JPH06155372A - シート材切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 円板刃と相手刃との両刃が圧接と離反が可能
なシート材切断装置において、圧接力とトウイン角が簡
単に調整ができる切断装置を提供する。 【構成】 遊転可能に軸支された円板刃と、円板刃が圧
接され回転駆動される相手刃と、円板刃を相手刃に対し
圧接、離反するごとく移動させ、円板刃の相手刃に対す
る圧接力とトウイン角を調整する手段を有する移動機構
からなる。そして移動機構は、ウォームと、クランクお
よびスィッチカムが固定されたウォームホイールと、円
板刃ホルダが装着され一方端に長孔を有し他方端が揺動
回転可能にベース部材に支承された腕部材からなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、円周に切刃を有し遊転
可能に軸支された円板刃を用い、紙、フィルムなどの幅
広のシート材をその長手方向に切断する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】円周に切刃を有し遊転可能に軸支された
円板刃と、この円板刃を円周に切刃を有し回転駆動され
た丸刃、あるいは直線状刃先を有する固定刃に圧接し、
円板刃と協働して、紙、フィルム等のシート材を切断す
るシート材切断装置は多い。このうち、円板刃を相手刃
に対し離反させて、シート材を切断しないで自由に通過
できるようにした装置も知られている。すなわち、この
装置は、切断時には、適切な圧接力で円板刃を相手刃に
圧接して切断が可能な状態とし、切断しない時には、円
板刃を相手刃から離反させ、待機状態にするものであ
る。

【０００３】円板刃が相手刃に対して圧接と離反が可能
な切断装置として、特開平3-170291号公報には、電磁ソ
レノイドを用いて、円形刃を移動させると共に、圧接ま
たは離反の状態を保持する切断装置が開示されている。
しかし、この切断装置は、電磁ソレノイドを励磁した状
態で円形刃を相手刃である第２の円形刃に圧接する構造
であるため、長時間連続して使用すると電磁ソレノイド
の性能が低下して切断状態が不安定になる。そこで本発
明者は、上述の問題点を解消するため、電磁ソレノイド
を用いないで、ウォームギアとウォームホイールによっ
て円板刃を機械的に圧接離反させ、機械的な保持作用に
よって円板刃を相手刃に圧接する構造の切断装置を特願
平４−１１５７５３号として出願した。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述した特開平３−１
７０２９１号に開示されたような電磁ソレノイドを用い
る型の切断装置では、電磁ソレノイドを長時間励磁した
ままで使用すると、その性能が低下して円板刃の相手刃
への圧接力が低下する傾向が大きいので、このような使
用状態は、できるだけ避けなければならない。電磁ソレ
ノイドの性能が低下する結果、切断反力によって円板刃
が相手刃から逃げる現象が生じて切れ味が悪くなり、場
合によっては円板刃が相手刃の上へ乗り上げて、実質的
に切断ができなくなるという問題点がある。さらに、円
板刃を相手刃に圧接して切断するこの種の切断装置にお
いては、シートを安定して切断するために、圧接力と、
図３に示すように円板刃が相手刃に圧接された状態で、
相手刃の側面に対する円板刃の切断方向の傾きで表わす
トウイン角とを、適切な値に維持することが重要であ
る。一方、本発明者が特願平４−１１５７５３号で出願
した切断装置も圧接力とトウイン角を維持する点で下記
に説明するような改善の余地があることが判明した。

【０００５】すなわち、この切断装置も切断そのものに
は特に不具合はなく、切断が可能であるが、圧接と離反
が交互に繰り返されるため、圧接の状態にばらつきが生
じやすいので、円板刃が相手刃に常時圧接されたままで
切断する切断装置と比較すれば、高い切断精度が得られ
なくなる。さらに滑らかな切断面を得るために、円板刃
の移動機構を円板刃の相手刃への圧接方向に移動して圧
接力を高くしようとした際、圧接力が高すぎると、円板
刃が相手刃上に乗り上げる現象が起きる。そこでこの不
具合を回避するため、逆に圧接力を少なくし過ぎると円
板刃が相手刃に十分圧接できないで、切断不良となる現
象が発生する。したがって、圧接力の調整が非常に難し
いし、上述したトウイン角だけを調整することも、構造
的に難しいという問題点もある。

【０００６】一方、圧接力とトウイン角を適切な条件と
なるように、部品寸法を決定しておいても、各部品の製
作時の誤差、組立時の精度や誤差等によって、予定した
圧接力とトウイン角が得られず、切断不良も大きくなる
という問題点もある。そして結果的には、切断されたシ
ート材の切断面のケバ立ち、長手方向の真直度の不良
等、切断精度のばらつきが生じるのである。本発明は上
述の問題点を解消し、適切な圧接力とトウイン角を維持
して安定した切断が得られるシート材切断装置を提供す
ることを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題点
を解決するため、種々検討を進めるうちに、特開平３−
１７０２９１号に開示された切断装置は、円板刃を接離
する駆動源としてソレノイドを用いているので、長時間
連続して使用するとソレノイドの性能が低下して圧接力
も低下することを見出し、駆動源にはソレノイドではな
く、機械的に圧接力を得る装置が有利であることを見出
した結果に基づくものである。そして本発明は、特願平
４−１１５７５３号で出願した切断装置が、主に円板刃
を相手刃に圧接離反するための円板刃の移動機構を組み
立てた時、圧接位置の調整のみによって、圧接力とトウ
イン角を維持するので圧接位置等の調整が難しいことが
判明したので、円板刃の移動機構にさらに圧接力とトウ
イン角を調整できる装置を設けてやれば適切な圧接力と
トウイン角が維持できることを見出して完成されたもの
である。

【０００８】具体的には本発明は、円周に切刃を有し、
遊転可能な円板刃と、該円板刃が圧接され、前記円板刃
と協働してシート材を剪断する回転駆動される相手刃
と、前記円板刃を前記相手刃に対し圧接または離反さ
せ、前記円板刃の前記相手刃に対する前記圧接または前
記離反の状態を機械的保持作用によって保持すると共に
前記円板刃の前記相手刃に対する圧接力とトウイン角を
調整する手段を有する円板刃の移動機構からなることを
特徴とするシート材切断装置であり、さらに円板刃の移
動機構は、ウォームと、側面にクランクピン、およびス
イッチカムが固定されたウォームホイールと、圧接力を
調整する円板刃ホルダが装着され、一方端に長孔を有
し、他方端がベース部材に揺動回転可能に支承された腕
部材とからなり、前記ベース部材は揺動可能に支持され
てトウイン角を調整することを特徴とする請求項１に記
載のシート材切断装置である。

【０００９】

【作用】本発明においては、円板刃に対する相手刃は丸
刃が望ましい。前記丸刃に円板刃が圧接されて切断状態
にある時、切断負荷によって円板刃が持ち上げられよう
とすると、円板刃を支持している腕部材にも上方へ持ち
上げようとする力が発生する。ところが、腕部材に設け
られた長孔には、ウォームホイールに固着されたクラン
クピンが嵌入されているから、ウォームホイールが回転
しないと腕部材は動けない。したがって、ウォームとウ
ォームホイールによって形成される機械的保持作用によ
って、円板刃の丸刃への圧接状態が維持される。次にモ
ータに回転指令が与えられ、ウォームが回転すると、ウ
ォームホイールが回転し腕部材が移動して、円板刃と丸
刃が離反する。そして、ウォームホイールに固着された
クランクピンが最も上方に位置した時、スィッチカムと
検知スィッチの働きにより、モータが停止して離反状態
となる。

【００１０】離反状態においても、圧接状態における場
合と同じ機械的保持作用によって離反状態が維持され
る。ウォームとウォームホイールの組み合わせは、ウォ
ームのねじれ角≦摩擦角という関係式があり、ウォーム
ホイールを駆動側としてウォームを回転することはでき
ないので、この特性を利用すれば機械的保持作用が生ず
るのである。次に円板刃が遊転可能に支持される円板刃
ホルダは、腕部材上でスライドができるように装着され
ているので、円板刃を相手刃に圧接した時に、円板刃ホ
ルダを動かして、圧接力を調整する。

【００１１】また、移動機構が揺動回転できるように支
承されるベース部材も回転可能に支持されているから、
円板刃が相手刃に圧接された時、ベース部材を回転させ
ることによってトウイン角の調整をする。すなわち、従
来の切断装置は、組み立てた時に圧接力とトウイン角を
設定してしまうので、使用途中でこれ等の再調整は難し
いが、本発明では使用途中でも円板刃ホルダをスライド
させること、およびベース部材を回転させることによっ
て圧接力とトウイン角とをそれぞれ独立的に調整するこ
とができる。

【００１２】

【実施例】次に一実施例と図面に基づいて本発明を詳細
に説明する。図１は、本発明のシート材切断装置の一実
施例を示す正面図、図２は上面図である。図１、図２に
おいて、円周に鋭角の刃先を有する円板刃１は、円板刃
支軸１１に遊転可能に軸支し、この円板刃支軸１１を、
移動機構３のうちの腕部材３１に装着された円板刃ホル
ダ１３に固定した。また、円板刃１は、円板刃圧接ばね
１２によって丸刃２へ圧接される。移動機構３のうちの
モータ３２にはウォーム３３を設け、ウォーム３３には
ウォームホイール３４を噛み合わせ、さらにウォームホ
イール３４にはクランクピン３５とスィッチカム３６を
固定した。検知スィッチ３７はスィッチカム３６に当接
されてモータ３２に作動、停止の指令を与える。

【００１３】さらに、移動機構３のうちの腕部材３１は
一方の端部にクランクピン３５が嵌入される長孔３９を
設け、他方の端部が回転支軸によってスリッタベース４
に軸支され、クランクピン３５が回転することによって
揺動回転して、円板刃が相手刃である丸刃２に対して圧
接と離反を繰り返す。丸刃２は、図示しない駆動源によ
って、回転駆動する丸刃駆動軸に固定した。

【００１４】次に圧接力とトウイン角の調整方法につい
て説明する。まず、圧接力を調整するには、圧接状態の
ままで、円板刃ホルダ固定ねじ１４とナット１６を緩
め、アジャストねじ１５を回転させると、このアジャス
トねじ１５の先端に接触している円板刃ホルダ１３が、
円板刃圧接ばね１２の圧接力により同調してスライドす
るので、圧接力が設定値になったところでアジャストね
じ１５を固定したままナット１６を締結すると共に、円
板刃ホルダ固定ねじ１４を締結し、円板刃ホルダ１３を
固定する。

【００１５】トウイン角７を調整するには、前記円板刃
を圧接状態にしておいて、スリッタベース固定ねじ４を
緩め、スリッタベース支軸４２を中心にベース部材であ
るスリッタベース４をベース５に対し回転させて、トウ
イン角７が設定値になったところでスリッタベース固定
ねじ４１を締結し、スリッタベース４をベース５に固定
する。

【００１６】次いで移動機構３が作動して円板刃１が丸
刃２に対して圧接と離反をする状況を説明する。円板刃
１を圧接状態から離反状態に移動して待機させるには、
移動機構３全体を作動させる。モータ３５に通電し、ウ
ォーム３３の回転をウォームホイール３４に伝達し、こ
のウォームホイール３４に植設固定されたクランクピン
３５が長孔３９内を摺動して、回転支軸３８を中心に腕
部材３１の端部を図面上の上方へ揺動させることで達成
できる。待機位置での停止は、検知スイッチ３７とスイ
ッチカム３６との当接が絶たれることにより、モータ３
２への通電が遮断されることによって行われる。この時
の腕部材３１の角度位置は、ウォームホイール３４に固
定されたクランクピン３５が最も上の位置であり、腕部
材３１と連動した円板刃１が丸刃２から最も遠くなる位
置である。

【００１７】再度、円板刃１を丸刃２に圧接するには、
上記と同じようにモータ３２を回転させ、腕部材３１を
揺動させればよい。モータ３２は同じ方向に回転させて
も逆転させても再度円板刃１を丸刃２に圧接することが
できる。このようにして、本発明のシート材の切断装置
は、ウォームとウォームホイールが有する機械的保持作
用によって固定刃１と丸刃２との圧接と離反の状態を維
持できるのである。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のシート材
切断装置は、圧接離反の状態を移動機構が備えた機械的
保持作用により、維持するものであり、円板刃の相手刃
への圧接力と、円板刃と相手刃とがなすトウイン角とを
個々に独立的に調整ができる。この結果、切断条件に応
じて最適な圧接力とトウイン角の調整が可能であり、円
板刃の相手刃への乗り上げ等の不具合を防止すると共に
組立後も再度圧接力とトウイン角の調整が可能なシート
材の切断装置を提供できる。したがって、切断面が滑ら
かなシート材が得られ、このシート材の切断装置は、そ
の工業上の効果は非常に大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシート材切断装置の一実施例を示す正
面図で切断状態の図である。

【図２】本発明のシート材切断装置の一実施例を示す上
面図である。

【図３】本発明のシート材切断装置に係る円板刃と相手
刃とがなすトウイン角を説明する図である。

【符号の説明】

１ 円板刃、１１ 円板刃支軸、１２ 円板刃圧接ば
ね、１３ 円板刃ホルダ、１４ 円板刃ホルダ固定ね
じ、１５ アジャストねじ、１６ ナット、２ 丸刃、
２１ 丸刃駆動軸、３ 移動機構、３１ 腕部材、３２
モータ、３３ ウォーム、３４ ウォームホイール、
３５ クランクピン、３６ スイッチカム、３７ 検知
スイッチ、３８ 回転支軸、３９ 長孔、４ スリッタ
ベース、４１スリッタベース固定ねじ、４２ スリッタ
ベース支軸、５ ベース、６ シート材、７ トウイン
角

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円周に切刃を有し、遊転可能な円板刃
   と、該円板刃が圧接され、前記円板刃と協働してシート
   材を剪断する回転駆動される相手刃と、前記円板刃を前
   記相手刃に対し圧接または離反させ、前記円板刃の前記
   相手刃に対する前記圧接または前記離反の状態を機械的
   保持作用によって保持すると共に前記円板刃の前記相手
   刃に対する圧接力とトウイン角を調整する手段を有する
   円板刃の移動機構からなることを特徴とするシート材切
   断装置。
2. 【請求項２】 円板刃の移動機構は、ウォームと、側面
   にクランクピン、およびスイッチカムが固定されたウォ
   ームホイールと、圧接力を調整する円板刃ホルダが装着
   され、一方端に長孔を有し、他方端がベース部材に揺動
   回転可能に支承された腕部材とからなり、前記ベース部
   材は揺動可能に支持されてトウイン角を調整することを
   特徴とする請求項１に記載のシート材切断装置。