JPH06166561A - Ito焼結体ならびにito透明電導膜およびその形成方法 - Google Patents

Ito焼結体ならびにito透明電導膜およびその形成方法

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JPH06166561A
JPH06166561A JP4341647A JP34164792A JPH06166561A JP H06166561 A JPH06166561 A JP H06166561A JP 4341647 A JP4341647 A JP 4341647A JP 34164792 A JP34164792 A JP 34164792A JP H06166561 A JPH06166561 A JP H06166561A
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JP
Japan
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ito
gas
geo
transparent conductive
conductive film
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JP4341647A
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English (en)
Inventor
Akihiko Shirakawa
彰彦 白川
Nobuhiko Obara
進彦 小原
Hirosumi Izawa
広純 伊沢
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ITO焼結体において、図1に示されるGe
2 −BiO3 二成分系における点1,2,3,4およ
び5で囲まれる領域に相当するGeO2 及びBiO3
成を含有する焼結体、および同一の組成の添加剤を含む
ITO焼結体。上記透明電導膜は、上記焼結体をターゲ
ットとし、Ar−O2 −H2 混合ガス中でスパッタリン
グすることにより形成される。 【効果】 焼結体の相対密度が90%以上と高く、それ
から形成される透明電導膜は、高い光透過率を維持しつ
つ、2×10-4Ωcmより低い比抵抗値を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明電導膜の形成に使
用するスパッタリングターゲット材などとして有用なI
TO焼結体、ならびに該焼結体から得られるITO透明
電導膜およびその形成方法に関する。本発明のITO焼
結体は、高い焼結体密度を有し、この焼結体から比抵抗
が小さい透明電導膜を得ることができる。この透明電導
膜は、特に液晶ディスプレー、エレクトロルミネッセン
ス、エレクトロクロミックディスプレーの透明電極に用
いるのに好適である。
【0002】
【従来の技術】透明電導膜としては金、白金等の金属あ
るいは酸化錫、酸化インジウム等の酸化物を基板上に成
膜したものが知られている。この中で液晶表示等に用い
られるのは酸化インジウムに酸化錫を添加したITO
(Indium−Tin Oxide)が主流である。
それはITOが高透明性、低抵抗性である他、エッチン
グ性、化学的安定性、基板への付着性等が良好なためで
ある。
【0003】透明電導膜の成膜方法としては、真空蒸
着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理蒸
着法、熱分解等の化学反応で成膜する化学蒸着法、スプ
レー、ティップ等による塗布法等がある。この中で膜の
緻密性が良く、低抵抗膜が容易に得られることから物理
蒸着法、その中でもスパッタリング法が主流となってい
る。スパッタリング法でITO膜を形成する際、スパッ
タリングターゲットとして酸化インジウムに酸化錫を添
加したITO焼結体が用いられる場合が多い。
【0004】ITO焼結体は、通常、酸化インジウムに
酸化錫を加えた粉、あるいはそれを仮焼した粉を、コー
ルドプレス、鋳込み等で成形し、その成形体を大気中で
1200℃以上で焼成するなどの方法によって製造され
る。しかし、ITO粉末は焼結性が悪く、この方法では
密度が高々4.9g/cm3 (理論密度を7.0g/c
3 としたとき相対密度70%)程度の焼結体しか得ら
れなかった。
【0005】また、原子価制御に基づく半導体化機構に
よるITO透明電導膜の低抵抗化技術としては、次のよ
うな例がある。特開昭59−163707ではITOに
酸化ルテニウム、酸化鉛、酸化銅を添加し、特開昭59
−71205ではITOに酸化りんを、特開昭61−2
94703、特開昭63−78404では酸化インジウ
ム、ITOにそれぞれフッ化アルミニウムを、特開昭6
3−178414ではITOに酸化テルルを、特開昭6
4−10507ではITOに酸化ケイ素を、特開平1−
283369ではITOに酸化セレンまたはフッ化スズ
を、特開平3−199373にはITOにI、Brをそ
れぞれ添加し透明電導膜の低抵抗化等を図っている。
【0006】一方、還元に基づく半導体化により透明電
導膜の低抵抗化を図る例としては、USP4,399,
194がある。この例では酸化インジウムに酸化ジルコ
ニウムを40〜60wt%添加し、比抵抗4.4×10
-4Ωcm、光透過率80%の特性を得ている。
【0007】低密度の焼結体をスパッタリングターゲッ
トとして用いた場合、1枚の同一寸法のターゲットで使
用できるITO量は少なくなり、ターゲット寿命が短
く、ターゲットの交換頻度が多く、スパッタリング装置
の稼働率が低くなる。また、焼結密度が低い程、スパッ
タリング時に起こるターゲット表面の黒化現象が顕著
で、成膜速度が経時的に遅くなるとともに透明電導膜の
比抵抗が高くなる。そのため、表面の黒化物を取り除く
ため、実質的なターゲットの使用量も少なくなるととも
にスパッタリング装置の稼働率は更に低下する。
【0008】従って、ターゲット一枚当たりのITO使
用量を上げるとともに、スパッタリング装置の稼働率向
上、安定操業のために、ITO焼結体ターゲットの密度
向上、少なくとも相対密度70%を越えるものが求めら
れている。この要求に対し、従来の成形焼成工程におい
て、ホットプレス、HIPを用いたり、焼成雰囲気をコ
ントロールする方法で高密度化を図り、最高で相対密度
98%のものも得ている(特開平3−207858)
が、設備および生産コストともに高く問題がある。
【0009】また、原料ITO粉の粒度をコントロール
して焼結体の高密度化を図る技術が提案されている(特
開昭62−12009、特開平3−218924等)
が、原料の調製が難しく、そのコストも高いものであ
る。上記のようなコスト高を考慮した焼結体の緻密化の
方法として、焼結助剤を添加する方法がある。
【0010】特公平1−21109では酸化インジウム
またはITOに焼結助剤としてSiおよび/またはGe
の酸化物を添加して最大の相対密度90%の焼結体も得
ている。しかし、本発明者が追試したところ膜特性の最
も良いものは、組成がITOにGeO2 を0.5wt%
添加したもので、膜の比抵抗は2.0×10-4Ωcmで
あるが、焼結体密度は79%に留まった。GeO2 を1
5wt%加えると、焼結体密度は90%となるが、膜の
比抵抗は2.9×10-4Ωcmと悪化する。
【0011】また、特開昭59−198602には、I
TOに対しAl,W,Th,Mo元素を添加した透明電
導膜が記載されているが、膜抵抗も1.2×10-2
2.42×10-2Ωcmと高く、本発明者が追試したと
ころ焼結体密度も理論密度に対する相対密度が70%未
満と低い。
【0012】また、ここ数年、ワープロ、テレビ用等に
液晶表示が多用され、その液晶画面の大型化が進んでき
た結果、従来の透明電導膜の比抵抗値を悪くすることな
く、光透過率を向上させる必要が生じてきた。この際
に、比抵抗値を低く維持することは、電極の膜厚を薄く
することができ、そのため良好なエッチング性も可能と
なる。透明電導膜の膜厚が2000Åを越えるとエッチ
ング時間が長くなり、パターンの断線、膜表面状態の悪
化による抵抗不均一性等を起こし歩留まりの低下をきた
す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況に鑑
み、本発明の目的は、相対密度90%以上の高密度IT
O焼結体であって、比抵抗の低い透明電導膜を得ること
ができるITO焼結体を提供することにある。さらに、
他の目的は、従来から使用されている透明電導膜の比抵
抗値2×10-4Ωcmを凌ぐ低い比抵抗値を有し、且つ
90%を超える高い光透過率を有し、薄く、短縮された
エッチング時間をもって、高い歩留まりで製造すること
ができるITO透明電導膜を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決すべ
く、種々検討した結果、ITO焼結体において、図1に
示されるGeO2 −Bi2 3 二成分系図における下記
組成を示す点1,2,3,4および5で囲まれる領域に
相当するGeO2 およびBi2 3 組成を含有する焼結
体が高い密度を有し、低い比抵抗値を有する透明電導膜
の形成に有用なことが判明した。
【0015】また、上記の組成を持つITO焼結体をタ
ーゲットとし、真空槽内にArガスとO2 ガスとH2
スとからなる混合ガスを、全圧に対しO2 ガス、H2
スともそれぞれ0.2ppm〜20%含み、残部がAr
となるような割合で、全圧1×10-3torr〜5×1
-2torrとなるように導入し、スパッタリングを行
うことによって、比抵抗値の低いITO透明電導膜が有
利に形成できることが判明した。
【0016】ITO焼結体およびITO透明電導膜にお
いては、酸化インジウムに対し錫が酸化物の混合物また
は固溶体として存在しているが、本発明の焼結体および
電導膜においてもBiおよびGeのそれぞれが酸化物と
して混合されているが、複合酸化物としてか、固溶体と
してか、またはそれらの混合状態で存在していると思わ
れる。その状態は正確に同定し難いので、本発明では、
便宜上それぞれの酸化物として組成表示した。
【0017】本発明のITO焼結体中の酸化錫量は0.
05〜25wt%が好ましい。0.05wt%未満で
も、25wt%を越えても、それによって造られる透明
電導膜の比抵抗は大きくなるので好ましくない。本発明
の焼結体および透明電導膜は、上記の範囲の酸化錫量を
含み、さらにBi2 3 およびGeO2 を前述の組成範
囲内で含むことを特徴としている。
【0018】焼結体の製造に関して、酸化インジウムの
出発原料としてはInの酸化物が一般的であるが、In
金属、水酸化物、ふっ化物、硫酸塩、硝酸塩などを用い
てもよい。ただし、酸化物以外の原料を用いる場合は酸
化性の雰囲気で仮焼または焼成することにより酸化物系
焼結体とする。酸化錫の出発原料も酸化物が一般的であ
るが、Sn金属、水酸化物、ふっ化物、硫化物、硫酸
塩、硝酸塩等を用いてもよい。SnもInと同様に最終
的には酸化物とする。酸化ビスマスの出発原料も酸化物
が一般的であるが、Bi金属、水酸化物、よう化物、硫
化物、硫酸塩、硝酸塩等を用いてもよい。Biの酸化物
以外の原料を用いる場合は、焼成時に焼結の始まる95
0℃までに酸化物となっていればよい。酸化ゲルマニウ
ムの出発原料も酸化物が一般的であるが、Ge金属、塩
化物、臭化物、よう化物、ふっ化物、硫化物等を用いて
もよい。GeもBiと同様に焼成時の950℃までに酸
化物となっていればよい。
【0019】これら4元素の原料化合物は、同時に混合
してもよく、またあらかじめ2元素以上の化合物を混合
して仮焼し、仮焼した粉と他の元素の化合物とを混合し
てもよい。原料の混合には乳鉢混合、ボールミル混合等
が用いられる。原料粉末は2μm以下にするのが好まし
い。混合した粉を仮焼する場合は400〜1500℃で
行われる。
【0020】得られた粉にはポリビニルアルコール(P
VA)、ポリビニルブチラール(PVB)などのバイン
ダーを加え、スプレードライヤーなどで1〜50μmに
造粒し、500〜8000kg/cm2 程度の圧力にて
成形する。またはPVAなどのバインダーとともにスラ
リーとし、鋳込み成形してもよい。成形体は乾燥、脱脂
をする場合もある。得られた成形体の焼結は1200〜
1600℃で行われる。焼結を大気中で行うことによっ
て十分緻密化できるが、もちろんホットプレス、HI
P、雰囲気調製による焼成を行っても良い。
【0021】一般に、透明電導膜を形成する方法として
は、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法が採られる
が、他にイオンプレーティング法、化学蒸着法、塗布法
も用いられる。各成膜原料に適した方法が選ばれる。こ
れらの中でも、スパッタリング法は、最も広い添加量の
範囲で低抵抗膜が得られるので有利である。スパッタリ
ング法、電子ビーム蒸着法では、蒸着材(ターゲット)
としてインジウムと添加元素の酸化物の焼結体またはこ
れらの合金が用いられる。焼結体を用い、スパッタリン
グで成膜する場合には、ターゲットとして焼結体と被成
膜基板とをセットし、1×10-5torr以下に真空引
きした後、焼結体の場合はArガスのみか、Arガスと
2 ガスとからなる混合ガスか、ArガスとO2 ガスと
2 ガスとからなる混合ガスを導入し成膜する。
【0022】本発明の焼結体をターゲットとして用いス
パッタリングする場合、真空槽内に、ArガスとO2
スとH2 ガスとからなる混合ガスを、O2 ガスおよびH
2 ガスがそれぞれ0.2ppm〜20%含まれ、残部が
Arとなるような割合で全圧1×10-3torr〜5×
10-2torrとなるように導入する。
【0023】この際、スパッタリングガス中のO2 分圧
が高くなると透過率が高くなり、抵抗値は低下してくる
が、高くなりすぎると抵抗値は、逆に増加する。O2
スを加えずArガスのみをスパッタリングガスとしても
酸化物中の酸素が混合スパッタリングガス中のO2 ガス
と同様の働きをするので、抵抗値等の膜特性はあまり悪
化しない。しかしながら、或る割合以上のO2 ガスが存
在するほうが有利であり、従って、本発明の電導膜形成
方法においては、O2 ガスを0.2ppm〜20%の割
合でスパッタリング混合ガス中に含有せしめる。
【0024】H2 を導入しなくても低抵抗化することが
できるが、H2 を導入すると、膜の光透過率を損なうこ
と無く、低抵抗化できる。H2 分圧が1×10-3tor
rを越えると、光透過率が低下する。従って、本発明の
電導膜形成方法においては、H2 ガスを0.2ppm〜
20%の割合でスパッタリング混合ガス中に含有せしめ
る。スパッタリングガスの全圧が1×10-3torr未
満の低い圧力では安定したプラズマが発生せず、また、
5×10-2torrを越える高圧では膜の抵抗値を悪化
する。
【0025】また、基板温度は150〜500℃、ター
ゲットの投入電力は0.5〜4W/cm2 で成膜するこ
とが好ましい。ここで投入電力はターゲット1cm2
たりの電力をいい、スパッタリングガスのプラズマ化と
プラズマを構成するイオンを加速するのに用いられる。
基板温度が150℃未満では抵抗値が劣り、500℃を
越えると基板が変形するために使用に耐えなくなる。投
入電力が0.5W/cm2 未満では蒸着速度が遅くな
り、生産効率が悪くなり、逆に、4W/cm2 を越える
と抵抗値が劣る。
【0026】成膜速度は投入電力のほかスパッタリング
ガスの全圧、基板間距離等によって決まるが、同一の成
膜速度でも膜の特性に優劣がでる。以上のことを考慮し
つつ、膜の比抵抗が90%以上で、できるだけ高く、か
つもっとも低い抵抗値をとるスパッタリング条件を選ぶ
ことが好ましい。
【0027】また、スパッタリング法に比べると劣るが
電子ビーム蒸着法で成膜することもできる。この場合に
は、Arガスは導入しないがO2 ガスのみか、O2 ガス
とH2 ガスの導入ガスを導入し、基板加熱することは、
スパッタリングと同様で、蒸着速度は電子ビームの電
圧、電流、ビーム径で決まる。水素分圧、基板温度、蒸
着速度を適当に選び、透過率90%以上で抵抗値の最も
低い膜を得る。最初の到達真空度としては10-5tor
r以下とし、その後のO2 ガス分圧を0.1×10-4
5×10-4torr、H2 ガス分圧0.1×10-5〜5
×10-5torr、基板温度200〜400℃、蒸着速
度0.5×10Å/secが適当な条件である。被成膜
基板としては、ガラス、プラスチックのシートやフィル
ムなどあるいは、それらに保護膜や機能性膜を施したも
のなどが用いられる。
【0028】
【作用】酸化インジウムに酸化錫のみを添加したITO
は焼結時蒸気圧が高いため、蒸発と凝縮とによる焼結機
構をとり、収縮が起こり難く、焼結体の緻密化は進まな
い。
【0029】しかしながら、驚くべきことに、Bi2
3 を焼結助剤として加えると約830℃で液相を形成
し、その液相はITOの蒸発(昇華)を阻止するため、
蒸発と凝縮とによる焼結は抑えられ、以下に述べる液相
による焼結機構によって焼結が進む。すなわち、液相焼
結は、液相の存在により、物質移動が起こり、収縮を伴
い、焼結体の高密度化が起こる。本発明の前記GeO2
−Bi2 3 組成においては、この液相焼結が加速さ
れ、良好な透明電導膜が形成されると考えられる。
【0030】後記実施例に実証されるように、ITOに
前記特定のGeO2 −Bi2 3 組成を組合せることに
よって、相対密度が90%を超える高密度の焼結体が得
られ、さらに、この焼結体をターゲットとして用いスパ
ッタリングを行うことによって比抵抗値が非常に低く且
つ可視光透過率の大きいITO電導膜を工業的有利に得
ることができる。
【0031】前記の特定のGeO2 −Bi2 3 組成は
臨界的であって、例えば、Bi2 3 を加えない場合
(比較例10〜13:焼結体相対密度72〜88、電導
膜比抵抗2.0〜2.3×10-4Ωcm)と比較して、
Bi2 3 が所定量含まれる場合(実施例21〜24:
焼結体相対密度95〜93、電導膜比抵抗1.2〜1.
3)は、焼結体密度が高く、電導膜比抵抗はかなり低
い。
【0032】
【実施例】以下、実施例および比較例について、本発明
の焼結体ならびに透明電導膜およびその形成方法を具体
的に説明する。 実施例1〜33、比較例1〜24 酸化インジウム(同和ケミカル製酸化インジウムN、純
度99.99%、平均粒度d50=0.93μm)900
gと酸化錫(新日本金属製、純度99.9%、粒度d50
=0.72μm)100gを容量4.8リットルのボー
ルミルにて24時間混合した後、大気中で1450℃で
15時間仮焼し、ITO粉末を得た。このITO粉末に
対して酸化ビスマス(三津和化学薬品製、純度99.9
%、粒度d50=0.78μm)と、酸化ゲルマニウム
(和光純薬製、純度99.9999%、粒度d50=1.
1μm)を表1に示すような割合で混合した。表1〜3
には酸化ビスマスと酸化ゲルマニウムの混合量を重量%
で示しており、残部がITOである。混合はボールミル
で行った。これらそれぞれの混合粉末に、0.05wt
%のPVA溶液を加えて固形分濃度20wt%のスラリ
ーとし、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾
燥して平均粒径20μmの顆粒とした。
【0033】この顆粒を1ton/cm2 で一軸加圧成
形し、直径90mmφ、厚さ3.5mmの円盤状成形体
を得た。この成形体を大気中にて1450℃で10時間
焼成した。焼結体の組成(化学分析)および相対密度を
表1〜3に示す。
【0034】これら焼結体をそれぞれターゲットとし
て、DCマグネトロンスパッタリング装置にセットし、
1×10-6torrまで真空に引いた後、分圧真空計で
モニターしながら、H2 ガスを3×10-7torr、O
2 ガスを3×10-6torr導入し、その後、Arガス
を全圧5×10-3torrになるまで導入した。スライ
ドグラス(寸法76×26×1mm)基板を300℃に
加熱し、投入電力100W、基板間距離65mmの条件
で透明電導膜を作成した。
【0035】実施例のいずれのターゲットもスパッタリ
ングを繰り返してもターゲットの黒化は薄く、スパッタ
速度も10Å/secでほとんど変化しなかった。得ら
れた透明電導膜の組成はターゲットの組成とほぼ同一で
あることをEPMAで確かめた。得られた透明電導膜の
厚さ、可視光の平均透過率および比抵抗値を表1〜3に
示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】実施例34〜37、比較例25,26 実施例1と同じ原料粉をそれぞれ用い酸化錫量を変えて
試料を作成した。酸化インジウムおよび酸化錫の混合量
は表4の割合で行い、実施例1と同一条件で仮焼し、I
TO粉末とした。それぞれのITO粉末に酸化ゲルマニ
ウム1.0wt%、酸化ビスマス1.5wt%の割合で
更に混合した。その他の条件は実施例1と同一にして焼
結体を得て、透明電導膜を作製した。焼結体組成、密度
および膜特性値を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】実施例38〜74、比較例27〜41 実施例17で得られたターゲットを用い、表5,6に示
す量のO2 ガスとH2ガスと残部がArガスとからなる
混合ガスをスパッタリングガスとした以外は実施例1と
同一条件で透明電導膜を作製した。膜特性値を表5,6
に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【発明の効果】上記のように前記の特定のGeO2 −B
2 3 組成によれば、容易に安定して相対密度が90
%以上の高密度ITO焼結体が得られ、この焼結体から
低抵抗で透明度が高いITO透明電導膜を得ることがで
きる。焼結体からスパッタリングで透明電導膜を形成す
る際、ターゲット表面の黒化現象もなく、成膜速度が経
時的に遅くなることもなく膜の比抵抗が悪化してくるこ
ともない。また工業的には、表面の黒化物を取り除く目
的でターゲットをはずすために、または、ターゲット寿
命が短く、ターゲットの交換頻度が多いためにスパッタ
リング装置の稼働率が低くなるという問題点も解決され
る。また、透明電導膜をより薄くし、エッチング時間を
短縮するとともに歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GeO2 −Bi2 3 の二成分系図で、特許請
求の範囲に規定されるITO焼結体およびITO透明電
導膜のGeO2 およびBi2 3 含有量を示している。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ITO焼結体において、図1に示される
    GeO2 −Bi2 3 二成分系における下記組成を示す
    点1,2,3,4および5で囲まれる領域に相当するG
    eO2 及びBi2 3 組成を含有するITO焼結体。 点1:GeO2 =0.03wt%、Bi2 3 =9.0
    wt% 点2:GeO2 = 9.0wt%、Bi2 3 =9.0
    wt% 点3:GeO2 =12.0wt%、Bi2 3 =6.0
    wt% 点4:GeO2 =12.0wt%、Bi2 3 =0.0
    01wt% 点5:GeO2 =0.03wt%、Bi2 3 =0.0
    01wt%
  2. 【請求項2】 ITO透明電導膜において図1に示され
    るGeO2 −Bi23 二成分系における下記組成を示
    す点1,2,3,4および5で囲まれる領域に相当する
    GeO2 及びBi2 3 組成を含有するITO透明電導
    膜。 点1:GeO2 =0.03wt%、Bi2 3 =9.0
    wt% 点2:GeO2 = 9.0wt%、Bi2 3 =9.0
    wt% 点3:GeO2 =12.0wt%、Bi2 3 =6.0
    wt% 点4:GeO2 =12.0wt%、Bi2 3 =0.0
    01wt% 点5:GeO2 =0.03wt%、Bi2 3 =0.0
    01wt%
  3. 【請求項3】 請求項1の焼結体をターゲットとし、真
    空槽内にArガスとO2 ガスとH2 ガスとからなる混合
    ガスを、全圧に対しO2 ガス、H2 ガスともそれぞれ
    0.2ppm〜20%含み、残部がArとなるような割
    合で、全圧1×10-3torr〜5×10-2torrと
    なるように導入し、スパッタリングを行うことを特徴と
    するITO透明電導膜の形成方法。
JP4341647A 1992-11-28 1992-11-28 Ito焼結体ならびにito透明電導膜およびその形成方法 Pending JPH06166561A (ja)

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CN107130217A (zh) * 2017-06-01 2017-09-05 安徽拓吉泰新型陶瓷科技有限公司 一种低成本、高密度ito靶材的制备方法

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