JPH0619645Y2 - リバーシブル型マンホールカバー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は主に路面に設けられる下水等のマンホールや汚
水桝などの上端開口部を覆うマンホールカバーに関し、
特に一つの蓋体を鉄蓋の状態と充填式化粧蓋の状態とに
選択的に使い分けできる新規なリバーシブル型マンホー
ルカバーに関する。

（従来の技術） 従来、マンホールカバーは、第５図及び第６図に示す如
く、路面のマンホール等の上端開口周縁に埋設固定され
る受枠１と、この受枠１内に脱着可能に嵌合される蓋体
２とからなる鉄蓋と称されるものがものが多い。即ち、
受枠１及び蓋体２がいずれも鋳鉄製で、上方からの荷重
に対する強度を充分確保した構造とされている。その受
枠１は断面逆Ｔ字形状の環状をなし、その立上がり板部
１ａの内周面１ａ′が前記蓋体２を嵌め易いように上方
に行くに従い漸次大径となる逆ハの字状にテーパーが付
けられていると共に、その内周面の周方向に間隔を存し
た複数箇所に蓋受け段部１ｂが形成されている。前記蓋
体２は天板部２ａの周縁から裏面側に周側板部２ｂが一
体に突設され、その周側板部２ｂを前記受枠１内の受け
段部１ｂ上に載架することで天板部２ａ表面（上面）が
該受枠１の上端面と略面一となる状態に嵌合できるよう
になっている。その天板部２ａ表面にはソリット状など
滑り止め兼用の凹凸模様２ｃが一体成形され、裏面側に
は複数本の補強用リブ２ｄが一体成形されている。これ
ら補強用リブ２ｄはそれぞれ中央部が周側板部２ｂより
下方にはみ出るような大きなものでる。また前記周側板
部２ｂの外周面２ｂ′は前記受枠１の立上がり板部１ａ
の内周面１ａ′の傾斜と対応して全体が逆ハの字状にテ
ーパーが付けられている。なお図中３は蓋体２の天板部
２ａの左右対向隅部に形成された吊上げ用ハンドル掛止
穴である。

一方、近年では都市開発の発展と生活環境の整備に伴
い、歩道や車道や公園などの路面のファッション化が進
んでカラー舗装やタイルやブロック舗装の需要が高まっ
て来ている。この為マンホールカバーにおいても、従来
の鉄蓋のマンホールカバー以外に、街の景観や周囲の路
面舗装とマッチするような新感覚なデザインと機能が要
求され、この要望に答えて充填式化粧用マンホールカバ
ーと称されるものが多く利用されて来ている。これは図
示しないが前述した鉄蓋と略同様の受枠を用いる一方、
蓋体は底板部とこの周縁から立設され且つ上端外周縁に
フランジを有した周側板部とからなる受け皿状の形態
で、その底板部上面と周側板部とで囲まれた凹部内全域
にタイルやブロックやカラーモルタル等の任意の化粧用
舗装材を充填して構成されている。そしてその充填式化
粧蓋体は周側板部のフランジを受枠内の蓋受け段部上に
載架することで、凹部に充填されている化粧用舗装材の
上面が該受枠の上端面と略面一となるように嵌合できる
ようになっている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、前述した従来のマンホールカバーでは、鉄蓋
と称されるものも充填式化粧用と称されるものも、それ
ぞれ独自の設計に基づいて製作されており、相互の受枠
並びに蓋体いずれも互換性がない。勿論それぞれの蓋体
は逆ハの字状のテーパーやフランジをもって受枠に載架
状態に嵌合されているので、上下反転して受枠に嵌合で
きないと共に、仮に受枠に嵌合できたとしても蓋体上面
が受枠上端面と略面一とならないので、一つの蓋体を鉄
蓋としたり反転して充填式化粧蓋としたりして使い分け
ることは全くできない。

従ってメーカーとしては市場のニーズを考慮して鉄蓋用
と充填式化粧用との両形式のマンホールカバーを生産し
ておかなければならず、その生産管理が面倒でコスト高
を招くなど不経済であった。またユーザー側としても鉄
蓋用と充填式化粧用との両形式のどちらにするかの選定
が終わらなければ発注できず、その協議に時間がかかる
と共に、それだけ納品・施工が遅れて工期が長引く問題
があった。更には一度施工したマンホールカバーを後に
他の形式のものと変更したい要請があっても、蓋体は勿
論のこと路面に埋設された受枠までも取替えなければな
らず、その工事が非常に面倒で多くの費用がかかる等の
問題があった。

本考案は上記事情に鑑みなされたもので、蓋体を上下反
転して鉄蓋の状態と充填式化粧蓋の状態とに選択的に使
い分けることができて、一つのタイプを生産しておくだ
けで鉄蓋用と充填式化粧用との両方のニーズに応じら
れ、非常に生産管理面で有利であると共に経済的とな
り、しかもユーザー側にとっても形式の選定や施工後の
変更が楽にでき、実用上非常に簡便なリバーシブル型マ
ンホールカバーを提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（問題を解決するための手段） 本考案は上記目的を達成するために、路面のマンホール
の上端開口周縁に埋設固定され且つ内側に蓋受け段部を
有した受枠と、この受枠内に脱着可能に嵌合される蓋体
とからなるものにおいて、その蓋体は、天板部の周縁か
ら裏面側に周側板部を突設した鋳鉄製で、その周側板部
を前記受枠内の受け段部上に載架することで天板部表面
が該受枠上端面と略面一状態となる鉄蓋構造とされ、且
つ上下反転状態でも受枠に対し脱着可能に嵌合できるよ
うに、周側板部の外周面の上半部分はハの字状に、下半
部分は逆ハの字状にそれぞれテーパーが付けられ、その
反転状態では前記天板部を底板として周囲が周側板部で
囲まれた凹部にタイルやブロックやモルタル等の化粧用
舗装材をこの上面が該受枠上端と略面一となる状態に充
填できて充填式化粧蓋として使用されるリバーシブル型
構成としたことを特徴とする。

（作用） 上記構成により、蓋体の周側板部の外周面の上半部分は
ハの字状に、下半部分は逆ハの字状にそれぞれテーパー
が付けられているので、その蓋体を上下反転状態でも受
枠に対してスムーズに脱着可能に嵌合できるようにな
り、しかもその蓋体は天板部を上側にした非反転状態で
受枠に嵌合すれば、その天板部表面が受枠上端面と略面
一状態となっている従来と略同様の鉄蓋として使用さ
れ、逆に反転状態では前記天板部を底板とし周囲が周側
板部で囲まれた凹部にタイルやブロックやモルタル等の
化粧用舗装材をこの上面が該受枠上端と略面一となる状
態に充填できて充填式化粧蓋として使用されるようにな
る。つまり一つの蓋体が受枠に対して上下反転して嵌合
できるリバーシブル型で、鉄蓋の状態と化粧用舗装材の
充填による充填式化粧蓋の状態とに選択的に使い分けで
きるようになる。

（実施例） 以下本考案の一実施例を第１図乃至第４図により説明す
る。なお第１図及び第２図は鉄蓋としての使用状態を示
し、第３図及び第４図は充填式化粧蓋としての使用状態
を示している。ここで図中１１は路面のマンホール等の
上端開口周縁に埋設固定される受枠、１２は受枠１１内
に脱着可能に嵌合される蓋体である。これら受枠１１及
び蓋体１２はいずれも鋳鉄製で、上方からの荷重に対す
る強度を充分確保されている。

ここで受枠１１は従来と略同様に断面逆Ｔ字形状の環状
をなし、その立上がり板部１１ａの内周面１１ａ′が前
記蓋体１２を嵌め易いように上方に行くに従い漸次大径
となるように逆ハの字状にテーパーが付けられていると
共に、その内周面の周方向に間隔を存した複数個所に蓋
受け段部１１ｂが形成されている。

一方、前記蓋体２は第１図及び第２図を参照して説明す
ると、天板部１２ａの周縁から裏面側に周側板部１２ｂ
が一体に突設され、その周側板部１２ｂを前記受枠１１
内の受け段部１１ｂ上に載架することで天板部１２ａ表
面（上面）が該受枠１の上端面と略面一となる状態に嵌
合できるようになっている。その天板部１２ａ表面には
従来同様にソリット状など滑り止め兼用の凹凸模様１２
ｃが一体成形されているが、裏面側には非常に背の低い
複数本の補強用リブ１２ｄは一体成形されているだけ
で、周側板部１２ｂで囲まれた略全域に亘り細かく区分
されずに広い面積で凹凸の非常に少ない略平坦な凹部１
２ｅを構成する構造とされている。勿論周側板部１２ｂ
より下方にはみ出るようにものは全く無い。また前記周
側板部１２ｂの外周面の上半部分１２ｂ′はハの字状
に、下半部分１２ｂ″は逆ハの字状にそれぞれテーパー
が付けられて上下反転状態でも受枠に対してスムーズに
脱着嵌合できるようになっている。その蓋体１２を第３
図及び第４図に示す如く反転状態で受枠１１に嵌合すれ
ば、前記天板部１２ａを底板として周囲が周側板部１２
ｂで囲まれた広い面積の略平坦な凹部１２ｅが上側に現
われて、その凹部１２ｅ内に想像線で示す如くならしモ
ルタル１３ａを介してブロック１３ｂ等の化粧用舗装材
１３をこの上面が該受枠１１上端と略面一となる状態に
充填できて充填式化粧蓋として使用できるようになって
いる。なおその化粧用舗装材１３は前記ブロック１３ｂ
以外に図示しないがタイルや最近はやりのカラーモルタ
ルやインターロッキングブロックなど適宜のものが選択
充填可能である。なお図中１４は前記蓋体１２の天板部
１２ａの一個所に中空ボックス部１４ａを形成して穿設
した吊上げ用ハンドル掛止穴で、１５は該掛止穴１４と
反対側部に形成された蓋体こじ開け用切欠である。これ
ら掛止穴１４や切欠１５は前記凹部１２ｅ内にブロック
１３ｂ等の化粧用舗装材１３を敷き並べ易いようにする
ために出来るだけ該凹部１２ｅの形状の複雑化を無くす
べく外周縁部寄りに設けられている。

而して、上述した構成のリバーシブル型マンホールカバ
ーでは、蓋体１２の周側板部１２ｂの外周面の上半部分
１２ｂ′がハの字状に、下半部分１２ｂ″が逆ハの字状
にそれぞれテーパーが付けられて、その蓋体１２を上下
反転状態でも受枠１１に対してスムーズに脱着可能に嵌
合できることになる。そこでその蓋体１２を第１図及び
第２図に示す如く天板部１２ａが上側となる非反転状態
でそのまま受枠１１に嵌合すれば、その天板部１２ａ表
面が受枠上端面と略面一状態となって従来と略同様の鉄
蓋として使用できるようになる。また、逆に蓋体１２を
第３図及び第４図に示す如く上下反転状態で受枠１１に
嵌合するようになせば、前記天板部１２ａを底板として
周囲が周側板部１２ｂで囲まれた広い面積の略平坦な凹
部１２ｅが上側に現われるので、その凹部１２ｅ内に想
像線で示す如くならしモルタル１３ａを介してブロック
１３ｂ等の化粧用舗装材１３を充填することで、その化
粧用舗装材１３の上面が該受枠１１上端と略面一とな
り、これで充填敷化粧蓋として使用できることになる。
またその充填式化粧蓋としての使用状態から蓋体１２を
反転して受枠１１に嵌合し直せば、そのまま鉄蓋として
の状態に戻る。つまり一つの蓋体１２が受枠１１に対し
て上下反転して嵌合できるリバーシブル型で、鉄蓋の状
態と化粧用舗装材の充填による充填式化粧蓋の状態とに
自由に選択的に使い分けできるようになる。これにて一
つのタイプを生産しておくだけで鉄蓋用と充填式化粧用
との両方のニーズに応じられ、非常に生産管理面で有利
であると共に経済的となり、しかもユーザー側にとって
も形式の選定や施工後の変更が楽にできるようになる。
また充填式化粧蓋の状態で使用している場合に、凹部１
２ｅ内に充填したタイルやブロック等の化粧舗装材１３
がひび割れ・欠損等した時は、その補修工事を行なうま
での期間反転して鉄蓋として使用しておけるなどの便利
さもある。

なお、本考案は前記実施例のみに限定されることなく、
例えば前述の実施例では丸型のマンホールカバーについ
て述べたが、方形状の受枠と四角な蓋体よりなる角型マ
ンホールカバーでも同様に適応できる。その他本願の要
旨を逸脱しない範囲であれば種々変更可である。

〔考案の効果〕

本考案は前述した如くなしたから、蓋体を上下反転して
鉄蓋の状態と充填式化粧蓋の状態とに選択的に使い分け
ることができて、一つのタイプを生産しておくだけで鉄
蓋用と充填式化粧用との両方のニーズに応じられ、非常
に生産管理面で有利であると共に経済的となり、しかも
ユーザー側にとっても形式の選定や施工後の変更が楽に
でき、実用上非常に簡便なリバーシブル型マンホールカ
バーとなる。

【図面の簡単な説明】 第１図乃至第４図は本考案の一実施例を示すもので、第
１図は鉄蓋としての使用状態の第２図のＩ−Ｉ線に沿う
断面図、第２図は同じく鉄蓋としての使用状態の平面
図、第３図は充填式化粧蓋としての使用状態の第４図の
III−III線に沿う断面図、第４図は同じく充填式化粧蓋
としての使用状態の平面図、第５図は従来の鉄蓋のマン
ホールカバーの左半分を断面した平面図、第６図は第５
図のVI−VI線に沿う断面図である。 １１……受枠、１１ｂ……蓋受け段部１１ｂ、１２……
蓋体、１２ａ……天板部、１２ｂ……周側板部、１２
ｂ′……周側板部の外周面の上半部分、１２ｂ″……周
側板部の外周面の下半部分、１２ｅ……凹部、１３……
化粧用舗装材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】路面のマンホールの上端開口周縁に埋設固
   定され且つ内側に蓋受け段部を有した受枠と、この受枠
   内に脱着可能に嵌合される蓋体とからなるものにおい
   て、その蓋体は、天板部の周縁から裏面側に周側板部を
   突設した鋳鉄製で、その周側板部を前記受枠内の受け段
   部上に載架することで天板部表面が該受枠上端面と略面
   一状態となる鉄蓋構造とされ、且つ上下反転状態でも受
   枠に対し脱着可能に嵌合できるように、周側板部の外周
   面の上半部分はハの字状に、下半部分は逆ハの字状にそ
   れぞれテーパーが付けられ、その反転状態では前記天板
   部を底板として周囲が周側板部で囲まれた凹部にタイル
   やブロックやモルタル等の化粧用舗装材をこの上面が該
   受枠上端と略面一となる状態に充填できて充填式化粧蓋
   として使用される構成としたことを特徴とするリバーシ
   ブル型マンホールカバー。