通口である。1400は
大気連通口1401の内方に配置される撥液材であり、
これにより大気連通口1401からのインク漏洩が防止
される。
【0030】前述したインクタンクITのインク収容空
間は長方体形状であり、その長辺を側面にもつ場合であ
るので上述したリブの配置構成は特に有効であるが、キ
ヤリツジの移動方向に長辺を持つ場合又は立方体の場合
は、蓋部材1100の全体にリブを設けるようにするこ
とでインク吸収体900からのインク供給を安定化でき
る。
【0031】又、インクタンクITの上記ユニツトIJ
Uの取付面の構成は図3によって示されている。オリフ
イスプレート400の突出口のほぼ中心を通って、タン
クITの底面もしくはキヤリツジの表面の載置基準面に
平行な直線をL1 とすると、支持体300の穴312に
係合する2つの位置決め凸起1012はこの直線L1上
にある。この凸起1012の高さは支持体300の厚み
よりわずかに低く、支持体300の位置決めを行う。こ
の図面上で直線L1 の延長上には、キヤリツジの位置決
め用フツク4001の90°角の係合面4002が係合
する爪2100が位置しており、キヤリツジに対する位
置決めの作用力がこの直線L1 を含む上記基準面に平行
な面領域で作用するように構成されている。図14で後
述するが、これらの関係は、インクタンクのみの位置決
めの精度がヘツドの吐出口の位置決め精度と同等となる
ので有効な構成となる。
【0032】又、支持体300のインクタンク側面への
固定用穴1900,2000に夫々対応するインクタン
クの突起1800,1801は前述の凸起1012より
も長く、支持体300を貫通して突出した部分を熱融着
して支持体300をその側面に固定するためのものであ
る。上述の線L1 に垂直でこの突起1800を通る直線
をL3 、突起1801を通る直線をL2 としたとき、直
線L3 上には上記供給口1200のほぼ中心が位置する
ので、供給部の口1200と供給管2200との結合状
態を安定化する作用をし、落下や衝撃によってもこれら
の結合状態への負荷を軽減できるので好ましい構成であ
る。又、直線L2 ,L3 は一致していず、ヘツドIJH
の吐出口側の凸起1012周辺に突起1800,180
1が存在しているので、さらにヘツドIJHのタンクに
対する位置決めの補強効果を生んでいる。尚、L4 で示
される曲線は、インク供給部材600の装着時の外壁位
置である。突起1800,1801はその曲線L4 に沿
っているので、ヘツドIJHの先端側構成の重量に対し
ても充分な強度と位置精度を与えている。尚、2700
はインクタンクITの先端ツバで、キヤリツジの前板4
000の穴に挿入されて、インクタンクの変位が極端に
悪くなるような異変時に対して設けられている。210
1は、キヤリツジHCとのさらなる位置決め部との係合
部である。
【0033】インクタンクITは、ユニツトIJUを装
着された後に蓋800で覆うことで、ユニツトIJUを
下方開口を除いて包囲する形状となるが、インクジエツ
トカートリツジIJCとしては、キヤリツジHCに載置
するための下方開口はキヤリツジHCと近接するため、
実質的な4方包囲空間を形成してしまう。従って、この
包囲空間内にあるヘツドIJHからの発熱はこの空間内
の保温空間として有効となるものの長期連続使用として
は、わずかな昇温となる。このため本例では、支持体の
自然放熱を助けるためにカートリツジIJCの上方面
に、この空間よりは小さい幅のスリツト1700を設け
て、昇温を防止しつつもユニツトIJU全体の温度分布
の均一化を環境に左右されないようにすることができ
た。
【0034】インクジエツトカートリツジIJCとして
組立てられると、インクはカートリツジ内部より供給口
1200、支持体300に設けた穴320および供給タ
ンク600の中裏面側に設けた導入口を介して供給タン
ク600内に供給され、その内部を通った後、導出口よ
り適宜の供給管および天板400のインク導入口150
0を介して共通液室内へと流入する。以上におけるイン
ク連通用の接続部には、例えばシリコンゴムやブチルゴ
ム等のパツキンが配設され、これによって封止が行われ
てインク供給路が確保される。
【0035】尚、本実施例においては天板1300は耐
インク性に優れたポリサルフオン、ポリエーテルサルフ
オン、ポリフエニレンオキサイド、ポリプロピレンなど
の樹脂を用い、オリフイスプレート部400と共に金型
内で一体に同時成型してある。
【0036】上述のように一体成型部品は、インク供給
部材600、天板・オリフイスプレート一体、インクタ
ンク本体1000としたので組立て精度が高水準になる
ばかりでなく、大量生産の品質向上に極めて有効であ
る。又部品点数の個数は従来に比較して減少できている
ので、優れた所望特性を確実に発揮できる。
【0037】(iv)キヤリツジHCに対するインクジエツ
トカートリツジIJCの取付説明 図11において、5000はプラテンローラで、記録媒
体Pを紙面下方から上方へ案内する。キヤリツジHC
は、プラテンローラ3000に沿って移動するもので、
キヤリツジの前方プラテン側にインクジエツトカートリ
ツジIJCの前面側に位置する前板4000(厚さ2m
m)と、カートリツジIJCの配線基板200のパツド
201に対応するパツド2011を具備したフレキシブ
ルシート4005、及びこれを裏面側から各パツド20
11に対して押圧する弾性力を発生するためのゴムパツ
ド4006を保持する電気接続部用支持板4003と、
インクジエツトカートリツジIJCを記録位置へ固定す
るための位置決め用フツク4001とが設けられてい
る。前板4000は位置決め用突出面410をカートリ
ツジの支持体300の前述した位置決め突起2500,
2600に夫々対応して2個有し、カートリツジの装着
後はこの突出面4010に向う垂直な力を受ける。この
ため、補強用のリブが前板のプラテンローラ側に、その
垂直な力の方向に向っているリブ(不図示)を複数有し
ている。このリブは、カートリツジIJC装着時の前面
位置L5 よりもわずかに(約0.1mm程度)プラテン
ローラ側に突出しているヘツド保護用突出部をも形成し
ている。電気接続部用支持板4003は、補強用リブ4
004を前記リブの方向ではなく垂直方向に複数有し、
プラテン側からフツク4001側に向って側方への突出
割合が減じられている。これは、カートリツジ装着時の
位置を図のように傾斜させるための機能も果している。
又、支持板4003は電気的接触状態を安定化するた
め、プラテン側の位置決め面4008とフツク側の位置
決め面4007を有し、これらの間にパツドコンタクト
域を形成すると共にパツド2011対応のボツチ付ゴム
シート4006の変形量を一義的に規定する。これらの
位置決め面は、カートリツジIJCが記録可能な位置に
固定されると、配線基板300の表面に当接した状態と
なる。本例では、さらに配線基板300のパツド201
を前述した線L1 に関して対称となるように分布させて
いるので、ゴムシート4006の各ボツチの変形量を均
一化してパツド2011,201の当接圧をより安定化
している。本例のパツド201の分布は、上方,下方2
列、縦2列である。
【0038】フツク4001は、固定軸4009に係合
する長穴を有し、この長穴の移動空間を利用して図の位
置から反時計方向に回動した後、プラテンローラ500
0に沿って左方側へ移動することでキヤリツジHCに対
するインクジエツトカートリツジIJCの位置決めを行
う。このフツク4001の移動はどのようなものでも良
いが、レバー等で行える構成が好ましい。いずれにして
もこのフツク4001の回動時にカートリツジIJCは
プラテンローラ側へ移動しつつ位置決め突起2500,
2600が前板の位置決め面4010に当接可能な位置
へ移動し、フツク4001の左方側移動によって90°
のフツク面4002がカートリツジIJCの爪2100
の90°面に密着しつつカートリツジIJCを位置決め
面2500,4010同志の接触域を中心に水平面内で
旋回して最終的にパツド201,2011同志の接触が
始まる。そしてフツク4001が所定位置、即ち固定位
置に保持されると、パツド201,2011同志の完全
接触状態と、位置決め面2500,4010同志の完全
面接触と、90度面4002と爪の90度面の2面接触
と、配線基板300と位置決め面4007,4008と
の面接触とが同時に形成されてキヤリツジに対するカー
トリツジIJCの保持が完了する。
【0039】(v) ヒーターボードの説明 図16は本実施例で使用しているヘッドのヒーターボー
ド100の模式図を示している。ヘッドの温度を制御す
るための温調用(サブ)ヒーター8d、インクを吐出さ
せるための吐出用(メイン)ヒーター8cが配された吐
出部列8g、駆動素子8hが同図で示される様な位置関
係で同一基板上に形成されている。この様に各素子を同
一基板上に配することでヘッド温度の検出、制御が効率
よく行え、更にヘッドのコンパクト化、製造工程の簡略
化を計ることができる。また同図には、ヒーターボード
がインクで満たされる領域と、そうでない領域とに分離
する天板の外周壁断面8fの位置関係を示す。この天板
の外周壁断面8fの吐出用ヒーター8d側が、共通液室
として機能する。なお、天板の外周壁断面8fの吐出部
列8g上に形成された溝部によって、液路が形成され
る。
【0040】(vi)制御構成の説明 次に、上述した装置構成の各部の記録制御を実行するた
めの制御構成について、図17に示すブロック図を参照
して説明する。制御回路を示す同図において、10は記
録信号を入力するインターフェ−ス、11はMPU、1
2はMPU11が実行する制御プログラムを格納するプ
ログラムROM、13は各種データ(上記記録信号やヘ
ッドに供給される記録データ等)を保存しておくダイナ
ミック型のRAMである。14は記録ヘッド18に対す
る記録データの供給制御を行うゲートアレイであり、イ
ンターフェース10、MPU11、RAM13間のデー
タの転送制御も行う。20は記録ヘッド18を搬送する
ためのキャリアモータ、19は記録用紙搬送のための搬
送モータ、22は共通液室内で圧力を発生させる圧力発
生手段である。15はヘッドを駆動するヘッドドライ
バ、16、17は夫々搬送モータ19、キャリアモータ
20を駆動するモータドライバ、21は圧力発生手段2
2を駆動する圧力発生手段ドライバーである。
【0041】このような装置を用いて以下に本発明での
実施例を示す。
【0042】[実施例1]次に前記手段を適用した一実
施例を図面を参照して具体的に説明する。
【0043】図1はインクジェット記録ヘッドの前記ヒ
ーターボード100のレイアウトを説明する模式図であ
る。まず該ヒータボード100の構成を説明すると、共
通液室内に圧力を発生させる圧力発生手段(ヒータ)8
J,インクを吐出させるための吐出用(メイン)ヒータ
ー8c、が同図で示される様な位置関係で同一基板上に
形成されている。この様に各素子を同一基板上に配する
ことでヘッドの制御が効率よく行え、更にヘッドのコン
パクト化、製造工程の簡略化を計ることができる。また
図中8fはヒーターボードがインクで満たされる領域
と、そうでない領域とに分離する天板の外周壁断面の位
置関係を示したものであり、この天板の外周壁断面8f
の吐出用ヒーター8c側が前記共通液室1301として
機能する。なお、天板の外周壁断面8fの吐出部列を形
成する仕切板8mによって形作られる溝部によって液路
(ノズル)91は形成されるものである。
【0044】本実施例で挙げる記録装置は高速応答記録
装置であるので、上記ノズル91はノズルインピーダン
スが十分に小さい高応答短ノズル構造であり、且つ単位
時間あたりの流量の増大に対応できるよう流路が低イン
ピーダンス構造で設計されている。よって、前記にあげ
たノズル後方インピーダンスが小さいことに起因する投
入エネルギーの吐出エネルギーへの変換効率が低減され
てしまう弊害や、インク自身のイナーシャ(慣性)によ
って流路内インクが動き出す(吐出を開始した直後)・
或いは動インクが止まる(吐出を停止した直後)時に生
じるインクの振動を十分に減衰しきないことに起因する
振動・共振の問題点が懸念されが、本発明では該問題点
を解決する為に発生させる発生圧力が十分に高く、且つ
圧力持続時間が十分に長い圧力発生手段を共通液室内1
301に配し適時必要に応じて制御されているので該問
題点は発生しない。
【0045】以下に、該問題点に対応した該圧力発生手
段の、発生圧力を十分に高く、且つ十分に長い圧力持続
時間を実現する、圧力発生手段の詳細を図1を用いて具
体的に説明する。
【0046】図1に記すとおり、本実施例では共通液室
内1301には3つの圧力発生手段8Jが配されてい
る。該圧力発生手段は具体的には、抵抗値150Ωの発
熱抵抗体HfB2に25Vの電圧を10μs印加する仕
様で駆動する。即ち、該圧力発生手段8Jに電気エネル
ギーが投入されると、圧力発生手段8Jは発熱し、該8
J上のインクを加熱することにより該インクに状態変化
(気相への相転移)を起こさせて発泡を生起し、該発泡
時に生じる体積変化によって共通液室内に圧力を発生さ
せる。該圧力によってノズル後方のインピーダンスの向
上と流路内インクの振動・共振を制御する。だが前記の
通り、該発泡により生じた気泡は確実に消泡する方が好
ましいので通常はインク分子の状態変化により生じさせ
る。即ち、前記のような大きなエネルギーを瞬間的に印
加し発泡を生起するのだが、エネルギー印加を停止する
とともに、該気泡は消泡してしまう。前記の条件で該圧
力発生手段8Jにエネルギーを印加した時の発泡消泡の
タイミングは図2に記すような結果であった。
【0047】エネルギーを印加しておよそ6μs後に圧
力発生手段8J上に発泡が開始し徐々に発泡長は増大し
ていく。発泡長の増大はエネルギー印加後も続くがこれ
は発泡周囲のインクの慣性力によって引き延ばされてい
るものと推定する。その後、発泡気体の内部負圧の増大
による収縮力が、発泡周囲インクの慣性力による増長力
を上回った時点で発泡気体は収縮に転じ最終的には消泡
する。本実験では図2に記す通り、発泡時間がおよそ1
0μs,消泡時間がおよそ10μs、合わせて気体とし
て発泡気体が存在していた時間は20μsであった。
【0048】上記の発泡持続時間でも、通常十分に前記
ノズル後方インピーダンスの向上による投入エネルギー
変換効率の向上と、流路内インクの振動・共振の抑制効
果はあった。しかし、近年の記録装置の高速化に対応し
て本実施例のように前記ノズルインピーダンスを十分に
小さくした高応答短ノズル構造で、且つ単位時間あたり
の流量の増大に対応した低インピーダンス流路構造で構
成されている記録ヘッドに於いては、更なる圧力持続時
間の延長が必要不可欠な状況になってきている。この対
策として本実施例では、図1に記すように共通液室13
01内に複数個の圧力発生手段を配して圧力持続時間の
延命を図る。
【0049】上記圧力持続時間延命化の手段の説明を図
3を用いて説明する。図3に於いて、S1は上記駆動条
件によって圧力発生手段8J1を駆動し該8J1上で発
泡現象を生起した状態である。従来は該発泡気体が消泡
した時点で発生圧力の持続が終了してしまう為、図2を
用いて説明したように前記駆動条件では約20μsで発
生圧力はクリアーされていた。しかし、本実施例では圧
力発生手段8J1上で発泡した気泡が消泡に転じるとと
もに、図3S2に記すように隣接する圧力発生手段8J
2が発泡を開始するので発生圧力の低下はほとんど起こ
らない。以下同様にS3,S4,S5と順次隣接した圧
力発生手段で発泡が開始するので長期に渡って発生圧力
を維持することができる。
【0050】また、図4は本実施例の変形例である。前
記例では共通液室1301内の複数の圧力発生手段は個
別にON/OFF制御していたが、図4に記すように複
数の圧力発生手段を直列につなぐ形式でも良い。即ち直
列につないだ発熱体である前記圧力発生手段のワット密
度(単位面積あたりの発熱量)を夫々異ならせておくこ
とによって、電流を流したときの夫々の圧力発生手段上
でインクが発泡するまでの時間にディレイを持たせる。
前記のように本実施例では圧力発生手段として薄膜発熱
体を用いているので、シート自体の抵抗値は8J1,8
J2,8J3ともに同一であることから、該圧力発生手
段の面積と縦横比構成を調整することによってワット密
度(発泡開始までの時間)は制御できる。即ち、縦横の
寸法の比率を変えることなく各々の長さを2倍にして面
積を4倍にすることによって、どちらも抵抗値は一定で
あるので直列につないだ場合のトータル発熱量は等しく
なるが、インクとの接触面積は4倍の差になり、ワット
密度も4倍の差になり、該圧力発生手段上でのインクの
発泡開始時間に差が生じる。
【0051】上記原理を利用して、ワット密度の異なる
圧力発生手段を複数個直列に配することにより、個別に
ON/OFFすることなく所望の時間差を設けて気泡の
発生を制御でき、圧力の持続時間を延命できる。
【0052】上記手段により圧力を発生させた場合の圧
力持続状況を図5に記す。図5から明らかなように、3
個の圧力発生手段を設けたことにより2倍の圧力持続時
間を維持できる。また、最高圧力レベルでの持続時間に
於いては、従来方式ではポイント(点)であるのに対
し、本発明ではレンジで持続できる。
【0053】また、制御手段に於いても、ワット密度が
異なる圧力発生手段を直列に複数個配することにより、
特別な制御を行うことなく効果だけを授受できる。本実
施例では前記の如く圧力発生手段を直列に配したが、ワ
ット密度が異ならせることによって発泡タイミングを変
えるものであれば勿論並列位置であってもかまわない。
【0054】更に本実施例では製膜手段の簡易性に着目
して圧力生成手段の膜圧(シート抵抗)は同一にした
が、膜圧で発泡タイミングを制御する手段であっても、
膜圧と面積・縦横比の総合的な考え方で発泡タイミング
を制御する手段であってもよい。
【0055】前記のごとく、近年の記録装置の高速化に
対応すべくノズルインピーダンスを十分に小さくした高
応答短ノズル構造にしたことよる投入エネルギーの効率
ダウンや、単位時間あたりの流量の増大に対応した低イ
ンピーダンス流路構造にしたことによる振動・共振問題
等を、共通液室内に配された圧力発生手段を制御するこ
とによって解決する記録装置に於いて、複数個の圧力発
生手段の駆動タイミングを制御する駆動タイミング制御
手段と、ワット密度の異なる複数個の圧力発生手段の、
少なくとも1つの手段を用いたことにより、圧力持続時
間の延命化を実現でき、該問題に対する利き率を飛躍的
に向上でき、高速且つ高画質の記録を行うことが可能と
なる。
【0056】[実施例2]次に、圧力生成手段により発
生する圧力をより効果的に機能させる他の実施例につい
て説明する。
【0057】前記実施例では、複数個の圧力発生手段を
タイミングを異ならせて駆動して圧力の持続時間を延命
することによって後方インピーダンスの向上や振動・共
振抑制の効果の向上を図ったが、本実施例では最適位置
に配されている圧力発生手段を選択的に駆動することに
よって、少ない圧力生成手段の駆動であっても事実上支
障のない効果を引き出せるように制御が行われる。以下
に、より効果的な圧力生成手段の制御手段とその原理に
ついて説明する。
【0058】圧力発生手段にエネルギーが印加されると
共通液室内に圧力が発生するが、該発生圧力は圧力作用
部までの距離に応じて、圧力減衰を生じるので該当作用
部で効果の利き率に差が生じる。該圧力減衰が生じる原
理を発明者は以下のように推定している。インクジェッ
ト記録ヘッドに於いては、液室空間は閉空間ではなくノ
ズル口など開口部を有している。よって圧力手段によっ
て共通液室内に圧力が発生すると、該圧力を吸収するた
めにノズル口等の開口部のメニスカスの形成が変化して
容積変化を生じる。即ち、インクの移動を伴った圧力解
消現象が起こる。該当インクの移動距離に応じて、移動
に伴う圧力損失(消費)が起こり、前記圧力発生手段か
ら遠方の圧力作用部には、近隣の圧力作用部と比較して
少ない圧力しか作用されず圧力発生手段の利き率が低下
する。
【0059】本実施例では、上記現象に着目してなされ
たもので、吐出手段である吐出ヒータの駆動位置を検出
し、該駆動位置に応じて最適な圧力発生手段の位置を選
択的に駆動する、即ち、本実施例では最も近距離にある
圧力発生手段を選択して該当圧力発生手段の駆動を行う
ものである。
【0060】図6は上記手段を実現する記録ヘッドのヒ
ーターボードである。本実施例では吐出駆動手段である
吐出ヒータ8cは6個であり、共通液室内に配された圧
力発生手段8Jは3個である。図6の配置図に記す通
り、吐出ヒータ8c1,8c2に十分近く、圧力発生源
として効果が実現できる位置に圧力発生手段8J1が配
されている。以下同様に、吐出ヒータ8c3,8c4の
近傍に圧力発生手段8J2が、吐出ヒータ8c5,8c
6の近傍に圧力発生手段8J3が配されている。
【0061】本実施例では、前記の如く吐出ヒータ8c
1と8c2の少なくとも一方の吐出ヒータが駆動された
場合にはそれに連動して圧力発生手段8J1が、吐出ヒ
ータ8c3と8c4の少なくとも一方の吐出ヒータが駆
動された場合にはそれに連動して圧力発生手段8J2
が、吐出ヒータ8c5と8c6の少なくとも一方の吐出
ヒータが駆動された場合にはそれに連動して圧力発生手
段8J3が選択的に駆動されるように制御が行われる。
【0062】以上のように制御を行うことにより、少な
い圧力発生手段の使用頻度で効果的に圧力波を作用させ
ることが可能となる。
【0063】これにより消費エネルギーの省力化が可能
となり、特に投入エネルギーの制約が大きいバッテリー
駆動型の記録装置に於いても高速且つ高画質化を実現さ
せることも可能となる。
【0064】圧力生成手段の選択的駆動制御手段以外の
構成及び作用は、前記実施例と同様であるので説明は省
略する。
【0065】[実施例3]次に、複数個の圧力発生手段
を共通液室内に有するインクジェット記録装置に於い
て、複数個の圧力発生手段の最適駆動位置が自動的に選
択される実施例について説明する。前記委実施例では、
吐出ヒータの駆動位置を検出して該検出値に応じて最適
位置にある圧力発生手段が選択され、駆動制御されてい
たが、本実施例では駆動吐出ヒータの該検出手段や、最
適圧力発生手段を選択する制御が不要になる。以下で図
面を参照して具体的に説明する。
【0066】図7は、本実施例にかかる共通液室内の複
数個の圧力発生手段の駆動位置自動選択手段を説明する
説明図である。図に於いて、91はノズルであり、8m
は該ノズルを形成する仕切板であり、8cは吐出用ヒー
タであり、8Jは圧力発生ヒータである。図7からも明
らかなように、吐出ヒータ8cと圧力発生手段8Jが直
列に接続されている。よって、吐出ヒータ8cと圧力発
生手段8Jは同時に通電されることになるが、実施例1
で説明した如く所望の発泡時期の差に応じて夫々のワッ
ト密度に差を持たせて於くことにより該発泡時間差を実
現できる。
【0067】以上のように構成することにより、より単
純化された構成・制御で効率よく圧力の発生制御を行う
ことが可能となり、安価な記録装置であっても、高速化
と高画像品質化の双方を実現することが可能となる。
【0068】尚、本実施例では吐出ヒータ8cと圧力発
生手段8Jとは直列に接続されているが、実施例1同様
に並列接続であっても良い。
【0069】圧力生成手段を直結させた前記圧力発生一
括制御手段以外の構成及び作用は、前記実施例と同様で
あるので説明は省略する。
【0070】[実施例4]次に、圧力発生手段をノズル
内に配する他の実施例について説明する。
【0071】前記実施例では圧力発生手段は共通液室内
に配されていたが、ノズルの中に配する構成であっても
良い。
【0072】図8は、圧力発生手段をノズル内に配した
配置図である。図から明らかなように、吐出用ヒータ8
cと圧力発生手段8Jは、ノズル内で直列に接続されて
いる。また、実施例1、及び実施例3同様、吐出ヒータ
8cと圧力発生手段8Jによる発泡時期に所望の差を持
たせる目的で、夫々のワット密度には必要量の差を持た
せて構成されている。
【0073】前記構成よりなる記録ヘッドを用いて記録
を行うことにより、吐出ヒータの駆動(発泡)に対して
所望のディレイを持って確実に圧力発生手段による発泡
を生起することが可能となる。
【0074】また、圧力発生手段をノズル内に配したこ
とにより、共通液室内に配するのと比較して最も効率よ
く圧力波を伝達することが可能となる。即ち、圧力発生
部と圧力作用部までの距離を近接させたことにより、前
記のような発生圧力の伝達損失(消費)が軽減され、発
生圧力の効率利用が実現されるためである。
【0075】また、以上のように構成することにより、
より単純化された構成・制御で圧力の発生制御を行うこ
とが可能となり、安価な記録装置であっても、高速化と
高画像品質化の双方を実現することが可能となる。
【0076】圧力発生手段をノズル内に配した最近傍圧
力発生配置手段以外の構成及び作用は、前記実施例と同
様であるので説明は省略する。
【0077】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出するイン
クジェット方式の記録ヘッド、記録装置において優れた
効果をもたらすものである。
【0078】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、
結果的にこの駆動信号に一対一対応し液体(インク)内
の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長,
収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行な
われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出
が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号
としては、米国特許第4463359号明細書、同第4
345262号明細書に記載されているようなものが適
している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明
の米国特許第4313124号明細書に記載されている
条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができ
る。
【0079】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応せる構成を開
示する特開昭59年第138461号公報に基づいた構
成としても本発明は有効である。
【0080】
【発明の効果】本発明は前述のごとく、共通液室内に複
数の圧力発生部を設けるマルチ圧力発生手段と、該圧力
発生手段を所望の順序で選択的に駆動する圧力発生制御
手段選択制御手段とを設けたことにより、高速応答を妨
げる長ノズル構造や、吐出信頼性を達成することが必ず
しも容易ではない流抵抗体構造を配する必要の無い共通
液室内圧力制御手段を用い、該手段の従来の欠点とされ
ていた圧力持続時間の向上や発生圧力の増大を実現で
き、後方インピーダンスの向上やインク振動の防止・減
衰を達成でき、高速且つ高画像品位の実現を可能とした
インクジェット記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る記録ヘッドチップの平面図であ
る。
【図2】エネルギーの印加と発泡・消泡のタイミングを
説明する説明図である。
【図3】複数個の圧力発生手段を駆動した場合の持続圧
力の説明図である。
【図4】複数個の圧力発生手段を一括制御する為の制御
説明図である。
【図5】複数個の圧力発生手段を用いた場合の経時的な
圧力維持状態の説明図である。
【図6】本発明を説明するための図である。
【図7】本発明を説明するための図である。
【図8】本発明を説明するための図である。
【図9】本発明を説明するための図である。
【図10】本発明を説明するための図である。
【図11】本実施例にかかるインクジエツト記録装置の
概観図を説明する斜視図である。
【図12】本実施例でのインクジエツトカートリツジを
説明するの斜視図である。
【図13】本発明を説明するための図である。
【図14】本発明を説明するための図である。
【図15】本発明を説明するための図である。
【図16】本実施例で使用しているヘッドのヒーターボ
ードの模式図である。
【図17】本発明を説明するための図である。
【符号の説明】
8c 吐出用ヒータ 8f 天板の外周壁断面 8J 圧力発生手段 8k 気泡 8m ノズル形成仕切板 91 液路(ノズル) 100 ヒーターボード 1301 共通液室
フロントページの続き (72)発明者 高橋 喜一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 岩崎 督 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 兼松 大五郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するための記録ヘッドに於
    いて、 インクを吐出される吐出孔と、該吐出孔に連通しインク
    吐出のための吐出エネルギーをインクに作用させるため
    の吐出エネルギー作用部と、 吐出エネルギー作用部に連通し該作用部に供給されるイ
    ンクを貯留するインク貯留部と、 該貯留部に圧力を生成する複数個の圧力生成手段を具え
    たことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記圧力生成手段を駆動するタイミング
    を制御する圧力生成タイミング制御手段を具えたことを
    特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記圧力生成手段は、加熱により気泡を
    形成させる気泡生成手段であることを特徴とする請求項
    1、2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記圧力発生タイミング手段として、複
    数個の圧力発生手段を個別に制御する個別制御手段と、
    複数個の圧力発生手段をワット密度が異なるように直列
    ないしは並列に結線して駆動制御する一括制御手段の、
    少なくとも一方の制御手段を有することを特徴とする請
    求項1、2、3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 複数個の吐出駆動手段を有し、駆動され
    た吐出手段を検出する駆動吐出手段検出手段を有し、該
    検出値に応じて前記複数個の圧力発生手段を選択的に駆
    動する圧力発生手段選択手段とを有することを特徴とす
    る請求項1、2、3、4に記載のインクジェット記録装
    置。
  6. 【請求項6】 ノズル内に、吐出駆動手段と、圧力発生
    手段の双方を有することを特徴とするインクジェット記
    録装置。
  7. 【請求項7】 前記圧力発生手段として、吐出手段と圧
    力発生手段を個別に制御する個別制御手段と、吐出手段
    と圧力発生手段をワット密度が異なるように直列ないし
    は並列に結線して駆動制御する一括制御手段の、少なく
    とも一方の制御手段を有することを特徴とする請求項6
    に記載のインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 吐出エネルギーとして熱エネルギーを発
    生する電気熱変換体が設けられ、該熱エネルギーによっ
    てインクに膜沸騰を生じさせ、該膜沸騰による気泡の生
    成に基づいてインクを吐出することを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7に記載のインクジェット記
    録装置。
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