JPH06185200A - コンクリートのクラック防止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート構造物におけるコンクリートの
クラック発生を防止する。 【構成】 コンクリート構造物を形成するため、型枠間
に配置した配筋と共にコイル筋８を配置し、コンクリー
トの打設によりコイル筋８をコンクリート内に埋設し、
コイル筋８とコンクリートの結合により、コンクリート
の乾燥収縮や温度変化による伸縮に起因するクラックの
発生を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鉄筋コンクリート構
造物のコンクリートにクラック（ひび割れ）が発生する
ことを防止する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄筋コンクリート構造物の構築におい
て、例えば壁に窓等の開口部を形成する場合、開口部の
周囲は縦補強筋及び横補強筋によって補強すると共に、
特に応力が集中し易く、クラックの発生し易い四隅のコ
ーナ部分に斜め補強筋を配置することが行なわれてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、コンクリー
トは引張りに対する抵抗力が弱く、乾燥収縮や温度差に
よる伸縮により、開口部の四隅のように応力集中が起こ
りやすい処所にクラックが発生しやすい。しかし、従来
の補強筋は、単に鉄筋を増し配筋するだけであったた
め、コンクリートとの結合力が不十分で弱く、コンクリ
ートの伸縮に対する抵抗力が低く、補強筋を埋設しても
クラックの発生しやすい開口部の四隅やそれに類似する
他の部分のクラック防止は十分に行なえなかったのが現
状である。

【０００４】そこでこの発明の課題は、コンクリート内
にコイル又はコイル筋を埋設することにより、コンクリ
ートに生じやすいクラックを確実に防ぐことができるコ
ンクリートのクラック防止方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、この発明は、コンクリート構造物を形成する
ため打設しようとするコンクリート内にコイルを埋設す
る構成を採用したものである。

【０００６】また、コンクリート内に配置する鉄筋にコ
イルを装着してコンクリート内に埋設することもでき
る。

【０００７】

【作用】コンクリートの打設時において、コンクリート
にクラックが生じやすい位置の型枠間にコイル又はコイ
ル筋を配置し、このコイル又はコイル筋を打設したコン
クリート内に埋設する。

【０００８】コイル又はコイル筋はコンクリートとの結
合性がよく、コンクリートの乾燥収縮や温度変化による
伸縮を緩衝し、クラックを効果的に防止する。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【００１０】図１と図２は、鉄筋コンクリート構造物に
おける壁の開口部周辺の配筋構造を示し、壁縦筋１と壁
横筋２を縦横に配置すると共にこれを対向させ、開口部
３の周囲には開口縦補強筋４と開口横補強筋５を内外に
対向する井形に配置し、更に四隅に開口斜め補強筋６が
内外に対向するよう配置されている。

【００１１】前記斜め補強筋６には、別に用意されたコ
イル７を外嵌挿することによって取付け、開口部３の四
隅において、コンクリートに生じやすいクラックの発生
を、斜め補強筋６とコイル７の組合せからなるコイル筋
８によって防止するようにしている。

【００１２】上記コイル筋８は、図３と図４に示すよう
に、金属線材やその他の材料を螺旋状に巻回して形成さ
れている。

【００１３】ちなみに、コイル７は、直径２．８ｍｍの
鋼線を用い、外径３０ｍｍの円筒状になるよう螺旋状に
巻回して形成され、一般に直径１３ｍｍの鉄筋を用いる
斜め補強筋６に対して外嵌挿し、斜め補強筋６に針金等
を用いて固定することによってコイル筋８を構成するも
のであり、このコイル筋８の長さは、任意に選択すれば
よい。

【００１４】上記コイル筋８において、図３（Ａ）と図
４（Ａ）は、コイル７を斜め補強筋６に吊り下げ状とな
るよう取り付けたが、図３（Ｂ）と図４（Ｂ）の如く、
コイル７を斜め補強筋６に針金等の取り付けクリップ９
を用いて略同軸心状の配置に取り付けてもよい。

【００１５】図示の場合、コイル筋８は、斜め補強筋６
に外嵌挿して取付けることにより開口部３の四隅に配置
したが、このコイル筋８は斜め補強筋６の近接位置に独
立して配置することもでき、開口部３の四隅だけでな
く、クラックが発生しやすい開口部の周囲やコンクリー
ト構造物の所望する部分等に配置することもできる。

【００１６】次に、クラック防止の施工方法を説明す
る。

【００１７】コンクリート構造物の施工における型枠の
組立て時、型枠間への配筋と同時に、例えばクラックの
発生しやすい開口部３の四隅に該当する部分に、斜め補
強筋６が傾斜するようにコイル筋８を配置し、型枠間へ
のコンクリートの打設により、配筋と共にコイル筋８を
コンクリート内に埋設する。

【００１８】コイル７は金属線材や他の材料を大き目の
ピッチで螺旋状に巻回した構造になっているので、これ
をコンクリート内に埋設すると、コンクリートとの結合
性が改善され、螺旋形状の線材間にコンクリートを閉じ
込めることになり、コンクリートの乾燥や温度変化によ
る伸縮の動きを少なくし、伸縮に起因するクラックの発
生を防止する。

【００１９】従って、コンクリート構造物の壁体におい
て、開口部３の四隅にクラックが発生することなく、良
質の壁を構築することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上のように、この発明によると、コン
クリート構造物を形成するため打設したコンクリート内
にコイル又はコイル筋を埋設することにより、コイル又
はコイル筋とコンクリートの結合力を改善し、コンクリ
ートの乾燥収縮や温度変化による動きを制御し、乾燥収
縮や温度変化に起因するコンクリートのクラック発生を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のクラック防止方法を施工する開口部
の配筋図

【図２】同上の要部を拡大した配筋図

【図３】（Ａ）と（Ｂ）はコイルと鉄筋の組合せによっ
て形成されたコイル筋を示す斜視図

【図４】（Ａ）と（Ｂ）は同上の縦断面図

【符号の説明】

３ 開口部 ６ 斜め補強筋 ７ コイル ８ コイル筋

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート構造物を形成するため打設
   しようとするコンクリート内にコイルを埋設することを
   特徴とするコンクリートのクラック防止方法。
2. 【請求項２】 コンクリート内に配置する鉄筋にコイル
   を装着してコンクリート内に埋設することを特徴とする
   コンクリートのクラック防止方法。