JPH06192177A - グリセリン誘導体並びにこれを含有する血小板凝集抑制剤および脂肪輸液剤 - Google Patents

グリセリン誘導体並びにこれを含有する血小板凝集抑制剤および脂肪輸液剤

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JPH06192177A
JPH06192177A JP31025392A JP31025392A JPH06192177A JP H06192177 A JPH06192177 A JP H06192177A JP 31025392 A JP31025392 A JP 31025392A JP 31025392 A JP31025392 A JP 31025392A JP H06192177 A JPH06192177 A JP H06192177A
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acid
derived
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glyceride
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JP31025392A
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Toshio Wakabayashi
利生 若林
Keiko Ochiai
恵子 落合
Setsuya Oba
節哉 大場
Shizuo Nagahama
静男 長濱
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SANDO YAKUHIN KK
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SANDO YAKUHIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1およびR2は異なる不飽和脂肪酸から誘導さ
れるアシル基を示し、R 1およびR2のうち一方のアシル
基はエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸か
ら誘導されるアシル基を示し、もう一方のアシル基はリ
ノール酸あるいはγ−リノレン酸あるいはエイコサペン
タエン酸あるいはドコサヘキサエン酸から誘導されるア
シル基を示す)、で表わされるグリセリン誘導体。 【効果】 このグリセリン誘導体は血小板凝集抑制作用
を有し、血栓性炎症あるいは血小板凝集の関与する動脈
硬化症等の治療もしくは予防する薬剤として有効に使用
することができるだけでなく、バランスのとれた栄養輸
液としても使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグリセリン誘導体並びに
それを含有する血小板凝集抑制剤および脂肪輸液剤に関
するものである。本発明によって提供されるグリセリン
誘導体は有機化学的に合成された新規化合物であり、血
小板凝集抑制作用を有する。従って、血小板凝集に起因
する疾患、例えば血栓性炎症あるいは血小板凝集が関与
する動脈硬化症等の治療および予防に有効であるばかり
でなく、バランスのとれた栄養輸液として用いることが
できる。
【0002】
【従来の技術】エイコサペンタエン酸あるいはドコサヘ
キサエン酸は、鰯、鯖、秋刀魚等の海産性魚油に含まれ
ている不飽和脂肪酸である。これら魚油は数え切れない
程の脂肪酸トリグリセリドを含有している。一方、リノ
ール酸は大豆油、サフラワー油等の植物油の成分であ
り、γ−リノレン酸は月見草油等の植物油に含まれてい
る不飽和脂肪酸である。これら植物油も数え切れない程
多数の脂肪酸トリグリセリドから構成されている。
【0003】これら植物油中にはエイコサペンタエン酸
とかドコサヘキサエン酸は含有されていない。従って、
植物油からは勿論のこと、これら魚油からもエイコサペ
ンタエン酸あるいはドコサヘキサエン酸を含有する一般
式(I)で示される単一なトリグリセリドを分離精製す
ることは不可能と云わねばならない。一方、脂肪輸液と
しては、精製大豆油を含有しているものが市販されてい
る。精製大豆油は炭素数18以下の脂肪酸を含有するト
リグリセリドから構成されている。一方、ヒトの細胞で
はエイコサペンタエン酸とかドコサヘキサエン酸、就中
ドコサヘキサエン酸といった炭素数20以上の不飽和脂
肪酸を含む脂質が構成成分になっている。炭素数20以
上の不飽和脂肪酸を含有する単一のトリグリセリドを用
いた脂肪輸液剤があればヒトの細胞中にあるエイコサペ
ンタエン酸やドコサヘキサエン酸を効率的に供給するこ
とが可能となるので有利である。
【0004】
【発明が解決すべき課題】本発明者らは、エイコサペン
タエン酸あるいはドコサヘキサエン酸を含有し、且つグ
リセロールの1位および3位に同一の不飽和脂肪酸から
誘導されるアシル基がついている対称性トリグリセリド
の合成を鋭意研究し、それらのトリグリセリドが血小板
凝集抑制作用を有しまた栄養輸液として有用であること
を見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0005】従って、本発明は新規なトリグリセリド誘
導体並びにこれを含有する血小板凝集抑制剤および脂肪
輸液剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、一般式(I)
【0007】
【化4】
【0008】(式中、R1およびR2は異なる不飽和脂肪
酸から誘導されるアシル基を示し、R 1およびR2のうち
一方のアシル基はエイコサペンタエン酸またはドコサヘ
キサエン酸から誘導されるアシル基を示し、もう一方の
アシル基はリノール酸あるいはγ−リノレン酸あるいは
エイコサペンタエン酸あるいはドコサヘキサエン酸から
誘導されるアシル基を示す)、
【0009】で表わされるグリセリン誘導体並びに上記
式(I)で表わされるグリセリン誘導体を含有する血小
板凝集抑制剤および脂肪輸液によって達成される。
【0010】上記式(I)で表わされるグリセリン誘導
体は、血小板凝集に起因する疾患、即ち血栓性炎症や動
脈硬化症等の治療もしくは予防剤として有用である。
【0011】上記式(I)で表わされるグリセリン誘導
体の具体例は、上記式(I)におけるR1およびR2の定
義並びに以下に記述する実施例の化合物から明らかであ
ろう。上記式(I)で表わされる本発明のグリセリン誘
導体は、例えば以下のようにして製造することができ
る。
【0012】本発明のトリグリセリド誘導体は、第一工
程としてグリセロールとリノール酸またはγ−リノレン
酸またはエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン
酸とを、好ましくはグリセロール1モル当りこれらの不
飽和脂肪酸を1.9〜2.2モルの割合で、縮合反応さ
せ、1,3−ジアシルグリセリドを得る。反応温度は−
30〜−10℃が好ましく、溶媒としてはピリジン、テ
トラヒドロフラン、塩化メチレンあるいはこれらの混合
溶媒等が好ましく用いられる。縮合反応させるときに用
いられる好ましい縮合剤としてはN,N'−ジシクロヘキ
シルカルボジイミドを挙げることができる。
【0013】第二工程では、該1,3−ジアシルグリセ
リドと、第一工程で用いた不飽和脂肪酸とは異なる不飽
和脂肪酸とを、好ましくは1,3−ジアシルグリセリド
1モル当り不飽和脂肪酸を0.95〜1.1モルの割合
で、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いて
縮合反応させ、前記式(I)で示される1,2,3−トリ
アシルグリセリドが得られる。例えば第一工程で植物性
のリノール酸またはγ−リノレン酸を用いた場合は、第
二工程では魚油由来のエイコサペンタエン酸またはドコ
サヘキサエン酸を用いる必要がある。反応温度は室温が
好ましく、反応溶媒は塩化メチレン、酢酸エチルエステ
ル、テトラヒドロフラン等が用いられる。第一工程およ
び第二工程共に反応触媒としてジメチルアミノピリジン
が好適に用いられる。
【0014】本発明のトリグリセリド誘導体は血栓性炎
症または動脈硬化症の治療もしくは予防剤として有利に
使用される。その投与量は一般に成人一日量は200m
g〜2,000mgであり、必要により1〜3回に分け
て投与することができる。投与方法は、好ましくは経口
あるいは静注である。
【0015】本発明の化合物は経口製剤とする場合、通
常の方法で製剤担体あるいは賦形剤と混合され、カプセ
ル剤、錠剤、顆粒剤に製剤化される。また、本発明の化
合物はサイクロデキストリンで包接し安定化することが
できる。本発明のトリグリセリド誘導体を静注する場
合、例えばトリグリセリド誘導体、注射用蒸留水、精製
卵黄レシチンおよびグリセリンを分散させ、加圧乳化す
ることにより乳剤として調製することができる。勿論、
乳剤を調製する場合、該トリグリセリド誘導体に精製大
豆油を混合して用いることができる。その場合の精製大
豆油の混合比率としては、0〜97w/v%が好まし
い。
【0016】本発明の脂肪輸液剤は、上記した静注用の
乳剤を調製する方法と同様にして調製することができ
る。本発明の脂肪輸液剤は、上記のとおり、血小板凝集
抑制作用を有する一般式(I)で示される化合物を含有
するものであり、血栓性炎症あるいは動脈硬化症に対す
る治療輸液としてばかりでなく、バランスのとれた栄養
輸液としても用いることができる。
【0017】脂肪輸液としては、一般式(I)で示され
る化合物のうち、以下の実施例1、4および6に示す化
合物II、VおよびVIIが好ましく用いられ、就中化
合物IIおよびVが特に好ましく用いられる。
【0018】
【実施例】次に実施例および試験例を示して本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定さ
れるものではない。
【0019】実施例1 (1). グリセリン242mg(2.63mM)にテトラヒ
ドロフラン8ml、4−ジメチルアミノピリジン30m
g(0.24mM)、N,N'−ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド1,083mg(5.21mM)を加え、次に窒
素雰囲気下−20℃にてリノール酸1,473mg(5.
26mM)を塩化メチレン4mlに溶かした溶液を滴下
した。反応温度を−30〜−10℃に保って、22時間
反応させた。反応混合物を濾過し、濾液を減圧乾固した
後、シリカゲルクロマトグラフィーに付し、塩化メチレ
ン−アセトン(98.5:1.5)溶出画分より、1,3
−ジリノレイルグリセリド441mgを得た。このもの
の物理化学的データは以下のとおりである。
【0020】
【数1】
【0021】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
89(6H、t、J=7.0Hz)、 5.35(8H、
m)。 MASS(m/e):616(M+)。
【0022】(2). 該1,3−ジリノレイルグリセリド3
07mg(0.49mM)、4−ジメチルアミノピリジ
ン10mg(0.08mM)、N,N'−ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド101mg(0.49mM)に塩化メ
チレン3mlを加え、次いで室温にて、窒素雰囲気下ド
コサヘキサエン酸168mg(0.51mM)を塩化メ
チレン1mlに溶かした溶液を滴下した。室温にて一夜
反応させた後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧乾固し
た後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、塩
化メチレン溶出画分より、1,3−ジ−9,12−オクタ
デカジエノイル−2−4,7,10,13,16,19−ド
コサヘキサエノイルグリセリド422mgを得た。この
ものの物理化学的データは以下のとおりである。
【0023】
【数2】
【0024】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
89(6H、t、J=7.0Hz)、 0.97(3H、
t、7.2Hz)、5.38(21H、m)。 MASS(m/e):926(M+)、647、59
9。 これらの物理化学的データは下記式(II)の構造を支
持する。
【0025】
【化5】
【0026】実施例2 実施例1.(1)で示された1,3−ジリノレイルグリセリ
ドにエイコサペンタエン酸を実施例1.(2)と同様の方法
で縮合させることにより、1,3−ジ−9,12−オクタ
ジエノイル−2−5,8,11,14,17−エイコサペン
タエノイルグリセリドを得た。このものの物理化学的デ
ータは以下のとおりである。
【0027】
【数3】
【0028】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
89(6H、t、J=7.0Hz)、 0.97(3H、
t、7.6Hz)、5.35(19H、m)。 MASS(m/e):900(M+)、599。 これらの物理化学的データは下記式(III)の構造を
支持する。
【0029】
【化6】
【0030】実施例3 (1). グリセリン172mg(1.87mM)にピリジン
0.8ml、テトラヒドロフラン6ml、4−ジメチル
アミノピリジン35mg(0.29mM)、N,N'−ジ
シクロヘキシルカルボジイミド741mg(3.56m
M)を加え、次に窒素雰囲気下−20℃にてγ−リノレ
ン酸1g(3.60mM)を塩化メチレン3mlに溶か
した溶液を滴下した。反応温度を−30〜−10℃に保
って、22時間反応させた。反応混合物を濾過し、濾液
を減圧乾固した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ
ーに付し、塩化メチレン−アセトン1%溶出画分より、
1,3−ジγ−リノレノイルグリセリド701mgを得
た。このものの物理化学的データは以下のとおりであ
る。
【0031】
【数4】
【0032】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
89(6H、t、J=7.0Hz)、 5.36(12
H、m)。 MASS(m/e):612。
【0033】(2). 該1,3−ジγ−リノレノイルグリセ
リド219mg(0.36mM)、4−ジメチルアミノ
ピリジン10mg(0.08mM)、N,N'−ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド76mg(0.37mM)に塩
化メチレン1.5mlを加え、次いで室温にて、窒素雰
囲気下ドコサヘキサエン酸121mg(0.37mM)
を塩化メチレン1mlに溶かした溶液を滴下した。室温
にて一夜反応させた後、反応混合物を濾過し、濾液を減
圧乾固した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに
付し、塩化メチレン−ヘキサン(1:1)溶出画分より
1,3−ジ−6,9,12−オクタデカトリエノイル−2
−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイル
グリセリド295mgを得た。
【0034】
【数5】
【0035】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
89(6H、t、J=7.0Hz)、 0.97(3H、
t、7.4Hz)、5.37(25H、m)。 MASS(m/e):922(M+)、645、59
5。 これらの物理化学的データは下記式(IV)の構造を支
持する。
【0036】
【化7】
【0037】実施例4 (1). グリセリンとドコサヘキサエン酸とを実施例1.
(1)と同様の方法で縮合させ、先ず1,3−ジドコサヘキ
サエノイルグリセリドを得た。このものの物理化学的デ
ータは以下のとおりである。
【0038】
【数6】
【0039】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
97(6H、t、J=7.0Hz)、 5.37(24
H、m)。 MASS(m/e):712(M+)、385。
【0040】(2). 該1,3−ジドコサヘキサエノイルグ
リセリドをリノール酸と実施例1.(2)と同様の方法で縮
合させ、1,3−ジ−4,7,10,13,16,19−ドコ
サヘキサエノイル−2−9,12−オクタデカジエノイ
ルグリセリドを得た。このものの物理化学的データは以
下のとおりである。
【0041】
【数7】
【0042】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
97(9H、t、J=7.5Hz)、 5.37(29
H、m)。 MASS(m/e):974(M+)、647。 これらの物理化学的データは下記式(V)の構造を支持
する。
【0043】
【化8】
【0044】実施例5 実施例4.(1)で得られた1,3−ジドコサヘキサエノイ
ルグリセリドをγ−リノレン酸と実施例1.(2)と同様の
方法で縮合させ、1,3−ジ−4,7,10,13,16,1
9−ドコサヘキサエノイル−2−6,9,12−オクタデ
カトリエノイルグリセリドを得た。このものの物理化学
的データは以下のとおりである。
【0045】
【数8】
【0046】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
86(9H、t、J=7.0Hz)、 5.32(31
H、m)。 MASS(m/e):972(M+)、695。 これらの物理化学的データは下記式(VI)の構造を支
持する。
【0047】
【化9】
【0048】実施例6 実施例4.(2)と同様にして、1,3−ジドコサヘキサエ
ノイルグリセリドをエイコサペンタエン酸と縮合させ、
1,3−ジ−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサ
エノイル−2−5,8,11,14,17−エイコサペンタ
エノイルグリセリドを得た。このものの物理化学的デー
タは以下のとおりである。
【0049】
【数9】
【0050】NMR(CDCl3)、δ(ppm):1.
00(9H、t、J=7.3Hz)、 5.40(35
H、m)。 MASS(m/e):996(M+)、695、66
9。 これらの物理化学的データは下記式(VII)の構造を
支持する。
【0051】
【化10】
【0052】実施例7 (1). グリセリンとエイコサペンタエン酸とを実施例3.
(1)に示したピリジンを含む溶媒を用いて縮合させ、先
ず1,3−ジエイコサペンタエノイルグリセリドを得
た。このものの物理化学的データは以下のとおりであ
る。
【0053】
【数10】
【0054】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
97(6H、t、J=7.4Hz)、 5.34(20
H、m)。 MASS(m/e):660(M+)、359。
【0055】(2). 該1,3−ジエイコサペンタエノイル
グリセリドをリノール酸と実施例1.(2)と同様の方法で
縮合させ、1,3−ジ−5,8,11,14,17−エイコ
サペンタエノイル−2−9,12−オクタデカジエノイ
ルグリセリドを得た。このものの物理化学的データは以
下のとおりである。
【0056】
【数11】
【0057】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
86(3H、t、J=7.0Hz)、 0.97(6H、
t、7.3Hz)、5.25(25H、m)。 MASS(m/e):922(M+)、621。 これらの物理化学的データは下記式(VIII)の構造
を支持する。
【0058】
【化11】
【0059】実施例8 実施例7.(1)で得られた1,3−ジエイコサペンタエノ
イルグリセリドをγ−リノレン酸と実施例1.(1)と同様
の方法で縮合させ、1,3−ジエイコサペンタエノイル
−2−6,9,12−オクタデカトリエノイルグリセリド
を得た。このものの物理化学的データは以下のとおりで
ある。
【0060】
【数12】
【0061】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
89(3H、t、J=7.0Hz)、 0.97(6H、
t、7.4Hz)、5.37(27H、m)。 MASS(m/e):920(M+)、619。 これらの物理化学的データは下記式(IX)の構造を支
持する。
【0062】
【化12】
【0063】実施例9 実施例7.(1)で得られた1,3−ジエイコサペンタエノ
イルグリセリドをドコサヘキサエン酸と実施例1.(2)と
同様の方法で縮合させ、1,3−ジエイコサペンタエノ
イル−2−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサ
エノイルグリセリドを得た。このものの物理化学的デー
タは以下のとおりである。
【0064】
【数13】
【0065】NMR(CDCl3)、δ(ppm):0.
96(9H、t、J=7.3Hz)、 5.37(33
H、m)。 MASS(m/e):970(M+)、669、64
3。 これらの物理化学的データは下記式(X)の構造を支持
する。
【0066】
【化13】
【0067】実施例10(試験例) 血小板凝集抑制作用 3.8%クエン酸ナトリウム溶液1容とウサギ頸動脈よ
り採血した血液9容とを混和した。該血液を室温で遠心
分離し、血小板に富む血漿(PRP:20万個/μl)
を得た。該PRP99μlをキュベットに入れ、次いで
検体のエーテル−エタノール10%溶液を1μl加え、
5分間37℃でインキュベートした後、凝集惹起剤であ
るアラキドン酸溶液11μlを添加し、血小板凝集を測
定した。アラキドン酸(300μM)によって誘起され
る血小板凝集に対する検体の50%抑制濃度(IC50
を測定した。表1にその測定結果を示した。アスピリン
および大豆油を比較例として用いた。
【0068】
【表1】
【0069】この表から明らかなように、本発明のグリ
セリド誘導体に血小板凝集抑制活性を見い出したが、大
豆油は活性が無かった。
【0070】実施例11(製剤例) (1). 製剤例1:軟カプセル 化合物VI 200mgが1カプセルに充填成型される
ようにゼラチン皮膜液処方を用い、室温でロータリーカ
プセル機で成型を行い、洗浄、乾燥し軟カプセルとす
る。ゼラチン皮膜液処方としては、ゼラチン2.2k
g、グリセリン0.66kg、メチルパラベン4.4g、
プロピルパラベン1.1g、黄色5号1.1g、精製水
1.8kgが用いられる。
【0071】(2). 製剤例2:乳剤−1 化合物II 400g、精製卵黄レシチン48g、オレ
イン酸2.0g、グリセリン100g、0.1N−苛性ソ
ーダ40mlをホモミキサーで分散させた後、注射用蒸
留水を加え、全容量を4lとする。該注射用蒸留水を乳
化機を用いて乳剤とする。この乳剤−1は血小板凝集抑
制剤および脂肪輸液剤のいずれとしても用いられる。
【0072】(3). 製造例:乳剤−2 化合物VII 50g、精製大豆油450g、精製卵黄
レシチン60g、オレイン酸2.5g、グリセリン12
5g、0.1N−苛性ソーダ50mlを加え、ホモミキ
サーで分散させた後、注射用蒸留水を加え、全容量を5
lとする。該混合物を乳化機を用いて乳剤とする。この
乳剤−2は血小板凝集抑制剤および脂肪輸液剤のいずれ
としても用いられる。
【0073】実施例12(急性毒性) ICR系雄性マウス(5週令)を用いて経口投与による
急性毒性試験を行った。本発明の化合物II、VIおよ
びVIIのLD50の値はいずれも5g/kg以上であ
り、高い安全性が確認された。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、新規なグリセリン誘導
体(I)並びにそれを含有する血小板凝集抑制剤および
脂肪輸液剤が提供される。本発明の上記化合物は血小板
凝集抑制作用を有し、血栓性炎症あるいは血小板凝集の
関与する動脈硬化症等の治療もしくは予防する薬剤とし
て有効に使用することができるだけでなく、バランスの
とれた栄養輸液としても使用できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1およびR2は異なる不飽和脂肪酸から誘導さ
    れるアシル基を示し、R 1およびR2のうち一方のアシル
    基はエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸か
    ら誘導されるアシル基を示し、もう一方のアシル基はリ
    ノール酸あるいはγ−リノレン酸あるいはエイコサペン
    タエン酸あるいはドコサヘキサエン酸から誘導されるア
    シル基を示す)、で表わされるグリセリン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(I) 【化2】 (式中、R1およびR2は異なる不飽和脂肪酸から誘導さ
    れるアシル基を示し、R 1およびR2のうち一方のアシル
    基はエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸か
    ら誘導されるアシル基を示し、もう一方のアシル基はリ
    ノール酸あるいはγ−リノレン酸あるいはエイコサペン
    タエン酸あるいはドコサヘキサエン酸から誘導されるア
    シル基を示す)、で表わされるグリセリン誘導体を含有
    する血小板凝集抑制剤。
  3. 【請求項3】 一般式(I) 【化3】 (式中、R1およびR2は異なる不飽和脂肪酸から誘導さ
    れるアシル基を示し、R 1およびR2のうち一方のアシル
    基はエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸か
    ら誘導されるアシル基を示し、もう一方のアシル基はリ
    ノール酸あるいはγ−リノレン酸あるいはエイコサペン
    タエン酸あるいはドコサヘキサエン酸から誘導されるア
    シル基を示す)、で表わされるグリセリン誘導体を含有
    する脂肪輸液剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011502113A (ja) * 2007-10-31 2011-01-20 プロノヴァ バイオファーマ ノルゲ アーエス 新規のdha誘導体およびその医薬品としての用途

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