JP3899374B2 - ポリメチルガラクチュロナーゼ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロトペクチン及びメチルエステル化ポリガラクチュロン酸に特異的に作用するポリメチルガラクチュロナーゼ、当該ポリメチルガラクチュロナーゼをコードする遺伝子、及び当該ポリメチルガラクチュロナーゼの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペクチンは柑橘類果皮を初めとした植物組織中に著量存在し、植物体の基本骨格を構成する成分である。ペクチンはジャムやゼリー等の増粘剤、粘結剤、また難消化性であることを利用した低カロリー食品、食感を利用した脂肪分の代替など、多くの健康指向食品に、さらには懸濁液やエマルジョンの安定化剤として化粧品等に利用されている。また、ペクチンオリゴ糖にも胃潰瘍の抑制やコレステロール低減などの生理作用が見出されており、今までにない低カロリーの甘味源としての期待が持たれている。
【0003】
ペクチンは構成単位であるガラクチュロン酸がα−1,4結合したポリガラクチュロン酸を基本構造とする酸性多糖であり、ガラクチュロン酸残基の40〜80%がメトキシ(メチルエステル)化された構造を有している。
【0004】
現在までペクチン分解酵素は大別してポリガラクチュロン酸鎖のグルコシド結合をβ脱離により切断するリアーゼと、グルコシド結合を加水分解するガラクチュロナーゼの二系統が知られている。一般にリアーゼは細菌類を中心に、ガラクチュロナーゼは真菌類で多く見出されている。
【0005】
また、ペクチンは植物組織中に多く含まれているが、金属塩によるキレート結合、他の中性糖鎖や細胞壁多糖との共有結合、イオン結合などにより、不溶化されたプロトペクチンと称される状態で存在する。プロトペクチンに作用してペクチンを遊離する酵素群はプロトペクチナーゼと称されているが、ペクチン分解活性とプロトペクチナーゼ活性には直接の関連はなく、ペクチン分解酵素であってもプロトペクチナーゼ活性を示さないもの、逆にペクチン分解活性がなくともプロトペクチナーゼ活性を示すものが存在する。そして、プロトペクチナーゼはペクチン分解活性を示すAタイプと、示さないBタイプに分類されている。
【0006】
今まで発見されているペクチン分解酵素(ペクチナーゼ)の多くは、共にメトキシ化されたガラクチュロン酸残基の部位を切断する能力を有さない、ポリガラクチュロナーゼ(EC 3.2.1.15)又はポリガラクチュロン酸リアーゼ(EC 4.2.2.2)に属する酵素である。上述のように、ペクチン中のポリガラクチュロン酸鎖はガラクチュロン酸残基の40〜80%がメチルエステル化されているため、これら公知の酵素ではペクチン鎖、特に自然界に存在するプロトペクチンを充分に切断することができなかった。
【0007】
一方、ペクチナーゼは工業的には、果汁飲料等の澱引きないし濾過性改善に多く用いられている。この際に、ペクチンは妨害物質となるが、従来のペクチナーゼ処理ではペクチン鎖の切断が充分ではなく、効率的な処理はできなかった。また、ペクチンオリゴ糖を製造する際もペクチンではなく、高価な低メトキシペクチンまたはポリガラクチュロン酸を用いる必要がある。
【0008】
これに対処する手段としてメトキシ基を加水分解するペクチンエステラーゼ(EC 3.1.1.11)を併用する方法が考えられるが、一般に生産量が低く、また2段階反応となるために条件設定等が煩雑になるという問題がある。
また、ポリメチルガラクチュロナーゼについての報告(パーレイ他、カナディアン・ジャーナル・オブ・マイクロバイオロジー、17巻、p.415(1971); A.F.Perley and O.T.Page; Can. J. Microbiology, 17, p.415(1971))はあるものの、精製して詳細に解析されたものではなく、ポリガラクチュロナーゼ調製品へのペクチンエステラーゼの混入が疑われており、また、ペクチン自体が部分的にメトキシ化されたポリガラクチュロン酸であることから、ペクチナーゼのことをポリメチルガラクチュロナーゼと称している場合があり、ポリメチルガラクチュロナーゼの存在そのものが疑問視されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、プロトペクチン、ペクチン等を効率的に分解することができるポリメチルガラクチュロナーゼを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らはプロトペクチナーゼ活性を示すポリガラクチュロナーゼ生産菌、トリコスポロン・ペニシラタム SNO−3株(Trichosporon penicillatum SNO−3)変異株の詳細な解析により、本菌遺伝子中にプロトペクチンやメチルエステル化ポリガラクチュロン酸を加水分解する、ポリメチルガラクチュロナーゼ生産遺伝子が存在することを見出し、当該遺伝子より、プロトペクチン、ペクチン等を効率良く分解するポリメチルガラクチュロナーゼを初めてタンパク的に単一にまで精製し、またその存在を証明したことを知るに至り、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、プロトペクチン及びメチルエステル化ポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性を有し、メチルエステル化率75%のポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性がポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性の80倍以上であり、次の酵素学的性質を有するポリメチルガラクチュロナーゼを提供するものである。
(1)分子量
42キロダルトン(SDS電気泳動による)
(2)作用 pH 及び pH 安定性
37℃におけるプロトペクチナーゼ作用 pH は pH 5に至適がある。50℃、30分放置した際のプロトペクチナーゼ作用の安定性は pH 4から7の範囲で安定である。
(3)作用温度及び安定性
pH 5.0、60分間反応時のプロトペクチナーゼ作用温度は40℃に至適がある。 pH 5.0、3時間放置後のプロトペクチナーゼ作用の安定性は45℃までである。
また、本発明は、配列番号1に示す塩基配列を有するか又はその塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、当該ポリメチルガラクチュロナーゼをコードする遺伝子を提供するものである。
【0012】
更に、本発明は、当該遺伝子を有する菌株を培地中に接種し、培養してポリメチルガラクチュロナーゼを菌体内又は培地中に生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする、ポリメチルガラクチュロナーゼの製造法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のポリメチルガラクチュロナーゼは、プロトペクチン及びメチルエステル化ポリガラクチュロン酸に対して高い加水分解活性を有するものであり、プロトペクチン加水分解活性(プロトペクチナーゼ活性)及びメチルエステル化ポリガラクチュロン酸加水分解活性以外の活性は有さないものであるが若干のポリガラクチュロン酸加水分解活性を有していてもよい。ただし、メチルエステル化率75%のポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性がポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性の80倍以上であることが好ましい。本発明酵素としては、特に、次の酵素学的性質を有するものが好ましい。
【0014】
(1)分子量
42キロダルトン(SDS電気泳動による)
(2)作用pH及びpH安定性
37℃におけるプロトペクチナーゼ作用pHはpH 5に至適がある。50℃、30分放置した際のプロトペクチナーゼ作用の安定性はpH4から7の範囲で安定である。
(3)作用温度及び安定性
pH5.0、60分間反応時のプロトペクチナーゼ作用温度は40℃に至適がある。pH5.0、3時間放置後のプロトペクチナーゼ作用の安定性は45℃までである。
【0015】
また、本発明のポリメチルガラクチュロナーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するか、又はそのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するものである。かかる欠失、置換又は付加の程度は、前記プロトペクチン及びメチルエステル化ポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性を有する限り制限されない。なお、配列番号1において、N末端側のMetから26番目のArgまではリーダー配列を示す。
【0016】
本発明のポリメチルガラクチュロナーゼをコードする遺伝子は、例えば配列番号1に示す塩基配列を有するか又はその塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有するものであり、該ポリメチルガラクチュロナーゼ遺伝子(PSX1)のクローニングは、例えば以下の方法に従って行うことができる。
【0017】
すなわち、例えばトリコスポロン・ペニシラタム(Trichosporonpenicillatum)のゲノムDNAを用いてゲノムDNAライブラリーを作製する。ここで用いるトリコスポロン・ペニシラタムとしては、トリコスポロン・ペニシラタム SNO−3株(Trichosporon penicillatum SNO−3;ATCC42397)又はその変異株が好ましい。次に、既知のポリガラクチュロナーゼ遺伝子を用いてコロニーハイブリダイゼーションを行い、強くハイブリダイズするクローンを得る。得られたクローンより既知のポリガラクチュロナーゼとは異なる性質、すなわち本発明のポリメチルガラクチュロナーゼを発現しているクローンを選択する。
【0018】
得られたクローンの例としてプラスミドPMN−SX1(図1)が挙げられる。
【0019】
PSX1遺伝子配列は配列番号1に示すとおりであり、1083bpからなり、360アミノ酸残基をコードしている。
【0020】
本発明のポリメチルガラクチュロナーゼは、例えば配列番号1に示す塩基配列を有するか又はその塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有する遺伝子を有する菌株を培地中に接種し、培養してポリメチルガラクチュロナーゼを菌体内又は培地中に生成蓄積せしめ、これを採取することにより製造することができる。
【0021】
ここでポリメチルガラクチュロナーゼ遺伝子を有する菌株としては、前記塩基配列を有し、菌体内又は培地中にポリメチルガラクチュロナーゼを蓄積するものであれば特に制限されず、例えばトリコスポロン属、サッカロミセス属等に属する菌が挙げられる。また、該菌株の培養は、用いた菌株の性質に応じて選択すればよく、各種炭素源、窒素源及び無機塩類等を含有する培地中で行えばよい。また、菌体内又は培地からのポリメチルガラクチュロナーゼの単離は、例えば菌体を除去した培養液をイオン交換クロマトグラフィー、硫安塩析、ゲル濾過等の操作を適宜組合わせて行うのが好ましい。
【0022】
本発明において、ポリメチルガラクチュロナーゼの活性測定は、以下に示すプロトペクチナーゼ活性測定又はポリガラクチュロナーゼ活性測定により行った。プロトペクチナーゼ活性は、レモン果皮より調製したプロトペクチン10mgを秤量し、20mMの酢酸緩衝液990μlに懸濁して30分放置後、酵素液10μlを添加・攪拌し、37℃で60分間反応後、反応液を濾過し、上清中に遊離したガラクチュロン酸量をカルバゾール・硫酸法で定量する。1時間の反応で1マイクロモルのガラクチュロン酸が生じる酵素量を1単位と定義した。
【0023】
ポリガラクチュロナーゼ活性は、0.2%のポリガラクチュロン酸溶液(100mM酢酸緩衝液, pH5.0)250μlに100mM酢酸緩衝液 (pH5.0)150μl及び酵素液100μlを加え、30℃で30分間反応後、生じた還元糖をソモギー・ネルソン法により定量した。30分間の反応で1マイクロモルのガラクチュロン酸に相当する還元糖が生じる酵素量を1単位と定義した。
【0024】
本発明のポリメチルガラクチュロナーゼについて、ポリガラクチュロン酸、ペクチン又はプロトペクチンに対する加水分解活性を表1に示した。
ポリメチルガラクチュロナーゼPSX1はポリガラクチュロン酸にはほとんど作用せず、ペクチンに僅かに、またプロトペクチンに良く作用することが示されている。更に、リアーゼ活性も全く有さないことから、本酵素は新規なプロトペクチナーゼであることが認められる。また、ペクチンに対する加水分解活性はポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性の80倍以上である。
【0025】
【表1】
【0026】
発明者らは不溶性のプロトペクチンに対する作用性の指標として、プロトペクチナーゼ活性に対するポリガラクチュロナーゼ活性の比率、q値を提唱している。本発明のポリメチルガラクチュロナーゼの、各種植物起源プロトペクチンに対するq値(プロトペクチナーゼ活性に対するポリメチルガラクチュロナーゼの比率)を表2に示した。比較対照として、強いプロトペクチナーゼ活性を有するポリガラクチュロナーゼSE1のq値を示した。
表2に示したごとく、本発明のポリメチルガラクチュロナーゼは公知の酵素と比して不溶性のプロトペクチンに対する作用が非常に高く、本発明のポリメチルガラクチュロナーゼがプロトペクチン、すなわち自然界に存在する状態でのペクチンに極めて良く作用することが示されている。
【0027】
【表2】
【0028】
また、本発明のポリメチルガラクチュロナーゼについて、メトキシ化率の異なるポリガラクチュロン酸に対する加水分解作用を図2に示す。ここで、メトキシ化率の異なるポリガラクチュロン酸はジャンセンとジャングの方法(E.F.ジャンセン、R.ジャング、米国化学会誌、68巻、p.1475(1946);E.F.Jansen,R.Jang,J.Am.Chem.Soc.,68,p.1475(1946))により、ポリガラクチュロン酸を塩酸酸性メタノール中で一定時間加熱処理することにより、メトキシ化率が4〜75%となるよう調製した。なお、メトキシ化率の測定はウッドらの方法(ウッド他、アナリティカル・バイオケミストリー、39巻、p.418(1971);P.J.Wood,I.R.Sidduqui,Anal.Biochem.,39,p.418(1971))を用いた。
【0029】
本発明のポリメチルガラクチュロナーゼは、メトキシ化されていないポリガラクチュロン酸ではほとんど活性を示さず、メトキシ化率が高くなるにつれて活性が増大することが示されている。これはポリガラクチュロナーゼとは全く逆の傾向を示しており、本発明のポリメチルガラクチュロナーゼは、メトキシ化されたポリガラクチュロン酸に特異的に作用する新規な酵素であることが確認された。
【0030】
【実施例】
本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1(ポリメチルガラクチュロナーゼ遺伝子(PSX1)のクローニング)
トリコスポロン・ペニシラタム SNO−3株をGYP培地で培養、集菌後、サンプル管に分注し、400kRのγ線を照射して、変異株を得た。
トリコスポロン・ペニシラタム SNO−3の変異株のゲノムDNAをプロトプラストより調製し、Hind IIIで完全消化後、pUC118ベクターを用いて大腸菌にクローニングを行ない、DNAライブラリーを作製した。次に、既にクローニング済みである本菌の生産するポリガラクチュロナーゼSE3遺伝子(アドバンス・イン・アプライド・マイクロバイオロジー、39巻、p.262(1993);Advances in Applied Microbiology,39,p.262(1993))遺伝子を有するプラスミド、pUC−D8(坂井他、マイクロバイオロジー、143巻、p.1657−1664(1997));T.Sakai et.al.,Microbiology,143,p.1657−1664(1997))のSacI断片を用い、SE3遺伝子のほぼ全域を含むPSE3プローブを作製してコロニーハイブリダイゼーションを行ない、強くハイブリダイズする約6.2kbのHind III断片を有するクローンを得た。得られた大腸菌クローンより調製したプラスミドをDraI消化し断片をpUC118に一度サブクローニング後、メラーらの報告するベクターpMA91(J.メラー他、ジーン、24巻、p.1−14(1983)); J.Mellor et.al.,Gene,24,p.1−14(1983))のBglIIサイトに図1の矢印の方向に導入し、トリコスポロン・ペニシラタム(Trichosporon penicillatum)由来のオープンリーディングフレームPSX1を有するプラスミドpMN−SX1(図1)を構築した。
【0032】
PSX1遺伝子配列は配列番号1に示したように1083bpからなり、360アミノ酸残基をコードしていることが認められた。PSX1タンパク質を現在まで明らかになっているポリガラクチュロナーゼと比較した結果、トリコスポロン・ペニシラタム(Trichosporon penicillatum)由来のSE2、SE3と50%以上の相同性を示した。
【0033】
実施例2(サッカロミセス・セレビゼ(Saccharomyces cerevisiae)へのPSX1遺伝子の導入)
実施例1で得たpMN−SX1をサッカロミセス・セレビゼ(Saccharomyces cerevisiae)DKD−5D−Hに導入し、サッカロミセス・セレビゼ(Saccharomyces cerevisiae)STX株を構築した。
【0034】
実施例3
サッカロミセス・セレビゼ STX株の1白金耳を2%グルコース、0.2%酵母エキス、0.4%ポリペプトン、pH5.0からなる50mlのGYP培地に接種し、30℃、24時間培養し、前培養液を得る。この前培養液を1Lの同培地に2%量接種し、30℃で24時間振盪した。得られた培養液を遠心分離により菌体を除去し、上清液を得た。得られた上清液のプロトペクチナーゼ活性は9,550U/mlであった。
【0035】
実施例4
実施例3と同様にして前培養液を調製し、2.5LのGYP培地を含む5L容ミニジャーファーメンターに2%量接種して30℃、300rpm 、1VVMの条件で20時間培養した。培養液を遠心分離により菌体を除去後、上清を得た。得られた上清液のプロトペクチナーゼ活性は9,800U/mlであった。
【0036】
実施例5
実施例3で得た上清液をエバポレーターを用いて濃縮し、イオン交換クロマトグラフィー、硫安塩析、ゲルろ過クロマトグラフィーにより電気泳動的に単一タンパクにまで精製した。精製酵素のプロトペクチナーゼ比活性は813,000U/mgタンパクであった。得られたポリメチルガラクチュロナーゼは前記の基質特異性及び酵素学的性質を有していた。
【0037】
【発明の効果】
本発明のポリメチルガラクチュロナーゼは、ペクチン及びプロトペクチンを効率的に分解することができる。
【0038】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素遺伝子を保有するプラスミド、pMN−SX1の構造を示す図である。プラスミドの分子量は約10.7kbである。図中、SX1と記した矢印付きの白抜き帯部が本発明の酵素遺伝子であり、矢印は遺伝子の転写方向を示している。両端の黒抜き帯部はpMA91由来のホスホグリセレートキナーゼ(PGK)遺伝子断片である。また図中の引出し線は本プラスミド中の代表的な制限酵素サイトを示す。
【図2】本発明のポリメチルガラクチュロナーゼSX1及びポリガラクチュロナーゼSE1の、メトキシ化率の異なるポリガラクチュロン酸に対する分解活性を相対比で示した図である。縦軸は相対活性、横軸は基質であるポリガラクチュロン酸のメトキシ化率を示す。
Claims (6)
- プロトペクチン及びメチルエステル化ポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性を有し、メチルエステル化率75%のポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性がポリガラクチュロン酸に対する加水分解活性の80倍以上であり、次の酵素学的性質を有するポリメチルガラクチュロナーゼ。
(1)分子量
42キロダルトン(SDS電気泳動による)
(2)作用 pH 及び pH 安定性
37℃におけるプロトペクチナーゼ作用 pH は pH 5に至適がある。50℃、30分放置した際のプロトペクチナーゼ作用の安定性は pH 4から7の範囲で安定である。
(3)作用温度及び安定性
pH 5.0、60分間反応時のプロトペクチナーゼ作用温度は40℃に至適がある。 pH 5.0、3時間放置後のプロトペクチナーゼ作用の安定性は45℃までである。 - 配列番号1に示すアミノ酸配列を有するか、又はそのアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するものである請求項1記載のポリメチルガラクチュロナーゼ。
- トリコスポロン・ペニシラタムSNO−3株(Trichosporon penicillatum SNO−3;ATCC42397)由来のものである請求項1又は2記載のポリメチルガラクチュロナーゼ。
- 配列番号1に示す塩基配列を有するか又はその塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメチルガラクチュロナーゼをコードする遺伝子。
- トリコスポロン・ペニシラタム SNO−3株(Trichosporon penicillatum SNO−3;ATCC42397)由来のものである請求項4記載の遺伝子。
- 請求項4又は5記載の遺伝子を有する菌株を培地中に接種し、培養してポリメチルガラクチュロナーゼを菌体内又は培地中に生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリメチルガラクチュロナーゼの製造法。
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