JPH06146365A - 便器洗浄タンク装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】少ない洗浄水量でサイホン作用が発生させる便
器洗浄タンク装置を提供する。 【構成】レバーハンドルの正回転によってレバー部材75
を押し下げて切り替え弁６をリム通水路側へ切り替え且
つボールタップ式の給水弁５を開弁する初期状態自動復
帰型の回動式押し部９を設ける。貯水タンク２にはリム
通水路への排水時期から遅れて開弁してジェット導水路
に貯水タンク２内から給水する遅れ開弁式のタンク排水
弁手段３を設ける。貯水タンク２が定量排水域に達する
まで回動式押し部９でのレバー部材75の押し下げを継続
して上記給水弁５からリム通水路への給水し続ける連係
部10を、回動押し部９とレバー部材75との間で構成す
る。連係部10が解除すると前記回動式押し部９が初期状
態に復帰し且つ前記切り替え弁６によって給水用の流路
をタンク内給水に切り替える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、サイホン作用により洗
浄する所謂サイホンジェット式の水洗式便器に洗浄水を
排水（供給）する便器洗浄タンク装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】この種の便器洗浄タンク装置は、手でレ
バーハンドルを回転操作させて排水弁座から排水弁体を
離間させると、排水弁が開弁して水洗式便器（後述では
便器と称する）への洗浄水の排水が行われ、またその排
水と即応して浮子が貯水タンク（後述ではタンクと称す
る）からの排水に伴って下降してボールタップからタン
ク内へ給水が開始される仕組みになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようにタンクから
の洗浄水の排水とほぼ同期してボールタップからタンク
内への給水を開始する構造では、タンクへの給水によっ
て排水弁体の着座時間が遅れ、必要以上の水を洗浄水と
して便器へ排水する。しかも、リム通水路から放水され
るボール洗浄水の流下当初から射出孔からジェット流を
無駄に噴射する為、サイホン作用を発生させるに際し
て、無駄に洗浄水を消費する。

【０００４】本発明は、従来事情に鑑みてなされたもの
で、その技術的課題は、便器において隔絶されたリム通
水路とジェット導水路への洗浄水の供給経路を別経路に
し且つジェット導水路側への洗浄水の排水開始時期をリ
ム通水路への洗浄水の排水開始時期から遅らせることに
よって、少ない洗浄水量でサイホン作用を発生させる便
器洗浄タンク装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を達成す
るために講じた技術的手段は、入口を異にしたリム通水
路とジェット導水路とを分断して有する水洗式便器と、
一端側を定流量弁を介して水道に連絡し且つ他端側を上
記リム通水路及び貯水タンクに連絡した給水用流路と、
該給水用流路中途部に設けてなり、レバーハンドルの正
逆回転で同給水用流路をリム通水路側、貯水タンク側に
切り替えるレバーハンドル連動式の切り替え弁と、該切
り替え弁上流側の前記給水用流路部分に設けられ同流路
に給水するボールタップ式の給水弁と、上記レバーハン
ドルの正逆回転に連動し、同レバーハンドルの正回転で
浮子に連結するレバー部材を押し下げて上記ボールタッ
プ式の給水弁を開弁し且つレバーハンドルの操作解放で
同レバーハンドルを逆回転させて初期状態に自動復帰す
る回動式押し部と、前記ジェット導水部に連絡され、前
記リム通水路への洗浄水の排水時期から遅れて開弁して
貯水タンク内から上記ジェット導水路へ排水し且つ貯水
タンクの定量排水によって閉弁される遅れ開弁式のタン
ク排水弁手段とを備えてなり、浮子が貯水タンクの定量
排水域に達するまで前記回動式押し部の先部での前記レ
バー部材の押し下げを継続する連係部を、同回動式押し
部とレバー部材との両者間で構成したことを要旨とす
る。

【０００６】

【作用】上記技術的手段によれば、レバーハンドルの正
回転操作で給水用流路がリム通水路へと切り替えられる
と同時に回動式押し部で浮子に連結するレバー部材が強
制的に押し下げられてボールタップ式の給水弁を開弁
し、定流量弁で定量化された水道水を給水用流路に供給
しリム通水部へ洗浄水として排水する。そして、リム通
水部への洗浄水の排水開始から遅れてタンク排水弁手段
が開弁する。即ち、ジェット導水部への洗浄水の排水
が、リム通水部への洗浄水の排水に対して遅れて開始さ
れる。また、タンク内から定量排水域まで排水が行われ
るまで、リム通水部への給水とジェット導水部への給水
が継続され、連係部との連係の自然解除によって回動式
押し部が自動的に初期状態に復帰して給水用流路がタン
ク側に切り替えられると、閉弁されたタンク内に給水を
開始し、その給水を浮子が定量貯水域を浮遊するまで継
続する。従って、リム通水路から放水されるボール洗浄
水がトラップ部の封水に到達するまでの間、ジェット流
を無駄に射出せず、ボールを流下する洗浄水で汚物が回
転作用を受けてサイホン作用が起き易くなってからジェ
ット流を射出することが可能になる。

【０００７】

【発明の効果】本発明は以上にように構成したので、便
器のジェット導水路への洗浄水の供給と便器のリム通水
路への洗浄水の供給とを別経路にし、且つジェット導水
路への洗浄水の排水開始時期をリム通水路への洗浄水の
排水開始時期から遅らせるようにして、リム通水路への
洗浄水で汚物を回転させてからサイホン作用が発生する
ようにジェット流を射出する。従って、ボールタップか
らのタンク内給水の一部が便器への余分な洗浄水として
排水されることもなければ、リム通水路から放水される
ボール洗浄水の流下当初からサイホン作用生成用のジェ
ット流を無駄に射出することがなく、１回に使用する洗
浄水を大幅な節水を図ることができる。

【０００８】

【実施例】次に、本発明便器洗浄タンク装置の一実施例
を図面に基づいて説明する。図１乃至図６は本実施例便
器洗浄タンク装置を示す。

【０００９】便器洗浄タンク装置Ａは、リム通水路11と
ジェット導水路21とを分断したサイホンジェット式の水
洗式便器１と、その水洗式便器１のジェット導水路21に
連絡した遅れ開弁式のタンク排水弁手段３を底部に有す
る貯水タンク（後述ではタンクと称する）２と、一端側
を水道に連絡し他端側をリム通水路11、タンク２各々に
連絡した給水用流路４と、その給水用流路４に設けられ
たボールタップ式の給水弁５と、上記給水用流路４をリ
ム通水路11側、タンク２側へ切り替える切り替え弁６と
から構成されている。

【００１０】水洗式便器１は、図５に示すように、周知
のサイホンジェット式便器においてボール部31に向く射
水孔を開孔したリム通水路11とトラップ部41に連通する
汚物排水路の入り口に臨んで開孔された噴射孔21ａを有
するジェット導水路21とを入口を始端として分断し、リ
ム通水路11への供給洗浄水とジェット導水路21への供給
洗浄水とが互いに干渉し合うことがない断面構造に形成
されている。

【００１１】タンク２は、上記水洗式便器１の後部に一
体成形または一体的に固定した所謂ワンピース型のもの
或いは室壁取着型のものである。

【００１２】また、タンク２は、その底部の一隅部分に
上記遅れ開弁式のタンク排水弁手段３を設けてジェット
導水路側21’に排水可能にし、且つ内部には、定量貯水
域上の空間に同タンク２内に給水し且つリム通水路側1
1’に洗浄水を排水する給水用流路４の一部が配路さ
れ、その部分に定流量弁７、給水用流路４を開閉する給
水弁５、給水用流路４をリム通水路11側、タンク２側に
切り替える切り替え弁６が上流側から順次配設してあ
る。

【００１３】切り替え弁６は、レバーハンドル８の回転
操作に連動して切り替え弁体16が一体に回転するように
回転中心を一致させてレバーハンドル８と一体的に連結
してなり、レバーハンドル８を正方向へ回転させると、
切り替え弁体16が給水用流路４途中に形成されたタンク
側給水弁座14に着座して直角な配置関係をもって形成さ
れているリム側給水弁座24を開放して給水用流路４をリ
ム通水路11に連通させ、レバーハンドル８の逆方向（初
期状態方向）に回転させると、切り替え弁体16が回転し
てリム側給水弁座24に着座する一方、タンク側給水弁座
14を逆に開放し、給水用流路を吐水口34からタンク２に
給水できるようにしてある。

【００１４】給水弁５は、本体15内に設けた水平状の主
弁座25ａに対して一次側15ａから接離動する可動膜壁
（ダイアフラム）からなる主弁体25ｂを設けると共に、
該主弁体25ｂで一次側15ａと画成する圧力背室35を形成
し、該圧力背室35を上記主弁体25ｂに開設した連絡小孔
45を介して一次側15ａと連通すると共に、浮子55に連結
されたレバー部材75に上記圧力背室35と二次側15ｂとの
間を開閉させるパイロット弁65を連係させ、パイロット
弁65の開弁による圧力バランスで主弁25を開弁するボー
ルタップ式のものである。

【００１５】パイロット弁65は、弁機能部65ａ-1を上端
部に一体的に有し下端部を前記レバー部材75に取り付け
た棒状のパイロット弁体65ａとパイロット弁孔65ｂとで
構成される。

【００１６】上記棒状のパイロット弁体65ａは、本体１
の二次側15ｂの外壁部15ｂ’から上下動可能に貫挿さ
れ、本体１から突出する外端部に開設した横長孔65a-2
を挿通する軸部85を、前記レバー部材75の前記基端部に
近接する部分に軸支してなり、レバー部材75が押し下げ
られると先端の弁機能部65a-1 が、主弁体25ｂに開孔さ
れているパイロット弁孔65ｂから離間して主弁25を開弁
するようになっている。

【００１７】このレバー部材75には、上面中途部に下側
斜面10ａをその上面に対してほぼ直角状とする略山形形
状の係止部10’を突出状に有し、この係止部10’に係止
する回動式押し部９が、前記レバーハンドル８に連結さ
れて、浮子55がタンク２の定量排水域に達するまで前記
回動式押し部９の先部でのレバー部材75の押し下げを継
続する連係部10を、同回動式押し部９とレバー部材75と
の両者間で構成している。

【００１８】回動式押し部９は、レバーハンドル８の正
方向への回転で一緒に所定角度回転して前記レバー部材
75を押し下げる押し用腕杆19と、レバーハンドル８の正
方向への回転操作を解放するとバランスによって逆回転
させて初期の状態に戻す錘り用腕杆29とをレバーハンド
ル８の回転中心から二股状に突出して形成され、レバー
ハンドル８の正方向への回転によって押し用腕杆19が係
止部10’を乗り越えて下側斜面10ａに係止され且つその
係止状態を、ジェット導水路21側へのタンク排水によっ
て下降する浮子55がタンク２の定量排水程度域まで継続
できるように押し用腕杆19と係止部10’の位置関係を設
定している。

【００１９】遅れ開弁式のタンク排水弁手段３は、タン
ク２の底部に開口された排水口13の開放縁に排水弁座23
を形成し、該排水弁座23に着座する排水弁体33を、上端
にフロート43ａを有する垂直杆43の下端に一体的に設け
ると共に、排水口13上に、上端を定量貯水面よりも上方
で開放し且つ下端を上記垂直杆43のガイド兼排水孔53ａ
とする室53を画成し、該室53内にフロート43ａを収容
し、且つ切り替え弁６よりも下流の給水用流路４部分か
ら上記室53に上部開放部から吐水する吐水口63を分岐さ
せて構成してある。

【００２０】この遅れ開弁性のタンク排水弁手段３にお
ける室53の高さ、垂直杆43の長さ、フロート43ａの容
量、排水孔53ａ等は、タンク２の定量貯水時にフロート
43ａを浮遊させずに排水弁体33が排水弁座23に着座した
状態を維持し、リム通水路11への給水の一部が分岐され
たその吐水口63を介して上記室53内に給水されて室53内
貯水が他の部分よりも所望高さ高くなった所定時間経過
時に初めてフロート43ａが浮遊し排水口13を開口できる
ように各条件を設定している。

【００２１】また、この遅れ開弁性のタンク排水弁手段
３は、タンク２が定量排水され、ガイド兼用排水孔53ａ
から室53内の水が抜けきった後、タンク２内給水が行わ
れた時には、水はガイド兼用排水孔53ａから室53内に流
入する。

【００２２】次に本実施例便器洗浄タンク装置の作用を
図１乃至図４を用いて説明する。図１は、便器洗浄前状
態を示している。この状態からレバーハンドル８を正方
向に回転操作すると、同レバーハンドル８に直結されて
いる押し用腕杆19先端が一緒に正方向に回転して給水弁
５のレバー部材75を押し下げながら、同レバー部材75中
途部に突出形成されている係止部10’を乗り越え且つそ
の下側斜面10ａに係止する。また同時に切り替え弁体16
も正方向に回転しタンク側給水弁座24に着座して給水用
流路４をリム通水路11側へ切り替える。即ち、レバーハ
ンドル８を正方向に回転すると、給水弁５が開弁して、
定流量弁７で定量化された水道水が洗浄水としてリム通
水路11へ供給されるのである。

【００２３】図２は、そのレバーハンドル８を正方向に
回転させた状態を示している。リム通水路11へ供給され
る洗浄水の一部は、吐水口63からフロート43ａを収容す
る室53に供給され始める。押し用腕杆19先端は、係止部
10’の下側斜面10ａへの係止を継続して浮子55の水面へ
の浮上を防止した状態にあるが、洗浄水は未だジェット
導水路21に供給されない。

【００２４】図３は、フロート43ａを浮遊させるに必要
な水量が室53内に吐水されて、リム通水路11への洗浄水
の供給に対してタイムラグをもって排水口13を開孔した
状態を示している。リム通水路11への給水開始とジェッ
ト導水路21への給水開始のタイムラグは、吐水口63から
の単位時間当たりの吐水量、室63の容量、フロート43ａ
の浮力等で決定できる。

【００２５】図４は、タンク２の定量排水程度域で係止
を解かれた押し用腕杆19が錘り用腕杆29の重さで逆回転
してレバーハンドル８及び切り替え弁体16を初期状態に
復帰させてリム側給水弁座24に着座した、所謂タンク内
給水を開始する状態を示している。室53内貯水の排水速
度がタンク２内の他の速度に比べて若干遅い為、そのタ
イムラグ分のタンク２内給水が、トラップ部41への封水
として使用される。

【００２６】従って、本実施例の便器洗浄タンク装置Ａ
では、リム通水路11への排水時間（Ｔ1 ）経過中途か
ら、ジェット導水路21への排水時間（Ｔ2 ）が開始さ
れ、その（Ｔ2 ）の時間経過前にタンク内給水（Ｔ3 ）
が開始され、（Ｔ2 ）と（Ｔ3 ）とのオーバーラップ部
分がトラップ部41の封水となる。

【００２７】尚、前記遅れ開弁性のタンク排水弁手段３
は、切り替え弁６下流の流路内に設けた流量センサー
（図示せず）がリム通水路への所定給水量を検出した所
定時間後にタンク底の電磁弁（図示せず）を開弁してタ
ンク内からジェット導水路側へ定量排水するような電気
的な手段で構成しても構わない。この場合には、タンク
容量を定量排水させる時間分（トラップ部への封水を多
く確保する場合には定量排水させてから所定時間後ま
で）、電磁弁の開弁を継続させる制御回路と前記流量セ
ンサーでの検出に基づいて流量を演算する演算回路と演
算結果が所定設定流量に達した時に上記制御回路へ出力
する出力回路とを内蔵した制御部を上記流量センサー
（図示せず）と電磁弁（図示せず）に連係させる。

【図面の簡単な説明】

【図１】正面断面図で、非洗浄時を示す。

【図２】同正面断面図で、レバーハンドルを正回転させ
てリム洗浄を開始した状態を示す。

【図３】同正面断面図で、リム洗浄から遅れてジェット
洗浄を行っている状態を示す。

【図４】同正面断面図で、タンク内給水を開始する状態
を示す。

【図５】水洗式便器の側面図で一部切欠して示す。

【図６】リム通水路への排水時間（Ｔ1 ）とジェット導
水路への排水時間（Ｔ2 ）とタンク内への給水時間（Ｔ
3 ）の関係を示すタイムチャート図。

【符号の説明】

Ａ：便器洗浄タンク装置 １：水洗式便器 11：リム通水路 21：ジェット導
水路 ４：給水用流路 ３：遅れ開弁式
のタンク排水弁手段 ５：ボールタップ式の給水弁 ６：切り替え弁 ７：定流量弁 ８：レバーハン
ドル ９：回動式押し部 55：浮子 75：レバー部材 ２：貯水タンク 10：連係部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内村 好信 福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１ 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 堀内 啓史 福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１ 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 廣川 英夫 福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１ 号 東陶機器株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入口を異にしたリム通水路とジェット導
   水路とを分断して有する水洗式便器と、一端側を定流量
   弁を介して水道に連絡し且つ他端側を上記リム通水路及
   び貯水タンクに連絡した給水用流路と、該給水用流路中
   途部に設けてなり、レバーハンドルの正逆回転で同給水
   用流路をリム通水路側、貯水タンク側に切り替えるレバ
   ーハンドル連動式の切り替え弁と、該切り替え弁上流側
   の前記給水用流路部分に設けられ同流路に給水するボー
   ルタップ式の給水弁と、上記レバーハンドルに正逆回転
   に連動し、同レバーハンドルの正回転で浮子に連結する
   レバー部材を押し下げて上記ボールタップ式の給水弁を
   開弁し且つレバーハンドルの操作解放で同レバーハンド
   ルを逆回転させて初期状態に自動復帰する回動式押し部
   と、前記ジェット導水部に連絡され、前記リム通水路へ
   の洗浄水の排水時期から遅れて開弁して貯水タンク内か
   ら上記ジェット導水路へ排水し且つ貯水タンクの定量排
   水によって閉弁される遅れ開弁式のタンク排水弁手段と
   を備えてなり、浮子が貯水タンクの定量排水域に達する
   まで前記回動式押し部の先部での前記レバー部材の押し
   下げを継続する連係部を、同回動式押し部とレバー部材
   との両者間で構成したことを特徴とする便器洗浄タンク
   装置。