JPH0618836B2 - 水不溶性共重合体の製造法 - Google Patents

水不溶性共重合体の製造法

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JPH0618836B2
JPH0618836B2 JP62321387A JP32138787A JPH0618836B2 JP H0618836 B2 JPH0618836 B2 JP H0618836B2 JP 62321387 A JP62321387 A JP 62321387A JP 32138787 A JP32138787 A JP 32138787A JP H0618836 B2 JPH0618836 B2 JP H0618836B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水不溶性共重合体の製造法に係るものであ
る。詳しくは、N−ビニルホルムアミドとアクリロニト
リルの水不溶性共重合体の製造法に関するものである。
〔従来の技術と問題点〕
ポリビニルアミンは、製紙用の添加剤および廃水処理用
の凝集剤を始めとする水溶性高分子物質、親水性高分子
物質の用途分野に優れた効果を発揮する。特に、有機汚
泥の脱水用凝集剤として使用することにより、脱水汚泥
の含水率を下げ、汚泥の処理効率を著しく向上させる効
果を奏する。
ポリビニルアミンは、従来、ポリアクリルアミドのホフ
マン分解又はポリN−ビニルホルムアミドの加水分解等
により製造する方法が知られている。特にN−ビニルホ
ルムアミドの重合体を加水分解する方法は、高分子量で
安定性の良いポリビニルアミンを製造することができる
優れた方法である。高分子量のポリビニルアミンを製造
する為には、通常、N−ビニルホルムアミドを水溶液状
で重合し、得られた水溶性の重合体を加水分解する方法
が用いられるが、加水分解反応を行うためには高粘性の
溶液や付着性の高い重合体の含水物を取り扱う必要があ
り、粉末状の製品を得るためには煩雑な工程が必要であ
る。
上記の欠点を改善するため、疎水性の単量体をN−ビニ
ルホルムアミドと共重合する方法が考えられるが、従来
公知のエチレンや酢酸ビニルとN−ビニルホルムアミド
との共重合では、共重合性が良好でないために水溶性の
共重合体が多量に生成するうえ、共重合体の特性から、
これを加水分解しても高分子量のビニルアミン共重合体
が得られないと言う問題があった。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者等は先に、N−ビニルホルムアミドを、より疎
水性のアクリロニトリルと共重合し、得られた共重合体
を加水分解することにより、脱水用の凝集剤を得る方法
(特開昭59-39399)を提案したが、さらに、N−ビニル
ホルムアミドとアクリロニトリルとを特定範囲の割合で
含む混合物を共重合させることにより、粘着性の無い水
不溶性の共重合体を高収率で得ることができ、この粘着
性の無い水不溶性共重合体は、加水分解により容易に高
分子量の水溶性乃至親水性のビニルアミン共重合体に変
えられることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、N−ビニルホルムアミドと
アクリロニトリルのモル比5:95〜55:45の混合
物を水性媒体中において、これ等単体濃度5〜25重量
%の条件で共重合させ、生成する共重合体を沈澱状で得
ることを特徴とする水不溶性共重合体の製造法に存す
る。
〔発明の構成〕
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリル
のモル比5:95〜55:45の混合物を、水性媒体中
でラジカル重合機構によって共重合反応させることによ
り生成する共重合体を沈澱物として得る方法である。N
−ビニルホルムアミドの量比が、この範囲より多いと水
溶性の共重合体が生成して粘着状となり、取扱いが困難
であるうえ、水性媒体からの沈澱共重合体の収率が著し
く低下する。また、N−ビニルホルムアミドの量比が上
記範囲より少い場合は、水不溶性の共重合体が得られる
が、これを加水分解した場合、高分子量の水溶性乃至親
水性のビニルアミン共重合体を収率よく得ることができ
ない。N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルの好
ましいモル比は35:65〜55:45であり、特に好
ましいモル比は35:65〜50:50である。これら
の場合、高分子量の水不溶性共重合体が顆粒状で得られ
る上、収率も高い。
本発明によって得られるN−ビニルホルムアミドとアク
リロニトリルからなる水不溶性乃至親水性の共重合体
は、下記一般式(I)及び(II)で示される構造単位によ
り構成される。
この共重合体のうち、(I)及び(II)の比率が35:6
5〜55:45である共重合体は、夫々の単量体の単独
重合体を含まない上、構造単位(I)と(II)が交互に配
列する確立が極めて高い。これに伴い、共重合体の分解
温度は夫々の単量体の単独重合体より低く、この範囲で
最小値となる。また、この共重合体を加水分解すること
により、分子中の−NHCHO基(ホルムアミド基)をアミ
ノ基に変えた水溶性ビニルアミン共重合体は、アミノ基
の隣接位置にニトリル基が存在する確率が高いので、中
性付近のpHの水溶液状で、コロイド滴定法により測定す
ると、大部分のアミノ基がカチオン基として検出され
る。これに対し、ビニルアミンの単独重合体は、アミノ
基同志の隣接基効果によりアミノ基の半分程度しかカチ
オン基が検出されない。この現象は、本発明の共重合体
のホルムアミド基をアミノ基に変えることにより得られ
る水溶性ビニルアミン共重合体の用途分野における機能
に大きく貢献する。
本発明に従って共重合反応を行う場合、アクリロニトリ
ルは蒸気圧が高いので反応器の気相に分配される場合が
あるが、その場合は、予めその過剰分を添加し、実質的
に水中の組成が前記の範囲となるよう調節することがで
きる。
本発明の共重合反応には、ラジカル重合開始剤が使用さ
れる。ラジカル重合開始剤としては、通常水溶性または
親水性の単量体の重合に用いられる一般的な開始剤のい
ずれもが使用されるが、共重合体を収率良く得る為に
は、アゾ化合物が好ましい。特に好ましいのは水溶性の
アゾ化合物である。
特に好ましい開始剤の例としては、2,2′−アゾビス−
2−アミジノプロパンの塩酸塩、または酢酸塩、4,4′
−アゾビス−4−シアノ吉草酸のナトリウム塩、アゾビ
ス−N,N′−ジメチレンイソブチルアミジンの塩酸酸、
または硫酸塩が例示される。その使用量は、通常単量体
の重量に対して0.01〜1重量%の範囲である。また、重
合反応は、一般に不活性ガス気流下、30〜100℃の条
件下で実施される。
単量体を均一水溶液状で重合を開始する場合、単量体濃
度5〜25重量%の範囲、好ましくは、10〜20重量
%の範囲の条件で溶液状で共重合を開始し、生成する共
重合体を沈澱物として得る方法が用いられる。さらにN
−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルを夫々モル比
5:95〜55:45となるように水性媒体中に連続的
に導入するか、両者の混合物を水性媒体中に連続的に導
入し、単量体を逐次沈澱共重合体に変えながら共重合さ
せる方法が採用される。沈澱する共重合体は濾過や遠心
分離などの公知の分離方法により、含水率60重量%以
下の粘着性の無い顆粒状として分離される。
本発明の方法に従って得られたN−ビニルホルムアミド
−アクリロニトリル共重合体は、分散状で酸性条件下で
加水分解することにより、水溶性のビニルアミン共重合
体に変えることができるが、通常公知の方法で含水物を
分離し、必要により、脱水または乾燥して粉末状とした
のち酸性条件下で加水分解してビニルアミン共重合体に
変える場合その効果が顕著である。
本発明方法で得られた水不溶性共重合体を水溶性のビニ
ルアミン共重合体に変えるには、固体状の水不溶性共重
合体に酸性ガスを吸収させて加水分解する方法、沈澱共
重合体を、水を含有するアルコールなどの親水性溶媒中
に分散させて加水分解する方法、あるいは加アルコール
分解してホルミル基をギ酸エステルとして分離しつつ変
性する方法などが例示される。酸性変性に使用する変性
剤としては、強酸性に作用する化合物のいずれも使用さ
れ、例えば、塩酸、臭素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝
酸、燐酸、スルファミン酸、アルカンスルホン酸等が挙
げられる。変性剤の使用量は、共重合体中のホルムアミ
ド基に対して、0.1〜2倍モルの範囲で目的の変性率に
応じて適宜使用される。変性反応は通常40〜120℃
の条件で実施され、その結果、分子中にニトリル基を含
有し、ニトリル基の加水分解によるカルボキシル基の含
有量が低いビニルアミン共重合体が生成する。
本発明の水不溶性の共重合体を変性して得られる水溶性
乃至親水性のビニルアミン共重合体は、廃水処理用カチ
オン性凝集剤として、有機性懸濁物の凝集、および有機
性スラッジの脱水用凝集剤として優れている。特に、下
水処理における初沈生汚泥、水溶性有機物の活性汚泥処
理、嫌気性処理で発生する汚泥、およびこれらの混合物
の脱水用凝集剤として優れた効果を示す。その使用方法
は従来公知のカチオン性凝集剤、例えば、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレートの四級化物重合体などの使用法
と同様に有機汚泥を含有する懸濁液に対して0.1〜0.5重
量%の水溶液状で20〜20000ppmの重量の範囲で添加混
合される。
凝集処理された有機汚泥は、強固な凝集フロックを形成
するので、ベルトプレス、スクリュープレス、フィルタ
ープレス、などの圧搾脱水、あるいは、遠心分離、真空
過等の機械脱水を施すことにより、脱水処理速度が向
上し、処理量が増大し、脱水した汚泥の含水率が低下す
る。そして、N−ビニルホルムアミドの単独重合体を変
性して得られる重合体を使用した場合より、強固な凝集
フロックを形成するので、処理速度の向上に寄与すると
ころが大である。
本発明の水不溶性の共重合体を変性して得られる水溶性
共重合体は、また製紙工業用のカチオン性水溶性高分子
物質として使用され、水性向上剤、填料歩留向上剤、紙
力増強剤として優れた効果を発揮する。その使用方法と
しては、従来公知の抄紙方法のいずれをも用いることが
できる。すなわち0.5〜3重量%のパルプスラリー中
に、パルプの乾燥重量に対して0.05〜2重量%に相当す
る量の上記カチオン性重合体を含む0.1〜5重量%の水
溶液として添加したのち抄紙する。紙力増強剤の場合、
内添剤としてパルプスラリーに添加して抄紙する方法の
他、湿紙または、乾燥紙にロールコーター、サイズプレ
ス、および浸漬機により塗布を行っても良く、必要に応
じ、カチオン性澱粉、硫酸バンドおよびアニオン性紙力
増強剤を併用しても良い。パルプの種類にはよらず、グ
ランドパルプ、サルファイドパルプ、クラフトパルプ、
叩解した古紙などいずれにも使用される。このカチオン
性重合体は、溶解水の水質によらず希薄な水溶液状であ
っても極めて安定である。また、炭酸カルシウムを填料
として用いる弱アルカリ性の抄紙条件下でも安定でその
効力を失わず、中性または弱アルカリ性の抄紙条件に優
れた添加剤である。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、
本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定
されるものではない。
実施例1〜5及び比較的1〜2 攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた500mlの四っ口フ
ラスコに、第1表に示すモル分率のアクリロニトリルを
含有するN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルの
単量体混合物60gと蒸留水338.8gを入れた。アクリ
ロニトリルの蒸発を防ぐため氷冷下窒素をガス通じた
後、60℃に昇温した。10重量%の2,2′−アゾビス
−2−アミジノプロパン・2塩酸塩水溶液を1.2gを添
加し、攪拌下60℃にて6時間保持し、水中に顆粒状の
共重合体が析出した沈澱物が得られた。
沈澱物を遠心分離して水分を約50%含有する粘着性の
無い顆粒を分離した。生成物の一部を110℃で乾燥し
て重量を測定し、収率を求め第1表に示した。重合反応
後の水相から水を加熱留去して濃縮し、これにアセトン
を添加して水溶性の共重合体を析出させた。水溶性の共
重合体の生成率を求め第1表に示した。
実施例6 攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた500mlの四っ口フ
ラスコに、蒸留水238.8gと10重量%の2,2′−アゾビ
ス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩水溶液1.2gを添
加し、窒素ガス雰囲気下60℃に昇温した。55モル%
のアクリロニトリルを含有するN−ビニルホルムアミド
とアクリロニトリルの単量体混合物60gを攪拌下定量
ポンプにより少量ずつ添加した。単量体の添加に1時間
を要し、この間重合物が逐次析出した。60℃でさらに
3時間保持し、水中に顆粒状の共重合体が析出した沈澱
物を得た。
この沈澱物を実施例1と同様に遠心分離して顆粒状の共
重合体を得た。共重合体の収率は99%で、共重合反応
後の水中から水溶性の共重合体は得られなかった。
得られた共重合体の示差熱分析による分解温度を、N−
ビニルホルムアミド及びアクリロニトリルの単独重合体
と比較して第2表に示した。
このようにして得られた共重合体を、塩酸ヒドロキシル
アミン共存下、共重合体中のホルムアミド基に対して1
当量の塩酸ガスを吸収させ、95℃にて4時間保持して
加水分解することにより、水溶性のビニルアミン共重合
体を得た。この生成物の還元粘度は2.8であり、pH3と
7で測定したコロイド滴定によるカチオン当量値をポリ
ビニルアミンの測定値と比較して第3表に示した。
(還元粘度の測定) 固体状の重合体を1規定の食塩水に0.1g/dlの濃度に
溶解し、25℃の条件下、オストワルドの粘度計を用い
て測定した。
還元粘度〔dl/g〕=(t−t)/t/0.1 t:食塩水の下降速度 t:重合体溶液の下降速度 (コロイド当量値の測定) 固体状の重合体を0.1重量%の濃度に蒸留水に溶解し
た。この水溶液5.0gを脱塩水を用いて200mlに希釈して
溶液のpHを3および7に調整したのち、1/400規定のポ
リビニル硫酸カリウムを用い、トルイジンブルーを指示
薬としたコロイド滴定法により求めた。いずれもpH3の
測定値は元素分析による重合体の組成と一致した。
〔発明の効果〕
本発明によれば、N−ビニルホルムアミドとアクリロニ
トリルとの量比が特定範囲の混合物を、水性媒体中で特
定の単量体濃度において共重合させることによって、粘
着性がなく取扱いの容易な粉末状のN−ビニルホルムア
ミドとアクリロニトリルからなる水不溶性共重合体を高
収率で得ることができる。しかも、本発明方法によって
得られて水不溶性共重合体を加水分解して変性すれば、
凝集剤、製紙用添加剤等として価値の高い水溶性乃至親
水性のビニルアミン共重合体が効率よく得られるので、
本発明はこの物質の工業的製造に寄与するところが大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220/44 MNA 7242−4J D21H 17/37

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリ
    ルのモル比5:95〜55:45の混合物を水性媒体中
    において、これ等単量体濃度5〜25重量%の条件で共
    重合させ、生成する共重合体を沈澱状で得ることを特徴
    とする水不溶性共重合体の製造法。
JP62321387A 1987-12-21 1987-12-21 水不溶性共重合体の製造法 Expired - Lifetime JPH0618836B2 (ja)

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