JPH06180094A - 推進工法用加泥材 - Google Patents

推進工法用加泥材

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JPH06180094A
JPH06180094A JP35406792A JP35406792A JPH06180094A JP H06180094 A JPH06180094 A JP H06180094A JP 35406792 A JP35406792 A JP 35406792A JP 35406792 A JP35406792 A JP 35406792A JP H06180094 A JPH06180094 A JP H06180094A
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博 石渡
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幸弘 秋岡
Mamoru Kitajima
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MOTOOKA TSUSHO KK
Kuraray Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】吸水倍率が異なる2種以上の高吸水性樹脂及び
増粘剤を水に分散せしめてなる推進工法用加泥材であ
る。また、高吸水性樹脂の形態としては吸水倍率が最も
低い高吸水性樹脂が球状粒子であり、吸水倍率が高い高
吸水性樹脂が粉末状である場合がより好ましい。 【効果】本発明の加泥材は、小口径管推進工法及びセミ
シールド推進工法に適した特性を持ち、主成分として吸
水倍率が異なる2種以上の高吸水性樹脂を組み合わせて
使用することにより、著しく止水性を高めた点に特徴が
ある。また、掘削土砂の搬出時の流動性・搬出後の排土
の固化性も優れているため、含水量が高い砂礫層も含め
て広範囲な地層にも適応出来る機能を持っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主として小口径管推進工
法及びセミシールド推進工法に使用する加泥材に関する
もので、更に詳しく述べると、土砂を切削する場合切羽
に注入して切削を容易にし、更に土砂に止水性、適度な
流動性及び揺変性を付与するために使用するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、小口径管推進工法及びセミシ
ールド推進工法に使用される加泥材としては、主として
ベントナイト等を水に分散させ更に増粘剤等を配合した
懸濁液、或いは水で膨潤させた高吸水性樹脂及び、増粘
剤の分散液等が多く使用されている。
【0003】しかし、ベントナイトは産業廃棄物に指定
されている物質であり、ベントナイトを含む加泥材を使
用した場合には掘削排土の処分等についても特別な処置
が必要となる他、将来の環境保護の見地からも好ましく
ない。また、ベントナイトを主成分とした加泥材は土と
混合された場合排土が困難になることがある。また、排
土の後処理すなわち、脱水・固化等に支障を来す事態も
しばしば発生している。
【0004】更に、ベントナイトは膨潤するのに長時間
を要するため加泥材の調整時間が長く、従って所定の粘
性を有する調整液を確保するためには、多量の加泥材を
貯蔵する設備が必要となる等の問題がある。
【0005】また、水で膨潤させた高吸水性樹脂の分散
液を使用する場合には、樹脂が既に吸水しているため帯
水砂礫層の様な出水量が多い地層に遭遇した場合には、
切羽の出水を吸収する能力が不足して、充分な止水が出
来ず切羽の崩壊が起こったり、または加泥材の粘度が低
下して掘削土の細粒分のみ流失させるため、その他の掘
削土の塑性流動性が低下して、土砂の搬出が困難になる
ことがあった。
【0006】今迄に開示されている加泥材としては、例
えば、特開昭54-79908号公報及び特開昭55-75488号公報
には、推進工法用の泥漿剤として高吸水性ヒドロゲルの
水分散液と鉱物質、有機質糊料、界面活性剤および油類
の混合物がある。しかし、ここに記載されている高吸水
性ヒドロゲルは不定形で水を加えて膨潤させると、圧力
に対する抵抗性が低く、前述の水とベントナイトを主要
構成材とする加泥材と同様な欠点があって、加泥材の効
果が尚不充分である。
【0007】更に、特開昭58-27774号公報にはこれらの
欠点を解消するため、球状高吸水性樹脂を泥漿材の一成
分として用いる方法が提案されている。しかし、水を加
えて懸濁液を調製する際、しばしばママコ状になって、
使用不能になる事故が発生することが指摘されていた。
【0008】また、特開平4-185691号公報には土砂掘削
時の止水性及び流動性を高める目的で、粒径0.01以下及
び0.05以上の高吸水性樹脂及び分散安定剤を油類中に分
散させた加泥材が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】推進工法用の加泥材と
してベントナイトは環境上の問題があるため、高吸水性
樹脂を主成分とした調整液を指向した。近年小口径管推
進工法の普及により広範囲な構造の地盤に適用される情
勢を考慮して、特に土砂切削時に遭遇する多量の出水も
含めた大幅な土砂の含水量変化にも対処可能な加泥材を
対象とした。このため従来使用されていた加泥材より著
しく大きな吸水容量を付与することにより、止水性を高
めまた排土の流動性及び揺変性も向上させて、広範囲な
地層に適用出来る小口径管推進工法及びセミシールド推
進工法に適した加泥材を開発・提供しようとするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】推進工法により地盤を掘
削する場合、切削土砂の含水量は絶えず変化し帯水砂礫
層に遭遇した様な場合には急に多量の出水、いわゆる噴
発水が発生することがしばしば起こり、掘削上とくに大
きな障害となっている。一般に高吸水性樹脂を主成分と
した加泥材を使用している場合、加泥材に含まれている
樹脂は既に相当水を吸収して膨潤した状態になってい
る。このため多量の出水が起こった時には吸水能力が不
足して、充分な止水が出来ず切羽の崩壊、加泥材の粘度
が低下により細粒分のみ流失して残土の排出が困難にな
る等のトラブルが発生する点に注目した。このため出水
量が大幅に変動した場合にも、加泥材が充分な吸水能力
を保持出来る加泥材の組成について研究した。その結
果、吸水倍率及び吸水速度が異なる2種以上の高吸水性
樹脂と増粘剤を共存させることにより、吸水倍率が高い
樹脂は相当吸水した状態になっていても、吸水倍率の低
い樹脂は尚吸水率が抑制された状態に保持することが出
来る組成を見出した。この吸水能力の余裕を利用して切
羽における止水性を高め、加泥材の希薄化を防止し、更
に高吸水性樹脂ゲルの揺変性により切削土の流動性と、
取出後の排土の固化性を高め得るとの知見に基づいて、
本発明に到達した。
【0011】すなわち、吸水倍率が異なる2種以上の高
吸水性樹脂及び増粘剤を水に分散せしめてなる推進工法
用加泥材である。また、高吸水性樹脂の形態としては吸
水倍率が最も低い高吸水性樹脂が球状粒子であり、吸水
倍率が高い高吸水性樹脂が粉末状または球状である場合
がより好ましい。
【0012】以下本発明について詳しく説明する。
【0013】本発明の加泥材は主として小口径管推進工
法及び、セミシールド推進工法に使用されるものであ
る。小口径管推進工法とは、通常は比較的深度が浅い地
下に直径800mm 以下のヒューム管等の配管を掘削・推進
することにより、直接敷設する工法である。また、セミ
シールド推進工法とは、直径約800 〜2000mmの配管を同
様に地下を掘削・推進して敷設する工法で、主として数
m 〜100m程度の長さの下水管の敷設等に使用されてい
る。推進管の先端にはディスクカッター等の切削具を装
備した先導部が取り付けられ、回転しながら一定口径の
円筒形の切羽を作り先導部に接続したヒューム管等を推
進・挿入してゆく。掘削した土砂は掘削管の内部に取り
入れられ、スクリューコンベヤー等で推進管の内部を通
って搬出される。
【0014】加泥材は地上で調整され推進管の内部を通
って先導部に輸送されて、先端から切羽に注入され、粘
稠な液による潤滑作用により切羽の掘削を容易にすると
共に先導体の推進を容易にする作用を有する。加泥材は
更に掘削管の内部に取り入れられ掘削土にも注入・混合
され、掘削土に適度な流動性及び揺変性を付与するため
に使用される。
【0015】尚この際、掘削土砂は通常スクリューコン
ベヤーにより推進管の内部を通って排出されるが、スク
リューコンベヤーの中間にコンベヤーの流量を任意に制
御出来る絞り機構を設けて、切削部と絞り機構間のゾー
ンで切削土砂と加泥材を充分に混和出来る機能を有する
掘削推進機があり、加泥材の機能を発揮させるためによ
り好ましい。
【0016】本発明の加泥材は吸水倍率が異なる2種以
上の高吸水性樹脂を含有する必要がある。ここで、高吸
水性樹脂とは、水と接触させた場合水には溶解せず、膨
潤してゲル状になって極めて多量の水を保持する性質を
持ち、乾燥状態の重量の100〜1,000 倍の水を保持する
能力を有する樹脂を言う。従来から典型的な吸水性物質
として知られているスポンジ或いはパルプ等は、その乾
燥重量の数倍〜10数倍程度迄しか吸水せず、且つ絞ると
簡単に水を分離する性質がある。高吸水性樹脂はこれ等
の物質に比較して著しく多量の水を吸収し、且つ絞って
も極く一部の水を分離するのみである。これはスポンジ
等が毛細管現象により吸水するのに対し、高吸水性樹脂
は水が浸透圧によりゲル内部に浸透し、吸収された水分
が膨潤したゲルの状態で保持されるためと考えられる。
【0017】本発明に使用する高吸水性樹脂は、このよ
うな性質を有する樹脂であれば、特に限定しない。この
ような性質を有する樹脂はいずれも3次元結合を有する
ポリマーであるが、合成ポリマー、半合成ポリマー、天
然ポリマーを問わず広く使用出来る。例えば、架橋ポリ
アクリル酸ソーダ、酢酸ビニル−マレイン酸メチル共重
合体ケン化物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体、デンプン−アク
リロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−
アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アク
リル酸エステル共重合体のケン化物、イソブチレン−無
水マレイン酸共重合体の中和物、ポリビニルアルコール
架橋物、ポリエチレンオキサイド架橋物、アクリロニト
リル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分
解物、またはこれらの架橋体、逆相懸濁重合によって得
られた自己架橋型ポリアクリル酸部分中和物架橋体など
である。
【0018】本発明ではこれらの高吸水性樹脂の中、吸
水倍率が異なる少なくとも2種類の樹脂を使用する必要
がある。吸水倍率の差異は特に限定しないが、例えば、
2種類の高吸水性樹脂を使用する場合、樹脂の乾燥重量
に対する吸水倍率がそれぞれ400 倍(イソブチレン−無
水マレイン酸共重合体の中和物)と800 倍(架橋ポリア
クリル酸ソーダ)、或いは、400 倍と1,000 倍(澱粉−
アクリル酸グラフト重合体)、500 倍(イソブチレン−
無水マレイン酸共重合体の中和物)と1,000 倍の様にか
なり隔たっている組合せが好ましい。また、高吸水性樹
脂の吸水速度は一般に吸水倍率が高い程高くなる性質が
あるから、この組成は吸水速度が異なる高吸水性樹脂の
組合せとして把握することも出来る。
【0019】また、樹脂の形状は粉末状でも鱗片状でも
球状でも使用出来るが、球状樹脂は回転により流動性を
高めるいわゆるベアリング効果を有するためより好まし
く、特に、吸水倍率が低く吸水速度が遅い樹脂は吸水倍
率が高い樹脂に較べて、機械的強度も大きいためベアリ
ング効果が高くより好ましい。
【0020】吸水倍率は或る程度以上高いものが好まし
いが、高過ぎると生成したゲルの機械的性質が著しく低
下するため、通常の使用法では200 〜1,000 倍が好まし
く、また粒度も広範囲で使用可能であるが、18〜120 メ
ッシュが実用上好ましい。
【0021】本発明の加泥材に含まれる増粘剤は特に限
定せず、増粘効果を有する物質は広範囲に使用出来る
が、顕著な効果が認められる増粘剤としては、ポリアク
リル酸ソーダ及びポリアクリルアミド、カルボキシメチ
ルセルローズナトリウム、カルボキシメチルセルローズ
カルシウム、メチルセルローズ、デンプングリコール酸
ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、アル
ギン酸ナトリウムが挙げられる。その他天然物としてグ
アガム、キサンタンガム、ウエランガム等を使用しても
効果的である。
【0022】これらの化合物はいずれも粘性が高い物質
で加泥材の粘度を高めるために添加され、これが増粘剤
を添加する主な目的であることは言うまでもない。しか
し、前記の化合物中には高分子電解質が多く含まれ、高
分子電解質は水溶液中で生成したイオンにより浸透圧を
低下させる作用がある。従って、高分子電解質の溶液中
では吸水倍率が高く、吸水速度が速い高吸水性樹脂の吸
水膨潤性に較べて、吸水倍率が低く、吸水速度が遅い高
吸水性樹脂の吸水膨潤性は高分子電解質を含まない溶液
中に較べてかなり低下する。
【0023】従って、地山から多量の水が出た場合、そ
の水には一般に電解質は殆ど含まれていないため浸透圧
が高く、従って加泥材中の高吸水性樹脂に接触すると、
樹脂を一層膨潤させる作用がある。特に、吸水倍率が低
く、吸水速度が遅い高吸水性樹脂の膨潤の度合いが大き
いため、出水を抑制する効果があり、切羽の崩落や加泥
材の粘度低下により、切削土砂の搬出が困難になること
を防止する効果もある。本発明の加泥材に含まれる増粘
剤には、この様な作用も含まれていると考えられる。
【0024】掘削時一般に地山から或る程度の出水があ
るが、その場合水はより大きな吸水余裕を有する、吸水
倍率が低い高吸水性樹脂に吸収されることにより、加泥
材の粘性が保持され、また、球形の形状によるベアリン
グ効果が発揮される。換言すれば吸水倍率が高い樹脂の
共存により、吸水倍率が低い樹脂の効果が一層発揮され
る組成になっている。
【0025】本発明の加泥材を調製するには、先ず溶解
槽で増粘剤であるポリアクリル酸ソーダ及びポリアクリ
ルアミド、カルボキシメチルセルローズナトリウム、カ
ルボキシメチルセルローズカルシウム、メチルセルロー
ズ、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸
エステルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン
酸プロピレングリコールエステル等の一つまたは複数の
成分を所定の濃度に溶解して粘稠な溶液を調製した後、
吸水倍率が高い高吸水性樹脂、吸水倍率が低い高吸水性
樹脂の順に溶解槽に加えて、樹脂を膨潤させることが好
ましい。この調整法によれば、水は高吸水性樹脂により
殆ど吸収された状態で吸水倍率が低い樹脂が混合される
ことになるため、吸水倍率が低い樹脂の吸水は著しく抑
制されて、加泥材中に分散された状態で保持することも
可能となり、従って、吸水倍率が異なる2種類の趣旨を
使用することにより、加泥材に著しく大きな吸水余裕を
付与することが出来るからである。また、2種類以上の
高吸水性樹脂を使用した場合も同様である。
【0026】尚、本発明の加泥材は調整に要する時間が
数分程度であるから、工事現場で調整しながら使用する
ことが可能である。従って、吸水倍率が低く吸水速度が
遅い高吸水性樹脂は、吸水しつつある過渡期に切羽から
注入する様なタイミングで使用することも可能であり、
この様な使用法によれば加泥材の吸水余裕を更に大きく
することが出来る。
【0027】また、前記の様に本発明の加泥材は調整し
ながら同時に使用することが可能であるから、地山から
噴発水の様に多量の水が一時に出た場合には、一時的に
調整槽に多量の高吸水性樹脂または増粘剤等の加泥材の
成分を後添加することにより、通常の組成よりも著しく
吸水能力及び止水性を高めた加泥材を切羽及び加泥材と
掘削土を混合させるゾーンに加えて、応急的に極めて強
力な止水効果を発揮させることが出来る。
【0028】
【作用】本発明で使用する吸水性樹脂は、掘削土砂の流
動性を改良するための吸水倍率が低く吸水速度が遅い球
状樹脂粉末と、吸水倍率が大きく吸水速度の早い吸水性
樹脂粉末の組合せが好ましい。吸水性樹脂を予め膨潤さ
せてゲルとする時、先ず吸水倍率が大きく吸水速度の早
い樹脂の粉末が大部分の水を吸収してゲルとなり、吸水
速度が遅い球状樹脂粉末の吸水量を抑制もしくは遅延さ
せた状態になる。この様な加泥材がカッターヘッドより
切羽に注入された場合、加泥材中に存在する吸水速度が
遅い吸水性樹脂が吸水膨潤して、掘削土砂中の過剰な自
由水を吸収することになる。このため、掘削土砂は常に
適度な含水量に調節されて、土砂に良好な流動性を付与
することが出来る。
【0029】また、帯水砂礫層に遭遇した場合には、切
羽の出水を吸収して切羽の崩壊を防ぎ、または加泥材の
粘度の低下により、土砂の細粒分のみ先に流され、残土
の搬出が困難になることを防止出来る。要すれば更に、
高吸水性樹脂の吸水余裕を高めるためには、予め吸水性
抑制に顕著な効果がある食塩等中性塩類を微量加えてお
き、多量の水を含む土砂に注入された時、膨潤を抑制し
ていた中性塩類が洗い流されて、吸水能力を急速に回復
する様な組成で使用することも可能である。
【0030】含水量が適度な掘削土砂を加泥材と混合す
れば、スクリューコンベヤーの翼で加えられる外力によ
る高吸水性樹脂ゲルの揺変性(シクソトロピー)によ
り、流動性が高まって土砂の排出が容易となり、応力が
かからない排出後の土砂はゲル構造が再び形成されて固
化するため排土の処理が容易になる。
【0031】また、本発明の加泥材の構成材料として使
用する1種または2種以上の増粘剤の配合割合は、掘削
対象地盤の土質、水圧、水量及び施工機種などの条件に
応じて適宜その配合を決定することが出来る。
【0032】本発明の加泥材は、各種構成材料を予め配
合済みの1粉体型製品として現場供給するほか、現場条
件の変化に合わせ構成材料を後添加する事も可能であ
る。
【0033】加泥材を調整する場合、先ずポリアクリル
酸ソーダ、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセル
ローズ等の増粘剤を、所定量の水に溶解して粘稠な溶液
を調製した後、高吸水性樹脂をその溶液中に分散・懸濁
させることが好ましい。この様にして高吸水性樹脂を粘
稠な溶液に分散させた場合には、高吸水性樹脂の吸水量
が抑制される。またその際、吸水倍率が低い樹脂を後か
ら添加すればその抑制効果は一層顕著である。このた
め、加泥材が含水率の高い土砂層や地下水が流れている
砂礫層の切羽に注入されて多量の地下水に接触しても、
尚相当大きな吸水能力を保持しているため、充分な止水
効果を示すものと考えられる。
【0034】尚、本発明の加泥材は工事現場で調整しな
がら使用されることが多いから、工事中地山から噴発水
の様に多量の水が一時に出た場合には、一時的に加泥材
調整槽に更に多量の高吸水性樹脂または増粘剤等の加泥
材の成分を後添加することにより、通常の組成よりも著
しく吸水能力及び止水性を高めた加泥材を切羽及び加泥
材と掘削土を混合させるゾーンに加えることが出来る。
この処置により応急的に極めて強力な止水効果を発揮さ
せ、切羽の崩壊を防止することも出来る。
【0035】一方、ポリアクリル酸ソーダ等の増粘剤
と、高吸水性樹脂を同時に調製槽中に投入して水に溶解
した場合には、高吸水性樹脂が加泥材を調製する過程で
ほぼ飽和吸水量近くまで吸水する。従って、切羽に注入
されて地下水に接触した時には、吸水能力の余裕が乏し
くなっているために、充分な止水効果が得られないと考
えられる。
【0036】本発明で使用する高吸水性樹脂は、掘削土
砂の塑性流動性を改良する為の球状粉末樹脂と、吸水倍
率が大きくまた吸水速度の早い粉末状または球状樹脂の
組合せが適している。高吸水性樹脂を予め吸水膨潤させ
ゲルとする時、吸水倍率が大きく吸水速度の早い方の粉
末または球状樹脂が加泥材としてのゲルを構成し、吸水
速度の遅い方の球状樹脂の吸水量を低減もしくは遅延さ
せた状態で、カッターヘッドより注入される。これによ
って、吸水速度の遅い樹脂が吸水膨潤を開始し、掘削土
砂中の自由水を吸収し、掘削土砂の止水性及び塑性流動
化を著しく改良することになる。また、本発明の加泥材
の構成材料として使用する増粘剤の種類及び配合割合
は、掘削対象地盤の土質、水圧、水量及び施工機種など
の条件に応じて適宜その配合を決定することが出来る。
【0037】本発明の加泥材は、各種構成材料をあらか
じめ配合しておく1粉体型製品として現場供給するほ
か、現場条件の変化に合わせ構成材料を後添加する事も
可能であり、あらゆる現場の要求を満たす事が出来る。
【0038】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。
【0039】(実施例1)増粘剤として、水溶性ポリア
クリル酸ソーダ0.2gを水400ml に溶解した後、吸水倍率
1,000 倍の澱粉・アクリル酸共重合系高吸水性樹脂粉末
(三洋化成(株)製「サンウェット IM 1000」) 0.8gを
加えて充分に膨潤させ、次に吸水能力400倍のイソブチ
レン−マレイン酸系高吸水性樹脂 (クラレケミカル
(株) 製「アクアビーズ-S」) 2gを加えて攪拌・分散し
た。この分散液はスラリー状であり、充分配管輸送でき
るものであった。
【0040】また、25℃における粘度はブロックフィー
ルド型粘度計で10,000cpであった。12時間経過後の粘度
は、調整直後の粘度と同じであった。尚、ここで吸水倍
率とは、常温における樹脂の乾燥重量に対する飽和吸水
時の重量比で表示したものである。
【0041】この液状物に更に水200ml を加えて攪拌し
ても、遊離水を生じることなく、高い吸水能力を保持し
ていることが認められた。
【0042】また前記で得られた加泥材を、実際に切削
する土砂の試料として、シルト層、粘土層、含水砂礫
層、多量の水を含む玉石混合砂礫層と混合して、自由水
の吸収能力、揺動性(チクソトロピー)による外力を加
えた場合の流動性、応力を除いた場合の固化性を調べた
が、加泥材として良好な性質を有することが認められ
た。
【0043】(実施例2)水 200リットルに、増粘剤と
して水溶性ポリアクリル酸ソーダー0.05 Kg 及びCMC 0.
05 Kg を加え、次に高吸水性樹脂として、吸水倍率1,00
0 倍のポリアクリル酸系球状高吸水性樹 (三菱油化
(株) 製「ダイヤウエットUS・50」) 0.4 Kgを加え、更
に、吸水倍率 400 倍のイソブチレン−マレイン酸系球
状高吸水性樹脂(クラレケミカル(株)製「アクアビー
ズ-S」)を1 Kgを加えて水中によく分散させて加泥材を
調製した。粘度は常温で9,000cp であった。
【0044】前記で得られた加泥材を、小口径管推進工
法(コマツアイアンモール TP-90S使用) により、含水
量が多い玉石混合砂礫層に、口径500mm 、長さ60m のヒ
ューム管の敷設工事に使用した。工事中の出水量は相当
多かったが、止水性が優れ、また掘削土砂の搬出時の流
動性・搬出後の排土の固化性も良好であることが認めら
れた。
【0045】特にこの掘削推進機は先導部先端のディス
クカッターによる切削部と土砂排出用スクリュウコンベ
ヤーより構成されており、スクリューコンベヤーの切羽
側にはピンチ弁が設けられているため、一時的に多量の
出水があった場合にも加泥材の止水能力と推進機先導部
に設けられている調整部分 (プラムゾーン) の機能を失
うことがないので、容易に止水出来、切羽の崩壊も全く
認められなかった。
【0046】(実施例3)水 200リットルに、増粘剤と
して、水溶性ポリアクリル酸ソーダ0.05 Kg 及び変成ポ
リビニルアルコール( (株) クラレ製「PVA -2250 」)
0.15 Kg を加え、次に高吸水性樹脂として、吸水倍率 8
00倍のポリアクリル酸系高吸水性樹脂 (三菱油化 (株)
製「ダイヤウエットI-250H」) 0.4 Kg 、更に吸水倍率
400倍のイソブチレン−マレイン酸系球状高吸水性樹脂
(クラレケミカル(株)製「アクアビーズ-S」)を0.9
Kgを加えて水中によく分散させて加泥材を調製した。粘
度は常温で9,000cp であった。
【0047】前記で得られた加泥材を、中口径管推進工
法(コマツ削土密封セミシールド推進機)により、含水
砂礫層に、口径1500mm、長さ80m のヒューム管の敷設工
事に使用した。工事中かなりの出水があったが、止水性
が優れ、また掘削土砂の搬出時の流動性・搬出後の排土
の固化性も良好であることが認められた。
【0048】(比較例1)水 200リットルに、増粘剤と
して、水溶性ポリアクリル酸ソーダ 0.1 Kg を加え、次
に高吸水性樹脂として吸水倍率 200倍のイソブチレン−
マレイン酸系高吸水性樹脂(クラレケミカル(株)製
「アクアビーズ#200 8/32L」)2.9 Kgを加えて水中に
よく分散させて加泥材を調製した。粘度は常温で9,000c
p であった。
【0049】この加泥材を実施例1の推進工事に使用し
た。その結果、止水性が不十分で場所によっては切羽が
部分的に崩れる兆候があり、また、掘削土砂の細粒分の
みが流出することが度々発生して、掘削土砂排出コンベ
ヤーが過負荷となることが数回あった。
【0050】
【発明の効果】本発明の加泥材は、小口径管推進工法及
びセミシールド推進工法に適した特性を持ち、主成分と
して吸水倍率が異なる2種以上の高吸水性樹脂を組み合
わせて使用することにより、著しく止水性を高めた点に
特徴がある。また、掘削土砂の搬出時の流動性・搬出後
の排土の固化性も優れているため、含水量が高い砂礫層
も含めて広範囲な地層にも適応出来る機能を持ってい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石渡 博 東京都港区赤坂二丁目3番6号 株式会社 小松製作所内 (72)発明者 秋岡 幸弘 東京都台東区浅草橋5丁目2番3号 鈴和 ビル 本岡通商株式会社内 (72)発明者 北島 衛 岡山県岡山市福島3丁目12−40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水倍率が異なる2種以上の高吸水性樹
    脂及び増粘剤を水に分散せしめてなる推進工法用加泥
    材。
  2. 【請求項2】 吸水倍率が最も低い高吸水性樹脂が球状
    粒子であり、吸水倍率が高い高吸水性樹脂が粉末状また
    は球状である請求項1記載の推進工法用加泥材。
  3. 【請求項3】 増粘剤が、ポリアクリル酸ソーダ及びポ
    リアクリルアミド、カルボキシメチルセルローズナトリ
    ウム、カルボキシメチルセルローズカルシウム、メチル
    セルローズ、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプ
    ンリン酸エステルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、
    アルギン酸プロピレングリコールエステルからなる群よ
    り選ばれた少なくとも1つの成分である請求項1及び2
    記載の推進工法用加泥材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002136587A (ja) * 2000-11-02 2002-05-14 Lion Corp 分散補助剤及び皮膚外用粘着剤組成物
JP2003020475A (ja) * 2001-07-10 2003-01-24 Kansai Paint Co Ltd 液状物の固化剤
JP2003020474A (ja) * 2001-07-10 2003-01-24 Kansai Paint Co Ltd 液状物の固化剤

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