JPH06152068A - 半導体光導波路 - Google Patents

半導体光導波路

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JPH06152068A
JPH06152068A JP30012392A JP30012392A JPH06152068A JP H06152068 A JPH06152068 A JP H06152068A JP 30012392 A JP30012392 A JP 30012392A JP 30012392 A JP30012392 A JP 30012392A JP H06152068 A JPH06152068 A JP H06152068A
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layer
type
optical waveguide
semiconductor
light
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JP30012392A
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Haruhiko Tabuchi
晴彦 田淵
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】コア層とクラッド層との屈折率の差を小さくし
て、導波される光の電界強度分布の幅を広くすると共
に、クラッド層に染み出した光のフリーキャリア吸収を
低減することができる半導体光導波路を提供することを
目的とする。 【構成】本発明による第1の半導体光導波路は、i型コ
ア層10をそのi型コア層10より小さい屈折率をもつ
pクラッド層とnクラッド層とによって挟んだ単純なp
−i−n接合構造ではなく、これらのpクラッド層及び
nクラッド層の厚さを薄くしてpクラッド層11及びn
クラッド層12とし、且つpクラッド層11及びnクラ
ッド層12の外側に第1及び第2のi型クラッド層1
3、14を設けている。このため、i型コア層10から
pクラッド層11及びnクラッド層12並びに第1及び
第2のi型クラッド層13、14に染み出した光は、フ
リーキャリア吸収が減少して、光損失が低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は能動的半導体光導波路に
係り、特に電界を印加して吸収率や屈折率を変化させて
変調等を行わせる能動的半導体光導波路に関する。この
ような能動的半導体光導波路は、光電変換装置、電界吸
収型の光強度変調装置、半導体レーザ装置等に利用され
る。
【0002】先ず、能動的半導体光導波路の光電変換装
置としての利用について説明する。導波路型の光電変換
装置は特にアレイ状の光電変換装置の場合に利用価値が
高い。比較のため、導波路型でない光電変換装置の構造
と光の入射方向を示し、導波路型光電変換装置の利用分
野について述べる。図21に、導波路型でない光電変換
装置の構造と光の入射方向を示す。このような構造の光
電変換装置は面入射型と呼ばれる。ここで、図21
(a)は面入射型光電変換装置を入射側からみた斜視図
であり、図21(b)は入射側及び反対側からみた斜視
図であり、図21(c)は図21(b)の面入射型光電
変換装置をC面で切断した断面図である。
【0003】面入射型光電変換装置70の入射側の面、
即ちA面には、2つのフォトダイオード71a,71b
の受光部が設けられ、それぞれ2本の光ファイバ72か
らの光が入射される。また面入射型光電変換装置70の
A面と反対側の面、即ちB面には、2つのフォトダイオ
ード71a,71bの光電変換部が突起している。そし
てこれらのフォトダイオード71a,71bは、図21
(c)に示されるように、半導体基板73のA面側に設
けられた受光部74、半導体基板73のB面側に積層さ
れたn型半導体層75とイントリシックな光吸収半導体
層76とp型半導体層77とからなる光電変換部78、
受光部74周囲の半導体基板73上に形成された電極7
9a及びp型半導体層77上に形成された電極79bに
より構成されている。
【0004】従って、この面入射型光電変換装置70に
おいては、光ファイバ73からの光がフォトダイオード
71の受光部72に入射されると、その入射光は光電変
換部73の光吸収半導体層76で吸収され、光電変換さ
れる。また、この面入射型光電変換装置70には、電極
パッド80が設けられている。即ち、この電極パッド8
0は、外部に電気信号を取り出すための電極パッドであ
り、図22(a)、(b)に示されるように、通常、面
入射型光電変換装置70のA面上或いはB面上に薄いパ
ッドとして形成される。
【0005】更に、この面入射型光電変換装置70は、
図23に示されるように、そのA面上或いはB面上に設
けられ電極パッド80を介して、集積回路等の電気回路
パターンと接続されている。例えば、図23(a)に示
されるように、面入射型光電変換装置70と電気回路基
板81とを同一平面上に並べ、面入射型光電変換装置7
0のA面上の電極パッド80と電気回路基板81上の電
気回路の導体パターン82とを金ワイヤ83で接続す
る。或いはまた、図23(b)に示されるように、面入
射型光電変換装置70のB面上の電極パッド80と電気
回路基板81上の電気回路の導体パターン82とを重ね
合わせて、半田付けする等の方法が使用される。特にG
Hzオーダーの高周波の場合は、電気回路基板81にマ
イクロ波用の集積回路を使用し、近接接続することによ
って実装による特性の劣化を防止する。
【0006】また、このような面入射型光電変換装置7
0とその入射光及びRF(高周波)出力の方向との関係
を、図24に示す。上記図23に示したように、電気回
路の導体パターン82の延びる方向は面入射型光電変換
装置70の入射面と平行な方向に限定されるため、例え
ば図24(a)に示すように、面入射型光電変換装置7
0に光が入射する方向と電気回路の導体パターン82に
RF出力電気信号の流れる方向が直交する構成になる。
【0007】一般に光電変換装置は省スペースという点
から薄型化が求められ、具体的にはSDH(Synchronou
s Digital Hierachy)システムでは7〜8mmの厚さが
求められているため、図24(a)に示すような構成に
すると、図中のD方向の厚さを小さくすること、即ち光
電変換装置全体を薄型化することが困難になる。従っ
て、面入射型光電変換装置70を使用し、図24(a)
に示すような構成をとることは、薄型化による省スペー
スという点から好ましくない。
【0008】そのため、図24(b)に示すように、面
入射型光電変換装置70への入射光を折り曲げる方法も
提案されている。しかし、この場合、入射光を折り曲げ
る機構を含めたファイバアレイの薄型化が困難になり、
また入射光の結合効率が低下し易いという欠点がある。
以上のような面入射型光電変換装置70の欠点を解消す
る有望な方法として、図25に示すような光導波路を使
用するエッジ入射型光電変換装置がある。
【0009】即ち、イントリシックな光吸収半導体層が
p型半導体層とn型半導体層との間に挟まれているエッ
ジ入射型光電変換装置84は、その光吸収半導体層のエ
ッジ部に光ファイバ72からの光が入射されるようにな
っている。また、このエッジ入射型光電変換装置84と
電気回路基板とは同一平面上に並べられ、エッジ入射型
光電変換装置84のp型半導体層又はn型半導体層上の
電極と電気回路基板上の電気回路の導体パターン82と
が金ワイヤ83で接続されている。
【0010】従って、このエッジ入射型光電変換装置8
4への入射光の方向と電気回路の導体パターン82に流
れるRF出力電気信号の方向とが1直線状になるため、
光電変換装置の薄型化に適する。即ち、このようなエッ
ジ入射型光電変換装置84を用いると、非常に多くの光
電変換装置をアレイ化しても、図中のD方向の厚さを薄
く保つことができるため、省スペース化が実現される。
尚、アレイ状の光電変換装置は、並列信号を扱えるの
で、光通信の情報の伝送容量を拡大する。
【0011】更に、このような光導波路を使用するエッ
ジ入射型の光電変換装置は、図26に示すように、平面
型光導波路を用いた光回路への組み込みが容易であると
いうメリットも有している。例えば図26(a)に示す
斜視図では、半導体基板85上に2本の光導波路86
a,86bが平行に形成され、光導波路部Aを構成して
いる。また、それらの光導波路86a,86bの一部に
は、電極87a,87bが設けられ、アレ−状の光電変
換装置Bを構成している。
【0012】更に、図26(b)に示す平面図では、図
26(a)に示す2本の平行に走る光導波路86a,8
6bの代わりに、3dBカプラをなす2本の光導波路8
8a,88bが形成され、光導波路部Aを構成してい
る。また、図26(a)と同様に、それらの光導波路8
8a,88bの一部には、電極89a,89bが設けら
れ、アレ−状の光電変換装置部Bを構成している。
【0013】このように光導波路86a,86b,86
c,86dを特に半導体で形成した場合、接続した領域
を光導波路部Aと光電変換装置Bとに使い分けることに
より、電気の集積回路のようなイメージの光集積回路を
実現することができるようになる。従って、能動的半導
体光導波路の具体的応用分野のひとつは、光導波路を使
用したエッジ入力型光電変換装置である。
【0014】次に、能動的半導体光導波路の他の応用例
として、電界吸収型の光強度変調装置がある。以下これ
を電界吸収型変調装置と呼ぶ。p−i−n接合のi型半
導体層に電界を印加すると、電気光学効果によって特定
の波長の光に対する光吸収率を制御することができる。
このような光導波路中を光が通過すると、吸収が大きい
場合には光強度が大きく低下し、吸収が小さい場合には
光強度の低下が小さくなるため、光強度変調器として使
用することができる。特に、i型半導体層の組成を選択
することによって、λ1の波長の光に対してのみ吸収変
化が起こり、λ1と異なるλ2の波長の光に対しては何
の影響も与えないような電界吸収型変調器を実現するこ
とができる。従って、そのような電界吸収型変調器を使
用して、例えば図27に示すような双方向伝送装置を実
現することが可能である。
【0015】図27は、電界吸収型変調装置を使用した
加入者系双方向光通信システムを示す概略図である。こ
の光通信システムは電話局の局内装置と加入者系の末端
装置、即ち加入者系電話器とによって構成されている。
電話局の局内装置においては、光源90から出力される
波長λ1=1.31μm及びλ2=1.55μmの光信
号は、光分配器91を介して、波長λ1=1.31μm
の光を変調し波長λ2=1.55μmの光を透過する電
界吸収型変調装置(図中では電界変調器と記載)92に
送られる。
【0016】そしてこの電界吸収型変調装置92から光
ファイバ93を介して加入者系電話に送られた光信号
は、WDM(Wave Division Multiplex )カプラ94に
よって波長λ1=1.31μmの光信号と波長λ2=
1.55μmの光信号とに分岐される。そして一方の波
長λ1=1.31μmの光信号はO/E(光電)変換装
置95に送られ、受信される。また、他方の波長λ2=
1.55μmの光信号は、1.55μmの光を変調する
電界吸収型変調装置(図中では光変調器と記載)96に
送られ、光ファイバ97を介して電話局の局内装置に送
信される。更に、電話局の局内装置に送信された1.5
5μmの光信号は、O/E変調装置98を介して、交換
器へ送られる。
【0017】このような電界吸収型変調装置92,96
を使用した加入者系双方向光通信システムは、次のよう
なメリットがある。即ち、 1.一つの光源を多数の加入者が共用することができ
る。 2.加入者末端に光源を必要としない。また、光源90
には半導体レーザが使用されるが、半導体レーザには次
のような欠点がある。即ち、 1.高密度電流を注入し、キャリアの反転分布という非
自然状態を利用した発光素子であるため、レーザを構成
する結晶にほんの僅かな欠陥があるとレーザ発振しな
い。そのため、製造歩留りが低い。 2.高密度電流を注入し、キャリアの反転分布という非
自然状態を利用した発光素子であるため、長時間動作で
故障し易い。そのため、高い信頼性の素子の選別時の歩
留りが低く、手間を必要とするため、レーザのコストが
大きくなる。 3.温度変化に敏感なため、温度制御を必要とする。
【0018】以上のような理由のため、加入者系のよう
なローコストを必要とされるシステムでは半導体レーザ
の使用個数をできるだけ少なくしたい、更には加入者側
に温度制御等を必要とするレーザを設置することを避け
たいという要望がある。上記図27に示す光通信システ
ムはこのような要求を満たすものであるが、このような
光通信システムに使用するためには、挿入損失の小さい
電界吸収型変調装置が強く求められている。
【0019】最後に、能動的半導体光導波路の半導体レ
ーザ装置における適用を説明する。半導体レーザ装置に
おいては、発振閾値電流が小さくしかも高い光出力が得
られる半導体レーザが求められているが、能動的半導体
光導波路はそのような目的にも応え得るものである。以
上のように、能動的半導体光導波路の利用分野として
は、光電変換装置、光強度変調装置、さらには低閾値、
高出力の半導体レーザ装置がある。また、能動的半導体
光導波路は半導体光導波路構造であることにより、受動
光導波路や半導体レーザ等との良好な接続性を容易に実
現することができるため、光源、変調装置、光回路、光
電変換装置を集積化する光機能集積化デバイスの分野へ
も応用が可能である。
【0020】
【従来の技術】従来の半導体の電気光学効果を利用する
能動的半導体光導波路を図28を用いて説明する。ここ
で、図28(a)は能動的半導体光導波路の斜視図、図
28(b)はその導波路中央断面図である。p型半導体
基板100上に、p型クラッド層101、i型コア層1
02及びn型クラッド層103が順に積層され、p−i
−n3層構造の光導波路104が形成されている。ま
た、これらp型クラッド層101、i型コア層102及
びn型クラッド層103の両側には、埋め込み層105
が形成されている。更に、n型クラッド層103上に
は、n側電極106が形成され、p型半導体基板100
底面には、p側電極107が形成されている。
【0021】また、この3層構造の光導波路104内を
導波される光の分布は、図28(b)中に示されるよう
に、i型コア層102で最大になると共に、そのかなり
の部分がi型コア層102を上下に挟むp型クラッド層
101及びn型クラッド層103に染み出している。と
ころで、これらp型クラッド層101及びn型クラッド
層103は高濃度に不純物がドーピングされるため、フ
リーキャリアによる吸収が大きくなる。GaAs系半導
体におけるこの現象は、例えば文献(H.C.Casey et.a
l., Journal of Applied Physics, Vol.46, No.1(197
5), pp.255, Fig.8)に示されている。
【0022】このためp型クラッド層101及びn型ク
ラッド層103に染み出した光は吸収を受けることにな
る。この吸収は光電変換装置の場合は光電流に寄与しな
い。また、変調器の場合はイントリシックな損失とな
る。このため、光電変換装置では量子効率の低下を生
じ、変調器の場合は挿入損失が増加するという欠点を生
じる。
【0023】また、光導波路104と光ファイバとの結
合効率を向上させるためには、できるだけ光導波路10
4内の光分布を広くする必要がある。光分布を広げるた
めにはi型コア層102とp型クラッド層101及びn
型クラッド層103との屈折率差を小さくすればよい。
しかし、i型コア層102とp型クラッド層101及び
n型クラッド層103との屈折率差を小さくすると、p
型クラッド層101及びn型クラッド層103への光の
染み出しが大きくなり吸収が増加する。
【0024】ところで、通常の半導体ではコア層とクラ
ッド層との屈折率の差を小さくすることは、コア層とク
ラッド層とのエネルギーバンドギャップの差を小さくす
ることに相当する。半導体には基礎吸収があり、基礎吸
収にはエネルギーバンドギャップより小さいエネルギー
の光であっても、エネルギーバンドギャップとの差が小
さくなるほど吸収係数が大きくなる性質がある。そのた
めエネルギーバンドギャップの差が小さくなると半導体
の基礎吸収とフリーキャリア吸収を含めた吸収係数その
もの絶対値が大きくなる。このためi型コア層102と
p型クラッド層101及びn型クラッド層103との屈
折率の差を小さくするとフリーキャリア吸収と基礎吸収
の増加という2重の欠点を生じる。
【0025】次に、従来の半導体レーザを図29を用い
て説明する。ここで、図29(a)は半導体レーザの中
央断面図、図28(b)は導波される光分布を示すグラ
フである。尚、上記図28と同じ構成要素には同じ符号
を付して説明を省略する。p型半導体基板100上に、
p型クラッド層101、i型コア層102、n型クラッ
ド層103及びn型コンタクト層108が順に積層さ
れ、p型クラッド層101、i型コア層102及びn型
クラッド層103からなるp−i−n3層構造の光導波
路104が形成されている。また、これらp型クラッド
層101、i型コア層102及びn型クラッド層103
の両側には、埋め込み層(図示せず)が形成されてい
る。更に、n型コンタクト層108上には、n側電極1
06が形成され、p型半導体基板100底面には、p側
電極107が形成されている。
【0026】このような半導体レーザにおいても、p型
クラッド層101及びn型クラッド層103のフリーキ
ャリア吸収は導波路の損失を増加させ、発振閾値の上昇
を招く。従って、低閾値化を目指するためには、光の染
み出しを小さくしなければいけない。光の染み出しが小
さくなると、発光点のサイズは小さくなり、空間に放射
される光の広がり角は大きくなる。そのため、光の染み
出しを小さくすると、光通信用光源に使用する場合には
光ファイバーとの光結合効率が低下する欠点を有し、レ
ーザプリンタや光ディスクやフォログラフィックバーコ
ード読み取り装置等の光源に使用する場合には集光が難
しくなり、レーザプリンタや光ディスクの書込み用や光
ファイバーアンプの励起用光源に使用する場合は、発光
部の光密度が上昇しCOD(Catastrophic Optical Deg
radation)レベルが低下する。
【0027】また、CODレベルを高くするため光染み
出しを大きくすると、ガイド層の吸収のため、閾値が高
くなる欠点がある。即ち、従来の導波路構造のレーザで
は、高光出力化と低閾値化、結合効率の向上と低閾値化
はトレードオフの関係にあり両立は不可能であった。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】このように上記従来の
能動的半導体光導波路は、i型コア層102とp型クラ
ッド層101及びn型クラッド層103との屈折率差を
小さくして光導波路104内の光分布を広くすると、光
導波路104と光ファイバとの結合効率は向上するもの
の、p型クラッド層101及びn型クラッド層103に
染み出した光がフリーキュアリア吸収を受け、光電変換
装置では量子効率の低下を生じ、変調器の場合は挿入損
失が増加し、半導体レーザにおいても発振閾値の上昇を
招くという欠点を生じる。
【0029】反対に、i型コア層102とp型クラッド
層101及びn型クラッド層103との屈折率差を大き
くしてi型コア層102内への光の閉じ込めを強くする
と、p型クラッド層101及びn型クラッド層103に
おける光のフリーキュアリア吸収は減少するが、光電変
換装置及び変調器においては光導波路104と光ファイ
バとの結合効率を低下させ、半導体レーザの場合は発光
部の光密度を上昇させてCODレベルの低下を招くとい
う欠点を生じる。そのため従来の導波路構造の素子で
は、高光出力化と低閾値化、結合効率の向上と低損失化
はトレードオフの関係にあり両立は不可能であった。
【0030】本発明は従来の技術では両立は不可能であ
った特性を両立させることが目的であり、特に、コア層
とクラッド層との屈折率差を小さくして、導波される光
の電界強度分布の幅を広くすると共に、クラッド層に染
み出した光のフリーキャリア吸収を低減することができ
る半導体光導波路を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明者は次の5つの手
段で従来例の問題点を解決した。図1〜図5は本発明の
問題を解決するための手段を説明する図である。以下、
具体的に説明する。図1は第1の手段による第1の半導
体光導波路の断面図と導波路を構成するコア層とクラッ
ド層の屈折率分布を示すグラフである。
【0032】第1の半導体光導波路は、図1のように、
イントリシックな半導体からなるi型コア層10が、そ
の上下を、i型コア層10の屈折率より小さい屈折率を
もつ厚さの薄いp型クラッド層11と厚さの薄いn型ク
ラッド層12とによって挟まれている。そしてp型クラ
ッド層11に接して、p型クラッド層11の屈折率と同
等の屈折率をもつ第1のi型クラッド層13が設けら
れ、またn型クラッド層12に接して、n型クラッド層
12の屈折率と同等の屈折率をもつ第2のi型クラッド
層14が設けられている。
【0033】尚、ここで、p型クラッド層11及びn型
クラッド層12の屈折率と第1及び第2のi型クラッド
層13、14の屈折率とを同等にするには、p型クラッ
ド層11及びn型クラッド層12のエネルギーバンドギ
ャップEgと第1及び第2のi型クラッド層13、14
のエネルギーバンドギャップEgとを同等にすればよ
い。
【0034】このように本発明による第1の半導体光導
波路は、従来のようなイントリシックな半導体からなる
i型コア層をそのi型コア層より小さい屈折率をもつp
型クラッド層とn型クラッド層とによって挟んだ単純な
p−i−n接合構造ではなく、これらのp型クラッド層
及びn型クラッド層の厚さを薄くしてp型クラッド層1
1及びn型クラッド層12とし、且つp型クラッド層1
1及びn型クラッド層12の外側に第1及び第2のi型
クラッド層13、14を設けている点に特徴がある。
【0035】尚、上記第1の半導体光導波路では、p型
クラッド層11及びn型クラッド層12の両方ともその
厚さを薄くし、且つそれらの外側に第1及び第2のi型
クラッド層13、14を設けているが、p型クラッド層
11又はn型クラッド層12のいずれか一方だけその厚
さを薄くし、且つその外側に第1又は第2のi型クラッ
ド層13、14のいずれか一方だけを設けたものでもよ
い。。
【0036】図2は第2の手段による第2の半導体光導
波路の断面図と導波路を構成するコア層とクラッド層の
屈折率分布を示すグラフである。尚、上記図1の第1の
半導体光導波路と同じ構成要素には同じ符号を付して説
明を省略する。第2の半導体光導波路は、図2のよう
に、i型コア層10が、i型コア層10の屈折率より小
さい屈折率をもつ厚さの薄いp型クラッド層11と厚さ
の薄いn型クラッド層12とによって挟まれている。そ
してp型クラッド層11に接して、p型クラッド層11
の屈折率より大きくi型コア層10の屈折率より小さい
屈折率をもつ第1のi型クラッド層17が設けられ、ま
たn型クラッド層12に接して、n型クラッド層12の
屈折率より大きくi型コア層10の屈折率より小さい屈
折率をもつ第2のi型クラッド層18が設けられてい
る。
【0037】尚、ここで、第1及び第2のi型クラッド
層17、18の屈折率を、p型クラッド層11及びn型
クラッド層12の屈折率より大きくi型コア層10の屈
折率より小さくするには、第1及び第2のi型クラッド
層17、18のエネルギーバンドギャップEgを、p型
クラッド層11及びn型クラッド層12のエネルギーバ
ンドギャップEgより小さくi型コア層10のエネルギ
ーバンドギャップEgより大きくすればよい。
【0038】このように本発明による第2の半導体光導
波路は、上記図1に示す第1の半導体光導波路の第1及
び第2のi型クラッド層13、14の代わりに、これら
i型クラッド層13、14の屈折率より大きい屈折率を
もつ第1及び第2のi型クラッド層17、18を設けて
いる点に特徴がある。尚、上記第2の半導体光導波路で
は、第1及び第2のi型クラッド層17、18の屈折率
の両方とも、p型クラッド層11及びn型クラッド層1
2の屈折率より大きくi型コア層10の屈折率より小さ
くなっているが、第1又は第2のi型クラッド層17、
18の屈折率のいずれか一方だけをp型クラッド層11
又はn型クラッド層12の屈折率より大きくi型コア層
10の屈折率より小さくしてもよい。
【0039】図3は第3の手段による第3の半導体光導
波路の断面図と導波路を構成するコア層とクラッド層の
屈折率分布を示すグラフである。尚、上記図1の第1の
半導体光導波路及び上記図2の第2の半導体光導波路と
同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。第
3の半導体光導波路は、図3のように、i型コア層10
が、i型コア層10の屈折率より小さい屈折率をもつ厚
さの薄いp型クラッド層11と厚さの薄いn型クラッド
層12とによって挟まれている。そしてp型クラッド層
11に接して、i型クラッド層19a及びi型クラッド
層19bからなる第1のi型クラッド層19が設けら
れ、またn型クラッド層12に接して、i型クラッド層
20a及びi型クラッド層20bからなる第2のi型ク
ラッド層20が設けられている。
【0040】ここで、p型クラッド層11及びn型クラ
ッド層12に接しているi型クラッド層19a、20a
の屈折率は、p型クラッド層11及びn型クラッド層1
2の屈折率より大きくi型コア層10の屈折率より小さ
い。また、i型クラッド層19a、20aに接している
i型クラッド層19b、20bの屈折率は、p型クラッ
ド層11及びn型クラッド層12の屈折率より大きくi
型クラッド層19a、20aの屈折率より小さい。そし
てi型クラッド層19a、19bからなる第1のi型ク
ラッド層19の有効屈折率及びi型クラッド層20a、
20bからなる第2のi型クラッド層20の有効屈折率
は、p型クラッド層11及びn型クラッド層12の屈折
率より大きくi型コア層10の屈折率より小さい。
【0041】図4は第4の手段による第4の半導体光導
波路の断面図と導波路を構成するコア層とクラッド層の
屈折率分布を示すグラフである。尚、上記図1の第1の
半導体光導波路、上記図2の第2の半導体光導波路及び
上記図3の第3の半導体光導波路と同じ構成要素には同
じ符号を付して説明を省略する。第4の半導体光導波路
は、図4のように、i型コア層10が、i型コア層10
の屈折率より小さい屈折率をもつ厚さの薄いp型クラッ
ド層11と厚さの薄いn型クラッド層12とによって挟
まれている。そしてp型クラッド層11に接して、p型
クラッド層11の屈折率と同等の有効屈折率をもちMQ
W(多重量子井戸)構造をなす第1のi型クラッド層1
5が設けられ、またn型クラッド層12に接して、n型
クラッド層12の屈折率と同等の屈折率をもちMQW構
造をなす第2のi型クラッド層16が設けられている。
【0042】尚、ここで、これら第1及び第2のi型ク
ラッド層15、16をMQW構造とすることが可能とな
ったのは、厚さの薄いp型クラッド層11及びn型クラ
ッド層12を付加したことによる。本発明を用いない
で、p型クラッド層11及びn型クラッド層12をMQ
W構造とすると、即ちMQW層にドーピングを行うと、
周期構造の無秩序化を生じてしまう。
【0043】このように本発明による第4の半導体光導
波路は、上記図1の第1の半導体光導波路の第1及び第
2のi型クラッド層13、14の代わりに、MQW構造
をなす第1及び第2のi型クラッド層15、16を設け
ている点に特徴がある。尚、上記第4の半導体光導波路
では、第1及び第2のi型クラッド層15、16の両方
ともMQW構造としているが、第1又は第2のi型クラ
ッド層15、16のいずれか一方だけをMQW構造とし
てもよい。
【0044】図5は第5の手段による第5の半導体光導
波路の断面図と導波路を構成するコア層とクラッド層の
屈折率分布を示すグラフである。尚、上記図1の第1の
半導体光導波路、上記図2の第2の半導体光導波路、上
記図3の第3の半導体光導波路及び上記図4の第4の半
導体光導波路と同じ構成要素には同じ符号を付して説明
を省略する。
【0045】第5の半導体光導波路は、図5のように、
上記図4の第4の半導体光導波路のi型コア層10の代
わりに、MQW構造をなすi型コア層10aを用いたも
のである。
【0046】
【作用】先ず,上記問題解決のための手段に関連する半
導体と半導体光導波路の一般的性質について説明する。
図6は本発明の光導波路に使用される半導体の吸収スペ
クトルを示すものである。横軸は光のエネルギー、縦軸
は吸収係数である。(a1),(a2),(a3)はバ
ルク半導体の基礎吸収スペクトル、(b)はフリーキャ
リア吸収、(c1),(c2),(c3)は基礎吸収と
フリーキャリア吸収の和、(d)はMQW構造の吸収ス
ペクトルの例である。
【0047】尚、本明細書においてはMQW構造につい
ては価電子帯と充満帯の第1量子準位間のエネルギー差
をバルク半導体のエネルギーバンドギャップに相当する
ものとして扱うものとする。また、コア層とのエネルギ
ー差が同じの場合にMQWの吸収がバルクに比較して小
さくなることは、文献(Seigo Tarucha 他,JAPANESEJOU
RNAL OF APPLIED PHISICS VOL.22, NO.8(1983), pp.L48
3, FIG.4 )に記載されている。
【0048】ここで、(a3)と(c3)はコア層を構
成する半導体の吸収スペクトル、(a2),(c2)と
(a1),(c1)はクラッド層を構成する半導体の吸
収スペクトル、ΔE1,ΔE2はコア層とクラッド層を
構成する半導体のエネルギーバンドギャップの差、Eo
は導波路に導波される光のエネルギーである。次に、図
7は図6のXの部分を拡大したものである。尚、図6と
同じ記号と番号は図6と同じものを示す。
【0049】フリーキャリア吸収は不純物がドーピング
された半導体、即ちp型半導体やn型半導体に特有の吸
収である。基礎吸収はドーピングに依存しない吸収であ
る。従って、ノンドープの半導体では基礎吸収のみが存
在し、ドーピングした半導体には基礎吸収とフリーキャ
リア吸収の両方が存在する。図7から明らかなようにク
ラッド層にΔEの大きい半導体を使用し、クラッド層に
ノンドープの半導体を使用すると吸収が小さくなること
がわかる。更に、MQW構造を使用すると極端に吸収が
低下する。
【0050】例えば、図7で、コア層に(a3)で示さ
れる吸収を持つ半導体を使用し、クラッド層に(c2)
で示される半導体を使用した場合は、クラッド層の吸収
係数はα2である。ここで、(c2)はΔEが小さくて
不純物がドーピングされた半導体である。これに対し
て、クラッド層に(a1)で示される半導体を使用した
場合は、クラッド層の吸収係数はα3である。ここで、
(a1)はΔEが大きくてノンドープの半導体である。
α3はα2に比較して非常に小さいことがわかる。更
に、(d)で示されたMQW構造を使用すると吸収係数
は、α4になる。α4はα3よりも小さい。以上のこと
から、クラッド層にノンドープ、即ちイントリシックな
半導体を使用すると、吸収損失が低下することが分か
る。更に、コア層とクラッド層に使用される半導体のエ
ネルギーバンドギャップの差が大きいほど吸収損失が低
下することが分かる。更に、MQW構造を使用すると、
吸収損失がよりいっそう低下することが分かる。
【0051】次に、コア層とクラッド層に使用される半
導体のエネルギーバンドギャップの差と屈折率の差との
関係について述べる。図8はコア層とクラッド層に使用
される半導体のエネルギーバンドギャップの差と屈折率
の差との関係を示す図である。横軸はコア層とクラッド
層に使用される半導体のエネルギーバンドギャップの
差、縦軸はコア層とクラッド層の屈折率の差である。こ
のようにコア層とクラッド層に使用される半導体のエネ
ルギーバンドギャップの差が大きくなるほど屈折率の差
も大きくなる。
【0052】次に、光導波路の構造と光導波路に導波さ
れる光のスポット径との関係について述べる。図9は光
導波路に導波されるTEMooモードの光の電界輝度分
布を示すものである。ここで、(a)はコア層とクラッ
ド層の屈折率の差Δnが大きい場合の光電界強度分布、
(b)はその屈折率の差Δnが小さい場合の光電界強度
分布である。尚、コア層の厚さdは一定とした。
【0053】このように、コア層とクラッド層の屈折率
の差Δnが小さくなるほど、光の電界強度分布は広くな
る。言い換えれば、コア層とクラッド層に使用される半
導体のエネルギーバンドギャップEgの差が小さくなる
ほど、光の電界強度分布は広くなる。光の電界強度分布
はコア層の厚さにも影響を受ける。図10はコア層とク
ラッド層の屈折率の差Δnをパラメータにして、横軸を
コア層の厚さ、縦軸をビームスポット径としてプロット
したものである。ここで、ビームスポット径は電界強度
が最大値の1/eになる点の幅(図9に示したω)とし
た。図10から明らかなように、コア層を薄くし、コア
層とクラッド層の屈折率の差Δnを小さくすると、ビー
ムスポット径が大きくなることが分かる。
【0054】次に、光導波路の構造と光導波路に導波さ
れる光の電界強度分布の形状の関係について説明する。
図11の(a),(b),(c)はそれぞれ図10の
(a),(b),(c)における光の電界強度分布の形
状を示したものである。比較的屈折率差が大きくてコア
層が厚い場合には、図11の(a)のような電界強度分
布になり、比較的屈折率差が大きくてコア層が薄い場合
には、図11の(b)のような電界強度分布になり、比
較的屈折率差が小さくてコア層が厚い場合には、図11
の(c)のような電界強度分布になる。
【0055】光ファイバーとの光結合を行なう場合に
は、導波路に導波される光の電界強度分布の形状と光フ
ァイバーに導波される光の電界強度分布の形状とが同じ
場合に最も結合効率が高くなる。光ファイバーに導波さ
れる光の電界強度分布はガウシアンとよばれる形状に類
似しているので、図11の(c)のような電界強度分布
の形状の場合に、光ファイバーとの光結合効率が最も高
くなる。
【0056】尚、半導体レーザのようにコア層にキャリ
アを閉じ込める障壁が必要な場合には、どちらかと言え
ばコア層を薄くして光の電界強度分布を広げ、光電変換
素子や電界吸収変調器のようにコア層への光の閉じ込め
係数を大きくしたい場合には、どちらかと言えばコア層
とクラッド層との屈折率差を小さくして光の電界強度分
布を広げる。更に、最近ではMQB(Multi Quantum Ba
rrier )とよばれる電子閉じ込め障壁も提案されてい
る。MQB構造を本発明の導波路のp型クラッド層とコ
ア層との間に挿入して、電子の閉じ込め効果を高めるこ
とが可能なことは言うまでもない。
【0057】尚、光導波路の損失とビームスポット径と
の間には、図9や図11から明らかなように、ビームス
ポット径が大きくなると、全体の吸収損失に占めるクラ
ッド層の吸収の影響が大きくなる関係が成り立つ。以上
の半導体と半導体光導波路の性質を踏まえて本発明の作
用を説明する。図1に示す第1の半導体光導波路のよう
に、p型クラッド層及びn型クラッド層のどちらか一方
或いは両方を薄くし、p型クラッド層及び/又はn型ク
ラッド層の外側にイントリシック半導体からなるi型ク
ラッド層を使用すると、吸収の大きい層が薄くなるの
で、トータルの吸収は減少する。特に、光導波路の構造
を、光の電界強度分布の裾がクラッド層に染み出す構造
とした場合でもクラッド層の吸収が小さくなる効果があ
る。
【0058】例えば、図1のp型クラッド層11及びn
型クラッド層12に図7の(c2)を使用し、図1の第
1及び第2のi型クラッド層13、14に図7の(a
2)を使用する。このようにすると、吸収の大きいp型
クラッド層11及びn型クラッド層12が薄くなり、光
導波路の吸収損失が低下する。光導波路の吸収損失が低
下すると、フォトダイオードに使用した場合には、量子
効率が高くなり、電界吸収変調器に使用した場合には、
挿入損失が小さくなり、レーザダイオードに使用した場
合には、発振閾値電流が低下すると共に効率が向上す
る。また、光の分布を広げることができる効果を利用す
ると、光ファイバーとの結合効率の高いレーザや電界吸
収変調器が実現される効果がある。空気中に放射された
ときの光の広がり角が小さくなるので、プリンタ用レー
ザや光ディスク用レーザなどに使用した場合には、NA
の小さいレンズでも集光が可能になり、光学系の低コス
ト化が実現される。従来と同じ光学系を使用した場合
は、光の集光効率が高くなり、集光点でのパワー増加或
いは低出力駆動によるレーザの長寿命化などが実現され
る。光ディスクの書込み用、レーザプリンタ用、ファイ
バーアンプの励起用などでは、CODレベルが高くな
り、導波路損失が小さくなるので、低閾値、高効率、高
出力のレーザが実現される効果がある。
【0059】尚、上記第1の半導体光導波路では、p型
クラッド層11及びn型クラッド層12の両方ともその
厚さを薄くし、且つそれらの外側に第1及び第2のi型
クラッド層13、14を設けているが、p型クラッド層
11又はn型クラッド層12のいずれか一方だけその厚
さを薄くし、且つその外側に第1又は第2のi型クラッ
ド層13、14のいずれか一方だけを設けても、一定の
効果を奏することができる。
【0060】次に、図2に示す第2の半導体光導波路の
ように、p型クラッド層11及びn型クラッド層12の
バンドギャップエネルギーEgを第1及び第2のi型ク
ラッド層13、14よりも大きくし、その結果としてp
型クラッド層11及びn型クラッド層12の屈折率を第
1及び第2のi型クラッド層13、14よりも小さくす
ると、更に損失が低減される。図7で示したようにΔE
が大きくなるほど吸収係数が小さくなるからである。
【0061】ここで、光の分布を広げたいという要求が
あるので、単純にΔEを大きく出来ないことに留意する
必要がある。図1及び図2と図7を突き合わせて比較す
ると、図1のp型クラッド層11及びn型クラッド層1
2の吸収係数が図7の(c2)に相当するのに対し、図
2のp型クラッド層11及びn型クラッド層12の吸収
係数は図7の(c1)に相当するようになる。吸収係数
がα2からα5に低減されることが分かる。
【0062】また、本構造を半導体レーザに使用した場
合、p型クラッド層11及びn型クラッド層12がキャ
リアをi型コア層10に閉じ込める障壁として作用する
ため、発振閾値電流の低下や微分効率の改善や温度特性
の改善を行なうことができる。しかも、光の電界強度分
布の幅を広くすると共に、中央部分への光閉じ込め率を
高く保つことができるため、CODレベルの向上と放射
角の狭角化を行うことができる。その結果、高出力化が
達成されると共に、結合効率が向上する。尚、このよう
な効果は、既に文献に記載されているが(W.T.Tsang, A
pplied PhysicsLetters, Vol.38, No.11(1981), pp.835
-837 参照)、上記文献に示されている例は、コア層を
挟むクラッド層は全てドーピングされている。
【0063】尚、上記第2の半導体光導波路では、第1
及び第2のi型クラッド層17、18の屈折率の両方と
も、p型クラッド層11及びn型クラッド層12の屈折
率より大きくi型コア層10の屈折率より小さくなって
いるが、第1又は第2のi型クラッド層17、18の屈
折率のいずれか一方だけをp型クラッド層11又はn型
クラッド層12の屈折率より大きくi型コア層10の屈
折率より小さくしても、一定の効果を奏することができ
る。
【0064】次に、図3に示す第3の半導体光導波路の
ような屈折率分布にした場合には、吸収の低下という作
用と導波路に導波される光電界分布の形状を光ファイバ
ーに導波される光電界分布の形状に近づける作用が生じ
る。図12を使用して具体的に説明する。図12の
(a)は従来の半導体レーザや従来の電界吸収変調器の
光導波路に導波される光の電界強度分布である。図12
の(b)は本発明の第1又は第2の手段のような屈折率
分布を持つ光導波路に導波される光の電界強度分布であ
る。図12の(c)は本発明の第3の手段の屈折率分布
を持つ光導波路に導波される光の電界強度分布である。
ここで、導波路に導波される光が感じる屈折率を有効屈
折率、19aの屈折率をn1,19bの屈折率をn2,
20aの屈折率をn3,20bの屈折率をn4と定義す
ると、 n2<有効屈折率<n1 且つ n4<有効屈折率<n3 であることが必要である。導波路の電界強度分布の形状
が光ファイバーの電界強度分布の形状に近づくため、光
結合効率が向上する。
【0065】図12の(b)と(c)との比較でわかる
ように、ピークにおける電界強度が同じ場合には(c)
のほうが全体のパワーが大きくなる。そのため高出力半
導体レーザに使用した場合には、第2の半導体光導波路
に比べてCODレベル向上し、更にハイパワーのレーザ
が実現される効果がある。尚、他の電界強度分布が必要
な場合には、クラッド層を多層にし、種々の屈折率分布
を選択することにより、所望の電界強度分布を得ること
が可能になる。
【0066】次に、図4に示す第4の半導体光導波路の
ように、光導波路のi型クラッド層15、16のどちら
か一方或いは両方をMQW構造とすると更に損失が低下
する。図6及び図7に示したように、MQW構造は吸収
が小さいのでクラッド層にMQW構造を使用するとクラ
ッド層部分の吸収が低下するからである。尚、ここで、
これら第1及び第2のi型クラッド層15、16をMQ
W構造とすることが可能となったのは、厚さの薄いp型
クラッド層11及びn型クラッド層12を付加したこと
による。本発明を用いないで、p型クラッド層11及び
n型クラッド層12をMQW構造とすると、即ちMQW
層にドーピングを行うと、周期構造の無秩序化を生じて
しまう。
【0067】また、上記第4の半導体光導波路では、第
1及び第2のi型クラッド層15、16の両方ともMQ
W構造としているが、第1又は第2のi型クラッド層1
5、16のいずれか一方だけをMQW構造としても、一
定の効果を奏することができる。更に、図4のようにク
ラッド層にMQW構造を使用すると、屈折率を微妙に制
御することが可能になる。バルク半導体の場合、半導体
の組成によって屈折率を制御するが、再現性良く半導体
の組成比を所定の値にコントロールすることは困難であ
る。これに対して、MQWの場合はウエル層とバリア層
の厚さの比によって屈折率を制御することができる。厚
さのコントロールは比較的容易である。特にコア層とク
ラッド層に微小な屈折率の差を設けるような場合には有
利である。尚、屈折率制御により光の電界強度分布を広
げる場合には微小な屈折率の差を設けることが必要なこ
とは既に述べた通りである。
【0068】次に、図5に示す第5の半導体光導波路の
ように、コア層10aにもMQW構造を使用すると、更
に導波路の損失が低下する。また、既に説明したよう
に、MQW構造を使用すると屈折率の制御が容易にな
る。クラッド層と共にコア層の屈折率も再現性良く制御
することによって、特性の揃った光導波路が実現され
る。更に、良く知られているように、MQW構造はバル
クに比較して電界吸収効果が大きいので、低電圧、光消
光比の電界吸収変調器が実現され、電界による屈折率の
変化が大きいので、低電圧、高効率の位相変調器などが
実現される。
【0069】
【実施例】本発明を図示する実施例を用いて具体的に説
明する。図13は本発明の一実施例による電界吸収型変
調装置を示す断面図である。n型GaAs基板30上
に、厚さ5nmのi型GaAs井戸層と厚さ10nmの
i型GaAl0.35As0.65バリア層とが交互に積層され
たMQW層31が、幅3μm、厚さ2.158μm、全
体の長さ600μmのストライプ状に形成されている。
【0070】そしてこのストライプ状のi型MQW層3
1の両側にはストライプ状溝が形成され、このストライ
プ状溝にエネルギーバンドギャップEg=1.488e
Vのn型GaAIAs層32aが埋め込まれている。ま
たi型MQW層31のストライプ上面には、エネルギー
バンドギャップEg=1.488eV、厚さ0.082
μmのn型GaAIAs層32bが形成されている。
【0071】また、n型GaAIAs層32a、32b
上には、厚さ8nmのGaAs井戸層と厚さ10nmの
GaAl0.32As0.68バリア層とが交互に積層され、エ
キシトン吸収ピーク波長エネルギーEEX=1.413e
V、有効屈折率3.596、厚さ0.11μmのi型M
QW層33が形成されている。また、このi型MQW層
33上には、エネルギーバンドギャップEg=1.48
8eV、厚さ0.082μmのp型GaAIAs層34
が形成されている。
【0072】また、ストライプ状のi型MQW層31上
方のp型GaAIAs層34上には、厚さ5nmのi型
GaAs井戸層と厚さ10nmのi型GaAl0.35As
0.65バリア層とが交互に積層されたMQW層35が幅3
μm、厚さ2.158μm、全体の長さ600μmのス
トライプ状に形成されている。更に、n型GaAIAs
層31a上方のp型GaAIAs層34上には、p側金
電極36が形成され、他方n型GaAs基板30底面に
は、n側金電極37が形成されている。そしてこれらp
側金電極36及びn側金電極37間には、所定の電圧が
逆方向に印加されるようになっている。
【0073】このように本実施例による電界吸収型変調
装置は、i型MQW層33が、その上下を、エネルギー
バンドギャップEg=1.488eV、厚さ0.082
μmのp型GaAIAs層34及びn型GaAIAs層
32bによって挟まれており、更にこれらp型GaAI
As層34及びn型GaAIAs層32bの外側には、
厚さ2.158μmのi型MQW層35及びi型MQW
層31がそれぞれ設けられている。
【0074】即ち、コア層となるi型MQW層33が、
p型GaAIAs層34及びi型MQW層35からなる
上部クラッド層38とn型GaAIAs層32b及びi
型MQW層31からなる下部クラッド層39とに挟まれ
ている。次に、図13に示す電界吸収型変調装置の製造
方法を、図14乃至図16を用いて説明する。
【0075】先ず、n型GaAs基板30上に、MOV
PE法を用いて、厚さ5nmのGaAs井戸層と厚さ1
0nmのGaAl0.35As0.65バリア層とが交互に積層
されたi型MQW層31を2.158μmの厚さエピタ
キシャル成長する。続いて、このi型MQW層31上
に、例えばSiO2 膜40を形成する。そしてこのSi
2 膜40上に、フォトレジスト41を塗布した後、フ
ォトリソグラフィ技術を用いて、このフォトレジスト4
1を所定の形状にパターニングする(図14(a)参
照)。
【0076】次いで、このパターニングしたレジスト4
1をマスクとして、SiO2 膜40をエッチングし、所
定の形状にパターニングする。続いて、このパターニン
グしたSiO2 膜40をマスクとし、塩酸/過酸化水素
/水を混合した液を用いてi型MQW層31をエッチン
グして、n型GaAs基板30にまで達するストライプ
状溝42を形成する。こうして、i型MQW層31がス
トライプ状溝42に両側を挟まれた幅3μmのメサスト
ライプ形状をなすようにする(図14(b)参照)。
【0077】次いで、液相エピタキシャル成長法を用い
て、エネルギーバンドギャップEg=1.488eVの
n型GaAIAs層32をエピタキシャル成長する。こ
うして、i型MQW層31両側のストライプ状溝42を
埋め込むn型GaAIAs層32aと共に、i型MQW
層31のストライプ上面の厚さ0.082μmのn型G
aAIAs層32bが形成される。ここで、ストライプ
状のi型MQW層31とその上面のn型GaAIAs層
32bとにより、下部クラッド層39が構成される(図
14(c)参照)。
【0078】次いで、MOVPE法を用いて、n型Ga
AIAs層32上に、厚さ8nmのGaAs井戸層と厚
さ10nmのGaAl0.32As0.68バリア層とが交互に
積層され、エキシトン吸収ピーク波長エネルギーEEX
1.413eV、有効屈折率3.596、厚さ0.11
μmのi型MQW層33、エネルギーバンドギャップE
g=1.488eV、厚さ0.082μmのp型GaA
IAs層34、及び厚さ5nmのGaAs井戸層と厚さ
10nmのGaAl0.35As0.65バリア層とが交互に積
層された厚さ2.158μmのi型MQW層35を、順
次エピタキシャル成長する。ここで、i型MQW層33
により、コア層が構成される(図15(d)参照)。
【0079】次いで、i型MQW層35上に、例えばS
iO2 膜43を形成した後、所定の形状にパターニング
する。こうして、ストライプ状のi型MQW層31に対
応してストライプ状に延びるSiO2 膜43を形成する
(図15(e)参照)。次いで、このSiO2 膜43を
マスクとし、塩酸/過酸化水素/水を混合した液を用い
て、i型MQW層35をp型GaAIAs層34に達す
るまでエッチングする。こうして、i型MQW層35
が、幅3μmのメサストライプ形状をなすようにする。
ここで、メサストライプ状のi型MQW層35とその下
のp型GaAIAs層32bとにより、上部クラッド層
38が構成される(図16(f)参照)。
【0080】次いで、i型MQW層31両側のn型Ga
AIAs層31a上方のp型GaAIAs層34上に、
p側金電極36を形成すると共に、n型GaAs基板3
0底面に、n側金電極37を形成する。最後に、600
μmの長さになるようにへき開する。こうして、図13
に示す電界吸収型変調装置、即ちコア層としてのi型M
QW層33が、その上下を、p型GaAIAs層34及
びi型MQW層35からなる上部クラッド層38とn型
GaAIAs層32b及びi型MQW層31からなる下
部クラッド層39とに挟まれている電界吸収型変調装置
を得る(図16(g)参照)。
【0081】このように本発明による半導体光導波路を
用いた電界吸収型変調装置においては、結合効率と伝搬
損失による損失が1.4dB(透過率70%以上)とな
った。従って、従来構造の半導体光導波路を用いた場合
の損失が6.1dBであったことと比較すると、4.7
dBの改善を実現した。また、p側金電極36及びn側
金電極37間に印加した逆バイアスが1.1Vの場合、
20dBの消光比を得ることができた。
【0082】尚、本実施例による電界吸収型変調装置に
おいては、上記図2に示す本発明による第2のタイプの
半導体光導波路を用いているが、このタイプに限らず、
上記図1、図3又は図4に示すタイプの半導体光導波路
を用いてもよい。また、本実施例は、本発明による半導
体光導波路を電界吸収型変調装置に適用したものである
が、この電界吸収型変調装置とほぼ同様の構造をもつ光
電変換装置にも適用することができることは言うまでも
ない。
【0083】本発明の他の実施例による半導体レーザ装
置を、図17に示す断面図を用いて説明する。n型Ga
As基板50上に、エネルギーバンドギャップEg=
1.61eV、厚さ1.5μmのi型GaAlAs層5
1及びエネルギーバンドギャップEg=1.56eV、
厚さ0.658μmのi型GaAlAs層52が積層さ
れており、これらi型GaAlAs層51、52は、幅
3μm、全体の長さ600μmのストライプ状に形成さ
れている。
【0084】そしてこのストライプ状のi型GaAlA
s層51、52の両側にはストライプ状溝が形成され、
このストライプ状溝にエネルギーバンドギャップEg=
1.66eVのn型GaAIAs層53aが埋め込まれ
ている。また、i型GaAlAs層52のストライプ上
面には、エネルギーバンドギャップEg=1.66e
V、厚さ0.082μmのn型GaAIAs層53bが
形成されている。
【0085】また、n型GaAIAs層53a、53b
上には、厚さ8nmのGaAs井戸層と厚さ10nmの
GaAl0.32As0.68バリア層とが交互に積層され、エ
キシトン吸収ピーク波長エネルギーEEX=1.41e
V、有効屈折率3.6、厚さ0.05μmのi型MQW
層54が形成されている。また、このi型MQW層54
上には、エネルギーバンドギャップEg=1.66e
V、厚さ0.082μmのp型GaAIAs層55が形
成されている。
【0086】また、ストライプ状のi型GaAlAs層
51、52上方のp型GaAIAs層55上には、エネ
ルギーバンドギャップEg=1.56eV、厚さ0.6
58μmのi型GaAlAs層56及びエネルギーバン
ドギャップEg=1.61eV、厚さ1.5μmのi型
GaAlAs層57が積層されており、これらi型Ga
AlAs層56、57は、幅3μmのストライプ状に形
成されている。
【0087】また、n型GaAIAs層53a上方のp
型GaAIAs層55上には、即ちストライプ状のi型
GaAlAs層56、57の両側には、エネルギーバン
ドギャップEg=1.66eVのp型GaAIAs層5
8が形成されている。そしてp型GaAIAs層58、
55及びi型MQW層54に、素子分離用のU溝59
が、i型GaAlAs層56、57のストライプに平行
して形成されている。
【0088】更に、ストライプ状のi型GaAlAs層
52及びその両側のp型GaAIAs層58上には、p
側金電極60が形成され、他方n型GaAs基板50底
面には、n側金電極61が形成されている。そしてこれ
らp側金電極56及びn側金電極61間には、所定の電
圧が順方向に印加されるようになっている。このように
本実施例による半導体レーザ装置は、i型MQW層54
が、その上下を、エネルギーバンドギャップEg=1.
66eV、厚さ0.082μmのp型GaAIAs層5
5及びn型GaAIAs層53bによって挟まれてお
り、またこれらp型GaAIAs層55及びn型GaA
IAs層53bの外側には、エネルギーバンドギャップ
Eg=1.56eV、厚さ0.658μmのi型GaA
lAs層56及びi型GaAlAs層52がそれぞれ設
けられ、更にこれらi型GaAlAs層56及びi型G
aAlAs層52の外側には、エネルギーバンドギャッ
プEg=1.61eV、厚さ1.5μmのi型GaAl
As層57及びi型GaAlAs層51がそれぞれ設け
られている。
【0089】即ち、コア層となるi型MQW層54が、
p型GaAIAs層55並びにi型GaAlAs層56
及びi型GaAlAs層57からなる上部クラッド層6
2とn型GaAIAs層53b及び並びにi型GaAl
As層52及びi型GaAlAs層51からなる下部ク
ラッド層63とに挟まれている。次に、図17に示す半
導体レーザ装置の製造方法を、図18乃至図20を用い
て説明する。
【0090】先ず、n型GaAs基板50上に、液相エ
ピタキシャル成長法を用いて、エネルギーバンドギャッ
プEg=1.61eV、厚さ1.5μmのi型GaAl
As層51及びエネルギーバンドギャップEg=1.5
6eV、厚さ0.658μmのi型GaAlAs層52
を順にエピタキシャル成長する。続いて、このi型Ga
AlAs層52上に、例えばSiO2 膜64を形成す
る。そしてこのSiO2膜64上に、フォトレジスト6
5を塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、こ
のフォトレジスト65を所定の形状にパターニングする
(図18(a)参照)。
【0091】次いで、このパターニングしたレジスト6
5をマスクとして、SiO2 膜64をエッチングし、所
定の形状にパターニングする。続いて、このパターニン
グしたSiO2 膜64をマスクとし、塩酸/過酸化水素
/水を混合した液を用いてi型GaAlAs層51、5
2をエッチングし、n型GaAs基板50にまで達する
ストライプ状溝66を形成する。こうして、i型GaA
lAs層51、52がストライプ状溝66に両側を挟ま
れ、幅3μm、全体の長さ600μmのメサストライプ
形状をなすようにする(図18(b)参照)。
【0092】次いで、SiO2 膜64を除去した後、液
相エピタキシャル成長法を用いて、エネルギーバンドギ
ャップEg=1.66eVのn型GaAIAs層53を
エピタキシャル成長する。こうして、i型GaAlAs
層51、52両側のストライプ状溝66を埋め込むn型
GaAIAs層53aと共に、i型GaAlAs層52
のストライプ上面の厚さ0.082μmのn型GaAI
As層53bが形成される。ここで、ストライプ状のi
型GaAlAs層51、52とその上面のn型GaAI
As層53bとにより、下部クラッド層63が構成され
る(図18(c)参照)。
【0093】次いで、MOVPE法を用いて、n型Ga
AIAs層53上に、厚さ8nmのGaAs井戸層と厚
さ10nmのGaAl0.32As0.68バリア層とが交互に
積層され、エキシトン吸収ピーク波長エネルギーEEX
1.41eV、有効屈折率3.6、厚さ0.05μmの
i型MQW層54及びエネルギーバンドギャップEg=
1.66eV、厚さ0.082μmのp型GaAIAs
層55を順次エピタキシャル成長する。ここで、i型M
QW層54により、コア層が構成される(図19(d)
参照)。
【0094】次いで、p型GaAIAs層55上に、例
えばSiO2 膜67を形成した後、所定の形状にパター
ニングする。こうして、ストライプ状のi型GaAlA
s層51、52に対応して幅3μmのストライプ状に延
びるSiO2 膜67を形成する(図19(e)参照)。
次いで、このSiO2 膜67をマスクとし、p型GaA
IAs層55上に、エネルギーバンドギャップEg=
1.66eV、厚さ2.158μmのp型GaAIAs
層58を選択的にエピタキシャル成長する。こうして、
ストライプ状のi型GaAlAs層51、52上方に、
ストライプ状溝68が形成される(図19(f)参
照)。
【0095】次いで、SiO2 膜67を除去した後、ス
トライプ状溝68内のp型GaAIAs層55上に、エ
ネルギーバンドギャップEg=1.56eV、厚さ0.
658μmのi型GaAlAs層56及びエネルギーバ
ンドギャップEg=1.61eV、厚さ1.5μmのi
型GaAlAs層57を順にエピタキシャル成長する。
こうして、p型GaAIAs層58に両側を挟まれた逆
メサストライプ形状のi型GaAlAs層56、57を
形成する。ここで、このストライプ状のi型GaAlA
s層56、57とその下のp型GaAIAs層55とに
より、上部クラッド層61が構成される(図20(g)
参照)。
【0096】次いで、ストライプ状のi型GaAlAs
層52及びその両側のp型GaAIAs層58上に、p
側金電極60を形成すると共に、n型GaAs基板50
底面に、n側金電極61を形成する。続いて、ストライ
プ状のi型GaAlAs層56、57の両側のp型Ga
AIAs層58、55及びi型MQW層54に、素子分
離用のU溝59を、i型GaAlAs層56、57のス
トライプに平行して形成する。
【0097】そして最後に、長さが600μmになるよ
うにへき開する。こうして、図17に示す半導体レーザ
装置、即ちコア層としてのi型MQW層54が、その上
下を、p型GaAIAs層55及びi型GaAlAs層
56、57からなる上部クラッド層62とn型GaAI
As層53b及びi型GaAlAs層52、51からな
る下部クラッド層63とに挟まれている半導体レーザ装
置を得る(図20(h)参照)。
【0098】このように本発明による半導体光導波路を
用いたな半導体レーザ装置においては、従来構造の半導
体光導波路を用いた場合の吸収損失が30cm-1以上で
あったのに対して、10cm-1以下の吸収損失に低減さ
れた。そのため、発振閾値が20mAから16mAへと
80%の低下を実現した。また、従来40mWであった
CODレベルが65mWに上昇した。更に、光のスポッ
ト径が5/3に拡大されると共に、接合に垂直な方向の
放射角が40°から26°に低減された。そのため、レ
ンズ等との結合効率が20%以上向上した。そしてこの
ようなCODレベルの上昇と結合効率の向上の効果を合
わせたトータルのパワー効率が87%向上した。
【0099】尚、本実施例による半導体レーザ装置にお
いては、上記図4に示す本発明による第4のタイプの半
導体光導波路を用いているが、このタイプに限らず、上
記図1、図2又は図3に示すタイプの半導体光導波路を
用いてもよい。
【0100】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、イントリ
ンシックな半導体からなるコア層を、コア層より小さい
屈折率をもつp型半導体からなる第1のクラッド層とn
型半導体からなる第2のクラッド層とによって挟み、こ
れら第1又は第2のクラッド層の外側にイントリンシッ
クな半導体からなる第3のクラッド層を設け、これらコ
ア層並びに第1、第2及び第3のクラッド層に導波光を
分布させることにより、コア層から第1、第2及び第3
のクラッド層に染み出した光が、クラッド層におけるフ
リーキャリア吸収のために吸収されて生じる損失を低減
することができる。
【0101】また、第3のクラッド層に所望の屈折率分
布を設けることにより、半導体光導波路内を導波される
光の電界強度分布をより細かく制御することができるた
め、光の電界強度分布の幅を広くすると共に、半導体光
導波路の中央部分に光を閉じ込める効果を大きくするこ
とができる。これにより、本発明を光電変換装置又は電
界吸収型変調装置に使用した場合、半導体光導波路内の
導波光の電界強度分布を光ファイバからの入射光の分布
に近くなるように制御することができるため、光ファイ
バーとの結合効率を向上させることができるようにな
る。また、本発明を半導体レーザに使用した場合、第1
及び第2のクラッド層がキャリアをコア層に閉じ込める
障壁として作用するため、発振閾値電流の低下や微分効
率の改善や温度特性の改善を行うことができ、しかも光
の電界強度分布の幅を広くすると共に、中央部分への光
閉じ込め率を高く保つことができるため、CODレベル
の向上と放射角の狭角化を行うことができ、その結果、
高出力化及び結合効率の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の半導体光導波路を説明する
ための図である。
【図2】本発明による第2の半導体光導波路を説明する
ための図である。
【図3】本発明による第3の半導体光導波路を説明する
ための図である。
【図4】本発明による第4の半導体光導波路を説明する
ための図である。
【図5】本発明による第5の半導体光導波路を説明する
ための図である。
【図6】半導体光導波路に使用される半導体の吸収スペ
クトルを示すグラフである。
【図7】図6に示す吸収スペクトルの一部を拡大したグ
ラフである。
【図8】半導体光導波路のコア層とクラッド層とのエネ
ルギーバンドキャップ差ΔEと屈折率差Δnとの関係を
示す図である。
【図9】半導体光導波路のコア層とクラッド層との屈折
率差Δnと半導体光導波路に導波される光の電界強度分
布との関係を示す図である。
【図10】半導体光導波路構造と半導体光導波路に導波
される光のスポット径との関係を説明するための図であ
る。
【図11】半導体光導波路に導波される光の電界強度分
布の半導体光導波路構造による変化を説明するための図
である。
【図12】半導体光導波路に導波される光の電界強度分
布の半導体光導波路構造による変化を説明するための図
である。
【図13】本発明の一実施例による電界吸収型変調装置
を示す斜視図である。
【図14】図13に示す電界吸収型変調装置の製造方法
を説明するための工程図(その1)である。
【図15】図13に示す電界吸収型変調装置の製造方法
を説明するための工程図(その2)である。
【図16】図13に示す電界吸収型変調装置の製造方法
を説明するための工程図(その3)である。
【図17】本発明の他の実施例による半導体レーザ装置
を示す断面図である。
【図18】図17に示す半導体レーザ装置の製造方法を
説明するための工程図(その1)である。
【図19】図17に示す半導体レーザ装置の製造方法を
説明するための工程図(その2)である。
【図20】図17に示す半導体レーザ装置の製造方法を
説明するための工程図(その3)である。
【図21】面入射型光電変換装置を説明するための図で
ある。
【図22】電極パッドが設けられた面入射型光電変換装
置を示す斜視図である。
【図23】面入射型光電変換装置と電気回路パターンと
の接続方法を示す斜視図である。
【図24】面入射型光電変換装置とその入射光及びRF
出力の方向との関係を示す斜視図である。
【図25】エッジ入射型光電変換装置を説明するための
斜視図である。
【図26】エッジ入射型の光電変換装置を光回路へ組み
込んだ応用例を示す図である。
【図27】電界吸収型変調装置を使用した加入者系双方
向光通信システムを示す概略図である。
【図28】従来の能動的半導体光導波路を説明するため
の図である。
【図29】従来の半導体レーザを説明するための図であ
る。
【符号の説明】
10…i型コア層 10a…MQW構造のi型コア層 11…p型クラッド層 12…n型クラッド層 13、17、19…第1のi型クラッド層 14、18、20…第2のi型クラッド層 15…MQW構造の第1のi型クラッド層 16…MQW構造の第2のi型クラッド層 19a、19b、20a、20b…i型クラッド層 30…n型GaAs基板 31…i型MQW層 32a…n型GaAIAs層 32b…n型GaAIAs層 33…i型MQW層 34…p型GaAIAs層 35…i型MQW層 36…p側金電極 37…n側金電極 38…上部クラッド層 39…下部クラッド層 40…SiO2 膜 41…フォトレジスト 42…ストライプ状溝 43…SiO2 膜 50…n型GaAs基板 51…i型GaAlAs層 52…i型GaAlAs層 53a…n型GaAIAs層 53b…n型GaAIAs層 54…i型MQW層 55…p型GaAIAs層 56…i型GaAlAs層 57…i型GaAlAs層 58…p型GaAIAs層 59…素子分離用のU溝 60…p側金電極 61…n側金電極 62…上部クラッド層 63…下部クラッド層 64…SiO2 膜 65…フォトレジスト 66…ストライプ状溝 67…SiO2 膜 68…ストライプ状溝 70…面入射型光電変換装置 71a,71b…フォトダイオード 72…光ファイバ 73…半導体基板 74…受光部 75…n型半導体層 76…光吸収半導体層 77…p型半導体層 78…光電変換部 79a、79b…電極 80…電極パッド 81…電気回路基板 82…電気回路の導体パターン 83…金ワイヤ 84…エッジ入射型光電変換装置 85…半導体基板 86a,86b…光導波路 87a,87b…電極 88a,88b…光導波路 89a,89b…電極 A…光導波路部 B…光電変換装置部 90…光源 91…光分配器 92…電界吸収型変調装置 93…光ファイバ 94…WDMカプラ 95…O/E変換装置 96…電界吸収型変調装置 97…光ファイバ 98…O/E変調装置 100…p型半導体基板 101…p型クラッド層 102…i型コア層 103…n型クラッド層 104…光導波路 105…埋め込み層 106…n側電極 107…p側電極 108…n型コンタクト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 31/14 A 7210−4M 33/00 A 7376−4M

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イントリンシックな半導体からなるコア
    層と、 前記コア層の一方の面に接して設けられ、前記コア層よ
    り小さい屈折率をもつp型半導体からなる第1のクラッ
    ド層と、 前記コア層の他方の面に接して設けられ、前記コア層よ
    り小さい屈折率をもつn型半導体からなる第2のクラッ
    ド層と、 前記第1又は第2のクラッド層の前記コア層に接する面
    と反対側の面に接して設けられ、前記コア層より小さい
    屈折率をもつイントリンシックな半導体からなる第3の
    クラッド層と、を有し、 導波される光が、前記コア層並びに前記第1、第2及び
    第3のクラッド層に分布することを特徴とする半導体光
    導波路。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体光導波路におい
    て、 前記第3のクラッド層が、前記第3のクラッド層に接す
    る前記第1又は第2のクラッド層より大きい屈折率をも
    つことを特徴とする半導体光導波路。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体光導波路に
    おいて、 前記第3のクラッド層が、屈折率の異なる複数の層から
    なることを特徴とする半導体光導波路。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の半導
    体光導波路において、 前記第3のクラッド層が、多重量子井戸構造をなすこと
    を特徴とする半導体光導波路。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の半導体光導波路におい
    て、 前記コア層が、多重量子井戸構造をなすことを特徴とす
    る半導体光導波路。
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