JPH06156547A - 断熱容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内部の温度差の小さい断熱容器を提供する。 【構成】 内外のカバーで囲まれた空間内に断熱材を充
填して断熱層７を形成した断熱容器６において、容器６
外との温度差が他の部分よりも大きな部分の断熱層７
を、前記他の部分よりも薄く形成する。 【効果】 薄く形成した部分の断熱層を通しての熱の出
入が起こり易くなるため、容器内部の高温部と低温部と
の温度差が少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高温用または低温用の
断熱容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の断熱容器は、図３（ａ）
の縦断面図および図３（ｂ）の横断面図に示すように、
本体部３と、この本体部の開口３ａに入り込んだ状態で
設けられた蓋部４とで構成されている。このような断熱
容器１の構成材としては、ステンレス鋼板などからなる
内外のカバー２１，２２で囲まれた空間内にグラスウー
ルやロックウールなどの無機質繊維からなる断熱材を充
填し、その空間内を真空排気して断熱層２３を形成した
ものが用いられている。しかし、断熱容器１内がよく断
熱されていても、内部の流体は上部ほど温度が高く、下
部ほど温度が低くなる性質を持っているため、容器１内
部にはわずかではあるが温度差がある。この温度差は対
流が活発に起こって解消されるものではないので、ファ
ンまたはブロワー等の攪拌装置２で内部流体を強制攪拌
することにより、断熱容器１内部の温度分布の均一化を
図っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、断熱容
器１においては、本体部３への蓋部４の着脱を容易にす
るために本体部３と蓋部４との間に間隙５が設けられて
おり、この間隙５を通しての蓋部４からの放散熱量が大
きく、これにより断熱性能が低下するという問題点があ
る。

【０００４】本発明は上記問題を解決するもので、断熱
性能がよく、さらに強制攪拌により容器内部の温度分布
の均一化を図る必要のない断熱容器を提供することを目
的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明は、内外のカバーで囲まれた空間内に断熱材を
充填して断熱層を形成した断熱容器において、容器外と
の温度差が他の部分よりも大きな部分の断熱層を、前記
他の部分よりも薄く形成したものである。

【０００６】また本発明は、上記断熱容器において、一
部に開口を有した本体部と、この開口を閉じる蓋部とを
有し、蓋部およびその近傍の断熱層を他の部分よりも厚
く形成したものである。

【０００７】

【作用】断熱容器全体の断熱層を同じ種類の断熱材で形
成する場合、断熱厚みが薄いほど放散熱量が多くなるの
で、上記構成により、その断熱厚みを薄く形成した部分
の断熱層を通しての熱の出入りが起こり易くなる。この
結果、高温用途の容器では容器内の流体高温部の温度が
低下し、低温用途の容器では容器内の流体低温部の温度
が上昇することになって、容器内部の高温部と低温部と
の温度差が少なくなり、温度が均一化される。

【０００８】また、蓋部およびその近傍の断熱層を他の
部分よりも厚く形成したことにより、蓋部における熱の
出入りが防止され、断熱性能が向上する。

【０００９】

【実施例】図１は、本発明の一実施例の高温用断熱容器
を示し、（ａ）は縦断面図であり、（ｂ）は横断面図で
ある。ここで、高温とは常温以上の温度を意味する。

【００１０】前記のように、流体は上部ほど温度が高
く、下部ほど温度が低くなる性質があるので、高温用途
に使用する断熱容器６の場合、図示したように、天井部
９およびその近傍の断熱層を薄く形成するとともに、底
部１０およびその近傍の断熱層を厚く形成し、天井部９
から底部１０に向けて徐々に断熱層の厚さが増加するよ
うにする。また容器本体部８の開口８ａに挿入される蓋
部１１の断熱層を厚く形成する。これにより、薄く形成
された天井部９およびその近傍からある程度の熱が放散
されて、容器６内上部の温度が多少低下し、容器６内部
の流体の温度差が少なくなって、温度が均一になる。ま
た蓋部１１の断熱層を厚く形成したことから、この蓋部
１１からの熱の放散が防止される。

【００１１】図２は、本発明の変形実施例の高温用断熱
容器１３を示す。図１に示した高温用断熱容器６と同様
に、天井部１４およびその近傍の断熱層を薄く形成する
とともに、底部１５およびその近傍の断熱層を厚く形成
し、天井部１４から底部１５に向けて徐々に断熱層の厚
さが増加するようにする。また容器本体部１６の開口１
６ａに挿入される蓋部１７の断熱層を厚く形成する。

【００１２】このときさらに、図１の高温用断熱容器の
構造に加えて、背面部１８から蓋部１７に向けて断熱層
を徐々に厚く形成する。背面部１８側の厚さは、図１と
同様とする。これにより、薄く形成された天井部１４お
よびその近傍からある程度の熱が放散されて、容器１３
内上部の温度が多少低下し、容器１３内部の流体の温度
差が少なくなって、温度が均一になる。また上述のよう
にさらに厚く形成された蓋部１７からの熱の放散は、一
層防止される。

【００１３】低温用断熱容器に本発明を適用するとき
は、上記と逆に、天井部およびその近傍の断熱層を厚く
形成し、底部およびその近傍の断熱層を薄く形成する。
ここで、低温とは常温以下の温度を意味する。蓋部の厚
みは、高温用断熱容器の場合と同様にすればよい。この
構成により、底部およびその近傍における外部からの熱
の吸収が大きくなり、容器内下部の低温が緩和されて、
容器内部の温度が均一になる。

【００１４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、断熱容器
の断熱厚みを高温部と低温部とで変えたことにより、高
温用断熱容器では高温部からの放熱、低温用断熱容器で
は低温部での熱の吸収が他の部分より多くなり、断熱容
器内の流体温度が均一になる。また、ファンまたはブロ
ワー等の攪拌機器が不用となるため、装置が簡単になる
とともに動力の点からも省エネルギーになる。

【００１５】また本発明によれば、断熱容器の蓋部およ
びその近傍を他の部分よりも厚く形成したため、蓋部に
おける熱の出入りを低下させることができ、断熱性能を
向上可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の真空断熱容器の断面図であ
る。

【図２】本発明の変形実施例の真空断熱容器の断面図で
ある。

【図３】従来例の真空断熱容器の断面図である。

【符号の説明】

６ 断熱容器 ７ 断熱層 ８ 本体部 8a 開口 11 蓋部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内外のカバーで囲まれた空間内に断熱材
   を充填して断熱層を形成した断熱容器において、容器外
   との温度差が他の部分よりも大きな部分の断熱層を、前
   記他の部分よりも薄く形成したことを特徴とする断熱容
   器。
2. 【請求項２】 一部に開口を有した本体部と、この開口
   を閉じる蓋部とを有し、蓋部およびその近傍の断熱層を
   他の部分よりも厚く形成したことを特徴とする請求項１
   記載の断熱容器。