JPH06185149A - 壁パネル調整・固定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カーテンウォール形式の壁パネルの左右・出
入り方向の調整を、簡単な構成で作業性良く、高精度に
行えるようにする。 【構成】 壁パネル２０の背面にファスナ２を設け、そ
の横片部４を建物躯体の壁パネル受け部材２１の上面に
載置する。ファスナ２の横片部４に設けたルーズ穴６
に、壁パネル受け部材２１の上面に設けた植設ボルト８
を遊嵌させ、植設ボルト８に螺合するナット１０で横片
部４を締め付ける。横片部４上に軸心が左右方向および
出入り方向を向く左右調整雌ねじ部材１２および出入り
調整雌ねじ部材１１を設ける。各雌ねじ部材に左右調整
ボルト１７および出入り調整ボルト１６を螺合させる。
壁パネル受け部材２１の上面に、各雌ねじ部材と対面す
る一対の立ち片１３ａ，１３ｂを有する調整金物１３を
設ける。各立ち片の水平な長穴状開口１４，１５に各調
整ボルト１７，１６を挿通させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カーテンウォール形
式の壁パネルを建物躯体に位置調整して固定する壁パネ
ル調整・固定装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】カーテンウォール形式の壁パネルは、建
物躯体に対してレベル調整、左右調整および出入り調整
を行ってから建物躯体に固定する必要がある。このう
ち、ＰＣ版等の重量パネル以外では、出入りおよび左右
の調整機構のないものが多く、バール等の工具で壁パネ
ルをこじるなどして調整している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
バールで壁パネルをこじて調整を行うのでは、作業性が
悪いばかりか高精度の調整を行えないという問題点があ
る。ＰＣ版等の重量パネルでは、出入りおよび左右の調
整機構の付いたものも種々提案されているが、いずれも
大掛かりなものが多く、コスト増加の要因となってい
る。

【０００４】この発明の目的は、左右および出入りの調
整が作業性良く行える簡単な構成の壁パネル調整・固定
装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明の壁パネル調整
・固定装置は、壁パネルの背面に設けられて横片部で建
物躯体の壁パネル受け部材の上面に載置されるファスナ
と、前記壁パネル受け部材の上面に突設される植設ボル
トと、前記ファスナの前記横片部上に設けられた左右調
整雌ねじ部材および出入り調整雌ねじ部材と、前記壁パ
ネル受け部材の上面に設けられた調整金物と、前記各雌
ねじ部材に螺合する左右調整ボルトおよび出入り調整ボ
ルトとを備えている。前記ファスナの横片部はルーズ穴
を有し、このルーズ穴に前記植設ボルトが遊嵌し、この
ボルトに前記横片部を締め付けるナットが螺着される。
左右調整雌ねじ部材および出入り調整雌ねじ部材は、各
々軸心が壁パネルの背面に沿う方向および背面に垂直な
方向を向く。前記調整金物は、各雌ねじ部材と対面する
一対の互いにＬ形の立ち片を有するものである。この調
整金物の一対の立ち片には各々前記各雌ねじ部材の軸心
に直交する水平な長穴状開口が設けられ、これら長穴状
開口に前記左右調整ボルトおよび出入り調整ボルトがそ
れぞれ挿通される。

【０００６】

【作用】この構成によると、ファスナの横片部のルーズ
穴に壁パネル受け部材の上面の植設ボルトを遊嵌させ、
その横片部で壁パネルを支持した状態で、壁パネルの左
右調整および出入り調整が行われる。左右調整は、前記
横片部上の左右調整雌ねじ部材に螺合する左右調整ボル
トのねじ込み深さを調整することにより行う。出入り調
整は、前記横片部の出入り調整雌ねじ部材に螺合する出
入り調整ボルトの調整で行う。このように、壁パネルを
壁パネル受け部材上に仮セットしてから調整することが
でき、調整作業が行い易い。

【０００７】

【実施例】この発明の一実施例を図１ないし図３に基づ
いて説明する。図１に示すように、この壁パネル調整・
固定装置１は、断面Ｌ字状のファスナ２と、植設ボルト
８と、出入り調整雌ねじ部材１１および左右調整雌ねじ
部材１２と、調整金物１３と、出入り調整ボルト１６お
よび左右調整ボルト１７とを備えている。

【０００８】壁パネル２０はスパンドレル構法の建物の
カーテンウォールパネルとされるＡＬＣ版等からなるも
のであり、その裏面に前記ファスナ２の立片部３がボル
ト７によって仮締めされる。すなわち、ファスナ２の立
片部３には縦長のボルト挿通孔５が形成され、このボル
ト挿通孔５に挿通されるボルト７によってファスナ２の
立片部３が壁パネル２０の裏面に仮締めされる。ファス
ナ２の横片部４は、建物躯体の壁パネル受け部材である
Ｈ形鋼の梁２１の上面に載置される。

【０００９】前記植設ボルト８は梁２１の上面に溶接で
固定され、この植設ボルト８が前記ファスナ２の横片部
４に形成されるルーズ穴６（図３）に遊嵌させられる。
出入り調整雌ねじ部材１１はナットからなり、そのねじ
孔の軸心が壁パネル２０の背面に垂直な方向（出入り方
向）を向くようにファスナ２の横片部４上に溶接により
固定される。左右調整雌ねじ部材１２もナットからな
り、そのねじ孔の軸心が壁パネル２０の背面に沿う水平
方向（左右方向）を向くように前記出入り調整雌ねじ部
材１１の上に積み重ねて溶接により固定される。

【００１０】調整金物１３は、一対の立ち片１３ａ，１
３ｂを有するＬ形の屈曲板であり、その一方の立ち片１
３ａが出入り調整雌ねじ部材１１と、他方の立ち片１３
ｂが左右調整雌ねじ部材１２とそれぞれ対面するように
梁２１の上面に溶接等で固定される。その調整金物１３
の一方の立ち片１３ａには左右方向に延びる長穴状の開
口１４が切欠形成され、他方の立ち片１３ｂには出入り
方向に延びる長穴状の開口１５が切欠き形成される。こ
れらの開口１４，１５は、切欠きに限らず、長穴として
もよい。その一方の長穴状開口１４には、出入り調整雌
ねじ部材１１に螺合する出入り調整ボルト１６が挿通さ
れ、他方の長穴状開口１５には、左右調整雌ねじ部材１
２に螺合する左右調整ボルト１７が挿通される。これら
各調整ボルト１６，１７には、調整金物１３の各立ち片
１３ａ，１３ｂに締付け固定するためのナット１８，１
９が螺着させてある。

【００１１】また壁パネル２０の裏面には、前記ファス
ナ２とは別に、Ｌ形のレベル調整用ファスナ２２の立片
部２３がボルト２５で締付け固定され、そのファスナ２
２の横片部２４に、レベル調整ボルト２６が垂直姿勢に
螺合させてある。レベル調整ボルト２６の下端は梁２１
の上面で受け止められる。

【００１２】なお、図２に示すように梁２１の下フラン
ジの下面と、壁パネル２０の裏面との間にも別の壁パネ
ル調整・固定装置２７が設けられる。この壁パネル調整
・固定装置２７は出入り調整機能を持つが、左右調整機
能は持たない。すなわち、先述した壁パネル調整・固定
装置１の構成において、左右調整雌ねじ部材１２および
左右調整ボルト１７を省略した構成とされている。

【００１３】つぎに、施工方法について説明する。ま
ず、予め壁パネル調整・固定装置１，２７のファスナ２
と、レベル調整用ファスナ２２を裏面に取り付けた壁パ
ネル２０を吊り上げ、図３（Ａ）のように梁２１の上面
の植設ボルト８にファスナ２のルーズ穴６が遊嵌する状
態に壁パネル２０をファスナ２で仮置きする。

【００１４】ついで、図３（Ｂ）のように植設ボルト８
に座金９を遊嵌させ、ナット１０を螺着することによっ
て、ファスナ２の横片部４を梁２０に仮止めする。さら
に、調整金物１３の一方の立ち片１３ａの長穴状開口１
４にその横方向から出入り調整ボルト１６を挿入して、
このボルトを出入り調整雌ねじ部材１１に螺合させると
共に、他方の立ち片１３ｂの長穴状開口１５にその横方
向から左右調整ボルト１７を挿入して、このボルトを左
右調整雌ねじ部材１２に螺合させる。

【００１５】この後、レベル調整用ファスナ２２に螺合
するレベル調整用ボルト２６を回すことによって、壁パ
ネル８の高さ調整を行う。また、左右調整雌ねじ部材１
２に螺合する左右調整ボルト１７を回すことによって、
壁パネル２０の建物躯体に対する左右方向の位置を調整
する。このとき、出入り調整ボルト１６は調整金物１３
の立ち片１３ａの水平方向に向けた長穴状開口１４に挿
通していることから、壁パネル２０の左右方向への位置
調整が許容される。

【００１６】さらに、出入り調整雌ねじ部材１１に螺合
する出入り調整ボルト１６を回すことによって、壁パネ
ル２０の建物躯体に対する出入り方向の位置を調整す
る。このとき、左右調整ボルト１７は調整金物１３の立
ち片１３ｂの水平方向に向けた長穴状開口１５に挿通し
ていることから、壁パネル２０の出入り方向への位置調
整が許容される。

【００１７】ついで、梁２０の下面側に配置される出入
り調整専用の壁パネル調整・固定装置２７についても、
同様に出入り調整を行う。このような調整を終えた後
に、ファスナ２の立片部３をボルト７で壁パネル２０の
裏面に締付け固定すると共に、座金９を介して植設ボル
ト８に螺合するナット１０でファスナ２の横片部４を梁
２０の上面に締付け固定する。座金９はファスナ２の横
片部４に隅肉溶接する。

【００１８】この壁パネル調整・固定装置は、このよう
にボルト・ナットと山形鋼の調整金物１３とからなる簡
単な構成で、壁パネル２０の左右および出入りの調整が
行える。しかも精度良く調整が行える。また、壁パネル
２０を梁２１に一旦仮セットしてから調整できるので、
作業性が良い。例えば、並設される全ての壁パネル２０
を仮セットし、壁パネル２０の吊り上げ用のクレーンを
引き払ってから、各壁パネル２０を順次調整することが
できる。このように簡単な構成で作業性良く調整でき、
ローコストで高い精度の調整が行える。

【００１９】なお、上記実施例では梁２０の上面に壁パ
ネル調整・固定装置１を配置する場合について示した
が、梁２０から突出させたアーム等の上に前記構成の壁
パネル調整・固定装置１を配置してもよい。さらに、図
４に示すように、床スラブ２８の上面に前記壁パネル調
整・固定装置１を配置してもよい。

【００２０】

【発明の効果】この発明の壁パネル調整・固定装置は、
ファスナの横片部のルーズ穴に壁パネル受け部材の上面
の植設ボルトを遊嵌させ、その横片部で壁パネルを支持
した状態で、前記横片部上の左右調整雌ねじ部材および
出入り調整雌ねじ部材に各々螺合するボルトにより調整
するようにしたので、壁パネルの左右および出入り調整
が容易に精度良く行え、しかも簡単な構成で実現でき、
コスト低下が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す斜視図である。

【図２】その実施例の全体構成を示す縦断面図である。

【図３】その施工手順を示す説明図である。

【図４】この発明の他の実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１，２７…壁パネル調整・固定装置、２…ファスナ、４
…横片部、６…ルーズ穴、８…植設ボルト、１０…ナッ
ト、１１…出入り調整雌ねじ部材、１２…左右調整雌ね
じ部材、１３…調整金物、１３ａ，１３ｂ…立ち片、１
４，１５…長穴状開口、１６…出入り調整ボルト、１７
…左右調整ボルト、２０…壁パネル、２１…梁（壁パネ
ル受け部材）、２８…床スラブ（壁パネル受け部材）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁パネルの背面に設けられて横片部にル
   ーズ穴を有し建物躯体の壁パネル受け部材の上面に前記
   横片部で載置されるファスナと、前記壁パネル受け部材
   の上面に突設されて前記ルーズ穴に遊嵌し前記横片部を
   締め付けるナットが螺着される植設ボルトと、前記ファ
   スナの前記横片部上に設けられて各々軸心が前記壁パネ
   ルの背面に沿う方向および前記背面に垂直な方向を向く
   左右調整雌ねじ部材および出入り調整雌ねじ部材と、前
   記壁パネル受け部材の上面に設けられて前記各雌ねじ部
   材と対面する一対の互いにＬ形の立ち片を有しこれら立
   ち片に各々前記各雌ねじ部材の軸心に直交する水平な長
   穴状開口が設けられた調整金物と、この調整金物の前記
   各長穴状開口に挿通されて前記各雌ねじ部材に整合する
   左右調整ボルトおよび出入り調整ボルトとを備えた壁パ
   ネル調整・固定装置。