JPH0615098Y2 - 下地具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、横梁等の構造材に、簡易且つ迅速で、強固に
取りつけることができる下地具に関する。

〔従来の技術及びその課題〕

従来より、折板状の建築用板を取りつける受金具は、種
々の形状，構造のものが存在しているが、その受金具を
横梁等の構造材に取りつけるには、現在、殆ど溶接にて
固着している。その溶接作業は、その作業工程が多かっ
た。即ち、その現場に溶接機をセットし、実際の溶接作
業をし、その後その溶接箇所のスラグ落しをし、そこに
防錆塗料を塗る等の作業手順が必要とされている。その
溶接作業は摂氏０度以下の場合や風がある場合等には十
分な溶接強度にならないことから作業できないし、雨の
日には感電等の危険が伴うことから作業できない等の不
都合があった。さらには、溶接作業員の熟練度の差によ
って一定の強度を確保することができない欠点もあっ
た。また、単に、ボルト・ナット等の固着作業では、何
れの作業員にても、一定の取付強度となる固着ができる
が、長期の使用では、振動等で緩み外れる大きな欠陥も
あった。

これらの諸事情から、簡易且つ迅速に取付ができ、しか
も強固で外れない受金具及び受金具用下地具の必要性が
望まれている。

〔課題を解決するための手段〕

そこで本考案は、上記課題を解決すべく、鋭意，研究を
重ねた結果、その考案を、長手方向に長尺な門形状部の
両側下端より外方に取付主板を形成した下地材と、コ字
状に形成された係止金具とからなり、該係止金具の一端
を両側の取付主板に、該取付主板と同一平面上を回動自
在に枢着した下地具としたことにより、横梁等の構造材
に簡易かつ迅速で強固に取りつけることができ、前記課
題を解決したものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第１９図に基づいて
説明する。

まず、請求項１の考案を述べると、該考案は、下地材Ａ
と係止金具Ｂより構成されている。その下地材Ａは、門
形状部１の両側脚の下端より取付主板２，２が形成さ
れ、断面略ハット形状をなし、金属製で、長手方向に長
尺に構成されている。

その両取付主板２，２の端側に係止金具Ｂ，Ｂが回動自
在に設けられている。該係止金具Ｂは、上部３とＬ形係
止部４とから形成されており、略平坦状の上部３の幅方
向の一端よりＬ形係止部４の側片４ａが形成され、下部
片４ｂが上部３の下方に位置するように側片４ａの下端
に形成され（第２図等参照）、上部３とＬ形係止部とで
略コ字状をなしている。またＬ形係止部４は、側片４
ａ，下部片４ｂが各々円弧状に屈曲した実施例も存在す
る。このような係止金具Ｂは帯板金属片を断面略コ字状
となるように屈曲されて形成されることが多い。

その上部３が取付主板２の両側の端寄りで、且つ側縁の
一端にピン５ａにて枢着５され、その係止金具Ｂがピン
５ａを中心として、取付主板２と同一平面上を回動自在
となっている（第４図等参照）。ここで、第６図に示す
ように、上部３の長手方向（第１図左右方向）の一端よ
り一段と低くなる段部を介して上部端片３ａが形成さ
れ、該上部端片３ａが取付主板２に枢着５される実施例
も存在する。このような上部端片３ａを形成したときに
は、第６図に示すように、上部３のＬ形係止部４の側片
４ａの反対側の縁が下方に円弧状に屈曲されて上部屈曲
端縁３ｂが形成されることもある。

また、Ｌ形係止部４の下部片４ｂのコ字状の開放側位置
の縁も、上方に円弧状に屈曲された下部片屈曲端縁４ｃ
が形成されることもある（第７図，第８図参照）。

このような、係止金具ＢのＬ形係止部４は、図に示すよ
うに、上部３の枢着箇所では設けられていないことが好
ましい。これは係止金具Ｂを取付主板２より外方に開い
たときに、その取付主板２が後述する構造材９の取付面
９ａと同等の場合に、Ｌ形係止部４が、取付主板２の下
方にて重ならず、係止金具Ｂを取付面９ａへの取り外し
等の取扱性，操作性を好適にしたものである（第４図，
第５図等参照）。

しかるに、図示しないが、その取付主板２が取付面９ａ
の幅より外側に突出するものであれば、上部３とＬ形係
止部４とが全長に亘ってコ字状に形成され、且つその枢
着５のピン５ａを上下に貫通させることもある。

次に、請求項２の考案を述べると、該考案は、請求項１
の構成にさらに、取付主板２に挟持固定片２ａを形成し
たものである。即ち、係止金具Ｂを閉じて、取付主板２
の下方にＬ形係止部４が収まったときに、上部３の先端
側が取付主板２と挟持固定片２ａとの間に挟持され、振
動や、梁等の歪み等に対して緩み防止を施したものであ
る。

このような挟持固定片２ａは、具体的には、取付主板２
の両側方向の外端箇所にコ字状の切欠きを形成し、該切
欠き箇所を取付主板２の上方に逆Ｌ字状となるように形
成されたものである。

また、挟持固定片２ａが取付主板２と別部材よりなるも
のとして、第１０図に示すように、取付主板２に溶接等
で固着されてなる実施例も存在する。その挟持固定片２
ａは、上部３を充分に押圧できる程度に形成されてい
る。さらに係止金具Ｂの上部３には、その挟持固定片２
ａにて押圧挟持される箇所に凹部面３ｃが形成され（第
９図鎖線部，第１０図参照）、該凹部面３ｃは、少し傾
斜状に形成されて楔状となり、その係止金具Ｂを取付主
板２に閉じるときに、上部３が凹部面３ｃによって挟持
固定片２ａに入り易く、且つ押し込むに従い、強く挟持
固定片２ａによって押圧挟持されている。

次に、請求項３の考案を述べると、該考案は、両取付主
板２，２の他方の端には、前述した係止金具Ｂが枢着さ
れ、一方の端には、挟持屈曲部６が形成されるものであ
る。具体的には、取付主板２の両側方向の一端縁より下
方且つ、取付主板２の中心に向かって屈曲片６ａが形成
され、該屈曲片６ａの端より上側内向きに円弧状に屈曲
された押圧端縁６ｂが連続形成されている。その屈曲片
６ａは、断面円弧状に形成されたり（第１２図参照）、
断面Ｌ形状に形成されたり（第１５図参照）、或いは断
面円形状の折り返し部のように形成される実施例（第１
６図参照）が存在する。

そして挟持屈曲部６は、後述する構造材９の取付面９ａ
の端縁に挟持且つ嵌合可能に設けられている（第１３図
参照）。

図中Ｃは、後述の外囲体Ｄを支持する受金具であって、
山形部７と底部８とから形成されている。実施例では、
第１図，第４図に示すように、山形部７と底部８とが交
互に連続され、その最外側の山形部７，７の外側に底部
８，８が設けられていたり、或いは図示しないが、山形
部７が１山でこの両側に底部８，８が形成されているこ
ともある。その山形部７は、頂片７ａ及び脚片７ｂ，７
ｂよりなり該頂片７ａには剣先ボルト等の固着具７ｃが
設けられている。また、頂片７ａの幅方向（第１９図左
右方向）の略中央に段部７ｄが形成されることもある。
その脚片７ｂ，７ｂは、頂片７ａの幅方向両端より外方
に傾斜状に形成されたり、或は垂下状に形成されてい
る。

このような受金具Ｃは、本考案の下地具の門形状部１の
頂面上に、工場にて溶接又はボルト・ナット等で固着さ
れている。

９は構造材で、上面に平坦状の取付面９ａを有し、具体
的にはＨ形鋼，Ｉ形鋼等の形鋼が使用されている。

Ｄは屋根，壁等の外囲体であって、山部１０と谷部１１
とからなり、その具体的な実施例としては、第１図に示
すように隣接する建築用板Ｄ_１，Ｄ_１の山部１０，１０
にキャップ材Ｄ_２を被嵌して外囲体Ｄが施工される。

また、建築用板Ｄ_１，Ｄ_１の山部１０，１０に下馳部１
０ａ，上馳部１０ｂが各々形成され、隣接する建築用板
Ｄ_１，Ｄ_１の下馳部１０ａに上馳部１０ｂが馳締されて
外囲体Ｄが施工される実施例もある（第１９図参照）。
さらに隣接する建築用板Ｄ_１，Ｄ_１の山部１０，１０を
重合させて、外囲体が施工される実施例も存在する（第
１８図参照）。１２は吊子である。

〔作用〕

まず、請求項１，２の考案では、構造材９の取付面９ａ
上に、下地具の長手方向が揃うようにして、下地具を載
置する。このとき、その下地材Ａの門形状部１上には、
屋根等を受ける受金具Ｃを予め固着しておく。さらに、
下地材Ａに対して係止金具Ｂ，Ｂを開放しておく。

次いで、係止金具Ｂ，Ｂを取付主板２に収まるように閉
じ、係止金具Ｂの上部３とＬ形係止部４とで、取付主板
２と構造材９の取付面９ａとを挟持する。

また、請求項３の考案である、取付主板２に挟持屈曲部
６を形成したものでは、まず、挟持屈曲部６を構造材９
の取付面９ａの端縁に挟持固定し、取付主板２を取付面
９ａ上に載置し、次いで、係止金具Ｂを取付主板２に収
まるように閉じ、係止金具Ｂの上部３とＬ形係止部４と
で取付主板２と構造材９の取付面９ａとを挟持する。

〔考案の効果〕

請求項１の考案においては、長手方向に長尺な門形状部
１の両側下端より外方に取付主板２，２を形成した下地
材Ａと、コ字状に形成された係止金具Ｂとからなり、該
係止金具Ｂの一端を両側の取付主板２，２に、該取付主
板２と同一平面上を回動自在に枢着５した下地具とした
ことにより、第１に簡易且つ迅速に横梁等の構造材９に
取りつけることができ、第２に熟練度に関係なくいずれ
の作業員にても常に一定の強度で下地材Ａを構造材９に
固着することができ、第３に屋根勾配等に良好に対応す
ることができ、第４に下地具の構成部品は各々枢着さ
れ、部品の紛失がなく、安全な作業ができる等の効果を
奏する。

これら効果を詳述すると、まず、受金具Ｃ付き下地材Ａ
の取付主板２を、構造材９の取付面９ａ上に載置し、取
付主板２と取付面９ａとを、取付主板２より予め開放し
ておいた係止金具Ｂを取付主板２に収まるように閉じる
のみで、下地具を構造材９に固着できる。従って、従来
のような溶接作業ではその作業工程が多く、具体的には
その現場に溶接機をセットし、実際の溶接作業をし、そ
の後その溶接箇所のスラグ落しをし、そこに防錆塗料を
塗る等の作業手順が必要とされていたり、その溶接作業
は摂氏０度以下の場合や風がある場合等には十分な溶接
強度にならないことから作業できないし、雨の日には感
電等の危険が伴うことから作業できない不都合があった
が、本考案ではそのような気象条件に関係なく、施工で
き、前述した欠点を解決できるものである。

さらに、ボルト・ナット等の固着具にて固着する手段と
は異なり、係止金具Ｂを取付主板２に収まるように閉じ
るのみで下地具の固着が完了し、その作業は瞬時にで
き、迅速かつ簡易な作業となる。

次に、下地具を構造材９に固着するものは、係止金具
Ｂ，Ｂによって行われるものであり、溶接による固着手
段のように各々の作業員の技量による仕上がりの差が現
れるものでなく、構造材９の取付面９ａ上に載置した下
地具の取付主板２に係止金具Ｂを閉じるのみであり、何
れの作業員が作業しても、常に一定した取付強度を確保
することができる。

次に本考案の下地具は、下地材Ａと係止金具Ｂとよりな
るが、係止金具Ｂが下地材Ａの取付主板２に枢着５され
たものとなり、下地材Ａと係止金具Ｂとが、常に一体と
なっている。従って、下地材Ａより係止金具Ｂが分離す
ることはなく、作業中にて下地材Ａより係止金具Ｂが紛
失する不都合が生じないし、さらにはボルト・ナット等
の固着具も不要のため、作業員は部品を紛失しないよう
に注意を払う必要がなく、下地具の取付作業に集中で
き、ひいては安全な作業を実現できるものである。

また、本考案の下地材Ａは、門形状部１も形成されてお
り、これによって、梁等の構造材９を補強することがで
きるのみならず、その門形状部１の高さを各々替えるこ
とで、構造物に対する受金具Ｃの高さ位置が適宜とな
り、適宜な屋根勾配にできる利点がある。

次に請求項２の考案においては、請求項１の構成におけ
る取付主板２上に挟持固定片２ａを形成し、係止金具Ｂ
の閉時には、上部３が挟持固定片２ａと取付主板２との
間に挟持固定されることにより、係止金具Ｂを下地具の
取付主板２に収まるように閉じたときに、挟持固定片２
ａと取付主板２とによって、係止金具Ｂの上部３が取付
主板２上に挟持固定され、一旦閉じた係止金具Ｂが、地
震等の振動等又は構造材９等の歪み等により取付主板２
より外方に開くこと、即ち、緩み防止ができるし、また
安全管理を好適にできる。

他の構成は請求項１の考案と同様であり、これと同等の
効果を発揮しうる。

次に請求項３の考案においては、長手方向に長尺な門形
状部１の両側下端より外方に突出形成した両取付主板
２，２の一方の端に挟持屈曲部６を形成した下地材Ａ
と、コ字状に形成された係止金具Ｂとからなり、該係止
金具Ｂの一端を、他方の取付主板２に、該取付主板２と
同一平面上を回動自在に枢着５した下地具としたことに
より、第１に下地具の取付を瞬時にでき、第２に極めて
簡単な構造の下地具とすることができる。即ち、取付主
板２の一側に挟持屈曲部６を形成してあるので、該挟持
屈曲部６を構造材９の取付面９ａの一端に挟持固定しつ
つ取付主板２を取付面９ａ上に載置すると、あとは係止
金具Ｂを取付主板２に収まるように閉じるだけで固着で
き、これは、下地具を載置した構造材９の取付面９ａの
一方の端縁より係止金具Ｂを閉じるだけで完了し、作業
員の負担を格段に減少できるものである。

次に挟持屈曲部６は、取付主板２の両側方向の一端を下
方且つ取付主板２の中心に向かって屈曲するだけで、容
易に製作でき、低価格にて提供できる利点もある。

他の構成は請求項１の考案と略同様であり、これと同等
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであって、その第１図
は本考案にて施工した外囲体の縦断正面図、第２図は第
１図の縦断側面図、第３図は構造材に受金具付き下地具
を取りつけた平面図、第４図は構造材に受金具付き下地
具を取りつけた斜視図、第５図は下地具の斜視図、第６
図は取付主板及び係止金具の実施例の一部切除した斜視
図、第７図，第８図は取付主板及び係止金具の実施例の
断面図、第９図は取付主板及び係止金具の実施例の斜視
図、第１０図は取付主板及び係止金具の実施例の断面
図、第１１図は本考案の施工途中の断面図、第１２図は
本考案の別の実施例の下地具にて施工した外囲体の縦断
側面図、第１３図は第１２図の下地具に受金具を固着
し，これをを構造材に取りつけた斜視図、第１４図は第
１２図の下地具の斜視図、第１５図，第１６図は挟持屈
曲部の実施例を示す本考案の断面図、第１７図は本考案
の別の実施例の施工途中の断面図、第１８図，第１９図
は外囲体の実施例の縦断正面図である。 Ａ……下地材、１……門形状部、 ２……取付主板、２ａ……挟持固定片、 Ｂ……係止金具、３……上部、 ４……Ｌ形係止部、６……挟持屈曲部。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】長手方向に長尺な門形状部の両側下端より
   外方に取付主板を形成した下地材と、コ字状に形成され
   た係止金具とからなり、該係止金具の一端を両側の取付
   主板に、該取付主板と同一平面上を回動自在に枢着した
   ことを特徴とした下地具。
2. 【請求項２】長手方向に長尺な門形状部の両側下端より
   外方に取付主板を形成し、該取付主板上に挟持固定片を
   形成した下地材と、上部とＬ形係止部とがコ字状に形成
   された係止金具とからなり、該係止金具の一端を両側の
   取付主板に、該取付主板と同一平面上を回動自在に枢着
   し、係止金具の閉時には、上部が挟持固定片と取付主板
   との間に挟持固定されることを特徴とした下地具。
3. 【請求項３】長手方向に長尺な門形状部の両側下端より
   外方に突出形成した両取付主板の一方の端に挟持屈曲部
   を形成した下地材と、コ字状に形成された係止金具とか
   らなり、該係止金具の一端を、他方の取付主板に、該取
   付主板と同一平面上を回動自在に枢着したことを特徴と
   した下地具。