JPH0617187A - 高マンガン冷間工具鋼 - Google Patents
高マンガン冷間工具鋼Info
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- JPH0617187A JPH0617187A JP17348992A JP17348992A JPH0617187A JP H0617187 A JPH0617187 A JP H0617187A JP 17348992 A JP17348992 A JP 17348992A JP 17348992 A JP17348992 A JP 17348992A JP H0617187 A JPH0617187 A JP H0617187A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 重量比でＣ；０．５０〜０．８５％、Ｓｉ；
０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００％、
Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜３．０
０％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜０．０６
０％を含有し、残部がＦｅおよび不純物元素からなる高
マンガン冷間工具鋼。 【効果】 Ｃを０．５０〜０．８５％に下げたので焼入
れ性と靱性が向上した。さらに、Ｖ；０．１０％以下と
Ｎ；０．０３０〜０．０６０％を含有せしめたので、Ｎ
がＶと結びついて微細炭化物の析出を妨げ、さらに焼入
れ性が向上した。また、Ｓｉを０．６５〜２．００％と
したので、耐摩耗性が確保された。そのため、本発明の
高マンガン冷間工具鋼は焼入れ性が良く、靱性が高く、
耐摩耗性が従来鋼のＳＫＳ３と同等である冷間成形用型
鋼である。
０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００％、
Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜３．０
０％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜０．０６
０％を含有し、残部がＦｅおよび不純物元素からなる高
マンガン冷間工具鋼。 【効果】 Ｃを０．５０〜０．８５％に下げたので焼入
れ性と靱性が向上した。さらに、Ｖ；０．１０％以下と
Ｎ；０．０３０〜０．０６０％を含有せしめたので、Ｎ
がＶと結びついて微細炭化物の析出を妨げ、さらに焼入
れ性が向上した。また、Ｓｉを０．６５〜２．００％と
したので、耐摩耗性が確保された。そのため、本発明の
高マンガン冷間工具鋼は焼入れ性が良く、靱性が高く、
耐摩耗性が従来鋼のＳＫＳ３と同等である冷間成形用型
鋼である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は冷間プレス型または曲げ
型、絞り型および冶工具に用いられる高マンガン冷間工
具鋼に関する。
型、絞り型および冶工具に用いられる高マンガン冷間工
具鋼に関する。
【０００２】
【従来の技術】冷間プレス型または曲げ型、絞り型およ
び冶工具には、冷間成形用型鋼のうち油焼入れ鋼である
ＳＫＳ３が多く用いられている。ＳＫＳ３はＣ；０．９
５〜１．００％、Ｃｒ；０．５０〜１．００％および
Ｗ；０．５０〜１．００％を含有し、Ｗを含有すること
によりＷ炭化物を生じて耐摩耗性を増加し、Ｃｒを添加
して焼入れ性と耐摩耗性を向上している。また、ＳＫＳ
３は８００〜８５０℃から油焼入れし、１２０〜２００
℃から空冷する焼もどしを行い、使用硬さはＨＲＣ５８
〜６２である。
び冶工具には、冷間成形用型鋼のうち油焼入れ鋼である
ＳＫＳ３が多く用いられている。ＳＫＳ３はＣ；０．９
５〜１．００％、Ｃｒ；０．５０〜１．００％および
Ｗ；０．５０〜１．００％を含有し、Ｗを含有すること
によりＷ炭化物を生じて耐摩耗性を増加し、Ｃｒを添加
して焼入れ性と耐摩耗性を向上している。また、ＳＫＳ
３は８００〜８５０℃から油焼入れし、１２０〜２００
℃から空冷する焼もどしを行い、使用硬さはＨＲＣ５８
〜６２である。
【０００３】しかしながら、ＳＫＳ３は油焼入れ鋼であ
るため、歪の発生量が大きく、最近のＩＣ基板用金型等
の精密用には使用できない場合がある。そのためＣｒ１
３％を含有する高炭素高クロム鋼であるＳＫＤ１１を使
用する場合が多い。さらに、近年はＳＫＤ１１より安価
な、ＡＩＳＩに規定されるマンガン系の空冷硬化冷間加
工用工具鋼を使用する例が増えている。
るため、歪の発生量が大きく、最近のＩＣ基板用金型等
の精密用には使用できない場合がある。そのためＣｒ１
３％を含有する高炭素高クロム鋼であるＳＫＤ１１を使
用する場合が多い。さらに、近年はＳＫＤ１１より安価
な、ＡＩＳＩに規定されるマンガン系の空冷硬化冷間加
工用工具鋼を使用する例が増えている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のＡＩＳ
Ｉに規定されるマンガン系の空冷硬化冷間加工用工具鋼
のうち１％Ｃ−１％Ｃｒ−１％Ｍｏ−２％Ｍｎを含有す
るＡ４は、Ｃが多く焼入れ性が思わしくない。また、
０．７５％Ｃ−１％Ｃｒ−１％Ｍｏ−２％Ｍｎを含有す
るＡ６は、Ｃが低く焼入れ性がよいが耐摩耗性に劣る。
Ｉに規定されるマンガン系の空冷硬化冷間加工用工具鋼
のうち１％Ｃ−１％Ｃｒ−１％Ｍｏ−２％Ｍｎを含有す
るＡ４は、Ｃが多く焼入れ性が思わしくない。また、
０．７５％Ｃ−１％Ｃｒ−１％Ｍｏ−２％Ｍｎを含有す
るＡ６は、Ｃが低く焼入れ性がよいが耐摩耗性に劣る。
【０００５】本発明は従来のＡＩＳＩに規定されるマン
ガン系の空冷硬化冷間加工用工具鋼が焼入れ性または耐
摩耗性のいずれかが劣るという前記のごとき問題点を解
決すべくなされたものであって、焼入れ性および靱性が
良く、かつ耐摩耗性が従来鋼のＳＫＳ３と同等である冷
間成形用型鋼を提供することを目的とする。
ガン系の空冷硬化冷間加工用工具鋼が焼入れ性または耐
摩耗性のいずれかが劣るという前記のごとき問題点を解
決すべくなされたものであって、焼入れ性および靱性が
良く、かつ耐摩耗性が従来鋼のＳＫＳ３と同等である冷
間成形用型鋼を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】発明者等は先ず焼入れ性
を改善するために合金元素の組成について検討した。そ
こで、Ｃ含有量を低減することにより焼入れ性を向上す
ることを着想すると共に、Ｖを添加しＮを０．３０％以
上添加することにより、Ｖの微細炭化物の析出を妨げる
と、さらに焼入れ性が向上することを知見した。
を改善するために合金元素の組成について検討した。そ
こで、Ｃ含有量を低減することにより焼入れ性を向上す
ることを着想すると共に、Ｖを添加しＮを０．３０％以
上添加することにより、Ｖの微細炭化物の析出を妨げる
と、さらに焼入れ性が向上することを知見した。
【０００７】このようにＣ含有量を下げることにより炭
化物が少なくなり靱性が向上するが、Ｃ含有量の低下に
より耐摩耗性が劣化する。そこで、耐摩耗性を向上させ
るためにさらに合金元素について研究を重ねた。その結
果、Ｓｉを０．６５〜２．００％添加することにより耐
摩耗性が向上することを見出して本発明を完成した。
化物が少なくなり靱性が向上するが、Ｃ含有量の低下に
より耐摩耗性が劣化する。そこで、耐摩耗性を向上させ
るためにさらに合金元素について研究を重ねた。その結
果、Ｓｉを０．６５〜２．００％添加することにより耐
摩耗性が向上することを見出して本発明を完成した。
【０００８】本発明の高マンガン冷間工具鋼は、その第
１発明として、重量比でＣ；０．５０〜０．８５％、Ｓ
ｉ；０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００
％、Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜
３．００％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜
０．０６０％を含有し、残部がＦｅおよび不純物元素か
らなることを要旨とする。そして、第２発明は第１発明
の被削性を向上するために、さらにＳ；０．１０％以
下、Ｐｂ；０．４０％以下、Ｃａ；０．００２〜０．０
１０％のうち１種または２種以上を含有せしめたもので
ある。
１発明として、重量比でＣ；０．５０〜０．８５％、Ｓ
ｉ；０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００
％、Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜
３．００％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜
０．０６０％を含有し、残部がＦｅおよび不純物元素か
らなることを要旨とする。そして、第２発明は第１発明
の被削性を向上するために、さらにＳ；０．１０％以
下、Ｐｂ；０．４０％以下、Ｃａ；０．００２〜０．０
１０％のうち１種または２種以上を含有せしめたもので
ある。
【０００９】
【作用】本発明の高マンガン冷間工具鋼は、Ｃを０．５
０〜０．８５％に下げたので焼入れ性と靱性が向上し
た。さらに、Ｖ；０．１０％以下とＮ；０．０３０〜
０．０６０％を含有せしめたので、ＮがＶと結びついて
微細炭化物の析出を妨げ、さらに焼入れ性が向上した。
また、Ｓｉを０．６５〜２．００％としたので、耐摩耗
性の劣化が防止された。
０〜０．８５％に下げたので焼入れ性と靱性が向上し
た。さらに、Ｖ；０．１０％以下とＮ；０．０３０〜
０．０６０％を含有せしめたので、ＮがＶと結びついて
微細炭化物の析出を妨げ、さらに焼入れ性が向上した。
また、Ｓｉを０．６５〜２．００％としたので、耐摩耗
性の劣化が防止された。
【００１０】本発明において、化学成分の組成範囲を限
定した理由について説明する。 Ｃ；０．５０〜０．８５％ Ｃは冷間工具鋼として必要な硬さを得ると同時に、炭化
物を形成して耐摩耗性を向上させる元素であり、この効
果を得るためには０．５０％以上含有が必要である。し
かし、Ｃ量が多くなると焼入れ性や靱性が低下するの
で、その上限を０．８５％とした。
定した理由について説明する。 Ｃ；０．５０〜０．８５％ Ｃは冷間工具鋼として必要な硬さを得ると同時に、炭化
物を形成して耐摩耗性を向上させる元素であり、この効
果を得るためには０．５０％以上含有が必要である。し
かし、Ｃ量が多くなると焼入れ性や靱性が低下するの
で、その上限を０．８５％とした。
【００１１】Ｓｉ；０．６５〜２．００％ Ｓｉは２００℃前後における焼もどし軟化抵抗性を付与
し、焼もどし脆性温度を高温側に遅らせるために必要な
元素であり、この効果を得るためには０．６５％以上含
有させることが必要である。しかし、多量に含有すると
基地に固溶して、焼なまし硬さを上げてしまい、靱性お
よび切削性を低下するので、上限を２．００％とした。
し、焼もどし脆性温度を高温側に遅らせるために必要な
元素であり、この効果を得るためには０．６５％以上含
有させることが必要である。しかし、多量に含有すると
基地に固溶して、焼なまし硬さを上げてしまい、靱性お
よび切削性を低下するので、上限を２．００％とした。
【００１２】Ｍｎ；１．５０〜３．００％ Ｍｎは焼入れ性を高めるために必要な元素であり、この
目的を得るには１．５０％以上含有する必要がある。し
かし，多量に含有すると固溶強化が過大となり、焼なま
し硬さを上げてしまい、靱性および切削性を低下するの
で、その上限を３．００％とした。
目的を得るには１．５０％以上含有する必要がある。し
かし，多量に含有すると固溶強化が過大となり、焼なま
し硬さを上げてしまい、靱性および切削性を低下するの
で、その上限を３．００％とした。
【００１３】Ｃｒ；０．５０〜３．００％ Ｃｒは炭化物を形成して耐摩耗性を向上させると同時
に、素地に固溶して、焼入れ性を向上させる元素であ
り、この効果を得るためには０．５０％以上含有させる
必要がある。しかし、多量に含有すると炭化物が増加す
ると同時に、粗大化し、靱性および切削性が低下するた
め、上限を３．００％とした。
に、素地に固溶して、焼入れ性を向上させる元素であ
り、この効果を得るためには０．５０％以上含有させる
必要がある。しかし、多量に含有すると炭化物が増加す
ると同時に、粗大化し、靱性および切削性が低下するた
め、上限を３．００％とした。
【００１４】Ｍｏ；０．５０〜３．００％ Ｍｏは焼入れ性の向上に大きな効果を与える他に靱性を
向上し耐摩耗性を高める作用を有する元素である。前記
効果を得るためには、０．５０％以上の含有が必要であ
る。しかし含有量が多過ぎると、靱性が低下するので、
その上限を３．００％とした。
向上し耐摩耗性を高める作用を有する元素である。前記
効果を得るためには、０．５０％以上の含有が必要であ
る。しかし含有量が多過ぎると、靱性が低下するので、
その上限を３．００％とした。
【００１５】Ｖ；０．１０％以下 Ｖは耐摩耗性および靱性高める元素であるが、０．１０
％を越えて含有されると、結晶粒が細かくなり焼入れ性
が低下するので、その上限を０．１０％とした。
％を越えて含有されると、結晶粒が細かくなり焼入れ性
が低下するので、その上限を０．１０％とした。
【００１６】Ｎ；０．０３０〜０．０６０％ ＮはＶと結びついて微細炭化物の析出を妨げ焼入れ性低
下を防止する。前記効果を得るためには０．０３０％以
上の含有が必要である。しかし、０．０６０％を越えて
含有させると、鋼塊に巣ができて品質が悪くなるので、
上限を０．０６０％とした。
下を防止する。前記効果を得るためには０．０３０％以
上の含有が必要である。しかし、０．０６０％を越えて
含有させると、鋼塊に巣ができて品質が悪くなるので、
上限を０．０６０％とした。
【００１７】Ｓ；０．１０％以下、Ｐｂ；０．４０％以
下、Ｃａ；０．００２〜０．０１０％のうち１種または
２種以上 Ｓ、ＰｂおよびＣａは被削性を向上するため添加する元
素である。前記効果を得るためにはＣａは０．００２％
以上含有させる必要がある。しかし、添加量が多過ぎる
と靱性が害されるので、Ｓについては０．１０％、Ｐｂ
については０．４０％、Ｃａについては０．０１０％を
上限とした。
下、Ｃａ；０．００２〜０．０１０％のうち１種または
２種以上 Ｓ、ＰｂおよびＣａは被削性を向上するため添加する元
素である。前記効果を得るためにはＣａは０．００２％
以上含有させる必要がある。しかし、添加量が多過ぎる
と靱性が害されるので、Ｓについては０．１０％、Ｐｂ
については０．４０％、Ｃａについては０．０１０％を
上限とした。
【００１８】次に、本発明の特徴を従来鋼、比較鋼と対
比し実施例でもって明らかにする。表１はこれら供試鋼
の化学成分を示すものである。表１において番号１〜７
は第１発明鋼、番号８〜１１は第２発明鋼、番号１２〜
１９は比較鋼、番号２０はＳＫＳ３に相当する従来鋼で
ある。
比し実施例でもって明らかにする。表１はこれら供試鋼
の化学成分を示すものである。表１において番号１〜７
は第１発明鋼、番号８〜１１は第２発明鋼、番号１２〜
１９は比較鋼、番号２０はＳＫＳ３に相当する従来鋼で
ある。
【００１９】なお、番号１２〜１９の比較鋼のうち、１
２鋼はＣ含有量が本発明の組成範囲より低い比較鋼、１
３鋼はＳｉ含有量が本発明の組成範囲より低い比較鋼、
１４鋼はＭｎ含有量が本発明の組成範囲より低い比較
鋼、１５鋼はＣｒ含有量が本発明の組成範囲より高い比
較鋼、１６鋼はＣ含有量が本発明の組成範囲より高くＣ
ｒ含有量が本発明の組成範囲より低い比較鋼、１７鋼は
Ｖ含有量が本発明の組成範囲より高い比較鋼、１８鋼は
ＳｉおよびＮ含有量が本発明の組成範囲より低い比較
鋼、１９鋼はＮ含有量が本発明の組成範囲より低い比較
鋼である。
２鋼はＣ含有量が本発明の組成範囲より低い比較鋼、１
３鋼はＳｉ含有量が本発明の組成範囲より低い比較鋼、
１４鋼はＭｎ含有量が本発明の組成範囲より低い比較
鋼、１５鋼はＣｒ含有量が本発明の組成範囲より高い比
較鋼、１６鋼はＣ含有量が本発明の組成範囲より高くＣ
ｒ含有量が本発明の組成範囲より低い比較鋼、１７鋼は
Ｖ含有量が本発明の組成範囲より高い比較鋼、１８鋼は
ＳｉおよびＮ含有量が本発明の組成範囲より低い比較
鋼、１９鋼はＮ含有量が本発明の組成範囲より低い比較
鋼である。
【００２０】
【表１】
【００２１】表１に示した供試鋼について、衝撃値、焼
入れ性および耐摩耗性について評価した。衝撃値につい
ては、供試鋼からシャルピー衝撃試験用のＪＩＳ５号試
験片を調製し、これを８２０〜８３０℃の焼入れ温度か
ら油焼入れした後、１５０〜２００℃に加熱して空冷す
る焼もどしを施し、試験片の硬さがＨＲＣ６０±１とな
るようにして５Ｒノッチシャルピー衝撃値を測定した。
入れ性および耐摩耗性について評価した。衝撃値につい
ては、供試鋼からシャルピー衝撃試験用のＪＩＳ５号試
験片を調製し、これを８２０〜８３０℃の焼入れ温度か
ら油焼入れした後、１５０〜２００℃に加熱して空冷す
る焼もどしを施し、試験片の硬さがＨＲＣ６０±１とな
るようにして５Ｒノッチシャルピー衝撃値を測定した。
【００２２】焼入れ性については、供試鋼から３ｍｍ径
１０ｍｍ長さの試験片を加工し、各試験片についてフォ
ーマスター試験機（変態点自動測定装置）を用いＨＶ７
００を得る臨界冷却速度を求めた。
１０ｍｍ長さの試験片を加工し、各試験片についてフォ
ーマスター試験機（変態点自動測定装置）を用いＨＶ７
００を得る臨界冷却速度を求めた。
【００２３】耐摩耗性については、供試鋼から試験片を
調製し、これを８２０〜９３０℃の焼入れ温度から油焼
入れした後、１５０〜２５０℃に加熱して空冷する焼も
どしを施し、試験片の硬さがＨＲＣ６０±１となるよう
にし、大越式摩耗試験機を用いて、滑り速度０．３ｍ／
ｓｅｃ、最終荷重６．３ｋｇ、摩耗距離２００ｍ、回転
子ＳＣＲ２０（ＨＲＢ８７．５）の条件で耐摩耗試験を
行い、比摩耗量を求めた。得られた結果は表２にまとめ
て示した。
調製し、これを８２０〜９３０℃の焼入れ温度から油焼
入れした後、１５０〜２５０℃に加熱して空冷する焼も
どしを施し、試験片の硬さがＨＲＣ６０±１となるよう
にし、大越式摩耗試験機を用いて、滑り速度０．３ｍ／
ｓｅｃ、最終荷重６．３ｋｇ、摩耗距離２００ｍ、回転
子ＳＣＲ２０（ＨＲＢ８７．５）の条件で耐摩耗試験を
行い、比摩耗量を求めた。得られた結果は表２にまとめ
て示した。
【００２４】
【表２】
【００２５】表２から知られるように、１２鋼のＣ含有
量が本発明の組成範囲より低い比較鋼は、衝撃値６３．
５Ｊ／ｃｍ2と高かったが、比摩耗量が３．８５×１０
-4ｍｍ2／ｋｇｆと耐摩耗性に劣り、１３鋼のＳｉ含有
量が本発明の組成範囲より低い比較鋼は、比摩耗量が
３．４０×１０-4ｍｍ2／ｋｇｆと耐摩耗性に劣った。
また、１４鋼はＭｎ含有量が本発明の組成範囲より低か
ったので、焼入れ性に劣り、１５鋼はＣｒ含有量が本発
明の組成範囲より高かったので、衝撃値が２６．４Ｊ／
ｃｍ2と劣った。
量が本発明の組成範囲より低い比較鋼は、衝撃値６３．
５Ｊ／ｃｍ2と高かったが、比摩耗量が３．８５×１０
-4ｍｍ2／ｋｇｆと耐摩耗性に劣り、１３鋼のＳｉ含有
量が本発明の組成範囲より低い比較鋼は、比摩耗量が
３．４０×１０-4ｍｍ2／ｋｇｆと耐摩耗性に劣った。
また、１４鋼はＭｎ含有量が本発明の組成範囲より低か
ったので、焼入れ性に劣り、１５鋼はＣｒ含有量が本発
明の組成範囲より高かったので、衝撃値が２６．４Ｊ／
ｃｍ2と劣った。
【００２６】１６鋼はＣ含有量が本発明の組成範囲より
高くＣｒ含有量が本発明の組成範囲より低かったので、
衝撃値、焼入れ性、耐摩耗性共に悪く、１７鋼のＶ含有
量が本発明の組成範囲より高い比較鋼は、臨界冷却速度
が０．４５℃／ｓｅｃと焼入れ性に劣った。１８鋼はＳ
ｉおよびＮ含有量が本発明の組成範囲より低かったの
で、焼入れ性および耐摩耗性に劣り、１９鋼のＮ含有量
が本発明の組成範囲より低い比較鋼は、同様に焼入れ性
と耐摩耗性に劣った。
高くＣｒ含有量が本発明の組成範囲より低かったので、
衝撃値、焼入れ性、耐摩耗性共に悪く、１７鋼のＶ含有
量が本発明の組成範囲より高い比較鋼は、臨界冷却速度
が０．４５℃／ｓｅｃと焼入れ性に劣った。１８鋼はＳ
ｉおよびＮ含有量が本発明の組成範囲より低かったの
で、焼入れ性および耐摩耗性に劣り、１９鋼のＮ含有量
が本発明の組成範囲より低い比較鋼は、同様に焼入れ性
と耐摩耗性に劣った。
【００２７】これに対して本発明例である１〜１１鋼
は、５Ｒノッチ衝撃値が３７．３〜７１．６Ｊ／ｃｍ2
であり、ＨＶ７００を得る臨界冷却速度は０．０９〜
０．１９℃／ｓｅｃで充分に空気焼入れが可能であり、
比摩耗量が２．１５〜２．６９ｍｍ2／ｋｇｆであっ
て、衝撃値、焼入れ性および耐摩耗性に優れていること
が判明し、本発明の効果が確認された。
は、５Ｒノッチ衝撃値が３７．３〜７１．６Ｊ／ｃｍ2
であり、ＨＶ７００を得る臨界冷却速度は０．０９〜
０．１９℃／ｓｅｃで充分に空気焼入れが可能であり、
比摩耗量が２．１５〜２．６９ｍｍ2／ｋｇｆであっ
て、衝撃値、焼入れ性および耐摩耗性に優れていること
が判明し、本発明の効果が確認された。
【００２８】
【発明の効果】本発明の高マンガン冷間工具鋼は以上詳
述したように、重量比でＣ；０．５０〜０．８５％、Ｓ
ｉ；０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００
％、Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜
３．００％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜
０．０６０％を含有し、残部がＦｅおよび不純物元素か
らなることを特徴とするものであり、Ｃを０．５０〜
０．８５％に下げたので焼入れ性と靱性が向上した。さ
らに、Ｖ；０．１０％以下とＮ；０．０３０〜０．０６
０％を含有せしめたので、ＮがＶと結びついて微細炭化
物の析出を妨げ、さらに焼入れ性が向上した。また、Ｓ
ｉを０．６５〜２．００％としたので、耐摩耗性が確保
された。そのため、本発明の高マンガン冷間工具鋼は焼
入れ性が良く空気焼入れが可能であり、靱性が高く、耐
摩耗性が従来鋼のＳＫＳ３と同等である冷間成形用型鋼
である。
述したように、重量比でＣ；０．５０〜０．８５％、Ｓ
ｉ；０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００
％、Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜
３．００％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜
０．０６０％を含有し、残部がＦｅおよび不純物元素か
らなることを特徴とするものであり、Ｃを０．５０〜
０．８５％に下げたので焼入れ性と靱性が向上した。さ
らに、Ｖ；０．１０％以下とＮ；０．０３０〜０．０６
０％を含有せしめたので、ＮがＶと結びついて微細炭化
物の析出を妨げ、さらに焼入れ性が向上した。また、Ｓ
ｉを０．６５〜２．００％としたので、耐摩耗性が確保
された。そのため、本発明の高マンガン冷間工具鋼は焼
入れ性が良く空気焼入れが可能であり、靱性が高く、耐
摩耗性が従来鋼のＳＫＳ３と同等である冷間成形用型鋼
である。
Claims (2)
- 【請求項１】 重量比でＣ；０．５０〜０．８５％、Ｓ
ｉ；０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００
％、Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜
３．００％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜
０．０６０％を含有し、残部がＦｅおよび不純物元素か
らなることを特徴とする高マンガン冷間工具鋼。 - 【請求項２】 重量比でＣ；０．５０〜０．８５％、Ｓ
ｉ；０．６５〜２．００％、Ｍｎ；１．５０〜３．００
％、Ｃｒ；０．５０〜３．００％、Ｍｏ；０．５０〜
３．００％、Ｖ；０．１０％以下、Ｎ；０．０３０〜
０．０６０％を含有し、さらにＳ；０．１０％以下、Ｐ
ｂ；０．４０％以下、Ｃａ；０．００２〜０．０１０％
のうち１種または２種以上を含有し、残部がＦｅおよび
不純物元素からなることを特徴とする高マンガン冷間工
具鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17348992A JPH0617187A (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 高マンガン冷間工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17348992A JPH0617187A (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 高マンガン冷間工具鋼 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0617187A true JPH0617187A (ja) | 1994-01-25 |
Family
ID=15961459
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP17348992A Pending JPH0617187A (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 高マンガン冷間工具鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0617187A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6902631B2 (en) | 1999-11-02 | 2005-06-07 | Ovako Steel Ab | Air-hardening, low to medium carbon steel for improved heat treatment |
| WO2017109233A1 (en) * | 2015-12-24 | 2017-06-29 | Rovalma, S.A | Long durability high performance steel for structural, machine and tooling applications |
-
1992
- 1992-06-30 JP JP17348992A patent/JPH0617187A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6902631B2 (en) | 1999-11-02 | 2005-06-07 | Ovako Steel Ab | Air-hardening, low to medium carbon steel for improved heat treatment |
| WO2017109233A1 (en) * | 2015-12-24 | 2017-06-29 | Rovalma, S.A | Long durability high performance steel for structural, machine and tooling applications |
| JP2019505674A (ja) * | 2015-12-24 | 2019-02-28 | ロバルマ, ソシエダッド アノニマRovalma, S.A. | 構造、機械、工具応用のための長期耐用性高機能鋼鉄 |
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