JP2013109940A - 誘導加熱調理器およびその制御方法 - Google Patents

誘導加熱調理器およびその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明によれば、食材の焦げ付きを防止できる誘導加熱調理器およびその制御方法を実現することができる。
【解決手段】本願発明に係る誘導加熱調理器は、中央コイルと、その周辺に隣接して配置された複数の周辺コイルと、それぞれに独立して高周波電流を供給する電源回路部と、被加熱体の温度(T)を検出する少なくとも1つの温度センサと、中央コイルおよび各周辺コイルが、加熱調理モードにおいて第1の電力(W)を消費し、煮込み調理モードにおいて第1の電力(W)より小さい第2の電力(W)を継続的に消費するように電源回路部を制御する制御回路部とを備える。制御回路部は、加熱調理モードから煮込み調理モードに移行した後、被加熱体の温度(T)が低下した後に上昇したときの極小温度を基準温度(T)と決定し、被加熱体の温度(T)が温度(T+ΔT)を越えないように電源回路部を制御する。
【選択図】図5

Description

本願発明は、誘導加熱調理器およびその制御方法に関し、特に調理鍋の温度を計測することにより、その内部に収容された食材が焦げ付かないように煮込み調理を行うことができる誘導加熱調理器およびその制御方法に関する。
従来のIHクッキングヒータ(誘導加熱調理器)は、概略、誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルの上方に調理鍋(被加熱体)を載置するためのトッププレート(天板)と、トッププレートを介して調理鍋の表面温度を検出・計測する温度センサとを有する。またIHクッキングヒータは、誘導加熱コイルに高周波電流を供給するためのインバータ回路と、ユーザが設定した「火力」(誘導加熱コイルの消費電力)に応じてインバータ回路に適当な制御信号を供給して、必要な高周波電流を誘導加熱コイルに供給するようにインバータ回路を制御するための制御回路部とを有する。こうしたIHクッキングヒータにおいて、制御回路は、所望の火力の他、温度センサが検出した調理鍋の温度に基づいて、誘導加熱コイルに供給すべき高周波電流を決定する。
これまでにも、IHクッキングヒータに限らず、一般の加熱調理器において、調理鍋に収容された食材(たとえばカレーやシチューの具材)が調理鍋に焦げ付いて、食材の味や香りを損なうことがあるため、調理鍋の検出温度に基づいて「火力」を調整することにより、食材の焦げ付きの発生を抑制しようとするものが数多く提案されている。
調理鍋の温度を検出できる温度センサとして、数多くの種類または型式のものを加熱調理器に採用することができるが、その検出メカニズム等に応じて、それぞれの長所および短所を有する。
たとえば、サーミスタ(感熱素子)などの電気抵抗式の温度センサを用いる場合、トッププレートを介して調理鍋の表面温度が検出されるため、調理鍋の温度が変化するとき、サーミスタの温度は実際の調理鍋の温度に遅延して検出される。すなわち電気抵抗式の温度センサを用いた従来式のIHクッキングヒータにおいて、サーミスタの検出温度が所定の基準温度に達したときに調理鍋に焦げ付きが発生すると判断して、誘導加熱コイルに供給する高周波電流を抑制または停止する場合、検出温度が基準温度に達したときには、調理鍋に収容された食材はそれまでに過剰に加熱されて、食材の焦げ付きが発生するおそれがある。
さらに電気抵抗式の温度センサにおいて、調理鍋の温度はトッププレートを介して間接的に検出されるため、調理鍋の鍋底に凹凸または反りがある場合(すなわちトッププレートと調理鍋の鍋底との間に空気層がある場合)に検出される温度が、鍋底に凹凸または反りがない場合(すなわち空気層がない場合)に検出される温度より低くなる。したがって、検出温度が基準温度に達したときに焦げ付きの発生を判断する従来式のIHクッキングヒータによれば、調理鍋の鍋底に凹凸または反りがあると、検出温度が基準温度に達したときには、同様に調理鍋が過熱して、食材の焦げ付きが発生している可能性が高くなる。
一方、赤外線センサなどの光学式の温度センサは、調理鍋からの放射エネルギがその表面温度の4乗に比例する(ステファン・ボルツマンの法則)ことに依拠して、調理鍋からの放射エネルギを測定することにより、調理鍋の温度を検出するものである。すなわち赤外線センサは、調理鍋が高温(たとえば150℃)であるときには調理鍋の温度を精度よく検出できるが、煮込み料理を調理しているときには調理鍋の温度が比較的に低温(たとえば120℃)であるため、高い精度で温度検出できない場合があった。したがって、光学式の温度センサを用いたIHクッキングヒータによれば、調理鍋の温度を精度よく検出できず、とりわけ実際の調理鍋の温度より低い温度が検出される場合には、同様に調理鍋が過熱して、食材の焦げ付きが発生しやすくなる。
より具体的には、特許文献1には、サーミスタなどの温度計測手段により計測した温度がほぼ一定となったとき(温度上昇速度が一定値以下になったとき)に熱平衡状態と判定し、そのときの計測温度を基準温度と設定して、基準温度から所定温度だけ上昇したときに、加熱手段による加熱を停止するとともに、冷却手段を用いて被加熱部分を冷却することにより、食材の焦げ付きを防止する加熱調理器が記載されている。
また特許文献2には、煮物調理動作から味しみ込み調理動作に移行した時点、あるいは味しみ込み調理動作に移行した後に所定の時間が経過した時点において、サーミスタなどの温度検知手段で検出された被加熱物の温度を基準温度(θ)と設定し、検出温度が基準温度(θ)より所定の低温閾値(θdn)より低くなると加熱し、基準温度より所定の高温閾値(θup)より高くなると加熱を停止する誘導加熱調理器が教示されている。
さらに特許文献3には、調理時、加熱動作を一時的に停止し、この停止時の温度検知器(サーミスタなど)の検知温度の変化の勾配により設定温度(基準温度)を求め、基準温度に応じて加熱出力を制御する誘導加熱調理器が記載されている。
特開2008−107001号公報 特許第4444039号公報 特開昭60−216489号公報
しかしながら、特許文献1に記載の加熱調理器は、基本的にはガス調理器に関し、調理鍋は五徳の上に載置され、温度計測手段であるサーミスタはトッププレートを介することなく調理鍋に接触して直接的にその温度を検出するものである。したがって、特許文献1に記載の加熱調理器においては、上述のように、検出温度が実際の調理鍋の温度に遅延して検出されること、あるいは調理鍋の鍋底に凹凸または反りがあることに起因して、調理鍋が過熱して、食材の焦げ付きが発生するという問題は生じ得ない。換言すると、IHクッキングヒータにおいて、特許文献1で教示されているように、上昇速度が一定値以下になったときの計測温度を基準温度と設定して、基準温度から所定温度だけ上昇したときに誘導加熱コイルによる加熱を停止するように制御した場合、計測温度に遅延時間が生じるため、調理鍋が過熱状態になり、食材の焦げ付きが発生してしまう。
また特許文献2に記載の誘導加熱調理器において、煮物調理動作から味しみ込み調理動作に移行した時点において検出された被加熱物の温度を基準温度(θ)と設定すると、被加熱物の温度が低温閾値(θdn)より低くなるまで被加熱物は加熱されず、その温度は実質的に低下してしまう(100℃→85℃)。また味しみ込み調理動作に移行した後に所定の時間が経過した時点において検出された被加熱物の温度を基準温度(θ)と設定した場合(この場合、基準温度を設定した後の調理動作が実質的な「味しみ込み調理動作」に相当する。)であっても、同様に、基準温度(θ)を設定した後、被加熱物の温度が低温閾値(θdn)より低くなるまでは、被加熱物はまったく加熱されず、食材に対する味の染み込み(煮込み)が不十分となってしまう。
さらに特許文献3に記載の誘導加熱調理器は、設定温度(基準温度)を求めるために、調理時、加熱動作を一時的に停止するため、特許文献2に記載の誘導加熱調理器と同様、被加熱物の温度が実質的に低下してしまい、十分な煮込み調理ができず、おいしい煮込み料理を実現することが困難であった。
そこで本願発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、トッププレートを介して間接的に検出される調理鍋の温度が実際の温度に遅延して検出されること、および調理鍋の鍋底に凹凸または反りがあることに起因して、調理鍋が過剰に加熱されて、食材の焦げ付きが生じることを防止するとともに、より適正な基準温度を設定することにより、調理鍋をより高い温度に維持して、十分な煮込み調理(すなわち、おいしい煮込み料理)を実現できる誘導加熱調理器およびその制御方法を提供することを目的とする。
本願発明に係る誘導加熱調理器は、平面状に捲回された中央コイルと、前記中央コイルの周辺に隣接して配置された複数の周辺コイルと、前記中央コイルおよび前記周辺コイルに独立して高周波電流を供給する電源回路部と、前記中央コイルおよび前記周辺コイルの上方に載置される被加熱体の温度(T)を検出する少なくとも1つの温度センサと、前記中央コイルおよび前記各周辺コイルが、加熱調理モードにおいて第1の電力(W)を消費し、煮込み調理モードにおいて第1の電力(W)より小さい第2の電力(W)を継続的に消費するように前記電源回路部を制御する制御回路部とを備える。そして前記制御回路部は、前記加熱調理モードから前記煮込み調理モードに移行した後、被加熱体の温度(T)が低下した後に上昇したときの極小温度を基準温度(T)と決定するとともに、被加熱体の温度(T)が前記基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)を越えないように前記電源回路部を制御することを特徴とするものである。
本願発明に係る誘導加熱調理器によれば、調理鍋が過剰に加熱されて、食材の焦げ付きが生じることを防止するとともに、調理鍋をより高い温度に維持して十分な煮込み調理を実現することができる。
本願発明に係る誘導加熱調理装置の全体を概略的に示す斜視図である。 トッププレートを取り外したときのIH加熱部を構成する複数の加熱コイルを示す平面図である。 中央コイルおよび各周辺コイルに対する温度センサの好適な配置位置を説明するための平面図である。 各加熱コイルに高周波電流を供給するための高周波電源のブロック回路図である。 実施の形態1に係る誘導加熱調理装置の制御方法を示すフローチャートである。 温度センサが検出する鍋底温度、ならびに中央コイルおよび各周辺コイルが消費する電力の時間的推移を示すタイミングチャートである。 調理鍋の鍋底に凹凸または反りがある場合において、鍋反りと基準温度との関係、および鍋反りと閾値温度との関係を示すグラフである。 実施の形態1の変形例を示す、図6と同様のタイミングチャートである。 実施の形態2に係る煮込み調理モードにおける制御方法を説明するタイミングチャートである。 図9の制御方法において、高周波電流が供給された中央コイルおよび周辺コイルを概略的に示す平面図である。 温度センサが検出する鍋底温度、ならびに中央コイルおよび各周辺コイルが消費する電力の時間的推移を示す、図6と同様のタイミングチャートである。 実施の形態2の変形例を示す、図11と同様のタイミングチャートである。 実施の形態3に係る誘導加熱調理装置の制御方法を示すフローチャートである。 実施の形態1〜3の変形例に係るIH加熱部の平面図である。 実施の形態1〜3の別の変形例に係るIH加熱部の平面図である。
以下、添付図面を参照して本願発明に係る誘導加熱調理装置の実施の形態を説明する。各実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、「上方」、「下方」、「右側」および「左側」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものでない。また以下の添付図面において、同様の構成部品については同様の符号を用いて参照する。
実施の形態1.
図1〜図8を参照しながら、本願発明に係る誘導加熱調理装置1の実施の形態1について以下詳細に説明する。図1は、本願発明に係る誘導加熱調理装置1の全体を概略的に図示する斜視図である。図1に示す誘導加熱調理装置1は、概略、本体筐体2と、その上に配設されたガラス製のトッププレート3と、トッププレート3の下方であって、本体筐体2の左右に配置された一対のIH加熱部10a,10bと、その間の中央位置付近に配置されたラジエント加熱部12と、オーブン加熱部14とを有する。
各IH加熱部10a,10bは、後述するように、複数の誘導加熱コイル(以下、単に「加熱コイル」という)に高周波電流を供給することにより、導電体からなる鍋などの被加熱体に誘導電流(渦電流)を形成し、その際生じるジュール熱により被加熱体を加熱するものである。ラジエント加熱部12は、ラジエントヒータ(図示せず)に電流を供給することにより、その輻射熱で被加熱体を加熱するものである。また誘導加熱調理装置1は、複数の加熱コイルのそれぞれに独立して高周波電流を供給するための高周波電源(図4、電源回路部)100を有する。
オーブン加熱部14は、詳細図示しないが、開閉可能な扉14と、オーブン筐体内に配設された加熱庫(ともに図示せず)とを有し、加熱庫内に配置されたラジエントヒータからの輻射熱を利用して、魚などの食材を加熱するものである。
また誘導加熱調理装置1は、ユーザがIH加熱部10a,10bを操作するための一連の操作スイッチ4a,4bと、ラジエント加熱部12およびオーブン加熱部14を操作するための操作スイッチ4c,4dとを含む操作パネル5を有する。IH加熱部10a,10bのための操作スイッチ4a,4bには、後述するように、IH加熱部10a,10bを用いて、通常の「加熱調理モード」から、煮込み調理に適した「煮込み調理モード」に制御モードをユーザにより選択可能な「煮込みモードスイッチ」9a,9bが設けられている。
さらに誘導加熱調理装置1は、ユーザがIH加熱部10a,10bの火力を調整するための火力調整ダイヤル6a,6bと、これらの加熱部10a,10b,12,14の制御状態をユーザに表示するための液晶表示部7と、トッププレート3上の後面側に設けられた排気窓8aおよび一対の吸気窓8b,8cとを有する。
図2は、図1のトッププレート3を取り外したときのIH加熱部10を構成する複数の加熱コイルを示す平面図である。IH加熱部10は、中央に配置された加熱コイル(以下、「中央コイル」という。)20と、中央コイル20の周辺に隣接して配置された複数の(図2では4つの)加熱コイル(以下、「周辺コイル」という。)30a〜30dとを有する。図2に示す中央コイル20は、電気的に直列に接続された内側コイル20aおよび外側コイル20bを有し、これらは半径方向に離間して同心円状に配置されている。
一方、各周辺コイル30a〜30dは、1/4円の円弧状の平面形状を有し、中央コイル20の外側コイル20bに隣接し、これに沿って延びるように配置されている。これらの内側コイル20a、外側コイル20b、および周辺コイル30a〜30dは、絶縁被膜された任意の金属からなる導電線が捲回されることにより構成されている。
IH加熱部10は、トッププレート3の下方において、少なくとも1つのサーミスタなどの電気抵抗式温度センサ(以下、単に「温度センサ」という。)40を有する。温度センサ40は、被加熱体である鍋底に対向し、鍋底からトッププレート3を介して伝わる熱に基づいて鍋底の温度を検出するものである。一般に、鍋底の全体の平均的な温度を検出するためには、より数多くの温度センサ40を配置して(より数多くの鍋底の領域・位置における温度を検出して)、検出された鍋底温度を平均化処理することが好ましい。しかし、より数多くの温度センサ40を配置すると、電気回路構成が複雑となり、かつ製造工程が煩雑となるため、生産コストが増大してしまう。したがって温度センサ40は、鍋底の全体において加熱されやすい部分と加熱されにくい部分との間の部分(両者の中間的な温度を有する部分)に対向するように配置されることが好ましい。図2に示す温度センサ40a,40bは、内側コイル20aおよび外側コイル20bの間であって、内側コイル20aの中心と、周辺コイル30a,30dおよび周辺コイル30b,30cの中心とを結ぶ線分上から、反時計方向に若干ずれた位置に配置されている。
図3は、中央コイル20および各周辺コイル30に対する温度センサ40の好適な配置位置を説明するための平面図であって、図2と同様のものである。詳細後述するように、中央コイル20および各周辺コイル30に供給される高周波電流は、互い独立して制御され、たとえば図3の矢印で示すように、中央コイル20には時計方向周りに、各周辺コイル30には反時計方向周りに流れるように位相制御される。図3の△印で示す位置に配置された温度センサ40は、外側コイル20bおよび周辺コイル30aに流れる高周波電流が同一方向に流れる(それぞれの高周波磁界は強め合う)ので、鍋底の全体における加熱されやすい部分に対向し、より高い温度を検出する。一方、図3の×印で示す位置に配置された温度センサ40は、外側コイル20bおよび周辺コイル30aに流れる高周波電流が逆方向に流れる(それぞれの高周波磁界は弱め合う)ので、鍋底の全体における加熱されにくい部分に対向し、より低い温度を検出する。そこでより中間的(平均的)な鍋底温度を検出するためには、温度センサ40は、図3の△印と×印で示す位置の中間位置、すなわち内側コイル20aの中心と周辺コイル30a,30dおよび周辺コイル30b,30cの中心とを結ぶ線分上から、時計方向に若干ずれた○印で示す位置に配置されることが好ましい。図2に示すIH加熱部10は、内側コイル20aと外側コイル20bの間と、外側コイル20bと周辺コイル30aとの間の○印で示す位置とに2つの温度センサ40a,40bが配置されている。
次に、図4を参照しながら、本願発明に係る高周波電源(電源回路部)100について説明する。図4は、各加熱コイル20,30a〜30dに高周波電流を供給するための高周波電源100のブロック回路図である。本願発明に係る高周波電源100は、概略、商用電源102を直流電流に変換するコンバータ(例えばダイオードブリッジ)104と、コンバータ104の出力端に接続された平滑用コンデンサ106、平滑用コンデンサ106に並列に接続された中央コイル20(内側コイル20aおよび外側コイル20b)のための中央インバータ110と、各周辺コイル30a〜30dのための周辺インバータ120a〜120dとを備える。各インバータ110,120は、コンバータ104からの直流電流を高周波電流に変換し、それぞれ中央コイル20および周辺コイル30a〜30dに高周波電流を独立して供給するものである。図4において、中央コイル20および周辺コイル30a〜30dは、それぞれ、インダクタンス21,31a〜31dおよび抵抗22,32a〜32dの等価回路として図示され、温度センサ40はSとして図示されている。
このように構成された高周波電源100において、各インバータ110,120a〜120dは、中央コイル20と周辺コイル30a〜30dのインダクタンス21,31a〜31dと共振する共振用コンデンサ112,122a〜122dを介して、中央コイル20および周辺コイル30a〜30dに接続されており、制御回路部60からの制御信号を受けて、中央コイル20および周辺コイル30a〜30dに任意の駆動条件で高周波電流を供給することができる。
なお、図4に示す高周波電源100は、中央コイル20、および周辺コイル30a〜30dをそれぞれ個別のインバータ110,120a〜120dにより駆動するものとして説明したが、たとえば周辺コイル30a,30cおよび周辺コイル30b,30dを直列または並列に接続してもよい。この場合、インバータの部品点数を削減することができるので、高周波電源100をより安価に製造することができる。
制御回路部60は、所望の火力および温度センサ40で検出された鍋底温度等に応じて適当な高周波電流が中央コイル20および各周辺コイル30に供給されるように、各インバータ110,120にゲート信号(制御信号)を供給することにより、これらを制御するものである。制御回路部60からインバータ110,120に供給されるゲート信号のON/OFFのタイミング(位相)は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。たとえば制御回路部60が逆位相のゲート信号で各インバータ110,120を制御するとき、各インバータ110,120は、図3で説明したように、中央コイル20および周辺コイル30に同一方向の高周波電流を供給することができる。
ここで図5および図6を参照しながら本願発明に係る誘導加熱調理器の制御方法(動作シーケンス)について詳細に説明する。図5は、実施の形態1に係る誘導加熱調理装置1の制御方法を示すフローチャートである。
図5のフローチャートのST11において、鍋に収容された調理具材が十分に加熱されて、沸騰状態(熱平衡状態)にあるとき、ユーザは煮込みモードスイッチ9を押下して、加熱調理モードから煮込み調理モードに切り換える。なお詳細説明しないが、ユーザが煮込みモードスイッチ9を押下する代わりに、たとえば温度センサ40が検出する温度(T)の時間変化率(dT/dt)が所定の閾値より小さくなったとき、制御回路部60は調理具材が沸騰状態に至ったものと判断して、自動的に加熱調理モードから煮込み調理モードに切り換えるように構成してもよい。
制御回路部60は、中央コイル20が消費する電力(W)と各周辺コイル30が消費する電力(W)の合計が、加熱調理モードでは第1の電力(W=WC1+4WP1、たとえば1250W)となるように、煮込み調理モードでは第1の電力より小さい第2の電力(W=WC2+4WP2、たとえば240W)となるように、各インバータ110,120を制御する。
図6(a)は、加熱調理モードおよび煮込み調理モードにおいて、温度センサ40が検出する鍋底温度(T)の時間的推移を示し、図6(b)および図6(c)は中央コイル20および各周辺コイル30が消費する電力(W,W)の時間的推移を示すタイミングチャートである。加熱調理モードから煮込み調理モードに切り換えられると(t=0のとき)、温度センサ40が検出する鍋底温度(T)は低下するが、鍋に収容される調理具材の温度は維持される。換言すると、煮込み調理モードにおいて中央コイル20および各周辺コイル30が消費する第2の電力(W)は、調理具材がほぼ沸騰状態に維持されるのに必要な最低限度の電力に設定されている。したがって煮込み調理モードへ移行した後、温度センサ40の検出温度(T)は、一旦低下するが、鍋底と調理具材とが熱平衡状態に達すると、極小温度(T)を経て、再び上昇する。制御回路部60は、ST12において、図示しない記憶手段(メモリ)を用いて、温度センサ40で検出された鍋底温度(T)を記憶する。すなわち本願発明において、煮込み調理モードとは、加熱調理モードにおける第1の電力(W)より小さい第2の電力(W)で鍋底を加熱し続けた際に、温度センサ40の検出温度(T)が一旦低下し、極小温度(T)を経て、再び上昇するような調理モードであると定義することができる。
制御回路部60は、加熱調理モードから煮込み調理モードへ移行した後、ST13において、所定の基準温度設定期間(τ)が経過した否か判断し、経過していない場合には経過するまで、ステップST12において、温度センサ40で鍋底温度(T)を反復的に検出し、記憶手段により逐次記憶する。基準温度設定期間(τ)は任意の期間に設定することができるが、たとえば10分間、より好適には5分間と設定してもよい。
制御回路部60は、ST14において、図6(a)の一点鎖線で示すように、記憶手段に記憶された一連の鍋底温度(T)のうち最も低い温度(極小温度)を、基準温度(T)と決定する。温度センサ40は継続して鍋底温度(T)を検出する一方(ST15)、制御回路部60は、煮込み調理モードにおいて、第2の電力(W=W+W)が消費されるように各インバータ110,120を制御するとともに、ST16において、鍋底温度(T)が基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)以上であるか否か(T≧T+ΔT)を判断する。すなわち制御回路部60は、鍋底温度(T)が温度(T+ΔT)以上になると、食材が鍋底に焦げ付き始めると判断する。
制御回路部60は、ST16において、鍋底温度(T)が基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)以上になったと判断したとき、ST17において、中央コイル20および各周辺コイル30が全体で第2の電力(W)より小さい第3の電力(W=WC3+4WP3)を消費するように各インバータ110,120を制御する。択一的には、制御回路部60は、鍋底温度(T)が温度(T+ΔT)以上になったと判断したとき、中央コイル20および各周辺コイル30への高周波電流の供給を停止するように各インバータ110,120を制御してもよい。こうして鍋底温度(T)が過剰に加熱されることを回避し、食材の焦げ付きの発生を未然に防止することができる。
なお詳細図示しないが、ST17において、中央コイル20および各周辺コイル30が第3の電力(W)を消費するように各インバータ110,120を制御した後、鍋底温度(T)が温度(T)以下になったと判断したとき、制御回路部60は、再び、第2の電力(W)を消費するように各インバータ110,120を制御してもよい。
また制御回路部60は、鍋底温度(T)が温度(T+ΔT)以上になったと判断したとき、液晶表示部7または警告ランプ(図示せず)などを用いて、焦げ付きが発生するおそれがあることをユーザに警告するようにしてもよい。このときユーザは、手動で煮込み調理モードを解除してもよいし、必要ならば、調理鍋の中の食材を撹拌して、食材を均一化して、食材の焦げ付きの発生を防止するようにしてもよい。
図7は、調理鍋の鍋底に凹凸または反りがある場合に、トッププレート3と調理鍋の鍋底との間の空気層の距離(d、以下「鍋反り」という。)と基準温度(T)との関係、および鍋反り(d)と閾値温度(ΔT)との関係を示すグラフである。基準温度(T)において、調理具材はほぼ沸騰状態に維持されているところ、鍋反り(d)が大きいほど、基準温度(T)は小さくなる。一方、食材の焦げ付きの指標となる閾値温度(ΔT)は、鍋反り(d)の大きさによらず、ほぼ一定の値を示している。
したがって、調理鍋の鍋底に凹凸または反りがあった場合、基準温度(T)は小さい温度として検出されるものの、閾値温度(ΔT)はほぼ一定であるので、検出される基準温度(T)の高低によらず(鍋反りの有無によらず)、温度(T+ΔT)に基づいて中央コイル20および各周辺コイル30の加熱量を制御するので、食材の焦げ付きの発生を精度よく防止することができる。
図8は、実施の形態1の変形例を示すタイミングチャートであって、図6と同様のものである。この変形例では、基準温度設定期間(τ)を経過した後も鍋底温度(T)は低下し続けるが、極小温度を経て、再び上昇する。そして制御回路部60は、基準温度設定期間(τ)を経過した時点における鍋底温度(T)を、基準温度(T’)と決定する。換言すると、この制御回路部60は、鍋底温度(T)が極小温度に至る前において基準温度をより早期に決定するものである。制御回路部60は、同様に、煮込み調理モードにおいて、鍋底温度(T)が基準温度(T’)に所定の閾値温度(ΔT’)を加えた温度(T’+ΔT’)以上になったとき、中央コイル20および各周辺コイル30への高周波電流の供給を抑制または停止するように各インバータ110,120を制御する。このように変形例に係る制御回路部60は、基準温度(T’)をより早期に決定することができる。ただし、この基準温度(T’)は、実施の形態1の基準温度(T)より高い温度として検出されるので、制御回路部60は、閾値温度(ΔT’)も実施の形態1のもの(ΔT)より小さく設定することが好ましい。
実施の形態2.
図9〜図12を参照しながら、本願発明に係る実施の形態2による誘導加熱調理器について以下に説明する。実施の形態2による誘導加熱装置1は、煮込み調理モードにおいて、制御回路部60が中央コイル20および周辺コイル30に高周波電流が択一的に順次供給されるように電源回路部を制御する点を除き、実施の形態1と同様の構成を有するので、重複する構成部品等に関連する詳細な説明を省略する。
図9は、実施の形態2に係る煮込み調理モードにおける制御方法を説明するタイミングチャートであり、図10は、高周波電流が供給された中央コイル20および周辺コイル30a〜30dを概略的に示す平面図である。
実施の形態1に係る煮込み調理モードにおいて、中央コイル20と周辺コイル30a〜30dには、常に一定の電力(WC2,WP2)を消費するように高周波電流が供給されていた。これに対し、実施の形態2の煮込み調理モードにおいては、順次、
i)中央コイル20に一定期間(c)、所定の電力(W)が供給され(図9(a)および図10(a))、
ii)周辺コイル30a,30cに一定期間(c)、所定の電力(WPac)が供給され(図9(b)および図10(b))、さらに
iii)周辺コイル30b,30dに一定期間(c)、所定の電力(WPbd)が供給される(図9(c)および図10(c))。
これらの一定期間c〜cは、たとえば1秒間〜45秒間隔であってもよい。すなわち実施の形態2に係る制御回路部60は、煮込み調理モードにおいて、高周波電流が中央コイル20、周辺コイル30a,30c、および周辺コイル30b,30dに択一的に順次供給されるように各インバータ110,120を制御するものである。
このように、高周波電流が供給される中央コイル20および周辺コイル30を択一的に順次切り換える煮込み調理モードを、以下単に「通電切換式煮込み調理モード」と云う。実施の形態2に係る通電切換式煮込み調理モードでは、中央コイル20および周辺コイル30に対向する鍋底の領域に温度差を形成し、ひいては鍋に収容される食材にも局所的な温度差を形成することにより、流動性の高い食材(たとえば水分)に対流を起こすことができ、食材の焦げ付きの防止を支援することができる。
なお、通電切換式煮込み調理モードはこれに限定されるものではなく、制御回路部60は、任意の順序で中央コイル20および周辺コイル30a〜30dに択一的に高周波電流が供給されるように各インバータ110,120を制御してもよい。
実施の形態2に係る温度センサ40は、実施の形態1と同様、鍋底の全体における加熱されやすい部分と加熱されにくい部分との中間の部分(中間的な温度を有する部分)に対向するように配置されることが好ましい。
また通電切換式煮込み調理モードにおいては、上述のように、周辺コイル30a,30cまたは周辺コイル30b,30dが鍋底を加熱している一方、中央コイル20は鍋底を加熱していない期間があり(cおよびc)、この期間において、中央コイル20の上方にある鍋底は、食材により冷却され、食材との熱平衡状態に達しやすくなる。すなわち、温度センサ40を内側コイル20aと外側コイル20bとの間に配置し、中央コイル20により鍋底を加熱していない期間に鍋底温度を検出することにより、食材との熱平衡状態により近い(食材の温度により近い)鍋底温度(T)を検出することができる。
このように実施の形態2によれば、通電切換式煮込み調理モードを採用することにより、食材の沸騰状態および対流を維持しつつ、かつ、温度センサ40を中央コイルの内側に配置し、中央コイル20により鍋底を加熱していない期間に鍋底温度を検出することにより、より実際の食材温度に近い鍋底温度(T)を精度よく検出することができる。
図11(a)は、実施の形態2に係る通電切換式煮込み調理モードにおいて、温度センサ40が検出する鍋底温度(T)の時間的推移を示し、図11(b)〜(d)は中央コイル20の消費電力(W)、周辺コイル30a,30cの消費電力(WPac)、および周辺コイル30b,30dの消費電力(WPbd)の時間的推移を示すタイミングチャートである。
図5のフローチャートのST11において、鍋に収容された調理具材が十分に加熱されて、沸騰状態(食材がほぼ熱平衡状態)にあるとき、ユーザは煮込みモードスイッチ9を押下して、加熱調理モードから煮込み調理モードに切り換える。
制御回路部60は、加熱調理モードでは第1の電力(W=W+WPac+WPbd、たとえば1250W)となるように各インバータ110,120を制御するとともに、通電切換式煮込み調理モードにおいては、中央コイル20が消費する電力(W)と各周辺コイル30が交互に消費する平均的な電力(W)が、第1の電力より小さい第2の電力(W、たとえば240W)となるように、各インバータ110,120を制御する。通電切換式煮込み調理モードにおける第2の電力(W)は、実施の形態1と同様、調理具材がほぼ沸騰状態に維持されるのに必要な最低限度の電力に設定されている。
通電切換式煮込み調理モードへ移行した後、温度センサ40が検出する鍋底温度(T)は、中央コイル20に電力供給されていない期間(cおよびc)において急激に下降する一方、電力供給されている期間(c)において上昇する。こうした鍋底温度(T)は、図11(a)に示すように、大きく変動するが(下降および上昇を繰り返すが)、鍋底と調理具材とが熱平衡状態に達すると、中央コイル20に高周波電流の供給が開始される直前に極小温度(T)を有し、その後、全体的(平均的)には緩やかに上昇する。
制御回路部60は、ST13において所定の基準温度設定期間(τ)が経過したと判断するまで、ST12において温度センサ40で連続的に検出された鍋底温度(T)を記憶する。そして制御回路部60は、ST14において、記憶手段に記憶された一連の鍋底温度(T)のうちの最低温度(極小温度)を基準温度(T)と決定する。さらに制御回路部60は、ST15において、鍋底温度(T)が基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)以上であるか否か(T≧T+ΔT)を判断し、鍋底温度(T)が温度(T+ΔT)以上になると、ST17において、中央コイル20および各周辺コイル30が全体で第2の電力(W)より小さい第3の電力(W)を消費するように各インバータ110,120を制御する。したがって、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1によれば、実施の形態1と同様、鍋底が過剰に加熱されることを回避し、食材の焦げ付きの発生を未然に防止することができる。
実施の形態2においても、実施の形態1と同様、調理鍋の鍋底に凹凸または反りがあったとしても、基準温度(T)は小さくなるが、閾値温度(ΔT)はほぼ一定であるので、鍋反りの有無によらず、温度(T+ΔT)に基づいて中央コイル20および各周辺コイル30の加熱量を制御することにより、食材の焦げ付きの発生を精度よく防止することができる。
図12は、実施の形態2の変形例を示すタイミングチャートであって、図11と同様のものである。この変形例では、制御回路部60は、基準温度設定期間(τ)を経過した時点における鍋底温度(T)を、基準温度(T’)と早期に決定し、鍋底温度(T)が基準温度(T’)に所定の閾値温度(ΔT’)を加えた温度(T’+ΔT’)以上になったとき、中央コイル20および各周辺コイル30への高周波電流の供給を抑制または停止するように各インバータ110,120を制御する。この基準温度(T’)は、上記基準温度(T)より高い温度として検出されるので、閾値温度(ΔT’)は(ΔT)より小さく設定することが好ましい。
実施の形態3.
図13を参照しながら、本願発明に係る実施の形態3による誘導加熱調理器について以下に説明する。実施の形態3による誘導加熱装置1は、通電切換式煮込み調理モードにおいて、制御回路部60が中央コイル20または周辺コイル30に対する高周波電流の供給が開始される時点ごとに、被加熱体の温度(T)を断続的に記憶する点を除き、実施の形態2と同様の構成を有するので、重複する構成部品等に関連する詳細な説明を省略する。
図13は、実施の形態3に係る誘導加熱調理装置1の制御方法を示すフローチャートである。図13のフローチャートのST31において、鍋に収容された調理具材が十分に加熱されて、沸騰状態(熱平衡状態)にあるとき、ユーザは煮込みモードスイッチ9を押下して、加熱調理モードから通電切換式煮込み調理モードに切り換える。
実施の形態1と同様、制御回路部60は、加熱調理モードでは第1の電力(W、たとえば1250W)となるように、通電切換式煮込み調理モードでは第2の電力(W、たとえば240W)となるように、各インバータ110,120を制御する。
通電切換式煮込み調理モードにおいて、温度センサ40は鍋底温度(T)を連続的に検出し、温度センサ40が検出する鍋底温度(T)は、図11(a)または図12(a)と同様に推移する。一方、実施の形態3に係る制御回路部60は、温度センサ40が中央コイル20の内側に配置されたとき、中央コイル20に対して高周波電流が供給されていない期間、望ましくは高周波電流が供給される直前の時点において検出された鍋底温度(T:nは自然数)のみを記憶する(ST32)。また温度センサ40が周辺コイル30の内側に配置されたときは、その周辺コイル30に対する電力供給が開始される直前のタイミングでのみ、鍋底温度(T)を基準温度(T)として記憶する。
択一的には、制御回路部60は、連続的に検出される鍋底温度(T)の時間変化率を計算し、鍋底温度(T)の低下から増大に転じる時点、すなわちその時間変化率がゼロ以上になったときの鍋底温度(T)のみを基準温度(T)として記憶するように構成してもよい。
一般に、サーミスタを支持するステム部品やリード線などの温度センサ40を構成する構成部品は金属で形成されており、温度センサ40に隣接する中央コイル20(または周辺コイル30)から生じる高周波磁界により、温度センサ40の構成部品自体が誘導加熱される場合がある。しかしながら、実施の形態3によれば、中央コイル20(または周辺コイル30)に電力供給していないときに検出された鍋底温度(T)を用いて基準温度(T)を決定するので、構成部品自体の誘導加熱に起因する検出ノイズまたは誤検出の可能性を低減または実質的に排除することができる。
次に、実施の形態3に係る制御回路部60は、ST33において、新たに記憶した鍋底温度(Tn+1)と、前回に記憶した鍋底温度(T)とを比較し、前者が後者より大きい(Tn+1>T)と判断したとき、ST34において、前回に記憶した鍋底温度(T)を基準温度(T)と決定する。
また制御回路部60は、ST35で継続的に検出された鍋底温度(T)が基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)以上であるか否か(T≧T+ΔT)を判断し(ST36)、そのように判断された場合には、ST37において、中央コイル20および各周辺コイル30が全体で第2の電力(W)より小さい第3の電力(W)を消費するように、あるいは高周波電流の供給を停止するように各インバータ110,120を制御する。こうして鍋底が過剰に加熱されることを回避し、食材の焦げ付きの発生を未然に防止することができる。
このように実施の形態3に係る制御方法によれば、温度センサ40が内側に配置される中央コイル20(または周辺コイル30)に電力供給される直前の時点ごと、または鍋底温度(T)の低下から増大に転じる時点ごとの鍋底温度(T)を記憶するだけでよいので、必要とされるメモリの記憶容量を低減することができ、基準温度設定期間(τ)を設けることなく、より早期に基準温度(T)を決定して、供給電力の制御(ST34〜ST37)を迅速に行うことができる。
なお、上記実施の形態においては、IH加熱部10は、中央コイル20(内側コイル20aおよび外側コイル20b)と、4つの周辺コイル30a〜30dとを有するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、図14に示すように、中央コイル20と、その周辺に隣接して配置された8つの周辺コイル30a〜30hとを有していてもよい。このときIH加熱部10は、2つの温度センサ40a,40bが、たとえば内側コイル20aと外側コイル20bの間であって、内側コイル20aの中心と、周辺コイル30a,30hおよび周辺コイル30d,30eの中心とを結ぶ線分上から、時計方向に若干ずれた○印で示す対角線上の位置に配置され、中間的(平均的)な鍋底温度を検出するように構成されている。
またIH加熱部10は、図15に示すように、中央コイル20(内側コイル20aおよび外側コイル20b)と、半径方向に離間して同心円状に配置された周辺コイル20cとを有していてもよい。換言すると、図15に示すIH加熱部10は、直列に接続された小コイル20aおよび中コイル20b、ならびにその外側に大コイル20cを有する。さらにIH加熱部10は、小コイル20aと中コイル20bとの間の位置(○印)、および大コイル20cの外側であって、これに隣接する位置(△印)で示す位置において、それぞれ温度センサ40a,40bを有し、隣接する加熱コイルに通電されていない期間に鍋底温度を検出するように構成されている。
図14および図15に示すIH加熱部10を有する誘導加熱調理器1において、上記実施の形態1〜3で説明したものと同様の制御方法を採用して、食材の焦げ付きの発生を未然に防止できることは云うまでもない。
1…誘導加熱調理装置、2…本体筐体、3…トッププレート、4…操作スイッチ、5…操作パネル、6…火力調整ダイヤル、7…液晶表示部、8…排気窓・吸気窓、9…モード選択スイッチ、10…IH加熱部、12…ラジエント加熱部、14…オーブン加熱部、20…中央コイル、20a…内側コイル、20b…外側コイル、30a〜30d…周辺コイル、40…温度センサ、60…制御回路部、100…高周波電源(電源回路部)、102…商用電源、104…コンバータ、106…平滑用コンデンサ、110a,110b…中央インバータ、120a〜120d…周辺インバータ。

Claims (10)

  1. 平面状に捲回された中央コイルと、
    前記中央コイルの周辺に隣接して配置された複数の周辺コイルと、
    前記中央コイルおよび前記周辺コイルに独立して高周波電流を供給する電源回路部と、
    前記中央コイルおよび前記周辺コイルの上方に載置される被加熱体の温度(T)を検出する少なくとも1つの温度センサと、
    前記中央コイルおよび前記各周辺コイルが、加熱調理モードにおいて第1の電力(W)を消費し、煮込み調理モードにおいて第1の電力(W)より小さい第2の電力(W)を継続的に消費するように前記電源回路部を制御する制御回路部とを備え、
    前記制御回路部は、前記加熱調理モードから前記煮込み調理モードに移行した後、被加熱体の温度(T)が低下した後に上昇したときの極小温度を基準温度(T)と決定するとともに、被加熱体の温度(T)が前記基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)を越えないように前記電源回路部を制御することを特徴とする誘導加熱調理器。
  2. 温度センサは、中央コイルまたは周辺コイルの内側に配置され、
    制御回路部は、煮込み調理モードにおいて、前記中央コイルまたは少なくとも1つの前記周辺コイルに高周波電流が択一的に順次供給されるように電源回路部を制御するとともに、被加熱体の温度(T)が低下した後に上昇したときの複数の極小温度のうちの最小となるものを基準温度(T)と決定することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 制御回路部は、温度センサが配置された中央コイルまたは周辺コイルに対する高周波電流の供給が開始される時点ごとに、被加熱体の温度(T)を記憶するとともに、記憶された前記温度(T)のうちの最小となるものを基準温度(T)と決定することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱調理器。
  4. 制御回路部は、被加熱体の温度(T)の時間変化率がゼロとなる時点ごとに、被加熱体の温度(T)を記憶するとともに、記憶された前記温度(T)のうちの最小となるものを基準温度(T)と決定することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱調理器。
  5. 制御回路部は、加熱調理モードから煮込み調理モードに移行した後の一定の期間(τ)において検出された被加熱体の温度(T)の極小温度を基準温度(T)として記憶することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  6. 制御回路部は、被加熱体の温度(T)が基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)以上になったとき、中央コイルおよび各周辺コイルが第2の電力(W)より小さい第3の電力(W)を消費するように、あるいは前記中央コイルおよび前記周辺コイルに対する高周波電流の供給を停止するように電源回路部を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  7. 煮込み調理モードにおいて消費される第2の電力(W)は、被加熱体に収容される調理具材を沸騰状態に維持するように設定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  8. 加熱調理モードおよび煮込み調理モードのいずれか一方を選択できるモード選択スイッチをさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  9. 中央コイルと、その周辺に隣接して配置された複数の周辺コイルと、これらのいずれかのコイルの内側に配置された少なくとも1つの温度センサとを有する誘導加熱調理器の制御方法であって、
    前記温度センサを用いて、前記中央コイルおよび前記周辺コイルの上方に載置される被加熱体の温度(T)を検出するステップと、
    前記中央コイルおよび前記各周辺コイルが、加熱調理モードにおいて第1の電力(W)を消費し、煮込み調理モードにおいて第1の電力(W)より小さい第2の電力(W)を消費するように、前記中央コイルおよび前記周辺コイルに高周波電流を供給するステップと、
    前記加熱調理モードから前記煮込み調理モードに移行した後、被加熱体の温度(T)が低下した後に上昇したときの極小温度を基準温度(T)として記憶するステップと、
    被加熱体の温度(T)が前記基準温度(T)に所定の閾値温度(ΔT)を加えた温度(T+ΔT)を越えないように前記中央コイルおよび前記周辺コイルに対する高周波電流を制御するステップとを有することを特徴とする制御方法。
  10. 高周波電流を供給するステップは、煮込み調理モードにおいて、中央コイルまたは少なくとも1つの周辺コイルに高周波電流を択一的に順次供給するステップを有し、
    基準温度(T)を記憶するステップは、温度センサが配置された中央コイルまたは周辺コイルに対する高周波電流の供給が開始される時点ごとに、あるいは被加熱体の温度(T)の時間変化率がゼロとなる時点ごとに被加熱体の温度(T)を記憶するステップと、
    記憶された前記温度(T)のうちの最小となるものを基準温度(T)と決定するステップとを有することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
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