JPH06151048A - 電磁誘導加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁誘導加熱装置を簡単な構成で被加熱物の
温度を迅速に検出し、被加熱物の過熱や温度ムラのない
ようにする。 【構成】 被加熱物10と電磁誘導コイル１を隔絶し被加
熱物に接するよう設けられたガラス板２と、電磁誘導コ
イル１の制御部３を備え、かつ前記ガラス板の被加熱物
に接する表面に、抵抗体４を有するとともに、前記抵抗
体を被覆するようガラス層５を有し、抵抗体４より得ら
れる信号は前記電磁誘導コイル１の制御部３に導かれ、
電磁誘導コイルの制御に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、調理・暖房・乾燥等に
利用される電磁誘導加熱装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の電磁誘導加熱装置は、１個のサー
ミスタ等の測温体を、被加熱物と電磁誘導コイルを隔絶
し被加熱物に接するよう設けられたガラス板の電磁誘導
コイル側に接して設けていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の測温
体の構成では、被加熱物の温度が、熱容量の大きなガラ
ス板を通じて間接的に測温体に伝えられるため、被加熱
物の温度上昇を迅速に測定することが困難であり、被加
熱物の加熱し過ぎや温度ムラをひきおこしていた。

【０００４】本発明は簡単な構成で被加熱物の温度を迅
速に検出し、被加熱物の過熱や温度ムラのないことを目
的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、被加熱物と電
磁誘導コイルを隔絶し被加熱物に接するよう設けられた
ガラス板と、前記電磁誘導コイルの制御部を備え、かつ
前記ガラス板の被加熱物に接する表面に、抵抗体を有す
るとともに、前記抵抗体を被覆するようガラス層を有
し、抵抗体より得られる信号は前記電磁誘導コイルの制
御部に導かれ、この電磁誘導コイルの制御に用いられる
構成としたものである。

【０００６】

【作用】本発明によれば、電磁誘導コイルにより発生す
る磁界により発熱した被加熱物の熱は、被加熱物に接す
るよう設けられたガラス板の被加熱物に接する表面に形
成した抵抗体を伝熱により加熱し、抵抗体の抵抗値が変
化する。この抵抗値変化はその温度変化と一定の関数関
係があるため、抵抗体の抵抗値変化から抵抗体の温度上
昇を求めることができる。

【０００７】抵抗体の温度は、ガラス層，抵抗体が膜状
で薄く熱容量が小さいこと、および被加熱物にガラス層
を介して近接していることから、短時間で被加熱物とほ
ぼ同一温度となる。このため、被加熱物の温度を速やか
に測定することが可能となり、この情報から電磁誘導コ
イルの出力を制御し、被加熱物を所望の加熱パターンで
加熱することができる。また抵抗体表面に形成したガラ
ス層は、抵抗体の電気絶縁性を付与するためと、抵抗体
の摩耗による抵抗値変化を防止するために設けてある。

【０００８】

【実施例】図１は本発明を調理器に用いた場合の一実施
例の斜視図を示し、図中、１は電磁誘導コイル、２は電
磁誘導コイル１を隔絶し、被加熱物10に接するように設
けられたガラス板であり、前記被加熱物10に接する表面
に抵抗体４を有し、この抵抗体を被覆するようガラス層
５を有する。３は電磁誘導コイルの制御部であり、前記
抵抗体４からの信号が入力される。６はファン、７はケ
ース、８は空気吸入口、９は空気排出口、11は調理物で
ある。

【０００９】いま、電源スイッチ(図示せず)を入れる
と、制御部３により制御された電力で電磁誘導コイル１
に通電され、電磁誘導コイル１の周囲に強磁場が発生
し、ガラス板２上に置かれた鉄鍋等の強磁性体よりなる
被加熱物10が電磁誘導作用により短時間で急速発熱す
る。

【００１０】この熱は、被加熱物10に接している薄いガ
ラス層５を介して速やかに抵抗体４に伝えられ、抵抗体
４が温度上昇し抵抗値が変化する。この抵抗値変化は制
御部３に伝えられ、制御部３内で被加熱物の温度を読み
取ると共に、所望の加熱プログラムと比較対照し、プロ
グラムどうりの加熱がなされるように電磁誘導コイル１
への電力供給を増減させる。

【００１１】抵抗体４に伝わった熱は、さらに伝熱によ
りガラス板２に拡散するが、ガラス板は熱伝導が遅く熱
容量も大きいことから温度上昇が非常に遅い。従って、
前記したように従来のガラス板下に設置したサーミスタ
等の測温体では被加熱物の温度を速やかに検知すること
が困難である。これに対し本発明の構成によれば、温度
検知のための抵抗体４が薄いガラス層(50〜150ミクロ
ン)を介して被加熱物と近接しているため、前記したよ
うに被加熱物の温度を速やかに検知可能である。

【００１２】電磁誘導加熱は、熱抵抗を加味しなければ
ならない伝熱による加熱方式と違い、発生した強磁場に
より被加熱物内に電流を発生させ加熱する方式のため、
途中の熱損失がなく急速な発熱が得られる。従って被加
熱物の速やかな温度検知がなされないと、被加熱物が過
熱されたり、温度上昇−下降の激しい温度ムラを生じ易
い加熱となってしまう。こうした問題発生を本発明では
防止することができる。

【００１３】本実施例において、調理物11は被加熱物10
に発生した熱により加熱され調理される。このとき前記
したように被加熱物10の温度を制御することにより、調
理物11の加熱しすぎや温度ムラによる焦げ付きや生煮え
等の調理失敗を防止できる。また制御部３および電磁誘
導コイル１は、ファン６により発生する空気吸入口８か
ら空気排出口９への空気流により冷却され、過熱するの
を防止されている。

【００１４】図２は図１のガラス板と抵抗体部分につい
ての他の実施例の構成を示すもので、12はガラス板、13
は抵抗体Ａ、14は抵抗体Ｂ、15は抵抗体Ｃ、16は電磁誘
導コイルの制御部であり、図示していないが抵抗体表面
はガラス層によって被覆されている。

【００１５】抵抗体Ａ，Ｂ，Ｃは略同芯円上に設けられ
ており、各抵抗体の抵抗値変化は制御部16で検知され、
電磁誘導コイル１の電力制御に用いられる。抵抗体をこ
のような構成とすることにより、被加熱物の大きさや調
理速度を精度良く検出することができる。電磁誘導コイ
ルは通常、ドーナツ状に配置されており、これにより加
熱される被加熱物の温度分布は略同芯円上の等温線を描
く温度分布となる。

【００１６】従って図２のように複数の抵抗体を前記温
度分布と同様の略同芯円上に配設することにより、各抵
抗体の温度がほぼ均一となるため、加熱状態の被加熱物
温度を精度よく測定することができ、かつ被加熱物に接
していない温度が上がらない抵抗体から被加熱物の大き
さを検知することもできる。従って本発明の抵抗体は複
数個を略同芯円上に配設することが望ましい。

【００１７】本発明のガラス板は低熱膨張のリチウムシ
リケートガラス、石英ガラス等を用いることができる。
またガラス板の代わりにセラミック板の表面を前記低熱
膨張ガラスで被覆した板状体を用いてもよく、これも本
発明の範囲である。

【００１８】本発明で用いる抵抗体は、ペーストを用い
た印刷法、あるいは蒸着法，スパッタ法によりガラス板
上に所望の形状に形成したものであり、その抵抗値が温
度と共に一様に増加するあるいは減少する材料を用い
る。

【００１９】抵抗体を被覆するガラス層は、種々の材料
を用いることができるが、耐水性，耐摩耗性，電気絶縁
性の観点から高シリカガラスが望ましい。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明の電磁誘導加
熱装置は、電磁誘導コイルを隔絶し被加熱物に接するよ
う設けられたガラス板の被加熱物に接する表面に、抵抗
体を形成する構成とすることにより、被加熱物の温度を
精度良く測定でき、被加熱物の加熱し過ぎや温度ムラの
ない電磁誘導加熱装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の調理器に用いた場合の一実施例の斜視
図である。

【図２】本発明の他の実施例の抵抗体の配置構成を示す
図である。

【符号の説明】

１…電磁誘導コイル、 ２，12…ガラス板、 ３，16…
電磁誘導コイルの制御部、 ４…抵抗体、 ５…ガラス
層、 ６…ファン、 ７…ケース、 ８…空気吸入口、
９…空気排出口、 13…抵抗体Ａ、 14…抵抗体Ｂ、
15…抵抗体Ｃ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 公康 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 杉田 勇一郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被加熱物と電磁誘導コイルを隔絶し被加
   熱物に接するよう設けられたガラス板と、前記電磁誘導
   コイルの制御部を備え、かつ前記ガラス板の被加熱物に
   接する表面に、抵抗体を有するとともに、前記抵抗体を
   被覆するようガラス層を有し、抵抗体より得られる信号
   は前記電磁誘導コイルの制御部に導かれ、この電磁誘導
   コイルの制御に用いられることを特徴とする電磁誘導加
   熱装置。
2. 【請求項２】 抵抗体が複数個からなり、かつ略同芯円
   上に配設されてなることを特徴とする請求項１記載の電
   磁誘導加熱装置。