JPH0617349A - 自然光の反射、干渉作用を有する構造体 - Google Patents
自然光の反射、干渉作用を有する構造体Info
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- JPH0617349A JPH0617349A JP4172926A JP17292692A JPH0617349A JP H0617349 A JPH0617349 A JP H0617349A JP 4172926 A JP4172926 A JP 4172926A JP 17292692 A JP17292692 A JP 17292692A JP H0617349 A JPH0617349 A JP H0617349A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】紫外線や赤外線による劣化に強くて美麗な色調
を長期間保つことが出来、しかも細い繊維や微小なチッ
プに形成することが容易で実用に適した発色用の構造
材、すなわち自然光の反射、干渉作用を有する構造体を
提供する。 【構成】構造体を複数個の凸型翼部1と、それを接続す
る芯部2とから形成し、かつ芯部の横方向の幅Wa、凸
型翼部の横方向の幅Wb、凸型翼部の間の空気層の縦方
向の厚さda、凸型翼部を構成する材料の屈折率nb、
凸型翼部の縦方向の厚さdbの各寸法、および凸型翼部
の縦方向の厚さdbのばらつきを所定の範囲に限定した
ことにより、可視光領域で反射、干渉による発色を生じ
させると共に、紫外線や赤外線領域での反射機能を有す
るので、紫外線や赤外線による劣化が少なくなり、長期
間美麗な色調を保つことが出来る。また、容易に細い繊
維状や微小なチップ状に加工することが出来るので、実
用に適している。
を長期間保つことが出来、しかも細い繊維や微小なチッ
プに形成することが容易で実用に適した発色用の構造
材、すなわち自然光の反射、干渉作用を有する構造体を
提供する。 【構成】構造体を複数個の凸型翼部1と、それを接続す
る芯部2とから形成し、かつ芯部の横方向の幅Wa、凸
型翼部の横方向の幅Wb、凸型翼部の間の空気層の縦方
向の厚さda、凸型翼部を構成する材料の屈折率nb、
凸型翼部の縦方向の厚さdbの各寸法、および凸型翼部
の縦方向の厚さdbのばらつきを所定の範囲に限定した
ことにより、可視光領域で反射、干渉による発色を生じ
させると共に、紫外線や赤外線領域での反射機能を有す
るので、紫外線や赤外線による劣化が少なくなり、長期
間美麗な色調を保つことが出来る。また、容易に細い繊
維状や微小なチップ状に加工することが出来るので、実
用に適している。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、織物や塗装などに用
いられる発色用の繊維やチップ(小片)に関するもので
ある。
いられる発色用の繊維やチップ(小片)に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】自動車用塗装は、最近の高級化に伴い、
アルミフレーク光輝材を用いた従来のメタリック塗装だ
けでなく、雲母片や加工雲母片あるいは炭素繊維チップ
などを光輝材として用い、アニソトロピックな特性を付
与し、顔料とあいまって塗装面の質感向上を表現しよう
としている。また、内装織物材などにおいても、その材
質、色調は質感向上において大変重要視されている。し
かし、前者においては、色調に対して光輝材の影響はあ
るものの、その主因子は顔料を含む塗料にあり、その塗
料が紫外線や赤外線等によって劣化退色することによっ
て色調を著しく損なってしまう。また、後者において
も、染料や顔料などの上記と同様の劣化、退色が避けら
れないのが現状である。なお、上記の染料や顔料の劣化
は、紫外線が塗料、顔料、色素等の分子に直接作用して
変質したり、赤外線によって蓄熱し、その熱によって変
質するなどの原因による。上記のごとき問題を解決する
ため、偏光フィルムを分子配向異方性フィルムでサンド
イッチ構造にすることにより、光の干渉を利用して発色
する材料が発表されている(例えば、繊維機械学会誌
Vol.42,no.2,1989年に記載)。 また、特
開昭59−228042号、特公昭60−24847
号、特公昭63−64535号等に記載されているよう
に、南米産のモルフォ蝶の発色を基にして、通常の顔料
や染料を使わずに光の干渉で発色するものも提案されて
いる。
アルミフレーク光輝材を用いた従来のメタリック塗装だ
けでなく、雲母片や加工雲母片あるいは炭素繊維チップ
などを光輝材として用い、アニソトロピックな特性を付
与し、顔料とあいまって塗装面の質感向上を表現しよう
としている。また、内装織物材などにおいても、その材
質、色調は質感向上において大変重要視されている。し
かし、前者においては、色調に対して光輝材の影響はあ
るものの、その主因子は顔料を含む塗料にあり、その塗
料が紫外線や赤外線等によって劣化退色することによっ
て色調を著しく損なってしまう。また、後者において
も、染料や顔料などの上記と同様の劣化、退色が避けら
れないのが現状である。なお、上記の染料や顔料の劣化
は、紫外線が塗料、顔料、色素等の分子に直接作用して
変質したり、赤外線によって蓄熱し、その熱によって変
質するなどの原因による。上記のごとき問題を解決する
ため、偏光フィルムを分子配向異方性フィルムでサンド
イッチ構造にすることにより、光の干渉を利用して発色
する材料が発表されている(例えば、繊維機械学会誌
Vol.42,no.2,1989年に記載)。 また、特
開昭59−228042号、特公昭60−24847
号、特公昭63−64535号等に記載されているよう
に、南米産のモルフォ蝶の発色を基にして、通常の顔料
や染料を使わずに光の干渉で発色するものも提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の偏光フ
ィルムを用いるものにおいては、細い繊維や微小なチッ
プを形成することが困難であり、また、反射する主波長
を制御することが困難である、という問題があり、実用
的でない。また、上記の特開昭59−228042号、
特公昭60−24847号、特公昭63−64535号
等においては、発色させるための扁平断面の形状と、そ
れを繊維状にして織る際に発色機能をより強く表現する
ための織物における組織点(繊維同志が交差する点)以
外の部分の扁平長軸方向の織物面に対する立ち角度等を
規定している。しかし、扁平断面形状において、可視光
領域の干渉現象によって発色するには、その形状の長さ
や厚さの関係、さらには構成材料の屈折率等の種々の条
件が必要となるが、上記の先発明においては、それらの
点が曖昧であり、そのままで実用に供することが出来な
い。また、反射干渉によって発色させる方法としては、
粒子径の均一なラテックスなどを縦、横、斜めに細密的
に充填することによっても原理的には可能である。しか
し、この方法では、充填されたラテックス粒子群を製造
時に固定することが困難であるため、粒子の並びの規則
性が壊れることによって簡単に消色してしまい、実用に
はならない。
ィルムを用いるものにおいては、細い繊維や微小なチッ
プを形成することが困難であり、また、反射する主波長
を制御することが困難である、という問題があり、実用
的でない。また、上記の特開昭59−228042号、
特公昭60−24847号、特公昭63−64535号
等においては、発色させるための扁平断面の形状と、そ
れを繊維状にして織る際に発色機能をより強く表現する
ための織物における組織点(繊維同志が交差する点)以
外の部分の扁平長軸方向の織物面に対する立ち角度等を
規定している。しかし、扁平断面形状において、可視光
領域の干渉現象によって発色するには、その形状の長さ
や厚さの関係、さらには構成材料の屈折率等の種々の条
件が必要となるが、上記の先発明においては、それらの
点が曖昧であり、そのままで実用に供することが出来な
い。また、反射干渉によって発色させる方法としては、
粒子径の均一なラテックスなどを縦、横、斜めに細密的
に充填することによっても原理的には可能である。しか
し、この方法では、充填されたラテックス粒子群を製造
時に固定することが困難であるため、粒子の並びの規則
性が壊れることによって簡単に消色してしまい、実用に
はならない。
【0004】本発明は、上記のごとき従来技術の問題を
解決するためになされたものであり、紫外線や赤外線に
よる劣化に強くて美麗な色調を長期間保つことが出来、
しかも細い繊維や微小なチップに形成することが容易で
実用に適した発色用の構造材、すなわち自然光の反射、
干渉作用を有する構造体を提供することを目的とする。
解決するためになされたものであり、紫外線や赤外線に
よる劣化に強くて美麗な色調を長期間保つことが出来、
しかも細い繊維や微小なチップに形成することが容易で
実用に適した発色用の構造材、すなわち自然光の反射、
干渉作用を有する構造体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、本発明においては、繊維や
チップの断面形状において、紫外線や赤外線波長を反射
し、かつ可視光線領域の波長の反射、干渉による発色を
行う微細な凸型翼部と、複数個の上記凸型翼部を接続す
る芯部とからなり、断面形状で、複数個の上記凸型翼部
が連なっている方向を縦方向、それと直角方向を横方向
として、上記芯部の横方向の幅をWa、上記凸型翼部の
横方向の幅をWbとした場合に、Wb≧3Waを満足
し、上記凸型翼部の間は空気層であり、該空気層の縦方
向の厚さをda、上記凸型翼部の縦方向の厚さをdb、
上記凸型翼部を構成する材料の屈折率をnbとした場合
に、0.02μm≦da≦0.4μm、0.02μm≦d
b、1.2≦nb≦1.8を満足し、かつ、上記凸型翼部
の縦方向の厚さdbのばらつき、すなわち厚さdbにお
ける基準値からの製造誤差の最大値が40%以下である
ように構成している。
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、本発明においては、繊維や
チップの断面形状において、紫外線や赤外線波長を反射
し、かつ可視光線領域の波長の反射、干渉による発色を
行う微細な凸型翼部と、複数個の上記凸型翼部を接続す
る芯部とからなり、断面形状で、複数個の上記凸型翼部
が連なっている方向を縦方向、それと直角方向を横方向
として、上記芯部の横方向の幅をWa、上記凸型翼部の
横方向の幅をWbとした場合に、Wb≧3Waを満足
し、上記凸型翼部の間は空気層であり、該空気層の縦方
向の厚さをda、上記凸型翼部の縦方向の厚さをdb、
上記凸型翼部を構成する材料の屈折率をnbとした場合
に、0.02μm≦da≦0.4μm、0.02μm≦d
b、1.2≦nb≦1.8を満足し、かつ、上記凸型翼部
の縦方向の厚さdbのばらつき、すなわち厚さdbにお
ける基準値からの製造誤差の最大値が40%以下である
ように構成している。
【0006】
【作用】繊維やチップを上記のような形状に形成し、か
つ上記のごとき数値範囲に納めることにより、詳細を後
述するごとく、可視光領域で反射、干渉による発色機能
が生じ、例えば青紫乃至青緑の色調を有し、かつ見る角
度によって異なった色に見える美麗な色調を発色するこ
とが出来る。また、上記の構成においては、可視光領域
で発色機能を有するだけでなく、紫外線や赤外線領域で
の反射機能を有するので、紫外線や赤外線による劣化が
少なくなり、長寿命で長期間美麗な色調を保つことが出
来る。また、上記の構造は、例えばポリエステル系、ポ
リアクリルニトリル系、ポリスチレン系等のほぼ透明な
有機材料などによって容易に細い繊維状や微小なチップ
状に加工することが出来るので、実用に適している。
つ上記のごとき数値範囲に納めることにより、詳細を後
述するごとく、可視光領域で反射、干渉による発色機能
が生じ、例えば青紫乃至青緑の色調を有し、かつ見る角
度によって異なった色に見える美麗な色調を発色するこ
とが出来る。また、上記の構成においては、可視光領域
で発色機能を有するだけでなく、紫外線や赤外線領域で
の反射機能を有するので、紫外線や赤外線による劣化が
少なくなり、長寿命で長期間美麗な色調を保つことが出
来る。また、上記の構造は、例えばポリエステル系、ポ
リアクリルニトリル系、ポリスチレン系等のほぼ透明な
有機材料などによって容易に細い繊維状や微小なチップ
状に加工することが出来るので、実用に適している。
【0007】
【実施例】図1は、本発明の第1の実施例図であり、
(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。なお、図1の
斜視図は、本発明を平角の繊維に適用した場合の一部分
を示すが、繊維を切断したチップ状のものでもよい。図
1において、1は凸型翼部、2は芯部である。凸型翼部
1は複数個(図1の例では5個)備えられ、それら相互
の間に芯部2が設けられている。
(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。なお、図1の
斜視図は、本発明を平角の繊維に適用した場合の一部分
を示すが、繊維を切断したチップ状のものでもよい。図
1において、1は凸型翼部、2は芯部である。凸型翼部
1は複数個(図1の例では5個)備えられ、それら相互
の間に芯部2が設けられている。
【0008】また、断面形状で、複数個の凸型翼部1が
連なっている方向(図1bでは紙面の上下方向)を縦方
向、それと直角方向を横方向として、芯部2の横方向の
幅をWa、凸型翼部1の横方向の幅をWb、凸型翼部1
の間の空気層の縦方向の厚さをda、凸型翼部1の縦方
向の厚さをdb、空気層の屈折率をna、凸型翼部1を
構成する材料の屈折率をnbとする。なお、図1におい
ては、Wa、Wb、daおよびdbが常に一定の場合を
示しているが、図2のようにWbが端方向の凸型翼部に
なるに従って順次小さくなる形状、或いは後記図6で説
明するように、daおよびdbが凸型翼部によって異な
る形状のものでもよい。
連なっている方向(図1bでは紙面の上下方向)を縦方
向、それと直角方向を横方向として、芯部2の横方向の
幅をWa、凸型翼部1の横方向の幅をWb、凸型翼部1
の間の空気層の縦方向の厚さをda、凸型翼部1の縦方
向の厚さをdb、空気層の屈折率をna、凸型翼部1を
構成する材料の屈折率をnbとする。なお、図1におい
ては、Wa、Wb、daおよびdbが常に一定の場合を
示しているが、図2のようにWbが端方向の凸型翼部に
なるに従って順次小さくなる形状、或いは後記図6で説
明するように、daおよびdbが凸型翼部によって異な
る形状のものでもよい。
【0009】次に、図2は、本発明の他の実施例図であ
り、(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。この実施
例は、図1のごとき構造体を複数個連結した多連構造体
を示す。図2において、1は凸型翼部、2は芯部、3は
台座部、4は孔部である。
り、(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。この実施
例は、図1のごとき構造体を複数個連結した多連構造体
を示す。図2において、1は凸型翼部、2は芯部、3は
台座部、4は孔部である。
【0010】この実施例においては、中空の孔部4を有
する台座部3に、凸型翼部1と芯部2とからなる構造体
が複数個つながった構造を有している。また、凸型翼部
1の横方向の幅Wbは、台座部3に近い方が大きくな
り、台座部3から見て端の方(紙面上部方向)が小さく
なっている。これは光が奥まで届きやすいように端部を
狭くしたものであり、図1のように横方向の幅Wbが全
て同じ構造体を用いてもよい。また、台座部3の孔部4
は次のごとき理由で設けたものである。すなわち、射出
あるいは押出し等の方法で製造する場合に、溶融材料の
流動量の片寄りなどによって形の維持が困難になること
があるため、台座部の面積と台座部上の構造体の面積と
を同程度にすることが望ましい。しかし、一般に台座部
の面積の方が大きくなるので、孔部4を設け、孔部を除
いた台座部の面積と構造体の面積とが同程度となるよう
に調節している。また、図1および図2において、芯部
2の横方向の幅Waは、それ単独ではそれほど規定する
必要はないが、後記するごとく、凸型翼部1の幅Wbと
の関係では、WbがWaの3倍以上は必要であり、目的
波長色の干渉などを考慮すると、凸型翼部1の幅Wbは
目的波長の1波長の長さを超えることが望ましい。ま
た、図2に示す多連構造では、最も幅の広い凸型翼部
(図では台座部に最も近いもの)の隣合うものの端同志
が接触しない程度が好ましく、例えば相互に隣接する芯
部の中心間の距離が0.7μm〜1.5μm程度が望まし
い。なお、図2のような多連構造でも自然光が底部まで
到達することが好ましい。
する台座部3に、凸型翼部1と芯部2とからなる構造体
が複数個つながった構造を有している。また、凸型翼部
1の横方向の幅Wbは、台座部3に近い方が大きくな
り、台座部3から見て端の方(紙面上部方向)が小さく
なっている。これは光が奥まで届きやすいように端部を
狭くしたものであり、図1のように横方向の幅Wbが全
て同じ構造体を用いてもよい。また、台座部3の孔部4
は次のごとき理由で設けたものである。すなわち、射出
あるいは押出し等の方法で製造する場合に、溶融材料の
流動量の片寄りなどによって形の維持が困難になること
があるため、台座部の面積と台座部上の構造体の面積と
を同程度にすることが望ましい。しかし、一般に台座部
の面積の方が大きくなるので、孔部4を設け、孔部を除
いた台座部の面積と構造体の面積とが同程度となるよう
に調節している。また、図1および図2において、芯部
2の横方向の幅Waは、それ単独ではそれほど規定する
必要はないが、後記するごとく、凸型翼部1の幅Wbと
の関係では、WbがWaの3倍以上は必要であり、目的
波長色の干渉などを考慮すると、凸型翼部1の幅Wbは
目的波長の1波長の長さを超えることが望ましい。ま
た、図2に示す多連構造では、最も幅の広い凸型翼部
(図では台座部に最も近いもの)の隣合うものの端同志
が接触しない程度が好ましく、例えば相互に隣接する芯
部の中心間の距離が0.7μm〜1.5μm程度が望まし
い。なお、図2のような多連構造でも自然光が底部まで
到達することが好ましい。
【0011】以下、各種の特性を示す図を参照しながら
作用を説明する。図3は、凸型翼部1の数Nの反射率R
に対する影響を示す特性図であり、N=1,2,3,
4,6,8の各場合について示している。図3におい
て、横軸は光の波長λ、縦軸は反射率Rを示す。また、
図3は、可視光領域で、短波長側(青緑色)に反射率の
極大値を有する場合の例である。なお、図1の構造体は
N=5の場合の例であり、図2はN=6の構造体を多連
にしたものである。図3から判るように、N=1の場
合、すなわち凸型翼部が1個の場合には、低反射率であ
って発色は殆どないが、N=2になると明瞭に発色する
ようになり、その強度は凸型翼部の数の増加と共に強ま
る傾向がある。上記のように、凸型翼部は少なくとも2
個以上でないと必要な反射、干渉機能が得られないこと
が判る。
作用を説明する。図3は、凸型翼部1の数Nの反射率R
に対する影響を示す特性図であり、N=1,2,3,
4,6,8の各場合について示している。図3におい
て、横軸は光の波長λ、縦軸は反射率Rを示す。また、
図3は、可視光領域で、短波長側(青緑色)に反射率の
極大値を有する場合の例である。なお、図1の構造体は
N=5の場合の例であり、図2はN=6の構造体を多連
にしたものである。図3から判るように、N=1の場
合、すなわち凸型翼部が1個の場合には、低反射率であ
って発色は殆どないが、N=2になると明瞭に発色する
ようになり、その強度は凸型翼部の数の増加と共に強ま
る傾向がある。上記のように、凸型翼部は少なくとも2
個以上でないと必要な反射、干渉機能が得られないこと
が判る。
【0012】次に、図4は、構造体を形成する材料の屈
折率nbと反射率Rとの関係を示す特性図であり、凸型
翼部の数が6の構造体で測定した例を示す。図4におい
て、屈折率nbが1.1の場合には、中心波長λ1におけ
る反射率Rが0.3以下である。そして屈折率nbが1.
2では反射率Rが0.4より大きくなり、屈折率の増加
と共にほぼ直線的に反射率も増加傾向を示し、したがっ
て発色強度も増加している。一般に、反射率が0.3〜
0.4以下の場合には、色味(色彩)がはっきりしない
と云われているので、上記の結果から、発色を明瞭に示
すには、屈折率nbが1.2以上の材料を用いる必要の
あることが判る。なお、屈折率が1.8以上になると、
透明な有機材料は存在しなくなる。着色された有機材料
では、屈折率1.8以上のものも存在するが、着色有機
材料では光が吸収されてしまうので、光を反射、干渉さ
せることによって発色させることが困難になってしま
う。また、無機材料にも屈折率1.8以上の物質が存在
するが、無機材料は微細加工が困難であるため、好まし
くない。したがって、本発明に用いる材料としては、透
明な有機材料(完全な透明でなくてもよいが、光の反
射、干渉が可能な程度の透明度は必要)であり、かつ上
記の結果から屈折率が1.2以上の範囲のものを用いる
必要がある。そして上記のように現実には1.8以上の
透明有機材料は存在しないので、結局、屈折率1.2〜
1.8の範囲となる。上記の条件に適合する材料として
は、例えばポリエステル系、ポリアクリルニトリル系、
ポリスチレン系等の有機材料がある。
折率nbと反射率Rとの関係を示す特性図であり、凸型
翼部の数が6の構造体で測定した例を示す。図4におい
て、屈折率nbが1.1の場合には、中心波長λ1におけ
る反射率Rが0.3以下である。そして屈折率nbが1.
2では反射率Rが0.4より大きくなり、屈折率の増加
と共にほぼ直線的に反射率も増加傾向を示し、したがっ
て発色強度も増加している。一般に、反射率が0.3〜
0.4以下の場合には、色味(色彩)がはっきりしない
と云われているので、上記の結果から、発色を明瞭に示
すには、屈折率nbが1.2以上の材料を用いる必要の
あることが判る。なお、屈折率が1.8以上になると、
透明な有機材料は存在しなくなる。着色された有機材料
では、屈折率1.8以上のものも存在するが、着色有機
材料では光が吸収されてしまうので、光を反射、干渉さ
せることによって発色させることが困難になってしま
う。また、無機材料にも屈折率1.8以上の物質が存在
するが、無機材料は微細加工が困難であるため、好まし
くない。したがって、本発明に用いる材料としては、透
明な有機材料(完全な透明でなくてもよいが、光の反
射、干渉が可能な程度の透明度は必要)であり、かつ上
記の結果から屈折率が1.2以上の範囲のものを用いる
必要がある。そして上記のように現実には1.8以上の
透明有機材料は存在しないので、結局、屈折率1.2〜
1.8の範囲となる。上記の条件に適合する材料として
は、例えばポリエステル系、ポリアクリルニトリル系、
ポリスチレン系等の有機材料がある。
【0013】次に、劣化に重大な影響をおよぼす紫外線
および赤外線に関しては、特に凸型翼部1の縦方向の厚
さdbが大きな影響を有することが判明した。図5は、
厚さdbによる波長λと反射率Rとの関係を示す特性図
である。太陽からの紫外線は、波長λが0.32μm付
近から0.4μm弱の紫外線(紫外線A波領域)が紫外
線B波領域やC波領域に比べて比較的多いが、図5から
判るように、厚さdbが0.02μm程度(材料の屈折
率1.5程度)で良好な紫外線反射機能を有する構造体
を得ることが出来る。なお、厚さdbが0.02μmよ
り薄くなると、中心波長λ1がさらに紫外線領域側に移
動するので、紫外線A波領域の紫外線を有効に反射する
ことが出来なくなる。したがって凸型翼部1の縦方向の
厚さdbは0.02μm以上にする必要がある。また、
図5から判るように、厚さdbを0.16μm以上にす
ると、赤外線(波長0.7μm以上)の高い反射機能を
付加することが出来る。
および赤外線に関しては、特に凸型翼部1の縦方向の厚
さdbが大きな影響を有することが判明した。図5は、
厚さdbによる波長λと反射率Rとの関係を示す特性図
である。太陽からの紫外線は、波長λが0.32μm付
近から0.4μm弱の紫外線(紫外線A波領域)が紫外
線B波領域やC波領域に比べて比較的多いが、図5から
判るように、厚さdbが0.02μm程度(材料の屈折
率1.5程度)で良好な紫外線反射機能を有する構造体
を得ることが出来る。なお、厚さdbが0.02μmよ
り薄くなると、中心波長λ1がさらに紫外線領域側に移
動するので、紫外線A波領域の紫外線を有効に反射する
ことが出来なくなる。したがって凸型翼部1の縦方向の
厚さdbは0.02μm以上にする必要がある。また、
図5から判るように、厚さdbを0.16μm以上にす
ると、赤外線(波長0.7μm以上)の高い反射機能を
付加することが出来る。
【0014】また、本発明のごとき複数の凸型翼部を有
する構造体では、紫外線領域や赤外線領域の高い反射機
能を残しながら一部の可視光の反射、干渉機能を実現す
ること、すなわち特定の色調を発色することが出来る。
以下、図6に基づいて説明する。図6は、凸型翼部の数
Nによる波長λと反射率Rとの関係を示す特性図であ
り、(a)は凸型翼部の数N=4で、凸型翼部間の空気
層の縦方向の厚さda=0.35μm、凸型翼部の縦方
向の厚さdb=0.15μmの場合の特性図である。ま
た、(b)は凸型翼部の数N=7で、自然光入射側から
4個の凸型翼部は、間の空気層の縦方向の厚さda=
0.13μm、凸型翼部の縦方向の厚さdb=0.06μ
mであり、その後の3個の凸型翼部は、間の空気層の縦
方向の厚さda=0.09μm、凸型翼部の縦方向の厚
さdb=0.05μmにした場合の特性図である。な
お、凸型翼部を形成する材料の反射率nbはいずれの場
合もnb=1.5の場合を示す。図6(a)に示す例で
は、波長0.4μm程度の紫外線領域と、波長0.6μm
程度の可視光領域と、波長1.0μm以上の赤外線領域
とにおいて共に反射機能の大きな特性を実現することが
出来る。特に波長1.0μm以上のいわゆる遠赤外線領
域の反射機能が大きいことにより、熱による劣化を効率
よく防止することが出来る。なお、凸型翼部間の空気層
の厚さdaをさらに厚くして行くと、全体の反射スペク
トルが長波長側に移動するので、あまり厚くすると可視
光領域の特性を失ってしまう。したがって空気層の縦方
向の厚さdaは、最大で0.4μm程度にする必要があ
る。また、図6(b)に示す例では、紫外線領域から可
視光領域で高い反射特性を有することが判る。
する構造体では、紫外線領域や赤外線領域の高い反射機
能を残しながら一部の可視光の反射、干渉機能を実現す
ること、すなわち特定の色調を発色することが出来る。
以下、図6に基づいて説明する。図6は、凸型翼部の数
Nによる波長λと反射率Rとの関係を示す特性図であ
り、(a)は凸型翼部の数N=4で、凸型翼部間の空気
層の縦方向の厚さda=0.35μm、凸型翼部の縦方
向の厚さdb=0.15μmの場合の特性図である。ま
た、(b)は凸型翼部の数N=7で、自然光入射側から
4個の凸型翼部は、間の空気層の縦方向の厚さda=
0.13μm、凸型翼部の縦方向の厚さdb=0.06μ
mであり、その後の3個の凸型翼部は、間の空気層の縦
方向の厚さda=0.09μm、凸型翼部の縦方向の厚
さdb=0.05μmにした場合の特性図である。な
お、凸型翼部を形成する材料の反射率nbはいずれの場
合もnb=1.5の場合を示す。図6(a)に示す例で
は、波長0.4μm程度の紫外線領域と、波長0.6μm
程度の可視光領域と、波長1.0μm以上の赤外線領域
とにおいて共に反射機能の大きな特性を実現することが
出来る。特に波長1.0μm以上のいわゆる遠赤外線領
域の反射機能が大きいことにより、熱による劣化を効率
よく防止することが出来る。なお、凸型翼部間の空気層
の厚さdaをさらに厚くして行くと、全体の反射スペク
トルが長波長側に移動するので、あまり厚くすると可視
光領域の特性を失ってしまう。したがって空気層の縦方
向の厚さdaは、最大で0.4μm程度にする必要があ
る。また、図6(b)に示す例では、紫外線領域から可
視光領域で高い反射特性を有することが判る。
【0015】次に、図7は、前記図2に示したごとき多
連構造体における構造体の数と反射率との関係を示す特
性図である。図7の特性は、図2(b)に示す断面図の
横方向をX軸、縦方向をZ軸、奥行き方向をY軸とした
場合に、波長0.48μm、入射角0度、反射受光角0
度におけるX軸方向への構造体の数(多連数)と反射率
との関係を示している。図7から判るように、可視光の
反射、干渉機能や紫外線、赤外線領域の反射機能を一層
確実にするためには、構造体の数が2連以上であること
が望ましい。すなわち、構造体がX軸方向に規則的に2
連以上並び、Y軸方向には一様で、Z軸方向には複数の
凸型翼部を有する形状がよい。なお、構造体が1連のみ
の場合には、その1個の構造体の凸型翼部間の反射、干
渉のみとなり、多連構造の場合よりも光学的機能が弱く
なるが、使用法によってはその弱点を補うことが出来
る。例えば、紡績では、布の織り方などの工夫によって
上記の欠点を補うことが出来る。
連構造体における構造体の数と反射率との関係を示す特
性図である。図7の特性は、図2(b)に示す断面図の
横方向をX軸、縦方向をZ軸、奥行き方向をY軸とした
場合に、波長0.48μm、入射角0度、反射受光角0
度におけるX軸方向への構造体の数(多連数)と反射率
との関係を示している。図7から判るように、可視光の
反射、干渉機能や紫外線、赤外線領域の反射機能を一層
確実にするためには、構造体の数が2連以上であること
が望ましい。すなわち、構造体がX軸方向に規則的に2
連以上並び、Y軸方向には一様で、Z軸方向には複数の
凸型翼部を有する形状がよい。なお、構造体が1連のみ
の場合には、その1個の構造体の凸型翼部間の反射、干
渉のみとなり、多連構造の場合よりも光学的機能が弱く
なるが、使用法によってはその弱点を補うことが出来
る。例えば、紡績では、布の織り方などの工夫によって
上記の欠点を補うことが出来る。
【0016】次に、図8は、凸型翼部の横方向の幅Wb
と芯部の横方向の幅Waとの比Wb/Waと、白色光下
での反射干渉色のあざやかさ(色の純度)および明るさ
との関係を示す特性図である。図8において、黒丸で表
した曲線はWb/Waに対する色の純度(発色のあざや
かさ、excitation purity)を示し、白丸で表した曲線
はWb/Waに対する色調の明るさ(色彩学における三
刺激値のY値)を示す。図8から判るように、Wb/W
aが3以上、すなわちWb≧3Waであれば、色の純度
として4以上の値が得られる。この色の純度とは反射率
から求められるものであり、一般に、この値が0.3〜
0.4より低くなると、色味がはっきりしなくなり、実
用的な発色を得ることが出来ない。図8の黒丸の特性
は、Wb/Waが3のとき0.41程度の値を示してい
るが、Wb/Waが3以下で急激に低下する特性になっ
ているので、多少の余裕を見てWb/Waを3以上にす
ることが望ましい。
と芯部の横方向の幅Waとの比Wb/Waと、白色光下
での反射干渉色のあざやかさ(色の純度)および明るさ
との関係を示す特性図である。図8において、黒丸で表
した曲線はWb/Waに対する色の純度(発色のあざや
かさ、excitation purity)を示し、白丸で表した曲線
はWb/Waに対する色調の明るさ(色彩学における三
刺激値のY値)を示す。図8から判るように、Wb/W
aが3以上、すなわちWb≧3Waであれば、色の純度
として4以上の値が得られる。この色の純度とは反射率
から求められるものであり、一般に、この値が0.3〜
0.4より低くなると、色味がはっきりしなくなり、実
用的な発色を得ることが出来ない。図8の黒丸の特性
は、Wb/Waが3のとき0.41程度の値を示してい
るが、Wb/Waが3以下で急激に低下する特性になっ
ているので、多少の余裕を見てWb/Waを3以上にす
ることが望ましい。
【0017】次に、図9は、凸型翼部の縦方向の厚さd
bのばらつき、すなわち厚さdbにおける基準値からの
製造誤差による波長と反射率との関係を示す特性図であ
り、図10は図9から求めたばらつき度(製造誤差の最
大値)と色の純度との関係を示す特性図である。凸型翼
部の縦方向の厚さdbがばらつくと、凸型翼部間の空気
層の厚さも変化し、図9に示すように自然光の反射スペ
クトルに変化を来す。そしてばらつき度が20%、30
%、40%の場合には、ピークを有する反射特性が得ら
れるが、ばらつき度が60%になるとピークがなくな
り、特定の波長に対する反射機能が得られなくなってし
まう。また、図10に示すように、ばらつき度が大きく
なるにつれて色の純度は低下し、ばらつき度が0.4す
なわち基準値の40%の場合に色の純度は0.34程度
になる。前記ごとく、色の純度が0.3〜0.4程度以下
になると色味(色彩)がはっきりしなくなる。ただし、
ばらつき度が0.4の場合には、図9から判るように、
反射スペクトルのピークがはっきりしているので、この
程度であれば実用的な発色が得られる。したがって実用
上有効な発色を得るためには、製造時のばらつき度を
0.4(40%)以下に押さえることが必要である。
bのばらつき、すなわち厚さdbにおける基準値からの
製造誤差による波長と反射率との関係を示す特性図であ
り、図10は図9から求めたばらつき度(製造誤差の最
大値)と色の純度との関係を示す特性図である。凸型翼
部の縦方向の厚さdbがばらつくと、凸型翼部間の空気
層の厚さも変化し、図9に示すように自然光の反射スペ
クトルに変化を来す。そしてばらつき度が20%、30
%、40%の場合には、ピークを有する反射特性が得ら
れるが、ばらつき度が60%になるとピークがなくな
り、特定の波長に対する反射機能が得られなくなってし
まう。また、図10に示すように、ばらつき度が大きく
なるにつれて色の純度は低下し、ばらつき度が0.4す
なわち基準値の40%の場合に色の純度は0.34程度
になる。前記ごとく、色の純度が0.3〜0.4程度以下
になると色味(色彩)がはっきりしなくなる。ただし、
ばらつき度が0.4の場合には、図9から判るように、
反射スペクトルのピークがはっきりしているので、この
程度であれば実用的な発色が得られる。したがって実用
上有効な発色を得るためには、製造時のばらつき度を
0.4(40%)以下に押さえることが必要である。
【0018】本発明を実際に応用する方法について説明
する。本発明の構造体を製造する方法としては、蒸着技
術や樹脂(特に感光性樹脂)などの技術や紡糸技術の応
用技術等を用いることが出来る。以下、紡糸技術の例で
説明する。所定の微細構造を安定的に得るには、芯・鞘
のダブル溶融紡糸方法が好適である。例えば、最終的に
得たい微細構造断面(例えば図1や図2の構造)の断面
寸法の900倍程度の形状を有するノズルをダブル紡糸
用ヘッドに設置し、芯と鞘とに溶融温度または溶媒可溶
性の異なる高分子材料を用いる。例えば、ノズルを通過
する芯側材料としては約300℃の溶融ポリエチレンテ
レフタレートを用い、鞘側を形成する材料としては約2
30℃の溶融ポスチレンなどを用い、ヘッドに連結され
たそれぞれのエクストリューダから射出圧力600〜8
50kg/cm2程度で同時に射出する。そして3〜4mの
空気冷却層を通過させた後、凸型翼部の厚さや凸型翼部
間の間隔等が所望の波長領域の寸法となるように、10
00〜1500m/min程度で延伸させる。その後、メチ
ルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゾールあるいはトリ
オールなどのような鞘側材料に対して溶解性の高い溶媒
で処理し、芯側のみを残すことにより、図1や図2に示
すごとき断面形状を有する構造体(例えば糸)を得るこ
とが出来る。上記の工程で例えば直径が10μm程度の
糸が得られる。そしてその糸を複数本撚り合わせて繊維
状にし、紡績することによって織物とすることが出来
る。また、上記のごとき工程で得られた糸をフリージン
グ処理し、それを粉砕することにより、例えば10×2
0×30μm程度の寸法のチップとすることが出来る。
このチップを車体塗装用の塗料の発色光輝材として用
い、透明な塗料を用いて車体塗装時のクリア層(最上層
の保護艶出し層)として塗布すれば、美麗な色を実現す
ることが出来る。なお、本発明の構造体における凸型翼
部間の空隙は極めて微小なので、粘度の大きな塗料は殆
ど入り込むことが出来ず、したがって空気層が保たれ
る。
する。本発明の構造体を製造する方法としては、蒸着技
術や樹脂(特に感光性樹脂)などの技術や紡糸技術の応
用技術等を用いることが出来る。以下、紡糸技術の例で
説明する。所定の微細構造を安定的に得るには、芯・鞘
のダブル溶融紡糸方法が好適である。例えば、最終的に
得たい微細構造断面(例えば図1や図2の構造)の断面
寸法の900倍程度の形状を有するノズルをダブル紡糸
用ヘッドに設置し、芯と鞘とに溶融温度または溶媒可溶
性の異なる高分子材料を用いる。例えば、ノズルを通過
する芯側材料としては約300℃の溶融ポリエチレンテ
レフタレートを用い、鞘側を形成する材料としては約2
30℃の溶融ポスチレンなどを用い、ヘッドに連結され
たそれぞれのエクストリューダから射出圧力600〜8
50kg/cm2程度で同時に射出する。そして3〜4mの
空気冷却層を通過させた後、凸型翼部の厚さや凸型翼部
間の間隔等が所望の波長領域の寸法となるように、10
00〜1500m/min程度で延伸させる。その後、メチ
ルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゾールあるいはトリ
オールなどのような鞘側材料に対して溶解性の高い溶媒
で処理し、芯側のみを残すことにより、図1や図2に示
すごとき断面形状を有する構造体(例えば糸)を得るこ
とが出来る。上記の工程で例えば直径が10μm程度の
糸が得られる。そしてその糸を複数本撚り合わせて繊維
状にし、紡績することによって織物とすることが出来
る。また、上記のごとき工程で得られた糸をフリージン
グ処理し、それを粉砕することにより、例えば10×2
0×30μm程度の寸法のチップとすることが出来る。
このチップを車体塗装用の塗料の発色光輝材として用
い、透明な塗料を用いて車体塗装時のクリア層(最上層
の保護艶出し層)として塗布すれば、美麗な色を実現す
ることが出来る。なお、本発明の構造体における凸型翼
部間の空隙は極めて微小なので、粘度の大きな塗料は殆
ど入り込むことが出来ず、したがって空気層が保たれ
る。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、構造体を複数個の凸型翼部と、それを接続する芯部
とから形成し、かつ芯部の横方向の幅Wa、凸型翼部の
横方向の幅Wb、凸型翼部の間の空気層の縦方向の厚さ
da、凸型翼部を構成する材料の屈折率nb、凸型翼部
の縦方向の厚さdbの各寸法、および凸型翼部の縦方向
の厚さdbのばらつきを所定の範囲に限定したことによ
り、可視光領域で反射、干渉による発色を生じさせると
共に、紫外線や赤外線領域での反射機能を有するので、
紫外線や赤外線による劣化が少なくなり、長寿命で長期
間美麗な色調を保つことが出来る。また、容易に細い繊
維状や微小なチップ状に加工することが出来るので、実
用に適している、という優れた効果が得られる。
ば、構造体を複数個の凸型翼部と、それを接続する芯部
とから形成し、かつ芯部の横方向の幅Wa、凸型翼部の
横方向の幅Wb、凸型翼部の間の空気層の縦方向の厚さ
da、凸型翼部を構成する材料の屈折率nb、凸型翼部
の縦方向の厚さdbの各寸法、および凸型翼部の縦方向
の厚さdbのばらつきを所定の範囲に限定したことによ
り、可視光領域で反射、干渉による発色を生じさせると
共に、紫外線や赤外線領域での反射機能を有するので、
紫外線や赤外線による劣化が少なくなり、長寿命で長期
間美麗な色調を保つことが出来る。また、容易に細い繊
維状や微小なチップ状に加工することが出来るので、実
用に適している、という優れた効果が得られる。
【図1】本発明の第1の実施例の斜視図および断面図。
【図2】本発明の第2の実施例の斜視図および断面図。
【図3】凸型翼部の数Nの反射率Rに対する影響を示す
特性図。
特性図。
【図4】構造体を形成する材料の屈折率nbと反射率R
との関係を示す特性図。
との関係を示す特性図。
【図5】厚さdbによる波長λと反射率Rとの関係を示
す特性図。
す特性図。
【図6】凸型翼部の数Nによる波長λと反射率Rとの関
係を示す特性図。
係を示す特性図。
【図7】多連構造体における構造体の数と反射率との関
係を示す特性図。
係を示す特性図。
【図8】Wb/Waと、色の純度および明るさの関係を
示す特性図。
示す特性図。
【図9】凸型翼部の厚さdbのばらつき度による波長と
反射率との関係を示す特性図。
反射率との関係を示す特性図。
【図10】ばらつき度と色の純度との関係を示す特性
図。
図。
1…凸型翼部 2…芯部 3…台座部 4…孔部 Wa…芯部2の横方向の幅 Wb…凸型翼部1の横方向の幅 da…凸型翼部1の間の空気層の縦方向の厚さ db…凸型翼部1の縦方向の厚さ na…空気層の屈折率 nb…凸型翼部1を構成する材料の屈折率
Claims (1)
- 【請求項1】繊維やチップの断面形状において、 紫外線や赤外線波長を反射し、かつ可視光線領域の波長
の反射、干渉による発色を行う微細な凸型翼部と、複数
個の上記凸型翼部を接続する芯部とからなり、 断面形状で、複数個の上記凸型翼部が連なっている方向
を縦方向、それと直角方向を横方向として、上記芯部の
横方向の幅をWa、上記凸型翼部の横方向の幅をWbと
した場合に、 Wb≧3Wa を満足し、 上記凸型翼部の間は空気層であり、該空気層の縦方向の
厚さをda、上記凸型翼部の縦方向の厚さをdb、上記
凸型翼部を構成する材料の屈折率をnbとした場合に、 0.02μm≦da≦0.4μm 0.02μm≦db 1.2≦nb≦1.8 を満足し、 かつ、上記凸型翼部の縦方向の厚さdbのばらつき、す
なわち厚さdbにおける基準値からの製造誤差の最大値
が40%以下である、ことを特徴とする自然光の反射、
干渉作用を有する構造体。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4172926A JP2890984B2 (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 自然光の反射、干渉作用を有する構造体 |
US08/079,426 US5407738A (en) | 1992-06-30 | 1993-06-21 | Minute structure for showing colors by reflection and interference of natural light |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4172926A JP2890984B2 (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 自然光の反射、干渉作用を有する構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0617349A true JPH0617349A (ja) | 1994-01-25 |
JP2890984B2 JP2890984B2 (ja) | 1999-05-17 |
Family
ID=15950917
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4172926A Expired - Lifetime JP2890984B2 (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 自然光の反射、干渉作用を有する構造体 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5407738A (ja) |
JP (1) | JP2890984B2 (ja) |
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EP0767259A2 (en) | 1995-10-02 | 1997-04-09 | Tanaka Kikinzoku Kogyo K.K. | Fabrication machine of optical fiber |
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JP3483379B2 (ja) * | 1995-12-08 | 2004-01-06 | 田中貴金属工業株式会社 | 発色構造体 |
CN1225694A (zh) * | 1997-05-02 | 1999-08-11 | 日产自动车株式会社 | 具有光功能的纤维 |
WO1999018268A1 (en) | 1997-10-02 | 1999-04-15 | Nissan Motor Co., Ltd. | Fiber structure and textile using same |
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US20110085232A1 (en) * | 2009-10-08 | 2011-04-14 | The Penn State Research Foundation | Multi-spectral filters, mirrors and anti-reflective coatings with subwavelength periodic features for optical devices |
CN101823684B (zh) * | 2010-04-30 | 2012-02-29 | 华中科技大学 | 一种仿蝴蝶磷翅分级多层非对称微纳结构的制备方法 |
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CN103649786B (zh) | 2011-09-02 | 2016-08-17 | 英派尔科技开发有限公司 | 具有产生光学效应的纳米结构体的纤维的制造方法 |
CN112337193B (zh) * | 2020-09-09 | 2022-01-07 | 华南理工大学 | 热舒适性防pm2.5的纳米纤维口罩滤芯及其制备方法 |
Family Cites Families (3)
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JPS59228042A (ja) * | 1983-06-03 | 1984-12-21 | 株式会社クラレ | 鱗片構造繊維を含む織物 |
JPS6024847A (ja) * | 1983-07-20 | 1985-02-07 | 大日本印刷株式会社 | 滅菌包装方法 |
-
1992
- 1992-06-30 JP JP4172926A patent/JP2890984B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
1993
- 1993-06-21 US US08/079,426 patent/US5407738A/en not_active Expired - Fee Related
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