JPH0617946U - プリンタのヘッドギャップ調整機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘッドギャップ調整に伴うプラテンと印字ヘ
ッドの上下方向の位置ズレを解消したプリンタのヘッド
ギャップ調整機構を提供する。 【構成】 両端に偏心軸部１２が設けられたメインシャ
フト１１と、メインシャフト１１にスライド自在に支持
されたキャリッジ１３と、キャリッジ１３上にプラテン
１４と対向する状態で搭載された印字ヘッド１５と、メ
インシャフト１１の両端を支持するサイドフレーム１７
とを具備し、メインシャフト１１を所定方向に回転させ
ることで印字ヘッド１５とプラテン１４との間隙を調整
可能としたプリンタのヘッドギャップ調整機構であっ
て、そのサイドフレーム１７に、メインシャフト１１を
前後動可能に案内支持する上下一対のガイド辺１８と、
メインシャフト１１の偏心軸部１２を上下動可能に案内
支持するガイド溝１９とを設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、印字処理に際して印字ヘッドとプラテンとの間に確保される、所謂 ヘッドギャップを調整するためのプリンタのヘッドギャップ調整機構に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

図６は従来プリンタのヘッドギャップ調整機構を示す分解斜視図であり、図７ はその要部を説明する図である。 図示したプリンタ５０において、５１はプラテン、５２は印字ヘッド、５３は キャリッジ、５４はメインシャフト、５５はガイドレール、５６はサイドフレー ムである。 メインシャフト５４の両端にはそれぞれ偏心軸部５７が設けられている。各偏 心軸部５７はサイドフレーム５６に明けられた孔５８に嵌挿され、これによりメ インシャフト５４の両端がサイドフレーム５６に支持されている。また、一方の 偏心軸部５７の先端には調整レバー５９が取り付けられる。この調整レバー５９ の位置は、例えば５段階に刻まれたレンジ目盛６０を照準にセットされる。

【０００３】 続いて、従来プリンタ５０のヘッドギャップ調整動作について説明する。 まず、調整レバー５９の位置をレンジ３（中間）にセットした状態（図８参照 ）では、プラテン５１と印字ヘッド５２との間にレンジ３に対応するヘッドギャ ップＧ１が確保される。

【０００４】 この状態から調整レバー５９の位置をレンジ１にセットすると、メインシャフ ト５４はＡ矢視方向（図９参照）に回転しながらプラテン５１側に接近する。こ れにより、プラテン５１と印字ヘッド５２との間には、上述のレンジ３の場合よ りも小さいヘッドギャップＧ２（＜Ｇ１）が確保される。

【０００５】 一方、調整レバー５９の位置をレンジ５にセットすると、メインシャフト５４ はＢ矢視方向（図１０参照）に回転しながらプラテン５１から離反する。これに より、プラテン５１と印字ヘッド５２との間には、上述のレンジ３の場合よりも 大きいヘッドギャップＧ３（＞Ｇ１）が確保される。 このように従来のプリンタ５０では、調整レバー５９を介してメインシャフト ５４を所定方向に回転させることにより、各種の印字媒体の厚さに適したヘッド ギャップの調整を可能としている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記従来のヘッドギャップ調整機構においては、偏心軸部５７の 位置がサイドフレーム５６に固定された状態でメインシャフト５４全体が回転さ せられるため、ヘッドギャップを調整する際には偏心軸部５７の偏心量だけメイ ンシャフト５４が上下動して、プラテン５１と印字ヘッド５２との間に上下方向 の位置ズレΔｈ（図９、図１０）が生じる。そしてこの位置ズレΔｈによりプラ テン５１上の印字媒体（不図示）と印字ヘッド５２との対向状態に狂いが生じ、 これが印字品位のバラツキの発生、更には印字品位を低下させる原因となってい た。 この対応策としては、メインシャフト５４に対する偏心軸部５７の偏心量を大 きくしてシャフトの回転範囲を狭めるか、或いは現行のヘッドギャップ調整範囲 を縮小するなどの方法が考えられるが、いずれの場合も装置構成や使用上の制約 があり、得策とは言えなかった。

【０００７】 本考案は、上記問題を解決するためになされたもので、ヘッドギャップ調整に 伴うプラテンと印字ヘッドの上下方向の位置ズレを解消したプリンタのヘッドギ ャップ調整機構を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するためになされたもので、両端に偏心軸部が設け られたメインシャフトと、このメインシャフトにスライド自在に支持されたキャ リッジと、このキャリッジ上にプラテンと対向する状態で搭載された印字ヘッド と、メインシャフトの両端を支持するサイドフレームとを具備し、メインシャフ トを所定方向に回転させることで印字ヘッドとプラテンとの間隙を調整可能とし たプリンタのヘッドギャップ調整機構において、上記サイドフレームに、メイン シャフトを前後動可能に案内支持する上下一対のガイド辺と、そのメインシャフ トの偏心軸部を上下動可能に案内支持するガイド溝とを設けたものである。

【０００９】

【作用】

本考案のヘッドギャップ調整機構において、まずメインシャフトは、上下一対 のガイド辺に上下動を規制された状態で、所定方向に回転しながらプラテンに対 して接近／離反する。同時に、メインシャフトの偏心軸部は、メインシャフトに 共動して回転しながら、ガイド溝に沿って上方又は下方に移動する。すなわち、 本考案においては、メインシャフトの上下位置は変動せずに、偏心軸部の位置だ けがヘッドギャップ調整に伴って上下動する。

【００１０】

【実施例】

図１は本考案のヘッドギャップ調整機構の実施例を示す分解斜視図であり、図 ２はその要部を説明する図である。 図示したプリンタ１０において、１１はメインシャフトであり、このメインシ ャフト１１の両端にはそれぞれ偏心軸部１２が設けられている。また、メインシ ャフト１１にはキャリッジ１３がスライド自在に支持されており、このキャリッ ジ１３上にプラテン１４と対向する状態で印字ヘッド１５が搭載されている。 ここで印字処理に際しては、印字ヘッド１５を載せたキャリッジ１３がメイン シャフト１１とガイドレール１６に沿って往復移動するようになっている。

【００１１】 一方、図中１７はサイドフレームであり、このサイドフレーム１７にメインシ ャフト１１の両端が支持される。 さらに詳述すると、サイドフレーム１７には、上下一対のガイド辺１８と、ガ イド溝１９とが設けられている。 まず、ガイド辺１８は、メインシャフト１１の直径とほぼ同じ幅で略水平に形 成されている。 一方のガイド溝１９は、メインシャフト１１の両端に設けられた偏心軸部１２ の直径とほぼ同じ幅で略垂直に形成されている。

【００１２】 上記ガイド辺とガイド溝１９とが形成されたサイドフレーム１７に対して、メ インシャフト１１は以下のように支持される。 すなわち、図２に示すようにメインシャフト１１の偏心軸部１２はガイド溝１ ９に挿通され、さらにその状態からメインシャフト１１がガイド辺１８に係合さ れる。そして、この支持状態の下で、メインシャフト１１はガイド辺１８に前後 動可能に案内支持され、同時に偏心軸部１２はガイド溝１９に上下動可能に案内 支持される。

【００１３】 また、上述のようにサイドフレーム１７にメインシャフト１１が支持された状 態で、その両端に設けられた偏心軸部１２のいずれか一方には調整レバー２０が 取り付けられる。そしてこの調整レバー２０の位置は、例えば５段階に刻まれた レンジ目盛２１を照準にセットされる。

【００１４】 続いて、本実施例のヘッドギャップ調整機構の動作について説明する。 まず、調整レバー２０の位置をレンジ目盛２１のレンジ３（中間）にセットし た状態（図３参照）では、プラテン１４と印字ヘッド１５との間にレンジ３に対 応するヘッドギャップＧ４が確保される。 なお、このレンジ３の状態では、メインシャフト１１の偏心軸部１２がガイド 溝１９の最上位に位置しているものとする。

【００１５】 この状態から調整レバー２０の位置をレンジ１にセットすると、メインシャフ ト１１はガイド辺１８に上下動を規制された状態で、Ｃ矢視方向（図４参照）に 回転しながらプラテン１４側に接近する。その際、メインシャフト１１の両端に 設けられた偏心軸部１２は、メインシャフト１１と共動して回転しながら、ガイ ド溝１９に案内されて下方に移動する。これら一連の動作によりプラテン１４と 印字ヘッド１５との間には、上述のレンジ３の場合よりも小さいヘッドギャップ Ｇ５（＜Ｇ４）が確保される。

【００１６】 一方、調整レバー２０の位置をレンジ５にセットすると、メインシャフト１１ は上記同様にガイド辺１８に上下動を規制された状態で、Ｄ矢視方向（図５参照 ）に回転しながらプラテン１４から離反する。その際、メインシャフト１１の偏 心軸部１２は、メインシャフト１１と共動して回転しながら、ガイド溝１９に案 内されて一旦最上位を通過したのち再び下方に移動する。これら一連の動作によ りプラテン１４と印字ヘッド１５との間には、上述のレンジ３の場合よりも大き いヘッドギャップＧ６（＞Ｇ４）が確保される。

【００１７】 このように本実施例においては、ヘッドギャップを調整するために調整レバー を操作すると、メインシャフト１１はガイド辺１８に上下動を規制された状態で 、所定方向に回転しながらプラテン１４に対して接近／離反し、これによりヘッ ドギャップが可変する。その際、メインシャフト１１の偏心軸部１２はガイド溝 １９に案内されて上方又は下方に移動する。

【００１８】 すなわち、本実施例のヘッドギャップ調整機構においては、ヘッドギャップの 調整時にメインシャフト１１の上下動がなく、偏心軸部１２の偏心量に対応する 動きは、偏心軸部１２自体の上下方向の動き変換される。よって、プラテン１４ と印字ヘッド１５との間には、ヘッドギャップ調整に伴う上下方向の位置ズレが 生じない。

【００１９】 なお、本実施例の構成においては、印字ヘッドとプラテンとが水平に対向して 配置され、メインシャフトが前後動することでヘッドギャップが可変する型式の プリンタについて説明したが、本考案はこれに限定されるものではない。 すなわち、本考案のヘッドギャップ調整機構は、印字ヘッドとプラテンとが垂 直に対向して配置されたプリンタにも容易に適用することができる。ただし、そ の場合は、ガイド辺及びガイド溝の形成方向が９０°反転されたものとなる。

【００２０】 また、本実施例のヘッドギャップ調整機構では、ガイド辺１８とガイド溝１９ とが、サイドフレーム１７と一体に形成されているので、部品点数の増加がなく 、非常に安価に実施することができる。

【００２１】

【考案の効果】

以上、説明したように本考案によれば、ヘッドギャップ調整に伴うプラテンと 印字ヘッドの上下方向の位置ズレが解消されるので、プラテン上の印字媒体と印 字ヘッドとの対向状態は、ヘッドギャップの大小に係わらず常に最適状態に維持 されるようになる。これにより、印字媒体の厚さに伴う印字品位のバラツキの発 生、更には印字品位の低下が確実に防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す分解斜視図である。

【図２】実施例の要部を説明する図である。

【図３】実施例の動作説明図（その１）である。

【図４】実施例の動作説明図（その２）である。

【図５】実施例の動作説明図（その３）である。

【図６】従来例を示す分解斜視図である。

【図７】従来例の要部を説明する図である。

【図８】従来例の動作説明図（その１）である。

【図９】従来例の動作説明図（その２）である。

【図１０】従来例の動作説明図（その３）である。

【符号の説明】

１０ プリンタ １１ メインシャフト １２ 偏心軸部 １３ キャリッジ １４ プラテン １５ 印字ヘッド １７ サイドフレーム １８ ガイド辺 １９ ガイド溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 板谷 隆 東京都港区虎ノ門１丁目７番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端に偏心軸部が設けられたメインシャ
   フトと、このメインシャフトにスライド自在に支持され
   たキャリッジと、このキャリッジ上にプラテンと対向す
   る状態で搭載された印字ヘッドと、前記メインシャフト
   の両端を支持するサイドフレームとを具備し、前記メイ
   ンシャフトを所定方向に回転させることで前記印字ヘッ
   ドと前記プラテンとの間隙を調整可能としたプリンタの
   ヘッドギャップ調整機構において、 前記サイドフレームに、前記メインシャフトを前後動可
   能に案内支持する上下一対のガイド辺と、前記メインシ
   ャフトの偏心軸部を上下動可能に案内支持するガイド溝
   とを設けたことを特徴とするプリンタのヘッドギャップ
   調整機構。