JPH06182662A - 鋼板壁面の除錆装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作業員の作業環境の改善（高所作業、粉塵の
被防止等）を行ない、能率良く除錆作業を行う。 【構成】 自走式車両１のブーム２の先端に水平旋回自
在に旋回ベース５を設け、旋回ベース５に水平から所定
の仰角まで回動可能に第１の回動部材６を設け、第１の
回動部材６に前後に進退自在にスライドアーム７を設
け、スライドアーム７の先端に縦に首振り自在に第２の
回動部材８を設け、第２の回動部材８に左右に首振り・
横転自在に第３の回動部材９を設け、第３の回動部材の
先端に回転自在に除錆ブラシ１０を設けて除錆装置を構
成する。除錆装置の各駆動部を操縦室６０からの遠隔操
作で選択的に作動させてブーム２の長さや角度、除錆ブ
ラシ１０の姿勢などを適性に調節し除錆作業を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、船体外板などの塗装
下地処理としての除錆作業を半自動的に行う除錆装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、船体外板などの鋼板壁面の除錆作
業は、自走式車両のブーム先端に設けられた高所作業台
に作業員が搭乗し、ハンド式のグラインダなどを使用し
て手作業で行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような除
錆作業は高所作業となるため危険が多く、また作業員自
身がグラインダを持って除錆作業を行うため疲労しやす
く、作業能率が悪い。さらに、除錆の際に生じる錆など
の粉塵を作業員が被る度合いが多いため、健康面におい
ても好ましくない。

【０００４】この発明は、上記事情に鑑み創案されたも
のであり、作業員による高所作業をなくすために、自走
式車両のブーム先端に遠隔操作可能な除錆手段を設けた
鋼板壁面の除錆装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明の除錆装置は、自走式車両のブーム先端に水
平旋回自在に設けられた旋回ベースと、その旋回ベース
に水平から所定の仰角まで回動可能に設けられた第１の
回動部材と、その第１の回動部材に前後に進退自在に設
けられたスライドアームと、そのスライドアームの先端
に縦に首振り自在に設けられた第２の回動部材と、その
第２の回動部材に左右に首振り・横転自在に設けられた
第３の回動部材と、その第３の回動部材の先端に回転自
在に設けられた除錆ブラシとを備えて構成される。上記
ブーム、旋回ベース、各回動部材など各駆動部は自走式
車両の操縦室に設けた操作箱の操作ボタン操作やハンド
ル操作によって遠隔操作可能とする。

【０００６】

【作用】作業者は自走式車両の運転席に座り、鋼板壁の
所要箇所に除錆ブラシが適正に当接するように除錆装置
の各駆動部を遠隔操作する。この遠隔操作によりブーム
の伸縮、旋回ベースの回動、スライドアームの前後動、
第１、第２、第３の回動部材の回動などの各動作が選択
的に実行されて除錆ブラシが適正な作動姿勢で所定箇所
に位置付けられる。この状態で除錆ブラシを駆動し、自
走式車両を鋼板壁に沿って走行させつつ除錆作業を行
う。除錆ブラシの位置および姿勢を遠隔操作で様々に変
えることができるので、船側などの垂直な鋼板面のみな
らず船首、船尾などの曲面部に対しても除錆ブラシを適
正な作動姿勢で当接させて能率良く除錆作業を行うこと
ができ、除錆の際に生じる錆などの粉塵を作業員が被る
ことなく安全に作業を行うことができる。

【０００７】

【実施例】次に、この発明の一実施例について図面を用
いて説明する。

【０００８】図１はこの発明の除錆装置の全体を示す側
面図、図２は要部側面図、図３は要部平面図、図４は要
部正面図である。

【０００９】図１において１は自走式車両であり、自走
式車両１の上部には伸縮自在に構成されたブーム２が車
幅方向片側へ所定角度傾倒させて設けられ、そのブーム
２の先端に除錆機３が取り付けられている。除錆機３
は、ブーム２の先端部に固定された固定フレーム４の上
部に水平旋回自在（図３、矢印ＫＬ方向）に旋回ベース
５を設け、旋回ベース５の上部に水平から所定の仰角ま
で回動可能（矢印ＡＢ方向）に第１の回動部材６を設
け、第１の回動部材６に前後に進退自在（車幅方向、矢
印ＣＤ方向）にスライドアーム７を設け、スライドアー
ム７の先端に縦に首振り自在（矢印ＥＦ方向）に第２の
回動部材８を設け、第２の回動部材８に左右に首振り自
在（図３、矢印ＧＨ方向）且つ左右に横転自在（図４、
矢印ＩＪ方向）に第３の回動部材９を設け、第３の回動
部材９の先端に軸回転自在に除錆ブラシ１０を設けて概
略構成されている。

【００１０】旋回ベース５は、図２に示すようにその中
央下部に回転駆動軸１１を有し、この回転駆動軸１１が
固定フレーム４の上板中央部にベアリング１２を介して
回転自在に支持されている。旋回ベース５の駆動軸１１
先端部には大径の歯車１３が固定されており、この大径
の歯車１３が固定フレーム４の内部に縦置きに設けられ
たモータ１４の回転軸先端に固定された小径の歯車１５
と歯合して回転駆動されるようになっている。旋回ベー
ス５の下部には環状板１６が水平に固定されており、こ
の環状板１６を固定フレーム４上に設けた複数の押えロ
ーラ１７で上方から押えておくことで旋回ベース５のガ
タつきを防止している。この旋回ベース５の旋回角度は
１８０°であり、これにより除錆機３全体を自走式車両
１の前方向きから後方向きまで旋回可能としている。

【００１１】第１の回動部材６は、左右一対のブラケッ
ト１８と、両ブラケット１８間に掛渡すようにして四隅
に設けられたガイドローラ１９とで構成されている。こ
れらガイドローラ１９は、上下に設けられたローラ１９
ａ，１９ｂ間にスライドアーム７を挟んで前後に移動可
能に支持している。この場合、各ガイドローラ１９の中
心に設けられた固定軸２０は両ブラケット１８の連結部
材を兼ねている。この第１の回動部材６は、その両ブラ
ケット１８の後側下部に固設されたヒンジ部材２１を旋
回ベース５上に固設されたヒンジ部材２２にヒンジ接続
することで上下に回動可能に支持されており、このヒン
ジ部と一方のブラケット１８の先端側下部との間に掛渡
して設けられたエアシリンダ２５を伸縮させることで水
平から４５°の仰角まで自在に回動できるようになって
いる。この場合、エアシリンダ２５のシリンダ本体２６
の基端部２６ａはヒンジ部材２１，２２と共通のヒンジ
軸２７に回動可能に枢着され、ピストンロッド２８の先
端は一方のブラケット１８の下面に固定されたヒンジ部
材２９に回動可能に枢支されている。旋回ベース５の先
端近傍にはブラケット１８の先端下部に当接する支持ピ
ン２３が立設されており、第１の回動部材６を水平に支
持している。この支持ピン２３の先端部には緩衝部材２
４が取付けられている。

【００１２】スライドアーム７は、上述の如く第１の回
動部材６の両ブラケット１８の間に設けられて前後動可
能に支持されており、一方のブラケット１８の外側に取
付けられたエアシリンダ３０を伸縮させることによっ
て、自在に前後移動できるようになっている。この場
合、エアシリンダ３０のシリンダ本体３１はブラケット
１８に固定され、ピストンロッド３２の先端はスライド
アーム７先端の取付フランジ３３に設けられたヒンジ部
材３４に枢着されている。このエアシリンダ３０は、鋼
板壁５８に対して一定の押付力で除錆ブラシ１０を押付
けるために、シリンダの内圧が所定圧以上になると作動
空気を自動的にリリーフさせるリリーフ弁（図示せず）
を具備している。

【００１３】第２の回動部材８は、図３に示すように、
スライドアーム７の先端の取付フランジ３３に固定され
た取付ブラケット３５の左右のアーム部材３６に両側の
回転軸３９が軸支されて縦回転可能に設けられている。
一方の回転軸３９には本体がアーム部材３６に固定され
たロータリエアシリンダ３７の回転軸３８が連結されて
おり、このロータリエアシリンダ３７の駆動によって自
在に回動できるようになっている。この第２の回動部材
８の回動角度は水平状態から上下にそれぞれ最大４５°
である。

【００１４】第３の回動部材９は、図２に示すように第
２の回動部材８に設けられた駆動軸４０の先端に固定さ
れて回動自在に支持されており、その上下のアーム９
ａ，９ｂでロール状の除錆ブラシ１０を軸回転自在に支
持している。駆動軸４０は、Ｕ字状の前後のジョイント
部材４１，４２を十字ピン４３の直交する２つの回転軸
に各々回転可能に連結してなる自由継手構造を有し、軸
回転および屈曲可能に構成されている。第３の回動部材
９に固着されている前側ジョイント部材４１の回転軸４
５は第２の回動部材８の先端壁に開口された横長の長孔
４７に挿通されて左右に揺動かつ軸回転可能に支持さ
れ、他方、後側ジョイント部材４２の回転軸４６は第２
の回動部材８の後端壁に設けられた軸受４８によって軸
回転のみ可能に支持されている。後側ジョイント部材４
２の回転軸４６には本体が第２の回動部材８に固定され
たロータリエアシリンダ４４の駆動軸４９が接続されて
おり、このロータリエアシリンダ４４の駆動によって第
３の回動部材９を左右横転方向に自在に回動させること
ができるようになっている。また、十字ピン４３の前側
ジョイント部材４１が連結されている方の回転軸には本
体が前側ジョイント部材４１に固定されたロータリエア
シリンダ５０の駆動軸が連結されており、このロータリ
エアシリンダ５０の駆動によって第３の回動部材９を左
右首振り方向に自在に回動させることができるようにな
っている。この第３の回動部材９の首振り角度および横
転角度は左右方向にそれぞれ最大４５°である。

【００１５】第３の回動部材９の後側下端部には除錆ブ
ラシ１０を駆動させるためのモータ５１が取り付けられ
ている。このモータ５１の駆動軸５２に設けられたプー
リ５３と除錆ブラシ１０の駆動軸５４に設けられたプー
リ５５には環状のベルト５６が掛け渡されており、モー
タ５１の駆動により除錆ブラシ１０を所定の回転速度で
回転させるようになっている。また、第３の回動部材９
には、図１および図４に示すように除錆ブラシ１０を取
囲むようにして枠体５７が取付けられている。この枠体
５７の前側四箇所には、除錆ブラシ１０が鋼板壁５８に
対して一定圧を超えて押し付けられたときに鋼板壁５８
に当接する押付ガイド５９が設けられている。

【００１６】以上説明した除錆機３の各駆動部およびブ
ーム２は、自走式車両１の操縦室６０に設置された操作
箱６１の所定のボタンやハンドルを選択操作することで
各々独立して遠隔操作できるようになっている。

【００１７】作業者は運転席に座り、除錆機３の動きを
見ながら鋼板壁５８の所要箇所に除錆ブラシ１０が適性
に当接するように操作箱６１を操作する。この遠隔操作
によりブーム２の伸び縮み、旋回ベース５の回動、スラ
イドアーム７の前後動、第１、第２、第３の回動部材
６，８，９の回動などの各動作が実行されて除錆ブラシ
１０が適正な作動姿勢で所定箇所に位置付けられ、その
状態で除錆ブラシ１０が回転駆動されて除錆作業が行わ
れる。

【００１８】例えば、船側などの垂直な鋼板壁５８を除
錆する場合には、自走式車両１を船体の傍らに並行に配
置し、除錆機３全体を回動させて除錆ブラシ１０を船体
側に向け、ブーム２の長さを調節して除錆機３を所定の
高さに位置決めし、除錆ブラシ１０を垂直にした状態で
スライドアーム７を前進させて鋼板壁５８に当接させ、
その状態で除錆ブラシ１０を駆動させ、自走式車両１を
船体と並行に所定の速度で走行させて除錆作業を行な
う。この一回の走行動作による除錆作業により除錆ブラ
シ１０の長さを幅とする帯状の範囲が除錆されるので、
一段分の除錆が終了する度に除錆ブラシ１０の高さを変
えて同様の動作を繰り返すことで垂直部分全体を除錆す
ることができる。また、船首や船尾など、船側と三次元
的に連続した曲面部を除錆する場合には、第１、第２、
第３の回動部材６，８，９を選択的に作動させ、曲面部
の傾きに除錆ブラシ１０の傾きを合わせて除錆作業を行
う。このような曲面部の除錆作業を行う場合にも、自走
式車両１自体は旋回させることなく旋回ベース５の作動
により除錆機３全体を回動させることで容易に走行が可
能である。

【００１９】

【発明の効果】以上要するにこの発明によれば、ブー
ム、旋回ベース、第１の回動部材、スライドアーム、第
２の回動部材および第３の回動部材を選択的に作動させ
ることで、除錆ブラシの位置および姿勢を様々に変える
ことができるので、船側などの垂直な鋼板面のみならず
船首、船尾などの曲面部に対しても除錆ブラシを適正な
作動姿勢で当接させて能率良く除錆作業を行うことがで
きる。遠隔操作で除錆作業が行えるので、除錆の際に生
じる錆などの粉塵を作業員が被ることなく安全に作業を
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の除錆装置を示す側面図である。

【図２】同要部拡大図である。

【図３】同要部平面図である。

【図４】同要部正面図である。

【符号の説明】

１ 自走式車両 ２ ブーム ３ 除錆機 ４ 固定フレーム ５ 旋回ベース ６ 第１の回動部材 ７ スライドアーム ８ 第２の回動部材 ９ 第３の回動部材 １０ 除錆ブラシ ５８ 鋼板壁 ６０ 操縦室 ６１ 操作箱

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西原 義朗 広島県呉市昭和町２番１号 石川島播磨重 工業株式会社呉第一工場内 (72)発明者 沖元 忠 広島県呉市昭和町２番１号 石川島播磨重 工業株式会社呉第一工場内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船側等の垂直な壁面及びその垂直な壁面
   に三次元的に連続した壁面に除錆処理を施すための装置
   において、自走式車両のブーム先端に水平旋回自在に設
   けられた旋回ベースと、その旋回ベ−スに水平から所定
   の仰角まで回動可能に設けられた第１の回動部材と、そ
   の第１の回動部材に前後に進退自在に設けられたスライ
   ドアームと、そのスライドアームの先端に縦に首振り自
   在に設けられた第２の回動部材と、その第２の回動部材
   に左右に首振り・横転自在に設けられた第３の回動部材
   と、その第３の回動部材の先端に回転自在に設けられた
   除錆ブラシとを備えたことを特徴とする鋼板壁面の除錆
   装置。