JPH0617313B2 - 経腸栄養製品 - Google Patents

経腸栄養製品

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JPH0617313B2
JPH0617313B2 JP62095479A JP9547987A JPH0617313B2 JP H0617313 B2 JPH0617313 B2 JP H0617313B2 JP 62095479 A JP62095479 A JP 62095479A JP 9547987 A JP9547987 A JP 9547987A JP H0617313 B2 JPH0617313 B2 JP H0617313B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、約4.5より低いpHを有し、食物性窒素化合物
としてタンパク質またはタンパク質誘導体、脂肪、炭水
化物及び水を含む経腸栄養製品に関する。
〔従来技術および発明が解決しようとする問題点〕
本明細書中、“経腸栄養製品”とは経口投与を意図する
栄養製品または管を用いての胃腸導入を意図する栄養製
品のいずれかを意味するものとする。経腸栄養製品の好
ましい使用は経口目的であり、製品の味は後にさらに示
すように本発明の重要な点であるが、しかし本発明によ
る経腸栄養製品はまた特別の場合所望により胃腸に投与
することもできる。
また、約4.5以上のpH値を有する経腸栄養製品は本発明
の範囲外である。このような製品は滅菌でもしなければ
微生物により安定ではないからである。
先行技術の経腸栄養製品は米国特許第4497800号
(ミードジョンソン)に記載されており、ここでは完全
病人栄養食を提供するための栄養的に完全でそのまま使
える液状栄養製品について示している。この先行技術に
よる経腸栄養製品は幾つかの利点を有し、たとえば約4.
5以下のpHで微生物的に安定である。とはいえまた幾つ
かの欠点をも示し、たとえばオスモラリティ(osmolali
ty)が高過ぎて患者に高い浸透圧負荷がかかることにな
り、また通常は味が悪く下痢しやすく、そして物理的に
安定なエマルジョンにするために別の乳化剤の導入が必
要である。経腸栄養製品を含む分野における問題の複雑
さを説明するために、幾つかのアミノ酸の代わりにより
長いペプチド鎖を含むタンパク質誘導品を使用して高い
オスモラリティを修正すると苦い味の製品が導びかれや
すくこれは感覚器官上許容されないであろうという事実
へ注意を向けるべきである。
他の先行技術による経腸栄養製品はヨーロッパ特許出願
第0126666号(ラッセル−ウクラフRoussel-Ucla
f)に記載されており、ここでは窒素部分が動物源のペ
プチドの特定混合物である栄養製品について記載されて
いる。しかしながらこの先行技術品の感覚器官刺激特性
は苦味のため満足するものではない。
したがって、約4.5より低いpH値を有し食物性窒素化合
物としてタンパク質またはタンパク質誘導化合物と、脂
肪、炭水化物および水とを含む経腸栄養製品に対し、物
理的および微生物的に安定なエマルジョン特性のほか
に、満足すべき低いオスモラリティ、満足すべき感覚器
官刺激特性および臨床における満足すべき栄養性および
取り扱い性が必要である。
〔問題点を解決するための手段、発明の作用および効果〕
約4.5より低いpH値を有しタンパク質またはタンパク質
誘導物、脂肪、炭水化物および水を含む本発明経腸栄養
製品は、食物性窒素化合物が経腸栄養製品の他の成分と
共に非−苦味性であり、食物性窒素化合物は本明細書で
示す溶解試験にしたがってpH2−7の水性媒体中少なく
とも95%の程度まで溶解し、食物性窒素化合物の少な
くとも50%が植物を供給源とし、経腸栄養製品のオス
モラリティは350ミリ−オスモル未満であり、経腸栄
養製品の全熱量が少なくとも0.68kcal/mlであるという
点で特徴づけられる。
驚くべきことに、本発明の経腸栄養製品が上記で示した
目的を満足することが見出された。さらに、上記記載の
先行技術ミードジョンソン製品と比較して乳化剤を製品
へ添加する必要がないということが見出された。本発明
による製品の優れたエマルジョン特性は本発明による製
品における窒素化合物の特別の範ちゅうから生じるもの
であろう。
第一に、食物性窒素化合物は経腸栄養製品の他の成分と
共に非−苦味性であるべきである。本発明による製品に
使用される食物性窒素化合物自体が幾らか苦い場合でさ
え、決定的に必要なことは、これらが経腸栄養製品の他
の成分と合わせると苦くないということである。タンパ
ク質加水分解物の苦味が減った味はよく研究された分野
であり、たとえばアンドラー−ニッセン(Adler-Nisse
n)(1985)リレーションシップ オブ ストラクチュ
ア トゥ テイスト オブ ペプチド アンド ペプチ
ドミクスチュアズ,イン プロテインテイロリング ア
ンド リエージェント フォアフード アンド メディ
カル ユーゼス Relationship of Structure to Taste
of Peptides and Peptide Mixtures,in Protein Tailo
ring and Reagents for Food and Medical Uses(フィ
ーニイ,アール・イー・Feeny.R.E.,ホワイテーカー,
ジェイ.アール.Whitaker,J.R.編),マルセル デッ
カー社Marcel Dekker,Inc.ニューヨーク,を参照。すな
わち、苦味が疎水性アミノ酸を多量に含有するオリゴペ
プチドの存在により引き起こされることは良く知られて
いる。これらのオリゴペプチドはエクソペプチダーゼに
より分解されるが、しかしながらその結果得られるオス
モラリティは多量の遊離アミノ酸が形成するために非常
に高くなりすぎる(たとえば英国特許第1338936号参
照)。しかしながら当業者は経腸栄養製品の他の成分と
合わせた場合に非−苦味であるタンパク質加水分解物が
どのようにして得られるかを知っている。この点に関し
ては、米国特許第3876806号および同第4100
024号(アドラー−ニッセン)を参考にすることがで
きる。前者には苦味の少ないポリペプチドについて記載
され後者には酸素活性と大豆基質、pHと加水分解度合の
間の比率を含む苦味のないタンパク質加水分解物の製造
についての臨界パラメーターについて記載されている。
簡便さのために、大豆タンパク質についてこの米国特許
に記載されている方法が、DH(Degree of Hydrolysis;
加水分解前のペプチド結合の全数に対する加水分解によ
り切断されたペプチド結合の数の百分率を意味する、以
下同じ)調整タンパク質加水分解として特許請求の範囲
を含む本明細書において言及されるであろう。それ自体
公知の他の工程、たとえば大豆揮発物を除去するための
フラッシング、イオン除去のための超過または電気透
析がこの方法に組込まれる;しかしながら、これらはペ
プチドの苦味のレベルを低下させるには寄与しない。し
かしながら、経腸栄養製品の他の成分と組合わせると非
−苦味性でありそして本発明による経腸栄養製品に課せ
られた他の要求に従う他の食物性窒素化合物であればさ
らに使用することができる。また、米国特許に示された
大豆タンパク質に代わってマメ科のマメ(faba bean)
タンパク質、またはゴマの種子タンパク質を用いたDH調
整タンパク質加水分解により、優れた非−苦味性のタン
パク質加水分解物を作ることができる。マメ科タンパク
質については、オールセン,エイチ.エス.(Olsen,H.
S.)ア サーベイ オン リーセント ディベラプメン
ト イン インダストリアルディベラプメンツ オブ
ヴィシア ファーバプロテイン,ヴィシア ファーバ,
フィーディング バリュー,プロセッシング アンド
ウィルセス A Survey on Recent Developments in Ind
ustrial Developments of Vicia faba Protein,Vicia f
aba,Feeding Value,Processing and Viruses(ポンド,
ディ.エー.Bond,D.A.編)ECSC,EEC,EAEC,ブリュッセ
ル,1980,p.233−255を参照せよ。
バランスのとれたアミノ酸食が得られるように食物性窒
素化合物を選択すべきであるということは言うまでもな
い。単に例示するならば、穀類タンパク質たとえばトウ
モロコシ、コムギおよびカラスムギはリシン欠乏であり
したがって栄養性窒素の単独供給源としては不適当であ
る。一方、後述するように、マメ科植物から生ずるタン
パク質たとえば大豆またはエンドウマメは本発明に単独
で十分適する。
第二に、食物性窒素化合物は、ジェイ.アドラー−ニッ
セン(J.Adler-Nissen)とエイチ.セジャール オール
セン(H.Sejr Olsen),ACS シンポジウム シリーズ
No.92,ファンクショナリティ アンド プロテイ
ン ストラクチュア 1979,p128−129で示
されているように行なわれた溶解試験にしたがってpH2
−7の間の水性媒体に溶解すべきである。上記文献に示
される溶解試験は次の如き方法で行われる:すなわち、
大豆サンプルの窒素溶解度を、次の手順に従い0.2MのN
aClに分散させた1%タンパク質分散液中でpH2.0〜9.0
の範囲にわたって測定した: 2.0gのタンパク質製品を、実験室用ブレンダーを用
い、2分間0.2MのNaCl150ml中に分散せしめた。ブ
レンダーを50mlの0.2M NaClで洗浄し、次いで洗液を
均質化サンプルと一緒にした。pHを、0.2MのHCl又は
0.2MのNaOHを用いて調節し、分散液を電磁攪拌機を用い
て45分間攪拌した。必要により、pHを規則的に調節し
た。攪拌終了時に、容量を釈量して測定し次いで25ml
の分散液を4000×gで30分間遠心分離した。上澄みを
ケルダール法により(2回測定)、窒素含量を分析し次
いで窒素溶解度を、可溶性N%/全N%として計算し
た。上記参考文献で定義されているように窒素溶解度が
95%以上であれば食物性窒素化合物は本発明の認識で
はpH2−7の水性媒体に可溶性であると思われる。この
試験は新規であり、特に本発明のために企図された。上
記文献中134頁が参考になるが、これよりDHが8.0付
近の未分離大豆加水分解物の窒素溶解度はpH8.0で行な
われる加水分解に対し80%付近であり、窒素溶解度は
DH値が増加するにしたがって増加することがわかる。こ
れらの関係はタンパク質供給源に非常に大きく依存す
る。乳漿タンパク質を除いて、したがって本発明による
経腸栄養製品で使用される食物性窒素化合物は主に中鎖
長のポリペプチドからなるべきである:鎖があまり長過
ぎるとペプチドは上記の溶解試験では溶解しないであろ
うし、これらが短か過ぎるとエマルジョンのオスモラリ
ティと物理的安定性の関係に問題が生じるであろう。少
量の遊離アミノ酸が存在してもよいが、しかしあまり多
すぎるとオスモラリティが高過ぎることになる。
第三に、食物性窒素化合物の少なくとも50%は植物源
である。感覚器官刺激要求性はこのような組成物で最も
良く適合し、そしてまた、これは適宜バランスのとれた
アミノ酸組成を有する比較的安い製品に対する可能性を
切開くことがわかった。
第四に、経腸栄養製品は約350ミリオスモル以下にし
て約350ミリオスモル以上のオスモラリティで作られ
る食物に付随する臨床上の不利を防ぐべきである。
正常な生理学的レベルを越える50〜80ミリ−オスモ
ルに大ざっぱに相当する350ミリ−オスモルの限界
は、高いオスモラリティに伴なう欠点が350ミリ−オ
スモルをちょうど越えたオスモラリティで突然生ずるも
のではなくむしろオスモラリティが高くなるにつれて次
第にそして段々に増えるという点で臨界的ではない。
全オスモラリティに対する食物性窒素の寄与率は下記式
(1)を用いて予知されうる: ΔC=100/(100-D%)×P×φ×8/PCLミリ−オスモ
ル (1) 式中、 ΔC…全オスモラリティに対する寄与率 D…最終経腸栄養製品の乾燥物質濃度(重量%) P…タンパク質含量(g尾kg) φ…ペプチドとアミノ酸の浸透圧係数;これはpHおよび
タンパク質濃度の原則値に対し約0.96であることがわか
った(アドラー−ニッセン,ジェイ.Adler-Nissen,J.
(1984),コントロール オブ ザ プロテオリティク
リアクション アンド ザ レベル オブ ビッターネ
ス イン プロテイン ヒドロリシス プロセシーズ
Control of the Proteolytic Reaction and the Level
of Bitterness in Protein Hydrolysis Processes,J.Ch
em.Technol.Biotechnol.34B,215〜222)。
PCL…アミノ酸残基における数平均ペプチド鎖長。PCLは
式(2)により評価される: PCL=8/(leu-NH2-e-NH2) 式中、 leu-NH2は、TNBS−反応で測定されるようにタンパク質
1kgにつきロイシンアミノ当量中の遊離アミノ基の濃度
である(アドラー−ニッセン,ジェイ.(1979)、ディ
ターミネーション オブ ザ ディグリー オブ ヒド
ロリシス オブ フード プロテイン ヒドロリゼート
バイ トリニトロベンゼンスルホン酸 Determinatio
n of the degree of hydrolysis of food protein hydr
olyzates by trinitrobenzen-sulfonic acid,J.Agric.F
ood Chem.27,1256-1262)。
e-NH2は上記した如く同じ単位におけるリシン(すなわ
ち、エプシロンアミノ基)の濃度である。ファクター8
は、両方の式で現われるが、これはほとんどの食物タン
パク質は1kgにつきほぼ8モルのアミノ酸を含むという
事実に基づく(アドラー−ニッセン,1984,前
出)。
タンパク質加水分解物が遊離アミノ酸の公知パーセント
(%AA)を含む場合、PCLの最大値は式(3)から計算さ
れうる。
PCLmax=100/%AA 多くの経腸栄養製品における遊離アミノ酸の割合は製品
の記載からしばしば公知であるので、式(3)は全オスモ
ラリティに対する最低の寄与率を急いで測定するのに有
効である。
経腸栄養製品におけるかなりの量の遊離アミノ酸に関連
したオスモラリティの問題を説明するために、以前に記
載したミードジョンソンの特許に記載した式の好ましい
実施態様における食物性窒素から生ずるオスモラリティ
を次のように計算する: D%=約23%;P=45g/kg;%AA=約70% これを上記式(3)および(1)に挿入するとΔC=314ミ
リ−オスモルの最低値が得られる。炭水化物および無機
物もまたオスモラリティに対しかなり寄与するので、得
られた経腸栄養製品の全オスモラリティは体液における
270−300ミリ−オスモルの通常の生理学的レベル
をかなり越えるであろう。
最終的に経腸栄養製品の全エネルギー量は少なくとも0.
68kcal/mであるべきである。この数字は牛の全乳のエネ
ルギー量に相当し、したがってこの要件により患者は患
者が不快に思う量よりはるかに少ない量である比較的少
量を一日当り飲むことが必要なだけであることが確保さ
れる。
問題となるタンパク質加水分解物におけるオスモラリテ
ィ、溶解度および苦味と平均ペプチド長さ(PCL)との
間の経腸栄養製品における複雑な関係を説明するため
に、第1図と第2図および次の説明が参考になる。
オスモラリティ:オスモラリティはPCLが増加するにし
たがって減少するので最小PCL値はタンパク質加水分解
物のオスモラリティが許容されうる値を越える点より以
下で存在する。
溶解度:PCLの値が増加するため、タンパク質加水分解
物の溶解度は製品のpHに依存するであろう。中性で溶解
度は高いままであり、一方等電点付近(〜pH4.5)での
溶解度は与えられたPCLに対し減少しはじめる。この減
少はPCLが増加するにしたがって減少しこれは最大PCL値
がタンパク質の95%が溶液になるであろう時点で存在
することを意味する。
苦味:PCLに関係する苦味曲線はオリゴペプチドに相当
するPCL範囲のいずれかに最大値を出すであろう。これ
はPCL値の範囲が苦味が最終製品の許容に対し禁止され
ている場所で存在すること、すなわち許容しうるPCL値
はこの範囲を越えるかまたはそれ以下のいずれかでなけ
ればならないことを意味する。
与えられたpHでの各々のタンパク質について、低いオス
モラリティ、高い溶解度および低いかまたは許容されう
る苦味を有する折衷案を表わすPCL値の範囲が存在す
る。この範囲は苦味に対する最大値の右側に位置し、4.
5以下のpH値においてこの範囲は問題となるタンパク質
の溶解度により上方が限定された“ウィンドゥ”であ
る。pH4.5またはそれ以下の経腸栄養製品に関して苦味
に対する最大値の右側にこのような“ウィンドゥ”が存
在することは驚くべきであり予知することはできなかっ
た。
また、DE-OS2844861号には経口用栄養食品につ
いて記載されている;しかしながら、この栄養物は中性
付近のpHを有する。
さらに、DE-OS2751024号には大豆タンパク質に
基づく栄養物の製法について記載されている。しかしな
がら、この栄養物は2〜7の間のすべてのpH値で可溶性
でなく、そしてまたこれは4.5以上のpH値を示す。
さらに、米国特許第4,483,874号には牛乳代用品の調製
について記載されている。経腸栄養製品へ再配合した場
合この製品は350ミリオスモルをはるかに越えるオス
モラリティを有し、ならびに製品の感覚器官刺激特性は
満足すべきものでない。
さらに、ヨーロッパ特許出願(公開第0150053号)には
注入用の低カロリー低浸透圧性水性製剤について記載さ
れている。この製剤は腸管外投与であり、ならびにその
pHは4.5をはるかに越える。
さらに、DE-OS2457733号には新生児用の液状栄
養物が記載されている。この栄養物はタンパク質または
脂肪を含まず、そしてそのpHは4.5以上である。
さらに、米国特許第4,100,024号および同3,876,806号に
は本発明による経腸栄養製品のタンパク質部分として用
いられるタンパク質加水分解物について記載されてい
る。これにはまたpH4.5の簡単な飲物がこのタンパク質
加水分解物に基づいて作られるということが記載されて
いる。しかしながら、この飲物は脂肪を含まず、そして
350ミリオスモルをはるかに越えるオスモラリティを
示す。
最後に、米国特許第4,259,358号には人が使用するため
の食物成分および食物について記載してある。しかしな
がら、すべての記載されている食物成分および食物は4.
5以上のpHである。
本発明の製品の好ましい実施態様において、少なくとも
75%の食物性窒素化合物は植物源である。この方法に
おいて、安くてしかも満足すべき製品が得られる。
本発明製品の好ましい実施態様において、少なくとも9
0%の食物性窒素化合物は植物源である。この方法にお
いて、安くてしかも満足すべき製品が得られる。
本発明製品の好ましい実施態様において、植物源の食物
性窒素化合物は全部または一部が大豆に基づく。大豆タ
ンパク質は入手容易であり、非常に安価な窒素供給源で
ある。
本発明製品の好ましい実施態様において、植物源の食物
性窒素化合物は一部が大豆に基づき、そしてまたマメ科
植物のマメ、セイヨウアブラナの種、カラスムギ、ゴム
またはエンドウマメから生ずる窒素化合物を含むもので
ある。このようにして、窒素化合物を有する製品を得る
ことが可能であり、これはアミノ酸組成の点で非常にバ
ランスが取られている。これは本明細書のさらに後で、
すなわち例の直前の製品Cに関連してさらに明らかにさ
れるであろう。
本発明製品の好ましい実施態様において、植物源の食物
性窒素化合物はDH調整されたタンパク質加水分解を用い
て作られる。このようにして非常に良好な感覚器官刺激
特性を有する製品が得られる。
本発明製品の好ましい実施態様において、製品の全エネ
ルギーは0.70〜2.00kcal/mlである。このようにして粘
度とエネルギー含有量の確実な折衷物が得られうる。
本発明製品の好ましい実施態様においてエネルギーに基
づく食物性窒素化合物の量は10〜35%であり、脂肪
の量は3〜60%であり、残りが炭水化物から生ずるエ
ネルギー量である。このようにして栄養上の要求は完全
に満足しうる。
本発明製品の好ましい実施態様において製品はまた通常
の添加剤たとえば着香料、甘味料、無機物、微量元素、
ビタミンおよび電解物を含む。このようにしてすべての
栄養上のおよび感覚器官刺激上の要求が満足されうる。
本発明製品の好ましい実施態様において製品は少量の陰
イオン性多糖を好ましくは0.05〜1.0重量%含有する。
本発明による通常の乳化製品(すなわち陰イオン性多糖
なし)は数日間安定であり、凝集を全く示さないかまた
は非常に弱い凝集傾向を示すだけである。幾らかクリー
ミングが起きるかもしれないが、しかしスプーンで簡単
に撹拌後、液体は外見上再び均質になり飲むのに適す
る。しかしながら、この実施態様においてクリーミング
に対し向上した安定性が、たとえば少量の陰イオン多糖
を加えることにより得られる。ヴィ・ビー・トルストグ
ゾフ V.B Tolstoguzovおよびイー.イー.ブロイドE.
E. Braudo,プロテインズ アンド アニオニック ポ
リサッカライド アズスタビライザーズ オブ オー/
ダブリュ エマルジョンズProteins and Anionic Polys
accharides as Stabilizers of O/W Emulsions,J.Dispe
vsion Science and Technology,6(5),575〜603(1985)
を参照せよ。陰イオン多糖の非限定例はキサンタムゴム
およびアルギン酸ナトリウムである。
本発明製品の好ましい実施態様において陰イオン性多糖
はペクチン、好ましくは高メトキシル化ペクチンであ
り、低濃度であってさえクリーミングに対し非常に良好
な向した安定性をもたらす。
また、本発明は本発明による経腸栄養製品の製造用薬剤
であって固体状でありそして実質的に本発明による経腸
栄養製品の固体成分からなる薬剤を含む。本発明による
製品は、薬剤を、製品の全エネルギー量が少なくとも0.
68kcal/mlとなるような比で水と簡単に混合することに
より作られうる。
従来技術の経腸栄養製品を背景にして本発明の経腸栄養
製品を説明するために、次の第1表が参考になる。これ
は従来技術の経腸栄養製品の特性と本発明経腸栄養製品
の一例の特性とを表にしたものである。
第1表から明らかなように、公知の市販製品は4.5以下
のpH値を示すものはない。公知製品イソコールまたは他
のカゼイネート系製品が4.5より低い場合には大量の沈
でんが生じ、そして公知製品リービラフのpH値が4.5よ
り低い場合にはその感覚器官刺激特性はまだ許容されな
い。このことは従来の経腸栄養製品を変性することによ
り本発明経腸栄養製品に達する簡単な方法はないことを
説明するものである。
次の例1−9により本発明を説明するが、すべての例は
本発明経腸栄養製品を説明し、そして例6はまた本発明
製品製造用の本発明の物質を説明する。
例の前に例中の窒素源として使用する幾つかの生成物に
ついて記載する。
また例9aの次に表、すなわち第2表を準備するがこれ
は例1−9による製品の重要な特性を一覧表にしたもの
である。第2表において、苦味試験はトライアングル試
験を用いて6人からなる訓練された味覚審査団により行
なわれる。
生成物A タンパク質加水分解物の製造 タンパク質加水分解物を米国特許第4,100,024号例2に
したがって、ただし酵素不活化のためにクエン酸の代わ
りに塩酸を用いて製造した。香りの改善のために、上清
を2〜4秒間140℃まで加熱し次いで減圧室へさっと
入れる。エッチ.セジャール オールセン(H.Sejr Ols
en)およびアドラー ニッセン(Adler-Nissen)、酵素
的に変性したタンパク質の製造の間の限外過および超
過、ACS Symp.Ser.154,133-169にしたがって、生成
物からさらに塩分を除去した。
生成物B 出発物質として脱脂ゴマ粉末を使用して、米国特許第4,
100,024号例2にしたがい、ただし酵素の不活化にクエ
ン酸の代わりとして塩酸を用いてタンパク質加水分解物
を製造した。
生成物C 生成物AとBの異なった比の様々な混合物により作られ
るタンパク質加水分解物を調製し、予め指示された生物
学的値を、各々の場合、アミノ酸分析に基づいてメラッ
プおよびオレッセン(Mφ rup and Olesen),Nutriti
on Reports International 13(1974)355-65にしたがい
計算した。
生成物Cは下記表において最も高いPV値を示す生成物
である。
生成物D 生成物AのようであるがただしDH値15%である。
生成物E 生成物AのようであるがただしDH値14%である。
生成物F 生成物Eのようであるが、ただし出発物質として88%
タンパク質(N×6.25)を有するエンドウ豆タンパク
質単離物を用いる。
〔実施例〕
例1 栄養製品を次の配合にしたがって調製する: 100mlの組成 タンパク質:生成物D(N×6.25) 5.00g 炭水化物:マルデキストリン(Maltodextrins)MD 01
(ロチエット フレール) 11.89− 脂肪:中鎖トリグリセリド ヴィスコレオ(Viscoleo)
(ダンスク ソイヤカーゲファブリーク) 2.98− 大豆油 0.59− 水 全100ml 栄養製品1を作るために、次のように実施する: 成分 I.二クエン酸三カルシウム 0.750g クエン酸 1.750− クエン酸カリウム 1.000− アスパルテーム 0.240− アスコルビン酸 0.100− II.生成物D(N×6.25) 50.0 g III.マルトデキストリン MD01 118.9g 脱塩水 400 ml IV.ヴィスコレオ 29.8 g 大豆油 5.9 − V.脱塩水 全1000ml 製造方法 IをIIに溶かす。pHをpH=4.3に調整する。マルトデキ
ストリンを50℃に加熱することにより水に溶かす。(I
II)。IIIをI+IIと混合し、IVを加える。最後に水(V)
を加え全量1000mlとする。生成物を低圧ホモジナイ
ザー,ガウリン(Gaulin)HS 1 中でホモジナイズす
る。生成物を適当な溶器に充てんし、4℃で貯蔵する。
同様に栄養価を高めた生成物1000mlを作るために、
次のような手段を行なう: 成分: I.二クエン酸三カルシウム 750g クエン酸 1750− クエン酸カリウム 1000− アスパルテーム 240− アスコルビン酸 100− II.50kgN×6.25に相当する量の生成物D 50.0kgタ
ンパク質 III.マルトデキストリン 118.9kg 脱塩水 400 IV.ヴィスコレオ 29.8kg 大豆油 5.9kg V.脱塩水 全1000 製造方法 IをIIに溶かす。pH値は4.3であった。マルトデキスト
リンを50℃まで加熱することにより水に溶かす(II
I)。IIIをI+IIと混合し、IVを加える。最後に水(V)を
加え、全量1000とする。生成物を低圧ホモジナイ
ザーで予備ホモジナイズし、85℃で4秒間低温殺菌
し、最後に60℃の温度で200kg/cm2付近の圧力でホ
モジナイズする。低温殺菌/ホモジナイズした生成物を
滅菌貯蔵タンクに集める。生成物を無菌状態下で適当な
容器に詰め、4℃で貯蔵する。
脂肪小滴の滴径分布をカウルターカウンター(Coulter
Counter)によって測定し、下記表から明らかである
(下記表中、すべての径はμmで表わされる)。
90% 0.92 80% 0.97 70% 1.02 60% 1.07 50% 1.12 40% 1.17 30% 1.23 20% 1.3 10% 1.41 平均小滴直径は1.1μmであり、0.8μmより小さい径の
小滴は検出されなかった。
安定度:24時間後にも何らのクリーミングまたは凝集
は見られなかった。
例2 栄養製品を例1と同様にして調製するが、ただし植物源
の食物性窒素化合物は一部大豆に基づくだけである。
100mlの組成 タンパク質:生成物C(N×6.25) 5.00g 炭水化物:マルデキストリン 11.89− 脂肪:中鎖トリグリセリド 2.98− 大豆油 0.59− 水 全100ml 分析結果については第2表の参照。
例3a 栄養製品を例1のようにして調製するが、ただし食物性
窒素化合物をN×6.25に基づいて比率1:1の乳漿タン
パク質/生成物Eに代える。分析結果については第2表
を参照。
例3b 栄養製品を例1のように調製するが、ただし食物性窒素
化合物をN×6.25に基づいて40:60の比率の乳漿タンパ
ク質/生成物Eに代える。
分析データについては第2表参照。
例3c 栄養製品を例1のように調製するが、ただし食物性窒素
化合物をN×6.25に基づいて25:75の比率の乳漿タン
パク質/生成物Eに代える。
分析データについては第2表参照。
例4 栄養製品を例1のように調製するが、ただし食物性窒素
化合物は遊離アミノ酸で供給され生物学的値を向上す
る。
100mlに対する組成 タンパク質:生成物D(N×6.25) 5.00g メチオニン 65mg トリプトファン 22mg 炭水化物:マルトデキストリン 11.89g 脂肪:中鎖トリグリセリド 2.98g 大豆油 0.59g 水 全100ml 分析データについては、第2表参照。
例5a 栄養製品を例1のように調製するが、ただし製品には小
量のペクチンが含まれる。
製品1000は例1に記載のような方法により作られ
るが、ただしV中の水100を、2.5%ペクチン型J
M水溶液(ケーベンハブンス ペクチンファブリーク
Kφbenhavng Pektinfabrik A/S)100に代える。
安定度:2ケ月後凝集はみられずわずかなクリーミング
がみられただけである。
別の分析データについては第2表を参照。
例5b 栄養製品を例1のように作るが、ただし製品にはキサン
タンゴムが含まれる。
製品1は例1に記載のような手順により作られるが、
ただしV中の水100mlを1.0%キサンタンゴム100m
lに代える。
分析データについては第2表参照。
例5c 栄養製品を例5bのようにして作るが、ただし1.0%キ
サンタンゴム溶液を2.5%アルギン酸ナトリウム100
mlに代える。
分析データについては第2表参照。
例6 栄養製品を例1のように作る。低温殺菌しホモジナイズ
した後、製品を噴霧−乾燥し凝集する。使用する前に、
粉末を水中に分散させることにより再度液状化し最終濃
度1kcal/mlとする。再液状化した製品は乾燥前の製品
と物理的および化学的に同一であるが、ただし粒径分布
はわずかに広がった。
再液状化した栄養製品における脂肪球の粒径分布はカウ
ルターカウンターを用いて測定され、これは下記表から
明らかである。なお、表中すべての径はμmで与えられ
る。
90% 1.54 80% 1.78 70% 2.03 60% 2.32 50% 2.67 40% 3.13 30% 3.8 20% 5.11 10% 12.43 平均粒状直径は2.7μmであり、直径1.0μm以下の小滴
は何ら検出されなかった。
安定度:24時間後、凝集はなくわずかなクリーミング
がみられるだけである。
別の分析データについては第2表を参照。表中、例6に
関係するデータが再液状化製品ついてのものである。
例7 栄養製品を例1に示すように作るが、ただし脂肪の量を
エネルギに基づいて3%減らす。
100mlの組成 タンパク質:生成物E(N×6.25) 5.00g 炭水化物:マルトデキストリン 20.00− 脂肪:ブドウ種油 0.30− 水 全100ml 分析データについて第2表参照。
例8 栄養製品を例1に示すように作るがただし脂肪の量をエ
ネルギーに基づいて60%まで増やす。
100mlの組成 タンパク質:生成物E(N×6.25) 5.00g 炭水化物:マルトデキストリン 5.00− 脂肪:中鎖トリグリセリド 6.80− ブドウ種油 0.30− 水 全100ml 分析データについては第2表を参照。
例9 栄養製品を例1のように作るが、ただし食物性窒素化合
物を生成物Fに代える。
分析データについては第2表を参照。
【図面の簡単な説明】
第1図はpH=7.0におけるタンパク質加水分解物のPCLと
溶解度、オスモラリティ、苦味との関係を示すグラフ、 第2図はpH=4.5におけるタンパク質加水分解物のPCLと
溶解度、オスモラリティ、苦味との関係を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−203172(JP,A) 特開 昭52−114095(JP,A)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pHが4.5より低く食物性窒素化合物として
    タンパク質またはタンパク質誘導化合物、脂肪および炭
    水化物を含む経腸栄養製品であって、前記食物性窒素化
    合物は経腸栄養製品の他の成分と組合わせて非−苦味性
    であり、食物性窒素化合物は少なくとも95%の程度ま
    でpH2〜7の間の水性媒体に溶解し、食物性窒素化合物
    の少なくとも50%が植物源であり、投与時の経腸栄養
    製品のオスモラリティは350ミリオスモル未満であ
    り、そして投与時の経腸栄養製品の全エネルギー含有量
    は少なくとも0.68kcal/mlであることを特徴とする経
    腸栄養製品。
  2. 【請求項2】水性溶液の形の特許請求の範囲第1項に記
    載の製品。
  3. 【請求項3】水性液に溶解して使用するための固体形の
    特許請求の範囲第1項に記載の製品。
  4. 【請求項4】食物性窒素化合物の少なくとも75%が植
    物源である特許請求の範囲第1項〜3項のいずれか1項
    記載の製品。
  5. 【請求項5】食物性窒素化合物の少なくとも90%が植
    物源である特許請求の範囲第1項または第4項記載の製
    品。
  6. 【請求項6】植物源の食物性窒素化合物が全部または一
    部大豆に基づく特許請求の範囲第1項〜第5項のいずれ
    か1に記載の製品。
  7. 【請求項7】植物源の食物性窒素化合物が一部分大豆に
    基づき、そしてマメ科のマメ、セイヨウアブラナの種
    子、カラスムギ、ゴムまたはエンドウマメから生じる窒
    素化合物をも含む特許請求の範囲第6項記載の製品。
  8. 【請求項8】植物源の食物性窒素化合物がDH(加水分解
    前のペプチド結合の全数に対する加水分解により切断さ
    れたペプチド結合の数の百分率)調整されたタンパク質
    加水分解を用いて作られる特許請求の範囲第1項〜第7
    項のいずれか1に記載の製品。
  9. 【請求項9】製品の全エネルギーが0.70〜2.00kcal/ml
    である特許請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1に記
    載の製品。
  10. 【請求項10】エネルギーに基づいて食物性窒素化合物
    の量が10〜35%であり、脂肪の量が3〜60%であ
    り、残りのエネルギー量が炭水化物から生ずる特許請求
    の範囲第1項〜第9項のいずれか1に記載の製品。
  11. 【請求項11】製品がまた、着香料、甘味料、無機物、
    微量元素、ビタミンおよび電解質を含む通常の添加剤を
    も有する特許請求の範囲第1項〜第10項のいずれか1
    に記載の製品。
  12. 【請求項12】製品が陰イオン性多糖を0.05〜1.0重量
    %含む特許請求の範囲第1項〜第11項のいずれか1に
    記載の製品。
  13. 【請求項13】陰イオン性多糖がペクチンである特許請
    求の範囲第12項記載の製品。
  14. 【請求項14】前記ペクチンが高級メトキシル化ペクチ
    ンである特許請求の範囲第13項に記載の製品。
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