JPH06186561A - エレクトロルミネセンスバックライト一体型液晶表示器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エレクトロルミネセンス（ＥＬ）バックライ
トの耐温度性及び耐湿度性を大幅に向上するとともに、
十分な薄型化を達成できるＥＬバックライト一体型液晶
表示器を提供することにある。 【構成】 表面側基板１１と偏光ガラスからなる裏面
側基板１２との間に液晶２１を封入して液晶表示部１０
を構成すると共に、ＥＬバックライト３０の蛍光体層３
３の表面側の透明電極３２を前記裏面側基板１２の裏面
側に直接形成する。即ち液晶表示部１０の裏面側基板１
２をＥＬバックライト３０の表面側基板として共用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示部とエレクト
ロルミネセンス（以下適宜「ＥＬ」と略称する。）バッ
クライトとを一体的に積層してなるＥＬバックライト一
体型液晶表示器に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばラップトップコンピュータ、携帯
電話、カード型表示ポケットベル等のように情報表示機
能を有する携帯型製品においては、小型化及び薄型化を
図る観点から、情報の表示部を液晶を用いて構成し、そ
のコントラストを高めるため又は、暗い場所での表示部
照明としてＥＬバックライトを用いている。特に、カー
ド型表示ポケットベルでは、薄型化の要請が厳しく、ま
たコイン形電池により低電圧で駆動できることが要請さ
れることから、バックライトとしてＥＬを用いる必要性
が高い。

【０００３】図５は、以上のような携帯型製品に用いら
れている従来の液晶表示器の一例を示し、この例では、
それぞれ別個に製作された液晶表示部１０と、ＥＬバッ
クライト３０とが積層されて液晶表示器が構成されてい
る。液晶表示部１０は、例えば次のようにして製作され
る。

【０００４】 それぞれガラスからなる表面側基板１
１及び裏面側基板１２の片面にそれぞれＳｉＯ₂ 膜１
３、１４を設け、その上に透明電極１５、１６をホトレ
ジストにより形成し、次いで、各透明電極１５、１６上
に液晶の配向膜１７、１８を設ける。 表面側基板１１の周辺に、一部に液晶注入用の切り
欠きができるようにシール剤２０を印刷し、ギャップ剤
１９を散布する。 表面側基板１１と裏面側基板１２とをシール剤２０
により圧着して組立てる。 シール剤２０の液晶注入用の切り欠きから液晶２１
を注入し、その後切り欠きを封止剤で封止する。 表面側基板１１の表面側に上面偏光板２２を貼り付
け、裏面側基板１２の裏面側に下面偏光板２３を貼り付
ける。

【０００５】一方、ＥＬバックライト３０、例えば次の
ようにして製作される。 表面側基板をなす透明フイルム３１上に透明電極３
２を積層する。 透明フイルム３１の周辺に、シール剤３５を印刷
し、ギャップ剤３４を散布する。 裏面側基板をなす透明フイルム３６上に、吸湿層３
７を積層する。 この吸湿層３７上に、背面電極をなすアルミニウム
からなる電極（以下適宜「アルミ電極」という。）３８
を積層する。 このアルミ電極３８上に蛍光体層３３を塗布する。 透明フイルム３１と透明フイルム３６の周辺を熱圧
着して組み立てる。

【０００６】以上のようにして製作された液晶表示部１
０とＥＬバックライト３０とを積層し、液晶表示部１０
の透明電極１５を導電ゴム６０によりプリント基板５０
上の電極に電気的に接続し、これらを取り付け金具４０
によりプリント基板５０上に実装する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
構成の液晶表示器では、以下の問題がある。 （１）ＥＬバックライト３０の耐温度性及び耐湿度性が
不十分である。

【０００８】即ち、従来のＥＬバックライト３０は、表
面側基板及び裏面側基板としてそれぞれ透明フイルム３
１及び３６を使用しているため、温度変化に対してフイ
ルムの伸縮度が大きく、フイルムの全周を熱圧着してい
るにもかかわらず、十分な気密性が得られていない。ま
た、フイルムの特性上完全な防湿は困難であるため、湿
気が内部に侵入してしまう。その結果、内部の蛍光体層
３３等が湿気により早期に劣化し、ＥＬバックライト３
０の輝度が低下し使用寿命が短くなる問題が生ずる。 （２）液晶表示器の全体としていまだ十分な薄型化が困
難である。

【０００９】即ち、従来の液晶表示器は、別個独立に製
作された液晶表示部１０とＥＬバックライト３０とを積
層してプリント基板５０上に実装するため、液晶表示器
全体の厚みが厚くなり、小型化及び薄型化という現在の
要請に十分に対応することが困難である。実際上、例え
ばカード型無線呼出用受信機（ベージャ）では、厚みの
制約上ＥＬバックライト３０を用いる余裕がないのが現
状である。

【００１０】そこで、本発明の目的は、耐温度性及び耐
湿度性を大幅に向上するとともに、十分な薄型化を達成
できるＥＬバックライト一体型液晶表示器を提供するこ
とにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明のＥＬバックライ
ト一体型液晶表示器は、液晶表示部とエレクトロルミネ
センスバックライトとを一体的に積層してなる液晶表示
器において、液晶表示部の裏面側基板がエレクトロルミ
ネセンスバックライトの表面側基板をなし、かつ当該基
板がガラスからなることを特徴とする。また、前記基板
が偏光ガラスからなることを特徴とする。

【００１２】

【作用】液晶表示部の裏面側基板がＥＬバックライトの
表面側基板をなしているので、ＥＬバックライトの表面
側基板として別個独立のものを用いる必要がなく、液晶
表示器の全体としてより薄型になる。また、当該基板が
ガラスからなるので、従来のフイルムからなるものより
も耐温度性及び耐湿度性が向上し、ＥＬバックライトの
内部への湿気の侵入を十分に防止でき、蛍光体等が湿気
により早期に劣化することがなく、ＥＬバックライトの
輝度が長期間一定に維持される。

【００１３】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す縦断正面図、
図２は本発明の一実施例を示す縦断側面図である。この
実施例の液晶表示器は、図１及び図２に示すように、液
晶表示部１０の裏面側基板１２がＥＬバックライト３０
の表面側基板をなし、これら液晶表示部１０とＥＬバッ
クライト３０とが一体的に積層されて構成されている。
また、当該基板１２は偏光ガラスから構成されている。

【００１４】液晶表示器１０においては、ガラスからな
る表面側基板１１と偏光ガラスからなる裏面側基板１２
との間に液晶２１が封入され、基板１１及び基板１２の
周辺部がシール剤２０によってシールされ、液晶注入口
が封止剤２４によって封止され、液晶２１の雰囲気が気
密に保たれている。基板１１と１２の間隔はギャップ剤
１９により保たれている。

【００１５】表面側基板１１にはＳｉＯ₂ 膜１３が設け
られ、さらにその上に透明電極１５が設けられている。
また、裏面側基板１２にも同様にＳｉＯ₂ 膜１４及び透
明電極１６が設けられている。透明電極１５、１６には
それぞれ液晶の配向膜１７、１８が設けられている。表
面側基板１１の表面側には上面偏光板２２が貼り付けら
れている。なお、裏面側基板１２は偏光ガラスを用いて
いるので下面偏光板を貼り付ける必要はない。ただし、
裏面側基板１２を偏光ガラスでないガラスにより構成し
て、その裏面側に下面偏光板を別途貼り付けるようにし
てもよい。

【００１６】ＥＬバックライト３０においては、液晶表
示部１０の裏面側基板１２をその表面側基板とし、当該
基板１２の裏面側にはその全面に透明電極３２が形成さ
れている。裏面側基板３９は、ガラスを用いて構成し、
その片面の全面にアルミ電極３８が設けられている。透
明電極３２とアルミ電極３８との間には蛍光体層３３が
設けられている。

【００１７】基板１２と、裏面側基板３９とは、シール
剤３５によって接着され、これにより液晶表示部１０と
ＥＬバックライト３０とが一体的に積層されている。透
明電極３２及びアルミ電極３８には、それぞれＥＬバッ
クライト用の外付け電極７１、７２が接続され、封止剤
２５により封止されている。

【００１８】以上のようにして構成された液晶表示器
は、液晶表示部１０が例えば導電ゴム６０によりプリン
ト基板５０上の電極に電気的に接続され、これらが取り
付け金具４０によりプリント基板５０上に実装されてい
る。図示しない電源から外付け電極７１、７２に電力を
投入すると、蛍光体層３３が発光し、液晶表示部１０を
その裏面側から照射する。一方、透明電極１３及び１４
に電圧が印加されると、それに従って液晶２１に透過部
分と非透過部分が形成され、これにより情報が上面偏光
板２２を介して外部に表示される。

【００１９】この実施例によれば、ＥＬバックライト３
０の両面基板がそれぞれガラスからなるので耐温度性及
び耐湿度性が従来のフイルムに比較して大幅に向上す
る。従って、蛍光体層３３の湿気による早期劣化が生ぜ
ず、長期間にわたり一定の輝度が保たれるようになり、
鮮明な表示が可能となる。

【００２０】また、液晶表示部１０の裏面側基板１２
は、ＥＬバックライト３０の表面側基板を兼ねているの
で、従来のように別個独立に製作された液晶表示部とＥ
Ｌバックライトとを積層する構造に比較して、より薄型
となり、最近の薄型化のニーズに十分に対応することが
できる。そして、ＥＬバックライト３０の信頼性が向上
する結果、バックライトとして冷陰極管ランプを用いる
場合に比較して駆動回路の簡素化及び小型化を達成で
き、さらに低価格を実現することができる。さらにま
た、液晶表示部とＥＬバックライトとを一体化したた
め、製造プロセスの工数の削減が可能となる。

【００２１】さらに、裏面側基板１２が偏光ガラスから
なるので、これに下面偏光板を別途設けることが不要と
なり、製造工数の減少を図ることができるとともに、さ
らに薄型化が可能となる。実際に、従来のように別個独
立に製作された液晶表示部とＥＬバックライトとを積層
する場合には、全体の厚みが２．４ｍｍ程度であったも
のが、この実施例によれば全体の厚みを１．５〜２．０
ｍｍ程度にまで薄型化することが可能である。

【００２２】次に、この実施例の液晶表示器の製造プロ
セスの一例について説明する。図３は、製造プロセスの
説明図である。

【００２３】（１）液晶表示部の表面側基板の処理 ガラスからなる表面側基板１１を洗浄し、その片面
の全面にＳｉＯ₂ 膜１３及び透明電極膜を形成する。 これを洗浄し、透明電極膜上にレジストをコーティ
ングし、熱処理する。レジストのパターニングのため
に、レジストを露光し、熱処理し、現像し、熱処理す
る。 さらに、パターニングされたレジストを介して透明
電極膜をエッチングし、洗浄して、パターニングされた
透明電極１５を形成する。 このようにして透明電極１５が設けられた表面側基
板１１の片面にシール剤２０を印刷し、次いでギャップ
剤１９を散布する。

【００２４】（２）液晶表示部の裏面側基板の処理 偏光ガラスからなる裏面側基板１２を洗浄し、その
片面の全面にＳｉＯ₂ 膜１４を形成した後、その両面の
全面に透明電極膜を形成する。 これを洗浄し、液晶表示部用の表面側の透明電極膜
上にレジストをコーティングし、熱処理する。レジスト
のパターニングのために、レジストを露光し、熱処理
し、現像し、熱処理する。さらに、パターニングされた
レジストを介して透明電極膜をエッチングし、洗浄し
て、パターニングされた液晶表示部用の透明電極１６を
形成する。尚、裏面側全面の透明電極膜は、そのままで
ＥＬバックライト用の透明電極３２とする。 裏面側基板１２の透明電極３２が設けられた片面に
シール剤３５を印刷する。 （３）ＥＬバックライトの裏面側基板の処理 ガラスからなる裏面側基板３９を洗浄し、その片面
の全面に蒸着によりアルミ電極３８を形成する。 これを洗浄し、アルミ電極３８上に蛍光剤を印刷
し、熱処理して、蛍光体層３３を形成し、次いで蛍光体
層３３側の片面にシール剤を印刷する。

【００２５】（４）組み立て及びカッティング 以上のようにして処理された液晶表示部１０の表面側基
板１１及び裏面側基板１２とＥＬバックライト３０の裏
面側基板３９とを積層し、各シール剤２０、３５により
圧着し、次いでこの積層体を単品にカッティングする。

【００２６】（５）各単品の処理 各単品の液晶表示部１０のシール剤２０の液晶注入
口から液晶２１を注入する。 各単品のＥＬバックライト３０の透明電極３２及び
アルミ電極３８のそれぞれに外付け電極７１、７２を接
続する。 液晶表示部１０の液晶注入口を封止剤２４により封
止し、ＥＬバックライト３０の外付け電極７１、７２の
周囲を封止剤２５により封止する。 次いで、洗浄した後、液晶表示部１０の表面側基板
１１の表面に上面偏光板２２を貼り付けて液晶表示器を
製作する。

【００２７】（６）プリント基板への実装 以上の液晶表示器の液晶表示部１０を導電ゴム６０によ
りプリント基板５０上の電極に電気的に接続し、これら
を取り付け金具４０によりプリント基板５０上に実装す
る。

【００２８】以上の製造プロセスの説明からも明らかな
ように、液晶表示部１０の裏面側基板１２をＥＬバック
ライト３０の表面側基板に共用して液晶表示部１０とＥ
Ｌバックライト３０とを一体化する構成によれば、従来
のように液晶表示部とＥＬバックライトとを別個独立の
製造した後これらを積層する場合に比較して、製造プロ
セスの工数を削減することができ、低価格化を実現する
ことができる。

【００２９】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。図４は、外付け電極７１、７２を用いないリードレ
スタイプの液晶表示器の実施例の縦断正面図であるこの
実施例では、液晶表示部１０の裏面側基板１２のＥＬバ
ックライト用の透明電極３２とプリント基板５０の電極
とを導電ゴム８１で接続し、ＥＬバックライト３０の裏
面側基板３９のアルミ電極３８の端部からその裏面側に
延びる補助のアルミ電極８２を設けて、このアルミ電極
８２とプリント基板５０の電極とを導電ゴムで接続して
いる。このようにリ−ドレスタイプの構造とすれば、Ｅ
Ｌバックライトを取り付け金具４０をかしめて基板５０
に取り付けるだけで電気的接続を行うことができるの
で、端子部の半田付けが不要になり、取り付け作業が簡
単になる。

【００３０】

【発明の効果】

（１）請求項１の発明によれば、以下の効果が奏され
る。 ＥＬバックライトの基板がガラスからなるので、耐
温度性及び耐湿度性が大幅に向上する。従って、ＥＬバ
ックライトの蛍光体層の湿気による早期劣化が生ぜず、
長期間にわたり一定の輝度が保たれるようになり、鮮明
な表示が可能となる。 液晶表示部の裏面側基板はＥＬバックライトの表面
側基板を兼ねているので、より薄型となり、最近の薄型
化のニーズに十分に対応することができる。 ＥＬバックライトの信頼性が向上する結果、バック
ライトとして蛍光ランプを用いる場合に比較して駆動回
路の簡素化及び小型化を達成でき、さらに低価格を実現
することができる。 液晶表示部とＥＬバックライトとを一体化したた
め、製造プロセスの工数の削減が可能となる。 （２）請求項２の発明によれば、さらに以下の効果が奏
される。 液晶表示部の裏面側基板が偏光ガラスからなるので、こ
れに偏光板を別途設けることが不要となり、製造工数の
減少を図ることができるとともに、さらに薄型化が可能
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す縦断正面図である。

【図２】本発明の一実施例を示す縦断側面図である。

【図３】本発明の他の実施例を示す縦断側面図である。

【図４】図１及び図２に示した液晶表示器の製造プロセ
スの一例を示す説明図である。

【図５】従来の液晶表示器の一例を示す縦断側面図であ
る。

【符号の説明】

１０ 液晶表示部 １１ 表面側基板 １２ 裏面側基板 １５、１６ 透明電極 ２１ 液晶 ２２ 上面偏光板 ３０ ＥＬバックライト ３２ 透明電極 ３３ 蛍光体層 ３８ アルミ電極

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶表示部とエレクトロルミネセンスバ
   ックライトとを一体的に積層してなる液晶表示器におい
   て、 液晶表示部の裏面側基板がエレクトロルミネセンスバッ
   クライトの表面側基板をなし、かつ当該基板がガラスか
   らなることを特徴とするエレクトロルミネセンスバック
   ライト一体型液晶表示器。
2. 【請求項２】 請求項１の基板が偏光ガラスからなるこ
   とを特徴とするエレクトロルミネセンスバックライト一
   体型液晶表示器。