JPH0615471U - スピニングリール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リール本体に変形を生じても螺軸で駆動され
る摺動子を円滑に案内するスピニングリールを構成す
る． 【構成】 摺動子１３の作動方向に沿って該摺動子１３
を案内するロッド状の案内体１７を配置し、この案内体
１７の後端部を支持するブッシュ状の部材１８で成る調
節手段Ａをリール本体２との間に形成し、このブッシュ
１８に対して、案内体１７の後端を、軸芯と直交する方
向に向かう所定の位置に設定できるよう、この案内体１
７の端部を係合支持する長孔１８Ｃを形成して案内体１
７、螺軸夫々の相対姿勢を平行に設定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ハンドルからの駆動力で回転する螺軸の螺旋溝に係入する係合片か らの往復駆動力を、該係合片を支持する摺動子を介してスプール軸に伝えるオシ レーティング機構を備えて成るスピニングリールに関し、詳しくは、オシレーテ ィング機構を円滑に作動させる技術に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

上記のように構成されたスピニングリールとして実開平１−１７８３７４号公 報に示されるものが存在し、この従来例では摺動子を貫通する状態に螺軸を配置 すると共に、この摺動子に係合片を内装しており、従来、この種のオシレーティ ング機構では摺動子をリール本体の内面に接触させることによって、螺軸からの 回転力に起因する摺動子の回転を抑制している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ここで、前述した従来例について考えるに、このように螺軸の回転によってス プール軸を前後方向に往復駆動する構造のオシレーティング機構では、偏心カム 等を使用するものと比較して、大きい動作ストロークを必要とする場合でも、機 構の大型化を抑制でき、又、前進速度と後退速度とに差を設定できる等、良好な 面を有するものとなっている。 又、従来からリール本体は樹脂の金型成形により製作されることから、成形後 に樹脂が変形することも多く、前述したように、リール本体の内面に摺動子を接 触させる構造のものでは、リール本体の変形により、例えば、該摺接面がスプー ル軸に対して非平行状態に陥る、あるいは、曲面に変形する等の理由から、摺動 子の作動時に螺軸周りで該摺動子にガタツキを発生させる、あるいは、摺動子の 作動時に大きい抵抗を作用させる等円滑な作動を損なうものとなり改善の余地が ある。 そこで、摺動子をリール本体の内面に接触させず、摺動子に接触、あるいは、 係合するレール型等の案内体を備えることも考えられるが、この案内体をリール 本体に備えるための連結部を、前述した金型での成形時にリール本体内面に形成 すると、前述した樹脂の変形によって、この連結部の位置に狂いを生じやすく適 切な案内手段が望まれている。 本考案の目的は、リール本体に変形を生じても螺軸で駆動される摺動子を円滑 に案内するスピニングリールを合理的に構成する点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の特徴は冒頭に記したように、ハンドルからの駆動力で回転する螺軸の 螺旋溝に係入する係合片からの往復駆動力を、該係合片を支持する摺動子を介し てスプール軸に伝えるオシレーティング機構を備えて成るスピニングリールにお いて、 前記摺動子の移動方向に沿って摺動子を案内する案内体を配置すると共に、こ の案内体の端部、あるいは、前記螺軸の端部のうちの少なくとも一方をリール本 体に対し、その軸芯と直交する方向へ位置変位可能な調節手段を介して支持して 成る点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。

【０００５】

【作用】

上記特徴を例えば図３乃至図５に示すように構成すると、リール本体２に変形 を生じているものであっても、リールの組立て時には案内体１７の端部を調節手 段Ａを介してリール本体２に装着し、この調節手段Ａによって位置調節を行うこ とで、該案内体１７を螺軸１１の軸芯と平行の姿勢に設定し得るものとなり、螺 軸１１の回転時には、この案内体１７によって摺動子１３の回転を阻止しながら 、該摺動子１３を案内するものとなる。 尚、本考案では案内体１７の後端以外に前端に調節手段Ａを設けるよう実施で き、又、螺軸１１の後端部、あるいは、前端部に調節手段Ａを設けるよう実施で き、いずれの構成であっても摺動子１３の移動方向、即ち、螺軸１１の姿勢と案 内体１７の姿勢との相対姿勢を平行にすることが可能になる。 つまり、リール本体２の内面との接触によって摺動子１３を案内するものと比 較して、リール本体２の変形に左右されず案内体１７によって円滑に摺動子１３ を案内するとものとなる。 又、図３乃至図５に示す如く、調節手段Ａをリール本体２の成形時に形成した 貫通孔２Ｂに挿入するブッシュ状の部材１８で構成した場合には、この貫通孔２ Ｂにブッシュ状の部材１８を挿入し、その姿勢の設定によって、案内体１７の姿 勢が螺軸１１の姿勢に沿う方向への変位を許容して摺動子１３の円滑な作動を行 わせるものとなる。

【０００６】

【考案の効果】

従って、リール本体に変形を生じても、リール本体の変形に左右されず、螺軸 で駆動される摺動子を円滑に案内するスピニングリールが合理的に構成できたの である。 特に、調節手段を図５に示す如く、長孔を形成したブッシュ状の部材で構成し た場合には、この部材を支持するようリール本体に形成した貫通孔の形成位置に 狂いを生じても、ブッシュ状の部材の回転姿勢の調節だけで、案内体の姿勢を適 正に設定して円滑に摺動子を案内するという効果も奏する。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図７に示すように、ハンドル１を備えたリール本体２の前部にベール３を有し たロータ４、及び、釣り糸を巻取るスプール５夫々を配置すると共に、ハンドル １と連結するハンドル軸６によって駆動される駆動ギヤ７からの動力をピニオン ギヤ８、筒軸９夫々を介してロータ４に伝える巻取り駆動系、及び、ピニオンギ ヤ８からの動力を入力ギヤ１０、螺軸１１、螺軸１１に形成した螺旋溝１１Ａに 係入する係合片１２、この係合片１２を支持する摺動子１３夫々により往復作動 力に変換してスプール軸１４に伝えるオシレーティング機構を備え、更に、スプ ール軸１４の先端部にドラグ機構Ｄを備えてスピニングリールを構成する。 図６に示すように、前記ドラグ機構Ｄはスプール５の前部に内装した複数の摩 擦板１５‥、及び、これらの摩擦板１５‥に圧力を作用させるようスプール軸１ ４のネジ部１４Ａにナット１６Ａを介して螺合するノブ１６を備えて成り、この スプール軸１４の先端部には摩擦板１５の回転を阻止する表裏一対の係合面１４ Ｂを形成すると共に、スプールの前端には装着を円滑に行わせるよう、その先端 の径が前記係合面１４Ｂと略一致する面取り部１４Ｃを形成している。

【０００８】 図１乃至図５に示すように、前記オシレーティング機構の摺動子１３は螺軸１ １と平行姿勢に設定したロッド状の案内体１７が貫通するよう構成され、作動時 には、この案内体１７によって螺軸１１の回転に伴う回転を阻止する状態で、摺 動子１３を案内するよう構成され、この案内体１７の前端はリール本体内部の孔 部２Ａに係合し、後端はカラー１７Ａ、及び、ブッシュ状の部材１８で構成され る調節手段Ａを介してリール本体２の内面に支持されている。 つまり、このブッシュ状の部材１８は円形外周面の本体１８Ａと鍔状部１８Ｂ とを備えると共に、径方向に長手方向が沿う姿勢の長孔１８Ｃを備え、リール本 体２の後面に穿設した貫通孔２Ｂに挿入状態で取り付けるよう構成される。 尚、この貫通孔２Ｂは金型によるリール本体２の成形時に形成され、成形時の 変形によって、この貫通孔２Ｂが適正な位置から外れていても、この貫通孔２Ｂ に取り付けたブッシュ状の部材１８の回転姿勢の調節（摺動子１３の移動に伴っ て部材１８が安定する回転姿勢に達する自動的な調節も含む）により、この部材 １８に形成された長孔１８Ｃが案内体１７の後端部の軸芯と直交する方向への変 位を許容して、案内体１７と螺軸１１とを平行姿勢にする結果、摺動子１３の円 滑な作動を行わせるようになっている。 因み、このリール本体２では後面に螺軸１１の挿入孔２Ｃ、及び、前記部材１ ８の挿入を許容するよう前記貫通孔２Ｂを穿設してあり、この部位を覆う形状の カバー１９をビス２０によって取り付けており、又、本考案ではブッシュ状の部 材１８の回転を阻止する手段の併用も可能になっている。

【０００９】 〔別実施例〕 本考案は上記実施例以外に、以下のように構成することも可能である。 （イ） 図８に示すように、調節手段Ａを前述と同様にブッシュ状の部材２１ で構成すると共に、この部材２１の外周面２１Ａを多角形に成形し、この部材２ １の軸芯から変位した部位に嵌合孔２１Ｂを形成し、更に、この部材２１を嵌合 支持する貫通孔２Ｂの内面を、部材２１の外周面２１Ａを内嵌できる多角形に成 形して部材２１の回転姿勢の選択によって案内体１７の後端部を適切な位置に設 定するよう実施することも可能である。 （ロ） 図９に示すように、調節手段Ａを長孔２２Ａを形成したプレート２２ と、案内体１７を支持する係合孔２２Ｂと、このプレート２２をリール本体２に 位置調節自在に固定するよう長孔２２Ａに挿通するビス２３とで構成することも 可能である。 尚、このように構成される調節手段Ａは、案内体１７の前端とリール本体２と の間に介装するよう実施することも可能である。 （ハ） 図１０に示すように、調節手段Ａを、ギヤ状の外周面２４Ａを有する ブッシュ状の部材２４で構成し、この部材２４の外周から偏心する位置に形成し た孔部２４Ｂに螺軸１１の後端部を挿入して支持すると共に、このブッシュ状の 部材２４をリール本体２に穿設したギヤ状内面の貫通孔２Ｂに対して所定の回転 姿勢に設定して介装するよう実施することが可能である。 尚、このように螺軸１１の端部の位置調節をする調節手段Ａを別実施例（ロ） のように構成することも可能であり、又、螺軸１１の前端をリール本体２に支持 する系に適用することも可能である。 （ニ） 又、本考案では案内体を摺動子の外面に接触するレール状に構成する ことも可能である。

【００１０】 尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記 すが、該記入により本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】リール中央部の縦断背面図

【図２】案内体前端の支持構造を示す縦断背面図

【図３】案内体後端の支持構造を示す横断平面図

【図４】案内体後端の支持構造を示す縦断正面図

【図５】ブッシュ状の部材の斜視図

【図６】ドラグ機構の縦断側面図

【図７】スピニングリールの縦断側面図

【図８】別実施例（イ）を示す斜視図

【図９】別実施例（ロ）を示す断面図

【図１０】別実施例（ハ）を示す斜視図

【符号の説明】

１ ハンドル ２ リール本体 １１ 螺軸 １１Ａ 螺旋溝 １２ 係合片 １３ 摺動子 １４ スプール軸 １７ 案内体 １８ 部材 １８Ｃ 長孔 Ａ 調節手段

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドル（１）からの駆動力で回転する
   螺軸（１１）の螺旋溝（１１Ａ）に係入する係合片（１
   ２）からの往復駆動力を、該係合片（１２）を支持する
   摺動子（１３）を介してスプール軸（１４）に伝えるオ
   シレーティング機構を備えて成るスピニングリールであ
   って、 前記摺動子（１３）の移動方向に沿って摺動子（１３）
   を案内する案内体（１７）を配置すると共に、この案内
   体（１７）の端部、あるいは、前記螺軸（１１）の端部
   のうちの少なくとも一方をリール本体（２）に対し、そ
   の軸芯と直交する方向へ位置変位可能な調節手段（Ａ）
   を介して支持して成るスピニングリール。
2. 【請求項２】 前記調節手段（Ａ）を案内体（１７）の
   端部に対して、この案内体（１７）の軸芯と直交する方
   向に、その長手方向を設定した長孔（１８Ｃ）が係合す
   るブッシュ状の部材（１８）で構成して成る請求頁１記
   載のスピニングリール。