JPH06143992A - 車両用ヒートポンプ式冷暖房装置 - Google Patents

車両用ヒートポンプ式冷暖房装置

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JPH06143992A
JPH06143992A JP29970792A JP29970792A JPH06143992A JP H06143992 A JPH06143992 A JP H06143992A JP 29970792 A JP29970792 A JP 29970792A JP 29970792 A JP29970792 A JP 29970792A JP H06143992 A JPH06143992 A JP H06143992A
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heat exchanger
heat
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潤一郎 原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車室外の気候条件に左右されず安定した制御
で冷暖房能力を向上することができ、大幅な設計変更を
必要とせず、電気自動車などにも適し、しかも、冷暖房
能力をさらに向上させることを可能とする。 【構成】 コンプレッサ、車室外熱交換器、放熱用車室
内熱交換器、膨脹手段、吸熱用車室内熱交換器、冷媒流
路切換手段を設ける他、暖房用リターン流路と冷房用リ
ターン流路との少なくとも一方を設け、暖房用リターン
流路の場合は暖房用漏れ許容手段を設け、冷房用リター
ン流路の場合は、冷房用漏れ許容手段を設けたことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンプレッサの駆動
により冷媒を車室外熱交換器および車室内熱交換器に循
環させる蒸気圧縮サイクルを備えた車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置
としては、特開平2−290475号公報や実開平2−
130808号公報などに開示されているように、四方
弁で冷媒の流れを暖房運転時と冷媒運転時とで逆転さ
せ、暖房運転時には、車室外熱交換器を吸熱器として使
用すると共に、車室内熱交換器を放熱器として使用し、
冷房運転時には、車室外熱交換器を放熱器として使用す
ると共に、車室内熱交換器を吸熱器として使用するよう
にしたものが知られている。
【0003】具体的には、上記特開平2−290475
号公報に開示された冷暖房装置を、図25に図示して説
明する。つまり、暖房運転時には、四方弁2が実線示の
ように切り換えられ、冷媒がコンプレッサ1→四方弁2
→第1車室内熱交換器3→加熱用熱交換器4→第2車室
内熱交換器5→膨張弁6→車室外熱交換器7→四方弁2
→レシーバ8→コンプレッサ1と循環し、第1車室内熱
交換器3がコンプレッサ1から吐出された高温なる冷媒
の熱をブロワファン9で導入された空気に放熱して車室
内暖房用の温風を作り、加熱用熱交換器4がエンジン1
0からの廃熱を冷媒に吸熱し、この冷媒の熱を第2車室
内熱交換器5がブロワファン11で導入された空気に放
熱して車室内暖房用の温風を作り、車室外熱交換器7が
ファン12で導入された外気の熱を冷媒に吸熱する。冷
房運転時には、四方弁2が点線示のように切り換えら
れ、冷媒がコンプレッサ1→車室外熱交換器7→膨張弁
6→第2車室内熱交換器5→第1車室内熱交換器3→四
方弁2→レシーバ8→コンプレッサ1と循環し、車室外
熱交換器7がコンプレッサ1から吐出さたれ高温なる冷
媒の熱を外気に放熱し、第1,第2車室内熱交換器3,
5がブロワファン9,11で導入された空気の熱を冷媒
に放熱して車室内冷房用の冷風を作る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来例にあって
は、四方弁2で冷媒の流れを暖房運転時と冷媒運転時と
で逆転させ、暖房運転時には、車室外熱交換器7を吸熱
器として使用すると共に、車室内熱交換器3,5を放熱
器として使用して車室内暖房用の温風を作り、冷房運転
時には、車室外熱交換器7を放熱器として使用すると共
に、車室内熱交換器3,5を吸熱器として使用して車室
内冷房用の冷風を作るようになっているので、外気温が
低い時や走行時あるいは降雨時、さらに降雪時などのよ
うな気候条件において、暖房運転を行なうと、車室外熱
交換器7での吸熱量が減少する。そして、コンプレッサ
1の仕事量が一定であると仮定すると、車室外熱交換器
7からの吸熱量とコンプレッサ1の仕事量との合計熱量
を放熱する車室内熱交換器3,5での放熱量が減少し、
暖房能力が低下する。しかも、上記気候条件では、着霜
現象が生じ易く、デフロスト運転の回数が増加して安定
した暖房運転が得られなくなる恐れがある。
【0005】また、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の
流れ方向が変わるため、車室外熱交換器7側、車室内熱
交換器3,5側のいずれの配管も高温、高圧に耐えられ
るよう管径等を変更する必要があった。
【0006】また、暖房運転時には、エンジン10から
の廃熱を吸熱して車室内暖房用の温風を作るため、ソー
ラカーや電気自動車のように大きな熱源を持たない車両
には不向きであった。
【0007】これに対し本願出願人は、特願平3−34
5950号として新たな車両用ヒートポンプ式冷暖房装
置を提案している。この装置は、吸熱用車室内熱交換器
の他に放熱用車室内熱交換器を設け、三方弁で切り換え
るようにしたものである。かかる装置によれば、車室外
の気候条件に左右されず安定した制御で冷暖房能力を向
上することができ、大幅な設計変更を必要とせず、電気
自動車などにも適し、しかも除湿暖房を行なうことがで
きる。
【0008】具体的には図26のようになっており、暖
房運転時には三方弁32が実線示のように切り換えら
れ、冷媒がコンプレッサ31→三方弁32→放熱用車室
内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→吸熱用車
室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環し、ブロワ
ファンで導入された空気は吸熱用車室内熱交換器35で
の熱交換により冷やされ、冷却除湿された後、放熱用車
室内熱交換器33での熱交換により温められ、車室内暖
房用の温風が作られる。
【0009】また、冷房運転時には、三方弁32が点線
示のように切り換えられ、冷媒がコンプレッサ31→三
方弁32→車室外熱交換器38→逆止弁70→放熱用車
室内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→吸熱用
車室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環し、車室
外熱交換器38がコンプレッサ1から吐出された高温な
冷媒の熱を外気に放熱し、ブロワファンで導入された空
気が吸熱用車室内熱交換器35で熱交換されて冷やさ
れ、車室内冷房用の冷風が作られる。
【0010】このような冷暖房装置の冷凍能力は冷媒循
環量に関係し、冷房能力や除湿暖房能力を向上させるた
めには冷媒循環量を増大することが肝要である。ところ
で、この冷媒循環量はコンプレッサ31の体積効率と吸
入ガスの比体積とに関係しているが、この体積効率を積
極的に増大させる手段は特になく、冷凍能力向上には限
界があった。
【0011】また、コンプレッサ吐出温度が高い場合や
コンプレッサモータ回転数が高くコンプレッサ吐出温度
が高くなり易い条件では、装置の運転を停止しなればな
らず、暖房能力を最大限に発揮することができなくなる
恐れがあった。
【0012】そこで、この発明は、車室外の気候条件に
左右されず、安定した制御で冷暖房性能を向上させるこ
とができ、大幅な設計変更を必要とせず、自動車などに
も適し除湿暖房を可能とし、しかも冷凍能力をさらに向
上させ、また、暖房能力を最大限に発揮することを可能
とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置の提供を目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、冷媒に仕事量を加えるコ
ンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出側に接続さ
れ、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換器と、前記
コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を送風
手段により導入された空気と熱交換して温い空調風を作
る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室内熱交換器
の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この膨張手段の
冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側とに接続さ
れ、送風手段により導入された空気の熱を前記車室外熱
交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少なくとも一
方から前記膨張手段を通して供給された冷媒と熱交換し
て冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器と、前記コ
ンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器および前
記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設けら
れ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転時に
少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転時に
前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱交換
器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、暖房運転時に
前記車室外熱交換器の冷媒流入側と前記コンプレッサの
冷媒吸入側との間を接続する暖房用リターン流路と、冷
房運転時に前記車室外熱交換器の冷媒流出側又は放熱用
車室内熱交換器の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒
吸入側との間を接続する冷房用リターン流路との少なく
とも一方を設け、暖房運転時に前記冷媒流路切換手段か
ら放熱用車室内熱交換器へ向う冷媒の一部が前記車室外
熱交換器及び暖房用リターン流路を介して前記コンプレ
ッサの冷媒吸入側へ供給されるのを許容する暖房用漏れ
許容手段と、冷房運転時に前記車室外熱交換器から前記
放熱用車室内熱交換器及び吸熱用車室内熱交換器へ向う
冷媒の一部が冷房用リターン流路を介して前記コンプレ
ッサの冷媒吸入側へ供給されるのを許容する冷房用漏れ
許容手段との少なくとも一方を設けたことを特徴とす
る。
【0014】請求項2に記載の発明では、請求項1記載
の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であって、前記暖房
用漏れ許容手段又は冷房用漏れ許容手段によって漏れを
許容された冷媒を通過させる圧力抵抗体を介設したこと
を特徴とする。
【0015】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2記載の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であっ
て、前記暖房用漏れ許容手段又は冷房用漏れ許容手段
は、順方向の流れを許容し、逆方向の流れの規定量の冷
媒漏れを許容する逆止弁であることを特徴とする。
【0016】請求項4に記載の発明では、請求項1又は
請求項2記載の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であっ
て、前記暖房用漏れ許容手段又は冷房用漏れ許容手段
は、制御弁であることを特徴とする。
【0017】請求項5に記載の発明では、冷媒に仕事量
を加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出
側に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換
器と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒
の熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い
空調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室
内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この
膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側
とに接続され、送風手段により導入された空気の熱を前
記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少
なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒
と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、前記
冷媒流路切換手段を、四方弁とし、暖房運転時に前記四
方弁を介して前記車室外熱交換器の冷媒流入側と前記コ
ンプレッサの冷媒吸入側とを接続可能とする流路を設
け、前記車室外熱交換器の冷媒流出側と前記四方弁及び
放熱用車室内熱交換器との間に、車室外熱交換器からの
流出方向を順方向とし、逆方向への規定量の冷媒漏れを
許容する流出側逆止弁を設けたことを特徴とする。
【0018】請求項6に記載の発明では、冷媒に仕事量
を加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出
側に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換
器と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒
の熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い
空調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室
内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この
膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側
とに接続され、送風手段により導入された空気の熱を前
記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少
なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒
と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、前記
冷媒流路切換手段を、四方弁とし、暖房運転時に前記四
方弁を介して前記車室外熱交換器の冷媒流入側と前記コ
ンプレッサの冷媒吸入側とを接続可能とする流路を設
け、前記車室外熱交換器の冷媒流出側と前記四方弁及び
放熱用車室内熱交換器との間に、流出側制御弁を設けた
ことを特徴とする。
【0019】請求項7に記載の発明では、冷媒に仕事量
を加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出
側に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換
器と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒
の熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い
空調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室
内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この
膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側
とに接続され、送風手段により導入された空気の熱を前
記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少
なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒
と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、前記
冷媒流路切換手段を、四方弁とし、暖房運転時に、前記
四方弁を介して前記車室外熱交換器の冷媒流入側と前記
コンプレッサの冷媒流入側とを接続可能とし、冷房運転
時に前記四方弁を介して前記車室外熱交換器の冷媒流出
側と前記コンプレッサの冷媒流入側とを接続可能とする
流路を設け、前記車室外熱交換器の冷媒流出側と前記四
方弁及び放熱用車室内熱交換器との間に、冷媒の流れを
圧力抵抗体を介して迂回させる流出側迂回流路を設け、
前記四方弁と前記車室外熱交換器の冷媒流出側及び前記
放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に、冷媒流れ
を圧力抵抗体を介して迂回させる迂回流路を設け、前記
流出側迂回流路と並ぶ流路に、前記車室外熱交換器から
の流出方向を順方向とする流出側逆止弁を設け、前記迂
回流路と並ぶ流路に、前記四方弁からの流出方向を順方
向とする逆止弁を設けたことを特徴とする。
【0020】請求項8に記載の発明では、冷媒に仕事量
を加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出
側に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換
器と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒
の熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い
空調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室
内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この
膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側
とに接続され、送風手段により導入された空気の熱を前
記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少
なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒
と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、前記
冷媒流路切換手段を三方弁とし、前記車室外熱交換器の
冷媒流入側とコンプレッサの冷媒吸入側とを接続可能と
する流路を設け、前記車室外熱交換器の冷媒流出側と三
方弁及び放熱用車室内熱交換器との間とに、冷媒の流れ
を圧力抵抗体を介して迂回させる流出側迂回流路を設
け、前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側と前記コン
プレッサの冷媒吸入側との間を、圧力抵抗体を備えた流
路で接続し、前記流出側迂回流路と並ぶ流路に、前記車
室外熱交換器からの流出方向を順方向とする流出側逆止
弁を設けたことを特徴とする。
【0021】請求項9に記載の発明では、冷媒に仕事量
を加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出
側に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換
器と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒
の熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い
空調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室
内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この
膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側
とに接続され、送風手段により導入された空気の熱を前
記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少
なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒
と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、前記
放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側と前記コンプレッサ
の冷媒吸入側との間を、圧力抵抗体を備えた流路で接続
したことを特徴とする。
【0022】請求項10に記載の発明では、請求項4又
は請求項6記載の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であ
って、前記コンプレッサの吸入冷媒温度又は吐出冷媒温
度の少なくとも一方に関係する要素を検出する検出手段
と、前記検出手段の検出に応じて前記制御弁を制御する
制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0023】
【作用】請求項1に記載の発明では、暖房運転時にコン
プレッサの駆動により冷媒がコンプレッサから冷媒流路
切換手段、放熱用車室内熱交換器、膨脹手段、吸熱用車
室内熱交換器を順に経由してコンプレッサに循環し、放
熱用車室内熱交換器がコンプレッサから吐出された高温
な冷媒の熱を送風手段で導入された空気に放熱して温風
を作り、吸熱用車室内熱交換器が送風手段で導入された
空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作る。冷房運転時には
コンプレッサの駆動により冷媒をコンプレッサから冷媒
流路切換手段、車室外熱交換器のみ又は車室外熱交換器
と放熱用車室内熱交換器との両方、膨脹手段、吸熱用車
室内熱交換器を順に経由してコンプレッサに循環し、車
室内熱交換器がコンプレッサから吐出された高温な冷媒
の熱を外気に放熱し、吸熱用車室内熱交換器が送風手段
で導入された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作る。
【0024】そして、暖房運転時に車室外熱交換器側及
び暖房用リターン流路を介して、コンプレッサの冷媒吸
入側へ冷媒の一部が供給され、あるいは冷房運転時に車
室外熱交換器側又は放熱用車室内熱交換器側と冷房用リ
ターン流路とを介してコンプレッサの冷媒吸入側へ冷媒
の一部が供給される。
【0025】従って、暖房時あるいは冷房時の少なくと
も一方の時において、コンプレッサの冷媒吸入側に供給
される漏れ冷媒が断熱膨脹して周囲から熱を奪い、コン
プレッサの吸入冷媒の温度が低下するインジェクション
が行われ、体積効率が増大する。
【0026】請求項2に記載の発明では、圧力抵抗体を
介してコンプレッサの冷媒吸入側に冷媒の一部が供給さ
れ、断熱膨脹がより促進され、コンプレッサへの吸入冷
媒の温度低下をより促進させることができる。
【0027】請求項3に記載の発明では、逆止弁によっ
て規定量の冷媒漏れを許容し、インジェクションに用い
ることができる。
【0028】請求項4に記載の発明では、制御弁によっ
て規定量の冷媒漏れを許容し、インジェクションに用い
ることができる。また、制御弁の調整によってインジェ
クションに用いる冷媒量及びインジェクションのタイミ
ングを調整することができる。
【0029】請求項5に記載の発明では、暖房運転時
に、四方弁から放熱用車室内熱交換器へ向かう冷媒の一
部が流出側逆弁から規定量漏れ、車室外熱交換器での放
熱によって冷却液化され、コンプレッサの冷媒吸入側に
供給され、インジェクションが行なわれる。
【0030】請求項6に記載の発明では、暖房運転時
に、四方弁から放熱用車室内熱交換器へ向かう冷媒の一
部が流出側制御弁の制御によって規定量漏れ、車室外熱
交換器によって冷却液化され、コンプレッサの冷媒吸入
側へ供給され、インジェクションが行なわれる。
【0031】請求項7に記載の発明では、暖房運転時
に、四方弁から放熱用車室内熱交換器に向かう冷媒の一
部が流出側迂回流路から圧力抵抗体、車室外熱交換器を
介してコンプレッサの冷媒吸入側に供給され、インジェ
クションが行なわれる。また、冷房運転時に、四方弁か
ら車室外熱交換器を介して放熱用車室内熱交換器に向か
う冷媒の一部が迂回流路から圧力抵抗体、四方弁を介し
てコンプレッサの冷媒吸入側に流入され、インジェクシ
ョンが行なわれる。従って、冷暖房の何れの場合にもイ
ンジェクションを行なうことができる。
【0032】請求項8に記載の発明では、暖房運転時
に、三方弁から放熱用車室内熱交換器に向かう冷媒の一
部が流出側迂回流路から圧力抵抗体、車室外熱交換器を
介してコンプレッサの冷媒吸入側に流入され、インジェ
クションが行なわれる。また、冷房運転時に、放熱用車
室内熱交換器から吸熱用車室内熱交換器に向かう冷媒の
一部が圧力抵抗体を介してコンプレッサの冷媒吸入側に
供給され、インジェクションが行なわれる。従って、冷
暖房何れの場合にもインジェクションを行なうことがで
きる。
【0033】請求項9に記載の発明では、放熱用車室内
熱交換器から吸熱用車室内熱交換器に向かう冷媒の一部
が圧力抵抗体を介してコンプレッサの冷媒吸入側に流入
され、インジェクションが行なわれる。従って、冷房運
転時あるいは暖房運転時にインジェクションを行なわせ
ることができる。
【0034】請求項10に記載の発明では、コンプレッ
サの吸入冷媒温度又は吐出冷媒温度の少なくとも一方に
応じて制御弁を制御することができ、制御弁の正確な制
御を行なうことができる。
【0035】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0036】図1はこの発明の第1実施例に係る車両用
ヒートポンプ式冷暖房装置の概略構成図を示し、図2は
冷凍サイクルのみを示す概略構成図である。
【0037】これら図1、図2に示すように、コンプレ
ッサ31はエンジンルームのような車室外に設けられ、
電動式コンプレッサや油圧駆動式コンプレッサのように
入力値が直接可変可能になっている。このコンプレッサ
31の吐出側には車室外熱交換器38と、放熱用車室内
熱交換器33とが流路切換手段としての四方弁90を介
して接続されている。
【0038】前記車室外熱交換器38は、エンジンルー
ムなどの車室外に設けられ、コンプレッサ31から吐出
される冷媒の熱を外気に放熱する車室外コンデンサとな
っている。
【0039】前記放熱用車室内熱交換器33は、インス
トルメントパネルの裏側のような車室内前部に配置され
た装置本体としてのダクト39内に設けられ、コンプレ
ッサ31から吐出される冷媒の熱を送風手段としてのブ
ロワファン37によって導入された空気に放熱する放熱
タイプの車室内コンデンサとなっている。
【0040】前記四方弁90は、暖房運転時に実線示の
ような流路切換状態となり、コンプレッサ31の吐出側
を逆止弁92を介して放熱用車室内熱交換器33の冷媒
流入側に接続すると共に、コンプレッサ31の冷媒吸入
側を流路100及び流入側逆止弁91を介して車室外熱
交換器38の冷媒流入側に接続する。前記流路100
は、キャピラリチューブなどの圧力抵抗体101を備
え、暖房用リターン流路を構成する。
【0041】また、四方弁90は、冷房運転時に点線示
のような流路切換状態となり、コンプレッサ31の吐出
側を、逆止弁91、車室外熱交換器38、及び流出側逆
止弁70を介して放熱用車室内熱交換器33の冷媒流入
側に接続すると共に、コンプレッサ31の冷媒吸入側を
流路100及び逆止弁92を介して放熱用車室内熱交換
器33の冷媒流入側に接続する。
【0042】前記逆止弁91は、四方弁90から車室外
熱交換器38への順方向の冷媒流れを許容し、車室外熱
交換器38から流路100側への逆方向へ規定量の冷媒
漏れを許容する。逆止弁70は車室外熱交換器38から
放熱用車室内熱交換器33側への順方向の冷媒流れを許
容し、車室外熱交換器38への逆方向へ規定量の冷媒漏
れを許容する。これら、逆止弁91,70は暖房用漏れ
許容手段を構成する。
【0043】前記放熱用車室内熱交換器33の冷媒流出
側には、ダクト39内の上流側に設けられた吸熱用車室
内熱交換器35の冷媒流入側が、液タンク36及び車室
外に設けられた膨張手段として液体冷媒を断熱膨張して
霧状にする膨張弁34を介して接続されている。
【0044】前記吸熱用車室内熱交換器35は、ブロワ
ファン37によって導入された空気の熱を、車室外熱交
換器38および放熱用車室内熱交換器33の少なくとも
一方から膨張弁34を通して供給された冷媒に吸熱して
冷風を作る吸熱タイプのエバポレータになっている。前
記吸熱用車室内熱交換器35の冷媒流出側には、コンプ
レッサ31の冷媒吸入側が接続されている。
【0045】なお、前記放熱用車室内熱交換器33の空
気流入側には、補助ヒータ76が設けられている。補助
ヒータ76は入力電圧によって出力を任意に設定できる
可変タイプの電熱ヒータで、入力電圧は制御装置43に
より制御される。補助ヒータ76がONされると、放熱
用車室内熱交換器33を通過する空気が加熱され、放熱
用車室内熱交換器33を流通する冷媒の温度が上昇す
る。
【0046】前記ダクト39内の吸熱用車室内熱交換器
35よりも上流側には、車室内空気を導入する内気導入
管40と、走行風圧を受けて外気を導入する外気導入管
41とが接続されている。この内気導入管40と外気導
入管41との空気導出側(空気流の下流側)と吸熱用車
室内熱交換器35との間に、前記ブロワファン37が配
置され、ブロワファンモータ44で回転駆動されるよう
になっている。
【0047】前記放熱用車室内熱交換器33の上流側に
は、エアミックスドア46が設けられている。このエア
ミックスドア46は、制御装置43で駆動される図外の
エアミックスドアアクチュエータにより駆動され、吸熱
用車室内熱交換器35を通過して冷えている空気を、放
熱用車室内熱交換器33を回避して冷えたままの冷風
と、放熱用車室内熱交換器33を通過して暖められた温
風とに分ける比率(冷風と温風との風量配分)を調整す
るように開閉する。エアミックスドア46の開度たるエ
アミックスドア開度Xdscは、エアミックスドア46
が一点鎖線示の位置となり、冷風と温風との風量配分が
冷風100%になる時を、エアミックスドア開度Xds
c=0%(全閉)と設定し、エアミックスドア46が二
点鎖線示の位置となり、冷風と温風との風量配分が温風
100%となる時を、エアミックスドア開度Xdsc=
100%(全開)と設定してある。
【0048】前記ダクト39の放熱用車室内熱交換器3
3よりも下流側には、上記冷風と温風との混合を良くす
ることにより、温度調整された空調風を作る部屋として
のエアミックスチャンバ47が設けられている。エアミ
ックスチャンバ47には、対象乗員の上半身に向けて空
調風を吹き出すベンチレータ吹出口51(51a,51
b,51c,51d)と、対象乗員の足元に向けて空調
風を吹き出すフット吹出口52(52a)と、フロント
ウィンドウに向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口
53(53a)とが連設されている。エアミックスチャ
ンバ47内には、ベンチレータドア55とフットドア5
6とデフロスタドア57とが設けられている。ベンチレ
ータドア55は、制御装置43で駆動される図外のベン
チレータドアアクチュエータにより、ベンチレータ吹出
口51を開閉する。フットドア56は、制御装置43で
駆動される図外のフットドアアクチュエータにより、フ
ット吹出口52を開閉する。デフロスタドア57は、制
御装置43で駆動される図外のデフロスタドアアクチュ
エータにより、デフロスタ吹出口53を開閉する。
【0049】また、前記エアミックスチャンバ47に
は、内気導入管40に連通する循環通路71が接続され
ている。循環通路71からエアミックスチャンバ47へ
の開口部72には、循環通路71の入口側ドア74が設
けられ、循環通路71と内気導入管40との分岐部73
には、出口側ドア75が設けられている。入口側ドア7
4は、制御装置43で駆動される図外の入口側ドアアク
チュエータにより開口部72を開閉し、出口側ドア75
は、制御装置43で駆動される図外の出口側ドアアクチ
ュエータにより分岐部73を切り換える。すなわち入口
側ドア74および出口側ドア75が開放した状態(出口
側ドア75は内気導入管40を閉じる。)において、エ
アミックスチャンバ47からブロワファン37の上流側
へ温調風が循環する。
【0050】前記制御装置43は、吸熱用車室内熱交換
器吸い込み風温センサ58と、吸熱用車室内熱交換器吹
き出し風温センサ59と、ベンチレータ吹出口風温セン
サ60と、日射量センサ61と、外気温センサ62と、
室温センサ63と、空調設定パネル89に設けられた室
温設定器64(図1では便宜上、信号線で示している)
と、吹出口モードスイッチ65(同)と、ブロワファン
スイッチ66(同)と、冷媒温度センサ67と、放熱用
車室内熱交換器吹き出し風温センサ68などの熱環境情
報により、エアミックスドア開度Xdscとコンプレッ
サ31の入力値Wcompと吸熱用車室内熱交換器35を通
過する通過風量Veva と目標吹出温度To などの目標冷
暖房条件を演算し、車室内の冷暖房条件が上記演算され
た目標冷暖房条件を維持するように、コンプレッサ31
とブロワファンモータ44とエアミックスドアアクチュ
エータとベンチレータドアアクチュエータとフットドア
アクチュエータとデフロスタドアアクチュエータなどを
駆動する。前記熱環境情報としては、吸熱用車室内熱交
換器35の吸い込み口空気温度Tsuc と吸熱用車室内熱
交換器35の吹き出し空気温度Tout と放熱用車室内熱
交換器33の吹き出し空気温度Tv とベンチレータ吹出
口51の吹き出し空気温度Tventと車両の日射量Qsun
と車室外の外気温度Tamb と車室内の検出室温(車室内
気温度)Tro omと車室内の設定温度Tptc と放熱用車室
内熱交換器33出口側の冷媒温度Tre f などである。
【0051】上記実施例に係る車両用ヒートポンプ式冷
暖房装置は、図3、図4に示すフローチャートに基づい
て制御が行なわれる。
【0052】冷暖房装置のスイッチがONされて制御装
置が作動することにより処理を開始し、ステップS1で
この制御フローチャートで用いる定数(A〜H,P,
Q)のセットが行われる。すなわち、目標吹出温度Tof
の計算式に用いるA〜E、エアミックスドアの開度Xの
計算式に用いるF,G,H、設定室温の補正に用いる
P,Qをセットする。
【0053】ステップS2では、各種センサ出力が読み
込まれる。すなわち、室温センサ63の出力である車室
内温度Troom、日射量センサ61の出力である日射量Q
sun、外気温センサ62の出力である外気温Tamb 、室
温設定器64の出力である車室内の設定室温Tptc 、フ
ァンスイッチの設定Vfan,set の読み込みを行う。
【0054】ステップS3では、ブロワファンの風量を
印加電圧により制御するため、乗員の設定する室温設定
値Tptc と室温Troomとの偏差(Troom−Tptc )に応
じて空調風を発生するブロワファンの印加電圧Vfan
セットする。具体的には、この偏差が大きいほど印加電
圧を増加し、室温を設定室温に早急に近付けるようにす
る。
【0055】ステップS4では、設定室温Tptc の補正
を行う。この補正は、定数P,Q及び外気温Tamb を用
い、次式により行なう。
【0056】Tptc ′=Tptc +P×Tamb +Q 具体的には、外気温が低い場合には設定室温を上昇さ
せ、外気温が高い場合には、設定室温を低下させる。通
常、人間の体感では、周囲が暑い環境下で室温を低下さ
せると「涼しい」といった温冷感が得られ、逆に、周囲
が寒い環境下で室温を上昇させると「暖かい」といった
温冷感が得られる。このように周囲の温度に逆比例する
ような温度を設定することで温冷感が刺激されて快適と
なる。
【0057】ステップS5では、目標吹出温度Tofを算
出する。この算出は、定数A,B,C,D,E、外気温
amb 、室温Troom、補正設定室温T′ptc 、日射量Q
sunを用い次式によって算出する。
【0058】
【数1】 Tof=A×Tamb +B×Troom+C×T′ptc +D×Qsun +E ステップS6では、目標吹出温度Tofに基づいてエアミ
ックスドアの開度Xを算出する。この算出は定数F,
G,Hを用い次式によって行う。
【0059】X=F×Tof 2 +G×Tof+H ステップS7では、目標吹出温度Tofに基づいて吹出モ
ードを決定する。すなわち、目標吹出温度が高ければ主
として前席乗員の足元に吹き出すFOOT(フートモー
ド)、同中程度であれば前席乗員の胸部と足元に吹き出
すBI−LEVEL(バイレベルモード)、同低ければ
前席乗員の胸部に吹き出すVENT(ベントモード)を
選択する。
【0060】ステップS8では、乗員によってマニュア
ルファンスイッチが押されたかどうかを判断する。マニ
ュアルファンスイッチが押されていればその操作に応じ
るためステップS9によってファン設定値Vfan ′=V
fan,set を最終的なブロワファン電圧とする。マニュア
ルファンスイッチが押されていなければ、ステップS1
0において、以前のステップS3で自動的に定めたブロ
ワファン電圧をそのまま用いる。
【0061】ステップS11では、ステップS9あるい
はステップS10で決められたブロワファン電圧をブロ
ワファンモータ44へ出力する。
【0062】ステップS12では、各ドアアクチュエー
タに出力し、ドアを所定位置に自動セットする。
【0063】ステップS13では、コンプレッサとコン
プレッサモータを制御する。この制御については図6〜
図8を用いて後述する。
【0064】こうして、一回のループを終了するとステ
ップS2へ戻り、再度上記各ステップが繰り返される。
【0065】そして、暖房運転時には、図1、図2の実
線示のように四方弁90が切り換えられ、冷媒がコンプ
レッサ31→四方弁90→逆止弁92→放熱用車室内熱
交換器33→液タンク36→膨脹弁34→吸熱用車室内
熱交換器35→コンプレッサ31と循環し、放熱用車室
内熱交換器33がコンプレッサ31から吐出された高温
な冷媒の熱をブロワファン37で導入された空気又は車
両走行時のラム圧によって導入された空気に放熱して温
風を作り、吸熱用車室内熱交換器35がブロワファン3
7で導入された空気又は車両走行時のラム圧によって導
入された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作る。
【0066】また、冷房運転時には、同図の点線示のよ
うに四方弁90が切り換えられ、冷媒がコンプレッサ3
1→四方弁90→車室外熱交換器38→逆止弁70→放
熱用車室内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→
吸熱用車室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環
し、車室外熱交換器38がコンプレッサ31から吐出さ
れた高温な冷媒の熱を外気に放熱し、残りの熱を放熱用
車室内熱交換器33がブロワファン37で導入された空
気又は車両走行時のラム圧によって導入された空気に放
熱して温風を作り、吸熱用車室内熱交換器35がブロワ
ファン37で導入された空気又は車両走行時のラム圧に
よって導入された空気の熱を冷媒に放熱して冷風を作
る。
【0067】一方、図5で示すように、暖房運転時に、
逆止弁92を通過して放熱用車室内熱交換器33へ向う
冷媒の一部が規定の漏れ量に設定された逆止弁70から
漏れ、車室外熱交換器38へ流入する。車室外熱交換器
38では外気への放熱によって冷媒が冷却液化され、逆
止弁91へ至る。逆止弁91も規定の漏れ量に設定され
ており、この逆止弁91から漏れた冷媒が流路100へ
流入し、圧力抵抗体101を通過してコンプレッサ31
の冷媒吸入側に供給される。このように圧力抵抗体10
1を介してコンプレッサ31の冷媒吸入側に供給された
液状態の冷媒は、断熱膨脹して周囲から熱を奪い、コン
プレッサ31の冷媒吸入温度を低下させインジェクショ
ンが行われる。
【0068】このインジェクションによってコンプレッ
サ吐出温度Td が高い場合や、コンプレッサモータ回転
数Nc が高くTd が高くなり易い条件において、Td
低下させ、暖房能力を最大に発揮したい場合にTd が高
くて運転できない問題点を解消し、暖房能力を向上する
ことができる。特に、制御し易いモータ内蔵型の電動コ
ンプレッサの場合、比較的低温の吸入冷媒をモータの冷
却に使うため、吸入冷媒が加熱されひいてはTd が高く
なるためインジェクションによってこれを解消し、コン
プレッサの回転数をさらに増加させ冷媒流量を増加させ
ることで暖房能力を向上することができるのである。
【0069】また、コンプレッサ31の吸入冷媒温度が
低下するということは、体積効率を向上させて循環冷媒
量を増大させ、放熱用車室内熱交換器33での放熱と吸
熱用車室内熱交換器35での吸熱を向上させ、除湿性能
を維持しながら暖房能力を著しく増大させることができ
る。従って、フロントガラスの防曇性能を維持しながら
十分な暖房によって快適な車室内環境を作り出すことが
できる。
【0070】なお、前記四方弁90は通常、電磁力を用
いて流れ方向を切り換えるが、切り換えた流れ方向に圧
力差を設けておくことにより、切り換え用の電磁力を低
減している。すなわち、暖房運転時に、コンプレッサ3
1から車室外熱交換器38を回避して、放熱用車室内熱
交換器33へ流れる冷媒と逆止弁70、車室外熱交換器
38、逆止弁91を介して僅かに漏れる冷媒とでは、後
者の方が逆止弁70,91などの抵抗体を通過している
分だけ圧力が低くなっている。この圧力差により、冷房
運転へ切り換えるとき、少ない電磁力で四方弁90を切
り換えることができる。また、冷房運転時に、コンプレ
ッサ31から車室外熱交換器38へ向かう冷媒と、車室
外熱交換器38から放熱用車室内熱交換器33へ向う冷
媒の一部が逆止弁92を介して四方弁90に僅かに漏れ
てくる冷媒とでは、後者の方が圧力が低くなっている。
このため、圧力差を利用して、暖房運転へ切り換えると
き、少ない電磁力で四方弁90を切り換えることができ
る。
【0071】また、逆止弁91の存在によって圧力抵抗
体101の振動を防止することができる。すなわち、も
し逆止弁91がなければ冷房運転から暖房運転に切り換
える場合、車室外熱交換器38内の多くの冷媒が圧力抵
抗体101にそのまま流れ込んで圧力抵抗体101の振
動を招く恐れがあるが、逆止弁91によって圧力抵抗体
101には設定された漏れ量が流れ込むこととなり、そ
の振動を抑制することができるのである。
【0072】図6から図8は、前記図4のステップS1
3を実行するフローチャートを示す。
【0073】まず、図6は冷房運転と暖房運転との選択
のフローチャートを示している。
【0074】ステップS131では各種データの読み込
みが行なわれる。ここでの読み込みは図3のステップS
2で読み込んだデータ以外のものを読み込む。すなわ
ち、風温センサ59の出力である吸熱用車室内熱交換器
35の吹き出し空気温度Tout、風温センサ58の出力
である吸熱用車室内熱交換器吸い込み空気温度Tsuc
風温センサ67の出力である放熱用車室内熱交換器33
吹き出し空気温度Tv 、コンプレッサ仕事量を表わす物
理量Vcompで、Vcompに比例してコンプレッサ吐出量が
増加し、コンプレッサ仕事量も増える(電動コンプレッ
サを使用する場合には、周波数に相当する)。
【0075】ステップS132で、デフロスタスイッチ
がONされているか否かを判断し、デフロスタスイッチ
がONされている場合には、ステップS133に進み、
デフロスタスイッチがOFFされている場合には、ステ
ップS134に進む。
【0076】ステップS133では、吸熱用車室内熱交
換器35の目標冷却状態に対して、デフロスタスイッチ
がONされている場合の補正項を与える。δTc は冷房
運転時の目標とする吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気
温の補正項で、δTH は暖房運転時の上限冷却温度(窓
晴れ温度)の補正項で、デフロスタスイッチがONされ
ている場合には、吸熱用車室内熱交換器35での目標冷
却状態をより低く設定して除湿量を増やし、放熱用車室
内熱交換器33でのリヒート量を多くして、最終的に目
標とする吹き出し温度で車室内に空調風を吹き出す。同
様に、ステップS134では、デフロスタスイッチがO
Nされていない場合の吸熱用車室内熱交換器35の目標
冷却状態に対する補正項を与える。
【0077】ステップS135では、ステップS133
やステップS134で与えられた補正項を使って、冷房
運転した場合と暖房運転した場合の吸熱用車室内熱交換
器35での冷却状態を比較し、冷房運転した場合の冷却
状態の方が暖房運転した場合よりも低くなる時、ステッ
プS136に進んで冷房運転を行ない、逆に、暖房運転
した場合の冷却状態の方が冷房運転した場合よりも低く
なる場合には、ステップS137に進んで暖房運転を実
行する。
【0078】図7は暖房温調時のコンプレッサ制御のフ
ローチャートを示している。暖房運転が実行されると、
ステップS1371でデフロスタスイッチがONされて
いるか否かを判断する。
【0079】ステップS1371でデフロスタスイッチ
がONの場合には、ステップS1372において、逆
に、デフロスタスイッチがOFFの場合には、ステップ
S1373において、暖房運転時の吸熱用車室内熱交換
器35の上限冷却温度に対する補正温度δTH を与え
る。ここでは、デフロスタスイッチのON/OFFに対
してのみ補正しているが、車両の熱負荷条件、例えば、
日射や車室内温度や外気温や吹出温度に対して補正して
もよい。
【0080】ステップS1374では、低外気温時の設
定上限冷却温度T5 と外気温Tambを基にした上限冷却
温度(Tamb −δTH )とを比較して、大きい方を暖房
運転時の上限冷却温度(上限T′int )として設定す
る。ここでは、上限冷却温度を決める要素の一つとし
て、外気温度で代表させているが、外気温以外にも車両
の熱環境条件や窓曇りセンサ出力等を用いてもよい。
【0081】ステップS1375では、吸熱用車室内熱
交換器35の凍結に基づく温度Tse to(T6 ) を下限冷
却温度(下限T′int )として設定する。
【0082】ステップS1376では、吸熱用車室内熱
交換器吹き出し空気温Tout がステップS1375で設
定した下限冷却温度(下限T′int )よりも低いか否か
を判断する。Tout <下限T′int の場合、このままで
は、吸熱用車室内熱交換器35が凍結する恐れがあり、
ステップS1382に進んで、コンプレッサ31の仕事
量を△Vc だけ減少させ、吸熱用車室内熱交換器吹き出
し温度を上げ、上下冷却温度内に入るようにする。この
時、図に示していないが、同時に吸熱用車室内熱交換器
吸い込み空気温を上昇させる制御を行なって、コンプレ
ッサ31の仕事量減少に伴なう吹き出し温低下を防ぐ。
【0083】ステップS1376において、Tout ≧下
限T′int の場合には、ステップS1377に進み、吸
熱用車室内熱交換器吹き出し空気温Tout が、ステップ
S1374で設定した上限冷却温度(上限T′int )よ
りも大きいか否かを判断する。
【0084】ステップS1377において、Tout >上
限T´int の場合には、ステップS1380に進み、コ
ンプレッサ31の仕事量を△Vc だけ増加させ、空調風
の除湿量を確保するために吸熱用車室内熱交換器吹き出
し温度を下げる。逆に、Tou t ≦上限T´int の場合に
は、ステップS1378に進み、目標空調風温度Tof
放熱用車室内熱交換器吹き出し空調温Tv の偏差△θを
算出する。
【0085】ステップS1379において、△θ>Sの
場合には、吹出温が目標空調風温度Tofに達していない
ので、ステップS1380に進んで、コンプレッサ31
の仕事量を△Vc だけ増加させて吹出温を上昇させる。
△θ<−Sの場合には、吸熱用車室内熱交換器吹き出し
空気温が目標吹出温よりも高いので、ステップS138
2に進んでコンプレッサ31の仕事量を△Vc だげ減少
させて吹出温を低下させる。これら以外の条件では、ス
テップS1381に進み、現状のコンプレッサ仕事量を
維持する。
【0086】従来の車両用ヒートポンプ冷暖房装置にお
いても、コンプレッサの仕事量を可変して吹き出し温度
を制御することができるが、一定量の仕事量の変化に対
して、外気温度や走行条件によって吹き出し温の温度変
化量が大きく異なってしまい、安定した車室内温度制御
は困難であった。
【0087】ところが、本発明実施例の車両用冷暖房装
置の暖房運転においては、外気温の影響を受けずに連続
した暖房運転が可能で、一定量のコンプレッサ31の仕
事量の増減が、外気温度や走行条件に依らず、つねに所
定量の吹出温度変化量(車室内への放熱量変化)となっ
て現われ、しかも、暖房運転時には吸熱用車室内熱交換
器35において必ず除湿(冷却)を伴なうといった特徴
を持つために、図7に示すようなコンプレッサ制御によ
って、不安定現象がない車室内除湿温度制御を行なうこ
とができる。
【0088】図8は、冷房運転時のコンプレッサ制御の
フローチャートを示している。冷房運転が実行される
と、ステップS1361において、ベント吹き出しか否
かを判断する。
【0089】ベント吹き出しの場合には、吸熱用の車室
内熱交換器35に流入する空気温度を目標吹出温にまで
冷却した後に車室内に吹き出すのが最も省エネとなるの
で、ステップS1362に進み、目標吹出温X
M (Tof) を吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温の目
標温度T′int に設定する。
【0090】ステップS1361において、ベント吹き
出し以外の場合には、ステップS1363に進み、バイ
レベルモードか否かを判断する。
【0091】バイレベルモードの場合には、ステップS
1365に進み、それ以外の場合には、ステップS13
64に進み、吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温の補
正温度δTc を与える。この補正温度は、放熱用車室内
熱交換器33でのリヒート量が多くなるほど大きな値に
設定する。
【0092】ステップS1366では、吸熱用車室内熱
交換器吹き出し空気温の目標温度T′int を、ステップ
S1374で使用した温度T5 と、目標吹出温Tofをス
テップS1364またはステップS1365で与えた補
正項で補正した温度(Tof−δTc )との大きい方の温
度に設定する。
【0093】ステップS1367では、ステップS13
62またはステップS1366で算出した目標温度T′
int と吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温Tout との
差θを計算する。
【0094】ステップS1368では、ステップS13
67で算出したθの値がθ<−Soの場合には、ステッ
プS1369に進み、コンプレッサ31の仕事量を△V
c だけ増やして吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温を
下げ、θ>So の場合には必要以上にコンプレッサ31
の仕事量が大きくなっていると判断して、ステップS1
391に進み、コンプレッサ31の仕事量を△Vc だけ
減少させ、それら以外の場合には、現状のコンプレッサ
仕事量を維持する。
【0095】従って、暖房運転時には、コンプレッサ3
1が始動すると、吸熱用車室内熱交換器35の吸熱量
と、コンプレッサ31の実入力値Wcompに相当する仕事
量とを、放熱用車室内熱交換器33において放熱するの
で、車室内には吸熱用車室内熱交換器35の吸い込み空
気温度Tsuc よりも高温の空気が吹き出され、運転時間
の経過とともに、車室内温度、すなわち、吸熱用車室内
熱交換器35の吸い込み空気温度Tsuc は上昇し、それ
に伴って、コンプレッサ31の実入力値Wcompも大きく
できるので、車室内は加速的に暖められる。また、吸熱
用車室内熱交換器35に流入した空気が、放熱用車室内
熱交換器33に流入するので吸熱用車室内熱交換器35
に流入する空気の熱負荷に対して、吸熱用車室内熱交換
器35で凍結が生じない範囲で、コンプレッサ31の実
入力値Wcompを決めておくことにより、コンプレッサ3
1の効率が最適となる。
【0096】図9は第2実施例に係る冷凍サイクルの構
成図を示す。基本的な構成は図2に記載の実施例と同一
であるため、同符号を付して重複した説明は省略する。
【0097】この実施例では、暖房運転時に流路100
への冷媒の漏れ流量を制御できるようにした。すなわ
ち、この実施例では、図2の逆止弁70,91に代えて
制御弁として冷媒流れ開閉弁93,94を設けている。
この冷媒流れ開閉弁93,94は図1で示す制御手段と
しての制御装置43で制御される。
【0098】車室外熱交換器38には、その温度を検出
する車室外熱交換器温度検出器96が設けられている。
コンプレッサ31の吐出側にはコンプレッサ吐出温度T
d を検出するコンプレッサ吐出温度検出器97が設けら
れている。車室外熱交換器温度検出器96、コンプレッ
サ吐出温度検出器97の検出信号は、制御装置43へ入
力されるようになっている。
【0099】図10、図11は図9に示す実施例のフロ
ーチャートを示す。
【0100】図10は、前記図3、図4に示すフローチ
ャートの一部、すなわち、図4に対応する部分のみ示し
たもので、この実施例でも図3に示すフローチャートと
同一のフローチャートを備えている。従って、基本的に
は図3、図10のフローチャートの組み合わせで基本的
な制御が行われる。
【0101】そして、積極的なインジェクション制御を
行うために、ステップS13のコンプレッサ及びコンプ
レッサモータ制御の後にステップS14としてインジェ
クション制御を加えている。他のステップS8〜S13
までは図4の各ステップと同一である。
【0102】そして、ステップS14のインジェクショ
ン制御は図11のフローチャートによって実行される。
【0103】インジェクション制御がスタートすると、
まずステップS141においてインジェクション制御を
行うかどうかを決めるために装置が暖房運転中かどうか
を判断する。暖房運転中ならばステップS142へ移行
し、冷房運転中であればステップS143へ移行する。
【0104】ステップS143では、コンプレッサ吐出
温度Td 、コンプレッサモータ回転数Nc が共に低く冷
凍サイクル内の冷媒流量が小さいので、弁93,94の
閉止によってインジェクションを行わず、稼働している
冷凍サイクル側の作動冷媒量の不足を防止する。
【0105】ステップS142では、インジェクション
を行うかどうかの判断をするためコンプレッサ吐出温度
d が所定の設定吐出温度Td,set よりも高いかどうか
を判断する。Td がTd,set よりも高ければステップS
144へ移行し、冷媒流れ開閉弁93,94の開閉状態
を制御してインジェクションを行う。Td がTd,set
下であれば、ステップS145へ移行する。
【0106】ステップS144では、弁93,94の開
放によって冷媒がコンプレッサ31の冷媒吸入側に導か
れ、断熱膨脹によって吸入冷媒の冷却を行い、インジェ
クションが行われる。
【0107】ステップS145では、コンプレッサ回転
数が高く、インジェクションを必要とするかどうかを判
断する。コンプレッサ回転数Nc が所定の設定回転数N
c,se t より高い場合は、ステップS144へ移行してイ
ンジェクションを行なう。低い場合はステップS146
へ移行し、車室外熱交換器温度検出器96で検出した車
室外熱交換器温度Tcondに応じて冷媒流れ開閉弁93,
94の開閉状態を制御する。すなわち、Tcondが0℃近
辺になれば弁93,94を開放状態とする。こうする
と、インジェクションを行うのと同じ状態となり、車室
外熱交換器38内に高温高圧の冷媒が流れるため車室外
熱交換器38内に滞留していた冷媒が追い出され、稼働
している冷凍サイクル側の冷媒量不足を防止することが
できる。また、Tcondが10℃近辺であれば弁93,9
4を閉止する。また、その中間的な温度領域であれば、
弁93を開放して車室外熱交換器38内へ冷媒を入れる
ようにし、車室外熱交換器38内の圧力、温度を高め、
同様に作動冷媒量の不足を防止することができる。
【0108】以上のインジェクション制御が終了した
ら、図3で示すステップS2へ移行し、同様なステップ
が繰り返される。
【0109】このようにして、図12に示すように、冷
媒流れ開閉弁93,94の制御により暖房運転時、適正
量の冷媒を流路100へ流し、圧力抵抗体101を介し
てコンプレッサ31の吸入側へ供給することが可能とな
る。従って、インジェクションする冷媒量をより大きな
範囲で調整することができ、例えばコンプレッサ吐出温
度Td に応じてインジェクションする冷媒量を調整する
ことが可能となり、コンプレッサ吐出冷媒温度をより的
確に低減することができる。
【0110】すなわち、コンプレッサ吐出温度Td が高
い場合や、コンプレッサモータ回転数Nc が高くTd
高くなり易い条件ではインジェクションを行ってTd
低下させ、Td が高くて運転できないといった問題を解
消し、暖房能力を最大に発揮しその能力向上を図ること
ができる。
【0111】図13は、第3実施例に係る冷凍サイクル
の構成図を示す。基本的な構成は第1実施例とほぼ同様
であるため同符号を付して重複した説明は省略する。
【0112】この実施例では、冷暖房何れにおいてもイ
ンジェクション制御するようにした。従って、暖房用リ
ターン流路を構成するために、四方弁90とコンプレッ
サ31の冷媒流入側とを接続する流路111を設け、四
方弁90と前記車室外熱交換器38の冷媒流出側及び放
熱用車室内熱交換器33との間に、流出側迂回流路11
2を設けている。流出側迂回流路112には、圧力抵抗
体102が備えられている。
【0113】暖房用漏れ許容手段を構成するために、流
出側迂回流路112に並ぶ流路に流出側逆止弁70を設
け、四方弁90と車室外熱交換器38の冷媒流入側との
間に、流入側制御弁として冷媒流れ開閉弁94を介設し
ている。
【0114】冷房用リターン流路を構成するためには、
前記流路111を設け、前記四方弁90と前記車室外熱
交換器38の冷媒流出側及び前記放熱用車室内熱交換器
33との間に、迂回流路113を設けている。この迂回
流路113には、圧力抵抗体103が備えられている。
【0115】冷房用漏れ許容手段を構成するためには、
迂回流路113に並設した逆止弁92と、前記四方弁9
0と迂回流路113との間に介設された制御弁として冷
媒流れ開閉弁110とを備えている。
【0116】図14は、第3実施例の制御例を示すフロ
ーチャートである。
【0117】このフローチャートは前記実施例の図11
に示すフローチャートに対応する。従って、この実施例
においても基本的な制御は図3、図10に示すフローチ
ャートに従って行われる。
【0118】そして、この実施例において、インジェク
ション制御がスタートすると、まず、図14のステップ
S161において装置の運転状態が冷房運転であるか、
暖房運転であるかが判定され、冷房運転であればステッ
プS162へ移行し、暖房運転であればステップS16
3へ移行する。
【0119】ステップS162では、冷房運転であるた
め弁110を閉止し、弁94を開く。ステップS163
では逆に暖房運転であるため、弁94を閉止し、弁11
0を開く。
【0120】次いでステップS164では、コンプレッ
サ吐出温度Td が所定の設定吐出温度Td,set よりも高
くインジェクションが必要であるかどうかを判断する。
dがTd,set よりも高ければインジェクションを必要
とし、ステップS165において弁110が開かれる。
従って、車室外熱交換器38から放熱用車室内熱交換器
33へ向かう冷媒の一部が迂回流路113、圧力抵抗体
103、弁110、及び流路111を介してコンプレッ
サ31の冷媒吸入側に供給され断熱膨脹する。従って、
コンプレッサ31の吸入冷媒温度が低下して体積効率が
向上し、サイクルの冷媒循環量が増大して、冷房能力を
向上させることができる。
【0121】ステップS164においてTd がTd,set
以下であると判断されれば、ステップS166へ移行す
る。ステップS166ではモータ回転数Nc が高く、イ
ンジェクションが必要であるかどうかを判断する。すな
わち、コンプレッサモータ回転数Nc を所定の設定回転
数Nc,set と比較し、Nc がNc,set より高ければ、ス
テップS165へ移行し、前記同様インジェクションが
行われる。
【0122】ステップS166においてNc がNc,set
以下であると判断されればステップS167へ移行し、
弁110が閉止される。従って、コンプレッサ31の吐
出温度が低く、回転数も低ければインジェクションは行
われず、サイクルの作動冷媒量が適正に確保され、冷房
能力向上を図ることができる。
【0123】暖房運転時にはステップS163からップ
S168へ移行し、前記ステップS164と同様にTd
とTd,set との比較が行われる。また、ステップS16
9では前記ステップS166と同様にNc とNc,set
の比較が行われる。Td がTd,set より高い場合、Nc
がNc,set より高い場合の何れもインジェクションが必
要であるため、ステップS170へ移行し、弁94が開
かれる。
【0124】コンプレッサ吐出温度Td が低く、コンプ
レッサモータ回転数Nc も低い場合にはステップS17
1へ移行する。
【0125】ステップS171では、外気温が低く車室
外熱交換器38内に液冷媒が溜って冷凍サイクル側の作
動冷媒量が不足するかどうかの判断を行う。従って、車
室外熱交換器38内の温度Tcondが所定の設定温度T
cond,setよりも低ければインジェクション制御を行い、
高温高圧の冷媒を車室外熱交換器38へ供給すべくステ
ップS170へ移行する。車室外熱交換器38の温度T
condがTcond,set以上であれば、ステップS172へ移
行し、弁94が閉止される。
【0126】以上のインジェクション制御が終了した場
合には、図3に示すステップS2へ移行し、同様なステ
ップが繰り返される。
【0127】このような制御により、暖房運転時には、
図15のようにコンプレッサ31から放熱用車室内熱交
換器33へ向かう冷媒の一部が流出側迂回流路112の
圧力抵抗体102を介して車室外熱交換器38へ流入
し、ここで十分冷却されて液冷媒となる。この液冷媒は
開状態の弁94、四方弁90を介して流路111へ流
れ、この流路111からコンプレッサ31の冷媒吸入側
に流入する。コンプレッサ31の冷媒吸入側に流入した
液冷媒は断熱膨脹して冷媒吸入温度を低減し、延いては
冷媒吐出温度を低減することができる。従って、上記同
様暖房能力を向上することができる。
【0128】さらに、この実施例では、冷房運転時に、
図16に示すようにコンプレッサ31から車室外熱交換
器38へ流れ、さらに放熱用車室内熱交換器33へ流れ
る冷媒の一部が迂回流路113の圧力抵抗体103、開
状態の弁110、四方弁90を介して流路111へ流入
し、コンプレッサ31の冷媒吸入側に流入する。従っ
て、吸入冷媒温度を低減することでコンプレッサ31は
冷媒吸入時の体積効率を向上させ、ひいては冷房能力を
も向上させることができる。
【0129】図17は第4実施例に係る冷凍サイクルの
構成図を示す。基本的な構成は第1実施例の図2に示す
構成とほぼ同一であるため、同符号を付して重複した説
明は省略する。
【0130】この実施例も、第3実施例と同様に冷暖房
何れでもインジェクションができるようにしている。そ
して、冷媒流路切換手段としては、三方弁32を用いて
いる。
【0131】暖房用リターン流路を構成するため、車室
外熱交換器38の冷媒流入側とコンプレッサの冷媒吸入
側とを接続する流路114を設け、車室外熱交換器38
の冷媒流出側と三方弁32及び放熱用車室内熱交換器3
3との間に、圧力抵抗体102を備えた流出側迂回流路
112を設けている。
【0132】冷房用リターン流路を構成するため、放熱
用車室内熱交換器33の冷媒流出側、具体的には液タン
ク36の流出側とコンプレッサ31の冷媒吸入側との間
とを接続すると共に、圧力抵抗体104を備えた流路1
15を設けている。
【0133】暖房用漏れ許容手段を構成するため、前記
流出側迂回流路112に並ぶ流路に流出側逆止弁70を
設け、前記流路114に、制御弁として冷媒流れ開閉弁
95を介設している。
【0134】冷房用漏れ許容手段を構成するため、前記
流路115に、制御弁として冷媒流れ開閉弁98を介設
している。
【0135】図18は、第4実施例の制御例を示すフロ
ーチャートである。
【0136】このフローチャートの制御内容は、第3実
施例の図14に示すフローチャートとほぼ同一である。
【0137】従って、ステップS181は図14のステ
ップS161に対応し、以下、ステップS182は同ス
テップS162に、ステップS183は同ステップS1
63に、ステップS184は同ステップS164に、ス
テップS185は同ステップS165に、ステップS1
86は同ステップS166に、ステップS187は同ス
テップS167に、ステップS188は同ステップS1
68に、ステップS189は同ステップS169に、ス
テップS190は同ステップS170に、ステップS1
92は同ステップS172にそれぞれ対応している。
【0138】但し、図18のフローチャートでは、図1
4のフローチャートに対し制御する弁が異なっている。
すなわち、冷房運転時、ステップS182で弁95を閉
止し、ステップS185及びステップS187において
弁98を開閉制御する。また、暖房運転時、ステップS
183で弁98を閉止し、ステップS190及びS19
2で弁95を開閉制御する。
【0139】従って、暖房運転時には図19のように、
コンプレッサ31から三方弁32を経て放熱用車室内熱
交換器33へ流れる冷媒の一部が圧力抵抗体102を介
して車室外熱交換器38へ流入しここで液冷媒となる。
そして、開状態の弁95を介してコンプレッサ31の吸
入側へ供給され、上記同様、断熱膨脹によってコンプレ
ッサ31の吸入冷媒温度、ひいては吐出冷媒温度を低下
させる。従って、上記同様に暖房能力を向上することが
できる。
【0140】また、冷房運転時には図20で示すよう
に、液タンク36を流出した冷媒の一部が開状態の弁9
8、圧力抵抗体104を介してコンプレッサ31の吸入
側へ同様に吸入され、冷媒吸入時の体積効率を向上さ
せ、冷房能力を向上させることができる。
【0141】図21は、第5実施例に係る冷凍サイクル
の構成図を示す。基本的な構成は図20に示す第4実施
例とほぼ同一であるため、同符号を付して重複した説明
は省略する。
【0142】この実施例は、簡単な構成で、冷暖房のイ
ンジェクションを行うようにした。すなわち、第4実施
例の流出側迂回流路112及び流路114を省いたもの
である。従って、暖房時のインジェクションは図22の
ように、冷房時のインジェクションは図23のように行
なわれ、何れも制御弁としての冷媒流れ開閉弁99の開
閉制御により流路115から圧力抵抗体104を介して
コンプレッサ31の冷媒吸入側に冷媒の一部が供給され
る。
【0143】従って、この実施例では装置を安価に製造
することができる。
【0144】図24は、コンプレッサ冷媒吐出温度ある
いは冷媒吸入温度、若しくはこれらに関係する圧力など
の物理量の何れかに基づいてインジェクションするかし
ないかを適正に切り換える場合の制御線図を示してい
る。すなわち、この例ではコンプレッサ冷媒吐出温度が
所定温度以下である場合、インジェクションするよりも
吸熱用車室内熱交換器に流す冷媒量を維持するほうが冷
凍性能が向上するのでインジェクションはしない。ま
た、冷媒吐出温度が所定温度以上である場合インジェク
ションすることによって吐出冷媒温度を低減し、コンプ
レッサ能力を最大限に活用して冷凍能力を向上させるこ
とができる。
【0145】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1に記
載の発明によれば、流路切り換え手段の流路切り換え動
作により冷媒は逆流することなく暖房運転時には放熱用
車室内熱交換器で放熱すると共に、吸熱用車室内熱交換
器で吸熱し、冷房運転時には車室外熱交換器または車室
外熱交換器と放熱用車室内熱交換器との双方で放熱する
と共に、吸熱用車室内熱交換器で吸熱しているので、暖
房運転時には吸熱用車室内熱交換器の吸熱量と、コンプ
レッサの仕事熱量とを放熱用車室内熱交換器で放熱し暖
房能力が向上すると共に外気の気象条件に左右されず低
外気温でも運転が可能となり安定した制御が可能とな
る。吸熱用車室内熱交換器で除湿した後、放熱用車室内
熱交換器で加熱するので、除湿暖房が可能となる。空調
風の除湿をした後のリヒートは電気ヒータ等を使う必要
がなく消費電力を削減することができる。電気ヒータや
エンジンの排熱を用いることなく効率良く暖房ができる
ためエンジンを持った車に限らずソーラーカーや電気自
動車のような大きな熱源を持たない場合でも適用するこ
とができる。冷房と暖房で冷媒の流れ方向が同じである
ため現在車両に用いられている冷暖房装置を余り変更せ
ずに適用することができ、設計上有利である。
【0146】しかも、暖房運転時あるいは冷房運転時の
少なくとも一方においてインジェクションを行わせるこ
とができる。従って、コンプレッサの吸入冷媒温度、ひ
いては吐出冷媒温度を低下させることができ、最大限の
暖房性能を引き出すことができ、あるいは、コンプレッ
サの吸入冷媒温度を低下させることで体積効率が高くな
り、冷房能力を向上させることができる。従って、コン
プレッサ入力等を大きくしなくても能力向上を図ること
ができ、より経済的な装置を得ることができる。
【0147】請求項2に記載の発明では、圧力抵抗体に
よってコンプレッサに流入する冷媒の断熱膨脹を促進さ
せ、僅かな冷媒でインジェクションが可能となる。
【0148】請求項3に記載の発明では、暖房用漏れ許
容手段あるいは冷房用漏れ許容手段として逆止弁を用い
ることにより、簡単な構造でインジェクションを達成す
ることができ、装置が安価となる。
【0149】請求項4に記載の発明では、暖房用漏れ許
容手段あるいは冷房用漏れ許容手段として制御弁を用い
ることにより、インジェクションを制御することが可能
となる。従って、より正確なインジェクションが可能と
なる。
【0150】請求項5に記載の発明では、暖房運転時に
インジェクションを行うことができ、コンプレッサの吸
入冷媒、ひいては吐出冷媒の温度を低下させることがで
きる。このため、暖房性能を大幅に向上させることがで
き、また、コンプレッサの体積効率が向上することによ
ってサイクルの冷媒流量が増大し、冷凍能力も向上する
ため除湿暖房性能を向上させることができる。
【0151】請求項6に記載の発明では、インジェクシ
ョンを制御することができ、除湿暖房性能を向上させな
がら、これを正確に行うことができる。従って、フロン
トウィンドウガラスの防曇性能等を正確に維持したまま
暖房性能を向上させることができる。
【0152】請求項7に記載の発明では、冷暖房何れの
場合にもインジェクションを行うことができ、除湿暖房
性能向上と冷房能力の向上の双方を行わせることができ
る。
【0153】請求項8に記載の発明では、冷暖房いずれ
の場合にもインジェクションを行わせることができる。
しかも、冷媒流路切換手段として三方弁を用いているの
で、安価に製造することができる。
【0154】請求項9に記載の発明では、冷暖房何れの
場合にもインジェクションを行わせることができる。し
かも、三方弁を用い、また冷媒リターン用の流路を冷暖
房用に共用しているので構造が極めて簡単なものとな
る。
【0155】請求項10に記載の発明では、検出手段の
検出に応じて制御弁を制御することができ、コンプレッ
サの吸入冷媒温度又は吐出冷媒温度の少なくとも一方に
応じて正確なインジェクションを行わせることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係るブロック図であ
る。
【図2】この発明の第1実施例に係る冷凍サイクルの構
成図である。
【図3】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図4】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図5】作用説明図である。
【図6】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図7】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図8】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図9】この発明の第2実施例に係る冷凍サイクルの構
成図である。
【図10】この発明の第2実施例に係るフローチャート
である。
【図11】この発明の第2実施例に係るフローチャート
である。
【図12】作用説明図である。
【図13】この発明の第3実施例に係る冷凍サイクルの
構成図である。
【図14】この発明の第3実施例に係るフローチャート
である。
【図15】作用説明図である。
【図16】作用説明図である。
【図17】この発明の第4実施例に係る冷凍サイクルの
構成図である。
【図18】この発明の第4実施例に係るフローチャート
である。
【図19】作用説明図である。
【図20】作用説明図である。
【図21】この発明の第5実施例に係る冷凍サイクルの
構成図である。
【図22】作用説明図である。
【図23】作用説明図である。
【図24】インジェクション制御の例を示す制御線図で
ある。
【図25】従来例に係る冷凍サイクルの構成図である。
【図26】新たな車両用ヒートポンプ式冷暖房装置の冷
凍サイクルの構成図である。
【符号の説明】
31 コンプレッサ 32 三方弁(冷媒流路切換手段) 33 放熱用車室内熱交換器 34 膨脹弁(膨脹手段) 35 吸熱用車室内熱交換器 37 ブロワファン(送風手段) 38 車室外熱交換器 43 制御装置 70 流出側逆止弁(暖房用漏れ許容手段) 90 四方弁(冷媒流路切換手段) 93 冷媒流れ開閉弁(流出側制御弁) 98,99 冷媒流れ開閉弁(制御弁) 100,111,114,115 流路 101,102,103,104 圧力抵抗体 112 流出側迂回流路 113 迂回流路

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、 暖房運転時に前記車室外熱交換器の冷媒流入側と前記コ
    ンプレッサの冷媒吸入側との間を接続する暖房用リター
    ン流路と、冷房運転時に前記車室外熱交換器の冷媒流出
    側又は放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側と前記コンプ
    レッサの冷媒吸入側との間を接続する冷房用リターン流
    路との少なくとも一方を設け、 暖房運転時に前記冷媒流路切換手段から放熱用車室内熱
    交換器へ向う冷媒の一部が前記車室外熱交換器及び暖房
    用リターン流路を介して前記コンプレッサの冷媒吸入側
    へ供給されるのを許容する暖房用漏れ許容手段と、冷房
    運転時に前記車室外熱交換器から前記放熱用車室内熱交
    換器及び吸熱用車室内熱交換器へ向う冷媒の一部が冷房
    用リターン流路を介して前記コンプレッサの冷媒吸入側
    へ供給されるのを許容する冷房用漏れ許容手段との少な
    くとも一方を設けたことを特徴とする車両用ヒートポン
    プ式冷暖房装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用ヒートポンプ式冷
    暖房装置であって、 前記暖房用漏れ許容手段又は冷房用漏れ許容手段によっ
    て漏れを許容された冷媒を通過させる圧力抵抗体を介設
    したことを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の車両用ヒー
    トポンプ式冷暖房装置であって、 前記暖房用漏れ許容手段又は冷房用漏れ許容手段は、順
    方向の流れを許容し、逆方向の流れの規定量の冷媒漏れ
    を許容する逆止弁であることを特徴とする車両用ヒート
    ポンプ式冷暖房装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の車両用ヒー
    トポンプ式冷暖房装置であって、 前記暖房用漏れ許容手段又は冷房用漏れ許容手段は、制
    御弁であることを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖
    房装置。
  5. 【請求項5】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、 前記冷媒流路切換手段を、四方弁とし、 暖房運転時に前記四方弁を介して前記車室外熱交換器の
    冷媒流入側と前記コンプレッサの冷媒吸入側とを接続可
    能とする流路を設け、 前記車室外熱交換器の冷媒流出側と前記四方弁及び放熱
    用車室内熱交換器との間に、車室外熱交換器からの流出
    方向を順方向とし、逆方向への規定量の冷媒漏れを許容
    する流出側逆止弁を設けたことを特徴とする車両用ヒー
    トポンプ式冷暖房装置。
  6. 【請求項6】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、 前記冷媒流路切換手段を、四方弁とし、 暖房運転時に前記四方弁を介して前記車室外熱交換器の
    冷媒流入側と前記コンプレッサの冷媒吸入側とを接続可
    能とする流路を設け、 前記車室外熱交換器の冷媒流出側と前記四方弁及び放熱
    用車室内熱交換器との間に、流出側制御弁を設けたこと
    を特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  7. 【請求項7】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、 前記冷媒流路切換手段を、四方弁とし、 暖房運転時に、前記四方弁を介して前記車室外熱交換器
    の冷媒流入側と前記コンプレッサの冷媒流入側とを接続
    可能とし、冷房運転時に前記四方弁を介して前記車室外
    熱交換器の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒流入側
    とを接続可能とする流路を設け、 前記車室外熱交換器の冷媒流出側と前記四方弁及び放熱
    用車室内熱交換器との間に、冷媒の流れを圧力抵抗体を
    介して迂回させる流出側迂回流路を設け、 前記四方弁と前記車室外熱交換器の冷媒流出側及び前記
    放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に、冷媒流れ
    を圧力抵抗体を介して迂回させる迂回流路を設け、 前記流出側迂回流路と並ぶ流路に、前記車室外熱交換器
    からの流出方向を順方向とする流出側逆止弁を設け、 前記迂回流路と並ぶ流路に、前記四方弁からの流出方向
    を順方向とする逆止弁を設けたことを特徴とする車両用
    ヒートポンプ式冷暖房装置。
  8. 【請求項8】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、 前記冷媒流路切換手段を三方弁とし、 前記車室外熱交換器の冷媒流入側とコンプレッサの冷媒
    吸入側とを接続可能とする流路を設け、 前記車室外熱交換器の冷媒流出側と三方弁及び放熱用車
    室内熱交換器との間とに、冷媒の流れを圧力抵抗体を介
    して迂回させる流出側迂回流路を設け、 前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側と前記コンプレ
    ッサの冷媒吸入側との間を、圧力抵抗体を備えた流路で
    接続し、 前記流出側迂回流路と並ぶ流路に、前記車室外熱交換器
    からの流出方向を順方向とする流出側逆止弁を設けたこ
    とを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  9. 【請求項9】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段とを備え、 前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側と前記コンプレ
    ッサの冷媒吸入側との間を、圧力抵抗体を備えた流路で
    接続したことを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房
    装置。
  10. 【請求項10】 請求項4又は請求項6記載の車両用ヒ
    ートポンプ式冷暖房装置であって、 前記コンプレッサの吸入冷媒温度又は吐出冷媒温度の少
    なくとも一方に関係する要素を検出する検出手段と、 前記検出手段の検出に応じて前記制御弁を制御する制御
    手段とを設けたことを特徴とする車両用ヒートポンプ式
    冷暖房装置。
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JP2003291635A (ja) * 2002-04-02 2003-10-15 Denso Corp 空調装置

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