JPH06184851A - 飾り糸の製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】色彩変化に富み、工程通過性の優れた飾り糸を
低コストで製造し得る方法を提供する。 【構成】色相又は染色性の異なる複数本のマルチフィラ
メントを各々別個に設けられた第１の流体交絡域に分割
供給し、流体を間欠的に噴射して各マルチフィラメント
を部分的に混繊交絡させ、次いで第２の流体交絡域にお
いて、全てのマルチフィラメントを集合させ、同時に流
体交絡処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、織編物等の衣料分野、
カーペット及び車両内装用布帛等の繊維資材分野に用い
られる飾り糸に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から飾り糸は、織編物等の布帛に装
飾効果をもたらす手法の一つとして広く用いられてい
る。これら飾り糸は色相や原料の異なる糸条を混ぜて作
られており、（イ）スライバーや糸に柄染め等を部分的
に施して染色する方法、（ロ）撚り合わせる糸にネップ
やスラブを混入させる方法、（ハ）飾り撚糸機等で異な
る色相の糸を互いに供給量を変化させて壁撚を施す方法
等が広く知られ実用化されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
（イ）の方法は特殊な染色法を必要とし生産性が低くコ
スト高となり、（ロ）の方法は糸構造の変化を大きくす
ることが出来外観的な装飾性は得られるが生産性が低く
コスト高になると共に風合的にも硬くなり易く織編成時
やタフティング時の工程通過性が低下し布帛形成が困難
であり、また（ハ）の方法では生産性を低下させずに飾
り糸を製造することが出来るが、色相の異なる糸を単に
撚糸しただけの場合は異なる色相糸間の混合がなく単調
な杢糸調となるので色相差を強調するためには供給量の
変化割合を大きくする必要がある。そうすると供給量を
大きくした方の糸が弛み気味となり、後工程の通過性が
悪くなるので、強撚を施さなければならず風合が硬くな
り、生産性も低下する。

【０００４】このような問題点を改良する方法として、
流体を使用し、流体交絡時の流体量を変化させて飾り糸
を製造する方法が特開昭６０−９９０３４号公報に開示
されているが、この方法では供給糸条が単に引き揃え状
態で流体流量を変化させるため、低流量時には糸条を構
成する単繊維が互いにバラケタ状態で引き揃えられ集束
性に欠けると共に引き揃え部の色相が不鮮明になる等の
問題があった。

【０００５】本発明はかかる従来の問題点を解消し、色
彩変化に富み、工程通過性の優れた飾り糸を低コストで
製造し得る方法を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の課
題を達成するために以下の構成をとる。すなわち、本発
明は、色相又は染色性の異なる複数本のマルチフィラメ
ントを各々別個に設けられた第１の流体交絡域に分割供
給し、流体を間欠的に噴射して各マルチフィラメントを
部分的に混繊交絡させ、次いで第２の流体交絡域におい
て、全てのマルチフィラメントを集合させ、同時に流体
交絡処理を施すことを特徴とする飾り糸の製法である。

【０００７】以下図面に従って本発明を詳細に説明す
る。図１は本発明の飾り糸を製造するために使用する装
置の一例を示す側面図、図２及び図３は本発明により得
られた飾り糸の例を示す側面図で、図１において、１、
２は供給マルチフィラメント、３、４は部分交絡糸条、
５は飾り糸、１１はフィードローラ、６、７は第１交絡
域、８、９は電磁弁、１０は第２流体交絡域、１２はデ
リベリローラ、１３はワインダーである。

【０００８】本発明において用いられるマルチフィラメ
ント１、２は互いに色相が異なっているもの、或いは後
で染色することにより異色に染色されるもののいづれで
もよく、天然繊維及び人造繊維の何れでも良い。

【０００９】同時に供給されるマルチフィラメントの本
数は特に制限されないが、色相の差異としては２〜３色
程度の場合が色相差が出やすいので好ましい。また、飾
り糸を構成するマルチフィラメントの色相の一色は未着
色であっても他のマルチフィラメントとの色相の差異を
有するものであれば差し支えなく、濃淡差を有している
ものであれば同一色であってもよい。

【００１０】本発明で用いるマルチフィラメントの形態
は、生糸、仮撚加工糸、押し込み捲縮加工糸、ニット・
デニット加工糸等が好適に使用されるが、予め流体加工
されたタスラン加工糸、インターレース加工糸、及び強
い撚を有する撚糸は交絡部分や撚により単繊維間が拘束
されているため好ましくない。

【００１１】本発明における第１流体交絡域６、７及び
第２流体交絡域１０の装置は、公知のインターレースノ
ズルを用いればよく、また電磁弁８、９についても電気
信号によるオン−オフ作動が可能な公知の電磁弁を使用
すればよい。

【００１２】次ぎに本発明の飾り糸の製法を工程に沿っ
て説明する。マルチフィラメント１及び２は、合糸又は
引き揃えた状態でフィードロール１１から第１流体交絡
域６、７にそれぞれ分割供給されて流体噴射処理される
が、この場合マルチフィラメント１及び２は第１流体交
絡域６、７において、電磁弁の作用により間欠的な流体
処理を受け交絡した部分と平行状に集束された部分とを
交互に有する部分交絡糸条３及び４となり、次ぎの第２
流体交絡域に送られる。

【００１３】またこの場合マルチフィラメント１、２を
フィードロール１１以前の段階で２〜３％程度緊張させ
て単繊維間の絡みを解除し、分繊性をよくしておけば、
第１流体交絡域６、７での混繊交絡が容易となる。尚こ
の緊張処理は必ずしもロール間で行う必要はなく、マル
チフィラメント供給過程の任意の段階で行うことが出来
る。

【００１４】第２流体交絡域１０では、第１流体交絡域
６、７を出た部分交絡糸条３と４とが混繊交絡され、部
分交絡糸条３の非混繊交絡部と部分交絡糸条４の非混繊
交絡部とが混繊交絡した部分と、部分交絡糸条４又は３
の非混繊交絡部と混繊交絡せずに部分交絡糸条３又は４
の混繊交絡部と並列若しくは被覆状となった糸構造の交
絡糸条５となり、デリベリロール１２を経てワインダー
１３に巻き取られる。

【００１５】第１流体交絡域６、７及び第２流体交絡域
１０へのマルチフィラメントの供給の際のオーバーフィ
ード量は、通常のインターレース処理と同様に６％以下
に設定すればよい。

【００１６】電磁弁８及び９のオン−オフの頻度や速度
等の条件は布帛形成した際の意匠性から見た色彩変化部
の長さの設計によって適宜選定すればよく、電磁弁のコ
ントロールはデリベリロール１２等の回転体の回転速度
から割り出した長さ換算信号やタイマー等で行われる。

【００１７】本発明により得られる飾り糸の一例は図２
に示すように、マルチフィラメント１及び２が第１の流
体交絡域６、７での間欠流体処理により形成された部分
交絡マルチフィラメント３及び４の非混繊交絡部同志が
交絡した部分Ａと、混繊交絡部同志が引き揃えられた部
分Ｂとがランダムな間隔で形成された交絡糸条である。

【００１８】また、マルチフィラメント１及び２を第１
の流体交絡域６、７で交互に交絡処理を行えば、図３に
示したように流体交絡処理によって形成された部分交絡
糸条３及び４の非混繊交絡部が混繊交絡した部分Ａと、
部分交絡糸条４の混繊交絡部と部分交絡糸条３の非混繊
交絡部とが並列若しくは被覆状となった部分Ｃ、及び部
分交絡糸条３の混繊交絡部と部分交絡糸条４の非混繊交
絡部とが並列若しくは被覆状となった部分Ｄがランダム
間隔で形成された交絡糸条５となる。

【００１９】このように、電磁弁８及び９の作動の順序
及び時間を組み合わせることにより、図２及び３におけ
るＡ、Ｂ，Ｃ，Ｄの形状を任意に組み合わせることが出
来る。

【００２０】

【実施例】以下実施例により、本発明を更に具体的に説
明する。

【００２１】（実施例１）紡糸時にブラウン、ブルー、
クリーム、及びスカイブルー色の顔料を用いて原着紡糸
延伸して得られた、ポリプロピレンマルチフィラメント
（８００ｄ／３６ｆ）と、通常のカーペット用原糸態様
の押込捲縮加工条件で加工して得られたポリプロピレン
捲縮加工糸を供給糸１（ブラウン、ブルー）及び供給糸
２（クリーム、スカイブルー）に用いて以下の条件で流
体加工処理を行った。

【００２２】供給態様：引き揃え 供給速度：３００ｍ／分 第１流体交絡域のオーバーフィード量：４％ 第２流体交絡域のオーバーフィード量：４％ 第１流体交絡域の噴射流体圧力：６ｋｇｆ／ｃｍ² 第２流体交絡域の噴射流体圧力：６ｋｇｆ／ｃｍ² 電磁弁の開閉態様：８、９同時 電磁弁の開閉速度：閉鎖時 ０．６〜１．０秒の間でラ
ンダムに開閉 開放時 ０．０５秒 巻取速度：２９５ｍ／分

【００２３】本実施例により得られた飾り糸は図２に示
した形状の糸で、部分交絡糸条３と４の非混繊交絡部分
が混繊交絡した長さ３〜５ｍの範囲でランダムに形成さ
れた部分Ａと、部分交絡糸条３と４の混繊交絡部分が平
行状に集束された長さ約２５ｃｍの部分Ｂとが交互に形
成された色彩変化に富んだ糸であった。

【００２４】（実施例２）電磁弁の開閉を８、９交互に
行う以外は実施例１と同様に流体加工処理を施したとこ
ろ、得られた飾り糸は図３に示した形状の糸で、部分交
絡糸条３と４の非混繊交絡部分が混繊交絡した長さ３〜
５ｍの範囲でランダムに形成された部分Ａと、部分交絡
糸条３の非混繊交絡部分が部分交絡糸条４の交絡混繊部
分に平行状若しくは被覆状に集束された長さ約２５ｃｍ
の部分Ｃ、及び部分交絡糸条４の非混繊交絡部分が部分
交絡糸条３の混繊交絡部分に平行状若しくは被覆状に集
束された長さ約２５ｃｍの部分Ｄとが交互に形成された
色彩変化に富んだ糸であった。

【００２５】（比較例１）第２流体交絡域での混繊交絡
処理を施さない以外は実施例１と同じ流体加工処理を行
ったところ、得られた飾り糸は混繊交絡部分と非混繊交
絡部分とが交互に形成され、非混繊交絡部分においては
個々の色相の糸条が集合状で表面に現れた色彩変化に富
んだ糸であったが、非混繊交絡部分の集束性が非常にわ
るく、工程通過性の劣った糸であった。

【００２６】（比較例２）第１流体交絡域での噴射流体
の供給を連続停止状態とする以外は、実施例１と同じ流
体加工処理を行ったところ、得られた糸は個々の色相の
糸条が集合状で表面に現れることのない色彩変化に乏し
い糸であった。

【００２７】

【発明の効果】上述の如く構成された本発明によれば、
色彩変化に富み、工程通過性の優れた飾り糸を低コスト
で製造し得るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施に使用する装置の一例を示す側面
図。

【図２】本発明にて得られた飾り糸の一例を示す部分側
面図。

【図３】本発明にて得られた飾り糸の他の例を示す部分
側面図。

【符号の説明】

１ 供給マルチフィラメント ２ 供給マルチフィラメント ３ 部分交絡糸条 ４ 部分交絡糸条 ５ 飾り糸 ６ 第１流体交絡域 ７ 第１流体交絡域 ８ 電磁弁 ９ 電磁弁 １０ 第２流体交絡域 １１ フィードロール １２ デリベリロール １３ ワインダー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】色相又は染色性の異なる複数本のマルチフ
   ィラメントを各々別個に設けられた第１の流体交絡域に
   分割供給し、流体を間欠的に噴射して各マルチフィラメ
   ントを部分的に混繊交絡させ、次いで第２の流体交絡域
   において、全てのマルチフィラメントを集合させ、同時
   に流体交絡処理を施すことを特徴とする飾り糸の製法。