JPH0615473B2 - 脳浮腫抑制剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 本発明は、新規な脳浮腫抑制剤を提供することを目的と
する。

従来技術 脳浮腫に対する薬剤として、現在グリセロールあるいは
マンニトールがよく使われている。しかし、これらは電
解質バランスの障害（高ナトリウム血症）や腎障害を惹
起することが知られており未だ満足しうる薬剤とは言え
ない。

発明の構成 本発明は、ケルシトリンを有効成分とする脳浮腫抑制剤
に関するものである。ケルシトリンは次の構造式を有す
るフラボノイドの一種である公知化合物である。

本発明者はケルシトリンのラットの実験的脳虚血モデル
に対する効果を効討したところ有意に優れた効果を見出
し本発明を完成した。次に実験例を挙げて説明する。

実験例：脳浮腫生成に対するケルシトリンの効果Wistar
ラット（体重230〜280g、雄）の両側椎骨動脈の血流を
遮断し、さらに両側頚動脈の血流を６６分間遮断した。
その後６０分間血流を再開通させてラットの実験的脳虚
血モデルを作成した(W.A.Pulsinelli,et al.,Stroke,1
0,267(1979)参照)。

本モデルに対して、血流遮断５分前にケルシトリン５mg
/kgを生理食塩液懸濁液として大腿静脈より注入した。
対照群には生理食塩液のみを注入した。さらに無処置動
物も対照した。

脳の水分含量をPontenらの方法(J.Neurochem.,21,1127
(1973))に従い液体窒素で脳を凍結後摘出し、その前頭
部約100mgを秤量後凍結乾燥し、湿重量と乾燥重量の差
から求め、これを指標として効果を検討した。結果を表
に示す。

この結果から、ケルシトリン投与群における脳水分含量
は生理食塩液投与群におけるそれよりも有意に（Ｐ＜0.
05）低く、ケルシトリンに脳浮腫抑制作用があることが
明らかとなった。

本発明の薬剤は、脳梗塞、脳出血などの虚血性脳血管障
害に伴なう脳浮腫の治療および予防に有効である。

ケルシトリンは、適当な副成分（賦形剤、結合剤、崩壊
剤、溶解剤等）と慣用の製剤技術で製剤化することがで
きる。例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロ
ップ剤、注射剤等の剤形を挙げることができ、経口また
は注射により投与するのが適当である。製剤の一例を次
に示す。

錠剤 ケルシトリン 50mg カルボキシメチルセルロース 25mg でんぷん 5mg 結晶セルロース 40mg ステアリン酸マグネシウム 2mg 投与量としては、経口では成人一日当り１０mg乃至１０
ｇ、特に２００mg乃至５ｇ、静眠内注射等の注射では１
０mg乃至２ｇ、特に１００mg乃至１．５ｇが適当であ
り、数回に分けて投与するのが普通であって、症状や患
者の状態等に応じて適宜増減する。

ケルシトリンの毒性は医薬としての使用に支障のない範
囲であり、例えば、マウス腹腔内注射におけるLD₅₀は20
0mg/kgである(Registry of Toxic Effects of Chemical
Substances(1981-1982 Edition)U.S.Departmenh of He
alth and Himan Services)。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ケルシトリンを有効成分とする脳浮腫抑制
   剤