JPH06159031A - 内燃機関の潤滑装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用潤滑油のアルカリ価を長時間一定レベル
以上に保持することができるとともに、潤滑油の交換の
ためにエンジンを停止する必要のない内燃機関の潤滑装
置を実現する。 【構成】 高アルカリ価の潤滑油若しくはアルカリ価を
高める増加剤を貯留する補給用タンクと、通常のアルカ
リ価を備えた補給用タンクを設け、機関潤滑油のアルカ
リ価に応じて適宜それらのタンクから補給する。また、
補給用のサブタンクで補給する際、オイルパン内の潤滑
油を自動的にドレンタンクへ排出させるようにしてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関の潤滑装置
であって、特にコ・ジェネ用エンジンのように長時間連
続運転されるものに関する。

【０００２】

【従来の技術】コ・ジェネシステムや常用発電機用の機
関においては、メンテナンスのためにエンジンを停止さ
せることなく出来るだけ長期間運転できるようにするこ
とが求められている。一般に、潤滑油のアルカリ価（Ｔ
ＢＮ）は運転時間の経過とともに低下し、それとともに
清浄分散性や耐酸化性等が低下し、オイル中のスラッ
ヂ、粘度等が増加して、機関各部の摩耗及びロス馬力等
が増大する。このため、潤滑油のアルカリ価を一定レベ
ル以上に保つことが、その潤滑油の寿命を保つためには
必要となる。

【０００３】従来においては、機関の使用中の潤滑油と
同質の潤滑油を補給するためのサブタンクを設け、潤滑
油量が消費されるとこのサブタンクから供給するように
したものがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来に
おいては、使用中の機関潤滑油と同じ潤滑油をサブタン
クに貯留しておき、潤滑油の消費に伴って逐次このサブ
タンクから潤滑油を供給するようにしているが、このよ
うな装置においては、単に潤滑油を補給するのみであっ
て、使用潤滑油中のアルカリ価に応じて、そのアルカリ
価を一定レベル以上に保持するようなものではない。

【０００５】すなわち、劣化した潤滑油に同じ潤滑油を
補給しただけでは、補給した潤滑油のアルカリ価が薄め
られるため、これを繰り返す度に結局は使用中の潤滑油
のアルカリ価が低下して、上記のように、清浄分散性や
耐酸化性等が短時間に低下するという欠点がある。

【０００６】また、長時間の使用により潤滑油が劣化す
ると、定期的にこの潤滑油を排出して入換えることが必
要となるが、このためには、一旦エンジンを停止して使
用中の潤滑油を排出しなければならず、再び新しい潤滑
油を供給する必要があり、結局はメンテナンスのために
エンジンを停止しなければならないという不都合があ
る。

【０００７】さらに、当初から大型のオイルパンを用い
てできるだけ長時間使用できるようにすることも考えら
れるが、そのような大型のものを用いると設置場所の制
約を受け、余分なスペースを取るという欠点があり、こ
の場合には、アルカリ価が下限値を越えたときは、エン
ジンを停止して交換しなければならないことになる。

【０００８】この発明は、このような従来の欠点を解消
して、使用潤滑油のアルカリ価を長時間一定レベル以上
に保持することができるとともに、潤滑油の交換のため
にエンジンを停止する必要のない内燃機関の潤滑装置を
実現することを目的としてなされたものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明では、アルカリ価の高い潤滑油若しくはア
ルカリ価を高めるための増加剤を貯留する第１の潤滑油
供給タンクと、アルカリ価の低い第２の潤滑油供給タン
クとを有し、機関潤滑油のアルカリ価の状態に応じて何
れかのタンクから機関へ補給することを特徴とする。

【００１０】同じくこの出願の第２の発明は、潤滑油を
補給するための補給用タンクと、廃油を貯留するための
ドレンタンクと、機関潤滑油量を検出する油量センサー
と、潤滑油の劣化状態を検出若しくは演算する劣化状態
判定手段とを有し、その潤滑油量の低下及び潤滑油の劣
化状態に応じて、潤滑油補給用タンク側から潤滑油を供
給するとともに同じく潤滑油をドレン廃油タンク側に排
出するコントローラとを備えていることを特徴とする。

【００１１】

【作用】上記において、オイルパン内のアルカリ価が低
くなると、高アルカリ価補給用タンクから潤滑油を補給
し、通常の場合で油面が低い場合には、低アルカリ価の
オイルを供給する。

【００１２】また、請求項２の発明においては、潤滑油
が劣化すると、そのオイルパン内の潤滑油をドレンタン
ク側へ排出すると同時に補給用タンク側から潤滑油を供
給して、そのオイルパン内の潤滑油を交換する。

【００１３】

【実施例】図１は、この出願の請求項１の発明に従って
実施される実施例のブロックダイヤグラムである。図に
おいて、（１）は機関本体、（２）はその機関本体
（１）のオイルパンを示している。（３）及び（４）
は、前記オイルパン（２）内へ潤滑油を補給するための
供給タンクであって、その一方（３）は、通常使用され
る潤滑油よりも高いアルカリ価を備えた潤滑油若しくは
その増加剤を貯留した第一の潤滑油供給タンクであり、
他方（４）は、通常使用されるのと同程度の比較的低い
アルカリ価を備えた第二の潤滑油供給タンクである。こ
れら潤滑油供給タンク（３）（４）が、配管（５）
（６）を介して、オイルパン（２）側に接続されるとと
もに、それらの配管（５）（６）の途中に、電磁開閉弁
（７）（８）を設けて、これらの電磁開閉弁（７）
（８）を選択的に開くことによって、それぞれ開かれた
方の潤滑油若しくは増加剤をオイルパン（２）内に供給
するようになっている。（９）は、ドレンタンクであっ
て、同様にオイルパン（２）内に配管（10）を介して連
通されるとともに、その配管（10）の途中に電磁開閉弁
（11）を設け、この電磁開閉弁（11）を開くことによっ
て、オイルパン（２）内の潤滑油をこのドレンタンク
（９）側に排出できるようになっている。

【００１４】（12）はマイクロコンピュータであって、
このマイクロコンピュータ（12）の制御信号が、前記電
磁開閉弁（７）（８）（11）へそれぞれ出力されて、こ
れらの電磁開閉弁（７）（８）（11）を開閉制御するよ
うになっている。更に、オイルパン（２）内には、その
オイルパン（２）内の潤滑油レベルを検出する油面セン
サー（13）と、アルカリ価を検出するアルカリ価検出セ
ンサー（14）とが配置されて、それらの検出信号が、前
記マイクロコンピュータ（12）へ入力される。

【００１５】図２は、上記図１のマイクロコンピュータ
（12）が行う制御の流れを示すフローチャートである。
油面検出センサー（13）からの検出信号により油面を判
定し、その油面が設定値以上より高い場合には、まずそ
のオイルパン（２）内の潤滑油のアルカリ価を判定し、
アルカリ価が低い場合には、オイルパン（２）内の潤滑
油をドレンタンク（９）側へ一定量排出するとともに、
タンク（３）から高アルカリ価の潤滑油又は増加剤を供
給する。他方、油面が設定値よりも低い場合には、再び
アルカリ価を判定し、低い場合には、そのまま高アルカ
リ価の潤滑油若しくは増加剤を供給し、他方、アルカリ
価が高い場合には、タンク（４）から必要量だけ低アル
カリ価の潤滑油を供給する。

【００１６】図３は、上記の装置における運転使用時間
とアルカリ価の変化を示したもので、このように、長時
間に渡って、下限即ち一定レベル以上のアルカリ価にオ
イルパン（２）内の潤滑油を保つことができる。

【００１７】上記劣化センサーによってオイルパン内の
潤滑油の劣化を直接検出することに替えて、機関の運転
時間、負荷、潤滑油の種類及び温度等に基づいて、潤滑
油の劣化状態を演算して算出するようにしても良い。

【００１８】図４は、この出願の請求項２の発明に従っ
て実施される装置のブロックダイヤグラムである。この
実施例では、機関本体（１）のオイルパン（２）へ潤滑
油を補給するためのタンクを一個のサブタンク（21）と
し、他方、この実施例においても、ドレンタンク（22）
を備えている。そして、サブタンク（21）からオイルパ
ン（２）側へ潤滑油を供給するため、その途中に電磁開
閉弁（23）を備えた配管（24）が接続され、他方、ドレ
ンタンク（22）には、オイルパン（２）からこのドレン
タンク（22）に連通する配管（25）が接続されるととも
に、その途中に電磁開閉弁（26）が配置されている。

【００１９】また、オイルパン（２）内には、そのオイ
ルパン（２）内の潤滑油レベルを検出する油量センサー
（27）と、潤滑油の劣化状態を検出する劣化センサー
（28）が設けられて、マイクロコンピュータ（29）へそ
の検出信号を入力するようになっている。更に、このマ
イクロコンピュータ（29）の制御信号が、前記電磁開閉
弁（23）（26）側へ出力されて、その電磁開閉弁（23）
（26）を開閉制御するようにしている。（30）は、マイ
クロコンピュータ（29）のディスプレーであり、このデ
ィスプレー（30）では、潤滑油の消費量と、潤滑油補給
要求メッセージと、潤滑油交換要求メッセージとを表示
するようになっている。

【００２０】図５は、上記図４の装置の制御の流れを示
すフローチャートである。まず、補給用サブタンク（2
1）に補給するのに必要な量の潤滑油があるか否かを判
定し、無い場合には、使用者にこのサブタンク（21）に
潤滑油を補給するようなメッセージを、前記ディスプレ
ー（30）へ表示する。また、ドレンタンク（22）内に潤
滑油を排出できるだけの空きはあるか否かを判定し、そ
うでない場合には、このドレンタンク（22）内のオイル
を排出するよう廃油処理促進メッセージを、ディスプレ
ー（30）に表示する。次に前記劣化センサー（28）から
の入力信号に基づき、オイルパン（２）内の潤滑油が交
換時か否かを判定し、劣化して交換が必要な場合には、
マイクロコンピュータ（29）が、サブタンク（21）側の
電磁開閉弁（23）を開いて、オイルパン（２）側へ潤滑
油補給させるとともに、ドレンタンク（22）側の電磁開
閉弁（26）をも開いて、オイルパン（２）内の潤滑油を
このドレンタンク（22）側に排出する。そして、オイル
パン（２）内の潤滑油が劣化状態を回復し得る程度に交
換された状態で、再びサブタンク（21）に潤滑油を補給
し、ドレンタンク（22）内の廃油を処理するようなメッ
セージをディスプレー（30）に表示するとともに、潤滑
油の交換が完了した旨のメッセージを表示する。

【００２１】

【発明の効果】以上のように、この出願の請求項１の発
明では、オイルパン内の潤滑油のアルカリ価が低下する
と、そのオイルパン内に高アルカリ価の潤滑油を補給す
ることによって、アルカリ価を低下させることなく長時
間に渡って一定レベル以上のアルカリ価を維持できると
いう効果がある。また、アルカリ価が低くなく、潤滑油
レベルが低い場合には、そのような高アルカリ価の潤滑
油を供給せずに比較的低いアルカリ価の潤滑油を供給す
れば良いという効果がある。

【００２２】他方、この出願の請求項２の発明では、潤
滑油の劣化状態において、そのオイルパン内の潤滑油を
ドレンタンク側に排出すると同時に、そのオイルパン内
に潤滑油を補給するため、これらを同時に行うことによ
って自動的に潤滑油の交換を行い得るとともに、潤滑油
を排出するためエンジンを停止する必要がないから、長
時間に渡って機関を連続運転できることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す装置のブロックダイヤ
グラムである。

【図２】図１の装置における制御の流れを示すフローチ
ャートである。

【図３】同じく図１の実施例におけるアルカリ価の時間
経過に伴う変化を示すグラフである。

【図４】この発明の別の実施例を示す装置のブロックダ
イヤグラムである。

【図５】同じく図４の装置の制御の流れを示すフローチ
ャートである。

【符号の説明】

（１） 機関本体 （２） オイルパン （３） 高アルカリ価補給用タンク （４） 低アルカリ価補給用タンク （９） ドレンタンク （13） 油面センサー （14） アルカリ価センサー （21） 潤滑油補給用サブタンク （22） ドレンタンク （27） 油量センサー （28） 油量劣化センサー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルカリ価の高い潤滑油若しくはアルカ
   リ価を高めるための増加剤を貯留する第１の潤滑油供給
   タンクと、アルカリ価の低い第２の潤滑油供給タンクと
   を有し、機関潤滑油のアルカリ価の状態に応じて何れか
   のタンクから機関へ補給することを特徴とする内燃機関
   の潤滑装置。
2. 【請求項２】 潤滑油を補給するための補給用タンク
   と、廃油を貯留するためのドレンタンクと、機関潤滑油
   量を検出する油量センサーと、潤滑油の劣化状態を検出
   若しくは演算する劣化状態判定手段とを有し、その潤滑
   油量の低下及び潤滑油の劣化状態に応じて、潤滑油補給
   用タンク側から潤滑油を供給するとともに同じく潤滑油
   をドレンタンク側に排出するコントローラとを備えてい
   ることを特徴とする内燃機関の潤滑装置。