JPH06169769A - ペクチン分解酵素 - Google Patents

ペクチン分解酵素

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JPH06169769A
JPH06169769A JP32416092A JP32416092A JPH06169769A JP H06169769 A JPH06169769 A JP H06169769A JP 32416092 A JP32416092 A JP 32416092A JP 32416092 A JP32416092 A JP 32416092A JP H06169769 A JPH06169769 A JP H06169769A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低分子ペクチンを生産できるペクチン分解酵素
を提供すること。 【構成】ペクチン及びペクチン酸を分解するペクチン分
解酵素であって、(1)サッカロマイセス属から生産さ
れるエンド型ポリガラクツロナーゼ、(2)至適pHが
4.0、(3)安定pH領域が4.0から8.0、
(4)至適温度が45℃、(5)45℃まで酵素活性が
安定、(6)分子量が38,000であるペクチン分解
酵素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペクチンを分子量2か
ら8万の低分子ペクチンに分解することができるペクチ
ン分解酵素に関する。特に、分解酵素が、エンド型ポリ
ガラクツロナーゼであるものに関する。
【0002】
【従来の技術】食物繊維は、人の消化酵素では消化され
ない食物中の難消化成分と定義付けられており、セルロ
ース、リグニン、ペクチン等の植物細胞壁成分のみなら
ず、広くキチンやキトサン等の不消化有機物を含むもの
である。近年、これらは、便通改善効果をはじめ、血中
コレステロール低下作用等の種々の作用を有し、成人病
の予防などにも重要な役割を果たしていることが明らか
になってきた。
【0003】これら食物繊維の中でも、ペクチンやペク
チン酸等のペクチン質は、食物繊維としての活性が強
く、便通改善、血中コレステロールレベルの上昇抑制効
果、胆石形成の抑制効果、高血圧抑制効果など種々の効
果が報告されている。従来、ペクチン質は、食品工業に
おいて、安定剤として、ジャム、フルーツゼリー、ドリ
ンクヨーグルト、乳酸菌飲料などに用いられてきたが、
以上のような効果を有することから、食品繊維として飲
食品に添加することも期待される。
【0004】ペクチン質は、未熟の果実或いは植物体中
でセルロースと結合して、プロトペクチンという複合体
の形で存在し、特に、柑橘類、リンゴ、かりん等に多量
に含まれている。このプロトペクチンは、不溶解性であ
るが、果実が成熟すると加水分解されて可溶性のペクチ
ン又はペクチン酸を生じる。
【0005】このうち、ペクチンは、ガラクツロン酸の
ポリマーであるガラクツロナンを主成分とし、ラムノー
ス、アラビノース、キシロース、ガラクトースなどを微
量に含む分子量200,000以上の多糖である。
【0006】ところが、一般に、ペクチンは、溶解性が
低く、高粘度で、ゲル化能が強いという性質を有してい
る。従って、ペクチンは、上記のような種々の効果を有
するにもかかわらず、その性質故に、飲食品に少量しか
添加できず、食物繊維としての活性が期待できるだけの
量を飲食品に含有させることが困難であった。
【0007】従って、この問題を解決するためには、低
粘度、高溶解性を有し、且つ繊維としての生理活性を保
持した低分子量ペクチンが必要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の事情に鑑み、本
発明の目的は、低分子ペクチンを生産できるペクチン分
解酵素を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ペクチン分
解酵素によってペクチンを低分子化することによって、
低粘度で且つ溶解性の高いペクチンが得られると考え、
多くのペクチン分解酵素を検討した。その結果、発明者
らは、エンド型ポリガラクツロナーゼをペクチンに作用
させた場合、分解限度まで作用させても、分解によるペ
クチンの分子量の低下は2万程度までしか進行しないこ
とを見い出した。また、反応条件を制御することによ
り、2〜8万程度の分子量を有する低分子ペクチンが得
られることも見いだした。
【0010】従って、本発明の課題は、以下の手段を用
いることによって解決される。
【0011】即ち、この手段は、以下の(1)から
(6)までの性質を具備するペクチン及びペクチン酸を
分解するペクチン分解酵素である。
【0012】(1)該ペクチン分解酵素が、サッカロマ
イセス属から生産されるエンド型ポリガラクツロナーゼ
である。
【0013】(2)35℃で20分間反応させた場合の
至適pHが、4.0である。
【0014】(3)35℃で60分間加温した場合の安
定pH領域が4.0から8.0である。
【0015】(4)pH5.0で反応させた場合の至適
温度が45℃である。
【0016】(5)pH5.0の条件下において60分
間加温した場合、45℃まで酵素活性が安定である。
【0017】(6)分子量が38,000である。
【0018】本発明者らは、ペクチン分解酵素を産出す
る種々の微生物について検討を行った結果、サッカロマ
イセス属に属する酵母(サッカロマイセスバヤヌス(Sac
charomyces bayanus) 、JTF−4)が、上記エンド型
ポリガラクツロナーゼを生産することを始めて見い出し
た。
【0019】尚、本酵母を平成4年7月9日付で工業技
術院微生物工業技術研究所に寄託した(微工研条寄第3
916号)。
【0020】以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】一般に、エンド型ポリガラクツロナーゼ
は、微生物、高等植物等に存在するが、これらから酵素
を精製するためには多くの工程が必要である。すなわ
ち、微生物等の培養液から菌体を除去した培養上清を硫
安沈殿処理に供して蛋白質のみを塩析させ、これをイオ
ン交換体を用いて電荷により分離し、更にゲル濾過によ
って分子量により分離するという一般の酵素精製工程に
より精製する。
【0022】上記JTF−4から得られた本発明のエン
ド型ポリガラクツロナーゼは、菌体外に分泌される菌体
外酵素であるので、その培養上清をそのまま粗酵素液と
して用いることができる。通常、培養上清は、上記酵母
を寒天培地で種培養し、これを更に本培養に供して大量
培養し、得られた培養物を遠心分離して菌体を除去する
ことによって得ることができる。このようにして、上記
酵母から得られた培養上清は、酵素反応に直接用いるこ
とができ、これにより酵素精製工程の簡略化を図ること
ができるので好ましい。
【0023】前記培養上清に透析、限外濾過、イオン交
換、又はゲル濾過などの簡単な処理を施すことは、本酵
素を用いた反応において、より液色を透明にすることが
できるのでより好ましい。
【0024】以下に本発明のエンド型ポリガラクツロナ
ーゼ(以下JTFP−4と称する)の理化学的性質につ
いて述べる。
【0025】本発明の酵素であるJTFP−4は、ペク
チン及びペクチン酸に作用してこれらを加水分解するも
のであり、以下の性質を有する。
【0026】(1)基質特異性 本発明のJTFP−4は、ペクチン及びペクチン酸を分
解するが、可溶性澱粉、デキストリン及びキシランを分
解しない。
【0027】(2)至適pH 本発明のJTFP−4は、pH4付近に至適pHを有す
る。
【0028】(3)安定pH領域 本発明のJTFP−4は、pH4〜8で安定である。
【0029】(4)酵素活性 本発明のJTFP−4の酵素活性は、33.9ユニット
/mg蛋白である。
【0030】(1ユニット:ペクチン酸の加水分解にお
いて、35℃で1分間に加水分解物の還元基が1μmol
生成する酵素量) (5)至適温度 本発明のJTFP−4は、45℃付近に至適温度を有す
る。
【0031】(6)安定温度 本発明のJTFP−4は、45℃までは安定である。
【0032】(7)金属イオン及び阻害剤の影響 本発明のJTFP−4は、塩化バリウムで69%阻害さ
れるが、硫酸マグネシウムでは阻害されない。また、E
DTAによって74%阻害される。
【0033】(8)分子量 本発明のJTFP−4の分子量は、38,000であ
る。
【0034】(9)アミノ酸組成 本発明のJTFP−4は、分子中にグルタミン及びグル
タミン酸を最も多く含有する(1分子当たり130残
基)。
【0035】以下に本発明の酵素をペクチンに作用させ
る場合について述べる。
【0036】ペクチンに本発明のエンド型ポリガラクツ
ロナーゼ(JTFP−4)を作用させるにあたっては、
精製物、培養上清(粗酵素液)或いはその処理物のいず
れを用いてもよい。
【0037】低分子ペクチンは、上述のようにして得ら
れた精製物、培養上清、或いはその処理物を、ペクチン
を酢酸等の緩衝液に懸濁した懸濁液と反応させることに
より得られる。
【0038】この酵素分解反応は、反応時間が12〜4
8時間、ペクチン1重量部に対する酵母培養上清の量的
割合が5〜20重量部の条件下で行われることが好まし
い。また、反応温度及びpHは、反応が十分に進行し、
かつエンド型ポリガラクツロナーゼが失活しない温度及
びpH、すなわち30〜50℃、pH4.0〜8.0が
それぞれ好ましい。
【0039】この反応は分解限度で行ってもペクチンの
分解は分子量2万程度で止まるが、上記反応時間等の反
応条件を制御することにより、2〜8万程度の範囲の任
意の分子量を有する低分子ペクチンを得ることができ
る。
【0040】本発明の低分子ペクチンは、2〜8万程度
の分子量を有し得るが、食物繊維としての生理活性保持
及び飲食品への添加容易性の観点から5〜7万程度の分
子量を有することが好ましい。最も好ましいのは6万程
度の分子量を有する低分子ペクチンである。
【0041】このようにして得られたペクチンの分解物
は、そのまま乾燥して使用してもよく、また、更に処理
を施してもよい。
【0042】更に処理を施す場合は、分解物中のガラク
ツロン酸やそのオリゴ糖、及び酵素反応時の緩衝液とし
て使用した酢酸を除去するために、ペクチンの分解物を
透析、限外濾過などの精製工程に付し、その後、生成し
た分解物をエタノール、アセトンなどの有機溶媒による
沈殿工程、或いは凍結乾燥、噴霧乾燥などの乾燥工程に
より粉末化し使用に供する。
【0043】上記方法により得られた低分子ペクチン
は、その分子量が食品添加物としての既存のペクチンや
アガロースなどの多糖と、マルトオリゴ糖やフラクトオ
リゴ糖などのオリゴ糖の間に位置するものである。ま
た、この低分子ペクチンは、元のペクチンに対してかな
り低粘度であり、かつ溶解度が高いにもかかわらず、食
物繊維の生理活性の一つである便通改善効果を保持して
いる。
【0044】一方、本発明の低分子ペクチンは、上記性
質を有することから、従来は不可能であった、食物繊維
としての生理活性を保持できる程度の量、すなわち0.
01〜50重量%、好ましくは0.1〜5重量%を、ジ
ュース、キャンディー、食パン、ジャム等種々の飲食品
に含有させることができる。
【0045】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0046】実施例1 JTF−4の培養法 サッカロマイセスバヤヌス(JTF−4)をショ糖2%
を含むジャガイモ煎汁寒天斜面培地(pH5.0)で2
8℃の条件下で3日間培養した。その後、斜面培地に増
殖した本菌体を1白金耳採り、200mlの三角フラス
コに入った液体培地50ml(ブドウ糖5%、リン酸ア
ンモニウム0.2%、リン酸1カリウム0.1%、硫酸
マグネシウム0.1%及び酵母エキス0.4%、pH
5.0)に接種し、更に28℃で3日間静置培養した。
この培養物を同じ組成の培地1リットルを含む3リット
ルの三角フラスコに接種し、更に28℃で3日間培養し
た。培養終了後、この培養物を8,000rpmで10
分間遠心分離し、菌体を除去して培養上清を得た。
【0047】実施例2 JTFP−4の調製方法及び分子量の測定 実施例1で得られた培養上清をミリポアフィルター(ポ
アサイズ0.45μ)を用いて濾過し、菌体を完全に除
去した。次に、培養瀘液を0.02M酢酸緩衝液(pH
5.0)中で5℃条件下、一晩透析を行った。透析済み
培養上清約600mlをイオン交換カラム(S-Sepharos
e) に吸着させ、食塩水による密度勾配法によって溶出
した。活性のあった画分を集め、0.02Mの酢酸緩衝
液を溶出液に用いて、ゲル濾過カラムクロマトグラフィ
ー(Sephadex G-75) を行った。このクロマトグラムは、
1本の活性の高いピークを示した。この活性の高い部分
の画分を集め、蒸留水で一晩、5℃条件下で透析を行っ
た後、ゲル濾過によって5mlに濃縮した。培養上清6
00mlからタンパク質として約1mgの精製酵素を得
た。
【0048】酵素活性(1ユニット)は、ソモギ−ネル
ソン法を用いて、酵素反応によってできる加水分解物の
還元基の生成量を測定することによって定量した。即
ち、1ユニットは、35℃で1分間に加水分解物の還元
基が1μmol 生成する酵素量である(生成した還元基の
量はガラクツロン酸の量として換算した)。測定の結
果、本発明の酵素活性は、33.9ユニット/mg蛋白
であった。
【0049】また、該サンプルを用いてSDSポリアク
リルアミド電気泳動を行ったところ、単一バンドとして
検出された。
【0050】実施例3 本発明の酵素の性質を調べるために以下の実験を行っ
た。
【0051】(1)基質特異性 本酵素の基質特異性を調べるために、下表1に示した基
質との反応性を調べた。
【0052】0.2Mの酢酸緩衝液(pH5.0)に最
終濃度が0.2%となるように各基質を添加した。これ
らの溶液0.15mlに、酵素液を0.1ml添加し、
35℃条件下で20分間反応させソモギ−ネルソン法、
即ち、酵素分解によって生じた還元末端量を測定するこ
とによって、基質分解活性の有無を検定した。各基質に
対する分解活性を表1に示した。表1において、○は本
酵素により分解されたものを、×は分解されなかったも
のを表わす。
【表1】 表1からわかるように、本酵素は、ペクチン及びペクチ
ン酸は分解するが、可溶性澱粉、デキストリン及びキシ
ランは分解しない。
【0053】(2)至適pH 最終濃度が0.2%となるようにペクチン酸を含有した
pH2〜7のマックイルベイン緩衝液0.23mlに、
酵素液を0.02ml加え、35℃で20分間反応さ
せ、活性をソモギ−ネルソン法で測定した。酵素活性値
は最大活性値を100%として、相対活性で表わした。
図1に示すように、ソモギ−ネルソン法から求めた相対
活性をpHに対してプロットし、至適pHを求めた。図
1からわかるように、本酵素の至適pHは4付近であっ
た。
【0054】(3)安定pH領域 緩衝溶液は、0.2Mのマックイルベイン緩衝液(pH
3〜7)及びリン酸緩衝液(pH7〜10)を使用し
た。
【0055】pH3〜10の各緩衝溶液0.125ml
に本酵素0.025mlを加え、35℃で1時間処理し
た。次いで、0.5M酢酸緩衝液(pH5.0)を0.
15ml加え、pHを5.0に調製した。この溶液にペ
クチン酸を最終濃度が0.2%になるように加え、35
℃で20分間反応させ、活性をソモギ−ネルソン法で測
定した。酵素活性値は最大活性値を100%として、相
対活性で表わした。図2に示すように、ソモギ−ネルソ
ン法から求めた相対活性をpHに対してプロットし、安
定pH領域を求めた。図2からわかるように、本酵素
は、pH4〜8で安定であった。
【0056】(4)至適温度 0.2%のペクチン酸を含む0.2Mのマックイルベイ
ン緩衝液(pH5.0)0.23mlに本酵素0.02
mlを添加し、20から80℃の温度で5分間反応さ
せ、活性をソモギ−ネルソン法で測定した。酵素活性値
は最大活性値を100%として、相対活性で表わした。
図3に示すように、ソモギ−ネルソン法から求めた相対
活性を温度に対してプロットし、至適温度を求めた。図
3からわかるように、本酵素は、45℃付近に至適温度
を有する。
【0057】(5)安定温度領域 0.5Mのマックイルベイン緩衝液(pH5.0)0.
13mlに本酵素0.02mlを添加し、20から65
℃の温度で60分間熱処理した。氷冷後、各処理液にペ
クチン酸の0.5%水溶液0.1mlを加え、35℃で
20分間反応させ、活性をソモギ−ネルソン法で測定し
た。酵素活性値は最大活性値を100%として、相対活
性で表わした。図3に示すように、ソモギ−ネルソン法
から求めた相対活性を温度に対してプロットし、安定温
度領域を求めた。図4からわかるように、本酵素の相対
活性は、45℃までは73%であったが、65℃では約
20%まで低下した。この結果から、本酵素の安定温度
領域は45℃までであるとした。
【0058】(6)金属イオン及び阻害剤の影響 金属イオン及び阻害剤が本酵素に与える影響について検
討した。
【0059】精製した酵素液を0.002ml含む0.
15mlの0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)に、下記
の表2の各種金属イオン及び阻害剤を1mMとなるよう
に添加した。各溶液を35℃で5分間反応させた後、ペ
クチン酸の0.5%水溶液を0.1ml添加し、更に3
5℃で20分反応させ、阻害率をソモギ−ネルソン法で
測定した。結果を表2に示した。阻害率は、金属又は阻
害剤を添加しない場合を基準(0%)とした相対値であ
る。
【0060】
【表2】 表から明らかなように、本酵素は、EDTAによって最
も阻害(74%)された。金属イオンでは、バリウムイ
オン(塩化バリウム)で69%阻害されたが、マグネシ
ウムイオン(硫酸マグネシウム)では全く阻害されなか
った。
【0061】(7)分子量 実施例2で得られた本酵素の分子量を、SDSポリアク
リルアミド電気泳動により測定したところ38,000
であった。
【0062】(8)アミノ酸組成 本発明の酵素を6M塩酸で105℃、24時間加水分解
した。このものをアミノ酸アナライザー(日立製、83
5型)で分析し、構成アミノ酸量を測定した。測定を3
回繰り返し、各アミノ酸の比率を計算することによっ
て、アミノ酸組成を計算した。結果を表3に示す。
【0063】
【表3】 表からわかるように、グルタミン及びグルタミン酸が最
も多く、次にセリンが多かった。
【0064】実施例4 (1)JTF−4培養上清による低分子ペクチンの調製 レモンペクチン(和光純薬工業)100gを0.025
M酢酸緩衝液(pH4.8)4リットルに懸濁し、これ
に実施例1で製造したJTF−4の培養上清(JTFP
−4含有)1リットルを加え、40℃で24時間反応さ
せた。得られた反応液をロータリーエバポレーターを用
い、60℃で濃縮後、試料溶液の100倍量の脱イオン
水に対し一晩透析し、更に凍結乾燥することにより分子
量約6万6千の低分子ペクチン70.4gを得た。
【0065】(2)便通改善効果 4週齢のSD系雄性ラットを固形飼料(オリエンタル酵
母固形飼料MF)で4日間飼育した後、これを5匹ずつ
4群に分けた。その後、それぞれの群に、下記表4に示
す配合の飼料、及び固形飼料を与え、9日間飼育し、9
日目の糞便を回収した。得られた結果を下記表5に示
す。固形飼料の糞便の軟度を基準とし、硬化したものを
−、軟化したものを+とした。
【0066】
【表4】
【表5】 表5に示した結果から、本発明の酵素によって製造した
低分子ペクチンは、ペクチンと同様に便の軟化作用を持
ち、便通改善に効果のあることがわかった。
【0067】
【発明の効果】本発明で得られた酵素は、体外に分泌さ
れる菌体外酵素であるので、その培養上清をそのまま粗
酵素液として用いることができ、酵素反応に直接用いる
ことができるので、酵素精製工程の簡略化を図ることが
できるという利点を有する。また、本発明の酵素はペク
チンを低分子ペクチンに容易に分解することができ、し
かも、得られた低分子ペクチンは、低粘度、高溶解性で
あり、かつ便通改善などの食物繊維の生理活性を保持し
ているため、飲食品に食物繊維としての生理活性を付加
できる程度に容易に添加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本酵素の至適pHを決定するためのpHと相対
活性との関係を示した図。
【図2】本酵素の安定pH領域を決定するためのpHと
相対活性との関係を示した図。
【図3】本酵素の至適温度を決定するための温度と相対
活性との関係を示した図。
【図4】本酵素の安定温度範囲を決定するための温度と
相対活性との関係を示した図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】
【表2】 表から明らかなように、バリウムイオン(塩化バリウ
ム)で69%阻害されたが、マグネシウムイオン(硫酸
マグネシウム)では全く阻害されなかった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクチン及びペクチン酸を分解するペク
    チン分解酵素であって、(1)該ペクチン分解酵素が、
    サッカロマイセス属から生産されるエンド型ポリガラク
    ツロナーゼであること、(2)35℃で20分間反応さ
    せた場合の至適pHが、4.0であること、(3)35
    ℃で60分間加温した場合の安定pH領域が4.0から
    8.0であること、(4)pH5.0で反応させた場合
    の至適温度が45℃であること、(5)pH5.0の条
    件下において60分間加温した場合、45℃まで酵素活
    性が安定であること、(6)分子量が38,000であ
    ること、とを具備したペクチン分解酵素。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100747057B1 (ko) * 1999-11-01 2007-08-07 소니 가부시끼 가이샤 데이터복호장치 및 방법
JP2012019757A (ja) * 2010-07-16 2012-02-02 Kao Corp ポリガラクツロナーゼ
JP2012187042A (ja) * 2011-03-10 2012-10-04 Kao Corp ポリガラクツロナーゼ

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