JPH0617506B2 - 偏析の少ない均質な鋼板の製造方法 - Google Patents

偏析の少ない均質な鋼板の製造方法

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JPH0617506B2
JPH0617506B2 JP4754485A JP4754485A JPH0617506B2 JP H0617506 B2 JPH0617506 B2 JP H0617506B2 JP 4754485 A JP4754485 A JP 4754485A JP 4754485 A JP4754485 A JP 4754485A JP H0617506 B2 JPH0617506 B2 JP H0617506B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は鋼板特に厚鋼板の製造方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
鋼板、特に厚板におけるミクロ、マクロ的偏析の有害性
は母材の靭性、加工性の劣化、溶接部の靭性劣化、割れ
発生、さらにパイプ材等で重大な特性の一つである水素
誘起割れの発生等となって現われ、厚板製造者にとって
解決すべき重大な課題である。これに対し従来は偏析の
少ない鋳片を連続鋳造で製造することは勿論であるが、
更に鋳片を1200℃程度以上に加熱し溶体化処理をす
ることも必要に応じて行なわれているが、これも十分な
対策とはなり得ないのみか、鋳片の溶体化という工程が
増し、生産性を劣化させている。また偏析しやすいP,
S等の不純元素を極力低くし、更にC,Mn等の低減も
有効とされているが、一方では必要な材質を確保するた
めにこの方法も限界がある。
上述の連続鋳造鋳片は多かれ少なかれ偏析が存在しやす
い。この偏析がスラブ加熱后圧延放冷された後も鋼板の
中にミクロ、マクロ的に残り諸性質を劣化させる。これ
はスラブ加熱段階でかなり拡散溶体化されていてもその
後の長時間を要し、この間に再び偏析元素が元の位置に
凝集し成品の偏析となることがわかった。この凝集偏析
はオーステナイトからフェライトの変態直後までに多
く、500℃以下では殆んど認められなくなるが、オー
ステナイト域でも認められる。このため溶体化温度に加
熱されたスラブをできるだけ短時間に500℃以下にす
ることにより偏析凝集を防止することが出来る。しかし
圧延工程に於て材質も目的とする値を確保する必要があ
るので、急冷するだけでは不充分なことは云うまでもな
い。
このような圧延ライン上の冷却に関しては従来より多く
の知見があり、初段の粗圧延と仕上圧延の間で水冷を行
ない生産性を向上させるものとして米国特許第4395
296号がある。これは制御圧延の温度調整のために水
冷を取り入れたもので偏析について全くふれていなく、
従ってこの方法ではオーステナイトからフエライト変態
域の偏析凝集は全く防止できず偏析防止についての効果
は極めて少ない。
また圧延後の冷却は制御冷却法として特公昭55−30
047号をはじめ数多く報告されている。しかしいずれ
も変態温度域の加速冷却により鋼の細粒化、強化を狙っ
たもので偏析にふれていないのみか、目的が異なるため
スラブの溶体化、圧延の迅速化等は必要とされていな
い。したがってこの方法も本発明者の主張する偏析凝集
防止効果が少ないのみか、素材段階圧延段階の処理が不
適当で本発明の目的を達成することができない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は従来の厚板の制御圧延冷却方法によっては得ら
れなかった偏析の悪影響の極めて少ない均質な鋼板を製
造することを目的とするもので、例えば厚鋼板の水素誘
起割れ発生の問題点を解決するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、かかる問題点を解決するために、連続鋳造ス
ラブをその中心温度が1100℃以上になるように溶体
化加熱し、次いで圧延前及び又は圧延途中で急冷して表
面温度が880℃以下750℃以上の温度範囲で圧延を
終了し、該圧延終了後100秒以内に600℃以下の任
意の温度迄急冷し、かつ、圧延工程及び急冷工程におけ
る1000℃の温度より600℃の温度迄の経過時間を
7分以内とするものである。
〔作用〕 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の鋼成分はC≦0.25%,Si≦0.5%,M
n≦2.0%,Al≦2.1%以下を主成分とするよう
な通常連続鋳造で製造される鋼の全てに適用される。
次に、第1図に基づいて本発明の製造工程を説明する。
上記の鋳片温度は溶体化の為には高い程好ましいが、本
発明の効果を発揮するには最低1100℃を必要とす
る。なお、上限は1300℃で、これ以上ではスラブ表
面にスケールが多量に生成する。かかる鋳片を直接又は
再加熱圧延を行うが、この圧延は鋼板表面温度が880
℃以下750℃以上の温度範囲で圧延が終了するように
なし、且つ、この終了温度の温度範囲で、少くとも20
%以上、好ましくは20%以上70%以下の圧下を加え
る。この際、圧延開始前及び/又は圧延途中において、
鋼板平面温度が700℃以下200℃以上の温度範囲に
なるよう0.3m3/min・m2(片面)以上2.0m3
min・m2(片面)以下の水量で冷却してできるだけ早
く上記鋼板平均温度にする。該水冷は上記圧延工程を短
時間に終えるために行うものであるが、上記冷却条件に
よれば被圧延材の表層のみ冷却され、平均温度は高いた
めに上記圧延に支障を来たさない。
即ち、冷却水量が多いほど冷却効果の制御が困難なため
に、水量の上限を2.0m3/min・m2(片面)に、又
少なすぎると短時間に冷却出来ないために0.3m3/m
in・m2を下限とした。
冷却温度は被圧延材の表面温度を700℃以下、200
℃以上としたが700℃以上では冷却効果が少なく、又
200℃以下では温度が低すぎて後の圧延時に中心部の
熱で複熱しない場合があり750℃の圧延仕上げ温度が
確保されないので200℃以上とした。
圧延の終了温度を880℃以下、750℃以上としたの
はオーステナイト域の下部の温度で未再結晶域又は加工
歪の残りやすい温度域で880℃より上では加工歪が解
放され細粒が得にくく、又750℃以下ではフェライト
変態が始まりやすい。この圧延加工歪を大きくするため
に少なくとも880℃以下で20%以上の圧下を必要と
する。圧延後直ちに水冷する。水冷までの時間は作業上
の都合で数十秒を要するが長すぎると偏析元素の凝集が
始まり、圧延加工歪が解放されやすく又鋼板温度が下が
り水冷の効果がなくなるので80秒以下とした。冷却終
了温度を600℃までとしたのは600℃以上では変態
が十分に終了しないために水冷効果が得られず偏析元素
の凝集を招くので600℃以下まで水冷する必要があ
る。この場合の水冷も圧延時の水冷と同じく0.3〜
2.0m3/min・m2(片側)にすると実技に適する。
即ち、0.3m3/min・m2以下では冷却効果が少なく
2m3/min・m2以上ではマルテンサイト等の下部組織
が生成しやすく偏析は少なくても材質が劣化するからで
ある。
以上の各工程によって、かかる工程における1000℃
の温度より600℃の温度までの経過時間を7分如何に
制御することが可能となるのである。第2図は第1表B
の鋼を本発明の製造工程で製造するに際し、1000℃
から600℃までに要する時間を0〜15分に変えて、
その被圧延材質の水素誘起割れ特性を見たものである。
先述したように、スラブ加熱時に溶体化された偏析元素
が、上記温度域で再び凝集し、水素誘起割れの原因とな
るので、この間をできるだけ短時間に通過しなければな
らず、第2図に示すとおり、この間の経過時間が7分超
になると水素誘起割れ特性が著しく劣化していることが
わかる。
本発明では、本発明の製造工程により上記経過時間を7
分以内とし、偏析による悪影響を防止しえたのである。
〔実施例〕
次に本発明の実施例について述べる。
第1表は供試材の化学成分例である。Si−Mn系およ
びパイプ材について実施しているが化学成分系は本発明
の本質にあまり意味をもたない。第2表は実施例で符号
1〜8は本発明鋼、9〜11は比較例である。(第1図
で各種プロセスの概念図を示している。本発明鋼は圧延
時と圧延後に水冷を施し、1000℃から600℃まで
を5.2分以内に通過し、いずれもNACE溶液中での
水素誘起割れは0である。これに対し比較例は鋼Bにつ
いて実施しており、1000℃から600℃までの所要
時間は7分超であった。9では圧延時のみ水冷、10で
は圧延后のみ水冷、11は水冷を全く行なっていない。
いづれも水素誘起割れを発生しており、本発明との差は
明白である。
これらの実施例からわかるように圧延時に水冷するか、
圧延後に水冷するかの一方のみでは偏析元素の凝集を十
分に防ぐことが出来ず効果は明瞭でない。これに対し圧
延時と圧延後の双方で冷却すれば偏析の害を十分に防止
できる。なお、上記実施例では偏析の害を示す一般的な
方法として水素誘起割れ性を採用した。
〔発明の効果〕 以上のように本発明の製造法では鋳片の偏析の害が極め
て少なく、連続鋳造鋳片の欠点を補うものと云える。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明及び従来例の各種プロセスの概念図、第
2図は水素誘起割れ性におよぼす工程時間の影響を示す
図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続鋳造スラブをその中心温度が1100
    ℃以上になるように溶体化加熱し、次いで圧延前及び/
    又は圧延途中で急冷して表面温度が880℃以下750
    ℃以上の温度範囲で圧延を終了し、該圧延終了後100
    秒以内に600℃以下の任意の温度迄急冷し、かつ、圧
    延工程及び急冷工程における1000℃の温度より60
    0℃の温度迄の経過時間を7分以内とすることを特徴と
    する偏析の少ない均質な鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】圧延前及び/又は途中で0.5〜4.0m3
    /min・m2の水量により表面温度が700℃以下200℃
    以上になるように冷却し、引続き圧延し、880℃以
    下、750℃以上で圧延を終了し、該終了温度の範囲内
    で少なくとも20%以上の圧延をなし、次いで、100
    秒以内に600℃以下の任意の温度まで、0.5〜4.
    0m3/min・m2の水量により冷却する特許請求の範囲第1
    項記載の偏析の少ない均質な鋼板の製造方法。
JP4754485A 1985-03-12 1985-03-12 偏析の少ない均質な鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JPH0617506B2 (ja)

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