JPH06160998A - 放射線画像読取装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】放射線画像記録体の記録面上で励起した蛍光の
捕捉角度を広げることにより画像読取り感度の向上を図
るとともに、イメージングプレートの走査時間を短縮し
て迅速な放射線画像の読取りを実現し得る放射線画像読
取装置を提供する。 【構成】円弧板状に配設した放射線画像記録体から発せ
られた蛍光を内側部で反射する筒状体により蛍光導通手
段を形成し、この蛍光導通手段の開口端を放射線画像記
録体の記録面に近接して配置する。さらに、上記蛍光導
通手段の開口端を放射線画像記録体の曲率中心周りに回
転可能に構成する。かかる構成により、蛍光導通手段の
開口端からその内部に取り込んだ蛍光を内側部面にて反
射させ、蛍光検出手段へと導くとともに、蛍光導通手段
の開口端を高速回転させることでイメージングプレート
に対する迅速な走査を実現させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、Ｘ線回折装置等に使用
される放射線画像記録体（以下、イメージングプレート
（ＩＰ）ということもある）に記録された放射線画像情
報を読取るための放射線画像読取装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】Ｘ線回折装置には、試料から出射された
回折Ｘ線の検出部として、輝尽性蛍光体層を有したイメ
ージングプレートを利用したものがある。このイメージ
ングプレートは、試料からの回折Ｘ線を吸収、蓄積する
とともに、レーザ光等の励起光を照射することにより、
蓄積した回折Ｘ線の強弱に応じて蛍光を出力する。また
特に、回折Ｘ線を広い角度範囲にわたって検出するため
に、イメージングプレートを試料の周囲に円弧板状に配
設する構造のＸ線回折装置がある。

【０００３】従来、このようなＸ線回折装置により円弧
板状のイメージングプレートに記録された放射線画像情
報を読取るための放射線画像処理装置として、例えば、
図４に示すような構造のものが知られている。同図に示
した放射線画像読取装置は、円筒形のＩＰ支持ドラム６
１内面にイメージングプレート１を円弧板状に取付け、
走査台６２上に設置したレーザ出力部６３からこのイメ
ージングプレート１の記録面にレーザ光を照射する構成
となっている。ここで、記録面の走査は、ＩＰ支持ドラ
ム６１の中心軸周りの回転と、走査台６２の紙面垂直方
向への移動によって行われる。また、走査台６２には、
イメージングプレート１に近接して光学レンズ６４が設
けてあり、イメージングプレート１で発生した蛍光をこ
の光学レンズ６４により収束する。収束された蛍光は、
ダイクロイックミラー６５及び反射ミラー６６を介して
光電子増倍管６７へと導かれる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の放射線
画像読取装置では、光学レンズ６４を用いてイメージン
グプレート１から発せられた蛍光を収束し、光電子増倍
管６７へと導いているが、このような構成においては、
光学レンズ６４を支えるための鏡筒とレンズの焦点をイ
メージングプレート１の面に一致させるための調整用保
持筒（図示せず）を必要とするたに、イメージングプレ
ート１と光学レンズ６４とを数ｍｍから数十ｍｍ離間さ
せなければならない。ところが、蛍光はイメージングプ
レート１の記録面から放射状に発せられるため、イメー
ジングプレート１と光学レンズ６４との間の距離が長い
と、光学レンズ６４に入射する蛍光の量が減少し、高い
画像読取り感度を得られないという課題があった。

【０００５】また、上述した構成の放射線画像読取装置
では、ＩＰ支持ドラム６１の中空部内で走査台６２が直
線運動するため、いきおいＩＰ支持ドラム６１が大形の
ものとなる。このような大形構造のＩＰ支持ドラム６１
を回転させるには、極めて大きな駆動力が必要となるば
かりか、回転中に発生する遠心力と負荷のアンバランス
が大きく、ゆえに高速回転が困難であり、イメージング
プレート１の走査に時間がかかるという課題をも有して
いた。

【０００６】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
ので、放射線画像記録体の記録面上で励起した蛍光の捕
捉角度を広げることにより、画像読取り感度の向上を図
り、さらに、イメージングプレートの走査時間を短縮し
て、迅速な放射線画像の読取りを実現し得る放射線画像
読取装置の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の放射線画像読取装置は、放射線画像記録体
を円弧板状に配設可能な内面を有する記録体取付け部材
と、前記放射線画像記録体の記録面を励起するための励
起光を出力する光源と、励起光の照射により前記放射線
画像記録体から発せられた蛍光を内側部で反射する筒状
体により形成されており、蛍光導入用の開口端を前記放
射線画像記録体の記録面に近接して配置され、かつ当該
放射線画像記録体の曲率中心周りに前記蛍光導通用の開
口端を回転可能な蛍光導通手段と、この蛍光導通手段を
介して前記放射線画像記録体からの蛍光を入力する蛍光
検出手段とを備え、かつ、前記記録体取付け部材又は蛍
光導通手段が前記蛍光導通手段の回転軸方向に直線移動
可能としてある。

【０００８】

【作用】放射線画像記録体は、記録体取付け部材上で円
弧状に配設されている。光源から出力された励起光は、
放射線画像記録体の記録面上に照射される。この照射部
分からは、蓄積されている放射線の強弱に応じて蛍光が
放射状に発せられる。この蛍光は、蛍光導通手段を形成
する筒状体の蛍光導入用開口端から同筒状体の内部に入
り、内部にて反射を繰り返しながら蛍光検出手段へと導
かれる。ここで、蛍光導通手段を形成する筒状体の蛍光
導入用開口端は、放射線画像記録体の記録面と近接して
配置されるので、広い角度範囲にわたって放射した蛍光
を捕捉することができる。また、放射線画像記録体の走
査は、蛍光導通手段の回転と、記録体取付け部材または
蛍光導通手段の直線運動とによって行われる。蛍光導通
手段は、従来のＩＰ支持ドラムに比べ小形軽量の構造物
であるため、小さな駆動力で高速回転することができ
る。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図１は本発明の実施例に係る放射線画像読
取装置の正面図、図２は図１におけるＡ−Ａ線断面図で
ある。これらの図に示すように、本実施例の放射線画像
読取装置は、記録体取付け部材１０、蛍光導通手段２
０、光源３０、及び蛍光検出手段としての光電子増倍管
４０を備えている。記録体取付け部材１０は、湾曲した
取付け板１１を備え、この取付け板１１の内面にイメー
ジングプレート１を円弧板状に取付け可能となってい
る。この記録体取付け部材１０は、Ｘ線撮影装置による
撮影時とほぼ同じ状態（曲率）でイメージングプレート
１を取付けできることが望ましい。

【００１０】蛍光導通手段２０は、円筒状の導通本体２
１と、この導通本体２１の周壁から中心軸に直角の方向
へ延出する蛍光導入筒２２とを備えている。これら導通
本体２１及び蛍光導入筒２２の中空部はそれぞれ連通し
ている。そして、蛍光導入筒２２の先端開口部（蛍光導
入用開口部）２２ａは、記録体取付け部材１０に取付け
られたイメージングプレート１に近接して配置してあ
る。また、導通本体２１は、軸受２３によって中心軸周
りに回転自在に支持されている。ここで、導通本体２１
の中心軸は、記録体取付け部材１０に取付けられたイメ
ージングプレート１の曲率中心に一致させてあり、した
がって導通本体２１が回転した場合にも、蛍光導入用開
口部２２ａは、イメージングプレート１の近接位置を保
って旋回することになる。この導通本体２１の回転駆動
は、モータ２４、及びタイミングベルト２５又は中心穴
あきモータ等で構成された回転駆動機構によって行なわ
れる。

【００１１】光源３０のレーザ出力部３１は、導通本体
２１の基端開口部２１ａ近くに設置してある。また、導
通本体２１の中空部内には、レーザ出力部３１から出力
されるレーザ光の光軸上に、該レーザ光を収束しＩＰ面
に焦点を結ばせるための光学レンズ３２が設置してあ
り、かつ収束されたレーザ光を蛍光導入用開口部２２ａ
側に反射する反射ミラー３３が設置してある。光電子増
倍管４０は、導通本体２１の先端開口部２１ｂ付近に設
置してあり、同開口部と対向して検出センサ４１を配置
してある。また、検出センサ４１の前面には、ノイズ除
去用のフィルタ４２が設けてある。なお、本実施例で
は、上記レーザ出力部３１から出力されるレーザの光軸
は、導通本体２１の中心軸と一致させ、かつ検出センサ
４１の中心を通るように位置決めしてある。さらに、反
射ミラー３３で反射したレーザ光は、蛍光導入筒２２の
中心軸上を通ってイメージングプレート１に照射される
ように調整してある。ただし、このような配置に限定さ
れるものではなく、必要に応じてレーザの光軸や反射ミ
ラー３３の設置位置を変更しても構わない。

【００１２】導通本体２１の中空部内には、ダイクロイ
ックミラー３４が配設してある。このダイクロイックミ
ラー３４は、蛍光導入筒２２の開口部２２ａから入射し
た蛍光を導通本体２１の先端開口部側へ反射させるため
のもので、レーザ出力部３１から出力されるレーザの光
軸に対してほぼ４５°の角度で配設してある。このダイ
クロイックミラー３４は、蛍光を反射し、光源３０から
の励起光を透過する特性を有している。一般に、蛍光の
波長は３９０ｎｍ、励起光の波長は６３３ｎｍ付近であ
る。したがって、ダイクロイックミラー３４は、３９０
ｎｍ付近の波長の光を反射し、６３３ｎｍ付近の波長の
光を透過する性質のものを用いる。さらに、蛍光導入筒
２２の内面、及び導通本体２１におけるダイクロイック
ミラー３４によって仕切られた前方部分の内面は、イメ
ージングプレート１からの蛍光を反射する鏡面に形成さ
れている。

【００１３】上述した構成の放射線画像読取装置によれ
ば、光源３０から出力した励起光を蛍光導通手段２０の
中空部に配設した光学レンズ３２で収束し、反射ミラー
３３を介して、記録体取付け部材１０に取付けられたイ
メージングプレート１の記録面上に照射する。照射点か
らは、蓄積されている放射線の強弱に応じた量の蛍光が
発せられる。この蛍光は、イメージングプレート１に近
接して配置してある蛍光導入筒２２の蛍光導入開口部２
２ａから同手段の中空部内に取り込まれる。蛍光導通手
段２０の中空部内では、鏡面形成された蛍光導入筒２２
及び導通本体２１の内面、並びにダイクロイックミラー
３４で蛍光が反射を繰り返し、導通本体２１の先端開口
部へと導かれていく。そして、導通本体２１の先端開口
部２１ｂに至った蛍光は、フィルタ４２によりノイズが
除去されて光電子増倍管４０に入力される。

【００１４】以上のように、本実施例装置では、イメー
ジングプレート１から発せられた蛍光を蛍光導通手段２
０の蛍光導入用開口部２２ａから取り込むので、同開口
部２２ａをイメージングプレート１の記録面に近接配置
することで、放射状に発せられる蛍光を広い角度範囲に
わたって取り込むことができる。イメージングプレート
１の走査は、蛍光導通手段２０の回転と、記録体取付け
部材１０の直線移動とにより行なう。すなわち、モータ
２４からの駆動力により蛍光導通手段２０が中心軸周り
に高速回転し、さらに、その回転に同期して記録体取付
け部材１０が該中心軸方向に直線移動することで、イメ
ージングプレート１の記録面全体を走査することができ
る。ここで、回転する蛍光導通手段２０は、図４に示し
た従来のＩＰ支持ドラムに比べ小形軽量の部材であるた
め、小さな駆動力をもって容易に高速回転することがで
きる。また、イメージングプレート１への照射位置を検
出できるエンコーダ等の検出機構を有している。

【００１５】図３は、回折Ｘ線の撮影部と読取部とを一
体化したＸ線装置を示す図である。このＸ線装置の撮影
部１００には、試料Ｓを配置する試料ホルダ５１、Ｘ線
源（図示せず）から発射されたＸ線を試料に当てるコリ
メータ５２等の構成部材を備えたＸ線撮影装置が設置し
てあり、また読取部１０１には、上述した放射線画像読
取装置が設置してある。さらに、読取部１０１の後段に
は、画像消去部１０２が設けてあり、イメージングプレ
ート１に蓄積された放射線画像を消去するための消去ラ
ンプ５３が設置してある。これら撮影部１００、読取部
１０１、及び画像消去部１０２間には、イメージングプ
レート搬送用のレール５４が設置してあり、このレール
５４に沿って記録体取付け部材１０が各部を移動する構
成となっている。

【００１６】すなわち、撮影部１００では、記録体読取
け部材１０に取付けられたイメージングプレート１が試
料Ｓの周囲に扇状に配置され、試料Ｓから出射した回折
Ｘ線を入力する。次いで、記録体取付け部材１０が読取
部１０１に移動し、蛍光導通手段２０の回転、及び記録
体取付け部材１０の直線移動（レール５４に沿っての移
動）に伴い、イメージングプレート１の走査読取りを行
なう。イメージングプレート１に蓄積された放射線画像
の読取りが終了した後、記録体取付け部材１０を画像消
去部１０２に移動する。画像消去部１０２では、イメー
ジングプレート１の記録面に対し消去ランプ５３の光線
を照射し、同記録面に蓄積されていた放射線を消去す
る。本装置によれば、回折Ｘ線の撮影、読取り、及び消
去までの行程を連続的に行なうことができ、さらに各部
の動作制御をコンピュータに行なわせることで自動化す
ることも可能となる。

【００１７】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではなく、要旨を変更しない範囲で種々の変形又
は応用が可能である。例えば、記録体取付け部材は、円
筒ドラム状に形成し、その内面にイメージングプレート
を円弧板状に取付ける構成としてもよい。また、蛍光導
通手段は、円筒以外の筒状体で構成してもよく、さらに
内面全体を鏡面に形成してもよい。イメージングプレー
トに対する直線走査は、蛍光導通手段を直線移動させる
ことにより行なってもよい。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明の放射線画像
読取装置によれば、放射線画像記録体の記録面から発せ
られた蛍光を、筒状の蛍光導通手段に取り込んで蛍光検
出手段へと導くので、蛍光導入用の開口端を放射線画像
記録体の記録面に近接配置することにより、同記録面で
励起した蛍光を広範囲の角度で捕捉することができ、画
像読取り感度が向上するという効果がある。また、放射
線画像記録体の走査に当たり、小形軽量の構造物である
蛍光導通手段を回転駆動させることとしたので、小さな
駆動力で高速回転することができ、走査時間の短縮を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る放射線画像読取装置の正
面断面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図３】回折Ｘ線の撮影部と読取部とを一体化したＸ線
装置を示す図である。

【図４】従来の放射線画像読取装置を示す一部断面正面
図である。

【符号の説明】

１ イメージングプレート １０ 記録体取付け部材 ２０ 蛍光導通手段 ２１ 導通本体 ２２ 蛍光導入筒 ２２ａ 蛍光導入用開口部 ３０ 光源 ３１ 光学レンズ ３２ 反射ミラー ４０ 光電子増倍管

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 放射線画像記録体を円弧板状に配設可能
   な内面を有する記録体取付け部材と、 前記放射線画像記録体の記録面を励起するための励起光
   を出力する光源と、 励起光の照射により前記放射線画像記録体から発せられ
   た蛍光を内側部で反射する筒状体により形成されてお
   り、蛍光導入用の開口端を前記放射線画像記録体の記録
   面に近接して配置され、かつ当該放射線画像記録体の曲
   率中心周りに前記蛍光導通用の開口端を回転可能な蛍光
   導通手段と、 この蛍光導通手段を介して前記放射線画像記録体からの
   蛍光を入力する蛍光検出手段とを備え、 かつ、前記記録体取付け部材又は蛍光導通手段が前記蛍
   光導通手段の回転軸方向に直線移動可能であることを特
   徴とする放射線画像読取装置。